カイロや湯たんぽ、ホットカーペットを使っていて、「気づいたら皮膚が赤くなっていた」「水ぶくれができていた」という経験はありませんか?
💬 「痛みがないし、ちょっと赤いだけだから大丈夫だろう…」
⚠️ その判断が、重症化を招いています。
🚨 低温やけどは「痛みが少ない」からこそ危険。
気づかないうちに皮膚の深部まで組織が壊死していることがあります。放置すると手術が必要になるケースも。
📖 この記事を読めば、「受診すべき症状の見極め方」「今すぐできる応急処置」がわかります。
この記事でわかること:
- ✅ 低温やけどの仕組みと、なぜ重症化しやすいのか
- ✅ 症状別・重症度の見極め方
- ✅ 自宅でできる正しい応急処置
- ✅ 「今すぐ受診が必要」なサインとは?
- ✅ 治療法・回復期間・予防策まで
目次
- 低温やけどとは何か
- 低温やけどが起こるメカニズム
- 低温やけどの症状と重症度の見極め方
- 低温やけどの応急処置
- 低温やけどの治療法
- 重症度別の治療の流れ
- 低温やけどに使われる薬と外用剤
- 病院に行くべきタイミング
- 治療後のケアと回復期間
- 低温やけどを予防するために
- まとめ
この記事のポイント
低温やけどは44〜50℃の熱に長時間触れることで生じ、痛みが少なく気づきにくいが深部まで損傷しやすい。応急処置は流水で冷却し、水ぶくれや皮膚変色があれば皮膚科・形成外科へ早期受診することが重症化防止の鍵となる。
💡 低温やけどとは何か
低温やけどとは、体温よりやや高い温度(44〜50℃程度)のものに皮膚が長時間接触し続けることで生じる皮膚損傷のことです。「低温」という言葉がついているため「たいしたことがない」と思われがちですが、実際には通常のやけどよりも深部まで組織が損傷を受けることが多く、治療が長期化するケースも珍しくありません。
通常のやけどは70〜80℃以上の高温に一瞬触れることで起こります。これは表面の皮膚が急速に熱を受けるため、痛みが強く、本人もすぐに異変に気づきます。一方、低温やけどは比較的低い温度が長時間かけて皮膚に作用するため、痛みを感じにくく、じわじわと深部の組織が傷ついていきます。
低温やけどを引き起こす主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 使い捨てカイロや貼るカイロ
- 電気毛布・電気あんか
- ホットカーペット
- 湯たんぽ(特に入れたての高温のもの)
- ノートパソコンやタブレットなどの電子機器の熱
- 足裏への暖房器具の長時間使用
糖尿病や末梢神経障害がある方、感覚が鈍くなっている高齢者、就寝中に使用している方などは特にリスクが高く、注意が必要です。
Q. 低温やけどが通常のやけどより重症化しやすい理由は?
低温やけどは44〜50℃程度の温度が長時間作用するため、皮膚深部のタンパク質が徐々に熱変性を起こす。痛覚神経が先にダメージを受けることで痛みを感じにくく、気づかないまま使用を続けてしまい、傷がどんどん深部へ進行する悪循環に陥りやすい。
📌 低温やけどが起こるメカニズム
低温やけどが深部まで達しやすい理由を理解するためには、熱が皮膚に与えるダメージの仕組みを知ることが大切です。
皮膚の組織はタンパク質でできており、高温に晒されると熱変性(タンパク質が固まる変化)が起こります。これがやけどのダメージの本体です。この変性が起こる速度は温度によって異なり、高温であれば短時間で、低温であれば時間をかけながら同様のダメージが蓄積されます。
例えば、44℃という温度は6時間以上接触し続けると深刻なやけどを引き起こすとされています。50℃では約3分程度で組織に不可逆的な損傷が生じるという研究データもあります。つまり、「低い温度だから安全」というわけではなく、接触時間が長くなるほどダメージは大きくなるのです。
さらに問題なのは、低温やけどでは痛みが少ないという点です。皮膚の深部にある痛覚神経が先にダメージを受けてしまうため、本来感じるべき痛みを感じにくくなります。その結果、「まだ大丈夫」と思いながら長時間使い続けてしまい、傷がどんどん深くなるという悪循環に陥ります。
また、血流の少ない部位(かかとや足首など)は熱を逃がす能力が低く、同じ温度でも他の部位より損傷が大きくなりやすいため、注意が必要です。
✨ 低温やけどの症状と重症度の見極め方
やけどの重症度は一般的に「度」で表現され、低温やけども同じ基準で評価されます。ただし、低温やけどは外見上の変化が乏しい初期状態でも深部まで損傷が及んでいることがあるため、見た目だけで判断するのは危険です。
✅ Ⅰ度(表皮やけど)
皮膚の最も表面にある表皮のみが傷ついた状態です。患部は赤くなり、軽い熱感や痛みを伴いますが、水ぶくれはできません。日焼けに近い状態で、通常は数日以内に自然に回復します。色素沈着が残ることもほぼなく、比較的軽症と言えます。
📝 Ⅱ度(真皮やけど)
表皮の下にある真皮まで損傷が及んだ状態です。水ぶくれ(水疱)ができるのが特徴で、強い痛みを伴います。Ⅱ度はさらに浅達性と深達性に分けられます。
浅達性Ⅱ度(真皮の浅い部分まで)は、水ぶくれが破れると赤くしっとりした創面が現れ、強い痛みを感じます。適切に治療すれば2〜3週間程度で瘢痕(傷跡)をほとんど残さずに治ります。
深達性Ⅱ度(真皮の深い部分まで)は、水ぶくれが大きく、破れると白っぽい創面が現れます。感覚が鈍くなっているため痛みが少ないことが多く、治癒に1か月以上かかることもあります。瘢痕が残りやすく、場合によっては植皮手術が必要になることもあります。
🔸 Ⅲ度(全層やけど)
皮膚の全層(表皮・真皮)が壊死した状態です。患部は白や黄色、茶色、黒色になり、皮膚が革のように硬くなります。痛覚神経が破壊されているため痛みはほとんど感じません。自然治癒は困難で、多くの場合、植皮術などの外科的治療が必要です。
低温やけどの怖いところは、初期状態ではⅠ〜Ⅱ度に見えても、時間が経つにつれてⅢ度に進行することがある点です。受傷後数日〜1週間で症状が急激に悪化するケースもあるため、軽いと思っても早めに医療機関を受診することをお勧めします。
Q. 低温やけどの応急処置で正しい冷やし方は?
低温やけどの応急処置は、15〜20℃程度の流水で患部を10〜20分間冷やすことが基本である。氷や保冷剤の直接使用は凍傷リスクがあるため避ける。醤油やバターを塗る民間療法も症状を悪化させるため絶対に行わず、冷却後は清潔なガーゼで患部を覆うこと。
🔍 低温やけどの応急処置
低温やけどに気づいたら、まず行うべき応急処置があります。適切な初期対応が、その後の回復速度や傷の深さに影響することがあります。
⚡ まず冷やすことが基本
やけどの応急処置として最も重要なのは、患部を冷やすことです。流水(15〜20℃程度の清潔な水)で10〜20分程度、やけどした部位を冷やします。これにより、皮膚に残った熱を取り除き、それ以上のダメージの進行を抑えることができます。
冷やす際のポイントとして、以下の点に注意してください。
- 氷や保冷剤を直接当てないこと(凍傷のリスクがある)
- 水ぶくれを無理に破らないこと
- 患部を強くこすらないこと
- 冷やした後は清潔なガーゼや布で覆うこと
🌟 やってはいけないこと
民間療法として「醤油を塗る」「バターを塗る」「歯磨き粉を塗る」などの行為はすべて避けるべきです。感染リスクが高まったり、症状を悪化させたりする可能性があります。市販の軟膏も、種類によっては適さないものがあるため、医師の指示なく塗ることは推奨されません。
また、水ぶくれが生じている場合は自分で針で刺して破ることは絶対に避けてください。水ぶくれの内部は無菌状態に近く、細菌感染を防ぐ役割を果たしています。誤って破ると感染のリスクが大幅に高まります。
💪 低温やけどの治療法
低温やけどの治療は、やけどの深さ(重症度)と損傷を受けた面積によって大きく異なります。ここでは、医療機関で実施される主な治療法を解説します。
💬 保存的治療(外用療法)
Ⅰ度からⅡ度の浅いやけどの多くは、外用薬を使った保存的治療が中心となります。医師が患部の状態を評価した上で、適切な外用薬や被覆材を選択します。
従来は、ゲーベンクリームなどの抗菌薬入り外用薬が広く使われてきました。感染を防ぎながら創傷を管理するために有効ですが、毎日の処置(ドレッシング交換)が必要です。
近年では「湿潤療法(モイストヒーリング)」という考え方が普及しています。これは、やけどの創面をあえて乾燥させず、適度な湿潤環境を保つことで自然治癒力を高める治療法です。創傷被覆材(ハイドロコロイド材やシリコンゲル材など)を使用して創面を覆い、定期的に交換します。乾燥させる従来の方法に比べて痛みが少なく、治癒が早い傾向があります。
✅ デブリードマン(壊死組織の除去)
深いやけどや低温やけどで皮膚が壊死している部分がある場合、その組織を取り除く処置(デブリードマン)が必要になることがあります。壊死組織が残ったままでは感染のリスクが高まり、周囲の組織の回復を妨げるためです。
デブリードマンは外科的に行う方法(メスや鋏で切除する方法)の他に、外用薬を使って化学的に壊死組織を溶かす方法(化学的デブリードマン)もあります。どの方法を選択するかは、患部の状態や患者の全身状態を見て医師が判断します。
📝 植皮術(皮膚移植)
Ⅲ度の深いやけどや、広範囲に及ぶ低温やけどでは、自然治癒が期待できないため外科的な手術(植皮術)が必要になります。植皮術とは、患者自身の体の別の部位(太ももや背中など)から健康な皮膚を採取し、やけどの部位に移植する手術です。
植皮術には大きく分けて以下の種類があります。
分層植皮(スプリット・サーキス植皮)は、皮膚の表層(表皮と真皮の一部)を採取して移植する方法です。採取部位が比較的早く回復するというメリットがあります。
全層植皮(フル・サーキス植皮)は、表皮と真皮の全層を採取して移植する方法で、より自然な見た目と機能回復が期待できます。ただし採取部位の負担が大きいため、小さな面積に限られます。
植皮術は全身麻酔または局所麻酔下で行われ、手術後は入院して経過観察が必要になります。移植した皮膚が定着するまでには1〜2週間程度かかることが多く、その間は安静を保つことが重要です。
🔸 人工皮膚・培養皮膚の使用
広範囲のやけどで植皮のための自家皮膚が不足する場合や、特殊な状況では、人工皮膚や培養皮膚が使用されることがあります。培養皮膚とは、患者自身の皮膚細胞を採取して培養・増殖させた後に移植するもので、免疫拒絶反応が少ないという利点があります。ただし、培養には2〜3週間の時間がかかるため、その間の創傷管理が必要です。

🎯 重症度別の治療の流れ
低温やけどは、重症度によって治療の進め方が大きく異なります。それぞれの段階でどのような治療が行われるかを整理します。
⚡ Ⅰ度(軽度)の治療の流れ
外来での治療が基本となります。医師による診察・評価の後、保湿剤やステロイド外用薬などを処方されることがあります。多くの場合、数日〜1週間程度で症状が改善します。ただし、低温やけどはⅠ度に見えても進行する可能性があるため、経過観察が重要です。
🌟 Ⅱ度(中等度)の治療の流れ
外来での定期的な処置が中心となります。水ぶくれへの対応(内容液の除去と保護)、外用薬や創傷被覆材による管理、定期的な診察と処置が行われます。
浅達性Ⅱ度であれば2〜3週間程度で治癒することが多いですが、深達性Ⅱ度では1か月以上かかることがあります。また、深達性Ⅱ度の場合は、治癒の経過によって植皮術が必要になることもあります。
💬 Ⅲ度(重度)の治療の流れ
入院が必要になることが多く、外科的治療(植皮術)が基本となります。まず壊死組織のデブリードマンを行い、創面が整ったところで植皮術を施行します。手術後は感染管理、リハビリテーション、瘢痕ケアなどが継続的に行われます。
回復には数か月単位の期間がかかることもあり、特に関節部位の場合は拘縮(皮膚が引きつれて動きが制限される状態)を防ぐためのリハビリが重要になります。
Q. 低温やけどで植皮術が必要になるのはどんな場合?
低温やけどでⅢ度(皮膚全層の壊死)に達した場合や、深達性Ⅱ度で自然治癒が見込めない場合に植皮術が必要となる。患者自身の太ももや背中から健康な皮膚を採取して患部へ移植する手術で、術後は移植皮膚の定着まで1〜2週間程度の入院・安静が求められる。
💡 低温やけどに使われる薬と外用剤
医療機関で処方される主な薬や外用剤について解説します。
✅ 抗菌外用薬
やけどの創傷は感染しやすいため、抗菌外用薬が使用されることがあります。代表的なものとして、スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)があります。銀イオンによる広域抗菌作用を持ち、緑膿菌などを含む多くの細菌に有効です。ただし、白色の色素沈着が起こることがあるため、顔などへの使用には注意が必要な場合があります。
その他の抗菌外用薬として、フラジオマイシン含有製剤やポビドンヨード含有製剤なども状況に応じて使用されます。近年は、過剰な消毒が創傷治癒を妨げるという観点から、抗菌外用薬の使用は感染兆候がある場合に限定する傾向があります。
📝 創傷被覆材
湿潤療法に使用される創傷被覆材には様々な種類があります。
ハイドロコロイド材は、創面の滲出液を吸収してゲル状になり、湿潤環境を保持します。貼ったまま数日間置いておけるため、頻繁な処置が不要で患者の負担が少なくなります。
シリコンゲルシート系の被覆材は、創面への付着性が低く、交換時の痛みが少ないという利点があります。特に水ぶくれが破れた後の創面の保護に適しています。
ポリウレタンフォームは吸収力が高く、滲出液が多い創傷に適しています。創面の保護と湿潤環境の維持を同時に行うことができます。
🔸 痛み止め・内服薬
やけどの処置や治療中の痛みに対して、鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬など)が使用されることがあります。また、感染が疑われる場合や予防的に抗生物質の内服薬が処方されることもあります。
⚡ 瘢痕ケア用製剤
やけどが治癒した後の瘢痕(傷跡)のケアとして、シリコンジェルシートやステロイド外用薬、トラニラストなどの内服薬が使用されることがあります。これらは肥厚性瘢痕(盛り上がった傷跡)やケロイドの形成を予防・改善する目的で使われます。
📌 病院に行くべきタイミング
低温やけどの場合、「軽そうだから様子を見ていればいい」という判断は大変危険です。以下のような状態であれば、速やかに医療機関を受診してください。
🌟 すぐに受診すべきサイン
- 水ぶくれが生じている
- 患部が白っぽい、黄色い、または黒ずんでいる
- 皮膚が硬くなっている、または感覚がない
- 患部が2〜3cm以上の範囲に及ぶ
- 顔・手・足・陰部など特殊な部位にやけどを負った
- 冷やしても改善しない強い痛みがある
- 赤みや腫れが時間とともに悪化している
- 発熱や全身症状を伴っている
💬 数日後に受診すべきサイン
当初は軽度に見えた場合でも、以下のような変化があれば受診が必要です。
- 最初は赤みだけだったが、水ぶくれが出てきた
- 皮膚の色が変化している(白くなってきた、暗くなってきた)
- 痛みが増してきた、または逆に感覚がなくなってきた
- 自宅で処置しているが1週間以上経っても改善しない
- 患部から膿や悪臭がする(感染の可能性)
受診する診療科は、一般的には皮膚科や形成外科が適しています。やけどの程度が重度であれば、形成外科または救急科への受診が適切です。
特に糖尿病の方や高齢者の方は、皮膚の回復力が低下していることが多く、軽度に見えるやけどでも重症化しやすいため、早めの受診を心がけてください。
Q. 低温やけどのリスクが特に高い人の特徴は?
糖尿病や末梢神経障害がある方、高齢者、乳幼児、脊髄損傷による感覚麻痺がある方、飲酒後や睡眠薬服用中の方、血行障害がある方は低温やけどのリスクが高い。これらに該当する方は皮膚感覚が鈍くなっていることが多いため、暖房器具使用後は定期的に皮膚の状態を目視で確認する習慣が重要である。
✨ 治療後のケアと回復期間
やけどが治癒した後も、適切なケアを続けることが重要です。特に低温やけどは深部まで損傷が及ぶことが多いため、治癒後のケアが外見や機能の回復に大きく影響します。
✅ 保湿ケア

やけどが治った後の皮膚は非常に乾燥しやすく、バリア機能が低下しています。保湿剤を定期的に塗布して皮膚の水分を保つことが、瘢痕形成の予防や皮膚機能の回復に役立ちます。無香料・低刺激のものを選ぶとよいでしょう。
📝 紫外線対策
やけどの治癒後の皮膚は紫外線に対して非常に敏感で、色素沈着(シミ)が残りやすい状態です。少なくとも治癒後1年間は、患部に直射日光が当たらないよう注意し、外出時は日焼け止めを使用するか、衣類や包帯で覆うようにしてください。
🔸 瘢痕ケア
深いやけどの後は、肥厚性瘢痕やケロイドが形成されることがあります。これらの予防・治療のために、医師の指示のもとシリコンジェルシートの貼付やステロイド外用薬の塗布を継続することが重要です。圧迫療法(弾性包帯や圧迫衣を使用する方法)が行われることもあります。
瘢痕が気になる場合や審美的な改善を希望する場合は、形成外科や美容皮膚科でレーザー治療や手術的修正などの相談ができます。
⚡ リハビリテーション
関節部位の深いやけどでは、治癒後に拘縮(皮膚や軟部組織が引きつれて関節の動きが制限される状態)が起こることがあります。この予防と改善のために、理学療法士によるストレッチや運動訓練などのリハビリが行われます。関節の動きを維持・回復させることが生活の質の向上につながります。
🌟 回復期間の目安
治癒にかかる期間はやけどの深さ・範囲・部位・年齢・基礎疾患など様々な要因によって異なります。あくまで目安として、以下のように考えられます。
Ⅰ度:数日〜1週間程度で回復することが多い
浅達性Ⅱ度:2〜3週間程度
深達性Ⅱ度:1か月以上、場合によっては数か月
Ⅲ度:植皮術などの手術が必要となり、数か月以上の治療期間が必要になることも
🔍 低温やけどを予防するために
低温やけどは正しい知識と習慣で予防することができます。特に寒い季節は暖房器具を多用するため、意識的に注意を払うことが重要です。
💬 暖房器具の使い方を見直す
カイロや湯たんぽは、直接皮膚に当たらないよう、タオルや衣類などで包んで使用してください。使い捨てカイロは貼るタイプを長時間同じ場所に使用しないよう気をつけましょう。電気毛布やホットカーペットは温度設定を低めにして、就寝中はタイマーで切れるように設定することをお勧めします。
✅ 同じ部位を長時間温め続けない
一度の使用時間を制限し、定期的に位置を変えることが大切です。特に就寝中は意識がないため、就寝前に暖房器具の電源を切る習慣をつけることが安全です。
📝 定期的に皮膚の状態を確認する
暖房器具を使用している間は、1〜2時間ごとに皮膚の状態を確認してください。赤みや熱感が生じていたら、すぐに使用を中止して患部を冷やしましょう。
🔸 ハイリスクグループへの対応
以下に当てはまる方は特に注意が必要です。
- 糖尿病や末梢神経障害がある方(感覚が鈍くなっているため)
- 脊髄損傷などで感覚麻痺がある方
- 高齢者(皮膚が薄くなっており、感覚も鈍りがち)
- 乳幼児(体温調節機能が未発達で皮膚も薄い)
- 飲酒後や睡眠薬服用中の方(感覚が鈍くなる)
- 血行障害がある方
これらに該当する方やその介護者は、暖房器具の使い方に十分注意し、定期的な皮膚の確認を習慣化してください。
⚡ ノートパソコンや電子機器の使い方にも注意
最近では、ノートパソコンやタブレットを膝の上や足の上に置いて長時間使用することによる低温やけどの報告も増えています。電子機器は発熱することがあるため、素肌に直接触れないよう注意し、長時間使用する際は適宜位置を変えるようにしましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、低温やけどを「たいしたことない」と数日間放置した後に受診される患者様が少なくなく、初診時にはすでに深部まで損傷が進行しているケースも見受けられます。低温やけどは痛みが少ないことが最大の落とし穴で、外見上は軽症に見えても時間の経過とともに重症化することがあるため、水ぶくれや皮膚の色の変化に気づいた際はためらわず早めにご受診ください。特に糖尿病をお持ちの方や高齢の方は感覚が鈍くなっていることが多く、より慎重な対応が必要ですので、日頃から暖房器具を使用した後は皮膚の状態を丁寧に確認する習慣をつけていただければと思います。」
💪 よくある質問
通常のやけどは70〜80℃以上の高温に一瞬触れることで起こり、強い痛みを伴います。一方、低温やけどは44〜50℃程度の比較的低い温度に長時間さらされることで発生します。痛みが少なく気づきにくいため発見が遅れやすく、深部まで組織が損傷するケースが多い点が大きな特徴です。
まず、15〜20℃程度の流水で患部を10〜20分程度冷やすことが最も重要です。その際、氷や保冷剤を直接当てること、水ぶくれを無理に破ること、患部を強くこすることは避けてください。醤油やバターを塗る民間療法も症状を悪化させる可能性があるため、絶対に行わないようにしましょう。
水ぶくれが生じている、皮膚が白・黄・黒に変色している、感覚がないといった場合はすぐに受診してください。当初は軽度に見えても、数日後に水ぶくれが出てきたり皮膚の色が変化したりした場合も受診が必要です。低温やけどは時間とともに重症化することがあるため、早めの受診を心がけましょう。
やけどの深さによって大きく異なります。Ⅰ度(軽度)は数日〜1週間程度、浅達性Ⅱ度は2〜3週間程度が目安です。深達性Ⅱ度では1か月以上、Ⅲ度(重度)では植皮術などの手術が必要となり、数か月以上かかることもあります。低温やけどは外見より深部まで損傷していることが多く、見た目で軽症と判断しないことが重要です。
糖尿病や末梢神経障害がある方、高齢者、乳幼児、脊髄損傷などで感覚麻痺がある方、飲酒後や睡眠薬服用中の方、血行障害がある方は特にリスクが高いとされています。これらに該当する方は皮膚の感覚が鈍くなっていることが多く、暖房器具使用後は定期的に皮膚の状態を確認する習慣をつけることが大切です。
🎯 まとめ
低温やけどは、44〜50℃程度の比較的低い温度に長時間さらされることで起こる皮膚損傷です。痛みが少なく気づきにくいため、発見が遅れやすく、見た目以上に深部まで組織が傷ついているケースが多いことが特徴です。
治療法はやけどの深さによって異なり、軽度(Ⅰ度)であれば冷却と外用薬による保存的治療が中心となります。中等度(Ⅱ度)では湿潤療法や創傷被覆材を使った処置が行われ、重症(Ⅲ度)では植皮術などの外科的治療が必要になることがあります。
応急処置として最も重要なのは流水で冷やすことですが、民間療法や自己判断による処置は避け、症状が改善しない場合や重症が疑われる場合は速やかに皮膚科・形成外科を受診してください。特に水ぶくれが生じていたり、皮膚の色が変わっていたり、感覚が失われていたりする場合は緊急性が高いと判断してください。
低温やけどは予防が最善の対策です。暖房器具の正しい使い方を意識し、皮膚の状態を定期的に確認する習慣をつけることで、リスクを大幅に減らすことができます。特に糖尿病や末梢神経障害がある方、高齢者、乳幼児は特別な注意が必要です。万一低温やけどが疑われる場合は、自己判断で放置せず、早めに医療機関に相談することを強くお勧めします。適切な治療を早期に開始することが、回復を早め、後遺症を最小限に抑えることにつながります。
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📚 参考文献
- 日本形成外科学会 – やけどの重症度分類(Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度)、植皮術・デブリードマンなどの外科的治療法、瘢痕ケアに関する専門的情報
- 日本皮膚科学会 – 低温やけどを含む皮膚損傷の診断・外用療法・湿潤療法・創傷被覆材の選択に関する皮膚科的治療情報
- 厚生労働省 – やけどの応急処置・予防法・受診の目安など、一般市民向けの公式健康情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務