目次
- はじめに
- 老人性イボ(脂漏性角化症)とは
- 老人性イボができる原因
- 老人性イボの症状と特徴
- 老人性イボと似ている疾患との見分け方
- 老人性イボの診断方法
- 老人性イボの治療法・除去方法
- 老人性イボの予防法
- 老人性イボ除去の治療費用について
- 大宮で老人性イボの治療を受けるなら
- よくあるご質問
- まとめ
- 参考文献
1. はじめに
「顔や首にできたシミのようなものが、最近盛り上がってきた気がする」「触るとザラザラしていて、何となく目立つようになってきた」——このようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。これらの症状は、老人性イボと呼ばれる脂漏性角化症である可能性があります。
老人性イボは「老人性」という名前がついていますが、40代頃から発症することが多く、早い方では20代から見られることもあります。加齢とともに増えていく傾向があり、80代ではほぼすべての方に見られる非常に一般的な皮膚の良性腫瘍です。
良性腫瘍であるため、放置していても健康上の問題を引き起こすことは基本的にありません。しかし、顔や首など目立つ部位にできると見た目が気になったり、衣類との摩擦で不快感を覚えたりすることがあります。そのため、美容的な観点や日常生活の快適さを考えて除去を希望される方も多くいらっしゃいます。
本記事では、大宮エリアで老人性イボの除去治療をお考えの方に向けて、老人性イボの原因、症状、診断方法、治療法、予防法などについて詳しく解説いたします。正しい知識を身につけることで、ご自身の症状を理解し、適切な治療選択の参考にしていただければ幸いです。
2. 老人性イボ(脂漏性角化症)とは
老人性イボは、医学的には脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)と呼ばれる皮膚の良性腫瘍です。別名として老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも呼ばれています。
老人性イボの定義と特徴
脂漏性角化症は、皮膚の最も外側にある表皮の細胞が異常に増殖することで生じる良性の皮膚腫瘍です。しばしば色素沈着を伴う表在性の上皮性病変であり、通常はイボ状に盛り上がった形状を呈しますが、平らな丘疹として現れることもあります。
名前に「脂漏性」とありますが、これは皮脂の分泌が多い部位にできやすいという意味ではなく、表面が脂っぽく光って見えることに由来しています。また「老人性」と名付けられていますが、これは加齢とともに発症頻度が高まることを示しており、若い世代にも発症することがあります。
老人性イボとシミの違い
一般的に「シミ」と呼ばれる老人性色素斑は、皮膚の表面が平らなままメラニン色素が沈着したものです。一方、老人性イボは皮膚が盛り上がっている点が大きな違いです。
実際には、老人性色素斑(シミ)が時間の経過とともに盛り上がり、脂漏性角化症へと進展するケースも多く見られます。つまり、最初はシミだったものが、徐々にイボ状に変化していくことがあるのです。
見分け方の一つとして、ファンデーションを塗ったときの状態で判断する方法があります。シミの場合はファンデーションできれいに隠れることが多いですが、老人性イボの場合はイボの縁にファンデーションが溜まってしまい、かえって凸凹が目立つことがあります。
老人性イボはウイルス性のイボとは異なる
一般的に「イボ」と聞くと、ウイルス感染によるものを想像される方も多いかもしれません。代表的なウイルス性イボには、手足にできる尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)や、子どもに多い伝染性軟属腫(水イボ)などがあります。
しかし、老人性イボはウイルスが原因ではありません。そのため、他人に感染することはありませんし、触っても広がることもありません。ウイルス性イボに効果があるとされる飲み薬(ヨクイニンなど)や塗り薬も、老人性イボには効果がありません。
3. 老人性イボができる原因
老人性イボの明確な発症原因は、現在のところ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が発症に関与していると考えられています。
加齢による皮膚の老化
老人性イボの最も大きな原因と考えられているのが、加齢による皮膚の老化です。脂漏性角化症は皮膚の老化現象の一つとされており、80歳以上ではほぼ全員に見られるほど一般的な症状です。
通常、40代以降に発症することが多いですが、遺伝的な要因や紫外線の影響によって20代から発症する方もいらっしゃいます。年齢を重ねるとともに皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)の機能が低下し、メラニン色素の排出が追いつかなくなることで、シミやイボができやすくなると考えられています。
紫外線の影響
紫外線は、老人性イボの発症に大きく関与していると考えられています。老人性イボは、顔、首、手の甲、背中など、日光に当たりやすい部位に好発することからも、紫外線との関連性がうかがえます。
紫外線を長期間にわたって浴び続けると、皮膚細胞のDNAにダメージが蓄積され、遺伝子に異常が生じることがあります。これにより、表皮の基底細胞や有棘細胞が異常増殖し、老人性イボが発症すると考えられています。また、紫外線によってメラニン色素が過剰に産生されるため、老人性イボは色素沈着を伴い、褐色や黒色を呈することが多いです。
環境省の紫外線環境保健マニュアルでも、紫外線に関連してできる皮膚の腫瘍として、良性の脂漏性角化症と悪性の皮膚がんが挙げられており、紫外線対策の重要性が示されています。
遺伝的な要因
老人性イボは、遺伝的な要因も関係していると考えられています。同じ年齢でもほとんど老人性イボができない人と、多発する人がおり、この個人差は遺伝的な体質の違いによるものと推測されています。
家族に老人性イボが多い方は、ご自身も発症するリスクが高くなる可能性があります。遺伝的な要因による発症を完全に予防することは難しいですが、紫外線対策をしっかり行うことで、発症や進行を遅らせることができる可能性があります。
皮膚への摩擦や刺激
首や脇の下など、衣類との摩擦が多い部位に老人性イボができやすいことから、物理的な刺激も発症に関与している可能性があります。繰り返しの摩擦によって皮膚がダメージを受け、異常な細胞増殖につながることが考えられています。
4. 老人性イボの症状と特徴
老人性イボは、さまざまな形態や色調を呈することがあります。ここでは、老人性イボの典型的な症状と特徴について詳しく解説します。
外見上の特徴
老人性イボは、一般的に以下のような外見上の特徴を持っています。
まず、大きさについてですが、数ミリメートルから2〜3センチメートル程度のものが多く、中には5センチメートル以上に大きくなるものもあります。形状は円形または卵円形が多く、皮膚からわずかに盛り上がるものから、著しく突出するものまでさまざまです。
色調は、肌色に近いものから褐色、黒褐色まで幅広く、皮膚の常色から黒色調のものまでさまざまな濃さがあります。表面は通常ザラザラしており、疣状(いぼじょう)、ビロード状、または蝋(ろう)のように見えることもあります。また、鱗屑(りんせつ:皮膚の薄い剥がれ)や痂皮(かひ:かさぶた)が付着していることもあります。
特徴的なのは、皮膚面に「張り付いている」ような外観を呈することが多い点です。この特徴は、老人性イボを他の皮膚病変と区別する際の一つの目安になります。
好発部位
老人性イボは、体のどこにでも発生する可能性がありますが、特に以下の部位に好発します。
顔面は最も多い発症部位の一つです。特にこめかみ、頬、額などに多く見られます。首も非常に多い部位で、首周りに多発することがあります。頭部、特に髪の毛の生え際付近にもできることがあり、くしを入れたときに引っかかって出血することがあります。
体幹部、特に胸や背中にも発生します。また、手の甲など、日光に当たりやすい部位にも多く見られます。一方、手のひらや足の裏には通常できません。これは、これらの部位の皮膚構造が他の部位と異なるためと考えられています。
自覚症状
老人性イボは、ほとんどの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状はありません。そのため、見た目以外の理由で治療を急ぐ必要はないことが多いです。
ただし、衣類やアクセサリーとの摩擦によって刺激を受けると、かゆみや不快感を感じることがあります。また、引っかかって傷つくと出血することもあります。特に首や脇の下、ウエストライン付近にできた場合は、日常生活で気になることがあるかもしれません。
経過と予後
老人性イボは良性腫瘍であり、悪性化してがんになることは基本的にありません。しかし、自然に消失することもないため、放置していると徐々に増大したり、数が増えたりする傾向があります。
一つ注意が必要なのは、短期間に全身に急に老人性イボが増え、かゆみを伴う場合です。これはレーザー・トレラ徴候(Leser-Trélat徴候)と呼ばれ、内臓の悪性腫瘍(消化器がんやリンパ腫など)のサインである可能性があります。このような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
5. 老人性イボと似ている疾患との見分け方
老人性イボは、いくつかの皮膚疾患と見た目が似ていることがあります。特に重要なのは、悪性の皮膚腫瘍との鑑別です。
老人性色素斑(シミ)との違い
老人性色素斑、いわゆるシミは、老人性イボと同様に紫外線の影響で発症する色素沈着です。両者の最も大きな違いは、皮膚の盛り上がりの有無です。
シミは皮膚表面が平らなままメラニン色素が沈着したもので、触っても凹凸を感じません。一方、老人性イボは皮膚が盛り上がっており、触るとザラザラした質感があります。
前述のように、シミが時間の経過とともに盛り上がり、老人性イボに進展することもあります。そのため、両者は連続した病態として捉えることもできます。
ほくろ(色素性母斑)との違い
ほくろ(色素性母斑)も、老人性イボと見た目が似ていることがあります。両者とも褐色から黒色を呈することがあるためです。
一般的に、ほくろは表面がつるつるしていて柔らかい質感があります。一方、老人性イボは表面がザラザラしていて、硬くもろい質感があり、爪で軽くこするとポロポロとかさぶたのように取れることがあります(ただし、自己処置は感染のリスクがあるため推奨されません)。
悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別
悪性黒色腫(メラノーマ)は、ほくろのがんとも呼ばれる悪性の皮膚腫瘍で、早期発見・早期治療が極めて重要です。老人性イボと見た目が似ていることがあるため、専門医による正確な診断が必要です。
悪性黒色腫を疑う所見として、以下のABCD基準が知られています。
A(Asymmetry:非対称性):形が左右非対称である B(Border:境界不整):境界がギザギザしている C(Color:色調不均一):色にムラがある、濃淡がまだら D(Diameter:直径):直径が6ミリメートルを超える
また、最近急に大きくなった、色が変化した、出血するようになった、周囲に色がにじみ出してきたなどの変化がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
基底細胞がんとの鑑別
基底細胞がんは、日本で最も多い皮膚がんです。紫外線が誘因となるため、顔面、特に鼻を中心とした部位に好発します。黒色を呈することがあるため、老人性イボやほくろと見間違えることがあります。
基底細胞がんは、悪性黒色腫と比較すると転移することはまれで、生命を脅かすことは少ないですが、放置すると局所的に進行するため、早期の治療が重要です。
日光角化症との鑑別
日光角化症は、長年の紫外線曝露によって生じる前がん病変です。脂漏性角化症より周囲にわずかに赤みがかっていることが特徴ですが、両者の鑑別が難しいことがあります。
日光角化症は治療しないとより悪性化し、有棘細胞がんに進行する可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
6. 老人性イボの診断方法
老人性イボの診断は、主に視診によって行われますが、より正確な診断のためにいくつかの検査が行われることがあります。
視診による診断
老人性イボは、その特徴的な外観から、経験豊富な皮膚科医であれば視診だけで診断できることがほとんどです。9割以上の患者さまは、見ただけで診断がつくとされています。
皮膚科医は、病変の色調、形状、大きさ、表面の質感、分布パターンなどを総合的に評価して診断を行います。
ダーモスコピー検査
ダーモスコピー検査は、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を使用して皮膚を詳細に観察する検査です。この検査は、痛みを伴うことなく皮膚病変の表面を10倍程度に拡大して観察でき、より正確な診断が可能になります。
日本皮膚科学会でも、ダーモスコピー検査はメラノーマ診療に必須と位置付けられています。老人性イボ、ほくろ、悪性黒色腫などの鑑別に非常に有用で、特に悪性腫瘍の早期発見に役立ちます。
ダーモスコピー検査は健康保険が適用されており、自己負担額は数百円程度です。皮膚科を受診する際は、ダーモスコピー検査が可能な医療機関を選ぶことをお勧めします。
病理検査(生検)
視診やダーモスコピー検査でも診断が確定しない場合や、悪性腫瘍が疑われる場合には、病理検査(生検)が行われることがあります。これは、病変の一部または全部を切除して、顕微鏡で組織を詳しく調べる検査です。
病理検査を行うことで、良性か悪性かを確実に診断することができます。検査結果は通常1〜2週間程度で判明します。
7. 老人性イボの治療法・除去方法
老人性イボは良性腫瘍であるため、必ずしも治療が必要というわけではありません。しかし、見た目が気になる場合や、衣類との摩擦で不快感がある場合などは、除去治療を検討することができます。
老人性イボの治療法にはいくつかの選択肢があり、それぞれに特徴があります。
液体窒素による冷凍凝固療法
液体窒素による冷凍凝固療法は、老人性イボの治療として最も一般的に行われている方法の一つです。マイナス196度の液体窒素を患部に塗布し、組織を凍結させて破壊します。
この治療法のメリットは、特殊な器具を必要とせず、ほとんどの皮膚科で受けることができる点です。また、健康保険が適用されるため、1回あたりの治療費が比較的安価です。
一方、デメリットとしては、治療時と治療後にヒリヒリとした痛みを伴うこと、1回で完全に除去できないことが多く複数回の治療が必要になることが挙げられます。また、治療後に炎症後色素沈着と呼ばれるシミが残ることがあり、これが半年から2年程度続くことがあります。特に顔面の治療では、この色素沈着が美容上の問題となることがあります。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)治療は、老人性イボの除去において最も有効かつ一般的な治療法の一つです。レーザーの熱エネルギーによって皮膚内の水分を蒸散させ、老人性イボの組織を削り取ります。
炭酸ガスレーザー治療のメリットは、通常1回の治療で除去が可能であること、出血が少ないこと、治療時間が短いことです。また、削る深さを精密にコントロールできるため、周囲の健康な組織へのダメージを最小限に抑えることができます。液体窒素治療と比較して、治療後の色素沈着が起こりにくく、起こった場合も数ヶ月で改善することが多いです。
デメリットとしては、基本的に自費診療となるため費用が高くなること、局所麻酔が必要なことが挙げられます。ただし、一部の施設では保険適用で治療を受けられることもあります。
高周波メス(ラジオ波メス)による治療
高周波メス(ラジオ波メス、サージトロンなど)は、高周波電流を利用して患部を焼灼・切除する方法です。顔にできたイボや厚みのあるイボに適しています。
この治療法は、止血と焼灼・切除を同時に行えるため、通常のメスに比べて傷口が小さく、治りも早いというメリットがあります。
Qスイッチレーザー・ピコレーザー治療
Qスイッチレーザーやピコレーザーは、主にメラニン色素に反応するレーザーで、シミの治療によく用いられます。老人性イボの治療にも使用されることがありますが、盛り上がりが強い場合は単独での治療が難しいことがあります。
厚みがある老人性イボの場合は、炭酸ガスレーザーと組み合わせて治療することで、より良い結果が得られることがあります。炭酸ガスレーザーで表面を削り、残った色素をQスイッチレーザーやピコレーザーで除去するという方法です。
外科的切除
外科的切除は、メスを使って老人性イボを切除する方法です。切除した組織を病理検査に提出できるため、悪性腫瘍が疑われる場合には特に有用です。
ただし、傷跡が残る可能性があることや、顔面など目立つ部位での治療には適さないことがあるため、最初から勧められることは少ないです。
市販薬や民間療法について
老人性イボに対しては、市販されているイボ取りの薬(イボコロリなど)は効果がありません。これらの市販薬は主にウイルス性イボを対象としており、老人性イボとは原因が異なるためです。
また、木酢液など民間療法として使用されることがあるものについても、医学的な有効性を示すエビデンスは存在せず、むしろ化学熱傷や接触皮膚炎のリスクがあります。老人性イボの治療には、科学的根拠に基づいた医療行為が必要です。
自己処置で老人性イボを取ろうとすると、感染症を引き起こしたり、症状が悪化したりする可能性があります。イボを自分で取ることは避け、必ず医療機関を受診してください。
8. 老人性イボの予防法
老人性イボは加齢による皮膚の老化現象の一つであるため、完全に予防することは難しいですが、いくつかの対策によって発症や進行を遅らせることができる可能性があります。
紫外線対策
老人性イボの予防において最も重要なのは、紫外線対策です。紫外線の影響は蓄積性があるため、若い頃から継続的に対策を行うことが大切です。
具体的な紫外線対策としては、以下のようなものが挙げられます。
日焼け止めの使用については、紫外線防御指数(SPF)30以上で、紫外線A波とB波の両方に対する防御効果があるものを選びましょう。外出時には指示通りに塗布し、2時間ごと、また泳いだ後や汗をかいた後にも塗り直すことが推奨されています。
帽子や日傘の使用も効果的です。特につばの広い帽子は、顔や首への紫外線を効果的に遮ることができます。また、長袖の衣服やUVカット機能のある衣類を着用することも有効です。
日光を避けることも重要です。午前10時から午後4時までは紫外線が最も強くなる時間帯です。この時間帯の屋外活動を控えたり、日陰を利用したりすることで、紫外線への曝露を減らすことができます。
環境省や気象庁が提供しているUVインデックス(紫外線指数)を参考にすることで、その日の紫外線の強さに応じた適切な対策を取ることができます。
皮膚の保湿
皮膚の乾燥は、ターンオーバー(新陳代謝)の乱れにつながり、メラニン色素の排出を妨げる可能性があります。適切な保湿ケアを行い、皮膚のバリア機能を維持することが大切です。
摩擦を避ける
首や脇の下など、衣類との摩擦が多い部位には老人性イボができやすいとされています。締め付けの強い衣類やアクセサリーを避け、皮膚への物理的な刺激を減らすことが予防につながる可能性があります。
生活習慣の改善
喫煙や過度のアルコール摂取は、皮膚の老化を促進させる要因になります。禁煙や節度ある飲酒を心がけることで、皮膚の健康を維持し、老人性イボの発症リスクを下げられる可能性があります。
バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持することも、皮膚の老化防止に役立ちます。
定期的な皮膚チェック
老人性イボそのものは良性ですが、悪性腫瘍との鑑別が重要です。定期的に自分の皮膚をチェックし、新しいイボやシミができていないか、既存のものに変化がないかを確認しましょう。
気になる症状がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
9. 老人性イボ除去の治療費用について
老人性イボの治療費用は、治療法や施設によって異なります。ここでは、一般的な費用の目安をご紹介します。
保険診療の場合
液体窒素による冷凍凝固療法は、健康保険が適用されます。3割負担の場合、1回の治療につき数百円から千円程度の費用がかかります。ただし、複数回の通院が必要になることが多いため、トータルの費用はその分増えることになります。
炭酸ガスレーザー治療についても、一部の施設では保険適用で受けられることがあります。保険適用の場合、1回の治療で10個程度のイボを除去でき、3割負担で数千円程度の費用となります。
自費診療の場合
炭酸ガスレーザー治療を自費診療で受ける場合、施設や治療範囲によって費用が大きく異なります。一般的には、イボ1個あたり数千円から1万円程度、または大きさ(ミリメートル単位)に応じた料金設定がされていることが多いです。
複数のイボを一度に除去する場合や、「取り放題」プランを設けている施設もあります。費用は施設によって異なりますので、事前にご確認ください。
治療を受ける前に
治療を受ける前には、必ず医師の診察を受け、治療法、費用、リスク、ダウンタイムなどについて十分な説明を受けてください。複数の医療機関でカウンセリングを受け、比較検討することも一つの方法です。
10. 大宮で老人性イボの治療を受けるなら
大宮は埼玉県の中心都市として、多くの医療機関が集まる地域です。老人性イボの治療を受ける際には、以下のポイントを参考に医療機関を選んでいただければと思います。
医療機関選びのポイント
まず、皮膚科専門医が在籍している医療機関を選ぶことをお勧めします。皮膚科専門医は、皮膚疾患に関する専門的な知識と技術を持っており、老人性イボと悪性腫瘍の鑑別診断を正確に行うことができます。
次に、ダーモスコピー検査が可能な医療機関を選びましょう。ダーモスコピー検査は、より正確な診断のために非常に有用な検査です。すべての皮膚科でダーモスコピー検査が行えるわけではないため、事前に確認することをお勧めします。
複数の治療法を提供している医療機関であれば、患者さま一人ひとりの状態や希望に合わせた最適な治療法を選択することができます。液体窒素療法、レーザー治療、外科的切除など、さまざまな選択肢を提示してもらえる医療機関が理想的です。
また、治療実績や症例写真を公開している医療機関であれば、治療の結果をイメージしやすくなります。カウンセリングの際に、実際の症例について質問してみるのも良いでしょう。
アイシークリニック大宮院のご紹介
アイシークリニック大宮院は、JR大宮駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りやお買い物のついでにもお立ち寄りいただきやすい立地にあります。
当院では、老人性イボの診断から治療まで、一貫したケアを提供しております。正確な診断を行い、患者さま一人ひとりの症状や希望に合わせた治療法をご提案いたします。
老人性イボでお悩みの方、治療をご検討の方は、お気軽にご相談ください。経験豊富なスタッフが丁寧に対応させていただきます。

11. よくあるご質問
老人性イボに関して、患者さまからよくいただくご質問とその回答をまとめました。
自分で老人性イボを取ることは推奨されません。市販のイボ取り薬(イボコロリなど)は、ウイルス性イボを対象としたもので、老人性イボには効果がありません。また、自己処置によって感染症を引き起こしたり、症状が悪化したりするリスクがあります。さらに、老人性イボだと思っていたものが実は悪性腫瘍だったという可能性もあります。必ず医療機関を受診し、専門医の診断を受けてください。
治療法によって異なります。液体窒素による冷凍凝固療法は、治療時にヒリヒリとした痛みを感じることがあります。炭酸ガスレーザー治療や外科的切除では、通常、局所麻酔を行いますので、治療中の痛みは最小限に抑えられます。治療後には軽い痛みや熱感を感じることがありますが、通常は数日で落ち着きます。
治療法や個人差がありますが、一般的には以下のような経過をたどります。液体窒素療法の場合、治療後に水ぶくれができることがあり、その後かさぶたになって1〜2週間程度で脱落します。炭酸ガスレーザー治療の場合、治療部位は擦り傷のような状態になり、2〜3週間程度で皮膚が再生します。いずれの場合も、治療後の色素沈着は数ヶ月から1年程度で徐々に薄くなっていきます。
完全に除去できた場合、同じ場所から再発することはまれです。ただし、老人性イボは加齢とともに増える傾向があるため、治療した部位とは別の場所に新たな老人性イボができることはあります。紫外線対策など予防を心がけることで、新たな発症を減らすことができる可能性があります。
老人性イボ(脂漏性角化症)そのものは良性腫瘍であり、悪性化してがんになることは基本的にありません。ただし、老人性イボに見えていたものが、実は最初から悪性腫瘍(悪性黒色腫や基底細胞がんなど)だったということはあり得ます。そのため、専門医による正確な診断が重要です。
12. まとめ
老人性イボ(脂漏性角化症)は、加齢や紫外線の影響などによって発症する良性の皮膚腫瘍です。40代以降に多く見られ、80代ではほぼすべての方に認められる非常に一般的な症状です。
老人性イボは良性であるため、健康上の問題を引き起こすことは基本的にありません。しかし、見た目が気になる場合や日常生活に支障がある場合は、除去治療を検討することができます。
治療法としては、液体窒素による冷凍凝固療法、炭酸ガスレーザー治療、高周波メスによる治療、外科的切除などがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。専門医と相談の上、ご自身に合った治療法を選択することが大切です。
また、老人性イボに見えていても、実は悪性腫瘍である可能性もあります。自己判断せず、必ず専門医の診察を受けることをお勧めします。
予防としては、紫外線対策が最も重要です。若い頃から日焼け止めや帽子、日傘などを活用し、紫外線への曝露を減らすことで、老人性イボの発症や進行を遅らせることができる可能性があります。
大宮エリアで老人性イボの治療をお考えの方は、アイシークリニック大宮院にお気軽にご相談ください。患者さま一人ひとりに合わせた最適な治療をご提案いたします。
13. 参考文献
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A メラノーマ(ほくろのがん)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版 脂漏性角化症
- MSDマニュアル家庭版 脂漏性角化症
- 環境省 紫外線環境保健マニュアル2020
- 気象庁 紫外線による健康被害の予防
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務