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帯状疱疹後の神経痛がこれで消えた?原因・治療法・完治までの道筋を解説

帯状疱疹が治った後も、皮膚にじりじりと焼けるような痛みや、電気が走るような鋭い痛みが続いてつらい思いをしていませんか。「もう皮膚の湿疹は消えたのに、なぜまだ痛いのだろう」と不安を感じている方は少なくありません。

💬 こんなお悩みはありませんか?
😣「発疹は消えたのに、痛みだけが何ヶ月も続いている…
😰「服が触れるだけでビリビリと激痛が走る…」
😔「病院で治療しているのに、なかなか良くならないと感じている…」
🚨 放置するとどうなる?
帯状疱疹後の痛みを「そのうち治るだろう」と放置すると、慢性化して治療が難しくなるケースがあります。早期に適切な治療を受けることが、回復への近道です。
✅ この記事を読むとわかること
  • 📌 なぜ発疹が消えても痛みが続くのか、そのメカニズム
  • 📌 薬物療法・神経ブロック療法など最新の治療選択肢
  • 📌 日常生活でできる痛みを和らげる工夫
  • 📌 再発・重症化を防ぐ予防法
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帯状疱疹後の痛みは専門的な治療で改善が期待できます。
一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

目次

  1. 帯状疱疹後神経痛(PHN)とはどんな状態か
  2. 帯状疱疹後神経痛が起こるメカニズム
  3. どのくらいの人が発症するのか:リスク因子と発症率
  4. 帯状疱疹後神経痛の症状の特徴
  5. 診断の流れと受診のポイント
  6. 薬物療法:痛みを和らげる主な薬
  7. 神経ブロック療法:痛みの根本に働きかける治療
  8. その他の治療法(物理療法・心理的アプローチなど)
  9. 日常生活での工夫と痛みとのつき合い方
  10. 帯状疱疹後神経痛を予防するために
  11. まとめ

この記事のポイント

帯状疱疹後神経痛(PHN)は発疹消失後3か月以上続く神経障害性疼痛で、プレガバリン等の薬物療法・神経ブロック療法・心理的アプローチを組み合わせた包括的治療が有効。ワクチン接種と急性期72時間以内の抗ウイルス薬投与が予防の要となる。

💡 帯状疱疹後神経痛(PHN)とはどんな状態か

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella-Zoster Virus)が再活性化することで起こる感染症です。子どもの頃に水ぼうそうにかかったことがある人の体内には、ウイルスが神経節に潜伏し続けています。加齢や疲労、ストレス、免疫低下などをきっかけに再活性化すると、神経に沿って皮膚に水疱や発疹が現れ、強い痛みを伴います。

帯状疱疹そのものは、適切な抗ウイルス薬による治療を行えば通常2〜4週間程度で皮膚の症状は落ち着きます。しかし、皮膚の発疹が治癒した後も、3か月以上にわたって痛みが続く状態を「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と定義しています。医療機関によっては発疹消失後1か月以上の痛みをPHNとする場合もありますが、現在の国際的な基準では発疹消失後3か月以上の持続する疼痛をPHNと定義するのが一般的です。

PHNは単に「帯状疱疹の痛みが残っている」という状態にとどまりません。慢性的な痛みは睡眠障害、うつ状態、日常生活の質(QOL)の著しい低下をもたらし、精神的・社会的な生活にも広く影響します。「夜眠れない」「服が当たっただけで激痛が走る」「気力が失われた」と訴える患者さんは非常に多く、早期から適切な治療を受けることが極めて重要です。

Q. 帯状疱疹後神経痛(PHN)とはどのような状態ですか?

帯状疱疹後神経痛(PHN)とは、帯状疱疹の発疹が治癒した後も3か月以上にわたって痛みが続く神経障害性疼痛です。水痘・帯状疱疹ウイルスが感覚神経を直接傷つけることで、焼けるような灼熱感や電気が走るような鋭い痛みが慢性的に生じます。

📌 帯状疱疹後神経痛が起こるメカニズム

なぜ皮膚の発疹が治った後も痛みが続くのでしょうか。そのメカニズムを理解することは、治療への向き合い方にも役立ちます。

帯状疱疹の急性期において、ウイルスは神経節から末梢神経を伝って皮膚に向かいます。この過程で、ウイルスは感覚神経に直接ダメージを与えます。強い炎症反応も加わることで、神経線維そのものが損傷を受けたり、神経の構造が変化したりします。

神経が傷つくと、「感覚の異常興奮」が起こります。通常であれば痛みを伝えないような刺激(衣服の接触、わずかな温度変化など)が、傷ついた神経によって強い痛みのシグナルとして脳へ送られてしまうのです。これを「アロディニア(異痛症)」と呼びます。また、神経が過敏になり、わずかな刺激にも過剰に反応する「中枢感作」という現象も痛みの長期化に深く関わっています。

さらに、神経が損傷を受けると、本来は正常な感覚を伝えるはずの神経回路が再構成(リモデリング)を起こし、痛み信号が異常に発生・増幅される状態になることがあります。こうした「神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)」のメカニズムが複合的に絡み合っているため、皮膚の炎症が消えても痛みだけが残るのです。

痛みの神経障害的な性質を理解すると、なぜ一般的な消炎鎮痛薬(NSAIDs)があまり効かないのか、なぜ抗てんかん薬や抗うつ薬が治療に用いられるのかも納得できるでしょう。神経そのものの異常な活動を抑えることが、PHN治療の本質的な目標となります。

✨ どのくらいの人が発症するのか:リスク因子と発症率

帯状疱疹にかかった人すべてがPHNを発症するわけではありません。帯状疱疹患者のうちおよそ10〜30%がPHNを発症するとされており、発症率は年齢とともに著しく上昇します。60歳以上では発症率がさらに高く、70〜80歳代では帯状疱疹患者の半数近くがPHNを経験するというデータもあります。これは、加齢による免疫機能の低下や神経の修復能力の衰えが背景にあると考えられています。

PHNのリスクを高める主な因子としては以下のものが挙げられます。

まず高齢であることが最大のリスク因子です。前述のとおり、年齢が上がるほどPHNへ移行しやすくなります。次に、帯状疱疹の急性期に皮膚症状が広範囲にわたる場合や、痛みが非常に強かった場合もリスクが高まります。急性期の激しい痛みは、それだけ神経が大きなダメージを受けていることを意味するからです。

顔面(三叉神経領域)や眼周囲に発症した帯状疱疹(眼帯状疱疹)も、PHNになりやすいとされています。また、糖尿病、免疫抑制状態(がん治療中、HIV感染者、免疫抑制薬使用中など)の方も高リスクです。精神的なストレスや睡眠不足が長期化している環境もリスク因子として挙げられます。

逆に言えば、帯状疱疹の急性期に早期から適切な抗ウイルス薬治療を受けること、そして痛みのコントロールを行うことが、PHNの発症を予防・軽減するうえで非常に重要です。「発疹が出たら早めに受診する」ことが第一の予防策となります。

Q. 帯状疱疹後神経痛はなぜ皮膚が治っても痛みが残るのですか?

帯状疱疹の急性期にウイルスが感覚神経を直接損傷するため、皮膚の炎症が消えた後も痛みが残ります。傷ついた神経が過敏になる「中枢感作」や、衣服の接触だけで激痛が走る「アロディニア」が生じ、神経回路の異常な再構成によって痛み信号が増幅され続けます。

🔍 帯状疱疹後神経痛の症状の特徴

PHNの痛みは、一般的な痛みとは異なる独特の性質を持っています。患者さん自身が「この痛みはおかしい」と感じる特徴がいくつかあります。

最もよく見られるのは、焼けるような・じりじりするような持続的な灼熱感です。常に皮膚が「じんじん熱い」「火傷のような感じ」と表現される方が多く、発疹のあった部位に沿って体の片側にだけ現れます。

また、電気が走るような突発的な鋭い痛みも特徴のひとつです。「突然ビリッとする」「電気ショックのような痛みが走る」と表現されるこの痛みは予測がつかないため、精神的な不安やストレスの原因にもなります。

アロディニアも重要な症状です。正常であれば痛みを感じないような軽い接触刺激(衣服が当たる、風が吹く、シャワーが当たるなど)で強い痛みが生じます。「シャツを着るだけで激痛が走る」「布団が触れるだけでつらい」という訴えはPHN患者に非常に多く見られます。

さらに、痛みとともにかゆみや異常感覚(しびれ、うずき、むずむず感など)が混在する場合もあります。痛みの程度は時間帯によっても変動し、夜間に強くなる傾向があるため睡眠障害を引き起こしやすいです。

これらの症状が3か月以上続くことで、患者さんの生活の質は大きく損なわれます。日常生活の活動が制限され、仕事への影響、人との交流の減少、気力低下、うつ症状へとつながるケースも少なくありません。PHNを「たかが痛み」と軽視せず、専門的な治療を受けることが大切です。

クリニックで診察を受ける患者と女性医師

💪 診断の流れと受診のポイント

PHNの診断は、主に問診と身体診察によって行われます。血液検査や画像検査だけでは神経障害性疼痛を直接確認することが難しいため、痛みの性質、発症経緯、部位、持続期間などを丁寧に確認することが診断の基本となります。

受診する際には、帯状疱疹にかかった時期、発疹の部位、最初の受診日と治療内容、現在の痛みの強さ(視覚的評価スケール:VASや数値評価スケール:NRSを用いることが多いです)、痛みの性質(灼熱感か、刺すような痛みかなど)、痛みが日常生活や睡眠に与えている影響などを整理しておくとよいでしょう。

受診先としては、皮膚科、内科、ペインクリニック(疼痛外来)、神経内科などが挙げられます。急性期の帯状疱疹で皮膚科にかかっていた方は、痛みが長引く場合に皮膚科から紹介状をもらってペインクリニックを受診するケースが多く見られます。ペインクリニックは、神経ブロックなどの介入的な治療も含め、慢性疼痛に専門的に対応できる診療科です。

また、整形外科や神経内科でも対応している施設があります。かかりつけ医に相談したうえで、痛みに特化した専門医へのアクセスを検討することをお勧めします。

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🎯 薬物療法:痛みを和らげる主な薬

PHNの治療の中心は薬物療法です。神経障害性疼痛に対応した薬が複数あり、患者さんの症状や体質、他の疾患の有無などを考慮しながら選択されます。代表的な薬剤を以下にまとめます。

✅ プレガバリン・ガバペンチン(Ca²⁺チャネルα₂δリガンド)

現在、日本でPHNに対して最もよく使用されるファーストラインの薬剤の一つがプレガバリン(商品名:リリカ)です。神経細胞の電位依存性カルシウムチャネルに作用し、異常に興奮した神経からの痛み信号の放出を抑えます。眠気やめまい、ふらつきといった副作用がありますが、少量から始めて徐々に増量することで多くの場合は対処可能です。腎機能に応じた用量調整が必要です。ガバペンチンも同様のメカニズムを持ちますが、日本ではプレガバリンがより広く使用されています。

📝 三環系抗うつ薬(TCA)

アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬は、うつ病の治療薬として開発されましたが、神経障害性疼痛に対する鎮痛効果も持ちます。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、脊髄レベルでの下行性疼痛抑制系を強化し、痛みの伝達を抑制します。ただし、口渇、便秘、眠気、心臓への影響(不整脈など)といった副作用があるため、特に高齢者や心疾患のある方では注意が必要です。少量から使用を開始します。

🔸 SNRIデュロキセチン

デュロキセチン(商品名:サインバルタ)はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であり、三環系抗うつ薬と同様の下行性抑制系への作用を持ちながら、副作用プロファイルがやや穏やかです。日本では糖尿病性神経障害性疼痛への適応が認可されており、PHNへの使用も医師の判断のもとで行われることがあります。

⚡ オピオイド系鎮痛薬

トラマドール、ブプレノルフィン貼付剤、タペンタドールなどのオピオイド系鎮痛薬は、他の薬剤で効果が不十分な場合に検討されます。μオピオイド受容体への作用により強力な鎮痛効果を発揮しますが、依存性、便秘、眠気、吐き気などの副作用に注意が必要です。日本では慢性疼痛に対するオピオイド使用には慎重な管理が求められます。

🌟 外用薬(局所療法)

リドカインテープやカプサイシン含有クリーム(日本では一部の製剤が使用可能)など、局所に作用する外用薬も選択肢の一つです。アロディニアが強い場合、皮膚への直接適用で末梢神経の過敏性を抑える効果が期待されます。全身性の副作用が少ない点がメリットですが、皮膚刺激などの局所反応に注意が必要です。

薬物療法では、単一の薬剤で効果が不十分な場合、作用機序の異なる薬剤を組み合わせる「多角的薬物療法」が行われることがあります。患者さんによって効果のある薬は異なるため、医師と相談しながら根気よく最適な組み合わせを探していくことが大切です。

Q. 帯状疱疹後神経痛にはどのような薬が使われますか?

帯状疱疹後神経痛の主な薬物療法には、神経の異常興奮を抑えるプレガバリン(リリカ)、下行性疼痛抑制系を強化する三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)、SNRIのデュロキセチンなどがあります。一般的な消炎鎮痛薬(NSAIDs)は効果が乏しく、神経障害性疼痛に特化した薬剤の選択が重要です。

💡 神経ブロック療法:痛みの根本に働きかける治療

薬物療法と並んで、PHNの治療に重要な役割を担うのが神経ブロック療法です。ペインクリニックで専門的に行われる治療で、局所麻酔薬やステロイド薬を神経の周囲に注射することで、痛みの伝達を遮断したり、神経の炎症を抑えたりします。

💬 硬膜外ブロック

脊髄を包む硬膜の外側のスペース(硬膜外腔)に局所麻酔薬やステロイドを注入する方法です。PHNの中でも体幹部(胸部・腹部)に痛みがある場合に特に有効で、広い範囲の神経に作用することができます。急性期から継続して行うことが多く、繰り返し施行することで効果が得られやすいです。

✅ 神経根ブロック・傍脊椎神経ブロック

脊髄から出る神経根に対してブロックを行う方法で、痛みの原因となっている特定の神経を標的にできます。超音波ガイドやX線透視下で精密に行われることが多く、安全性が高まっています。

📝 星状神経節ブロック

頸部にある星状神経節(交感神経の集まり)に局所麻酔薬を注射する方法です。顔面や頭部、上肢、胸部にかけての帯状疱疹後神経痛に対して行われることがあります。局所の血流改善や免疫機能の調整にも関与するとされています。

🔸 トリガーポイントブロック・局所浸潤麻酔

痛みの引き金となる部位(トリガーポイント)や皮膚の病変部位近くに局所麻酔薬を注射する方法です。比較的簡便に行えるため、皮膚科やクリニックでも施行可能な場合があります。

⚡ 脊髄刺激療法(SCS)

薬物療法や神経ブロックで効果が得られない難治性のPHNに対して、脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation:SCS)が選択されることがあります。硬膜外腔に電極を留置し、微弱な電気刺激を脊髄に与えることで痛みの伝達を抑制します。体への侵襲がある治療であるため、適応は慎重に判断されますが、難治性疼痛に対して一定の効果が報告されています。

神経ブロック療法は、薬物療法と組み合わせることでより高い効果が期待できます。「薬を飲んでいるがあまり効かない」という方は、ペインクリニックへの受診を検討してみてください。

📌 その他の治療法(物理療法・心理的アプローチなど)

PHNの治療は薬物療法と神経ブロックだけではありません。複合的なアプローチが痛みの改善に有効とされており、特に慢性化した痛みに対しては心身両面からのケアが重要です。

🌟 物理療法・リハビリテーション

低出力レーザー療法(LLLT:Low-Level Laser Therapy)は、神経の損傷部位に対して低出力のレーザーを照射することで、神経修復の促進や炎症の軽減を図る治療法です。欧米では一定のエビデンスが示されており、副作用が少ない点が特徴です。

経皮的電気神経刺激(TENS:Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation)は、皮膚表面から電気刺激を与えることで内因性の鎮痛物質(エンドルフィンなど)の分泌を促す方法です。家庭用TENS機器も市販されており、医師の指導のもとでセルフケアとして活用できる場合もあります。

温熱療法や超音波療法なども補助的な治療として用いられることがありますが、アロディニアが強い場合は皮膚への刺激が逆効果になる可能性もあるため、専門家の判断が必要です。

💬 心理的アプローチ・認知行動療法(CBT)

慢性疼痛において、痛みの「感じ方」には心理的な要因が深く関与しています。痛みに対する恐怖、不安、うつ状態、痛みへの過度の注意集中などが痛みを増幅させる「中枢感作」に拍車をかけることが知られています。

認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、痛みに対する否定的な考え方のパターンを整理し、より適応的な思考や行動に変えていく心理療法です。慢性疼痛に対するCBTの有効性は多くの研究で示されており、薬物療法との併用で特に効果的です。

マインドフルネスに基づくストレス低減法(MBSR)も、慢性疼痛の患者さんの痛みの強度とQOLの改善に有効であるとするエビデンスが蓄積されています。「痛みがあっても今この瞬間を受け入れる」という姿勢を育てることで、痛みに振り回される苦しさを和らげる効果が期待されます。

✅ 睡眠への介入

PHN患者の多くが睡眠障害を抱えており、睡眠不足が痛みの閾値を下げてさらに痛みを感じやすくするという悪循環が生じます。睡眠の質を改善することが痛みの軽減にもつながるため、睡眠薬や睡眠衛生指導も治療の一環として重要です。

Q. 帯状疱疹後神経痛を予防する方法はありますか?

帯状疱疹後神経痛の主な予防策は2つです。1つ目は不活化ワクチン「シングリックス」の接種で、帯状疱疹の発症を約90%予防できます。2つ目は発疹出現から72時間以内に抗ウイルス薬治療を開始することで、神経へのダメージを最小限に抑えPHNへの移行リスクを低下させます。

✨ 日常生活での工夫と痛みとのつき合い方

医療機関での治療と並行して、日常生活でできる工夫も痛みの管理に役立ちます。PHNとのつき合い方を工夫することで、痛みに支配される時間を少しでも減らすことができます。

衣服の選び方は重要なポイントです。アロディニアがある場合、衣服の生地が皮膚に触れるだけで激しい痛みを生じさせることがあります。肌触りのやわらかい素材(シルク、コットンなど)を選んだり、体への密着が少ないゆったりとしたデザインにするだけで日常の不快感が大きく減ることがあります。

温度管理も大切です。冷えると痛みが増す患者さんが多いため、患部を冷やさないよう工夫しましょう。一方で熱さで悪化する方もいるため、自分の痛みがどちらのタイプかを把握しておくことが助けになります。

活動と休息のバランスを保つことも大切です。痛みがつらいからと完全に安静にしているのではなく、痛みの範囲内で少しずつ活動を続けることが長期的な痛みの改善につながります。「できることを少しずつ増やしていく」という考え方(漸進的活動アプローチ)が慢性疼痛管理の基本的な概念の一つです。

ストレス管理も痛みのコントロールに直結します。強いストレスは免疫機能を低下させ、痛みを増幅させます。ヨガ、瞑想、深呼吸、趣味活動など、自分に合ったリラクセーション法を取り入れることをお勧めします。

栄養と生活習慣の改善も意識してみましょう。ビタミンB群(特にB1・B6・B12)は神経機能の維持に関与するとされており、神経の修復を助ける可能性があります。バランスの取れた食事、適度な運動(無理のない範囲で)、禁煙、アルコールの適正化なども体全体の健康を支え、痛みの管理に間接的に寄与します。

また、家族や周囲の人への理解を求めることも大切です。PHNの痛みは外から見えにくいため、「もう治っているのに大げさ」と思われてしまうことがあります。患者さん自身が孤立せず、サポートを受けられる環境を作ることが、精神的な負担の軽減と回復への意欲につながります。

🔍 帯状疱疹後神経痛を予防するために

PHNを経験した方も、まだ帯状疱疹にかかっていない方も、予防の観点を知っておくことは非常に重要です。PHNは一度発症すると完治まで長い時間がかかることも多く、予防に勝る治療はないといっても過言ではありません。

📝 帯状疱疹ワクチン接種

現在、日本では帯状疱疹の予防に二種類のワクチンが利用可能です。生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)と不活化ワクチン(シングリックス)があります。

特に不活化ワクチンの「シングリックス」は、2か月の間隔で2回接種することで、帯状疱疹の発症を約90%予防する効果が示されており、PHNの発症予防効果も非常に高いとされています。50歳以上の方を対象としており、免疫が低下している方でも接種可能です(ただし適応は医師と相談)。

すでに帯状疱疹にかかったことがある方でも、再発予防のためにワクチン接種を受けることができます(かかった後一定期間が経過してから)。かかりつけ医やクリニックに相談してみてください。

🔸 帯状疱疹急性期の早期治療

帯状疱疹の発疹に気づいたら、できるだけ早く(理想的には発疹出現から72時間以内に)抗ウイルス薬治療を開始することが、PHNの予防において最も重要な対策の一つです。早期の抗ウイルス薬投与はウイルスの増殖を抑え、神経へのダメージを最小限にすることで、PHNへの移行リスクを下げます。

また、急性期から積極的に痛みのコントロールを行うことも、PHN予防に有効とされています。急性期の強い痛みそのものが神経の可塑的変化(中枢感作)を引き起こすため、初期から適切な鎮痛治療を受けることが後のPHN発症リスクを下げると考えられています。

⚡ 免疫力を維持する生活習慣

帯状疱疹はウイルスに対する免疫が低下したときに起こります。規則正しい生活、十分な睡眠、バランスの取れた栄養、適度な運動、ストレスの軽減といった基本的な健康管理が、帯状疱疹の再活性化を防ぐ底力となります。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、帯状疱疹の皮膚症状が落ち着いた後も痛みが続くとお悩みになり受診される患者様が多く、「もう治ったはずなのにどうして痛いのか」と不安を抱えていらっしゃる方がほとんどです。帯状疱疹後神経痛は神経そのものが傷ついたことによる疾患であり、決して気のせいではありませんので、まず安心していただいたうえで、プレガバリンなどの薬物療法と神経ブロック療法を組み合わせた包括的な治療を丁寧にご提案しています。痛みを一人で我慢せず、早めにご相談いただくことが回復への大切な一歩ですので、どうぞお気軽にお越しください。」

💪 よくある質問

帯状疱疹後神経痛(PHN)とはどのような状態ですか?

帯状疱疹の皮膚症状(発疹・水疱)が治癒した後も、3か月以上にわたって痛みが続く状態を指します。焼けるような灼熱感や電気が走るような鋭い痛みが特徴で、神経そのものがウイルスによってダメージを受けたことが原因です。気のせいや大げさではなく、れっきとした神経障害性疼痛です。

帯状疱疹後神経痛にはどんな薬が使われますか?

主にプレガバリン(リリカ)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど)、SNRIのデュロキセチンが使用されます。これらは神経の異常な興奮を抑える働きがあり、一般的な消炎鎮痛薬(NSAIDs)はあまり効果がありません。症状や体質に応じて複数の薬を組み合わせることもあります。

神経ブロック療法とはどのような治療ですか?

局所麻酔薬やステロイド薬を神経の周囲に注射し、痛みの伝達を遮断する治療法です。硬膜外ブロックや星状神経節ブロックなど種類があり、ペインクリニックで専門的に行われます。薬物療法と組み合わせることでより高い効果が期待でき、「薬が効きにくい」と感じている方に特に検討をお勧めします。

帯状疱疹後神経痛を予防する方法はありますか?

主な予防策は2つです。1つ目は帯状疱疹ワクチン(特に不活化ワクチン「シングリックス」)の接種で、帯状疱疹の発症を約90%予防できます。2つ目は帯状疱疹発症時に72時間以内に抗ウイルス薬治療を開始することです。早期治療により神経へのダメージを最小限に抑え、PHNへの移行リスクを下げられます。

帯状疱疹後神経痛はどこの医療機関に受診すればよいですか?

ペインクリニック(疼痛外来)が最も専門的な対応が可能で、薬物療法に加え神経ブロックなどの治療も受けられます。皮膚科や内科、神経内科でも対応している施設があります。アイシークリニック大宮院でも帯状疱疹後神経痛の診療を行っており、一人ひとりの状況に合わせた包括的な治療をご提案しています。

🎯 まとめ

帯状疱疹後神経痛(PHN)は、皮膚の発疹が治癒した後も3か月以上にわたって持続する神経障害性疼痛で、患者さんの生活の質を大きく損ないます。しかし、適切な治療を継続することで、多くの場合は痛みの改善が期待できます。「帯状疱疹後の神経痛がこれで消えた」と感じるためには、ひとつの治療法に頼るのではなく、薬物療法(プレガバリン、三環系抗うつ薬、SNRIなど)、神経ブロック療法、物理療法、心理的アプローチ、そして日常生活の工夫を組み合わせた包括的なアプローチが重要です。

PHNの痛みは「気のせい」でも「大げさ」でもありません。神経そのものが傷ついたことによって起こる、れっきとした疾患です。つらい痛みを我慢せず、ペインクリニックや専門的な医療機関に相談することが、痛みからの解放への第一歩です。

アイシークリニック大宮院では、帯状疱疹後神経痛をはじめとする皮膚・神経に関するお悩みについて、患者さん一人ひとりの状況に合わせた丁寧な診療を行っています。痛みが長引いている、治療をどこで受ければいいかわからないとお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 帯状疱疹の診療ガイドラインとして、PHNの定義・診断基準・治療方針(抗ウイルス薬、鎮痛薬の選択など)に関する医学的根拠を参照
  • 厚生労働省 – 帯状疱疹ワクチン(シングリックス・生ワクチン)の予防接種に関する公式情報、接種対象年齢・効果・費用助成制度などの行政指針を参照
  • 国立感染症研究所 – 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の疫学データ、帯状疱疹の発症率・PHN移行率・年齢別リスクなどの感染症サーベイランス情報を参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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