目次
- はじめに
- 唇にできるホクロの特徴と種類
- ホクロができる原因とメカニズム
- 唇のホクロとシミの違い
- 悪性黒色腫(メラノーマ)との見分け方
- 唇のホクロ除去が推奨されるケース
- 唇のホクロ除去の治療法
- レーザー治療の種類と特徴
- 手術による除去方法
- 治療前の診断と検査
- 施術の流れと麻酔について
- 術後のケアとダウンタイム
- 治療に伴うリスクと注意点
- 治療費用と保険適用について
- 大宮エリアでの治療を検討される方へ
- まとめ
1. はじめに
唇にできたホクロは、顔の中心に位置するため非常に目立ちやすく、多くの方がコンプレックスに感じています。リップメイクの発色が悪くなったり、唇全体の色がくすんで見えたりすることで、見た目の印象に大きく影響することも少なくありません。
唇は紫外線ケアや摩擦軽減が難しい部位であり、一度ホクロができてしまうと拡大や増殖のリスクもあります。また、食事や会話などで常に動いている部位であるため、洗顔時やひげを剃る際に引っかかってしまうなど、日常生活においても支障をきたすことがあります。
本記事では、大宮エリアで唇のホクロ除去を検討されている方に向けて、ホクロの基礎知識から治療法、術後のケアまで詳しく解説します。正しい知識を身につけることで、安心して治療に臨んでいただければ幸いです。
2. 唇にできるホクロの特徴と種類
2-1. ホクロとは何か
ホクロは医学的には「色素性母斑」や「母斑細胞母斑」と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。メラニン色素を作る細胞であるメラノサイトが変化した「母斑細胞」が皮膚に集まって固まることで形成されます。通常は6ミリ以下の大きさで、褐色から黒色までの色調を呈し、平坦なものから隆起したものまで様々な形状があります。
ホクロには生まれつき存在する「先天性色素性母斑」と、成長過程で出現する「後天性色素性母斑」があります。先天性のものは胎児期におけるメラノサイトの分化異常により生じ、出生時から認められることもあれば、成長とともに徐々に大きくなることもあります。
2-2. 唇のホクロの特殊性
唇にできるホクロには、顔の他の部位にできるホクロとは異なる特徴があります。
唇は皮膚の構造が通常の皮膚とは異なり、角層が非常に薄いという特徴があります。このため、メラニン色素を含むホクロ細胞が存在する深さも比較的浅く、レーザー治療などが効きやすい傾向にあります。
また、唇のホクロは厚みが出にくく、平坦なまま維持されることがほとんどです。これは、唇のホクロ細胞が存在する部位が元々浅いことに起因しています。一方で、顔の他の部位にあるホクロは、加齢とともに徐々に隆起してくることがあります。
唇のホクロは、単純なホクロと色素沈着(シミ)の区別が難しいことも特徴の一つです。専門医による診断では、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いて、メラニンの分布パターンを観察することで、ホクロとシミを区別します。
3. ホクロができる原因とメカニズム
3-1. 紫外線の影響
ホクロができる最も大きな原因は紫外線です。紫外線を浴びると、皮膚を守るためにメラノサイトが活性化され、メラニン色素が生成されます。このメラニンの量が非常に多かったり、作られたメラニンの排出が十分に行われなかったりすると、ホクロとして皮膚に現れることがあります。
唇は特に紫外線の影響を受けやすい部位です。唇には皮脂腺がほとんどなく、角層も薄いため、紫外線を遮るバリア機能が低くなっています。さらに、唇にはUVカット効果のあるリップクリームを塗っても、食事や飲み物で落ちてしまうため、紫外線対策が困難です。
3-2. 物理的刺激
唇は日常生活において常に刺激にさらされている部位です。食事をとって口を拭いたり、唇を舐めたり触ったりする癖がある方は、その刺激によってメラノサイトが活性化され、ホクロができやすくなります。
また、リップクリームや口紅の塗布、クレンジング時の摩擦なども、唇への慢性的な刺激となります。このような刺激の繰り返しが、メラニン色素の産生を促し、ホクロや色素沈着の原因となることがあります。
3-3. ホルモンバランスの変化
女性ホルモンの一つであるプロゲステロンが多く分泌されると、メラニンも多く作られるようになります。特に生理前、妊娠中、出産時、更年期などホルモンバランスが大きく変化する時期には、メラノサイトの活動が活発になり、ホクロが新たに出現することがあります。
妊娠中に新しいホクロができたり、既存のホクロが濃くなったりすることは珍しくありません。多くの場合、出産後にホルモンバランスが整うと徐々に落ち着いていきますが、そのまま残ってしまうこともあります。
3-4. 遺伝的要因
ホクロのできやすさには遺伝的な要因も関係しています。家族にホクロが多い方がいる場合、自分自身もホクロができやすい体質である可能性があります。先天性のホクロは胎児期の細胞分化の過程で形成されるため、完全に予防することは困難です。
3-5. アトピー性皮膚炎との関連
アトピー性皮膚炎がある方や、唇に慢性的に湿疹や口唇炎がある方は、唇にホクロやシミができやすい傾向があります。炎症が長期間続くことで、その部位にメラニン色素が沈着し、炎症後色素沈着として残ってしまうことがあります。
4. 唇のホクロとシミの違い
4-1. 口唇メラノーシスとは
唇にできる色素沈着の多くは「口唇メラノーシス」と呼ばれるシミの一種です。口唇メラノーシスは、唇にできる1センチ以下の茶色や黒色の色素沈着で、1つのこともあれば複数できることもあり、下唇に多く見られます。20代の女性に多く見られることがわかっています。
口唇メラノーシスの原因としては、リップを常に塗り直したりこすったりするような慢性刺激、乾燥、湿疹や口唇炎、紫外線などが考えられています。
4-2. ホクロとシミの医学的な違い
ホクロとシミは見た目では似ていますが、医学的には異なる病変です。
シミはメラノサイトで作られたメラニン色素が皮膚に沈着した状態です。メラノサイト自体の数は正常で、メラニン色素の産生量が増加している状態といえます。
一方、ホクロはメラノサイトが変化した「母斑細胞」が増殖して固まったものです。母斑細胞がメラニン色素を含んでいるため、黒く見えます。
4-3. 治療法の違い
シミの場合は、Qスイッチレーザーやピコレーザーなどのメラニン色素に反応するレーザーで効果的に治療できます。多くの場合、1回の照射で色が消えます。
一方、ホクロの場合は、母斑細胞が皮膚の深い部分まで存在していることがあるため、レーザー治療では複数回の照射が必要になることがあります。また、隆起のあるホクロは炭酸ガスレーザーや手術での除去が適していることもあります。
唇のホクロとシミの区別は専門医でも難しいことがあるため、正確な診断にはダーモスコピーによる観察が不可欠です。
5. 悪性黒色腫(メラノーマ)との見分け方
5-1. 悪性黒色腫とは
悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン色素を産生する色素細胞(メラノサイト)ががん化した悪性腫瘍です。「ほくろのがん」とも呼ばれ、皮膚がんの中でも特に悪性度が高いことで知られています。
日本人における悪性黒色腫の発症率は10万人あたり1~2人程度で、白人と比較すると発症率は低いものの、近年は患者数が増加傾向にあります。早期に発見して適切な治療を行えば治癒が期待できますが、進行すると転移しやすく、治療が困難になります。
5-2. ABCDE基準による見分け方
良性のホクロと悪性黒色腫を見分けるためには、以下の「ABCDE基準」が参考になります。
Asymmetry(非対称性):ホクロは円形や楕円形であることが多いのに対し、悪性黒色腫は左右非対称でいびつな形をしていることが多いです。
Border irregularity(境界の不整):ホクロは境界がくっきりしているのに対し、悪性黒色腫は境界がギザギザしていたり、ぼんやりしていたり、周囲に色がしみ出していることがあります。
Color variegation(色調のムラ):ホクロは色が均一であることが多いのに対し、悪性黒色腫は1つの病変内に褐色、黒色、赤色、白色など複数の色調が混在していることがあります。
Diameter(大きさ):ホクロは通常6ミリ以下ですが、悪性黒色腫は6ミリ以上あることが多いです。
Evolving(変化):悪性黒色腫は急速に大きくなったり、色が濃くなったり、形が変化したりすることがあります。
5-3. 受診すべき症状
以下のような変化がある場合は、早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
最近急にできたホクロ、短期間で大きくなったホクロ、色が不均一なホクロ、境界がぼやけているホクロ、出血やかゆみがあるホクロ、形がいびつなホクロなどが該当します。
特に唇の場合、良性のホクロやシミと悪性黒色腫の区別が困難なことがあります。専門医による診察とダーモスコピー検査を受けることで、正確な診断が可能になります。
6. 唇のホクロ除去が推奨されるケース
6-1. 美容面での悩み
唇のホクロは顔の中心に位置するため非常に目立ちます。ホクロがあることで唇の色がくすんで見えたり、口紅を塗っても発色が悪くなったりすることがあります。
大きなホクロがある場合は口紅がうまく塗れず、ムラや塗り残しが生じることもあります。ホクロを隠すために濃く厚く口紅を塗ろうとすると、唇だけが不自然に目立ってしまうこともあります。
このように、唇のホクロはメイクの選択肢を狭め、見た目の印象に大きく影響するため、美容目的での除去を希望される方は多くいらっしゃいます。
6-2. 日常生活への支障
唇のホクロは、日常生活においても支障をきたすことがあります。
食事の際にホクロが引っかかる、ひげを剃るときにカミソリが当たって傷ができる、洗顔時に爪が引っかかる、無意識に舌で触ってしまい唇が乾燥するなどの問題が生じることがあります。
このように生活に支障をきたしている場合は、保険適用で治療を受けられる可能性があります。
6-3. 悪性腫瘍の除外
ホクロが急に大きくなったり、形や色に変化があったりする場合は、悪性腫瘍の可能性を除外するために除去して病理検査を行うことが推奨されます。
皮膚がんの疑いがある場合や、診断を確定するために検査が必要な場合は、保険適用での治療が可能です。
7. 唇のホクロ除去の治療法
唇のホクロ除去には、大きく分けてレーザー治療と手術の2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ホクロの状態や患者さんの希望に応じて最適な方法を選択します。
7-1. レーザー治療
レーザー治療は、外科的な切除に比べて傷跡が残りにくく、治療時間も短いため、美容目的でホクロを除去する場合に多く選択されます。
唇のホクロ治療に使用されるレーザーには、炭酸ガスレーザー、Qスイッチレーザー、ピコレーザーなどがあります。ホクロの種類(平坦か隆起しているか)、大きさ、深さによって適切なレーザーが異なります。
特に唇は角層が薄いため、メラニン色素に反応するタイプのレーザー(Qスイッチレーザーやピコレーザー)が効果を発揮しやすい部位といえます。平坦で色の濃いホクロであれば、傷跡を残さずに治療できる可能性が高くなります。
7-2. 手術による切除
手術による切除は、大きなホクロや根が深いホクロ、悪性腫瘍の疑いがあるホクロに適しています。切除したホクロを病理検査に提出できるため、良性か悪性かを正確に診断することができます。
手術には、ホクロを囲むように紡錘形に切除して縫合する方法と、円形にくり抜いて軟膏処置で治癒させる方法があります。切除縫合法は再発リスクが低いですが、縫合跡が残ります。くり抜き法は縫合不要で傷跡が目立ちにくいですが、大きなホクロには適していません。
8. レーザー治療の種類と特徴
8-1. Qスイッチレーザー
Qスイッチレーザーは、メラニン色素に選択的に反応する波長を持つレーザーです。照射時間が非常に短く(ナノ秒単位)、高出力でメラニン色素だけを熱破壊することができます。
Qスイッチレーザーには、Qスイッチルビーレーザー、QスイッチYAGレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザーなどの種類があります。
Qスイッチルビーレーザーは、波長694nmでメラニンへの吸収率が非常に高く、唇のシミやホクロの治療に高い効果を発揮します。正常な皮膚や血管にダメージを与えることなく、メラニン色素だけを破壊できるため、唇のような繊細な部位にも適しています。
唇のホクロ治療においては、Qスイッチレーザー単独で完全に除去できない場合もありますが、複数回の照射を行うことで徐々に薄くなっていきます。傷跡が残りにくいというメリットがある一方、治療期間が長くなることがデメリットです。
8-2. ピコレーザー
ピコレーザーは、Qスイッチレーザーよりもさらに短い照射時間(ピコ秒単位)で照射できる最新のレーザーです。メラニン色素を非常に細かい粒子に粉砕することができ、体内で吸収・排出されやすくなります。
熱によらない物理的な破壊作用により、傷の治りが早く、ダウンタイムが短いのが特徴です。また、色素沈着のリスクも低いとされています。
8-3. 炭酸ガス(CO2)レーザー
炭酸ガスレーザーは、波長10600nmの遠赤外線で、皮膚組織に含まれる水分に反応します。照射すると瞬時に熱エネルギーに変換され、組織を蒸散させて皮膚を削ることができます。
隆起したホクロの除去に適しており、ピンポイントで照射できるため、削る大きさや深さを調整することができます。出血がほとんど起こらず、施術時間も短いのがメリットです。
ただし、唇のホクロ治療においては注意が必要です。炭酸ガスレーザーは組織を熱凝固させるため、創傷治癒が遅延し、瘢痕(傷跡)が残りやすい傾向があります。特に唇から鼻にかけての範囲は瘢痕になりやすい部位であり、炭酸ガスレーザー単独での治療は難易度が高いとされています。
8-4. レーザーの選択
唇のホクロ治療においては、ホクロの状態によって最適なレーザーが異なります。
平坦で色の濃いホクロには、Qスイッチレーザーやピコレーザーが適しています。これらのレーザーは傷跡を残さずに治療できる可能性が高く、唇のような繊細な部位に適しています。
隆起のあるホクロには、炭酸ガスレーザーとQスイッチレーザーを組み合わせる方法が有効です。炭酸ガスレーザーで盛り上がりを削った後、残った色素をQスイッチレーザーで除去することで、きれいな仕上がりを目指すことができます。
9. 手術による除去方法
9-1. 切除縫合法
切除縫合法は、ホクロを囲むように紡錘形に切除し、周囲の皮膚を縫い合わせる方法です。保険適用で治療を受ける場合は、この方法が第一選択となることが多いです。
局所麻酔を行った後、メスでホクロとその周囲の皮膚を切除します。このとき、皮膚の奥の真皮層の細胞までしっかりと取り去ることで、再発を予防することができます。切除後は、しわの方向を考慮しながら縫合します。抜糸は通常1週間後に行います。
切除縫合法のメリットは、再発リスクが低いこと、切除した組織を病理検査に提出できることです。デメリットは、縫合による傷跡が残ること、術後の通院が必要なことです。
9-2. くり抜き法(パンチ法)
くり抜き法は、円筒状の器具(パンチ)を使ってホクロをくり抜く方法です。小さなホクロ(4ミリ以下)に適しています。
ホクロをくり抜いた後は、縫合せずに軟膏を塗布して自然治癒させます。縫合しないため、抜糸のための通院は不要です。
くり抜き法のメリットは、縫合が不要で傷跡が目立ちにくいこと、通院回数が少ないことです。デメリットは、大きなホクロには適していないこと、切除縫合法と比較すると再発リスクがやや高いことです。
9-3. 唇の手術の注意点
唇は運動量が激しく、常に動いている部位であるため、手術後の傷跡が盛り上がったり(肥厚性瘢痕)、赤くなったり、白く色が抜けてしまったりすることがあります。
特に鼻と唇の間のエリアは瘢痕になりやすい部位として知られています。唇のホクロを手術で除去する場合は、形成外科専門医など、顔の手術に習熟した医師による施術が推奨されます。
10. 治療前の診断と検査
10-1. 視診とダーモスコピー検査
唇のホクロ治療においては、まず視診とダーモスコピー検査によって、良性のホクロなのか悪性腫瘍なのかを鑑別します。
ダーモスコピーは、ライトがついた特殊な拡大鏡で、病変部を10~20倍程度に拡大して観察する検査です。この検査により、メラニン色素の分布パターンや血管の構造などを詳しく確認することができ、目視だけでは判断が難しい病変の診断に役立ちます。
検査に伴う痛みはなく、その場ですぐに結果がわかります。良性と判断されれば、レーザー治療や手術の計画を立てることができます。
10-2. 病理検査
悪性腫瘍の疑いがある場合や、診断を確定する必要がある場合は、病変を切除して病理検査を行います。
病理検査では、切除した組織を顕微鏡で観察し、細胞の構造や形態から良性か悪性かを判断します。また、ホクロの細胞がどの程度の深さまで存在しているかも確認することができます。
レーザー治療では病理検査ができないため、悪性腫瘍の可能性が否定できない場合は、手術による切除が推奨されます。
11. 施術の流れと麻酔について
11-1. レーザー治療の流れ
レーザー治療の場合、まずカウンセリングと診察を行います。ダーモスコピーでホクロの状態を確認し、適切な治療法を提案します。
施術当日は、まず麻酔を行います。唇の場合、麻酔クリームや麻酔テープが使えないことが多く、局所麻酔薬を注射して行うことが一般的です。注射時のみ痛みがありますが、麻酔が効いた後は痛みをほとんど感じません。
レーザー照射自体は数分程度で完了します。照射直後は患部が白く変色したり、軽いヒリヒリ感があったりすることがありますが、通常は数時間で落ち着きます。
施術後は、抗生物質や炎症を抑えるステロイドの軟膏を塗布し、医療用のテープで保護します。処方された軟膏を自宅でも塗布し、患部を清潔に保つことが大切です。
11-2. 手術の流れ
手術の場合も、まずカウンセリングと診察を行い、手術日を決定します。
手術当日は、局所麻酔を注射して行います。麻酔が効いたことを確認してから、メスでホクロを切除します。切除縫合法の場合は、縫合を行います。手術時間は、ホクロの大きさにもよりますが、30分程度です。
術後は、傷口に軟膏を塗布し、テープやガーゼで保護します。抜糸は通常1週間後に行います。
11-3. 麻酔について
唇のホクロ治療では、局所麻酔を使用します。注射による麻酔のため、注射時に痛みを感じますが、その後は痛みなく治療を受けることができます。
麻酔薬にアレルギーがある方は、事前に医師に申告してください。アレルギーがある場合は、別の麻酔薬を使用するか、慎重に経過を観察しながら施術を行います。
12. 術後のケアとダウンタイム
12-1. レーザー治療後のケア
レーザー治療後は、照射部位がびらん(浅い傷)となり、1週間~10日ほどで治ります。この間は、処方された軟膏を塗布し、テープで保護することが大切です。
口唇全体を照射した場合は、かさぶたになり、7~14日で剥がれます。かさぶたが剥がれた後は一時的にピンク色の唇が出現しますが、その後、炎症後の色素沈着が出現して、3~6ヶ月ほどで収まります。
施術後7日目以降は、傷跡の上からメイクが可能になりますが、それまでは患部を刺激しないよう注意してください。
12-2. 手術後のケア
手術後は、傷口を清潔に保ち、処方された軟膏を塗布します。抜糸まで(通常1週間)は、傷口を水で濡らさないよう注意してください。
抜糸後は、傷跡の赤みが徐々に薄くなっていきます。術後1ヶ月頃は赤みが強く出ることがありますが、通常は半年程度で目立たなくなります。
12-3. ダウンタイム中の注意点
紫外線対策:治療後の肌は紫外線の影響を受けやすい状態です。紫外線を浴びると色素沈着のリスクが高まるため、日焼け止めの使用や帽子、日傘などでの紫外線対策を徹底してください。
保湿:肌が乾燥すると、傷跡が色素沈着しやすくなります。処方された軟膏やリップクリームで保湿を心がけましょう。
刺激を避ける:傷口をこすったり、かさぶたを無理に剥がしたりしないでください。刺激を加えると、傷跡が目立つ原因になります。
飲酒・喫煙:アルコールは血行を促進し、出血や腫れのリスクを高めます。喫煙は傷の治りを遅らせるため、施術後しばらくは控えることをお勧めします。
13. 治療に伴うリスクと注意点
13-1. 瘢痕形成
唇は瘢痕(傷跡)が残りやすい部位として知られています。特に隆起のあるホクロを深く削った場合や、大きなホクロを切除した場合は、白色瘢痕や肥厚性瘢痕が生じることがあります。
瘢痕のリスクを軽減するためには、適切な治療法の選択と、術後のケアが重要です。傷跡が目立つ場合は、ステロイド注射やレーザー治療などで改善できることもあります。
13-2. 色素沈着
治療後に炎症後色素沈着が生じることがあります。これは、傷が治る過程でメラニン色素が産生されることによって起こります。
色素沈着は通常3~6ヶ月程度で自然に薄くなりますが、紫外線を浴びると悪化することがあります。術後は紫外線対策を徹底し、必要に応じてトラネキサム酸やビタミンCの内服を行うこともあります。
13-3. 再発
レーザー治療の場合、ホクロの細胞が深い部分に残っていると再発することがあります。特に深く根を持つホクロは、1回の治療では完全に除去できないことがあり、複数回の照射が必要になることがあります。
手術による切除の場合は、再発リスクは比較的低いですが、ゼロではありません。再発した場合は、再度の治療を検討します。
13-4. 口唇ヘルペスの発症
唇をレーザーで刺激すると、口唇ヘルペスが出現することがあります。口唇ヘルペスの既往がある方は、事前に医師に伝え、必要に応じて抗ウイルス薬の予防投与を行うことがあります。
14. 治療費用と保険適用について
14-1. 保険適用となるケース
ホクロ除去が保険適用となるのは、以下のようなケースです。
悪性腫瘍の疑いがあり、切除して病理検査を行う必要がある場合、ホクロが日常生活に支障をきたしている場合(視界を遮る、ひげを剃るときに引っかかる、洗顔時に傷ができるなど)が該当します。
保険適用の場合は、主にメスを使った切除術(切除縫合法、くり抜き法)が行われます。レーザー治療は基本的に保険適用外となります。
保険適用での治療費用は、ホクロの大きさや部位によって異なりますが、3割負担で5,000円~15,000円程度が目安です。別途、初診料や再診料、処方料、病理検査費用(3,000円程度)がかかります。
14-2. 自由診療の費用
美容目的でホクロを除去する場合は自由診療となり、費用は医療機関によって異なります。
レーザー治療の場合は、ホクロ1個あたり数千円~数万円程度が相場です。ホクロの大きさや使用するレーザーの種類によって費用が異なります。
自由診療の場合は、複数のホクロを同時に治療できることや、治療法の選択肢が広いことがメリットです。ただし、保険適用と異なり、費用は全額自己負担となります。
15. 大宮エリアでの治療を検討される方へ
大宮駅周辺には、皮膚科や形成外科、美容皮膚科が多数あり、ホクロ除去の治療を受けることができます。大宮駅は複数の路線が乗り入れるターミナル駅であり、埼玉県内だけでなく、東京都内や近隣県からもアクセスが良好です。
治療を受ける医療機関を選ぶ際は、以下の点を参考にしてください。
皮膚科専門医や形成外科専門医が在籍しているか:ホクロの診断には専門的な知識が必要です。特に悪性腫瘍との鑑別が重要なため、専門医による診察を受けることをお勧めします。
治療法の選択肢:レーザー治療と手術の両方に対応している医療機関であれば、ホクロの状態に応じて最適な治療法を選択することができます。
アフターケア:術後の経過観察やケアが充実している医療機関を選ぶことで、安心して治療を受けることができます。
アイシークリニック大宮院では、専門医による診察のもと、患者さま一人ひとりの症状やご希望に合わせた治療法をご提案しております。唇のホクロでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

16. まとめ
唇のホクロは顔の中心に位置するため目立ちやすく、見た目の印象や日常生活に影響を与えることがあります。近年はレーザー技術の進歩により、傷跡を残さずに治療できる可能性が高まっています。
治療を検討される際は、まず専門医の診察を受け、ホクロの状態を正確に評価してもらうことが大切です。良性のホクロであれば、ホクロの種類や大きさに応じて、レーザー治療や手術など最適な治療法を選択することができます。
唇は繊細な部位であり、治療には専門的な技術と経験が求められます。信頼できる医療機関で、納得のいくまで説明を受けた上で治療を受けることをお勧めします。
唇のホクロでお悩みの方は、まずはお気軽に専門医にご相談ください。適切な治療により、健康的で美しい唇を取り戻すことができます。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「メラノーマ(悪性黒色腫)」
- 国立がん研究センター希少がんセンター「悪性黒色腫(メラノーマ)」
- 東邦大学プレスリリース「皮膚がんの早期発見で覚えておきたいこと~ほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の5つの見分け方~」
- 兵庫医科大学病院みんなの医療ガイド「ほくろ」
- 岩手医科大学附属病院がんセンター「悪性黒色腫(メラノーマ)」
- 小野薬品がん情報「悪性黒色腫の特徴について」
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務