口元から顎にかけて伸びる縦のライン「マリオネットライン」。このラインが目立つことで、実年齢よりも老けて見えたり、不機嫌そうな印象を与えてしまったりと、多くの方が悩みを抱えています。
近年、美容医療の分野で注目されているのが、ヒアルロン酸注入によるマリオネットライン治療です。メスを使わず、短時間で効果が得られることから、幅広い年齢層の方に選ばれています。
本記事では、マリオネットラインができる原因から、ヒアルロン酸注入による治療法、効果や持続期間、副作用まで、アイシークリニック大宮院が詳しく解説いたします。
マリオネットラインとは
マリオネットラインの定義
マリオネットラインとは、口角の両端から顎に向かって縦に伸びる溝状のラインのことを指します。この名称は、腹話術や人形劇で使用される操り人形(マリオネット)の口元のラインに似ていることから名付けられました。
ちょうど人形の口が動く部分のように見えることから、このように呼ばれているのです。
マリオネットラインがもたらす印象
マリオネットラインが深く刻まれると、以下のような印象を与えやすくなります。
- 老けて見える:実年齢よりも5〜10歳以上老けた印象を与える
 - 疲れた表情:いつも疲れているような印象
 - 不機嫌そう:口角が下がって見え、不機嫌そうな印象
 - 暗い雰囲気:顔全体の印象が暗く、重たく見える
 
このように、マリオネットラインは見た目の印象に大きな影響を与えるため、多くの方が改善を希望される部位となっています。
ほうれい線との違い
マリオネットラインと混同されやすいのが「ほうれい線」です。両者には以下のような違いがあります。
ほうれい線
- 小鼻の両脇から口角に向かって伸びる線
 - 笑ったときに特に目立つ
 - 20代後半から気になり始める方が多い
 
マリオネットライン
- 口角から顎に向かって伸びる線
 - 無表情でも目立つ
 - 30代後半から40代以降に目立ち始める方が多い
 
どちらもエイジングサインとして注目される部位ですが、発生する位置と原因が異なります。
マリオネットラインができる原因
マリオネットラインができる原因は、一つではありません。複数の要因が重なり合って、徐々に目立つようになっていきます。
加齢による皮膚の変化
加齢に伴う皮膚の変化は、マリオネットライン形成の最も大きな要因です。
コラーゲンの減少
皮膚の真皮層の約70%を占めるコラーゲンは、肌のハリや弾力を保つ重要な成分です。しかし、コラーゲンは年齢とともに減少していきます。
0歳時点を100%とすると、以下のように減少していきます。
- 20歳:約80%
 - 30歳:約40%
 - 50歳:20%以下
 
このコラーゲンの減少により、皮膚の支える力が弱まり、たるみが生じやすくなります。
エラスチンの減少
エラスチンは、コラーゲン同士を繋ぐバネのような役割を果たす弾力線維です。肌の伸び縮みを支える重要な成分ですが、こちらも加齢とともに減少します。
- 20代まで:増加し続ける
 - 40歳:20歳時の約30%
 - 50代:20歳時の約20%
 
エラスチンが減少すると、肌の弾力が失われ、たるみやすくなります。
ヒアルロン酸の減少
ヒアルロン酸は、真皮層で水分を保持する役割を担っています。1グラムで約6リットルもの水分を保持できる優れた保水力を持っています。
しかし、ヒアルロン酸も加齢とともに減少します。
- 20歳:ピーク時の100%
 - 40代から:急激に減少
 - 60代:ピーク時の約25%
 
ヒアルロン酸が減少すると、肌の水分保持力が低下し、ハリが失われます。
線維芽細胞の機能低下
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を生成する線維芽細胞も、加齢により機能が低下します。
0歳を100%とした場合、40歳の時点で50%以下にまで低下してしまいます。線維芽細胞の機能低下により、これらの美肌成分の生成量が減少し、肌の老化が進行します。
表情筋の衰え
顔には30種類以上の表情筋があり、これらの筋肉が皮膚を支えています。
口輪筋の衰え
口の周りを囲む口輪筋が衰えると、皮下脂肪や皮膚を支えきれなくなり、たるみやマリオネットラインができやすくなります。
口角下制筋の影響
口角を下げる働きのある口角下制筋や、下顎から首に広がる広頚筋の衰えにより、表情筋の力のバランスが偏ると、口角が下に引っ張られ、マリオネットラインが目立ちやすくなります。
骨格の変化
加齢により顔の骨量も減少します。土台となる骨が痩せることで、皮膚や皮下脂肪を支える力が弱まり、たるみが生じやすくなります。
特に顎の骨の萎縮は、マリオネットラインの形成に大きく影響します。
皮下脂肪の下垂
重力の影響により、皮下脂肪は徐々に下垂していきます。額やこめかみ、目元、頬の脂肪が下に移動し、口元や下顎付近でせき止められることで、たるみが生じ、マリオネットラインができやすくなります。
支持靭帯の緩み
顔には、骨と皮膚を繋ぐ支持靭帯が存在します。この靭帯が加齢により緩むと、皮膚や脂肪を支える力が弱まり、たるみが生じやすくなります。
生活習慣の影響
日常生活の中にも、マリオネットラインを目立たせる要因があります。
紫外線によるダメージ
紫外線、特にUVA波は真皮層まで到達し、コラーゲンやエラスチンだけでなく、それらを作り出す線維芽細胞にまでダメージを与えます。
紫外線により皮膚が炎症を起こすと、コラーゲンを分解する酵素が生成され、肌のハリが失われます。
乾燥
肌の乾燥状態が続くと、ターンオーバーが乱れ、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの生成が減少します。
また、乾燥により肌の水分保持力が低下し、シワやたるみができやすくなります。
喫煙
喫煙は血管を収縮させ、皮膚への血流を悪化させます。その結果、肌に必要な栄養や酸素が十分に届かず、コラーゲンの生成が阻害されます。
また、喫煙により体内で活性酸素が増加し、肌の老化が促進されます。
睡眠不足
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーが促進されます。睡眠不足が続くと、肌の修復機能が低下し、老化が進みやすくなります。
栄養バランスの偏り
コラーゲンやエラスチンの生成には、タンパク質やビタミンC、鉄分などの栄養素が必要です。偏った食生活により、これらの栄養素が不足すると、肌の老化が進みやすくなります。
表情のクセ
無意識のうちに口角を下げる表情を繰り返していると、その部分にシワやたるみができやすくなります。
特に、パソコンやスマートフォンを見ているときに、無表情で口角が下がった状態が続くと、マリオネットラインが定着しやすくなります。
ヒアルロン酸注入による治療
マリオネットラインの改善方法として、最も一般的かつ効果的な治療法の一つが、ヒアルロン酸注入です。
ヒアルロン酸とは
体内に存在する成分
ヒアルロン酸は、もともと人間の体内に存在する成分です。皮膚、軟骨、眼の角膜などに含まれるゼリー状の物質で、ムコ多糖類と呼ばれる粘性分泌液の一種です。
優れた保水力
ヒアルロン酸の最大の特徴は、その優れた保水力です。1グラムで約6リットルもの水分を保持できるため、肌の潤いを保つのに欠かせない成分となっています。
安全性の高さ
ヒアルロン酸は体内にもともと存在する成分であるため、アレルギー反応のリスクが非常に低く、安全性が高いとされています。
美容医療用ヒアルロン酸の特徴
架橋技術
体内に存在するヒアルロン酸は、そのまま注入しても短時間で吸収されてしまいます。そのため、美容医療で使用されるヒアルロン酸は、効果を持続させるために「架橋」という処理が施されています。
架橋とは、ヒアルロン酸の分子同士を結びつけ、吸収されにくい構造に加工することです。架橋の方法によって、ヒアルロン酸の持続力や使用用途が変わります。
粘度と硬さの違い
美容医療用のヒアルロン酸には、様々な種類があり、それぞれ粘度や硬さが異なります。
- 柔らかいタイプ:浅いシワや目元など、柔らかさが必要な部位に使用
 - 硬めのタイプ:深いシワや輪郭形成など、しっかりとした支持力が必要な部位に使用
 
マリオネットラインの治療では、通常、中程度から硬めのヒアルロン酸が使用されます。
厚生労働省承認製剤
日本国内で使用されるヒアルロン酸の中には、厚生労働省の承認を受けた製剤があります。
代表的なものに「ジュビダームビスタ」シリーズがあり、これらは品質、有効性、安全性について国が厳しく審査したものです。
マリオネットライン治療の仕組み
溝を内側から持ち上げる
ヒアルロン酸をマリオネットラインの溝に直接注入することで、凹んだ部分を内側から持ち上げます。これにより、影が目立たなくなり、若々しい印象になります。
ボリュームの補填
加齢により失われた皮膚のボリュームを補うことで、肌にハリを与え、マリオネットラインを目立たなくします。
リフトアップ効果
注入の仕方によっては、ヒアルロン酸が注入された箇所がテントのように肌をピンと張り、リフトアップ効果も得られます。
また、下顔面や頬の適切な位置にヒアルロン酸を注入することで、顔全体のたるみを改善し、間接的にマリオネットラインを目立たなくすることも可能です。
治療の効果
即効性
ヒアルロン酸注入の大きなメリットは、その即効性です。施術直後から効果を実感でき、数日程度で自然な仕上がりに収束します。
自然な仕上がり
適切な量と位置に注入することで、自然でバランスの取れた仕上がりが得られます。表情のクセや筋肉の動きに合わせて注入ポイントや量を調整することで、違和感のない自然な印象になります。
若々しい印象
マリオネットラインが改善されることで、口角が自然にリフトアップされたように見え、疲れた印象や不機嫌そうな印象が和らぎます。
その結果、顔全体が明るく、若々しい印象になります。
持続期間
ヒアルロン酸注入の効果は、永久的なものではありません。注入されたヒアルロン酸は、時間とともに体内に自然に吸収されていきます。
一般的な持続期間
個人差はありますが、一般的には以下の期間が目安とされています。
- 6ヶ月〜1年半程度:標準的なヒアルロン酸の場合
 - 1年〜2年程度:長期持続タイプのヒアルロン酸の場合
 
持続期間に影響する要因
以下の要因により、持続期間は変動します。
- 使用する製剤の種類:架橋の強さや濃度により異なる
 - 注入部位:動きの多い部位では吸収が早い傾向
 - 注入量:適切な量を注入した場合、効果が長持ちしやすい
 - 個人の代謝:代謝が活発な方は吸収が早い傾向
 - 生活習慣:喫煙や紫外線により分解が促進される場合がある
 
繰り返し施術による効果
施術回数を重ねることで、持続期間が長くなる傾向があります。これは、初回は注入したヒアルロン酸が定着しにくいものの、複数回施術を受けることで、より安定した効果が得られるためです。
他の治療法との併用
マリオネットラインの改善には、ヒアルロン酸注入だけでなく、他の治療法との併用も効果的です。
ボトックスとの併用
口角下制筋にボトックスを注入することで、口角を下方向に引っ張る力を緩め、口元をリフトアップさせます。これにより、マリオネットラインが目立たなくなります。
ヒアルロン酸で溝を埋め、ボトックスで筋肉の動きを調整することで、より効果的な改善が期待できます。
糸リフトとの併用
特殊な医療用の糸を皮下に挿入し、物理的に顔をリフトアップさせる治療です。たるみが強い場合は、糸リフトとヒアルロン酸注入を併用することで、より効果的な改善が期待できます。
レーザー治療との併用
コラーゲンの生成を促進するレーザー治療と組み合わせることで、肌質の改善とともにマリオネットラインの改善が期待できます。
施術の流れ
アイシークリニック大宮院でのヒアルロン酸注入治療の流れをご説明します。
カウンセリング
まず、医師によるカウンセリングを行います。
- お悩みのヒアリング:マリオネットラインの状態や、どのような仕上がりを希望されるかを詳しくお聞きします
 - 診察:お顔の状態、肌質、骨格、筋肉の動きなどを診察します
 - 治療計画の立案:最適な治療法、使用する製剤、注入量などをご提案します
 - リスクの説明:考えられる副作用やリスクについて、詳しくご説明します
 - 費用の説明:必要な費用について、明確にお伝えします
 
疑問や不安な点があれば、遠慮なくご質問ください。
デザイン
カウンセリングで決定した治療計画に基づき、注入部位をマーキングします。
顔全体のバランスを見ながら、最も効果的な注入ポイントを決定します。鏡を見ながら、患者様と一緒に確認していきます。
麻酔
痛みを軽減するため、以下の方法で麻酔を行います。
- 表面麻酔:クリームタイプの麻酔を注入部位に塗布します(約20〜30分)
 - アイスパック:冷却により痛みを和らげます
 
また、使用するヒアルロン酸製剤には、リドカイン(麻酔成分)が含まれているものもあり、注入中の痛みも軽減されます。
注入
デザインに基づき、ヒアルロン酸を注入していきます。
針の種類
注入には、通常の注射針または「マイクロカニューレ」と呼ばれる特殊な針を使用します。
マイクロカニューレの特徴
- 先端が丸く、血管や神経を傷つけにくい
 - 痛みや内出血のリスクが少ない
 - 血管塞栓のリスクを最小限に抑えられる
 
注入時間
注入自体にかかる時間は、約10〜20分程度です。施術中は、医師と看護師が声かけをしながら進めていきますので、リラックスしてお過ごしください。
施術後の確認
注入後、鏡で仕上がりを確認していただきます。左右のバランスや、希望通りの仕上がりになっているかをチェックします。
必要に応じて、微調整を行うこともあります。
アフターケアの説明
施術後の注意事項やアフターケアについて、詳しくご説明します。
何か気になることや、異変を感じた場合は、すぐにご連絡ください。
所要時間
カウンセリングから施術終了まで、初回は約60〜90分程度です。施術のみであれば、約30〜40分程度で完了します。
副作用とリスク
ヒアルロン酸注入は比較的安全性の高い治療ですが、医療行為である以上、副作用やリスクが全くないわけではありません。
一般的な副作用
腫れ・赤み
施術後、注入部位に軽度の腫れや赤みが生じることがあります。
- 程度:多くの場合、軽度で目立たない程度
 - 持続期間:数時間〜数日程度
 - 対処法:冷却により軽減される
 
内出血
針を刺した部位に内出血が生じることがあります。
- 発生頻度:個人差があり、まれに発生
 - 程度:軽度の青あざ程度
 - 持続期間:数日〜2週間程度
 - 対処法:コンシーラーやファンデーションでカバー可能
 
マイクロカニューレを使用することで、内出血のリスクを大幅に軽減できます。
痛み・違和感
施術後、注入部位に軽度の痛みや違和感を感じることがあります。
- 持続期間:数時間〜数日程度
 - 対処法:通常は自然に治まるため、特別な処置は不要
 
硬結(しこり)
注入部位が硬く感じられることがあります。
- 原因:ヒアルロン酸が馴染むまでの一時的な症状
 - 持続期間:数日〜数週間程度
 - 対処法:通常は時間とともに柔らかくなる
 
まれな副作用
アレルギー反応
ヒアルロン酸は体内にもともと存在する成分であるため、アレルギー反応のリスクは非常に低いですが、製剤に含まれる他の成分に対してアレルギー反応が生じる可能性があります。
感染
注入部位に細菌が入ることで感染が生じる可能性があります。
- 予防法:清潔な環境での施術、適切な消毒
 - 症状:発赤、腫脹、疼痛、発熱
 - 対処法:抗生物質の投与など
 
血管塞栓
非常にまれですが、ヒアルロン酸が誤って血管内に注入された場合、血管が閉塞し、以下のような重篤な合併症が生じる可能性があります。
- 皮膚壊死:血流が遮断され、皮膚組織が壊死する
 - 失明:眼動脈が閉塞した場合、視力障害や失明に至る可能性
 
日本形成外科学会の報告によれば、ベテラン医師でもこのような合併症が生じた例があるとされています。これは、血管の走行には個人差があり、教科書通りではないこともあるためです。
予防策
- マイクロカニューレの使用
 - 適切な注入技術
 - 解剖学的知識の習得
 - 少量ずつの注入
 
万が一、血管塞栓が疑われる場合は、ヒアルロニダーゼという酵素を用いて、注入したヒアルロン酸を速やかに分解する必要があります。
不自然な仕上がり
過剰に注入したり、不適切な位置に注入したりすると、以下のような問題が生じる可能性があります。
- パンパンに見える:口元が不自然に膨らむ
 - 凹凸ができる:表面に凸凹が生じる
 - 左右非対称:左右のバランスが崩れる
 
これらを防ぐためには、経験豊富な医師による適切な注入が重要です。
チンダル現象
浅い層に注入した場合、皮膚が青白く見える現象が生じることがあります。
副作用を最小限にするために
副作用のリスクを最小限に抑えるためには、以下の点が重要です。
- 経験豊富な医師を選ぶ:形成外科専門医や日本美容外科学会認定医など、適切な資格を持つ医師による施術
 - 高品質な製剤を使用する:厚生労働省承認製剤など、安全性の高い製剤を選択
 - 適切なカウンセリング:患者様の状態を十分に把握し、最適な治療計画を立てる
 - 丁寧な施術:解剖学的知識に基づいた、慎重な注入
 - アフターフォロー:施術後の経過観察とサポート
 
施術後の注意事項
ヒアルロン酸注入後は、以下の点に注意してください。
当日の過ごし方
避けるべきこと
- 激しい運動:血行が良くなり、腫れや内出血が悪化する可能性
 - 飲酒:血流が促進され、腫れが長引く可能性
 - 長風呂・サウナ:高温環境は腫れを悪化させる可能性
 - マッサージ:注入部位を強く押したり、揉んだりすると、ヒアルロン酸が移動する可能性
 
可能なこと
- 軽いシャワー:当日から可能(熱すぎないよう注意)
 - メイク:針穴部分を避ければ、施術当日から可能
 - 洗顔:優しく行えば当日から可能
 
数日間の注意点
避けるべきこと
- 過度な表情の動き:ヒアルロン酸が馴染むまでの数日間は、大きな表情を控える
 - うつ伏せ寝:注入部位に圧力がかかるため避ける
 - 歯科治療:口元に圧力がかかるため、可能であれば数週間は避ける
 
注意深く行うこと
- スキンケア:注入部位を強くこすらない
 - メイク:優しく行う
 
長期的な注意点
定期的なメンテナンス
ヒアルロン酸は時間とともに吸収されるため、効果を維持するには定期的な施術が必要です。
初回施術後、6ヶ月〜1年後を目安に、次回の施術を検討されることをお勧めします。
日常的なケア
- 紫外線対策:日焼け止め、帽子、日傘などで肌を守る
 - 保湿ケア:十分な保湿を心がける
 - バランスの良い食事:タンパク質、ビタミンC、鉄分などを摂取
 - 十分な睡眠:成長ホルモンの分泌を促す
 - 禁煙:コラーゲンの生成を促進
 
治療を受けられない方・注意が必要な方
以下に該当する方は、ヒアルロン酸注入を受けられない、または注意が必要な場合があります。
受けられない方
- 妊娠中・授乳中の方:胎児や乳児への影響が不明なため
 - ヒアルロン酸またはリドカインにアレルギーのある方
 - 注入部位に皮膚炎や感染症がある方
 - ケロイド体質の方
 - 自己免疫疾患のある方
 - 重度の糖尿病の方
 - 血液凝固異常のある方
 
注意が必要な方
- 抗凝固剤を服用中の方:内出血のリスクが高まる
 - アスピリンなどの血液をサラサラにする薬を服用中の方
 - 過去にヒアルロン酸注入で問題が生じた方
 - 金製剤によるアレルギーがある方
 
該当する項目がある場合は、カウンセリング時に必ず医師にお伝えください。

よくある質問
表面麻酔やアイスパックにより痛みを軽減します。また、使用するヒアルロン酸製剤にも麻酔成分が含まれているため、注入中の痛みも和らぎます。
多くの患者様が「思ったより痛くなかった」とおっしゃいます。
注入自体は約10〜20分程度です。カウンセリングから施術終了まで含めると、初回は約60〜90分程度です。
多くの場合、ダウンタイムはほとんどありません。軽度の腫れや赤みが生じることがありますが、数時間〜数日程度で治まります。
メイクは当日から可能なため、翌日から通常の生活に戻れます。
Q4. いつから効果を実感できますか?
施術直後から効果を実感できます。数日かけて徐々に馴染み、1週間程度で自然な仕上がりに落ち着きます。
Q5. どのくらい持続しますか?
使用する製剤や個人差にもよりますが、一般的には6ヶ月〜1年半程度です。長期持続タイプのヒアルロン酸を使用した場合は、1年〜2年程度持続することもあります。
Q6. 不自然な仕上がりになりませんか?
適切な量を適切な位置に注入すれば、自然な仕上がりになります。経験豊富な医師が、顔全体のバランスを見ながら注入しますので、ご安心ください。
Q7. 元に戻すことはできますか?
万が一、仕上がりに納得がいかない場合や、問題が生じた場合は、ヒアルロニダーゼという酵素を注入することで、ヒアルロン酸を分解し、早期に元に戻すことが可能です。
Q8. 他の治療と併用できますか?
はい、可能です。ボトックス、糸リフト、レーザー治療などと併用することで、より効果的な改善が期待できます。
医師とご相談の上、最適な治療計画を立てましょう。
Q9. 費用はどのくらいかかりますか?
使用する製剤の種類や注入量により異なります。詳しくは、カウンセリング時にお見積もりをお出しします。
Q10. どのくらいの頻度で施術を受ければよいですか?
初回施術後、6ヶ月〜1年後を目安に、次回の施術を検討されることをお勧めします。
ただし、効果の持続期間には個人差があるため、経過を見ながら最適なタイミングをご提案します。
他の治療法との比較
マリオネットラインの改善には、ヒアルロン酸注入以外にも様々な治療法があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
ボトックス注射
仕組み 口角下制筋にボトックスを注入し、筋肉の動きを弱めることで、口角を下に引っ張る力を緩め、リフトアップさせます。
メリット
- 施術時間が短い(約10分程度)
 - ダウンタイムがほぼない
 - 自然な表情を保てる
 
デメリット
- 溝そのものは埋まらない
 - 効果の持続期間が短い(3〜6ヶ月程度)
 - 筋肉の動きが弱まることで、場合によっては表情に違和感が生じることも
 
適している方
- マリオネットラインが浅い方
 - 口角下制筋の働きが強い方
 
糸リフト
仕組み 特殊な医療用の糸を皮下に挿入し、物理的に顔をリフトアップさせます。
メリット
- 顔全体のたるみを改善できる
 - コラーゲンの生成も促進される
 - 効果の持続期間が比較的長い(1〜2年程度)
 
デメリット
- ダウンタイムがある(数日〜1週間程度)
 - 痛みや違和感が生じることがある
 - 費用が比較的高額
 
適している方
- 顔全体のたるみが気になる方
 - より長期的な効果を求める方
 
ハイフ(HIFU)
仕組み 高密度焦点式超音波を用いて、皮膚の深層(SMAS層)に熱エネルギーを与え、コラーゲンの生成を促進し、リフトアップさせます。
メリット
- メスを使わない
 - ダウンタイムが少ない
 - 肌質の改善も期待できる
 
デメリット
- 効果が現れるまでに時間がかかる(1〜3ヶ月程度)
 - 深いマリオネットラインには効果が限定的
 - 痛みを感じることがある
 
適している方
- 軽度から中程度のたるみの方
 - 肌質改善も同時に行いたい方
 
脂肪注入
仕組み 自分の体から採取した脂肪を、マリオネットラインに注入します。
メリット
- 自己組織なのでアレルギーのリスクが低い
 - 定着した脂肪は半永久的に持続
 - 自然な仕上がり
 
デメリット
- 脂肪の採取が必要
 - 定着率が低い(30〜70%程度)
 - ダウンタイムがある
 - 費用が高額
 
適している方
- 長期的な効果を求める方
 - ヒアルロン酸を繰り返し注入したくない方
 
PRP療法(多血小板血漿療法)
仕組み 自分の血液から抽出した血小板を含む血漿(PRP)を注入し、組織の再生を促します。
メリット
- 自己の血液を使用するため安全性が高い
 - コラーゲンの生成を促進
 - 肌質の改善も期待できる
 
デメリット
- 効果が現れるまでに時間がかかる(1〜3ヶ月程度)
 - 効果に個人差がある
 - 複数回の施術が必要な場合がある
 
適している方
- 肌質改善も同時に行いたい方
 - 自然な方法で改善したい方
 
比較まとめ
| 治療法 | 即効性 | 持続期間 | ダウンタイム | 費用 | 
|---|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸注入 | ◎ | 6ヶ月〜1年半 | ほぼなし | 中程度 | 
| ボトックス | ◎ | 3〜6ヶ月 | ほぼなし | 低〜中程度 | 
| 糸リフト | ○ | 1〜2年 | あり | 高額 | 
| ハイフ | △ | 6ヶ月〜1年 | 少ない | 中〜高額 | 
| 脂肪注入 | ○ | 半永久的 | あり | 高額 | 
| PRP療法 | △ | 1年〜 | 少ない | 中〜高額 | 
マリオネットラインの深さや、たるみの程度、ご希望、予算などに応じて、最適な治療法を選択することが重要です。
医師とよく相談し、場合によっては複数の治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
予防とホームケア
マリオネットラインの形成を遅らせ、治療効果を長持ちさせるためには、日常的なケアも重要です。
スキンケア
保湿
肌の乾燥は、シワやたるみの原因となります。
- 洗顔後すぐに保湿:化粧水、美容液、乳液、クリームでしっかり保湿
 - 目元や口元は重点的に:特に乾燥しやすい部分は丁寧にケア
 - 加湿器の使用:室内の湿度を適切に保つ
 
紫外線対策
紫外線は、コラーゲンやエラスチンを破壊し、肌の老化を促進します。
- 日焼け止めの使用:季節や天候を問わず、毎日使用
 - 帽子や日傘:直射日光を避ける
 - サングラス:目元の皮膚を守る
 
エイジングケア化粧品
コラーゲンやエラスチンの生成を促進する成分が含まれた化粧品を使用することも効果的です。
- レチノール:ビタミンAの一種で、コラーゲンの生成を促進
 - ビタミンC誘導体:抗酸化作用があり、コラーゲンの生成を助ける
 - ペプチド:肌のハリを改善する
 
生活習慣
バランスの良い食事
肌の健康を保つためには、栄養バランスの取れた食事が重要です。
積極的に摂りたい栄養素
- タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品など
 - ビタミンC:柑橘類、いちご、ブロッコリー、パプリカなど
 - 鉄分:レバー、ほうれん草、小松菜など
 - オメガ3脂肪酸:青魚、ナッツ類など
 - 抗酸化成分:緑黄色野菜、果物など
 
控えたい食品
- 糖分の多い食品:AGE(終末糖化産物)の生成を促進
 - 揚げ物や焼き物:AGEが多く含まれる
 
十分な睡眠
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌の修復が行われます。
- 7〜8時間の睡眠:質の良い睡眠を確保
 - 就寝前のリラックス:テレビやスマートフォンの使用を控える
 - 規則正しい生活:同じ時間に寝起きする
 
禁煙
喫煙は、血流を悪化させ、コラーゲンの生成を阻害します。美肌のためには、禁煙が強く推奨されます。
適度な運動
適度な運動は、血行を促進し、新陳代謝を高めます。
- 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、水泳など
 - ストレッチ:筋肉をほぐし、血流を改善
 
表情筋トレーニング
表情筋を鍛えることで、たるみの予防に役立ちます。
口輪筋のトレーニング
- 口を「う」の形に突き出す
 - そのまま5秒キープ
 - 次に「い」の形に横に広げる
 - そのまま5秒キープ
 - これを10回繰り返す
 
頬の筋肉のトレーニング
- 口に空気をため、片側の頬を膨らませる
 - 5秒キープ
 - 反対側も同様に
 - 左右交互に10回繰り返す
 
ただし、過度なマッサージや表情筋トレーニングは、逆効果になる場合もありますので、適度に行うことが重要です。
姿勢の改善
姿勢の悪さは、顔のたるみにも影響します。
- 正しい姿勢を意識:背筋を伸ばし、顎を引く
 - スマートフォンの使用に注意:下を向き続けない
 - デスクワークの環境改善:画面の高さを適切に調整
 
まとめ
マリオネットラインは、加齢に伴うコラーゲンやエラスチンの減少、表情筋の衰え、骨格の変化など、複数の要因が重なって形成されます。
このマリオネットラインを改善する方法として、ヒアルロン酸注入は非常に効果的な治療法です。
ヒアルロン酸注入のメリット
- 即効性:施術直後から効果を実感できる
 - 安全性:体内にもともと存在する成分で、アレルギーのリスクが低い
 - 自然な仕上がり:適切に注入すれば、違和感のない自然な印象に
 - ダウンタイムが少ない:日常生活への影響が最小限
 - 可逆性:万が一の場合も、ヒアルロニダーゼで分解可能
 
治療を受ける際の注意点
- 経験豊富な医師を選ぶ:形成外科専門医など、適切な資格を持つ医師
 - 十分なカウンセリング:希望をしっかり伝え、リスクも理解する
 - 高品質な製剤を使用:厚生労働省承認製剤など、安全性の高いもの
 - アフターフォロー:施術後のサポート体制が整っているか確認
 
日常的なケアも重要
ヒアルロン酸注入による治療効果を長持ちさせ、新たなマリオネットラインの形成を予防するためには、日常的なケアも欠かせません。
- 適切なスキンケア
 - 紫外線対策
 - バランスの良い食事
 - 十分な睡眠
 - 禁煙
 - 適度な運動
 
これらを心がけることで、より若々しい印象を長く保つことができます。
最後に
マリオネットラインは、多くの方が気にされる老化のサインですが、適切な治療とケアにより、改善することが可能です。
参考文献
本記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にいたしました。
- 日本形成外科学会総会・学術集会抄録 (61): 224-224, 2018. – ヒアルロン酸注入による失明のリスクに関する報告
 - 日本美容外科学会(JSAS)- 美容外科における各種治療の安全性と有効性に関する情報
 - 日本美容医療協会 – 美容医療に関する適切な情報提供と患者啓発活動
 - 加齢による皮膚の変化とコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の減少に関する研究報告
 - 線維芽細胞の機能と加齢による変化に関する医学的研究
 - ヒアルロン酸製剤の種類と特性に関する製造メーカーの情報
 - 厚生労働省承認医薬品に関する情報
 
※本記事は医学的知見に基づいた一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりとなるものではありません。具体的な治療については、必ず医師にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
 - 2009年 東京逓信病院勤務
 - 2012年 東京警察病院勤務
 - 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
 - 2019年 当院治療責任者就任
 
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
 - 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
 - 2012年 東京逓信病院勤務
 - 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
 - 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務