はじめに
朝起きるのがつらい、立ち上がるとめまいがする、午前中は調子が悪い――このような症状に悩まされている方は、もしかすると低血圧が原因かもしれません。低血圧は高血圧ほど注目されることは少ないものの、日常生活に大きな影響を与える健康問題です。
特に、食事の内容によっては低血圧の症状を悪化させてしまう可能性があることをご存じでしょうか。本記事では、低血圧の方が注意すべき食べ物や飲み物について、医学的根拠に基づいて詳しく解説していきます。また、低血圧を改善するための食生活のポイントもあわせてご紹介します。
低血圧とは何か
低血圧の定義
低血圧とは、血圧が正常値よりも低い状態を指します。一般的に、収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧)が60mmHg未満の場合に低血圧と診断されることが多いです。ただし、日本では低血圧の明確な診断基準は確立されておらず、症状の有無も重要な判断材料となります。
世界保健機関(WHO)では、収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下を低血圧の目安としています。しかし、血圧が低くても症状がなければ特に問題はないとされています。
低血圧の種類
低血圧は大きく分けて3つのタイプがあります。
本態性低血圧 最も一般的なタイプで、明確な原因が特定できない低血圧です。遺伝的要因や体質による影響が大きいとされており、若い女性や痩せ型の方に多く見られます。慢性的に血圧が低い状態が続きますが、命に関わるような危険性は低いとされています。
起立性低血圧 横になった状態や座った状態から急に立ち上がったときに、血圧が急激に下がるタイプです。立ちくらみやめまい、場合によっては失神することもあります。高齢者や自律神経の機能が低下している方に多く見られます。
二次性低血圧 何らかの病気や薬の副作用が原因で起こる低血圧です。心臓病、内分泌疾患、脱水、出血、降圧薬などが原因となることがあります。この場合は原因となっている病気の治療が優先されます。
低血圧が起こるメカニズム
血圧は、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の抵抗(血管の収縮度合い)によって決まります。低血圧は、この心拍出量が少ない場合、血管の抵抗が低い場合、あるいはその両方が原因で起こります。
自律神経は血圧の調整において重要な役割を果たしています。交感神経が活発になると血圧が上がり、副交感神経が優位になると血圧が下がります。低血圧の方は、この自律神経のバランスが崩れていることが多く、特に副交感神経が優位になりやすい傾向があります。
低血圧の症状と日常生活への影響
主な症状
低血圧による症状は個人差が大きく、無症状の方もいれば、日常生活に支障をきたすほどの症状に悩まされる方もいます。
全身症状
- 全身倦怠感、疲れやすさ
- 朝起きられない、起床困難
- 日中の眠気、集中力の低下
- 冷え性、手足の冷え
循環器系の症状
- めまい、立ちくらみ
- 動悸、息切れ
- 胸の不快感
消化器系の症状
- 食欲不振
- 吐き気
- 胃もたれ
神経系の症状
- 頭痛、頭重感
- 肩こり
- 不眠
これらの症状は、特に午前中に強く現れることが多く、午後になると改善する傾向があります。
日常生活への影響
低血圧の症状は、仕事や学業、家事など日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼします。朝起きられないことで遅刻が増えたり、集中力が続かず作業効率が下がったり、倦怠感から外出や運動を避けるようになったりすることもあります。
また、起立性低血圧による立ちくらみは、転倒や事故につながる危険性もあるため、特に注意が必要です。
食事と低血圧の関係
なぜ食事が低血圧に影響するのか
食事は血圧に大きな影響を与えます。食事を摂ると、消化のために胃や腸に血液が集中し、一時的に全身を巡る血液量が減少します。このとき、健康な人であれば自律神経が働いて血圧を維持しますが、低血圧の方や自律神経の調整がうまくいかない方では、食後に血圧がさらに下がってしまうことがあります。
これを「食後低血圧」といい、食後に強い眠気やだるさ、めまいなどの症状が現れます。特に高齢者では食後低血圧が起こりやすく、転倒のリスクも高まります。
栄養素と血圧の関係
血圧の調整には、さまざまな栄養素が関わっています。
塩分(ナトリウム) 塩分は体内の水分バランスを調整し、血液量を維持する働きがあります。低血圧の方では、適度な塩分摂取が血圧の維持に役立つことがあります。ただし、摂りすぎは別の健康問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
水分 十分な水分摂取は、血液量を保ち、血圧を維持するために重要です。脱水状態になると血圧が下がりやすくなります。
タンパク質 筋肉や血管の材料となるタンパク質は、血圧の維持にも関わっています。不足すると筋力低下や循環器機能の低下につながる可能性があります。
ビタミン・ミネラル ビタミンB群、ビタミンC、鉄、マグネシウムなどは、エネルギー代謝や血液の生成、血管の健康維持に関わっており、これらが不足すると低血圧の症状が悪化することがあります。
低血圧の人が注意すべき食べ物・飲み物
それでは、低血圧の方が注意すべき、あるいは避けたほうがよい食べ物や飲み物について詳しく見ていきましょう。
1. アルコール類
なぜ避けるべきか アルコールは血管を拡張させる作用があり、血圧を下げる効果があります。低血圧の方がアルコールを摂取すると、さらに血圧が下がってしまい、めまいやふらつき、立ちくらみなどの症状が悪化する可能性があります。
特に、大量のアルコール摂取や空腹時の飲酒は危険です。アルコールによる血管拡張作用は数時間続くため、飲酒後しばらくは注意が必要です。また、アルコールには利尿作用もあり、体内の水分が失われることで血液量が減少し、さらに血圧が下がりやすくなります。
対処法
- 飲酒する場合は少量にとどめる
- 空腹時の飲酒は避ける
- 水分を十分に補給しながら飲む
- アルコール度数の低い飲み物を選ぶ
2. カフェインの過剰摂取
なぜ注意が必要か カフェインについては賛否両論があります。カフェインには一時的に血圧を上げる作用があるため、低血圧の改善に役立つという意見もあります。実際、適量のカフェイン摂取は、低血圧による眠気や集中力低下を改善する効果が期待できます。
しかし、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。カフェインには利尿作用があり、体内の水分が失われることで血液量が減少し、結果的に血圧が下がってしまう可能性があります。また、カフェインへの依存が生じると、摂取しないときに血圧がさらに下がったり、頭痛などの離脱症状が現れたりすることもあります。
さらに、カフェインは睡眠の質を低下させることがあり、夜遅い時間の摂取は避けるべきです。睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、低血圧の症状を悪化させる原因になります。
対処法
- 1日のカフェイン摂取量は400mg以下に抑える(コーヒーなら3〜4杯程度)
- 午後3時以降のカフェイン摂取は控える
- カフェイン摂取後は十分な水分補給を心がける
- 徐々に摂取量を減らしていく
3. 糖質の多い食品(単純糖質)
なぜ注意が必要か 砂糖や白米、白パン、お菓子など、糖質が多く含まれる食品、特に単純糖質(精製された糖質)を大量に摂取すると、血糖値が急激に上昇します。すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げようとします。
このインスリンには、血管を拡張させる作用があり、血圧を下げる効果もあります。そのため、糖質を大量に摂取した後、特に食後1〜2時間後に血圧が下がり、強い眠気やだるさ、めまいなどの症状が現れることがあります。
また、糖質の過剰摂取は血糖値の乱高下を招き、自律神経のバランスを乱す原因にもなります。
特に注意すべき食品
- 清涼飲料水、ジュース
- お菓子、スイーツ
- 白米、白パン、うどんなどの精製された穀物
- ファストフード
対処法
- 食事は糖質、タンパク質、脂質、食物繊維をバランスよく摂る
- 白米より玄米や雑穀米、白パンより全粒粉パンを選ぶ
- 食事の最初に野菜やタンパク質を食べる(ベジファースト)
- お菓子やジュースの摂取を控える
4. 極端に塩分を制限した食事
なぜ注意が必要か 高血圧の予防・改善には減塩が推奨されますが、低血圧の方が極端に塩分を制限すると、症状が悪化する可能性があります。塩分(ナトリウム)は体内の水分バランスを調整し、血液量を維持する働きがあります。塩分が不足すると、血液量が減少し、血圧がさらに下がってしまいます。
ただし、塩分の過剰摂取は別の健康問題(腎臓病、胃がんなど)を引き起こす可能性があるため、適度な量を心がけることが大切です。
対処法
- 1日の塩分摂取量は8〜10g程度を目安にする
- 極端な減塩は避ける
- 汗をかいたときや夏場は、塩分補給を意識する
- 塩分と一緒に水分も十分に摂る
5. 冷たい飲み物・食べ物の過剰摂取
なぜ注意が必要か 冷たい飲み物や食べ物を大量に摂取すると、胃腸が冷えて消化機能が低下します。消化機能が低下すると、食べ物から栄養を十分に吸収できなくなり、エネルギー不足や栄養不足につながります。
また、冷たいものは血管を収縮させる一方で、体温を維持するために血液が胃腸に集中し、結果的に全身の血流が悪くなります。特に低血圧の方は冷え性を併発していることが多く、冷たい飲み物や食べ物の過剰摂取は症状を悪化させる可能性があります。
対処法
- できるだけ常温や温かい飲み物を選ぶ
- 冷たいものを食べるときは、ゆっくり少量ずつ摂る
- 体を温める食材(生姜、ねぎ、にんにくなど)を取り入れる
6. 大量の食事(特に炭水化物中心の食事)
なぜ注意が必要か 一度に大量の食事を摂ると、消化のために大量の血液が胃腸に集中し、脳や筋肉への血流が減少します。これにより、食後に強い眠気やだるさ、めまいなどの症状が現れやすくなります。これが先述した「食後低血圧」です。
特に炭水化物中心の食事(丼物、麺類、パンなど)は、糖質の急激な吸収により血糖値が上昇し、インスリンの分泌を促します。インスリンの血管拡張作用により、食後の血圧低下がさらに強まる可能性があります。
対処法
- 1回の食事量を減らし、1日4〜5回に分けて食べる(少量頻回食)
- ゆっくりよく噛んで食べる
- 炭水化物だけでなく、タンパク質や野菜もバランスよく摂る
- 食後すぐに激しい活動や入浴を避け、少し休む
7. 加工食品・インスタント食品の多用
なぜ注意が必要か 加工食品やインスタント食品には、添加物が多く含まれていることがあります。また、栄養バランスが偏りやすく、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が不足しがちです。
ビタミンB群やビタミンC、鉄、マグネシウムなどは、エネルギー代謝や血液の生成、自律神経の調整に関わる重要な栄養素です。これらが不足すると、低血圧の症状が悪化したり、倦怠感や疲労感が強まったりする可能性があります。
対処法
- できるだけ手作りの食事を心がける
- 加工食品を使う場合は、野菜や果物を追加して栄養バランスを整える
- サプリメントで不足しがちな栄養素を補う(ただし、医師や薬剤師に相談してから)
8. 極端なダイエット・食事制限
なぜ避けるべきか 極端なダイエットや食事制限は、栄養不足やエネルギー不足を招き、低血圧の症状を悪化させる大きな原因となります。特に、糖質制限ダイエットや断食などの極端な方法は、血糖値の低下や脱水を引き起こし、めまいや立ちくらみ、倦怠感を強めます。
また、摂取カロリーが不足すると、体は基礎代謝を下げて省エネモードに入ります。基礎代謝の低下は、血圧の維持に必要なエネルギーも不足させ、低血圧を悪化させる悪循環を生みます。
対処法
- 健康的な体重管理を心がける
- ダイエットが必要な場合は、医師や管理栄養士に相談する
- 極端な食事制限は避け、バランスの取れた食事を摂る
- 適度な運動と組み合わせる
9. 利尿作用のある食品の過剰摂取
なぜ注意が必要か 利尿作用のある食品を過剰に摂取すると、体内の水分が失われ、血液量が減少します。その結果、血圧がさらに下がってしまう可能性があります。
利尿作用のある主な食品
- カフェインを含む飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク)
- アルコール
- きゅうり、すいか、メロンなどの水分の多い野菜・果物
- セロリ、パセリなどの香味野菜
対処法
- これらの食品を摂取した場合は、十分な水分補給を心がける
- 過剰摂取を避け、適度な量にとどめる
- 特に夏場や運動後は注意する
10. 食事を抜く・不規則な食事時間
なぜ避けるべきか 朝食を抜いたり、食事の時間が不規則だったりすると、血糖値が不安定になり、エネルギーが不足します。特に朝食を抜くと、午前中のだるさや集中力低下、めまいなどの症状が強まります。
また、長時間食事を摂らないと、血糖値が下がり、それに伴って血圧も下がりやすくなります。不規則な食事は自律神経のリズムも乱し、低血圧の症状を悪化させる原因になります。
対処法
- 1日3食、規則正しく食事を摂る
- 朝食は必ず食べる
- 忙しくて食事の時間が取れない場合は、軽食やバランス栄養食品で補う
- 寝る直前の食事は避け、就寝3時間前までに夕食を済ませる
低血圧の人におすすめの食事
ここまで注意すべき食品について説明してきましたが、次に低血圧の改善に役立つ食事について紹介します。
基本的な食事のポイント
1. バランスの取れた食事 主食(炭水化物)、主菜(タンパク質)、副菜(ビタミン・ミネラル)を揃えた、バランスの取れた食事を心がけましょう。特定の栄養素に偏らないことが大切です。
2. 適度な塩分摂取 極端な減塩は避け、1日8〜10g程度の塩分を摂るようにしましょう。味噌汁、梅干し、漬物などから自然に塩分を摂取できます。
3. 十分な水分補給 1日1.5〜2リットルの水分を目安に、こまめに水分を補給しましょう。起床時、食事の前後、就寝前などに意識して水を飲むことをおすすめします。
4. タンパク質をしっかり摂る 肉、魚、卵、大豆製品などから、良質なタンパク質を摂りましょう。タンパク質は筋肉や血管の材料となり、血圧の維持にも役立ちます。
積極的に摂りたい食品
鉄分を多く含む食品 貧血を伴う低血圧の方には特に重要です。
- レバー(豚、鶏)
- 赤身の肉(牛肉、豚肉)
- 魚(まぐろ、かつお、あさり)
- 大豆製品(納豆、厚揚げ)
- 小松菜、ほうれん草
- ひじき
ビタミンB群を多く含む食品 エネルギー代謝を助け、疲労回復に役立ちます。
- 豚肉
- うなぎ
- 玄米
- 納豆
- バナナ
- にんにく
体を温める食品 血行を促進し、低血圧の症状を和らげます。
- 生姜
- ねぎ
- にんにく
- 唐辛子(適量)
- 根菜類(ごぼう、れんこん、にんじん)
ビタミンCを多く含む食品 鉄の吸収を助け、血管の健康維持に役立ちます。
- 柑橘類(みかん、グレープフルーツ、レモン)
- いちご
- キウイフルーツ
- ブロッコリー
- パプリカ
おすすめの献立例
朝食の例
- 玄米ご飯
- 味噌汁(わかめ、豆腐)
- 焼き鮭
- 納豆
- ほうれん草のおひたし
- 梅干し
朝食は1日の始まりに重要なエネルギー源です。和食を中心に、適度な塩分とタンパク質を含む食事を心がけましょう。
昼食の例
- 豚肉の生姜焼き定食(ご飯、味噌汁付き)
- サラダ(レタス、トマト、ブロッコリー)
午前中の活動でエネルギーを消費した後は、しっかりとした昼食を摂りましょう。豚肉は疲労回復に効果的なビタミンB1が豊富で、生姜は体を温める効果があります。
夕食の例
- 雑穀米ご飯
- 豆腐と野菜のスープ
- 鶏肉のソテー(にんにく風味)
- 小松菜と油揚げの煮浸し
- ひじきの煮物
夕食は消化に良いメニューを選び、就寝3時間前までに済ませましょう。鉄分やミネラルを多く含む食材を取り入れます。
間食の例
- ナッツ類(アーモンド、くるみ)
- ドライフルーツ
- ゆで卵
- チーズ
- バナナ
空腹時間が長くなると血糖値が下がりやすいため、適度な間食は低血圧の管理に役立ちます。糖質だけでなく、タンパク質や良質な脂質を含むものを選びましょう。
生活習慣の改善で低血圧を管理する
食事以外にも、生活習慣の改善が低血圧の症状緩和に重要です。
規則正しい生活リズム
自律神経のバランスを整えるために、規則正しい生活リズムを心がけましょう。
- 毎日同じ時間に起床・就寝する
- 朝は太陽の光を浴びる
- 夜更かしを避ける
- 十分な睡眠時間を確保する(7〜8時間)
適度な運動
運動は血行を促進し、筋力を向上させることで、血圧の維持に役立ちます。ただし、激しい運動は逆効果になることもあるため、無理のない範囲で行いましょう。
おすすめの運動
- ウォーキング
- ストレッチ
- ヨガ
- 水泳
- サイクリング
運動は朝よりも、体が温まっている午後に行うのがおすすめです。運動後は十分な水分補給を忘れずに。
急な姿勢の変化に注意
起立性低血圧の方は、急に立ち上がると立ちくらみやめまいが起こりやすくなります。
予防のポイント
- 朝起きるときは、布団の中で手足を動かしてから、ゆっくり起き上がる
- 座った状態から立ち上がるときは、一度深呼吸してから、ゆっくり立つ
- 長時間立ちっぱなしを避ける
- 立っているときは、かかとの上げ下げをして、ふくらはぎの筋肉を動かす
ストレス管理
ストレスは自律神経のバランスを乱し、低血圧の症状を悪化させる原因になります。
ストレス解消法
- 趣味の時間を持つ
- 深呼吸や瞑想を取り入れる
- 十分な休息を取る
- 友人や家族と話す時間を作る
- 好きな音楽を聴く
入浴の工夫
入浴は血行を促進しリラックス効果がありますが、急激な温度変化は血圧を不安定にする可能性があります。
入浴のポイント
- 湯温は38〜40度のぬるめに設定する
- 長湯を避け、10〜15分程度にする
- 入浴前後に水分補給をする
- 湯船から出るときはゆっくり立ち上がる
- 入浴後は急に冷えないよう注意する
服装の工夫
体を冷やさないことも、低血圧の管理には重要です。
- 冷房の効いた場所では上着を羽織る
- 足元を温めるため、靴下やレッグウォーマーを活用する
- 首や手首、足首など、血管の多い部分を温める
- 季節に合わせた適切な服装を心がける
医療機関を受診すべきタイミング
低血圧の症状が日常生活に支障をきたす場合や、以下のような症状がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
受診を検討すべき症状
- 頻繁に立ちくらみやめまいが起こる
- 失神したことがある
- 動悸や胸の痛みを感じる
- 強い倦怠感が続く
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 急に血圧が下がった
- 他の病気や薬の副作用が疑われる

まとめ
低血圧の方が注意すべき食べ物や飲み物について、詳しく解説してきました。
避けるべき・注意すべき食べ物・飲み物
- アルコール類
- カフェインの過剰摂取
- 糖質の多い食品(単純糖質)
- 極端に塩分を制限した食事
- 冷たい飲み物・食べ物の過剰摂取
- 大量の食事(特に炭水化物中心)
- 加工食品・インスタント食品の多用
- 極端なダイエット・食事制限
- 利尿作用のある食品の過剰摂取
- 食事を抜く・不規則な食事時間
低血圧の管理には、これらの食品を避けるだけでなく、バランスの取れた食事、適度な塩分と水分の摂取、規則正しい生活リズムが重要です。また、タンパク質や鉄分、ビタミンB群、ビタミンCなどの栄養素を意識して摂ることで、症状の改善が期待できます。
食事の改善と生活習慣の見直しを続けても症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。適切な診断と治療により、低血圧の症状は改善できる可能性があります。
参考文献
本記事は、以下の信頼できる医学的情報源を参考に作成しました。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html - 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
https://www.jpnsh.jp/guideline.html - 日本循環器学会「循環器病の診断と治療に関するガイドライン」
https://www.j-circ.or.jp/guideline/ - 国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
https://hfnet.nibiohn.go.jp/ - e-ヘルスネット(厚生労働省)「低血圧」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の医学的知見については、医療機関にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務