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【2025年版】ミラドライとは?東京で受けられる切らないワキガ・多汗症治療を徹底解説|効果・費用・クリニック選びのポイント

わきの汗やニオイに悩み、夏になると薄着ができない、人前で腕を上げるのがためらわれるといった経験をお持ちの方は少なくありません。実は、日本人の10人に1人が多汗症を抱えているとされ、そのうち約60%が脇に限局した「原発性腋窩多汗症」だといわれています。しかしながら、多くの方が「体質だから仕方ない」と諦め、医療機関を受診する割合はわずか数%にとどまっているのが現状です。近年、こうした脇汗やワキガの悩みを根本から解決する治療法として注目を集めているのが「ミラドライ」です。ミラドライは2018年に厚生労働省より製造販売承認を取得した、国内唯一のマイクロ波を用いた腋窩多汗症治療機器であり、皮膚を切ることなく汗腺を破壊できるという画期的な特徴を持っています。東京都内には数多くのクリニックがミラドライ治療を提供しており、どのクリニックを選べばよいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。本記事では、ミラドライの仕組みや効果、副作用、費用相場から、東京でクリニックを選ぶ際のポイントまで、専門医の監修のもと詳しく解説いたします。脇汗やワキガでお悩みの方が、ご自身に最適な治療法を見つけるための一助となれば幸いです。


目次

  1. ワキガ・多汗症の基礎知識
  2. ミラドライとは
  3. ミラドライの仕組みと治療原理
  4. ミラドライで期待できる効果
  5. ミラドライの治療の流れ
  6. ミラドライの副作用とダウンタイム
  7. ミラドライと他の治療法との比較
  8. ミラドライの費用相場と保険適用について
  9. 東京でミラドライを受ける際のクリニック選びのポイント
  10. ミラドライを受ける前に知っておきたい注意点
  11. よくある質問
  12. まとめ

ワキガ・多汗症の基礎知識

ワキガ(腋臭症)とは

ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれ、脇の下から特有のニオイを発する状態を指します。人の体には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗腺が存在しています。エクリン汗腺は全身に分布し、主に体温調節のためにサラサラとした水分主体の汗を分泌します。一方、アポクリン汗腺は脇の下、耳の中、乳輪、外陰部、肛門周囲など体の限られた部位にのみ存在し、タンパク質や脂質、アンモニアなどを含む粘り気のある汗を分泌します。

アポクリン汗腺から分泌される汗そのものは実は無臭です。しかし、この汗に含まれる成分が皮膚表面に存在する常在菌によって分解されることで、ワキガ特有の強いニオイが発生します。アポクリン汗腺は思春期に発達し始め、性ホルモンの影響を受けるため、ワキガの症状が顕在化するのは多くの場合10代以降となります。

ワキガ体質は遺伝的要因が大きく関与しており、ABCC11遺伝子がその発症に深く関わっていることが研究により明らかにされています。興味深いことに、この遺伝子は耳垢の性状とも関連しており、耳垢が湿っているタイプの方はアポクリン汗腺が活発である傾向があり、ワキガ体質である可能性が高いとされています。日本人のワキガ体質の割合は約10〜16%程度とされ、欧米人と比較すると少ないものの、体臭に対する意識が高い日本社会においては、多くの方が悩みを抱えているのが実情です。

多汗症(原発性腋窩多汗症)とは

多汗症とは、体温調節に必要な範囲を超えて過剰に発汗してしまう疾患です。このうち、脇の下に限局して多量の発汗がみられる状態を「原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)」と呼びます。「原発性」とは、甲状腺疾患や神経障害など発汗亢進を引き起こす基礎疾患がないにもかかわらず症状が生じることを意味しています。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、明らかな原因がないまま6ヶ月以上にわたり局所的な過剰発汗が認められ、かつ以下の6項目のうち2項目以上に該当する場合に原発性腋窩多汗症と診断されます。最初に症状が現れたのが25歳以下であること、左右対称性に発汗がみられること、睡眠中は発汗が止まること、週に1回以上の多汗エピソードがあること、家族歴があること、そして日常生活に支障をきたしていること、これらが診断基準となっています。

原発性腋窩多汗症の有病率は日本人で約5〜6%(およそ18人に1人)と報告されており、決して珍しい疾患ではありません。しかしながら、病気として認識されていなかったり、相談することへの恥ずかしさから、医療機関を受診する方の割合はわずか4〜6%程度にとどまっています。多汗症の症状は、衣服の汗じみや周囲の目への不安、仕事や対人関係への悪影響など、患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させることがあり、適切な治療介入が望まれています。

ワキガと多汗症の違い

ワキガと多汗症は混同されやすい疾患ですが、原因となる汗腺が異なります。ワキガはアポクリン汗腺からの分泌物が原因で特有のニオイを発するのに対し、多汗症は主にエクリン汗腺からの過剰な発汗が問題となります。ただし、両方の症状を併発しているケースも少なくありません。脇の下にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方が密集しているため、汗の量もニオイも両方気になるという方も多くいらっしゃいます。ミラドライはこの両方の汗腺にアプローチできる治療法であるため、ワキガと多汗症の両方に悩む方にとって効果的な選択肢となります。

ミラドライとは

ミラドライは、米国Miramar Labs社が開発したマイクロ波を用いた腋窩多汗症・腋臭症治療機器です。2012年に米国FDA(食品医薬品局)より腋窩多汗症、腋臭症、減毛の適応で承認を取得し、その後世界40ヶ国以上で累計20万症例以上の治療実績を積み重ねてきました。日本においては、2018年6月4日に厚生労働省より「重度の原発性腋窩多汗症を治療することを目的とした医療機器」として製造販売承認を正式に取得しています(医療機器承認番号:23000BZX00161000)。

ミラドライの最大の特徴は、皮膚を切らずに汗腺を破壊できる「非侵襲的治療」である点です。従来のワキガ治療では、皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接除去する手術(剪除法)が主流でしたが、この方法では傷跡が残る、術後の安静期間が長い、仕事や日常生活への影響が大きいといった課題がありました。ミラドライは皮膚表面からマイクロ波を照射することで汗腺を破壊するため、傷跡を残さず、ダウンタイムも短縮できます。

また、厚生労働省とFDAの両方から承認を受けているという事実は、ミラドライの効果と安全性が科学的データに基づいて認められていることを意味しています。国内で腋窩多汗症治療機器として薬事承認を取得しているのはミラドライのみであり、この点においても信頼性の高い治療法といえます。

ミラドライの仕組みと治療原理

マイクロ波による汗腺破壊のメカニズム

ミラドライは5.8GHzのマイクロ波を利用して汗腺を破壊します。マイクロ波とは、電子レンジにも使用されている電磁波の一種で、水分子に選択的に吸収され熱を発生させる性質を持っています。汗腺は水分を多く含む組織であるため、マイクロ波のターゲットとなりやすいという特性があります。

ミラドライを脇の皮膚表面から照射すると、マイクロ波は皮膚を通過し、汗腺が密集している真皮深層から皮下組織浅層に到達します。この層には、ワキガの原因となるアポクリン汗腺と、多汗症の原因となるエクリン汗腺の両方が存在しています。照射されたマイクロ波は汗腺内の水分子を振動させ、60〜70℃程度の熱を発生させます。この熱により汗腺は凝固・壊死し、その機能を失います。

さらにミラドライには独自の技術が採用されています。照射されたマイクロ波の一部は皮下脂肪層で反射し、再び汗腺のある層に向かってエネルギーを集中させます。この「両方向からのエネルギー照射」により、より効率的に汗腺を破壊することが可能となっています。

ハイドロセラミック・クーリングシステム

マイクロ波による熱が発生する治療において、皮膚表面の熱傷を防ぐことは極めて重要です。ミラドライには「ハイドロセラミック・クーリングシステム」が搭載されており、照射中は皮膚表面を持続的に冷却し続けます。表皮から真皮にかけての浅い層を冷却することで熱損傷を防ぎ、火傷や色素沈着のリスクを最小限に抑えています。

この冷却システムにより、熱の影響は汗腺が存在する層に集中し、それより深い脂肪層や筋肉へのダメージは回避されます。冷却と照射のバランスを精密にコントロールすることで、安全かつ効果的な治療が実現しています。

ミラドライで期待できる効果

汗とニオイの減少効果

ミラドライの最も重要な効果は、脇汗とワキガ臭の大幅な減少です。一度の施術で、汗腺の約70〜80%を破壊することが可能とされています。これにより、施術前と比較して汗の量やニオイが70〜80%程度減少するという効果が期待できます。臨床研究においては、治療1年後においても81.7%の発汗減少が維持されていたとの報告もあり、長期的な効果が裏付けられています。

ただし、100%の汗腺を完全に破壊することは困難であり、施術後も2〜3割程度の汗腺は残存します。そのため、全く汗をかかなくなる、ニオイが完全にゼロになるということは現実的ではありません。しかし、多くの患者さんにおいて、日常生活で脇汗やニオイがほとんど気にならなくなるレベルまで改善されています。

効果の持続性

ミラドライの大きなメリットの一つが、効果の持続性です。マイクロ波によって破壊された汗腺は再生しないため、一度の治療で半永久的な効果が期待できます。ボトックス注射のように定期的な再治療が必要ないことは、長期的なコストパフォーマンスや通院の手間を考えると大きな利点といえます。

ただし、治療直後と半年後では効果の感じ方に変化があることも知っておく必要があります。施術直後は一時的に全ての汗腺が機能を停止するため、汗やニオイがほとんど気にならなくなります。しかし、1ヶ月ほど経過すると、破壊しきれなかった汗腺がダメージから回復し、活動を再開し始めます。このため「施術直後より汗が戻った」「再発したのでは」と感じる方もいらっしゃいますが、これは正常な経過です。ミラドライの効果が安定するのは施術から約半年後であり、この時点で残存している汗やニオイの程度が「半永久的に持続する効果」となります。

減毛効果

ミラドライには副次的な効果として、脇毛の減毛効果も報告されています。アポクリン汗腺は毛根の近くに存在しているため、マイクロ波照射の際に毛根にもダメージが及びます。これにより、施術後に脇毛の量が減少する方が多くいらっしゃいます。もちろんこれは脱毛治療を目的としたものではないため、完全な脱毛効果を保証するものではありませんが、自己処理の頻度が減るという点で副次的なメリットとなり得ます。

ミラドライの治療の流れ

カウンセリング・診察

ミラドライ治療を受ける前には、必ず医師によるカウンセリングと診察が行われます。この段階で、現在の脇汗やワキガの症状、お悩みの程度、既往歴、アレルギーの有無などを詳しく確認します。医師は症状の重症度を評価し、ミラドライ治療が適切かどうかを判断します。治療の効果や副作用、術後の経過についても詳しく説明がありますので、不安な点や疑問点があればこの時点でしっかりと確認しておくことが重要です。

重症度の評価には、HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)という指標が用いられることがあります。これは「発汗が日常生活に支障をきたす程度」を4段階で評価するもので、HDSS3以上(発汗がほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある)の方が治療の主な対象となります。

施術当日の準備

施術当日に向けて、いくつかの準備事項があります。まず、照射範囲を正確にマーキングするため、脇毛の処理が必要です。施術の2〜3日前までにシェービングを済ませておくよう指示されることが一般的です。また、施術当日は脇を清潔に洗浄し、デオドラントスプレーや制汗剤は使用せずに来院します。

マーキングと局所麻酔

施術はまず、照射範囲のマーキングから始まります。専用のテンプレートシートを使用し、汗腺が存在する範囲を正確に特定してマーキングを行います。マーキングが完了したら、照射範囲に局所麻酔を注射します。麻酔注射の際にはチクチクとした痛みを感じますが、麻酔が効いた後はミラドライの照射中に痛みを感じることはありません。痛みに敏感な方や不安が強い方には、笑気麻酔を併用して痛みを軽減する対応をしているクリニックもあります。

ミラドライの照射

麻酔が十分に効いたことを確認した後、ミラドライの照射を開始します。ミラドライのハンドピースを脇の皮膚に当て、皮膚を吸引で固定しながらマイクロ波を照射していきます。照射の際には皮膚表面が冷却されるため、熱さを感じることはほとんどありません。マーキングに沿って、漏れなく全範囲に照射が行き渡るよう、一定間隔で照射位置を移動させていきます。

照射時間は片側約30分、両脇で約60分程度が目安です。クリニックによっては、より効果を高めるために広範囲照射やダブル照射(同じ部位に2回照射)を行う場合があり、その場合は施術時間が2〜3時間に及ぶこともあります。

施術後の処置と帰宅

照射が終了したら、マーキングを拭き取り、患部を冷却パックで10〜20分程度冷やします。その後、術後に服用する薬(抗生剤、鎮痛剤など)や塗り薬の説明、日常生活における注意事項の説明を受けて帰宅となります。ミラドライは入院の必要がない日帰り治療であり、施術後はそのまま帰宅できます。

ミラドライの副作用とダウンタイム

施術後に生じる可能性のある症状

ミラドライは切らない治療とはいえ、汗腺を熱で破壊する施術であるため、術後にはいくつかの症状が生じることがあります。主な副作用として挙げられるのは、腫れ、痛み、内出血、しびれ、しこり、感覚の変化などです。これらの症状は個人差がありますが、ほとんどの場合は一時的なものであり、時間の経過とともに改善していきます。

腫れは施術直後から生じ、当日の夜から翌日にかけてピークを迎えることが多いです。脇の下がぷっくりと膨らんだような状態になりますが、1〜2週間程度で徐々に落ち着いていきます。痛みについては、麻酔が切れた後にヒリヒリとした感覚や、日焼けをした後のような痛みを感じる方がいます。痛みのピークも当日の夜から翌日程度で、その後は徐々に軽減していきます。内出血は、麻酔注射や照射の影響で生じることがあり、脇やその周辺、腕に青あざが広がる場合がありますが、1〜3週間程度で消失します。

脇の感覚が鈍くなる、またはしびれを感じるという症状も比較的多く見られます。これはマイクロ波の照射により、汗腺だけでなく周辺の感覚神経の末端にもダメージが及ぶことが原因です。ただし、末梢神経は再生する能力を持っているため、時間の経過とともに感覚は戻ってきます。多くの場合、3ヶ月前後で感覚は正常に回復します。

しこりや皮膚の硬さを感じるという症状は、施術後1ヶ月前後から気になり始めることがあります。これは照射部位の組織が修復される過程で生じる拘縮(こうしゅく)と呼ばれる現象で、脇を触ったときに硬く感じたり、腕を伸ばしたときに引きつれるような感覚があったりします。これも通常は1〜3ヶ月程度で徐々に改善していきます。

ダウンタイムの目安

ミラドライのダウンタイムは、手術療法と比較すると格段に短いことが大きなメリットです。施術の翌日から日常生活に戻ることができる方がほとんどであり、デスクワークなど体を激しく動かさない仕事であれば翌日からの復帰が可能です。

ただし、施術当日から数日間は以下の点に注意が必要です。入浴は施術当日は控え、シャワー浴にとどめます。体温が上昇すると血行が促進され、腫れや痛みが悪化する可能性があるためです。同様の理由で、激しい運動やサウナ、飲酒も施術当日は避けることが推奨されます。入浴や軽い運動は翌日から可能になりますが、激しい運動は1週間程度控えたほうが無難です。また、脇を強くこすったり刺激を与えたりすることも避けてください。

術後の経過を時系列で見ると、1週間後には痛み・腫れ・内出血はかなり軽減し、日常生活にほぼ支障がなくなります。1ヶ月後には目に見える症状はほとんど落ち着きますが、この頃から汗やニオイが少し戻ってきたと感じる方もいます。これは前述のとおり正常な経過です。3ヶ月後には感覚の鈍さや硬さもほぼ解消され、半年後には効果が安定し、最終的な治療結果が確定します。

ダウンタイムを短くするためのポイント

術後の副作用を最小限に抑え、回復を早めるためにはいくつかのポイントがあります。最も重要なのは「冷却」です。施術当日から数日間は、クリニックから渡されるアイスパックなどでこまめに患部を冷やすことで、腫れや痛みを軽減できます。特に施術当日の夜は痛みのピークを迎えやすいため、しっかりと冷却を行いましょう。

また、処方された痛み止めは必要に応じて服用し、無理に我慢しないことも大切です。塗り薬が処方された場合は、指示どおりに使用してください。施術後しばらくは脇に負担がかからないよう、ゆったりとした服を着用し、腕を大きく動かす動作は控えめにするとよいでしょう。

ミラドライと他の治療法との比較

剪除法(手術療法)との比較

剪除法(せんじょほう)は、脇の下の皮膚を切開し、医師が直接目で確認しながらアポクリン汗腺を切除する手術です。腋臭症の治療として保険適用が認められており、3割負担の場合は両脇で4〜5万円程度と費用を抑えられることが大きなメリットです。また、汗腺を直接除去するため、効果の確実性が高いとされています。

一方で、剪除法にはいくつかのデメリットがあります。皮膚を3〜5cm切開するため傷跡が残ること、術後は血腫予防のため2週間程度の圧迫固定が必要であること、入院が必要な場合もあること、そして片脇ずつ手術するクリニックでは両脇の治療に2回の手術と2回の安静期間が必要になることなどが挙げられます。社会人の方にとっては、長期間仕事を休まなければならない点が大きなハードルとなりやすいです。

ミラドライは傷跡が残らず、翌日から日常生活に戻れるという点で優れていますが、費用が高額であること、100%の汗腺を除去できるわけではないことがデメリットとなります。それぞれの治療法の特徴を理解した上で、ご自身のライフスタイルや優先順位に合った選択をすることが重要です。

ボトックス注射との比較

ボトックス注射は、ボツリヌス毒素製剤を脇に注射することで、エクリン汗腺からの発汗を抑制する治療法です。施術時間は両脇で5〜10分程度と非常に短く、ダウンタイムもほとんどありません。費用も1回あたり3〜8万円程度と比較的手頃で、気軽に受けやすい治療です。

しかし、ボトックス注射の効果は永続的ではなく、4〜6ヶ月程度で効果が薄れてきます。そのため、効果を維持するには年に2〜3回の注射を継続する必要があります。また、ボトックスは主にエクリン汗腺に作用するため、発汗量の減少には効果的ですが、ワキガ臭の原因であるアポクリン汗腺には直接作用しません。ニオイを根本から改善したい方にとっては、効果が限定的となる可能性があります。

ミラドライは一度の施術で半永久的な効果が期待でき、汗の量とニオイの両方に対応できます。長期的に考えると、ボトックス注射を継続するよりもミラドライのほうがコストパフォーマンスに優れている場合もあります。一方で、手軽に脇汗を抑えたい方や、まずは試しに治療を受けてみたい方にはボトックス注射が向いているかもしれません。

外用薬治療との比較

近年、原発性腋窩多汗症に対する外用薬(塗り薬)として、エクロックゲルやラピフォートワイプなどの抗コリン外用薬が保険適用で使用できるようになりました。これらの薬剤は、汗を分泌させる神経伝達物質であるアセチルコリンの作用をブロックすることで発汗を抑制します。毎日塗布することで効果が得られ、2週間程度で効果を実感できる方が多いです。

外用薬治療は手軽に始められ、保険適用のため費用負担も少ないというメリットがあります。しかし、効果を維持するためには継続的な使用が必要であり、薬を塗るのを止めると症状は戻ってしまいます。また、外用薬は主に多汗症の症状改善に効果的であり、ワキガ臭に対する直接的な効果は限定的です。汗を抑えることで間接的にニオイが軽減される可能性はありますが、根本的な解決にはなりにくいことも理解しておく必要があります。

ミラドライは一度の治療で根本的に汗腺を破壊するため、継続的な治療の手間から解放されたい方には適した選択肢といえます。

ミラドライの費用相場と保険適用について

ミラドライの費用相場

ミラドライは保険適用外の自由診療であるため、クリニックによって価格設定が異なります。東京における費用相場は、両脇で17万円〜45万円程度と幅があります。この価格差が生じる理由はいくつかあります。

まず、照射範囲や照射回数の違いがあります。通常範囲で1回照射のプランは比較的安価ですが、より効果を高めるための広範囲照射やダブル照射(同じ部位に2回照射)を行うプランは、施術時間も長くなり、その分価格も高くなります。また、施術を担当するのが医師なのか看護師なのかによっても価格が変わることがあります。ミラドライ公式認定医が施術を行うクリニックは、技術と経験の面で信頼性が高いですが、その分費用が高めに設定されている傾向があります。

費用には、施術費用だけでなく、カウンセリング料、麻酔代、術後の薬代、アフターケアの費用などが含まれている場合と、別途請求される場合があります。クリニックを比較する際には、総額でいくらかかるのかを事前に確認しておくことが重要です。

保険適用について

ミラドライは現時点では保険適用外の治療となっており、どのクリニックで受けても自費診療となります。保険適用が認められているワキガ・多汗症治療は、手術療法である剪除法のみです。これは、日本の医療保険制度が「生命に関わる治療」や「病気の治療として確立された方法」を主な対象としており、ミラドライは比較的新しい治療法であること、また美容的側面も含まれると捉えられやすいことが理由として挙げられます。

ただし、ミラドライは腋窩多汗症や腋臭症という疾患の治療として行う場合、医療費控除の対象になると考えられています。確定申告の際に医療費控除を申請することで、所得税の一部が還付される可能性があります。治療を受ける際には領収書を必ず受け取り、保管しておくようにしましょう。医療費控除の詳細については、税務署やクリニックに確認することをおすすめします。

東京でミラドライを受ける際のクリニック選びのポイント

ミラドライ公式認定医の有無

クリニック選びで重要なポイントの一つが、ミラドライ公式認定医が在籍しているかどうかです。公式認定医とは、ミラドライの開発元であるMiramar Labs社から正式に認定証を発行された医師のことを指します。認定を受けるためには、一定数以上の症例実績と、適切な治療技術を持っていることが必要です。公式認定医による施術は、技術力や経験の面で信頼性が高いといえます。

一方、ミラドライは医師でなくても照射自体は可能であるため、一部のクリニックでは看護師が施術を担当している場合もあります。価格が安いクリニックを選ぶ際には、誰が施術を行うのかを事前に確認しておくことが大切です。

症例実績と専門性

ミラドライは機械を使った治療ではありますが、マーキングの正確さ、麻酔の打ち方、照射エネルギーの調整など、医師の技術や経験によって効果や副作用に差が出ることがあります。そのため、ミラドライ治療の症例実績が豊富なクリニック、あるいはワキガ・多汗症治療を専門的に行っているクリニックを選ぶことが推奨されます。

クリニックのホームページで症例数や治療実績を公開しているか、医師がミラドライに関する研究や論文発表を行っているかなども参考になります。また、口コミや評判を調べることで、実際に治療を受けた患者さんの声を知ることができます。

カウンセリングの充実度

治療前のカウンセリングが充実しているかどうかも、クリニック選びの重要なポイントです。ミラドライの効果や限界、副作用、術後の経過について、医師から丁寧に説明を受けられるクリニックを選びましょう。質問に対して誠実に答えてくれるか、不安を解消してくれるかどうかは、安心して治療を受けるために大切な要素です。

無料カウンセリングを実施しているクリニックも多いため、複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較検討することをおすすめします。その際、費用の総額、施術内容の詳細、施術者(医師か看護師か)、アフターケアの内容などを確認しておくとよいでしょう。

アフターケア体制

ミラドライは術後の通院が基本的に不要な治療ですが、万が一副作用が長引いたり、気になる症状が出たりした場合に相談できる体制が整っているかどうかは重要です。術後の経過観察のための再診が無料で受けられるか、電話やメールでの相談に対応しているかなど、アフターケアの内容を事前に確認しておきましょう。

また、万が一1回の治療で効果が不十分だった場合に、2回目の治療を割引価格で受けられる保証制度を設けているクリニックもあります。このような制度の有無も、クリニック選びの参考になります。

アクセスの良さ

東京都内には多くのクリニックがミラドライ治療を提供しています。基本的には1回の施術で完了する治療ではありますが、カウンセリングや術後の診察で複数回通院する可能性も考慮すると、自宅や職場からアクセスしやすい立地のクリニックを選ぶことも一つの視点です。

ミラドライを受ける前に知っておきたい注意点

治療を受けられない場合

ミラドライは安全性の高い治療法ですが、以下のような方は治療を受けられない場合があります。妊娠中または妊娠の可能性がある方、ペースメーカーなどの電子機器を体内に埋め込んでいる方、脇に金属製のインプラントがある方、照射部位に皮膚疾患や感染症がある方、麻酔にアレルギーがある方などです。また、過去に脇のワキガ手術を受けたことがある方は、皮膚の状態によっては治療が難しい場合もあります。カウンセリング時に必ず申告し、医師の判断を仰いでください。

効果に個人差がある

ミラドライの効果には個人差があります。多くの方が1回の治療で満足のいく効果を得られますが、症状の重さや汗腺の量によっては、期待したほどの効果が得られないと感じる方もいます。100%の汗腺を破壊することは難しく、2〜3割程度の汗腺は残存するため、汗やニオイが完全になくなるわけではありません。

効果に満足できない場合や、より高い効果を希望する場合には、2回目の治療を検討することも可能です。多くのクリニックでは、2回目の治療を割引価格で提供しています。

代償性発汗について

ワキガや多汗症の治療を受けた後、脇以外の部位(背中、胸、手のひら、足の裏など)からの発汗が増えるのではないかと心配される方がいます。これは「代償性発汗」と呼ばれる現象で、胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(ETS手術)など交感神経に作用する治療では起こりうることが知られています。

ミラドライは交感神経には作用せず、脇の汗腺を局所的に破壊する治療であるため、代償性発汗が起こるリスクは低いとされています。ただし、脇からの発汗が減ったことで、今まで気にならなかった他の部位の汗が相対的に目立つようになり、「他の部位の汗が増えた」と感じる方がいる可能性はあります。

子供の治療について

ワキガの症状は思春期から顕在化することが多く、お子様の症状に悩む保護者の方もいらっしゃいます。ミラドライは小学生や中学生などの未成年者にも施術可能な場合がありますが、第二次性徴期前のお子様は汗腺が十分に発達していない可能性があり、成長後に症状が再び現れる可能性もあります。

お子様への治療を検討される場合は、専門医と十分に相談し、治療のタイミングや適応について慎重に判断することが重要です。クリニックによっては、お子様向けの治療プランやモニター制度を設けているところもあります。

よくある質問

ミラドライの治療中や治療後の痛みはどの程度ですか?

ミラドライの施術は局所麻酔を行った上で実施しますので、照射中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔注射の際にはチクチクとした痛みがありますが、その後は痛みなく治療を受けられます。施術後数時間が経過し麻酔が切れてくると、ヒリヒリとした痛みや腫れによる違和感を感じる方がいらっしゃいます。痛みのピークは施術当日の夜から翌日にかけてですが、処方される痛み止めを服用し、患部を冷却することで緩和できます。多くの方は1週間程度で痛みが落ち着きます。

ミラドライの効果はいつから実感できますか?

ミラドライの効果は、多くの方が施術直後から実感されます。施術翌日には、脇汗の量やニオイが明らかに減少していることに気づかれる方がほとんどです。ただし、施術から1ヶ月ほど経過すると、破壊しきれなかった汗腺が回復を始めるため、直後よりも汗やニオイが戻ったように感じることがあります。これは再発ではなく正常な経過であり、ミラドライの最終的な効果が安定するのは施術から約6ヶ月後です。

ミラドライは1回の治療で十分な効果が得られますか?

多くの方は1回のミラドライ治療で満足のいく効果を得られています。1回の施術で約70〜80%の汗腺が破壊され、汗の量やニオイが大幅に減少します。ただし、症状の重さや汗腺の量には個人差があるため、1回の治療では十分な効果が得られないと感じる方もいらっしゃいます。そのような場合には、3ヶ月以上の間隔を空けて2回目の治療を受けることで、さらなる効果の向上が期待できます。

ミラドライで治療した後、ワキガは再発することがありますか?

ミラドライで完全に破壊された汗腺は再生しないため、基本的に再発することはありません。ただし、施術で破壊しきれなかった汗腺(全体の約20〜30%)は残存しており、これらの汗腺が活動を続けることで、一定量の汗やニオイは残ります。施術直後は全ての汗腺が一時的に機能を停止しますが、残存した汗腺が回復してくると「再発した」と誤解される方もいらっしゃいます。しかし、これは再発ではなく、残存汗腺の正常な活動であり、施術前と比較すれば大幅に汗やニオイは減少しています。

ミラドライは保険適用されますか?

現時点では、ミラドライは保険適用外の自由診療となります。これは日本のどのクリニックで受けても同様であり、保険が適用されるワキガ・多汗症治療は剪除法(手術療法)のみです。ただし、ミラドライは腋窩多汗症や腋臭症という疾患の治療として行う場合、医療費控除の対象となる可能性があります。確定申告の際に医療費控除を申請することで、所得税の還付を受けられる場合がありますので、治療費の領収書は必ず保管しておきましょう。

ミラドライを受けた後、仕事は翌日からできますか?

ミラドライ治療後は、多くの方が翌日から日常生活や仕事に復帰されています。特にデスクワークなど体を激しく動かさないお仕事であれば、翌日からの勤務は十分可能です。ただし、施術後数日間は腫れや痛み、内出血が生じる可能性があるため、腕を大きく動かす作業や、重いものを持つなどの肉体労働は1週間程度控えることをおすすめします。また、激しい運動やサウナ、飲酒なども数日から1週間程度は避けたほうがよいでしょう。

ミラドライの副作用で後遺症が残ることはありますか?

ミラドライは安全性の高い治療法であり、重篤な後遺症が残るケースは非常にまれです。施術後に生じる腫れ、痛み、内出血、しびれ、感覚の鈍さなどの副作用は、ほとんどが一時的なもので、時間の経過とともに改善します。感覚の鈍さは3ヶ月程度で回復する方がほとんどです。まれに、色素沈着や軽度の神経障害が長引くケースもありますが、これらも時間とともに改善することが多いです。万が一気になる症状が長期間続く場合は、治療を受けたクリニックに相談してください。

過去に脇のワキガ手術を受けていますが、ミラドライを受けることはできますか?

過去にワキガ手術(剪除法など)を受けた方でも、ミラドライ治療を受けられる場合があります。ただし、手術による皮膚の癒着や瘢痕化の程度によっては、マイクロ波の照射が難しかったり、効果が十分に得られなかったりする可能性があります。カウンセリングの際に、過去の手術歴を必ず医師に伝え、皮膚の状態を診察してもらった上で、治療が適切かどうかの判断を仰いでください。

まとめ

ミラドライは、厚生労働省から承認を受けた国内唯一の腋窩多汗症治療機器であり、皮膚を切らずに汗腺を破壊できる画期的な治療法です。マイクロ波の熱エネルギーによってワキガの原因であるアポクリン汗腺と、多汗症の原因であるエクリン汗腺の両方にアプローチし、一度の治療で半永久的な効果が期待できます。従来の手術療法と比較して、傷跡が残らない、ダウンタイムが短い、翌日から日常生活に戻れるといったメリットがあり、忙しい現代人にとって受けやすい治療といえます。

一方で、ミラドライは保険適用外の自由診療であり、費用が高額になること、100%の汗腺を破壊できるわけではなく個人差があることなど、事前に理解しておくべき点もあります。東京都内には多くのクリニックがミラドライ治療を提供していますが、クリニック選びの際には、公式認定医の有無、症例実績、カウンセリングの充実度、アフターケア体制などを総合的に比較検討することが重要です。

脇汗やワキガの悩みは、日常生活や人間関係、仕事にまで影響を及ぼし、QOLを著しく低下させることがあります。しかし、これは適切な治療によって改善できる症状です。一人で悩みを抱え続けるのではなく、まずは専門のクリニックに相談し、ご自身に最適な治療法を見つける第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。アイシークリニック大宮院では、ミラドライをはじめとするワキガ・多汗症治療について、専門医による丁寧なカウンセリングを行っております。脇汗やニオイでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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