足の指の間の皮がむけていることに気づいたとき、「水虫かもしれない」と不安になる方は多いのではないでしょうか。確かに水虫(白癬)は足の指の間の皮むけを引き起こす代表的な原因のひとつですが、実は汗疱(かんぽう)や接触性皮膚炎、乾燥など、水虫以外にも似たような症状をきたす皮膚のトラブルはたくさんあります。原因によって適切な対処法がまったく異なるため、自己判断で市販の水虫薬を使い続けることは症状を悪化させる可能性があります。この記事では、足の指の間の皮がむける主な原因や見分け方、自宅でできるケア方法、そして病院を受診すべき目安について詳しく解説します。
目次
- 足の指の間の皮がむける主な原因
- 水虫(白癬)について詳しく知る
- 水虫以外の皮むけの原因
- 症状の見分け方のポイント
- 足の指の間の皮むけを放置するリスク
- 自宅でできるケアと予防法
- 病院を受診すべきタイミング
- 受診時に行われる検査と治療
- まとめ
この記事のポイント
足の指の間の皮むけは水虫以外に汗疱・接触性皮膚炎・乾燥なども原因となり、自己判断で水虫薬を使い続けると症状が悪化するリスクがある。2週間改善しない場合は皮膚科でKOH検査による正確な診断を受けることが重要。
🎯 1. 足の指の間の皮がむける主な原因
足の指の間は、体の中でも特に蒸れやすく、摩擦が生じやすい場所です。靴を履いている時間が長い現代人にとって、足の指の間はさまざまな皮膚トラブルが起きやすい環境に置かれています。皮がむけるという症状だけを見ると似ているように思えますが、その背景にある原因は多岐にわたります。
足の指の間の皮がむける主な原因として挙げられるのは、以下のものです。
- 水虫(足白癬):白癬菌というカビの一種による感染症
- 汗疱(異汗性湿疹):小さな水疱が生じてかゆくなり、皮がむける状態
- 接触性皮膚炎:靴の素材や洗剤などのアレルギー・刺激による炎症
- 乾燥性の皮膚炎:皮膚の乾燥によるひび割れや皮むけ
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう):手のひらや足の裏に小さな膿疱が繰り返しできる疾患
- 蜂窩織炎(ほうかしきえん)や二次感染:傷からの細菌感染
これらの中でも特に頻度が高く、間違えられやすいのが水虫と汗疱です。見た目が非常に似ているため、専門家でも検査なしには判断が難しいことがあります。それぞれの特徴を正しく理解することが、適切なケアへの第一歩となります。
Q. 足の指の間の皮むけは水虫以外に何が原因になりますか?
足の指の間の皮むけの原因は水虫(足白癬)だけではなく、汗疱(異汗性湿疹)・接触性皮膚炎・乾燥・掌蹠膿疱症などが挙げられます。原因によって治療法がまったく異なるため、自己判断で市販の水虫薬を使い続けると症状を悪化させるリスクがあります。
📋 2. 水虫(白癬)について詳しく知る
水虫は、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる真菌(カビの一種)が皮膚に感染することで起こる疾患です。医学的には「足白癬(あしはくせん)」と呼ばれており、日本人の約5人に1人が罹患していると言われるほど非常に一般的な感染症です。
白癬菌は皮膚の角質層に含まれるケラチンというタンパク質を栄養源として増殖します。高温多湿な環境を好むため、靴を長時間履いて蒸れた状態になる足は、白癬菌にとって非常に繁殖しやすい場所です。銭湯や温泉、スポーツジムのシャワーエリアなどの共用スペースで感染することが多いとされています。
🦠 足白癬の種類
足白癬にはいくつかのタイプがあり、症状の現れ方が異なります。
趾間型(しかんがた)は最も多く見られるタイプで、足の指の間、特に第4趾と第5趾(薬指と小指)の間に発症することが多いのが特徴です。皮がじゅくじゅくと湿って白くふやけたようになったり、逆に乾燥してカサカサと皮がむけたりします。かゆみを伴うことが多いですが、かゆみがないケースもあります。
小水疱型(しょうすいほうがた)は足の裏や土踏まず周辺に小さな水疱(水ぶくれ)が多数できるタイプです。水疱が破れると皮がむけてきます。かゆみが強いことが特徴です。
角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)は足の裏全体の皮膚が厚くなり、ひび割れしやすくなるタイプです。かゆみは少ないか、ほとんどないことが多く、水虫とは気づきにくいタイプです。高齢者に多く見られます。
👴 水虫の症状の特徴
水虫の症状として代表的なのは、足の指の間の皮がじゅくじゅくする、白くふやける、かゆみがある、皮がむける、ひび割れするといったものです。ただし、かゆみがまったくない水虫も存在するため、「かゆくないから水虫ではない」と断定することはできません。
また、水虫は感染力があるため、家族への感染予防も重要です。バスマットやスリッパの共用を避け、足をよく洗って乾燥させることが基本的な予防策となります。
💊 3. 水虫以外の皮むけの原因
🔸 汗疱(異汗性湿疹)
汗疱は、手のひらや足の裏、指の間に小さな水疱が突然できる皮膚疾患です。医学的には「異汗性湿疹」とも呼ばれており、強いかゆみを伴うことが多いのが特徴です。春から夏にかけて悪化しやすく、季節の変わり目に症状が出やすい傾向があります。
かつては汗腺の異常が原因と考えられていましたが、現在はアレルギーや精神的ストレス、金属アレルギー(特にニッケルやコバルト)との関連が指摘されています。水虫と非常に似た外観を持つため、しばしば混同されますが、水虫と異なり感染性はありません。
汗疱の水疱は数週間後に自然に破れ、皮がむけてきます。この段階で水虫と見間違えることが多く、誤って水虫薬を使用してしまうケースが後を絶ちません。汗疱には抗真菌薬(水虫の薬)は効果がなく、ステロイド外用薬などの治療が必要です。
💧 接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は、皮膚が特定の物質に触れることで起こる炎症反応です。足の指の間であれば、靴の素材(ゴム、金属の留め具など)、靴下の素材や染料、洗濯洗剤の残留成分などがアレルゲンや刺激物質となることがあります。
症状としては、赤み、かゆみ、水疱、皮むけなどが見られます。接触性皮膚炎は原因物質との接触を避けることで症状が改善されるため、原因の特定が非常に重要です。皮膚科でのパッチテストが原因究明に役立ちます。
✨ 乾燥による皮むけ
乾燥は足の皮むけの意外な原因のひとつです。特に冬場は空気が乾燥しており、足の皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。足の指の間は比較的見落とされがちな部位ですが、乾燥すると皮膚がひび割れたり、薄く皮がむけたりすることがあります。
乾燥による皮むけは、かゆみよりもひび割れや痛みを伴うことが多く、保湿ケアによって改善することが多いのが特徴です。ただし、乾燥と水虫が併存することもあるため注意が必要です。
📌 掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に小さな膿疱(膿を持った水疱)が繰り返しできる疾患です。膿疱が乾燥してかさぶたになり、皮がむけるという経過をたどります。喫煙や扁桃炎、歯科金属アレルギーなどとの関連が指摘されています。
自己免疫疾患の一種とされており、ステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤などによる治療が行われます。水虫薬では改善しないどころか、症状が長引く原因にもなります。
▶️ 細菌感染(二次感染)
水虫や湿疹などで皮膚のバリア機能が低下した状態では、細菌が侵入しやすくなります。足の指の間に生じた傷や皮むけから黄色ブドウ球菌などの細菌が感染し、蜂窩織炎(皮膚の深いところまで細菌が感染する状態)を起こすことがあります。この場合、赤み、腫れ、熱感、痛みが強くなり、発熱を伴うこともあります。抗菌薬による治療が必要です。
Q. 水虫と汗疱の症状はどう違いますか?
汗疱は春から夏に突然透明な水疱が多数現れ、強いかゆみと季節性が特徴です。水虫は季節を問わず慢性的に続き、指の間が白くふやけたり皮がむけたりします。ただし外見だけの判別は専門家でも困難なため、皮膚科でのKOH検査による正確な診断が推奨されます。
🏥 4. 症状の見分け方のポイント
足の指の間の皮がむける症状は、原因によって細かな違いがあります。ただし、外見だけで確実に判断することは専門家でも難しく、最終的には医療機関での検査が必要です。以下に、参考として各疾患の特徴的な違いをまとめます。
🔹 水虫が疑われる場合の特徴
水虫の場合、足の指の間が白くふやけてじゅくじゅくする、または乾燥してカサカサと皮がむけるという状態が持続します。第4趾と第5趾(薬指と小指)の間に発症することが多い傾向があります。症状は慢性的に続き、季節を問わず見られます。家族や身近な人に同じような症状がある場合は、感染している可能性が高まります。銭湯やジムをよく利用する方も感染リスクが高いといえます。
📍 汗疱が疑われる場合の特徴
汗疱の場合、突然小さな透明の水疱が多数出現し、強いかゆみを伴うことが多いのが特徴です。春から夏にかけて悪化し、涼しくなると改善するという季節性があります。ストレスがかかったときに悪化しやすく、手のひらと足の両方に症状が出ることも少なくありません。水疱が自然に乾いて皮がむけるという経過をたどります。
💫 接触性皮膚炎が疑われる場合の特徴
接触性皮膚炎では、新しい靴を履き始めた、洗濯洗剤を変えた、特定の靴下を使用したなど、原因となりうる物質との接触タイミングと症状の出現が一致していることが多いです。接触した部位に一致した皮膚炎が生じるため、靴の縁に沿った赤みや皮むけが見られることもあります。
🦠 自己判断の危険性
市販の水虫薬(抗真菌薬)は、水虫以外の皮膚疾患には効果がありません。それどころか、汗疱や接触性皮膚炎の場合に水虫薬を使用し続けると、皮膚に余計な刺激を与えて症状を悪化させることがあります。また、ステロイド薬を水虫に使用すると、白癬菌が増殖して「顕微鏡的白癬」という診断しにくい状態になることもあります。
「なんとなく水虫っぽい」という自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、症状が長引く場合は早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
⚠️ 5. 足の指の間の皮むけを放置するリスク
足の指の間の皮むけは「たいしたことない」と放置してしまいがちですが、適切な対処をしないでいると様々なリスクが生じます。
👴 感染の拡大
水虫を放置すると、白癬菌は足の他の部位にも広がっていきます。足の裏全体に広がったり、爪に感染して爪白癬(爪水虫)となったりすることがあります。爪白癬は爪が白く濁って厚くなる疾患で、完治するまでに半年から1年以上かかることもあります。
また、自分で掻いた手を介して、体の他の部位(股間、体幹、頭部など)に白癬菌が広がる可能性もあります。家族への感染リスクも高まり、バスマットや床を介して感染が広がることがあります。
🔸 細菌感染(二次感染)の危険
足の指の間の皮膚のバリア機能が低下した状態が続くと、細菌が侵入しやすくなります。特にかゆみで掻き壊した傷口から細菌が入り込むと、蜂窩織炎や丹毒(たんどく)といった細菌感染症を起こすことがあります。これらは広範な皮膚の赤み、腫れ、痛み、発熱を引き起こし、入院が必要になるケースもあります。糖尿病や免疫機能が低下している方では、重症化するリスクが高く、特に注意が必要です。
💧 慢性化と治療の困難化
どの疾患であれ、放置して慢性化すると治療が難しくなります。水虫であれば長期間の抗真菌薬治療が必要になり、爪白癬に進行すれば内服薬が必要になることもあります。汗疱や接触性皮膚炎も繰り返し悪化することで皮膚が厚く硬くなる「苔癬化」という状態になり、治療に時間がかかるようになります。
✨ 生活の質の低下
足の指の間がじゅくじゅくしたり、かゆみや痛みが続いたりすることは、日常生活の質に大きく影響します。歩行時の不快感、足のにおいへの気づかい、プールや温泉施設を楽しめないなど、精神的なストレスにもつながります。
Q. 水虫を放置するとどのようなリスクがありますか?
水虫を放置すると、白癬菌が足の裏全体や爪に広がり、治療が難しい爪白癬へ進行する場合があります。さらに皮膚のバリア機能が低下して細菌感染(蜂窩織炎)を引き起こし、発熱や入院が必要になることもあります。糖尿病の方は特に重症化リスクが高く注意が必要です。
🔍 6. 自宅でできるケアと予防法
医療機関での診断と治療が最も重要ですが、日常生活でのケアや予防も症状の改善・再発防止に大きな役割を果たします。
📌 足を清潔に保つ
毎日入浴やシャワーの際に足の指の間もていねいに洗うことが基本です。ただし、ゴシゴシと強くこすると皮膚を傷つけてしまうため、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、シャワーでしっかりと洗い流すようにしましょう。
洗った後は特に足の指の間をしっかりと乾燥させることが重要です。タオルで優しく押さえるように水分を拭き取り、ドライヤーの冷風を使って乾かすのも効果的です。湿気が残ったままでいると、白癬菌や細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
▶️ 通気性の良い靴と靴下を選ぶ
蒸れにくい靴を選ぶことが足の健康維持につながります。革靴やゴム素材の靴よりも、通気性の良い素材の靴が望ましいです。靴は複数足を用意してローテーションで使い、1足1足に乾燥させる時間を設けることをお勧めします。靴の内部に乾燥剤を入れておくのも効果的です。
靴下は綿や竹繊維など、吸湿性・透湿性の高い素材を選びましょう。5本指靴下は指の間の通気性を高め、湿気がこもりにくいため、足の指の間のトラブル予防に効果的とされています。靴下は毎日清潔なものに取り替えましょう。
🔹 公共の場での予防
銭湯、温泉、スポーツジムのシャワーエリア、プールなどの共用スペースでは、白癬菌が床に落ちていることがあります。これらの場所では素足で歩かず、サンダルやビーチサンダルを履くようにしましょう。帰宅後はすぐに足を洗うことが感染予防につながります。
📍 保湿ケアの重要性
乾燥による皮むけや皮膚のバリア機能低下を防ぐために、入浴後などに保湿剤を塗ることは重要です。ただし、足の指の間は蒸れやすい部位でもあるため、保湿剤の塗りすぎには注意が必要です。足の裏や指の腹部分は丁寧に保湿しつつ、指の間は薄く塗る程度にとどめるのが理想的です。
💫 規則正しい生活と免疫力の維持
免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなります。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理など、規則正しい生活を心がけることが間接的に皮膚の健康維持にも役立ちます。糖尿病の方は特に皮膚感染症のリスクが高いため、血糖値のコントロールも重要です。
🦠 家族への感染予防
水虫と診断された場合は、家族への感染予防も意識する必要があります。バスマットは個人用のものを使用するか、使用後に十分乾燥させましょう。スリッパや靴の共用は避け、足を拭いたタオルも共用しないようにします。フローリングや畳の上に落ちた菌も感染源になりえるため、こまめに掃除することも効果的です。
📝 7. 病院を受診すべきタイミング
足の指の間の皮むけは、セルフケアで様子を見られる場合もありますが、以下のような状況では早めに医療機関を受診することをお勧めします。
👴 すぐに受診すべき症状

足の指の間や足全体が赤く腫れて、熱感や強い痛みがある場合は、細菌感染(蜂窩織炎など)の可能性があります。発熱を伴う場合はさらに緊急性が高まります。このような場合は皮膚科だけでなく、内科や救急外来への受診も考慮してください。
糖尿病や免疫抑制剤を使用中の方、透析を受けている方などは、足の皮膚トラブルが重症化しやすいため、軽微な症状でも早期に受診することが大切です。
🔸 市販薬を2週間使っても改善しない場合
市販の水虫薬を使用して2週間程度経過しても症状が改善しない、あるいは悪化している場合は、診断が誤っている可能性があります。水虫ではない皮膚疾患に対して抗真菌薬を使用していることが考えられますので、皮膚科を受診して正確な診断を受けましょう。
💧 症状が繰り返す場合
一度症状が収まっても繰り返し再発する場合は、根本的な原因の解決ができていない可能性があります。水虫であれば薬の使用期間が不十分であったり、再感染の機会がある環境にいたりすることが考えられます。汗疱や接触性皮膚炎であれば、アレルゲンや原因物質の特定が必要です。
✨ 爪の変化を伴う場合
足の爪が白く濁る、黄色くなる、厚くなる、ぼろぼろと崩れるといった変化がある場合は、爪白癬(爪水虫)の可能性があります。爪白癬は市販の外用薬では治療が難しく、内服薬や医療機関でしか入手できない特殊な外用薬が必要です。放置すると治りにくくなるため、早めに皮膚科を受診しましょう。
📌 子どもや高齢者の場合
子どもや高齢者は皮膚が敏感で、市販薬の成分が刺激になる場合もあります。また、症状をうまく伝えられないことも多いため、早めに医療機関を受診して適切な診断と処方を受けることをお勧めします。
Q. 足の指の間の皮むけで皮膚科を受診すべき目安は?
市販の水虫薬を2週間使用しても改善しない場合、症状が繰り返す場合、爪が白く濁る・厚くなるといった変化がある場合、赤みや腫れ・発熱を伴う場合は早めに皮膚科を受診してください。皮膚科ではKOH検査により多くの場合その日のうちに正確な診断がつき、適切な治療を受けられます。
💡 8. 受診時に行われる検査と治療
▶️ 皮膚科での診断方法
皮膚科を受診すると、まず問診と視診が行われます。症状がいつから始まったか、どのように変化してきたか、家族に似た症状がある人がいるかなどを確認します。
水虫が疑われる場合は、皮膚の一部(鱗屑:りんせつ、または水疱の壁)を採取して顕微鏡で確認する「直接鏡検法(KOH検査)」が行われます。採取した皮膚のサンプルを水酸化カリウム液で溶かして観察し、白癬菌の菌糸が確認されれば水虫と診断されます。この検査は数分で結果が出るため、初診当日に診断がつくことがほとんどです。
接触性皮膚炎が疑われる場合は、アレルゲンを特定するためのパッチテストが行われることがあります。パッチテストは疑われる物質を皮膚に貼付して48時間後と72時間後に判定する検査です。
🔹 水虫の治療
水虫と診断された場合は、抗真菌薬による治療が行われます。多くの場合、外用薬(塗り薬)から治療が始まります。テルビナフィン塩酸塩、ルリコナゾール、ラノコナゾールなどの成分を含む外用薬が処方されます。これらは市販薬にも含まれている成分ですが、医療機関での処方薬はより適切な種類と使用方法の指導が受けられます。
外用薬を使用する際の最大のポイントは、症状が改善したように見えても自己判断でやめないことです。皮膚の表面の症状が消えても、角質層の深い部分に白癬菌が残っていることがあります。医師の指示に従い、通常は最低でも4週間から8週間以上の継続使用が必要です。爪白癬に進行している場合は、内服薬(イトラコナゾール、テルビナフィンなど)が使われることが多く、治療期間も数ヶ月単位になります。
📍 汗疱の治療
汗疱の治療には、ステロイド外用薬が主に使われます。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬が内服薬として処方されることもあります。金属アレルギーが関与している場合は、ニッケルやコバルトを多く含む食品を制限する食事療法や、金属アレルギー用の歯科治療が有効なこともあります。重症例では光線療法(PUVA療法など)が選択されることもあります。
💫 接触性皮膚炎の治療
接触性皮膚炎の治療は、まず原因物質の除去・回避が最重要です。その上でステロイド外用薬を用いた炎症の抑制、必要に応じてかゆみを抑える抗ヒスタミン薬の内服が行われます。
🦠 細菌感染の治療
細菌感染(蜂窩織炎など)が認められる場合は、抗菌薬による治療が必要です。軽症であれば抗菌薬の内服で対応できますが、重症例では入院して点滴による抗菌薬治療が必要になることもあります。
👴 治療を続けることの重要性
どの疾患においても、症状が改善したからといって途中で治療を中断しないことが大切です。特に水虫は外見上の症状がなくなっても菌が残っている可能性があり、中断すると再発・再燃しやすくなります。医師の指示する治療期間を守り、定期的に受診して経過を確認してもらうことが完治への近道です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「足の指の間の皮むけを主訴に来院される患者様のうち、ご自身で「水虫だろう」と思っていたにもかかわらず、実際には汗疱や接触性皮膚炎だったというケースが少なくありません。市販の水虫薬を長期間使用してから受診される方もいらっしゃいますが、原因が異なれば治療法もまったく異なりますので、症状が改善しない場合は自己判断を続けずに早めにご相談いただくことが、結果的に早期回復への近道となります。」
✨ よくある質問
必ずしも水虫とは限りません。汗疱(異汗性湿疹)や接触性皮膚炎、乾燥、掌蹠膿疱症など、水虫以外にも似た症状を引き起こす皮膚疾患は多くあります。原因によって治療法がまったく異なるため、自己判断で市販の水虫薬を使い続けることは症状を悪化させるリスクがあります。
市販の水虫薬を2週間程度使用しても改善しない、または悪化している場合は、水虫以外の皮膚疾患である可能性があります。皮膚科では、顕微鏡検査(KOH検査)により多くの場合その日のうちに正確な診断がつくため、早めに皮膚科専門医へご相談ください。
放置すると白癬菌が足の裏全体や爪に広がり、治療が難しい爪白癬(爪水虫)に進行することがあります。また、皮膚のバリア機能が低下して細菌感染(蜂窩織炎)を引き起こし、発熱や入院が必要になるケースもあります。家族への感染リスクも高まるため、早めの対処が重要です。
汗疱は春〜夏に突然透明な水疱が多数現れ、強いかゆみを伴い、季節性がある点が特徴です。一方、水虫は慢性的に続き、季節を問わず発症します。ただし、外見だけでの判別は専門家でも困難です。誤った自己判断を避けるため、皮膚科でのKOH検査による正確な診断をお勧めします。
毎日足の指の間を優しく洗い、洗後はしっかり乾燥させることが基本です。通気性の良い靴や吸湿性の高い靴下(5本指靴下も効果的)を選び、靴は複数足でローテーションしましょう。銭湯やジムなどの共用スペースでは素足を避け、帰宅後はすぐに足を洗うことで感染リスクを下げられます。
📌 まとめ
足の指の間の皮がむける原因は、水虫(足白癬)だけではなく、汗疱、接触性皮膚炎、乾燥、掌蹠膿疱症など多岐にわたります。それぞれ原因が異なるため、治療法もまったく異なります。自己判断で市販の水虫薬を使い続けることは、症状を悪化させたり治療の機会を遅らせたりするリスクがあります。
日常生活では、足を清潔に保ち、しっかり乾燥させること、通気性の良い靴と靴下を選ぶこと、公共の場では素足で歩かないことが基本的な予防策となります。
症状が2週間以上続く、繰り返し再発する、悪化している、爪にも変化がある、赤みや腫れ・熱感・痛みが強いといった場合は、自己判断せずに皮膚科を受診することをお勧めします。皮膚科では顕微鏡検査(KOH検査)などで正確な診断を行い、原因に合った適切な治療を受けることができます。
足の指の間の皮むけは「よくあること」として放置されがちですが、適切な診断と治療を受けることで根本から改善することができます。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 足白癬(水虫)の診断基準・治療ガイドラインおよび汗疱・接触性皮膚炎などの鑑別疾患に関する情報。KOH検査や抗真菌薬の使用方法など、記事内の医療情報の根拠として参照。
- 厚生労働省 – 市販の抗真菌薬(水虫薬)の適正使用に関する情報および自己判断による市販薬使用のリスクについての公的見解として参照。
- 国立感染症研究所 – 白癬菌(Trichophyton属)の感染経路・疫学情報(日本人の約5人に1人が罹患)および銭湯・公共施設での感染リスクに関する科学的根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務