ミラドライは、わきが・多汗症治療として注目を集めている切らない治療法です。厚生労働省から薬事承認を受けた医療機器であり、マイクロ波を用いて汗腺を破壊することで、半永久的な効果が期待できます。しかしながら、インターネット上では「ミラドライ 後悔」というキーワードで検索する方も少なくありません。実際に治療を受けた方の中には、「期待したほどの効果が得られなかった」「費用対効果に満足できなかった」といった声も見られます。本記事では、ミラドライで後悔する主な理由を詳しく解説するとともに、後悔しないためのクリニック選びのポイントや、治療前に知っておくべき情報をわかりやすくお伝えします。これからミラドライ治療を検討されている方が、十分な情報を得たうえで納得のいく治療選択ができるよう、医学的な観点も含めて解説していきます。
目次
- ミラドライとは?基本的な仕組みと特徴
- ミラドライで後悔する7つの主な理由
- 後悔の原因となる「効果への過度な期待」について
- ミラドライの副作用とダウンタイムの実際
- 費用面での後悔を防ぐために知っておくべきこと
- 後悔しないためのクリニック選び5つのポイント
- ミラドライ治療後に後悔した場合の対処法
- ミラドライと他の治療法との比較
- 治療を受ける前のカウンセリングで確認すべきこと
- よくある質問
- まとめ
ミラドライとは?基本的な仕組みと特徴
ミラドライは、アメリカのMiramar Labs社が2006年に開発した多汗症治療技術であり、マイクロ波エネルギーを利用してわきが・多汗症の原因となる汗腺を破壊する医療機器です。日本では2018年6月に株式会社ジェイメックが重度の原発性腋窩多汗症治療を目的として厚生労働省より製造販売承認を取得しており、国内で唯一のマイクロ波によるわき汗治療器として薬事承認を受けています。また、アメリカのFDA(米国食品医薬品局)では、腋窩多汗症だけでなく、腋臭症(わきが)および減毛の適応でも承認を取得しています。
ミラドライの作用メカニズム
ミラドライは、電子レンジにも用いられているマイクロ波(マイクロウェーブ)を応用した治療法です。マイクロ波には水分に選択的に吸収されて熱を発生する性質があり、この特性を利用して水分を多く含むわきの汗腺を熱処理していきます。具体的には、汗腺が存在する真皮深層から皮下組織浅層の領域をターゲットとして、マイクロ波を照射することで汗腺を焼灼・凝固させ、発汗を抑制します。
ミラドライが照射するマイクロ波は、主に2種類の汗腺をターゲットにしています。一つは汗を分泌するエクリン汗腺であり、もう一つはわきがの原因となるニオイを発生させるアポクリン汗腺です。ミラドライは「ハイドロセラミック・クーリング」という特殊な冷却システムを搭載しており、照射と同時に皮膚表面を冷却しながら施術を行うため、皮膚へのダメージを最小限に抑えることができます。
ミラドライの主なメリット
ミラドライの大きなメリットとしては、まず皮膚を切開しないため傷跡が残らないことが挙げられます。従来のわきが手術である剪除法では、わきの下を数センチ切開する必要があり、どうしても傷跡が残ってしまうという課題がありました。また、手術後は固定や安静が必要で、日常生活に戻るまでに相当の期間を要することもデメリットでした。一方、ミラドライは切開を伴わない施術であるため、施術時間は両わきで約60分程度と短く、基本的には翌日から日常生活に戻ることができます。
さらに、一度破壊された汗腺は再生しないとされているため、効果は半永久的に持続することが期待できます。海外の臨床研究では、ミラドライ治療を受けた1年後でも発汗の減少が81.7%継続されていることが確認されています。また、わきがに対しては、治療直後に80%の方がニオイを気にしなくなり、治療2年後でも89%の方でその効果が持続したという結果も報告されています。
ミラドライで後悔する7つの主な理由
ミラドライは多くの方に効果を実感していただける治療法ですが、実際に治療を受けた方の中には後悔されるケースも存在します。ここでは、ミラドライで後悔する主な理由を7つに分けて詳しく解説していきます。これらの理由を事前に理解しておくことで、治療後の後悔を防ぐことができます。
1. 期待したほどの効果が得られなかった
ミラドライで後悔される理由として最も多いのが、「効果がなかった」「あまり変わらなかった」という声です。ミラドライは1回の照射で約70~80%の汗腺を破壊できるとされていますが、残りの約20~30%の汗腺は生き残る可能性があります。施術直後は、残った汗腺もダメージを受けているため一時的に発汗が止まりますが、時間の経過とともにこれらの汗腺が回復し、再び発汗が現れることがあります。
また、照射範囲や照射深度の設定が適切でなかったり、施術者の技術や経験が不足していた場合には、十分な効果が得られないこともあります。特に、もともと汗腺の数が非常に多い方や、わきがの症状が重度の方では、1回の施術では満足のいく結果が得られない場合があります。
2. 汗やニオイの再発を感じた
治療から数か月経過した後に「汗やニオイが戻ってきた」と感じる方もいらっしゃいます。これは、ミラドライによって完全に破壊されなかった汗腺が、時間の経過とともに再び活動を開始するためです。施術直後は残った汗腺も一時的にダメージを受けて機能が停止していますが、腫れが引くと残っていた汗腺が活動を再開し、再発のように感じることがあります。
また、自臭症と呼ばれる、自分のニオイや汗の量を過度に心配してしまう症状に陥っている場合もあります。これは、以前から自分のニオイが気になっていた方が、治療後も過剰に意識してしまうことで、実際には改善しているにもかかわらず「効果がない」と感じてしまうケースです。
3. 高額な費用に対する不満
ミラドライは保険適用外の自由診療のため、費用はクリニックによって異なりますが、一般的には両わきで17万円から45万円程度の価格帯となっています。この費用を「高い」と感じる方は少なくありません。特に、術後に満足な効果を得られず「追加照射したい」と思った場合、さらに費用がかかることも後悔ポイントとして挙げられます。
また、安い料金を提示しているクリニックを選んだ場合でも、麻酔代やアフターケア代が別途請求されるケースがあります。安易に「ここが一番安そう」と費用面だけで決めてしまうと、後になってオプション費用などが発生して後悔することがあるのです。治療前には、トータルでどれだけの費用がかかるのかを必ず確認することが重要です。
4. 想定以上の痛みや副作用
ミラドライの施術中は局所麻酔を使用するため、基本的に痛みを感じることはありません。しかし、麻酔の注射自体が痛かったという声や、麻酔が切れた後の痛みが想定以上だったという声もあります。特に施術当日の夜から翌日にかけては、ヒリヒリとした痛みや腫れを感じる方が多く、「想像以上に辛かった」と後悔される方もいらっしゃいます。
また、施術後の副作用として、腫れ、内出血、しびれ、しこりなどが生じることがあります。これらの症状は通常1週間から数週間で軽減しますが、稀に長期間続くケースもあり、事前の説明が不十分だった場合には「こんなはずではなかった」と後悔につながることがあります。
5. クリニック選びの失敗
ミラドライは機械を使用した治療であるため、「どのクリニックで受けても同じ」と思われがちですが、実際には施術者の経験や技術によって効果に大きな差が生じます。わきの形状や皮膚の厚み、汗腺の分布などは人によって異なるため、最適な照射範囲や深さを見極められる経験豊富な医師による施術が重要です。
価格の安さだけでクリニックを選んでしまうと、アフターフォローが不十分だったり、しっかりと汗腺を破壊できずに何度も通院しなければならないというリスクがあります。また、一部のクリニックでは、ミラドライの施術を医師ではなく看護師が行う場合もあり、この場合には効果や安全性に影響が出る可能性があります。
6. 事前の説明不足による期待とのギャップ
治療前のカウンセリングで、ミラドライの効果や限界について十分な説明を受けられなかった場合、治療後に「聞いていた話と違う」と後悔されることがあります。特に、「永久に汗が止まる」「1回で完全に治る」といった過剰な期待を持ってしまうと、実際の効果との間にギャップが生じやすくなります。
ミラドライはあくまで汗腺を破壊する治療であり、すべての汗腺を100%除去できるわけではありません。また、効果の現れ方や持続期間には個人差があります。治療前にこうした現実的な期待値を持つことが、後悔を防ぐために重要です。
7. ダウンタイムへの準備不足
ミラドライは「ダウンタイムが少ない」と言われることがありますが、これは剪除法などの手術と比較した場合の話であり、まったくダウンタイムがないわけではありません。施術後は腫れや痛みが生じ、わきを完全に閉じられない状態が数日続くこともあります。「テニスボールをわきに挟んでいるような感覚」と表現されることも多く、この期間の不快感を想定していなかった方が後悔されるケースもあります。
特に、仕事や予定を調整せずに施術を受けてしまい、日常生活に支障が出たという方もいらっしゃいます。施術後1週間程度は激しい運動を控え、長時間の入浴を避けるなどの制限があることを事前に理解しておく必要があります。
後悔の原因となる「効果への過度な期待」について
ミラドライで後悔される方の多くに共通しているのが、治療に対する過度な期待です。ここでは、適切な期待値を持つために知っておくべき医学的な事実について解説します。
ミラドライの効果には個人差がある
ミラドライの効果は、汗腺の数や分布、皮膚の厚み、症状の重症度などによって個人差があります。一般的には1回の施術で70~80%程度の汗腺を破壊できるとされていますが、この数値はあくまで平均的なものであり、すべての方に当てはまるわけではありません。汗腺の数が特に多い方や、深い位置に汗腺が存在する方では、1回の施術では十分な効果が得られないこともあります。
また、わきがの原因となるアポクリン汗腺と、多汗症の原因となるエクリン汗腺では、存在する深さや分布が異なります。そのため、多汗症には効果があってもわきがのニオイには効果が限定的である場合や、その逆のケースもあり得ます。治療前のカウンセリングで、ご自身の症状に対してどの程度の効果が期待できるのかを具体的に確認することが重要です。
効果の安定には時間がかかる
ミラドライ治療後、効果が安定するまでには約6か月程度の期間が必要とされています。施術直後は、ミラドライによって破壊された汗腺だけでなく、ダメージを受けた周辺の汗腺も一時的に機能を停止します。そのため、施術直後は実際の効果以上に汗やニオイが減少したように感じることがあります。
しかし、腫れが引いてダメージから回復した汗腺が活動を再開すると、汗やニオイが「戻ってきた」ように感じることがあります。これは再発ではなく、効果が安定する過程での正常な経過です。1か月後、3か月後、6か月後と時間の経過とともに効果が安定していきますので、施術直後の状態と比較して焦って判断しないことが大切です。
2回以上の施術が必要になる場合もある
多くの方は1回の施術で満足のいく効果を得られますが、症状が重度の方や、より高い効果を求める方では、2回以上の施術が必要になる場合があります。これは治療の失敗ではなく、ミラドライの特性上やむを得ない場合があることを理解しておく必要があります。
2回目の施術を検討する場合は、1回目の施術から3か月以上の期間を空けることが推奨されています。これは、1回目の施術の効果が安定するのを待ち、追加施術が本当に必要かどうかを判断するためです。クリニックによっては、2回目以降の施術に対して割引価格や保証プランを設けているところもありますので、治療前に確認しておくとよいでしょう。
ミラドライの副作用とダウンタイムの実際
ミラドライは比較的安全性の高い治療法ですが、副作用やダウンタイムがまったくないわけではありません。後悔を防ぐためには、起こりうる副作用を事前に理解しておくことが重要です。
一般的な副作用と経過
ミラドライ治療後に多くの方に見られる一般的な副作用として、以下のものが挙げられます。
腫れについては、施術部位の腫れは多くの方に見られる症状です。施術直後よりも翌日の方が腫れが強くなることが多く、「わきにテニスボールを挟んでいるような感覚」と表現されることもあります。腫れは数日から1週間程度で徐々に軽減し、2週間もすればほとんど気にならなくなります。
痛みについては、麻酔が切れた後にヒリヒリとした痛みやズキズキとした鈍い痛みが生じます。痛みのピークは施術当日の夜から翌日の朝にかけてであり、多くの方は翌朝には痛みが軽減していきます。痛みが強い場合は、処方された鎮痛剤を服用し、患部をアイスパックで冷却することで緩和できます。
内出血については、ハンドピースの吸引によって治療部位に内出血が生じることがあります。内出血は1~2週間程度で自然に消失しますが、見た目が気になる方もいらっしゃいます。
皮膚の硬化やしこりについては、腫れが引いた後に、治療部位の皮膚が一時的に硬くなったり、しこりのような感触が生じることがあります。これは組織の修復過程で起こる正常な反応であり、通常は3~6か月程度で徐々になじんでいきます。
感覚の変化については、わきや腕の感覚がしびれたり、鈍くなったりすることがあります。これはミラドライが汗腺の周囲にある感覚神経の末端にも影響を与えるためです。多くの場合、3か月程度で感覚は回復しますが、稀にそれ以上続くこともあります。
ダウンタイムの目安と日常生活への影響
ミラドライのダウンタイムは、一般的に3日から1週間程度とされています。ただし、個人差が大きく、早い方では施術翌日から日常生活に支障なく過ごせる方もいれば、1か月以上腫れやしこりが残る方もいらっしゃいます。
施術当日については、施術後は患部を冷却しながら帰宅します。麻酔が効いている間は痛みをほとんど感じませんが、3~4時間程度で麻酔が切れ始めると痛みが出てきます。当日は入浴を避け、シャワー浴のみとし、患部を濡らしたり温めたりしないように注意が必要です。飲酒や激しい運動も控えてください。
翌日以降について、ほとんどの方は翌日から日常生活に戻ることができます。一般的なデスクワークであれば問題なく行えますが、わきを大きく動かす動作や重いものを持ち上げる動作は避けた方がよいでしょう。腫れや痛みは徐々に軽減していき、1週間後には大幅に改善していることが多いです。
1週間後以降については、激しい運動も再開できるようになります。ただし、腕を伸ばしたときのつっぱり感や、わきを触ったときの違和感は、1~3か月程度続く場合もあります。
稀に見られる副作用
一般的な副作用に加えて、稀に以下のような症状が見られることもあります。これらの症状もほとんどの場合は時間の経過とともに改善しますが、症状が強い場合や長期間続く場合は、施術を受けたクリニックに相談することをおすすめします。
一時的な火傷については、照射部位に一過性の火傷が起こる可能性があります。水疱ができたり、痛みが増強したりした場合は速やかにクリニックに連絡してください。
代償性発汗については、わきの発汗が減少した代わりに、他の部位(胸、背中、手のひらなど)の発汗が増加することがあります。これは体の汗の出方のバランスが変化することで起こる現象ですが、ミラドライでは手術と比較して代償性発汗が起こりにくいとされています。
皮脂臭の増加については、ミラドライは汗腺を破壊しますが、皮脂腺には直接作用しません。そのため、汗の分泌が減った後に代償的に皮脂の分泌が増加し、皮脂臭が強くなる場合があります。これはわきがのニオイとは異なる種類のニオイであり、こまめな洗浄や制汗剤の使用などで対処が可能です。
費用面での後悔を防ぐために知っておくべきこと
ミラドライは保険適用外の自由診療であるため、費用はクリニックによって大きく異なります。費用面での後悔を防ぐために、治療費の仕組みについて理解しておきましょう。
ミラドライの費用相場
ミラドライの費用は、クリニックや施術内容によって17万円から45万円程度と幅広く設定されています。この価格差が生じる主な理由としては、施術方法の違いや施術者の違いが挙げられます。
照射範囲の違いについては、通常範囲での照射と広範囲での照射では、施術時間や効果に差が生じます。広範囲照射の場合は費用が高くなる傾向にありますが、より多くの汗腺を破壊できる可能性があります。
照射回数の違いについては、1回照射と2回照射(ダブル照射)では、効果に差が生じる場合があります。ダブル照射は同一部位に2回照射することで、より確実に汗腺を破壊することを目指した施術方法です。
施術者の違いについては、一部のクリニックではミラドライの施術を医師ではなく看護師が行う場合があります。この場合、施術コストが抑えられるため価格が安くなる傾向にありますが、効果や安全性に影響が出る可能性もあります。
費用に含まれる内容を確認する
ミラドライの治療費を比較する際には、その費用に何が含まれているのかを必ず確認しましょう。一般的に、治療費には以下の項目が含まれることが多いですが、クリニックによっては別途請求されることもあります。
含まれることが多い項目としては、初診料やカウンセリング料、施術料、麻酔代、施術に使用するチップ代、術後の処方薬代、再診料、アフターケア代などがあります。別途請求される可能性がある項目としては、血液検査代、追加の麻酔代(笑気麻酔など)、術後の経過診察代、再施術の保証などがあります。
見かけの費用が安いクリニックでも、これらの項目が別途請求されることで、最終的な費用が高くなるケースがあります。治療前には必ず「トータルでいくらかかるのか」を確認し、書面で見積もりをもらうことをおすすめします。
保険適用と医療費控除について
ミラドライは2025年現在、保険適用されていません。これは、ミラドライがQOL(生活の質)の向上を主目的とした治療であり、非侵襲的な治療法であることから、保険診療の対象外となっているためです。将来的に保険適用される具体的な予定も現時点ではありません。
一方、保険が適用されるわきが治療としては、剪除法(せんじょほう)があります。剪除法は皮膚を切開して直接汗腺を取り除く手術であり、重度のわきが(腋臭症)と診断された場合に保険適用となります。保険適用時の自己負担額は3割負担で約2~5万円程度ですが、傷跡が残ることや術後の安静期間が必要になることがデメリットとして挙げられます。
ミラドライは保険適用外ですが、原発性腋窩多汗症や腋臭症の治療として医師が行う医療行為であるため、医療費控除の対象になると考えられています。確定申告で医療費控除を申請することで、所得税や住民税の軽減を受けられる可能性があります。詳しくは施術を受けるクリニックや税務署にご確認ください。
後悔しないためのクリニック選び5つのポイント
ミラドライで後悔しないためには、適切なクリニック選びが非常に重要です。ここでは、クリニック選びで押さえておくべき5つのポイントを解説します。
1. ミラドライ公式認定医が在籍しているか
ミラドライの開発元であるMiramar Labs社は、適切な治療技術と深い知識を持ち、一定数の治療実績がある医師に対して「ミラドライ公式認定医」の認定を行っています。公式認定医が在籍しているクリニックであれば、より正確かつ安全な施術が期待できます。
ただし、「認定医が在籍している」という表現には注意が必要です。認定医が在籍していても、実際の施術は別の医師や看護師が行う場合もあります。治療前に必ず「認定医が施術を担当するのか」を確認しましょう。
2. 十分な症例数と実績があるか
ミラドライは高度な技術を要する治療法であり、施術者の経験によって効果に差が生じます。開院年数が長かったり、ミラドライの治療実績が多いクリニックは、様々なケースに対応した経験を持っているため、信頼感があります。
可能であれば、そのクリニックでミラドライ治療を受けた患者の口コミや体験談を確認することをおすすめします。ただし、口コミはすべてが事実とは限りませんので、複数の情報源を参考にして総合的に判断しましょう。
3. カウンセリングが丁寧か
治療前のカウンセリングで、ミラドライの効果や限界、副作用、ダウンタイムなどについて丁寧に説明してくれるクリニックを選びましょう。メリットだけでなくデメリットもきちんと説明してくれるクリニックは、患者の立場に立った誠実な対応をしていると考えられます。
また、カウンセリングでは自分の症状や希望をしっかりと伝え、疑問点は遠慮なく質問しましょう。質問に対して丁寧に回答してくれない、または強引に施術を勧めてくるようなクリニックは避けた方がよいでしょう。
4. アフターケア体制が整っているか
ミラドライ治療後に副作用が生じた場合や、効果に不満がある場合に、適切なフォローを受けられる体制が整っているかを確認しましょう。術後の経過診察や相談対応が無料で受けられるクリニックもあれば、再診のたびに費用がかかるクリニックもあります。
また、万一効果が不十分だった場合の再施術保証や、副作用が生じた場合の対応についても事前に確認しておくと安心です。LINEやメールで気軽に相談できる体制があるクリニックもあり、術後の不安を解消する上で心強いポイントとなります。
5. 費用が明確で追加費用が発生しにくいか
前述の通り、ミラドライの費用はクリニックによって異なり、含まれる内容も様々です。見かけの費用が安くても、麻酔代やアフターケア代などが別途請求されることで、最終的な費用が高くなるケースがあります。
治療前には必ずトータルの費用を確認し、追加費用が発生する可能性がある項目についても説明を受けましょう。明朗会計で、追加費用が発生しにくい料金体系のクリニックを選ぶことで、費用面での後悔を防ぐことができます。
ミラドライ治療後に後悔した場合の対処法
万一、ミラドライ治療後に後悔や不満を感じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。状況に応じた対処法をご紹介します。
効果が不十分と感じた場合
施術後に「効果がない」「期待したほど汗が減らない」と感じた場合、まずは焦らずに経過を見守ることが大切です。前述の通り、ミラドライの効果が安定するまでには約6か月程度かかります。施術直後の状態と比較して判断するのではなく、6か月後の状態を基準に効果を評価しましょう。
6か月以上経過しても効果に満足できない場合は、施術を受けたクリニックに相談し、2回目の施術を検討することも一つの選択肢です。クリニックによっては、再施術の保証プランを設けているところもあります。
副作用が長引いている場合
腫れや痛み、しびれなどの副作用が想定以上に長引いている場合は、我慢せずに施術を受けたクリニックに相談しましょう。多くの場合、これらの症状は時間の経過とともに改善しますが、稀に対処が必要なケースもあります。
特に、強い痛みが続いている、腫れがまったく引かない、水疱ができているなどの症状がある場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
他の治療法を検討する
ミラドライで十分な効果が得られなかった場合、他の治療法を検討することも一つの選択肢です。わきが・多汗症の治療法には、ミラドライ以外にも以下のような選択肢があります。
外用薬治療としては、塩化アルミニウム製剤やエクロックゲル、ラピフォートワイプなどの外用薬があります。保険適用のものもあり、まずは外用薬から試してみるという選択もあります。
ボトックス注射については、ボツリヌス毒素製剤を注射することで発汗を抑制する治療法です。重度の原発性腋窩多汗症に対しては保険適用となります。効果の持続期間は4~6か月程度と限定的ですが、注射のみで済むため負担が少ないというメリットがあります。
剪除法については、皮膚を切開して直接汗腺を取り除く手術です。重度のわきがに対しては保険適用となります。傷跡が残ることや術後の安静期間が必要になることがデメリットですが、汗腺を直接取り除くため高い効果が期待できます。
ミラドライと他の治療法との比較
ミラドライを検討する際には、他の治療法との違いを理解しておくことも重要です。ここでは、代表的な治療法との比較を行います。
ミラドライと剪除法の比較
剪除法は、保険適用のわきが手術として最も一般的な方法です。皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接取り除くため、わきがに対しては高い効果が期待できます。
剪除法のメリットとしては、保険適用で費用を抑えられる(3割負担で約2~5万円)こと、汗腺を直接除去するため高い効果が期待できることが挙げられます。一方、デメリットとしては、傷跡が残ること、術後の固定・安静期間が必要(数日~2週間程度)なこと、多汗症への効果は限定的であることが挙げられます。
ミラドライは傷跡が残らず、ダウンタイムが短いというメリットがある一方、保険適用外で費用が高くなるというデメリットがあります。どちらが適しているかは、症状の程度や生活スタイル、費用面などを総合的に考慮して判断する必要があります。
ミラドライとボトックス注射の比較
ボトックス注射は、ボツリヌス毒素製剤を注射することで発汗を抑制する治療法です。重度の原発性腋窩多汗症に対しては保険適用となります。
ボトックス注射のメリットとしては、注射のみで済むため負担が少ないこと、重度の腋窩多汗症には保険適用(3割負担で約2~3万円)であることが挙げられます。一方、デメリットとしては、効果の持続期間が4~6か月程度と限定的であること、わきがへの効果は限定的であること、継続的な治療が必要になることが挙げられます。
ミラドライは半永久的な効果が期待できる一方、ボトックス注射は効果の持続期間が限られています。長期的な視点で考えると、継続的にボトックス注射を受け続けるよりも、ミラドライで一度治療した方が費用対効果が高くなる場合もあります。
ミラドライとビューホットの比較
ビューホットは、韓国で開発された「切らないわきが・多汗症治療」機器です。針を患部に刺し、針先から高周波を出すことで汗腺を破壊します。
ビューホットはわき以外にも「すそわきが」や「チチガ」などの治療に対応できるというメリットがありますが、厚生労働省やFDAの承認を取得していないという点がミラドライとの大きな違いです。ミラドライは厚生労働省およびFDAの承認を受けており、豊富な症例データと厳しい審査基準から効果と安全性が認められています。
治療を受ける前のカウンセリングで確認すべきこと
ミラドライで後悔しないためには、治療前のカウンセリングが非常に重要です。カウンセリングでは、以下の点を必ず確認しましょう。
自分の症状について正確に伝える
わきの汗やニオイがどの程度気になっているか、日常生活にどのような影響があるか、いつ頃から症状が出始めたかなど、自分の症状について正確に伝えましょう。医師が適切な治療計画を立てるためには、患者さんからの正確な情報が不可欠です。
期待できる効果と限界について確認する
ミラドライでどの程度の効果が期待できるのか、自分の症状に対して適した治療法なのかを確認しましょう。「完全に汗が止まる」「永久に効果が続く」といった過度な期待を持たないよう、現実的な効果について説明を受けることが大切です。
副作用とダウンタイムについて確認する
起こりうる副作用の種類と頻度、ダウンタイムの目安、日常生活への影響などについて詳しく説明を受けましょう。仕事や予定との兼ね合いを考慮して、適切な施術日を選ぶことも重要です。
費用について確認する
施術料だけでなく、麻酔代、薬代、再診料、アフターケア代など、トータルでどれくらいの費用がかかるのかを確認しましょう。追加費用が発生する可能性がある項目についても、事前に説明を受けておくと安心です。
担当医師について確認する
施術を担当する医師の経験や資格について確認しましょう。ミラドライ公式認定医が施術を担当するのか、これまでの施術実績はどのくらいかなど、具体的な情報を聞いておくとよいでしょう。
アフターケア体制について確認する
術後の経過診察の有無、副作用が生じた場合の対応、効果が不十分だった場合の再施術保証の有無など、アフターケア体制について確認しましょう。何かあったときに相談できる体制が整っているかどうかは、安心して治療を受けるために重要なポイントです。

よくある質問
ミラドライで破壊された汗腺は再生しないとされているため、効果は半永久的に持続することが期待できます。海外の臨床研究では、治療1年後でも81.7%の方で発汗の減少が継続しており、わきがについては治療2年後でも89%の方で効果が持続したという結果が報告されています。ただし、効果の持続期間には個人差があり、完全に破壊されなかった汗腺が時間の経過とともに活動を再開することで、汗やニオイが戻ってきたように感じる場合もあります。
ミラドライの施術中は局所麻酔を使用するため、基本的に痛みを感じることはありません。ただし、麻酔の注射時に痛みを感じる方もいらっしゃいます。施術後は、麻酔が切れた後(施術から3~4時間程度)にヒリヒリとした痛みや腫れを感じることがあります。痛みのピークは施術当日の夜から翌日の朝にかけてで、鎮痛剤の服用と患部の冷却で緩和できます。多くの方は翌朝には痛みが軽減していきます。
多くの方は1回の施術で満足のいく効果を得られます。ただし、症状が重度の方や、より高い効果を求める方では、2回以上の施術が必要になる場合もあります。2回目の施術を検討する場合は、1回目の施術から3か月以上の期間を空けることが推奨されています。これは、1回目の施術の効果が安定するのを待ち、追加施術が本当に必要かどうかを判断するためです。
ミラドライのダウンタイムは一般的に3日から1週間程度とされています。ほとんどの方は翌日から日常生活に戻ることができますが、腫れや痛みが完全に引くまでには1週間程度かかる場合があります。施術後1週間程度は激しい運動を控え、長時間の入浴を避けることが推奨されています。しびれやしこり、皮膚のつっぱり感などは、1~3か月程度続く場合もあります。
ミラドライは2025年現在、保険適用されていません。国内のどのクリニックでミラドライを受けても、自由診療(自費診療)となります。ただし、原発性腋窩多汗症や腋臭症の治療として医師が行う医療行為であるため、医療費控除の対象になると考えられています。確定申告で医療費控除を申請することで、所得税や住民税の軽減を受けられる可能性があります。
ミラドライの費用はクリニックや施術内容によって異なりますが、一般的には両わきで17万円から45万円程度です。この価格差は、照射範囲(通常範囲か広範囲か)、照射回数(1回照射かダブル照射か)、施術者(医師か看護師か)などの違いによって生じます。費用を比較する際には、麻酔代やアフターケア代など、含まれる内容を確認することが重要です。見かけの費用が安くても、別途費用が発生することがあります。
ミラドライで後悔しないためには、以下の点に注意することをおすすめします。まず、ミラドライの効果と限界を正しく理解し、過度な期待を持たないことが大切です。1回の施術で100%の汗腺を除去できるわけではなく、効果には個人差があります。次に、クリニック選びを慎重に行いましょう。ミラドライ公式認定医が在籍し、十分な症例数と実績があるクリニックを選ぶことで、効果と安全性を高めることができます。また、治療前のカウンセリングでは、期待できる効果、副作用、費用などについて十分な説明を受け、疑問点は遠慮なく質問しましょう。
施術後に汗やニオイが戻ってきたと感じた場合、まずは焦らずに経過を見守ることが大切です。ミラドライの効果が安定するまでには約6か月程度かかります。施術直後は残った汗腺も一時的にダメージを受けて機能が停止しているため、腫れが引くと汗やニオイが戻ってきたように感じることがありますが、これは正常な経過です。6か月以上経過しても効果に満足できない場合は、施術を受けたクリニックに相談し、2回目の施術を検討することも選択肢の一つです。
まとめ
ミラドライは、わきが・多汗症を「切らずに治療する」画期的な治療法であり、厚生労働省およびFDAの承認を受けた安全性の高い医療機器です。1回の施術で半永久的な効果が期待でき、傷跡が残らず、ダウンタイムも比較的短いというメリットがあります。
しかしながら、インターネット上では「ミラドライ 後悔」という声も見られます。その主な理由としては、期待したほどの効果が得られなかった、汗やニオイの再発を感じた、高額な費用に対する不満、想定以上の痛みや副作用、クリニック選びの失敗、事前の説明不足による期待とのギャップ、ダウンタイムへの準備不足などが挙げられます。
これらの後悔を防ぐためには、ミラドライの効果と限界を正しく理解すること、適切なクリニックを選ぶこと、治療前のカウンセリングで十分な情報を得ることが重要です。特に、ミラドライ公式認定医が在籍し、十分な症例数と実績があり、丁寧なカウンセリングとアフターケア体制が整っているクリニックを選ぶことで、後悔のリスクを大幅に軽減できます。
わきが・多汗症でお悩みの方は、まずは専門のクリニックでカウンセリングを受け、ご自身の症状に対して最適な治療法について相談されることをおすすめします。適切な情報を得たうえで、納得のいく治療選択をしていただければ幸いです。
参考文献
- 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」
- 日本皮膚科学会雑誌「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」
- 株式会社ジェイメック「国内初 切らないワキ汗治療器『miraDry(ミラドライ)システム』薬事承認取得に関するご案内」
- マルホ株式会社「原発性腋窩多汗症の診断・検査」
- Mindsガイドラインライブラリ「原発性局所多汗症診療ガイドライン」
※本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。治療を検討される際は、必ず医師にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務