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軽症なのにインフル陽性:その理由と正しい対処法を徹底解説

はじめに

インフルエンザの流行期になると、「高熱もないし、そんなに辛くないのに検査で陽性が出た」という経験をされる方が少なくありません。典型的なインフルエンザのイメージといえば、38度以上の高熱、全身の倦怠感、関節痛などの強い症状ですが、実際にはそれほど症状が重くないケースも存在します。

この記事では、軽症にもかかわらずインフルエンザ検査で陽性反応が出る現象について、その医学的な背景から実際の対処法まで、詳しく解説していきます。

インフルエンザとは:基本的な理解

インフルエンザウイルスの特徴

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。日本では主に冬季に流行し、毎年12月から3月にかけてピークを迎えることが一般的です。現在、人に流行を引き起こすインフルエンザウイルスは主にA型とB型の2種類です。

A型インフルエンザにはH1N1(かつての新型インフルエンザ)とH3N2(香港型)が含まれ、B型にはビクトリア系統と山形系統があります。ただし、山形系統は2020年以降、世界的に検出されなくなっており、現在主に流行しているのはビクトリア系統となっています。

典型的な症状と経過

通常、インフルエンザに感染すると、ウイルスが体内に入ってから1日から4日(平均2日程度)の潜伏期間を経て、突然の発症が見られます。典型的な症状としては以下のようなものが挙げられます。

38度以上の高熱が特徴的で、しばしば39度から40度に達することもあります。全身症状としては、悪寒、頭痛、関節痛や筋肉痛などが現れ、これらは風邪に比べて強く出る傾向があります。呼吸器症状としては、咳、のどの痛み、鼻水、鼻づまりなどが見られます。

また、一部の患者では吐き気、嘔吐、下痢といった消化器症状が現れることもあります。これは特に小児でよく見られますが、成人では比較的まれです。症状の持続期間は個人差がありますが、発症から4日から5日前後で軽快に向かうことが多いとされています。

インフルエンザ検査の仕組みと精度

検査方法の種類

現在、医療機関で行われるインフルエンザの検査には、いくつかの方法があります。

最も一般的なのは迅速抗原検査です。これは鼻腔や咽頭から採取した検体を用いて、インフルエンザウイルスの表面にある特定のタンパク質(抗原)を検出する方法です。結果は10分から15分程度で判明し、A型とB型を区別して診断できる利点があります。

より精度の高い検査として、核酸増幅法(NEAR法やRT-PCR法など)があります。これはウイルスの遺伝子を検出する方式で、迅速抗原検査よりも感度が高く、発症早期でも検出可能な場合があります。ただし、すべての医療機関で実施できるわけではありません。

最近では、AI画像診断を用いた新しい診断方法も登場しています。咽頭の画像をAIが解析してインフルエンザ感染を判定する方式で、発症から12時間以内でも高精度で検出できる可能性があります。

検査の精度:感度と特異度

インフルエンザ迅速抗原検査の精度について理解するためには、感度と特異度という2つの指標を知る必要があります。

感度とは、実際にインフルエンザに感染している人が検査で陽性と判定される確率のことです。複数の研究によると、迅速抗原検査の全体的な感度は54%から62%程度とされています。つまり、インフルエンザに感染している人の約半数しか検査で検出できないことを意味します。

一方、特異度は、インフルエンザに感染していない人が検査で陰性と判定される確率です。迅速抗原検査の特異度は98%から100%と非常に高く、これは陽性と判定された場合にはほぼ確実にインフルエンザに感染していることを意味します。

発症からの時間経過と検査精度

インフルエンザ検査の精度は、発症からの経過時間によって大きく変わります。この点は軽症例の診断において非常に重要です。

日本の研究によると、発症から12時間未満で検査を行った場合、感度は38.9%と非常に低くなります。つまり、発症直後に検査を受けると、実際にインフルエンザに感染していても約60%以上の人が陰性と判定されてしまうのです。

発症から12時間から24時間経過すると、感度は40.5%にわずかに上昇します。24時間から48時間後には65.2%まで向上し、48時間以降では69.6%に達します。このように、時間の経過とともに検査の精度が上がることから、多くの医療機関では発症から12時間以上経過してからの検査を推奨しています。

軽症でも陽性になる理由

個人差による症状の多様性

同じインフルエンザウイルスに感染しても、症状の出方は人によって大きく異なります。これには複数の要因が関わっています。

まず、その人が持っている免疫力が重要です。過去に同じ型のインフルエンザに感染したことがある人や、ワクチンを接種している人は、ある程度の免疫を持っているため、感染しても症状が軽く済む可能性があります。

また、感染したときの体調や健康状態も影響します。十分に睡眠を取り、栄養バランスの良い食事をしている人は、免疫機能が正常に働きやすく、ウイルスの増殖を早期に抑えられる場合があります。

年齢による免疫応答の違いも見られます。若年の健康な成人では、免疫系が効率的に働くため、症状が軽症で済むことがあります。一方、高齢者や基礎疾患を持つ人では重症化しやすい傾向があります。

ワクチン接種の影響

インフルエンザワクチンを接種している人が軽症で済むケースは多く見られます。ワクチンの効果は完全ではありませんが、発症の予防と重症化の防止に一定の効果があることが知られています。

ワクチン接種により、体内には事前にインフルエンザウイルスに対する抗体が作られます。この抗体は、実際にウイルスが侵入してきたときに即座に反応し、ウイルスの増殖を抑制します。その結果、感染したとしても、ウイルス量が少ない状態で済み、症状が軽くなるのです。

ワクチンの効果は接種後1週間から2週間で現れ始め、2か月から3か月の間、最も高い予防効果が持続します。その後、徐々に効果は減衰しますが、5か月程度は一定の予防効果が期待できます。

ただし、ワクチンで使用されるウイルス株と実際に流行するウイルス株が異なる場合、予防効果は低下することがあります。それでも、重症化を防ぐ効果は維持されることが多く、ワクチン接種の重要性が強調されています。

無症状・軽症感染の実態

実は、インフルエンザに感染しても全く症状が出ない人や、ごく軽い症状で済む人は決して珍しくありません。ある研究では、インフルエンザウイルスに感染した人の中で最も多い状態が「無症状」であることが示されています。

無症状感染者の場合、本人は体調不良を感じないため、検査を受ける機会もなく、自分が感染していることに気づかないまま過ごすことがほとんどです。しかし、検査を受ければ陽性と判定されます。

軽症感染の場合も同様で、微熱程度の発熱や軽い倦怠感、のどの違和感といった程度の症状しか現れないことがあります。本人は「ちょっと風邪気味かな」程度にしか感じないため、特別な対処をせずに日常生活を送ることも多いでしょう。

こうした無症状や軽症の感染者が検査を受けるきっかけとなるのは、多くの場合、家族や職場の同僚などにインフルエンザ患者が出たことによる接触者検査や、学校・職場での健康診断、あるいは別の病気の診察時に念のため検査を受けるといったケースです。

ウイルス量と症状の関係

体内に侵入したインフルエンザウイルスの量と症状の重さには、ある程度の相関関係があります。大量のウイルスに曝露された場合、体内で急速にウイルスが増殖し、強い症状が出やすくなります。

一方、少量のウイルスにしか曝露されなかった場合や、早期に免疫系がウイルスを認識して対処できた場合は、ウイルスの増殖が限定的になり、症状も軽く済む可能性があります。

また、感染部位によっても症状の出方が変わります。ウイルスが主に上気道(鼻腔や咽頭)で増殖している場合と、下気道(気管支や肺)まで到達している場合では、症状の重さが異なります。軽症例では、ウイルスの増殖が主に上気道に限定されていることが多いのです。

軽症陽性者の感染力について

周囲への感染リスク

軽症だからといって、他の人にウイルスをうつす可能性が低いとは限りません。インフルエンザの感染力は、症状の重さよりもウイルスの排出量に依存します。

インフルエンザウイルスは、発症の約1日前から発症後5日から7日程度の期間、体外に排出されます。特に発症から2日から3日目にウイルス排出量がピークに達することが知られています。

軽症であっても、この期間中は一定量のウイルスを排出している可能性があります。咳やくしゃみをすることでウイルスを含んだ飛沫が周囲に飛散し、他の人に感染させるリスクがあるのです。

ただし、無症状感染者の場合、咳やくしゃみといった症状がないため、飛沫によるウイルスの拡散は相対的に少ないと考えられます。それでも、会話や接触を通じた感染の可能性はゼロではありません。

学校・職場での対応

学校における出席停止期間は、学校保健安全法により明確に定められています。「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」は出席停止となります。

これは、症状の重さにかかわらず適用される基準です。つまり、軽症であってもインフルエンザと診断された以上は、この期間は学校を休む必要があります。医師が感染のおそれがないと認めた場合は例外となりますが、基本的にはこの基準に従うことになります。

一方、一般の職場では、法律で一律の休業期間は定められていません。多くの職場では、学校の基準を準用するか、解熱して全身状態が回復してからの復帰を認めています。ただし、医療・介護などハイリスク環境では、より慎重な復帰基準が設けられることがあります。

職場によっては治癒証明書の提出を求めることもありますが、厚生労働省は必ずしも必要ないとしています。重要なのは、体調が回復し、他の人に感染させるリスクが低くなってから復帰することです。

軽症陽性時の適切な対応

受診のタイミングと必要性

軽症の場合、すぐに医療機関を受診すべきかどうか迷う方も多いでしょう。基本的な考え方としては、日常生活に支障がない程度の症状であれば、必ずしも急いで受診する必要はありません。

食事が取れる、眠れる、排泄に問題がない、といった日常生活上の基本的な動作に異常がなければ、自宅で安静にして様子を見ることも選択肢の一つです。十分な休養と水分補給を心がけ、症状の変化を観察しましょう。

一方、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

高熱が持続し、解熱剤を使用しても改善しない場合や、呼吸が苦しい、息切れがするといった呼吸器症状が見られる場合は注意が必要です。また、意識がもうろうとする、けいれんを起こす、嘔吐や下痢が激しく水分が取れない、尿が出ないといった症状も、速やかな受診が必要です。

特に注意が必要なのは、高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、免疫不全など)を持つ人です。これらの方々は重症化のリスクが高いため、症状が軽くても早めに医療機関を受診することが推奨されます。

抗インフルエンザ薬の使用について

軽症のインフルエンザに対して、必ず抗インフルエンザ薬を使用しなければならないわけではありません。インフルエンザは基本的に自然治癒する病気であり、健康な若年成人であれば、薬を使用しなくても数日で回復することが多いのです。

抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなど)を使用すると、使用しなかった場合と比べて発熱期間が約1日短縮される効果が期待できます。ただし、症状の重さそのものを大きく軽減したり、合併症を確実に予防する効果については、限定的であるとの研究結果もあります。

また、抗インフルエンザ薬には吐き気や嘔吐などの副作用が一定の頻度で見られます。特にタミフルでは、服用者の一部に消化器症状が現れることが知られています。

抗インフルエンザ薬の効果を最大限に得るには、発症から48時間以内に投与を開始する必要があります。逆に言えば、発症から48時間以上経過してから服用しても、効果は限定的です。

軽症の場合、抗インフルエンザ薬を使用するかどうかは、患者の年齢、基礎疾患の有無、症状の程度、発症からの経過時間などを総合的に判断して決定します。医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で決めることが大切です。

自宅での療養方法

軽症であっても、インフルエンザと診断された場合は、自宅で安静にして療養することが基本です。以下のポイントを心がけましょう。

十分な休養を取ることが最も重要です。体力を回復させ、免疫機能を正常に働かせるために、できるだけ睡眠時間を確保しましょう。無理に活動すると回復が遅れたり、症状が悪化したりする可能性があります。

水分補給をしっかり行いましょう。発熱により体内の水分が失われやすくなります。水、お茶、スポーツドリンク、経口補水液などを少しずつこまめに飲むようにしてください。

栄養のある食事を心がけましょう。食欲がない場合は無理に食べる必要はありませんが、消化の良いものを選び、少量でも栄養を摂取することが大切です。おかゆ、うどん、スープなどが適しています。

解熱剤を使用する場合は、アセトアミノフェン(カロナールなど)が推奨されます。市販の解熱剤を使用する際は、成分を確認し、アセトアミノフェンを含むものを選びましょう。

家族への配慮

自分が軽症であっても、家族など同居者への感染を防ぐための配慮が必要です。

可能な限り別の部屋で過ごし、特に高齢者や小児、基礎疾患のある家族との接触を避けましょう。どうしても同じ部屋にいる必要がある場合は、できるだけ距離を取り、マスクを着用してください。

使用したティッシュはすぐにビニール袋に入れて密閉し、捨てるようにしましょう。食器やタオルは共用せず、できれば使い捨てのものを使用するか、使用後は通常の洗剤でしっかり洗浄してください。

こまめな換気も重要です。1時間に1回程度、窓を開けて空気を入れ替えることで、室内のウイルス濃度を下げることができます。

手洗いを頻繁に行い、咳やくしゃみをする際はティッシュやハンカチ、袖で口と鼻を覆う咳エチケットを守りましょう。家族にも手洗い、手指消毒を徹底してもらうことが大切です。

インフルエンザ検査を受けるべきタイミング

発症からの経過時間

検査の精度を考慮すると、発症から12時間以上経過してから検査を受けることが推奨されます。先述のとおり、発症直後は体内のウイルス量がまだ少なく、検査で検出できない可能性が高いためです。

一方で、抗インフルエンザ薬の効果を考えると、発症から48時間以内に診断・治療を開始することが望ましいとされています。したがって、発熱などの症状が現れてから12時間以上48時間以内の期間が、検査を受ける最適なタイミングと言えるでしょう。

実際の受診のタイミングとしては、今日発熱したのであれば、翌日に受診するのが適切です。夜間に発熱した場合、無理に夜間救急を受診するよりも、翌朝まで様子を見て、日中に受診する方が良いケースも多くあります。

ただし、症状が非常に重い場合や、呼吸困難などの危険な兆候がある場合は、時間帯にかかわらず速やかに医療機関を受診してください。

検査の必要性の判断

すべてのインフルエンザ様症状に対して検査が必要なわけではありません。検査を受けるかどうかは、以下のような要素を考慮して判断します。

周囲でインフルエンザが流行している時期であるか、家族や職場など身近な人にインフルエンザ患者がいるかといった疫学的な状況は重要な判断材料です。流行期に典型的な症状があれば、検査をしなくても臨床的にインフルエンザと診断されることもあります。

症状の程度も考慮すべき点です。軽い風邪症状だけで全身状態が良好であれば、必ずしも検査を急ぐ必要はありません。一方、高熱や強い全身症状がある場合は、診断を確定し、適切な治療方針を決めるために検査が有用です。

学校や職場の規定によっては、診断書の提出が必要な場合があります。このような場合は、検査を受けて診断を確定する必要があります。

基礎疾患の有無も重要です。糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、免疫不全などの基礎疾患がある人は、重症化のリスクが高いため、早期に診断を確定し、必要に応じて抗インフルエンザ薬を使用することが推奨されます。

検査結果の解釈

検査結果が陽性の場合は、ほぼ確実にインフルエンザに感染していると判断できます。迅速抗原検査の特異度は非常に高く、偽陽性(実際は感染していないのに陽性と出ること)はほとんどありません。

一方、検査結果が陰性の場合、必ずしもインフルエンザを否定できるわけではありません。先述のとおり、検査の感度は完璧ではなく、特に発症早期や症状が軽い場合には偽陰性となる可能性があります。

検査が陰性でも、周囲の流行状況や症状から総合的に判断して、医師が臨床的にインフルエンザと診断することもあります。特に、家族がインフルエンザと診断されており、同様の症状がある場合などは、検査が陰性でもインフルエンザとして対応することが適切です。

重要なのは、検査結果だけでなく、症状、経過、周囲の状況などを総合的に判断することです。検査はあくまで診断の補助手段であり、最終的な判断は医師の臨床的評価に基づいて行われます。

予防と今後の対策

インフルエンザワクチンの重要性

軽症で済むケースが多いとはいえ、インフルエンザの予防は重要です。最も効果的な予防法は、毎年のワクチン接種です。

ワクチン接種により、発症そのものを一定程度予防できるだけでなく、感染した場合でも重症化を防ぐ効果が期待できます。特に高齢者や基礎疾患のある人では、肺炎や脳症などの重篤な合併症を予防する効果が確認されています。

ワクチンの接種時期は、流行期の2週間前、つまり10月末から11月頃が推奨されます。接種後、免疫が獲得されるまでに約2週間かかり、その後3か月から5か月程度効果が持続します。

13歳以上は原則1回の接種で十分ですが、13歳未満の小児は2回接種が基本です。接種間隔は2週間から4週間空けるのが一般的です。

ワクチンを接種していても感染する可能性はありますが、その場合でも症状が軽く済む可能性が高くなります。本記事で扱っている「軽症なのに陽性」というケースの多くは、ワクチン接種により一定の免疫を獲得していた人と考えられます。

日常生活での予防策

ワクチン接種に加えて、日常生活での予防対策も重要です。

手洗いと手指消毒を習慣化しましょう。インフルエンザウイルスは接触感染によっても広がります。外出から帰宅した際、食事の前、トイレの後などには、石けんと流水で20秒以上かけて丁寧に手を洗いましょう。アルコール消毒も有効です。

マスクの着用は、特に流行期や人混みで有効です。自分が感染を予防するだけでなく、自分が感染者である場合に他人への感染を防ぐ効果もあります。不織布マスクを正しく着用することが大切です。

適度な湿度を保つことも予防に役立ちます。空気が乾燥するとウイルスが長時間浮遊しやすくなり、また鼻や喉の粘膜の防御機能が低下します。室内の湿度を50%から60%程度に保つよう心がけましょう。

十分な睡眠とバランスの取れた食事により、免疫力を維持することも大切です。疲労が蓄積すると免疫機能が低下し、感染しやすくなります。規則正しい生活リズムを心がけ、体調管理に努めましょう。

人混みを避けることも予防策の一つです。流行期には不要不急の外出を控え、やむを得ず外出する際はマスクを着用するなどの対策を取りましょう。

免疫力を高める生活習慣

インフルエンザに対する抵抗力を高めるためには、日頃からの健康管理が重要です。

適度な運動は免疫機能を向上させます。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を持ちましょう。ただし、過度な運動は逆に免疫機能を低下させることがあるので注意が必要です。

ストレス管理も重要です。慢性的なストレスは免疫機能を抑制します。リラックスできる時間を持ち、趣味や休息を大切にしましょう。

禁煙も推奨されます。喫煙は気道の防御機能を低下させ、呼吸器感染症のリスクを高めます。また、受動喫煙も同様のリスクがあるため、周囲の人の健康のためにも禁煙が望ましいです。

よくある質問

Q1. 軽症でもインフルエンザと診断された場合、仕事や学校は休まなければなりませんか?

A. はい、症状が軽くても休む必要があります。学校の場合は法律で出席停止期間が定められており、職場でも同様の基準を適用することが一般的です。軽症であっても他の人に感染させるリスクがあるため、指定された期間は自宅療養することが求められます。

Q2. 検査で陽性だったが全く症状がない場合、本当にインフルエンザなのでしょうか?

A. はい、症状がなくても検査で陽性であれば、インフルエンザウイルスに感染していると考えられます。無症状感染は実際に起こり得る現象で、ウイルスは体内に存在しますが、免疫系がうまく対処しているため症状が出ていない状態です。

Q3. 軽症の場合、抗インフルエンザ薬は飲まなくても良いですか?

A. 健康な若年成人で軽症の場合、必ずしも抗インフルエンザ薬を使用する必要はありません。インフルエンザは基本的に自然治癒する病気です。ただし、高齢者や基礎疾患のある人、妊婦などでは、重症化予防のために薬の使用が推奨されます。医師と相談して決めることが大切です。

Q4. 家族がインフルエンザなのに自分は軽い症状しかありません。検査は受けるべきですか?

A. 家族にインフルエンザ患者がいる場合、たとえ症状が軽くても感染している可能性があります。学校や職場の規定により診断書が必要な場合や、基礎疾患がある場合は検査を受けることをお勧めします。ただし、症状が非常に軽く、日常生活に支障がない場合は、自宅で安静にして様子を見ることも選択肢の一つです。

Q5. ワクチンを打っていれば軽症で済むのですか?

A. ワクチンには発症予防効果と重症化予防効果があります。ワクチンを接種していても感染する可能性はありますが、その場合でも症状が軽く済む傾向があります。ただし、効果は個人差があり、また流行するウイルス株とワクチン株の一致度によっても変わります。

Q6. 軽症だった場合、すぐに普通の生活に戻れますか?

A. たとえ症状が軽くても、ウイルスの排出期間は考慮する必要があります。発症後5日間、かつ解熱後2日間(幼児は3日間)は感染力が残っている可能性があるため、この期間は外出を控えることが推奨されます。症状が軽くても、周囲への配慮として指定期間は自宅で過ごすことが大切です。

Q7. 検査が陰性でもインフルエンザの可能性はありますか?

A. あります。インフルエンザ迅速検査の感度は完璧ではなく、特に発症早期や症状が軽い場合は偽陰性(実際は感染しているのに陰性と出ること)の可能性があります。周囲の流行状況や症状から総合的に判断し、医師が臨床的にインフルエンザと診断することもあります。

Q8. 一度インフルエンザにかかったら、その年はもうかかりませんか?

A. 同じ型のウイルスに対しては一定期間の免疫が得られますが、インフルエンザにはA型とB型があり、さらにA型の中にも複数の亜型が存在します。一度かかったからといって、別の型のインフルエンザに感染しないわけではありません。また、ウイルスは変異するため、同じシーズン内でも再感染する可能性はゼロではありません。

まとめ

インフルエンザに感染しても、必ずしも高熱や強い全身症状が現れるわけではありません。ワクチン接種による免疫、過去の感染歴、個人の免疫力の差、感染したときの体調など、様々な要因により症状の出方は大きく異なります。

軽症であっても検査で陽性と判定されることは十分にあり得ることであり、この場合でも適切な対応が必要です。自分の健康を守るだけでなく、周囲への感染を防ぐという観点から、指定された期間は自宅で療養することが大切です。

検査を受けるタイミングや、抗インフルエンザ薬を使用するかどうかは、症状の程度、発症からの時間、基礎疾患の有無などを考慮して判断します。迷った際は、医療機関を受診し、医師に相談することをお勧めします。

予防においては、毎年のワクチン接種を基本とし、手洗い、マスク着用、適度な湿度の維持、十分な睡眠とバランスの取れた食事など、日常生活での対策も重要です。

参考文献

  1. 厚生労働省「インフルエンザかな?症状がある方へ」
  2. 国立成育医療研究センター「インフルエンザ」
  3. 関東労災病院「インフルエンザのはなし」
  4. 日本感染症学会「発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究」
  5. ひまわり医院「インフルエンザの潜伏期間について」
  6. ひまわり医院「インフルエンザの検査は何時間後からいつまで?」
  7. ましもと内科呼吸器科「インフルエンザ よくあるご質問」
  8. 環境再生保全機構「ぜん息、COPD患者さんとインフルエンザ」
  9. 健栄製薬「インフルエンザは一度かかると免疫がつく?」
  10. MSDマニュアル家庭版「予防接種の概要」
  11. 米盛病院「インフルエンザと新型コロナウイルス感染症」

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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