目次
- はじめに:片脇だけの汗・ニオイの悩みとは
- ワキガ・多汗症の基礎知識
- なぜ片脇だけワキガや多汗症になるのか
- ミラドライとは?治療の仕組みと特徴
- 片脇だけのミラドライ治療という選択肢
- ミラドライ治療の流れ
- 術後の経過と日常生活への影響
- ミラドライの効果と持続性
- ミラドライと他の治療法との比較
- よくあるご質問
- 大宮エリアでのミラドライ治療について
- まとめ
- 参考文献
1. はじめに:片脇だけの汗・ニオイの悩みとは
ワキガや多汗症というと、両脇に同じように症状が出るイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし実際には、片側だけに強い症状を感じる方も少なくありません。「右脇だけ汗がひどい」「左のワキだけニオイが気になる」といったお悩みを抱える方は、意外にも多くいらっしゃいます。
このような片脇だけの症状に対して、ミラドライ治療は効果的なのでしょうか。また、片脇だけ治療することは可能なのでしょうか。本記事では、片脇だけのワキガ・多汗症の原因から、ミラドライによる治療の可能性、そして大宮エリアで治療を検討されている方へ向けた情報をお伝えします。
ワキの汗やニオイの悩みは、日常生活や対人関係に大きな影響を与えることがあります。着たい服が着られない、人との距離が気になる、仕事に集中できないなど、生活の質を大きく損なう要因となりえます。適切な治療によってこれらの悩みを解消し、より快適な毎日を過ごせるようになることが期待できます。
2. ワキガ・多汗症の基礎知識
ワキガ(腋臭症)とは
ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれる状態で、ワキの下から独特の強いニオイが発生する症状を指します。日本人の約10パーセントがワキガ体質であるとされています。
ワキガのニオイの原因となるのは、アポクリン汗腺から分泌される汗です。アポクリン汗腺から出る汗自体は無臭ですが、この汗に含まれるタンパク質や脂質などの成分が皮膚の常在菌によって分解されることで、独特のニオイが発生します。
アポクリン汗腺は、ワキの下、耳の中、乳輪、外陰部などの限られた部位にのみ存在しています。ワキガ体質の方は、アポクリン汗腺の数が多かったり、汗腺が大きく発達していたりする傾向があります。この体質は遺伝的な要因が強く、両親のどちらかがワキガ体質の場合、子どもにも遺伝する可能性が高くなります。
耳垢が湿っているタイプの方や、衣服のワキ部分が黄ばみやすい方は、ワキガ体質である可能性が高いとされています。
多汗症とは
多汗症とは、体温調節に必要な量を超えて過剰に汗をかく状態を指します。特にワキの下に大量の汗が出る症状を「原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)」と呼びます。
日本皮膚科学会のガイドラインによると、原発性腋窩多汗症の診断基準は以下のとおりです。局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6カ月以上続き、かつ次の6項目のうち2項目以上に該当する場合に多汗症と診断されます。
- 最初に症状が出るのが25歳以下であること
- 左右対称に発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1週間に1回以上、多汗のエピソードがあること
- 家族歴がみられること
- 日常生活に支障をきたすこと
2020年に日本で実施された調査では、原発性局所多汗症の有病率は約10パーセントで、腋窩多汗症は約5.9パーセントという結果が報告されています。これは決して珍しい症状ではなく、20人に1人以上が悩んでいる計算になります。
多汗症の原因となるのは主にエクリン汗腺から分泌される汗です。エクリン汗腺は全身に分布しており、体温調節を担う汗を分泌します。エクリン汗腺からの汗は成分の90パーセント以上が水分で、基本的には無臭です。
2種類の汗腺について
人間のワキの下には、アポクリン汗腺とエクリン汗腺という2種類の汗腺が存在しています。
エクリン汗腺は全身に約200万から500万個存在し、主に体温調節のために汗を分泌します。エクリン汗腺から出る汗はサラサラしており、ほとんどが水分で構成されているため、基本的に無臭です。ただし、衣服に付着して細菌が繁殖すると、いわゆる汗臭いニオイが発生することがあります。
一方、アポクリン汗腺はワキの下、乳輪周辺、外陰部、外耳道など限られた部位にのみ存在します。アポクリン汗腺から分泌される汗には、タンパク質、脂質、アンモニア、鉄分などが含まれており、やや粘り気があります。この汗が皮膚の常在菌によって分解されることで、ワキガ特有のニオイが発生します。
ワキガ(腋臭症)と多汗症は、それぞれ異なる汗腺が主な原因となりますが、両方の症状を併せ持つ方も少なくありません。ミラドライ治療は、これら両方の汗腺に対してアプローチすることができる点が大きな特徴です。
3. なぜ片脇だけワキガや多汗症になるのか
利き腕による影響
片脇だけにワキガや多汗症の症状が強く現れる最も一般的な原因は、利き腕の影響です。人は利き腕側をより頻繁に動かすため、利き腕側のワキの血行が良くなりやすく、それに伴ってアポクリン汗腺やエクリン汗腺の活動も活発になる傾向があります。
右利きの方であれば右ワキ、左利きの方であれば左ワキの方が症状が強く出やすいというわけです。ただし、これは絶対的なものではなく、利き腕とは反対側のワキに症状が強く出るケースもあります。
汗腺の発達の左右差
アポクリン汗腺の数や大きさには個人差があるだけでなく、同じ人の中でも左右で差がある場合があります。生まれつき片側のアポクリン汗腺がより発達している場合、その側のワキガ症状が強く現れることになります。
また、アポクリン汗腺は思春期に急速に発達しますが、その発達の程度にも左右差が生じることがあります。ホルモンの影響や血流の違いなど、さまざまな要因が左右差を生み出す可能性があります。
精神性発汗の影響
緊張やストレスなどの精神的な要因によって汗をかく「精神性発汗」も、片脇だけの症状に関係している可能性があります。精神性発汗はアポクリン汗腺とエクリン汗腺の両方から分泌されますが、その反応の強さが左右で異なる場合があります。
特定の状況や場面で片側だけ汗をかきやすいという場合は、精神的な要因が影響している可能性も考えられます。
生活習慣や姿勢の影響
日常的な姿勢や生活習慣も、片脇だけの症状に影響を与えることがあります。例えば、いつも同じ側で荷物を持つ、片側に体重をかける姿勢が多いなどの習慣があると、片側の血行が良くなり、汗腺の活動にも影響を与える可能性があります。
また、衣服の素材や体にフィットする程度によっても、片側だけ汗が蒸発しにくい環境が生まれることがあります。
片脇だけの症状は珍しくない
このように、片脇だけにワキガや多汗症の症状が現れることは、医学的にも十分に説明できる現象であり、決して珍しいことではありません。「両脇に同じように症状がないから治療の対象にならないのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、片脇だけの症状であっても、適切な治療を受けることで改善が期待できます。
4. ミラドライとは?治療の仕組みと特徴
ミラドライの概要
ミラドライは、マイクロ波(マイクロウェーブ)を用いてワキの汗腺を破壊する医療機器です。2006年に米国のMiramar Labs社によって開発され、2010年に日本に導入されました。
ミラドライは2018年6月に厚生労働省より製造販売承認を取得しており、日本国内でマイクロ波を用いたワキ汗治療器として薬事承認を受けた唯一の医療機器です。また、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)からも、腋窩多汗症、腋臭症、減毛の適応で承認を取得しています。
世界では累計で20万症例以上の治療実績があり、その効果と安全性が広く認められています。
マイクロ波による治療の仕組み
ミラドライが照射するマイクロ波は、電子レンジなどにも使用されているものと同じ原理のエネルギーです。マイクロ波には水分に選択的に吸収されて熱を発生するという特性があります。
ワキの汗腺は水分を多く含んでいるため、マイクロ波のエネルギーが効率的に吸収されます。これにより汗腺が集中して存在する皮下2から3ミリメートルの層に熱エネルギーが集中し、汗腺の機能を停止させることができます。
治療時には、皮膚表面をハンドピースに内蔵された冷却装置で保護しながらマイクロ波を照射します。これにより、皮膚表面へのダメージを防ぎつつ、汗腺のある深さに効果的にエネルギーを届けることができます。
ミラドライの特徴
ミラドライ治療には、以下のような特徴があります。
まず、切らない治療であることが挙げられます。従来のワキガ手術では皮膚を切開して汗腺を除去する必要がありましたが、ミラドライは皮膚の表面からマイクロ波を照射するため、傷跡が残りません。
次に、効果が長期間持続することです。ミラドライによって破壊された汗腺は再生しないため、効果が半永久的に続くとされています。ボトックス注射のように定期的に繰り返し治療を受ける必要がありません。
また、1回の治療で完了できることも大きなメリットです。基本的には1回の施術で十分な効果が得られるため、何度も通院する必要がありません。施術時間は両ワキで約60分、片ワキであれば約30分程度です。
さらに、ダウンタイムが比較的短いことも特徴です。治療当日からシャワーを浴びることができ、多くの方は翌日から日常生活に戻ることができます。
アポクリン汗腺とエクリン汗腺の両方に効果があることも重要なポイントです。ワキガの原因となるアポクリン汗腺と、多汗症の原因となるエクリン汗腺の両方を破壊することができるため、ニオイと汗の両方の悩みを同時に解決できます。
治療効果について
ミラドライによる治療では、1回の施術で約70から80パーセントの汗腺を破壊することができるとされています。これにより、汗の分泌量やニオイが大幅に減少することが期待できます。
一度破壊された汗腺は再生することがないため、効果は長期間持続します。ただし、完全に100パーセントの汗腺を破壊することは難しいため、治療後も若干の汗やニオイが残る可能性はあります。
施術直後から効果を実感される方が多く、翌日からワキ汗の量やニオイが減ったことを感じることができます。最終的な治療効果が安定するのは施術から約半年後とされています。
5. 片脇だけのミラドライ治療という選択肢
片脇だけの治療は可能か
結論から申し上げると、ミラドライは片脇だけの治療も可能です。両ワキに同じ程度の症状がある方ばかりではなく、片側だけに強い症状がある方や、以前に片側だけ別の治療を受けたことがある方など、さまざまなケースに対応できます。
ミラドライの治療は片ワキずつ行われるため、技術的には片側だけを治療することに何ら問題はありません。片ワキの照射時間は約30分程度で、両ワキを治療する場合の約60分の半分で済みます。
片脇だけ治療するメリット
片脇だけの治療を選択するメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
まず、本当に治療が必要な部分だけを治療できるという点です。両ワキに同程度の症状がない場合、症状が強い側だけを治療することで、必要十分な効果を得ることができます。
次に、治療費用の面でのメリットがあります。片ワキだけの治療であれば、両ワキ治療の場合と比較して費用を抑えることができる場合があります。ただし、料金設定は医療機関によって異なりますので、事前に確認することをお勧めします。
また、治療時間とダウンタイムの短縮というメリットもあります。片ワキだけであれば施術時間も短くなり、術後の腫れや違和感も片側だけで済むため、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
両ワキ治療との比較
一方で、両ワキを同時に治療することにもメリットがあります。
多くの場合、ワキガや多汗症の体質は両側に存在しています。現時点で片側だけに症状が強く現れていても、将来的に反対側の症状が気になってくる可能性があります。その場合、改めて治療を受ける必要が生じます。
また、両ワキを同時に治療した方が、1回の通院で済むため、時間的な効率が良いという考え方もあります。
どちらを選択するかは、現在の症状の程度、将来的な見通し、予算、スケジュールなど、さまざまな要素を考慮して決定することになります。カウンセリングの際に医師とよく相談し、ご自身にとって最適な治療計画を立てることが大切です。
片側治療後に反対側を治療することも可能
片脇だけ先に治療を受け、後から反対側の治療を追加することも可能です。例えば、まず症状の強い側を治療して効果を確認し、その後必要に応じて反対側を治療するという段階的なアプローチも選択肢の一つです。
ミラドライの治療は基本的に1回で効果が得られますが、2回目以降の追加治療を行うことも可能です。初回の治療から3カ月以上空ければ、同じ側への追加治療も安全に行うことができます。
6. ミラドライ治療の流れ
カウンセリング・診察
ミラドライ治療を受ける際は、まずカウンセリングと診察を受けます。医師が症状の程度を確認し、治療の適応があるかどうかを判断します。
診察では、問診によって症状の経過や困っていること、これまでの治療歴などをお聞きします。また、ガーゼをワキに挟んでニオイの程度を確認するガーゼテストなどが行われることもあります。
カウンセリングでは、治療の内容、期待できる効果、リスクや副作用、費用などについて詳しい説明があります。疑問点や不安なことがあれば、この段階で遠慮なく質問してください。
治療を受けることを決めたら、施術日の予約を行います。
施術前の準備
施術日の前に、自宅でワキの毛を剃っておく必要があります。剃毛は施術の1から2日前に行うのが理想的です。
施術当日は、ゆったりとした服装でお越しいただくことをお勧めします。施術後にワキを締め付けない服装の方が快適に過ごせます。
施術当日の流れ
施術当日は、以下のような流れで治療が進みます。
最初にマーキングを行います。発汗する場所やワキ毛のある場所を確認し、治療範囲を決定します。テンプレートを使用して、マイクロ波を照射するポイントをワキの皮膚にマーキングしていきます。
次に局所麻酔を行います。マーキングに従って、ワキに局所麻酔薬を注射します。麻酔が効くまで5から10分程度待ちます。麻酔が効けば、施術中に痛みを感じることはほとんどありません。
麻酔が効いたら、マイクロ波の照射を開始します。ミラドライのハンドピースをワキに当て、マーキングに沿って照射していきます。照射中は皮膚表面を冷却しながら行うため、熱さを感じることはありません。片ワキの照射時間は約30分、両ワキで約60分程度です。
照射が終わったら、施術部位を冷却します。アイスパックなどでワキを冷やし、腫れや痛みを抑えます。冷却時間は15分程度です。
冷却後、術後の注意事項についての説明があり、帰宅となります。
施術中の痛みについて
局所麻酔を行うため、施術中に痛みを感じることはほとんどありません。ただし、麻酔の注射時に若干の痛みを感じる方もいらっしゃいます。痛みに敏感な方は、事前に医師に相談すると良いでしょう。
施術中は、マイクロ波の照射に伴う軽い圧迫感や振動を感じることがありますが、痛みではありません。
7. 術後の経過と日常生活への影響
術後直後の症状
ミラドライの施術後は、ワキに腫れ、赤み、軽い痛みなどが生じることがあります。これらは正常な反応であり、数日から数週間で自然に改善していきます。
術後の腫れや痛みは、治療当日から翌日がピークとなることが多いです。アイスパックで患部を冷やすことで、症状を和らげることができます。クリニックから痛み止めが処方されることもありますので、必要に応じて服用してください。
内出血が生じることもありますが、これも1から2週間程度で自然に消失します。
ダウンタイムの目安
ミラドライのダウンタイムは比較的短いとされています。多くの方が、施術の翌日から通常の日常生活や仕事に復帰しています。
ただし、術後数日間は、激しい運動、サウナ、長時間の入浴、飲酒などは控えることが推奨されます。これらは血行を促進し、腫れや痛みを悪化させる可能性があるためです。
シャワーは施術当日から可能ですが、ワキを強くこすらないように注意してください。湯船に浸かっての入浴は、施術後3日から1週間程度は控えた方が良いでしょう。
術後1週間から1カ月
術後1週間程度で、腫れや痛みはかなり落ち着いてきます。この頃には、ほとんどの日常活動を問題なく行えるようになります。
術後1カ月程度経つと、腫れはほぼ完全に引き、痛みもなくなっています。一時的に感じることがあったワキの皮膚の硬さやしこり感も、徐々に改善していきます。
術後の一時的な症状
術後の経過中に、以下のような一時的な症状が現れることがあります。
ワキの皮膚にしびれや感覚の変化を感じることがあります。これは麻酔や施術の影響によるもので、数週間から数カ月で自然に回復します。
施術部位の皮膚に一時的な硬化やひきつれ感が生じることもあります。これも数カ月で改善していきます。
代償性発汗といって、治療したワキ以外の部位からの発汗が増えるように感じる方もいらっしゃいます。ただし、ミラドライによる代償性発汗は、外科的な交感神経遮断術と比較すると軽度であるとされています。
これらの症状は一時的なものであり、重篤な後遺症につながることはほとんどありません。ただし、気になる症状が続く場合は、遠慮なくクリニックに相談してください。
効果を実感するまでの期間
ミラドライの効果は、施術直後から感じられることが多いです。翌日からワキ汗の量が減ったり、ニオイが軽減したりしていることを実感される方がほとんどです。
施術後数カ月間は、破壊しきれなかった汗腺が一時的に活動を再開することで、汗やニオイが少し戻ったように感じる時期があるかもしれません。しかし、一度破壊された汗腺は再生しないため、最終的には施術前の70から80パーセント減という効果が安定します。
最終的な治療効果が安定するのは、施術から約6カ月後とされています。
8. ミラドライの効果と持続性
治療効果の程度
ミラドライによる治療では、約70から80パーセントの汗腺を破壊することができます。これにより、ワキ汗の量とワキガのニオイの両方が大幅に軽減されます。
発汗量については、治療後に発汗量が50パーセント以上減少する方が多いとされています。重症の方でも、日常生活に支障がないレベルまで改善することが期待できます。
ニオイについても、多くの方が治療後にワキガ臭がほとんど気にならなくなったと感じています。ただし、100パーセントの汗腺を破壊することは難しいため、完全に無臭になるわけではありません。
副次的な効果として、ワキ毛が減少することもあります。汗腺と毛根は近い位置にあるため、マイクロ波の照射によって毛根にもダメージが及び、ある程度の脱毛効果が得られることがあります。
効果の持続性
ミラドライの最大のメリットの一つは、効果が長期間持続することです。マイクロ波によって破壊された汗腺は再生しないため、一度治療を受ければ効果が半永久的に続きます。
ボトックス注射の場合は4から6カ月程度で効果が切れるため、継続的に治療を受ける必要がありますが、ミラドライではその必要がありません。長期的な視点で見ると、時間的にも経済的にもメリットがあると言えます。
1回の治療で効果が不十分な場合
ほとんどの方は1回の治療で十分な効果を得られますが、症状が非常に強い方や、より高い効果を求める方の中には、追加治療を希望される場合もあります。
追加治療は、初回の治療から3カ月以上空けて行うことができます。2回目の治療により、さらに残っている汗腺を破壊することで、より高い効果を得ることが期待できます。
9. ミラドライと他の治療法との比較
ワキガ・多汗症の治療法の種類
ワキガや多汗症の治療には、ミラドライ以外にもさまざまな方法があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合った治療法を選択することが大切です。
主な治療法としては、塩化アルミニウム外用療法、外用抗コリン薬、ボトックス注射、外科的手術(剪除法)、そしてミラドライなどの医療機器による治療があります。
塩化アルミニウム外用療法との比較
塩化アルミニウム外用療法は、塩化アルミニウムを含む外用液をワキに塗布する方法です。比較的手軽に始められる治療法で、毎日継続して使用することで発汗を抑える効果があります。
メリットとしては、コストが低い、自宅で行える、副作用が比較的軽微である点が挙げられます。一方、デメリットとしては、効果を維持するために継続的な使用が必要である、刺激性皮膚炎を起こすことがある、重症例では効果が不十分な場合がある、といった点があります。
ミラドライと比較すると、塩化アルミニウム外用療法は軽症から中等症の方に適しており、重症の方や根本的な解決を求める方にはミラドライの方が適していると言えます。
外用抗コリン薬との比較
2020年以降、原発性腋窩多汗症に対する外用抗コリン薬が日本で承認され、使用できるようになりました。エクロックゲルやラピフォートワイプなどの製品があります。
外用抗コリン薬は、汗腺の分泌を促進するアセチルコリンの働きをブロックすることで、発汗を抑制します。1日1回の塗布で効果があり、保険適用で使用できることがメリットです。
ただし、効果を維持するためには継続的な使用が必要であり、口渇などの副作用が生じることがあります。また、ワキガ(ニオイ)に対する効果は限定的です。
ミラドライは1回の治療で長期的な効果が得られる点で、外用薬とは異なるアプローチと言えます。
ボトックス注射との比較
ボトックス注射は、ボツリヌス毒素製剤をワキに注射することで、汗腺を支配する神経の働きを一時的にブロックし、発汗を抑制する治療法です。重度の原発性腋窩多汗症に対しては保険適用があります。
メリットとしては、施術時間が短い、ダウンタイムがほとんどない、保険適用で受けられる場合がある、といった点があります。
デメリットとしては、効果の持続期間が4から6カ月程度で、効果を維持するためには繰り返し注射が必要であることが挙げられます。また、多汗症には効果がありますが、ワキガ(ニオイ)に対する効果は限定的です。
ミラドライは効果が長期間持続し、かつワキガとと多汗症の両方に効果がある点で、ボトックス注射よりも根本的な解決につながると言えます。
外科的手術(剪除法)との比較
剪除法は、ワキの皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接目で見ながら取り除く手術です。ワキガに対しては最も確実性の高い治療法とされており、保険適用で受けることができます。
メリットとしては、アポクリン汗腺を直接除去するため効果が確実である、保険適用で受けられる、効果が永続的である、といった点があります。
デメリットとしては、皮膚を切開するため傷跡が残る、術後の固定や安静が必要でダウンタイムが長い、合併症のリスクがある、多汗症(エクリン汗腺)への効果は限定的である、といった点があります。
ミラドライは切開を伴わないため傷跡が残らず、ダウンタイムも短い点で手術より身体的負担が少ないと言えます。また、エクリン汗腺にも効果があるため、多汗症も同時に治療できます。

10. よくあるご質問
施術中は局所麻酔を行うため、痛みを感じることはほとんどありません。麻酔注射時に多少のチクッとした痛みを感じることはありますが、耐えられないほどの痛みではありません。
施術後は麻酔が切れてくると、ヒリヒリした痛みや圧迫感を感じることがあります。これらの症状は数日で落ち着いていきます。痛み止めが処方されますので、必要に応じて服用してください。
多くの方が、施術直後から翌日には効果を実感されています。ワキ汗の量が減ったり、ニオイが軽減したりしていることを感じることができます。
最終的な効果が安定するのは施術から約6カ月後ですが、日常生活での改善は早い段階から感じられます。
Q3. 治療効果は永久に続きますか?
ミラドライによって破壊された汗腺は再生しないため、効果は長期間持続します。「半永久的」という表現がよく使われますが、これは一度破壊された汗腺が元に戻ることはないという意味です。
ただし、治療で破壊しきれなかった汗腺(20から30パーセント程度)は残るため、完全に汗やニオイがゼロになるわけではありません。
Q4. 副作用やリスクはありますか?
ミラドライの副作用として報告されているものには、腫れ、痛み、赤み、内出血、しびれ、皮膚の硬化などがあります。これらはいずれも一時的なもので、数日から数週間で改善します。
重篤な副作用や永続的な後遺症は、現在まで報告されていません。ミラドライは厚生労働省とFDAの承認を受けた安全性の高い治療法です。
Q5. 何歳から治療を受けられますか?
ミラドライには明確な年齢制限はありませんが、一般的には15歳以上の方を対象としていることが多いです。
成長期にある方は、治療後にも新たな汗腺が発達する可能性があるため、ある程度体の成長が完了してから治療を受けることが推奨されています。未成年の方が治療を受ける場合は、保護者の同意が必要です。
Q6. 施術後、日常生活に制限はありますか?
施術当日からシャワーを浴びることは可能です。ただし、施術後数日間は、激しい運動、長時間の入浴、サウナ、飲酒などは控えることが推奨されます。
多くの方は翌日から仕事や学校に復帰しています。デスクワークなど、ワキを激しく動かさない作業であれば問題ありません。
Q7. 片脇だけの治療でも効果はありますか?
はい、片脇だけの治療でも効果があります。ミラドライは片ワキずつ治療を行うため、技術的に片側だけを治療することは全く問題ありません。
症状が片側に強い方や、費用を抑えたい方、まず片側だけ試してみたい方など、さまざまな理由で片脇治療を選択される方がいらっしゃいます。
Q8. ミラドライを受けられない人はいますか?
以下に該当する方は、ミラドライの治療を受けられない場合があります。
- ペースメーカーなどの電子機器を体内に埋め込んでいる方
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- 局所麻酔薬にアレルギーがある方
- 免疫を抑える薬や血液をサラサラにする薬を服用している方
- 治療部位に感染症や皮膚疾患がある方
詳しくはカウンセリング時に医師にご確認ください。
11. 大宮エリアでのミラドライ治療について
大宮駅周辺の医療環境
大宮は埼玉県の中核都市として、多くの医療機関が集まるエリアです。JR大宮駅は複数の路線が乗り入れるターミナル駅であり、埼玉県内はもちろん、東京都や周辺県からのアクセスも良好です。
ミラドライ治療を提供するクリニックも大宮エリアに複数あり、通院しやすい環境が整っています。
アクセスの良さ
大宮駅へは、JR京浜東北線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR埼京線、JR川越線、東武アーバンパークライン(野田線)、ニューシャトルなど、多くの路線からアクセスすることができます。
埼玉県内の浦和、川口、春日部、川越、熊谷などの各地域からはもちろん、東京方面からも乗り換えなしで来ることができます。
仕事帰りや休日を利用して通院することも容易であり、忙しい方でも治療を受けやすい環境と言えます。
治療を検討される方へ
大宮エリアでミラドライ治療を検討されている方は、まずはカウンセリングを受けることをお勧めします。カウンセリングでは、症状の診察、治療内容の説明、費用の案内などを受けることができます。
複数のクリニックでカウンセリングを受け、比較検討することも一つの方法です。医師との相性や、クリニックの雰囲気、アフターフォローの体制なども、クリニック選びの重要なポイントとなります。
ミラドライは安全性と効果が認められた治療法ですが、施術を行う医師の技術や経験も治療結果に影響を与えます。症例数が多く、経験豊富な医師のいるクリニックを選ぶことが大切です。
12. まとめ
本記事では、片脇だけのワキガ・多汗症に対するミラドライ治療について解説しました。
片脇だけにワキガや多汗症の症状が現れることは珍しいことではなく、利き腕の影響や汗腺の発達の左右差など、さまざまな要因によって起こりえます。このような片側の症状に対しても、ミラドライは効果的な治療法となります。
ミラドライは、マイクロ波を用いてワキの汗腺を破壊する治療法で、厚生労働省の承認を受けた安全性の高い医療機器です。切らない治療であるため傷跡が残らず、1回の治療で長期的な効果が期待できます。また、ワキガの原因となるアポクリン汗腺と多汗症の原因となるエクリン汗腺の両方に効果があることも大きな特徴です。
片脇だけの治療を選択することも可能であり、症状が片側に強い方や、段階的に治療を進めたい方にとっては有効な選択肢となります。
ワキの汗やニオイの悩みは、日常生活の質に大きな影響を与えます。適切な治療を受けることで、これらの悩みから解放され、より快適な毎日を送ることができます。大宮エリアで治療を検討されている方は、まずは専門のクリニックでカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
13. 参考文献
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版(日本皮膚科学会)
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版(日本皮膚科学会)
- 発汗障害に関する序論(MSDマニュアル プロフェッショナル版)
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン(Mindsガイドラインライブラリ)
- 国内初切らないワキ汗治療器「miraDry(ミラドライ)システム」薬事承認取得に関するご案内(PR TIMES)
- 診断・検査(原発性腋窩多汗症)(マルホ 医療関係者向けサイト)
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務