夏になると悩まされる虫刺され。かゆみや腫れがひどいとき、「ステロイドが入っているかゆみ止めを使いたいけれど、どれを選べばいいかわからない」と迷っている方は多いのではないでしょうか。市販のかゆみ止め薬にはさまざまな種類があり、ステロイドの強さや配合成分も異なります。どれが自分の症状に合っているのかを知ることで、より効果的に症状を和らげることができます。この記事では、虫刺されに使うステロイド薬の選び方や使い方について、わかりやすく解説します。
目次
- 虫刺されのかゆみはなぜ起こるのか
- ステロイドとは何か?かゆみへの効果を理解しよう
- 市販のステロイド薬の強さ(ランク)について
- 虫刺されにはどのランクのステロイドが適しているか
- 主な市販ステロイド薬の種類と特徴
- 剤形の違い(クリーム・ゲル・ローション・液体)
- ステロイドを使ってはいけないケース・注意が必要な場面
- 正しい塗り方と使用期間の目安
- ステロイドを使わないかゆみ止めとの違い
- 市販薬で改善しない場合は皮膚科へ
この記事のポイント
虫刺されの市販ステロイド薬はweak・mediumの2ランクのみ購入可能。顔や子どもにはweak、体幹の強い炎症にはmediumを選び、使用期間は1〜2週間以内が目安。改善しない場合は皮膚科を受診。
🎯 虫刺されのかゆみはなぜ起こるのか
虫に刺されたとき、私たちの体はどのような反応を起こしているのでしょうか。まずはかゆみが発生するメカニズムから理解しておきましょう。
蚊やブヨ、ノミなどの虫が皮膚を刺すとき、唾液や毒素を注入します。これらの物質は体にとって異物であるため、免疫システムが反応を開始します。具体的には、皮膚にある「マスト細胞(肥満細胞)」が活性化し、ヒスタミンという物質を大量に放出します。このヒスタミンが神経を刺激することで、かゆみという感覚が生じます。
また、ヒスタミンは血管を拡張させたり、血管の透過性を高めたりする作用もあります。これによって、刺された部位が赤くなったり腫れたりします。この一連の反応は「アレルギー性炎症反応」と呼ばれ、体が外敵から身を守ろうとする正常な防御反応です。
虫刺されの反応には大きく分けて二つのパターンがあります。一つは「即時型反応」で、刺された直後から数分以内に現れ、強いかゆみと赤みが生じます。もう一つは「遅延型反応」で、刺されてから数時間後に現れ、赤い丘疹(ぶつぶつ)や硬いしこりが形成されます。幼い子どもは遅延型反応が強く出る傾向があり、大人になるにつれて即時型が中心になる方が多いとされています。
この炎症反応を抑えるために用いられる薬がステロイド外用薬です。炎症の根本にある免疫反応をおさえることで、かゆみや腫れを効果的に軽減してくれます。
Q. 虫刺されのかゆみはなぜ起こるのか?
虫が皮膚を刺すと唾液や毒素が注入され、免疫細胞(マスト細胞)がヒスタミンを放出します。このヒスタミンが神経を刺激してかゆみを引き起こし、血管を拡張させることで赤みや腫れも生じます。この反応はアレルギー性炎症反応と呼ばれる体の防御反応です。
📋 ステロイドとは何か?かゆみへの効果を理解しよう
「ステロイド」という言葉を聞くと、副作用が心配と感じる方もいるかもしれません。しかし、正しく理解して適切に使えば、虫刺されのかゆみや炎症を早く抑えるのに非常に有効な薬です。
ステロイドとは、副腎(腎臓の上にある小さな臓器)から分泌される「コルチゾール」というホルモンを参考に作られた薬です。体に本来備わっているこのホルモンは、炎症を抑えたり免疫反応をコントロールしたりする重要な役割を担っています。外用薬(塗り薬)のステロイドはこの働きを利用して、皮膚の炎症を局所的に抑えます。
皮膚に塗るステロイド外用薬の主な効果は以下の通りです。
まず「抗炎症作用」として、炎症を引き起こすさまざまな物質(サイトカインやプロスタグランジンなど)の産生を抑制します。これによってかゆみ・赤み・腫れが軽減されます。次に「免疫抑制作用」として、過剰な免疫反応を抑えることで、アレルギー性の炎症を鎮めます。
虫刺されの場合、炎症の原因は虫の唾液や毒素に対するアレルギー反応ですから、この抗炎症・免疫抑制作用が症状改善に直接つながります。
一方、ステロイドには副作用もあります。長期間・広範囲に使い続けると皮膚が薄くなったり(皮膚萎縮)、毛細血管が拡張してしまったりすることがあります。しかし虫刺されの場合は基本的に「短期間・狭い範囲」での使用となるため、これらの副作用が問題になることはほとんどありません。正しい使い方さえ守れば、安全に使用できる薬です。
💊 市販のステロイド薬の強さ(ランク)について
ステロイド外用薬は、その抗炎症作用の強さによって5段階のランクに分類されています。最も強いものから順に、「strongest(最強)」「very strong(非常に強い)」「strong(強い)」「medium(中程度)」「weak(弱い)」に分けられます。
市販薬として薬局やドラッグストアで購入できるのは、このうち「weak(弱い)」と「medium(中程度)」の2段階のみです。strong以上のランクは医師の処方が必要な医療用医薬品となります。
weak(弱い)に分類される代表的な成分はヒドロコルチゾン(0.5%程度)です。これは最もマイルドなステロイドで、顔や敏感肌の部位にも比較的安心して使いやすいとされています。子ども用のかゆみ止めにも配合されていることがあります。
medium(中程度)に分類される代表的な成分にはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、トリアムシノロンアセトニドなどがあります。weakよりも炎症を抑える力が強く、虫刺されのような比較的はっきりした炎症症状に効果的です。
市販薬を選ぶ際にパッケージを見ると「ステロイド成分配合」「副腎皮質ホルモン配合」などの表記とともに、成分名が記載されています。成分名を確認することで、weakなのかmediumなのかを判断することができます。
なお、市販のかゆみ止めの中にはステロイドを含まないものもあります。こちらは後のセクションで詳しく解説します。まずはステロイド配合薬の中でどれが自分の症状に合っているかを知ることが大切です。
Q. 市販のステロイド薬はどのランクまで買えるか?
市販薬として薬局やドラッグストアで購入できるステロイド外用薬は、5段階ランクのうち「weak(弱い)」と「medium(中程度)」の2ランクのみです。「strong(強い)」以上は医師の処方が必要な医療用医薬品となるため、市販では入手できません。
🏥 虫刺されにはどのランクのステロイドが適しているか
虫刺されに対してどのランクのステロイドを使うべきかは、症状の程度、刺された部位、使用する人の年齢・体質によって異なります。
一般的な蚊刺されで、かゆみや赤みが軽度な場合は、weak(弱い)ランクのヒドロコルチゾン配合薬で十分対応できることが多いです。特に顔・首・陰部などの皮膚が薄くデリケートな部位には、weakランクを選ぶのが原則です。
一方、ブヨやアブに刺された場合や、蚊に刺されても強い腫れや硬いしこりができる場合、かゆみが強く我慢できないほどの場合は、medium(中程度)ランクを選ぶほうが症状をしっかり抑えられます。
子どもに使う場合、特に乳幼児には医師に相談することが原則ですが、学童以降の子どもであればweakランクを短期間使うことは一般的に許容されています。ただし、子どもの皮膚は大人よりも薄く、ステロイドの吸収率が高いため、使用量・期間ともに最小限にとどめることが望ましいです。
使用部位によるランクの目安をまとめると、顔・頭部・首・陰部にはweak、体幹・四肢(腕・脚)にはweak〜medium、手のひらや足の裏など角質が厚い部位にはmediumが一般的な選択肢となります。
また、かゆみが数日経っても改善しない、範囲が広がっている、水ぶくれができているといった場合は市販薬の範疇を超えており、皮膚科での診察が必要です。

⚠️ 主な市販ステロイド薬の種類と特徴
ドラッグストアで購入できる代表的なステロイド配合のかゆみ止め薬をいくつかご紹介します。商品選びの参考にしてください。
まず、弱い(weak)ランクのステロイドを含む製品として、ヒドロコルチゾン酢酸エステルを配合したものがあります。代表的な製品としては「コートf MDクリーム」などが挙げられます。マイルドな効き目で、顔や子ども、敏感肌の方に向いています。ただし、弱いだけに症状が強い場合は十分な効果が得られないこともあります。
次に、中程度(medium)ランクのステロイドを含む製品として、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを配合した「リンデロンVs」、デキサメタゾン酢酸エステルを配合した「デキサルチン軟膏」や「ムヒアルファEX」など、また酢酸ヒドロコルチゾンより強力なプレドニゾロン系を配合した製品が多数あります。これらはよく虫刺されの治療に使用される製品で、かゆみや腫れをしっかり抑える効果が期待できます。
人気の市販薬「ムヒ」シリーズでは、ステロイド配合の「ムヒアルファEX」「ムヒS2a」などがあります。ムヒアルファEXはデキサメタゾン酢酸エステルを含む中程度ランクで、成人の虫刺されに広く使われています。ムヒS2aはステロイドを含まないノンステロイドタイプなので、購入時に確認が必要です。
「ウナコーワ」シリーズでは「ウナコーワクール」がステロイド無配合でl-メントールなどの清涼成分が中心であるのに対し、「ウナコーワエース」シリーズはステロイド成分が含まれているものがあります。同じブランドでもラインナップによって成分が異なるため、成分表示を確認することが大切です。
「キンカン」などのアンモニア配合タイプはステロイドを含まず、アンモニアが酸性の虫毒を中和するという考え方に基づいていますが、現在では酸性の毒を持つ虫は少なく、効果については限定的とされています。
製品を選ぶ際には、パッケージ裏面の「成分・分量」欄を必ず確認しましょう。ステロイド成分が含まれているか、その成分名は何か、濃度はどのくらいかを確認することで、適切な製品を選べます。
🔍 剤形の違い(クリーム・ゲル・ローション・液体)
ステロイド配合の外用薬には、さまざまな剤形があります。効果成分が同じでも、剤形によって使用感や適した部位が異なります。自分の肌質や使いたい部位に合わせて選ぶことが大切です。
クリームタイプは、油分と水分が混合されたなめらかなテクスチャーです。使い心地がよく、一般的な肌への使用に向いています。体幹や手足など比較的広い範囲に塗るときに使いやすいです。ただし、傷口や湿潤した皮膚には浸透しすぎることがあるため注意が必要です。
軟膏タイプは油性成分を主体としており、皮膚への密着性が高く保湿効果もあります。乾燥した皮膚、ひっかき傷がある部位、かさかさした湿疹などに向いています。べたつきがあるため、蒸れやすい部位や夏場の使用に不向きに感じる方もいます。
ゲルタイプはさっぱりとした使用感で、水分が多くアルコールを含む製品もあります。毛が多い部位(頭皮・腕・脚)にも塗りやすく、夏場の暑い時期でも使いやすいです。清涼感があるものも多く、かゆみの即効的な緩和を期待する方に人気があります。ただし、アルコール成分がしみる場合があるため、引っかき傷がある部位には使用を控えましょう。
ローション・液体タイプは水溶性で伸びがよく、広範囲に薄く塗るのに適しています。頭皮など毛が生えた部位にも使いやすい剤形です。乾燥が早くべたつかない点が好まれますが、保湿効果は低めです。
スプレー・パッチタイプも市販薬の中に存在します。スプレータイプは背中など手が届きにくい部位に使いやすく、パッチ(貼り薬)タイプは患部に密着させることでじっくり成分を浸透させることができます。小さい子どもが自分でかかないようにするためにパッチタイプを選ぶ親御さんもいます。
虫刺されの場合、一般的にはゲルやクリームタイプが使いやすく人気があります。夏場であればさっぱりしたゲルタイプ、乾燥した部位や引っかき傷がある場合はクリームや軟膏タイプが適しています。
Q. 虫刺されのステロイド薬の正しい塗り方と使用期間は?
患部を清潔にしてから、薄く均一に伸ばすように塗ります。量は患部がうっすら覆われる程度で十分であり、大量に塗っても効果は上がりません。使用頻度は1日2〜3回、使用期間は原則1〜2週間以内が目安です。改善しない場合は皮膚科を受診してください。
📝 ステロイドを使ってはいけないケース・注意が必要な場面
ステロイド外用薬は便利な薬ですが、すべての場面で使えるわけではありません。使ってはいけないケースや特に注意が必要な状況を知っておきましょう。
まず、虫刺されかどうかが不明な場合は慎重に判断する必要があります。ステロイドには免疫抑制作用があるため、細菌感染や真菌(カビ)感染が原因の皮膚病変に使うと、症状を悪化させることがあります。刺された場所が化膿していたり、膿が出ていたりする場合はステロイドの使用を避け、医療機関を受診してください。
顔への使用は特に注意が必要です。顔の皮膚は薄くステロイドの吸収率が高いため、副作用が出やすくなります。使用する場合はweakランクを選び、使用期間を最小限(1週間以内を目安)にとどめることが推奨されます。特に目の周りや口の周りはさらに吸収率が高いため、できる限び使用を避け、必要な場合は医師に相談してください。
乳幼児(2歳未満を目安)への使用は、市販のステロイド外用薬の添付文書では「小児に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させること」「長期連続使用をさけること」などの注意書きがあります。特に乳幼児については自己判断で使用するのではなく、医師に相談することが望ましいです。
妊娠中・授乳中の方も、自己判断での使用は控え、かかりつけの医師や薬剤師に確認することを推奨します。外用薬は内服薬に比べて全身への影響は少ないとされていますが、安全を期すためにも専門家への相談が大切です。
また、過去にステロイドを含む薬でアレルギーを起こしたことがある方は使用を控えてください。まれにステロイド自体にアレルギーを持つ方がいます。
同じ部位に長期間(市販薬では通常1〜2週間を超えて)使用することも避けましょう。同じ部位への長期使用は皮膚萎縮、毛細血管拡張、皮膚の色素脱失などの副作用を引き起こすリスクがあります。1〜2週間使用しても改善しない場合は皮膚科の受診が必要です。
💡 正しい塗り方と使用期間の目安
ステロイド外用薬の効果を最大限に引き出し、副作用リスクを最小限にするためには、正しい使い方を守ることが重要です。
まず塗る前に、患部を清潔な状態にしましょう。汚れや汗がついた状態では薬の浸透が妨げられることがあります。ただし、強くこすったり、ひっかいたりするのは禁物です。優しく洗って清潔にした後、水分をそっと拭き取ってから塗布します。
塗る量は「患部が薄く覆われる程度」が目安です。大量に厚塗りしても効果が上がるわけではなく、むしろ副作用のリスクが高まります。一般的な目安として、成人の人差し指の先端から第一関節部分までチューブから絞り出した量(約0.5g)が手のひら2枚分程度の面積に適した量とされています(Finger Tip Unit:FTUという考え方)。虫刺されは通常狭い面積ですから、ごく少量で十分です。
塗り方は指の腹を使って優しくのばします。ゴシゴシとこすりつけるのではなく、なでるようにして均一に広げましょう。塗った後は清潔なガーゼや包帯で覆う必要は通常ありませんが、かきむしりを防ぐためにパッチタイプに切り替えたり、清潔なガーゼで保護したりすることは有効な場合があります。
使用頻度は一般的に1日2〜3回が目安とされていますが、製品によって異なるため、添付文書の指示に従ってください。症状が改善してきたら、使用回数を1日1回に減らすなど、徐々に量を減らしていくことが推奨されています。急に使用を止めても問題になることはほとんどありませんが、使用量を徐々に減らすほうが皮膚への刺激が少ないです。
使用期間の目安は、市販のステロイド外用薬の場合、原則として1〜2週間以内とされています。この期間を超えても症状が改善しない場合や、症状が悪化する場合は自己判断での使用を続けずに医療機関を受診しましょう。
なお、使用量の目安として市販薬の添付文書には「1日○回まで」「○日間を超えて使用しないこと」などの記載があります。これらの指示は安全のための重要なガイドラインですので、必ず守るようにしましょう。
Q. 虫刺されで皮膚科を受診すべき症状は何か?
市販薬を正しく使用しても1週間以上改善しない場合、水ぶくれや強い腫れがある場合、患部が化膿している場合は皮膚科の受診が必要です。さらに発熱・呼吸困難・全身の蕁麻疹などの全身症状が現れた際はアナフィラキシーの恐れがあるため、直ちに救急受診してください。
✨ ステロイドを使わないかゆみ止めとの違い
市販のかゆみ止め薬には、ステロイドを含まないノンステロイドタイプも数多くあります。どちらを選ぶべきか悩む方のために、それぞれの特徴と使い分けを解説します。
ノンステロイドのかゆみ止めには、主に以下のような成分が使われています。
抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩など)は、ヒスタミンの受容体をブロックすることでかゆみを抑えます。外用の抗ヒスタミン成分は比較的マイルドな効果があり、軽度の虫刺されに向いています。ただし、外用の抗ヒスタミン薬は日本皮膚科学会では「接触皮膚炎(かぶれ)を起こしやすい」として、使用を推奨しない見解もあるため、長期使用は避けましょう。
局所麻酔成分(リドカイン、ジブカイン塩酸塩など)は、神経の感覚を一時的に麻痺させることでかゆみを感じにくくします。即効性があり、強いかゆみを一時的に鎮めるのに有効ですが、炎症そのものを抑えるわけではないため、根本的な治療にはなりません。
清涼成分(l-メントール、カンフルなど)は、皮膚の感覚神経を刺激してひんやりとした感覚を与えることで、かゆみを感じにくくします。実際にかゆみの原因を取り除くわけではありませんが、清涼感が強いため、特に夏場の使用感が好まれます。
植物由来成分や漢方成分(カミツレエキス、クロタミトンなど)も配合された製品があります。クロタミトンは鎮痒作用(かゆみ止め作用)があり、ステロイドのような免疫抑制作用はありませんがかゆみを軽減する効果があります。
ステロイド配合薬とノンステロイド薬を比べたとき、炎症(赤み・腫れ・熱感)が強い場合はステロイドが優れており、単純なかゆみだけで炎症が軽微な場合はノンステロイドでも十分なことがあります。
副作用の面では、ノンステロイドのほうが一般的にリスクが低いですが、外用抗ヒスタミン薬は接触皮膚炎を起こすことがあるという点に注意が必要です。
子どもや顔など敏感な部位には、まずノンステロイドのやさしい成分の薬で試してみて、効果が不十分であればweakランクのステロイド薬に切り替えるという判断も一つの方法です。
📌 市販薬で改善しない場合は皮膚科へ
市販薬は手軽に使えて便利ですが、すべての虫刺されが市販薬だけで対処できるわけではありません。以下のような場合は迷わず皮膚科を受診してください。
まず、市販薬を正しく使用しても1週間以上改善しない場合は受診の目安です。症状が長引く場合は、単なる虫刺されではなく別の皮膚疾患(例えば疥癬、蕁麻疹、多形性紅斑など)の可能性があります。
腫れが非常に強く、刺された部位が大きく盛り上がっている場合、または水ぶくれ(水疱)ができている場合も医療機関の受診が必要です。これはブヨやアブなどに刺されたときや、強いアレルギー反応が起きているときに見られることがあります。特にブヨに刺された場合は蚊よりも炎症が強く出やすく、市販薬だけでは対処が難しいことが多いです。
刺された患部が化膿している(膿が出ている、熱を持っている、痛みがある)場合は細菌感染(とびひなど)を疑い、早急に受診してください。ステロイドは感染に対して炎症を隠してしまうことがあり、使い続けると感染を悪化させる恐れがあります。
全身症状(発熱、全身のかゆみや蕁麻疹、喘鳴・呼吸困難、顔や喉の腫れ)が出ている場合は、アナフィラキシーという重篤なアレルギー反応の可能性があります。これは救急対応が必要な状態ですので、すぐに救急車を呼ぶか、救急医療機関を受診してください。ハチに刺された後などに起こりやすく、過去にハチに刺されてアレルギー反応を経験したことがある方は特にリスクが高いです。
皮膚科では市販薬よりも強いステロイドの処方や、抗ヒスタミン薬の内服薬、必要に応じて抗生物質の処方なども行われます。症状に応じた適切な治療を受けることで、早期回復につながります。
また、毎年同じ時期に虫刺されで強い反応が出る方、子どもが虫刺されでひどく腫れてしまう方は、アレルギー科や皮膚科で事前に相談しておくとよいでしょう。アレルギーの程度を把握し、必要であれば強い薬を事前に処方してもらうことができます。

👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏場になると虫刺されによるかゆみや腫れのご相談が増える傾向にあり、市販薬を使っても症状が改善しないと来院される患者様も少なくありません。ステロイド外用薬はランクや使用部位を正しく理解して使えば非常に有効な薬ですが、感染を伴う場合や顔・乳幼児への使用など、自己判断では判断が難しいケースもございます。つらい症状が長引いたり、判断に迷ったりされた際はどうぞお気軽にご相談ください。適切な治療で、できるだけ早く楽になっていただけるようサポートいたします。」
🎯 よくある質問
市販薬として購入できるのは、5段階のランクのうち「weak(弱い)」と「medium(中程度)」の2ランクのみです。「strong(強い)」以上は医師の処方が必要な医療用医薬品となります。症状や部位に応じてこの2ランクから選ぶことが大切です。
顔への使用は特に注意が必要です。顔の皮膚は薄くステロイドの吸収率が高いため、使用する場合は最もマイルドな「weak(弱い)」ランクを選び、使用期間は1週間以内を目安にしてください。目や口の周りへの使用はできる限り避け、不安な場合は医師にご相談ください。
学童以降の子どもであれば、weakランクを短期間使用することは一般的に許容されています。ただし子どもの皮膚は大人より薄く吸収率が高いため、使用量と期間は最小限にとどめてください。乳幼児(2歳未満を目安)については自己判断を避け、医師への相談をおすすめします。
使用頻度は1日2〜3回が一般的な目安ですが、製品によって異なるため添付文書の指示に従ってください。使用期間は原則1〜2週間以内とされています。この期間を超えても改善しない場合や症状が悪化する場合は、自己判断での使用を続けずに皮膚科を受診してください。
市販薬を正しく使用しても1週間以上改善しない場合、腫れや水ぶくれがひどい場合、患部が化膿している場合は皮膚科の受診をおすすめします。また発熱・呼吸困難・全身の蕁麻疹などの全身症状が出た場合は、アナフィラキシーの恐れがあるため直ちに救急受診が必要です。アイシークリニックでもご相談を承っております。
📋 まとめ
虫刺されに使うステロイド薬の選び方と使い方について解説してきました。最後に要点を整理します。
市販のステロイド外用薬は「weak(弱い)」と「medium(中程度)」の2ランクがあり、虫刺されの症状の程度や部位に合わせて選ぶことが大切です。顔や子どもにはweakランク、体幹・四肢の比較的強い炎症にはmediumランクが目安となります。
剤形はゲル・クリーム・軟膏・ローションなどがあり、夏場の使い勝手や皮膚の状態に合わせて選びましょう。塗る量は薄く均一に、1日2〜3回、使用期間は1〜2週間以内を目安にしてください。
感染の疑いがある場合、顔や乳幼児への使用は特に注意が必要です。市販薬で改善しない、症状が悪化する、全身症状が出るといった場合は迷わず医療機関を受診してください。
虫刺されは日常的によく経験するトラブルですが、適切な知識を持って対処することで、つらい症状を早く和らげることができます。アイシークリニック大宮院では皮膚のトラブルに関するご相談を承っておりますので、市販薬で対処が難しいと感じた際は、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – ステロイド外用薬のランク分類、虫刺されに対する外用薬の適切な使用方法、ノンステロイド外用抗ヒスタミン薬の接触皮膚炎リスクに関するガイドライン情報
- 厚生労働省 – 市販薬(OTC医薬品)のステロイド外用薬の適正使用・使用上の注意に関する情報、セルフメディケーションにおける市販薬の選び方の指針
- 国立感染症研究所 – 蚊・ブヨ・ハチなど各種害虫による刺咬症の病態・アレルギー反応のメカニズム(即時型・遅延型反応)、アナフィラキシーを含む重篤な全身反応に関する疫学・臨床情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務