はじめに
健康診断や血液検査で「白血球が多い」と指摘されたことはありませんか?突然の結果に不安を感じる方も多いでしょう。白血球は私たちの体を守る免疫システムの中心的な役割を担っていますが、その数値が基準値を超えると、様々な体の変化や疾患のサインとなることがあります。
この記事では、白血球が多い状態について、その原因や考えられる病気、必要な検査、治療法まで、医学的な根拠に基づいて詳しく解説していきます。白血球増多の指摘を受けた方はもちろん、健康管理に関心のある方にとっても役立つ情報をお届けします。
白血球とは?その役割と種類
白血球の基本的な働き
白血球(はっけっきゅう)は、血液中に存在する細胞の一種で、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る「免疫」の中心的な役割を担っています。白血球は骨髄で作られ、血液を通じて全身を循環しながら、常に体内をパトロールしています。
私たちの体は、毎日無数の細菌やウイルスにさらされていますが、病気にならずに健康を保てるのは、この白血球が適切に機能しているからです。白血球は、異物を発見すると攻撃して排除したり、他の免疫細胞に情報を伝えたりすることで、体を守っています。
白血球の種類
白血球は大きく分けて5つの種類に分類され、それぞれが異なる役割を持っています。
1. 好中球(こうちゅうきゅう) 白血球の中で最も多く、全体の50〜70%を占めます。細菌感染に対する防御の最前線で働き、細菌を取り込んで分解する「食作用」を行います。急性の感染症では特に増加します。
2. リンパ球 全体の20〜40%を占め、ウイルス感染や免疫反応に関与します。Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞などに分類され、抗体を作ったり、ウイルス感染細胞を攻撃したりします。
3. 単球(たんきゅう) 全体の2〜8%を占め、血管から組織に移動してマクロファージとなり、細菌や死んだ細胞を処理します。慢性的な炎症で増加することがあります。
4. 好酸球(こうさんきゅう) 全体の1〜5%を占め、アレルギー反応や寄生虫感染に対応します。気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患で増加します。
5. 好塩基球(こうえんききゅう) 全体の0〜1%と最も少なく、アレルギー反応に関与します。ヒスタミンなどの物質を放出します。
白血球の正常値と「多い」の基準
白血球数の正常範囲
血液検査における白血球数の正常値は、一般的に1マイクロリットル(μL)あたり3,500〜9,000個(または3.5〜9.0×10³/μL)とされています。ただし、検査機関や測定方法によって若干の違いがあり、3,000〜10,000個/μLを正常範囲とする場合もあります。
白血球数が9,000〜10,000個/μLを超える状態を「白血球増多(はっけっきゅうぞうた)」と呼びます。ただし、基準値を少し超えただけでは必ずしも病的とは限りません。
白血球増多の程度による分類
白血球の増加程度によって、その意味合いが変わってきます。
- 軽度増加(10,000〜15,000個/μL):生理的な変動や軽度の感染症、ストレスなどで見られることが多い
- 中等度増加(15,000〜30,000個/μL):細菌感染症、炎症性疾患などで見られる
- 高度増加(30,000個/μL以上):重症感染症、血液疾患などが疑われる
白血球数が50,000個/μLを超えるような場合は、白血病などの血液疾患の可能性も考慮する必要があります。
年齢や性別による違い
白血球数は年齢や性別によっても変動します。
- 新生児・乳児:10,000〜30,000個/μLと成人より高値
- 小児:6,000〜15,000個/μLとやや高め
- 成人:3,500〜9,000個/μL
- 妊娠中:10,000〜15,000個/μLと生理的に増加
一般的に女性の方が男性よりもわずかに高値となる傾向があります。
白血球が多くなる原因
白血球が多くなる原因は多岐にわたります。病的なものから生理的なものまで、様々な要因が考えられます。
1. 感染症
白血球増多の最も一般的な原因は感染症です。体内に細菌やウイルスが侵入すると、これらと戦うために白血球が増加します。
細菌感染症
- 肺炎
- 扁桃炎
- 虫垂炎(盲腸)
- 尿路感染症
- 皮膚の化膿性疾患(蜂窩織炎など)
- 髄膜炎
- 敗血症
細菌感染では特に好中球が著しく増加します。感染が重症であるほど、白血球数も高くなる傾向があります。
ウイルス感染症
- インフルエンザ
- 伝染性単核球症
- 麻疹
- 風疹
ウイルス感染では、感染初期に白血球が減少することもありますが、その後リンパ球が増加することがあります。
2. 炎症性疾患
感染以外の炎症でも白血球は増加します。
- 自己免疫疾患:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、クローン病など
- 急性炎症:急性虫垂炎、急性胆嚢炎、膵炎、心筋梗塞など
- 慢性炎症:慢性気管支炎、慢性関節炎など
炎症が起こると、体はそれを修復するために白血球を動員します。炎症の程度や範囲によって、白血球の増加度合いも変わります。
3. 悪性腫瘍(がん)
がんも白血球増多の原因となります。
- 血液のがん:白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病など)、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群
- 固形がん:肺がん、胃がん、大腸がんなどの進行がん
白血病では、異常な白血球が無制限に増殖するため、白血球数が数万から数十万にまで増加することがあります。また、固形がんでは、腫瘍から産生される物質が白血球の産生を促進することがあります。
4. 薬剤性
特定の薬剤によって白血球が増加することがあります。
- ステロイド薬(プレドニゾロン、デキサメタゾンなど)
- エピネフリン(アドレナリン)
- G-CSF製剤(白血球増加薬)
- リチウム(気分安定薬)
- 一部の抗生物質
特にステロイド薬は、炎症を抑える目的で使用されますが、副作用として白血球、特に好中球を増加させます。これは薬剤の作用機序によるもので、薬を中止すれば通常は正常化します。
5. ストレスや生理的要因
病気ではなく、生理的な反応として白血球が増加することもあります。
身体的ストレス
- 激しい運動
- 手術後
- 外傷
- 火傷
- 出血
精神的ストレス
- 強い不安や緊張
- 過度のストレス状態
その他の生理的要因
- 妊娠(特に後期)
- 喫煙
- 食後(特に脂肪の多い食事)
- 入浴直後
これらの生理的な白血球増多は一時的なもので、原因が解消されれば自然と正常値に戻ります。
6. 血液疾患
白血球自体の病気も原因となります。
- 骨髄増殖性疾患:真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- 慢性好中球性白血病
これらの疾患では、骨髄での白血球産生が異常に亢進します。
7. 代謝・内分泌疾患
ホルモンの異常や代謝の変化も白血球に影響します。
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- クッシング症候群
- 糖尿病(特にコントロール不良時)
- 痛風発作
8. アレルギー疾患
アレルギー反応では、特定の白血球が増加します。
- 気管支喘息:好酸球増多
- アトピー性皮膚炎:好酸球増多
- 薬剤アレルギー:好酸球増多
- 寄生虫感染:好酸球増多
9. その他の原因
- 脾臓摘出後:脾臓は古い血球を処理する臓器であり、摘出後は白血球が増加することがあります
- 組織壊死:心筋梗塞、肺塞栓などで組織が壊死すると、修復のために白血球が増加します
- 溶血:赤血球が壊れる病態
白血球が多いときの症状
白血球増多自体は症状を引き起こすことは少なく、多くの場合、原因となっている病気の症状が現れます。しかし、白血球数が極めて高値(50,000個/μL以上)になると、以下のような症状が出ることがあります。
原因疾患による症状
感染症の場合
- 発熱
- 悪寒・戦慄
- 全身倦怠感
- 食欲不振
- 感染部位の痛みや腫れ(喉の痛み、腹痛、排尿時痛など)
炎症性疾患の場合
- 関節の痛みや腫れ
- 腹痛や下痢
- 皮膚の発疹
- 持続する微熱
白血病などの血液疾患の場合
- 原因不明の発熱が続く
- 異常な出血傾向(鼻血、歯茎からの出血、あざができやすい)
- 貧血症状(めまい、動悸、息切れ、顔色が悪い)
- リンパ節の腫れ
- 脾臓や肝臓の腫大による腹部膨満感
- 骨の痛み
- 体重減少
- 夜間の異常な発汗
高白血球血症による直接的な症状
白血球数が著しく増加すると、血液の粘度が上がり、血流が悪くなることがあります。これを「白血球うっ滞症候群」と呼び、以下のような症状が現れることがあります。
- 頭痛
- めまい
- 視力障害(かすみ目)
- 呼吸困難
- 意識障害
これらは白血球数が100,000個/μL以上になるような重症例で見られ、緊急の治療が必要です。
白血球が多いときの検査
白血球増多が見つかった場合、原因を特定するために様々な検査が行われます。
血液検査の詳細
白血球分画(はっけっきゅうぶんかく) 白血球の種類別の割合と数を調べます。どの種類の白血球が増えているかによって、病気の種類を推測できます。
- 好中球増多:細菌感染、炎症、骨髄増殖性疾患
- リンパ球増多:ウイルス感染、慢性リンパ性白血病、伝染性単核球症
- 好酸球増多:アレルギー疾患、寄生虫感染
- 単球増多:結核、一部の感染症、慢性骨髄単球性白血病
血液像(末梢血塗抹標本) 顕微鏡で血液細胞の形態を詳しく観察します。異常な白血球(芽球など)の有無を確認し、白血病などの血液疾患を診断します。
CRP(C反応性蛋白) 炎症の程度を示す指標です。感染症や炎症性疾患で上昇します。
赤血球数・ヘモグロビン・血小板数 白血球以外の血球成分も確認します。貧血や血小板減少があれば、血液疾患の可能性が高まります。
生化学検査 肝機能、腎機能、血糖値、尿酸値などを調べ、全身状態や合併症を評価します。
画像検査
胸部X線検査・CT検査 肺炎などの呼吸器感染症、肺がん、リンパ節の腫れなどを確認します。
腹部超音波検査・CT検査 肝臓、脾臓、リンパ節の腫大、虫垂炎、胆嚢炎などを診断します。
骨髄検査
白血病などの血液疾患が疑われる場合、骨髄穿刺や骨髄生検を行います。骨盤の骨(腸骨)から骨髄液を採取し、顕微鏡で詳しく観察します。これにより、血球がどのように作られているか、異常な細胞がないかを確認できます。
その他の特殊検査
染色体検査・遺伝子検査 白血病の確定診断や病型分類、治療方針の決定に重要です。特に慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体やBCR-ABL融合遺伝子の検出が診断の決め手となります。
感染症の検査 原因微生物を特定するため、血液培養、尿培養、喀痰培養などを行います。また、ウイルス抗体検査やPCR検査も実施されることがあります。
自己抗体検査 自己免疫疾患が疑われる場合、リウマチ因子、抗核抗体、抗DNA抗体などを調べます。
白血球が多いときの治療
治療は原因によって大きく異なります。
1. 感染症の治療
細菌感染症
- 抗生物質の投与(ペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系など)
- 感染源の除去(膿瘍のドレナージ、虫垂切除術など)
- 十分な水分補給と栄養管理
- 重症例では入院治療
適切な抗生物質治療により、通常は数日から1週間程度で白血球数は正常化します。
ウイルス感染症 多くのウイルス感染症は自然に治癒しますが、対症療法として以下を行います。
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
- 十分な休養と水分補給
- 一部のウイルスには抗ウイルス薬(インフルエンザに対するオセルタミビルなど)
2. 炎症性疾患の治療
自己免疫疾患
- ステロイド薬(プレドニゾロンなど)
- 免疫抑制薬(メトトレキサート、アザチオプリンなど)
- 生物学的製剤(TNF阻害薬など)
炎症性腸疾患
- 5-アミノサリチル酸製剤
- ステロイド薬
- 免疫調整薬
- 栄養療法
3. 白血病の治療
白血病の治療は病型によって異なりますが、主に以下の方法があります。
急性白血病
- 化学療法(多剤併用療法)
- 造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)
- 支持療法(輸血、感染症予防など)
慢性骨髄性白血病
- 分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬:イマチニブ、ニロチニブなど)
- 造血幹細胞移植
現在、慢性骨髄性白血病は分子標的薬により、多くの患者さんが良好な予後を得られるようになっています。
4. 薬剤性白血球増多への対応
原因となっている薬剤の中止または減量を検討します。ただし、ステロイド薬など治療上必要な薬剤の場合は、主治医と相談しながら慎重に対応します。
5. 生理的白血球増多への対応
ストレスや運動などによる一時的な増加の場合、特別な治療は不要です。ただし、以下の生活習慣の改善が推奨されます。
- 喫煙者は禁煙を検討
- 適度な運動習慣
- 十分な睡眠と休養
- ストレス管理
- バランスの取れた食事
6. 緊急時の対応
白血球数が極めて高値で白血球うっ滞症候群が疑われる場合、緊急治療として以下が行われます。
- 白血球除去療法(ロイコフェレーシス):血液から過剰な白血球を機械的に除去
- 大量輸液:血液の粘度を下げる
- 化学療法の即座の開始(白血病の場合)
白血球が多いときの日常生活での注意点
定期的な経過観察の重要性
白血球増多の指摘を受けた場合、原因が明らかでなくても定期的な血液検査が必要です。以下の場合は特に注意が必要です。
- 白血球数が15,000個/μL以上
- 徐々に白血球数が増加している
- 他の血球(赤血球、血小板)にも異常がある
- 原因不明の発熱や体重減少がある
通常、1〜3ヶ月ごとの再検査が推奨されます。
感染予防
白血球が多い原因が感染症の場合、以下の感染予防策が重要です。
- 手洗い・うがいの徹底
- マスクの着用(必要時)
- 人混みを避ける
- 十分な栄養と睡眠
- 予防接種の接種(インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなど)
白血病などで免疫力が低下している場合は、より厳格な感染予防が必要になります。
生活習慣の改善
禁煙 喫煙は慢性的に白血球を増加させます。禁煙することで、数ヶ月で白血球数は正常化します。
適度な運動 激しい運動は一時的に白血球を増やしますが、適度な運動習慣は免疫機能を整えます。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などがおすすめです。
ストレス管理 慢性的なストレスは白血球にも影響します。リラクゼーション、趣味の時間、十分な睡眠などでストレスを軽減しましょう。
バランスの良い食事 特定の食品で白血球数を正常化することは困難ですが、以下の栄養素は免疫機能の維持に重要です。
- ビタミンC(野菜、果物)
- ビタミンD(魚類、きのこ類)
- 亜鉛(牡蠣、肉類、ナッツ類)
- たんぱく質(肉、魚、大豆製品)
医療機関を受診すべき症状
以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 38度以上の発熱が続く
- 激しい腹痛
- 呼吸困難
- 意識がもうろうとする
- 異常な出血(鼻血が止まらない、皮下出血など)
- 急激な体重減少
- 持続する倦怠感
- リンパ節の腫れ

よくある質問(Q&A)
A. 軽度の白血球増多(10,000〜12,000個/μL程度)で、他に症状がなければ、すぐに心配する必要はありません。ストレスや運動、食事の影響で一時的に増加することもあります。ただし、1〜2ヶ月後に再検査を受けることをおすすめします。徐々に増加している場合や、15,000個/μL以上の場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
A. 白血球が多いからといって、必ずしも白血病とは限りません。実際、白血球増多の原因の大半は、感染症や炎症などの良性の原因です。白血病で白血球が増加する場合、通常は数万〜数十万個/μLと極めて高値となり、貧血や血小板減少を伴うことが多いです。また、血液像で異常な細胞(芽球)が見つかります。心配な場合は、血液内科の受診をおすすめします。
Q3. 白血球を下げる食べ物や方法はありますか?
A. 白血球数を直接下げる特定の食品や方法はありません。重要なのは、白血球が増加している原因を見つけ、適切に対処することです。生理的な増加(ストレス、喫煙など)が原因の場合は、生活習慣の改善が有効です。病的な原因の場合は、その治療が必要です。自己判断でサプリメントなどを摂取するのは避け、医師に相談しましょう。
Q4. 妊娠中の白血球増多は問題ありませんか?
A. 妊娠中、特に後期には生理的に白血球が増加し、10,000〜15,000個/μL程度になることは正常です。これは出産時の出血や感染から体を守るための生理的な反応です。ただし、発熱や腹痛などの症状を伴う場合は、感染症の可能性もあるため、主治医に相談してください。
Q5. 子どもの白血球が多いのですが、大丈夫でしょうか?
A. 子どもは大人よりも白血球数が多く、6,000〜15,000個/μL程度が正常範囲です。また、風邪などの軽い感染症でも白血球が増加しやすいです。元気で食欲もあり、他に症状がなければ、様子を見ても良いでしょう。ただし、持続的に20,000個/μL以上の高値が続く場合や、元気がない、出血傾向があるなどの症状がある場合は、小児科を受診しましょう。
Q6. 白血球が多いと献血はできませんか?
A. 献血時の白血球数の基準は、施設によって若干異なりますが、一般的に12,000個/μL以下が目安とされています。軽度の増加であれば献血可能なこともありますが、献血時の問診や検査で判断されます。また、感染症や薬剤服用中など、白血球増多の原因によっては献血できない場合もあります。
Q7. 一度白血球が多いと言われたら、ずっと高いままですか?
A. いいえ、原因によります。感染症などの一時的な原因であれば、治療後は正常に戻ります。ストレスや喫煙が原因の場合も、生活習慣を改善すれば正常化します。ただし、白血病などの血液疾患や慢性の炎症性疾患が原因の場合は、適切な治療を継続する必要があります。定期的な検査で経過を見ることが重要です。
Q8. 白血球が多いときに運動しても大丈夫ですか?
A. 軽度の白血球増多で、他に症状がなければ、通常の運動は問題ありません。ただし、発熱や強い倦怠感がある場合、白血球数が極めて高値の場合(30,000個/μL以上)は、激しい運動は避けて安静にすることをおすすめします。白血病などの血液疾患がある場合は、主治医と相談の上、運動の可否を判断しましょう。
まとめ
白血球が多いという検査結果は、様々な原因で起こりうる所見です。その原因は、一時的なストレスや軽い感染症から、より専門的な治療が必要な血液疾患まで多岐にわたります。
重要なのは、以下の点です。
- 軽度の増加では過度に心配しすぎない:軽度の白血球増多は日常的によく見られ、多くは良性の原因です
- 原因の特定が重要:白血球分画や他の検査を組み合わせて、原因を明らかにすることが大切です
- 定期的な経過観察:原因が明らかでない場合や、数値が高い場合は、定期的な再検査が必要です
- 症状に注意:発熱、出血傾向、リンパ節の腫れなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう
- 生活習慣の見直し:喫煙やストレスなど、生活習慣が原因の場合は、改善することで正常化できます
白血球の数値は、私たちの体の状態を知るための重要な指標の一つです。異常を指摘された場合は、自己判断せず、医療機関で適切な評価を受けることをおすすめします。早期発見・早期治療により、多くの病気は良好な経過をたどることができます。
健康診断や血液検査は、病気の早期発見のための大切な機会です。結果に不安がある場合は、遠慮なく医療機関にご相談ください。
参考文献
- 日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン」
https://www.jshem.or.jp/modules/medical/index.php?content_id=13 - 厚生労働省「e-ヘルスネット:血液」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-061.html - 日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドライン」
http://jslm.info/GL2018/index.html - 国立がん研究センター「がん情報サービス:白血病」
https://ganjoho.jp/public/cancer/leukemia/index.html - 日本内科学会「内科学会雑誌」各種論文
- 日本感染症学会「感染症診療ガイドライン」
http://www.kansensho.or.jp/guidelines/
※本記事は医学的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。症状がある方は、必ず医療機関を受診してください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務