「最近、食後に右上腹部が痛む」「油っこいものを食べると気分が悪くなる」そんな症状に心当たりはありませんか?それは、もしかすると胆石(たんせき)が原因かもしれません。
胆石は、胆嚢(たんのう)や胆管にできる石のような固形物で、日本人の約10人に1人が持っているとされる非常に身近な病気です。特に40代以降の女性に多く見られ、近年では食生活の欧米化に伴い、患者数が増加傾向にあります。
本記事では、アイシークリニック大宮院が、胆石の基礎知識から症状、原因、診断方法、治療法、予防法まで、一般の方にもわかりやすく徹底解説します。胆石について正しい知識を身につけ、適切な対応ができるようになりましょう。
📋 目次
- 胆石とは何か
- 胆石の種類
- 胆石の症状
- 胆石ができる原因
- 胆石になりやすい人の特徴
- 胆石の診断方法
- 胆石の治療法
- 胆石の予防法
- 胆石と生活習慣
- よくある質問(Q&A)
🔬 1. 胆石とは何か
💡 胆石の定義
胆石(gallstones)とは、胆嚢や胆管内に形成される結晶性の固形物のことです。胆汁の成分が何らかの原因で結晶化し、次第に大きくなって石のように固まったものを指します。
胆石は、大きさや形状が様々で、砂粒のように小さなものから、数センチメートルの大きなものまであります。また、1個だけできる場合もあれば、数十個、時には数百個できることもあります。
⚙️ 胆嚢と胆汁の役割
胆石を理解するためには、まず胆嚢と胆汁の働きを知ることが重要です。
胆嚢は、肝臓の下に位置する洋梨型の小さな袋状の臓器で、容量は約50mlほどです。肝臓で作られた胆汁を一時的に貯蔵し、濃縮する役割を担っています。
胆汁は、肝臓で1日に約600〜800ml生成される黄褐色の消化液です。主な成分は以下の通りです:
- 胆汁酸:脂肪の消化・吸収を助ける
- コレステロール:細胞膜の材料となる脂質
- ビリルビン:赤血球の分解産物
- レシチン(リン脂質):脂質の乳化を助ける
- 水分:約97%
食事をすると、胆嚢が収縮して胆汁が胆管を通って十二指腸に排出され、特に脂肪の消化を助けます。
📊 胆石症の疫学
日本における胆石症の有病率は、年齢とともに増加し、40歳以上では約10〜15%、60歳以上では約20%に達するとされています。特に以下の特徴があります:
- 男女比:女性が男性の約1.5〜2倍多い
- 年齢:40代以降に増加
- 地域差:欧米と比較して日本人はコレステロール結石が多い
- 無症状:胆石保有者の約70〜80%は無症状
🗿 2. 胆石の種類
胆石は、その成分によって大きく3つのタイプに分類されます。
💛 コレステロール結石
日本人の胆石の約70〜80%を占める最も一般的なタイプです。
特徴:
- 主成分はコレステロール(70%以上)
- 黄白色〜黄褐色
- 表面が比較的滑らか
- X線検査では映りにくい(透亮結石)
- 胆嚢内にできることが多い
形成メカニズム: 胆汁中のコレステロールが過飽和状態になり、胆汁酸やレシチンとのバランスが崩れることで結晶化します。胆嚢の収縮機能が低下すると、胆汁が停滞し、さらに結石が成長しやすくなります。
🌰 色素結石
ビリルビン(胆汁色素)を主成分とする結石で、日本人の約20〜30%を占めます。
ビリルビンカルシウム結石(黒色石):
- 黒色〜暗褐色
- 硬くて脆い
- 胆嚢内にできやすい
- 溶血性貧血、肝硬変などに合併しやすい
ビリルビンカルシウム結石(褐色石):
- 褐色〜茶褐色
- 比較的柔らかい
- 胆管内にできやすい
- 細菌感染が関与することが多い
🎯 混合石
コレステロールとビリルビンカルシウムが混在した結石です。日本人では比較的少なく、全体の約10%程度とされています。
🩺 3. 胆石の症状
胆石の症状は、胆石の有無、大きさ、位置、個数などによって大きく異なります。
😴 無症状胆石
サイレントストーン(silent stone)とも呼ばれ、胆石保有者の約70〜80%は無症状です。健康診断や他の病気の検査時に偶然発見されることが多く、日常生活に支障はありません。
ただし、無症状であっても、年間約1〜3%の方に症状が出現するとされており、定期的な経過観察が推奨されます。
⚡ 胆石発作(胆道疝痛)
胆石が胆嚢の出口や胆管に詰まることで起こる激しい痛みです。
典型的な症状:
- 右上腹部の激しい痛み:みぞおちから右上腹部にかけての持続的な痛み
- 背中や右肩への放散痛:右の肩甲骨周辺に痛みが広がる
- 持続時間:数十分から数時間続く(15分以上が典型的)
- 発症タイミング:食後、特に脂肪分の多い食事の後30分〜2時間
- 夜間や早朝の発作:睡眠中に起こることもある
随伴症状:
- 吐き気・嘔吐
- 冷や汗
- 顔面蒼白
- 食欲不振
- 腹部膨満感
🔥 胆嚢炎
胆石が胆嚢の出口に詰まり、胆汁がうっ滞して炎症を起こした状態です。
急性胆嚢炎の症状:
- 右上腹部の持続的な痛み(6時間以上)
- 発熱(38℃以上)
- 悪寒・戦慄
- 吐き気・嘔吐
- 右上腹部を押すと強い痛み(Murphy徴候)
- 白血球数の増加
急性胆嚢炎は重症化すると、胆嚢壊疽や穿孔を起こす可能性があり、緊急治療が必要となります。
⚠️ 胆管炎
胆石が胆管に詰まり、胆管内に細菌感染を起こした状態です。
症状(Charcot三徴):
- 発熱・悪寒
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 右上腹部痛
重症化すると、意識障害やショック状態に陥ることもあり(Reynolds五徴)、命に関わる危険な状態です。早急な治療が必要です。
📝 その他の症状
- 消化不良:脂っこいものを食べた後の胃もたれ
- 腹部膨満感:お腹が張る感じ
- げっぷ:頻繁に出る
- 胸やけ:酸っぱいものが上がってくる感じ
- 便の色の変化:白っぽい便(胆汁が腸に流れない場合)
- 尿の色の変化:濃い茶褐色(黄疸がある場合)
🔍 4. 胆石ができる原因
胆石の形成には、複数の要因が複雑に関与しています。
💊 コレステロール結石の原因
1. コレステロールの過飽和
胆汁中のコレステロール濃度が上昇し、胆汁酸やレシチンとのバランスが崩れると、コレステロールが溶けきれずに結晶化します。
コレステロール濃度が上昇する要因:
- 高脂肪・高カロリーの食事
- 肥満
- 急激な体重減少
- 遺伝的要因
- 女性ホルモン(エストロゲン)の影響
2. 胆嚢の運動機能低下
胆嚢の収縮力が低下すると、胆汁が停滞し、結晶が成長しやすくなります。
運動機能が低下する要因:
- 妊娠
- 長期の絶食
- 不規則な食生活
- 全身麻酔や手術後
- 糖尿病
3. 胆汁酸の分泌低下
肝臓での胆汁酸の合成が減少すると、コレステロールを溶かす力が弱まります。
🟤 色素結石の原因
1. ビリルビンの過剰産生
赤血球の破壊が亢進すると、ビリルビンが増加します。
関連する病気:
- 溶血性貧血
- 人工心臓弁
- 鎌状赤血球症
2. 細菌感染
大腸菌などの細菌が産生する酵素により、ビリルビンが不溶性の形に変化し、カルシウムと結合して結石を形成します。
リスク要因:
- 胆道感染の既往
- 胆道の解剖学的異常
- 胆道手術の既往
3. 肝硬変
肝機能の低下により、ビリルビンの代謝異常が起こります。
👥 5. 胆石になりやすい人の特徴
胆石症には、「5F」と呼ばれる典型的なリスク因子があります。
✋ 5Fとは
- Female(女性):女性ホルモンがコレステロールの分泌を増やす
- Forty(40歳以上):加齢により胆嚢機能が低下
- Fatty(肥満):コレステロール代謝異常のリスク増加
- Fair(白人・色白):遺伝的要因(日本人では該当率が低い)
- Fecund/Fertile(多産婦):妊娠により胆嚢機能が低下
📋 その他のリスク因子
生活習慣
- 食生活:
- 高脂肪・高カロリー食
- 不規則な食事時間
- 朝食抜き
- 急激なダイエット
- 運動不足:
- 座りがちな生活
- 長時間のデスクワーク
- 生活リズム:
- 夜型生活
- 睡眠不足
- ストレス過多
疾患
- 糖尿病
- 脂質異常症(高コレステロール血症)
- メタボリックシンドローム
- 肝硬変
- クローン病
- 回腸切除後
薬剤
- 経口避妊薬
- ホルモン補充療法
- フィブラート系脂質異常症治療薬
- オクトレオチド(ソマトスタチンアナログ)
遺伝的要因
家族歴がある場合、胆石症のリスクが約2倍になるとされています。特に親や兄弟姉妹に胆石症の方がいる場合は注意が必要です。
🔬 6. 胆石の診断方法
胆石の診断には、問診、身体診察、画像検査、血液検査などが用いられます。
🗣️ 問診・身体診察
問診のポイント
- 症状の有無と詳細(痛みの部位、性質、持続時間)
- 発症のタイミング(食事との関連)
- 既往歴(胆道系疾患、肝疾患など)
- 家族歴
- 生活習慣(食事、運動、飲酒など)
- 服用中の薬剤
身体診察
- 視診:黄疸の有無
- 触診:右上腹部の圧痛、Murphy徴候の確認
- 打診:肝臓の大きさの評価
- 聴診:腸蠕動音の確認
🖼️ 画像検査
腹部超音波検査(エコー検査)
胆石診断の第一選択検査です。非侵襲的で、放射線被曝がなく、外来で簡単に実施できます。
検査でわかること:
- 胆石の有無(感度95%以上)
- 胆石の大きさ、個数、位置
- 胆嚢壁の肥厚(炎症の有無)
- 胆嚢の大きさ
- 胆管の拡張
特徴的な所見:
- 胆嚢内の高エコー像
- 音響陰影(acoustic shadow)
- 体位変換での移動
制限:
- 肥満や腸管ガスで見えにくい場合がある
- 小さな胆石は見逃される可能性がある
CT検査(コンピュータ断層撮影)
目的:
- 胆石の確認(石灰化した結石は明瞭)
- 胆嚢炎の評価
- 周囲臓器への影響の確認
- 合併症(膿瘍、穿孔など)の診断
特徴:
- コレステロール結石は映りにくい
- 造影剤を使用することで、より詳細な情報が得られる
MRI検査・MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)
特徴:
- 放射線被曝なし
- 胆管・膵管を立体的に描出
- 造影剤不要
適応:
- 胆管結石の診断
- 胆管の詳細な評価
- 超音波やCTで判断が困難な場合
内視鏡検査(EUS、ERCP)
EUS(超音波内視鏡検査):
- 内視鏡の先端に超音波プローブを装着
- 胃や十二指腸から胆嚢・胆管を観察
- 小さな胆石の検出に優れる
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影):
- 内視鏡を十二指腸まで挿入し、造影剤で胆管を描出
- 胆管結石の診断と治療が同時に可能
- 合併症のリスクがあるため、治療目的で実施されることが多い
🩸 血液検査
一般的な検査項目
- 白血球数(WBC):炎症の指標
- CRP(C反応性蛋白):炎症マーカー
- 肝機能検査:
- AST、ALT:肝細胞障害の指標
- ALP、γ-GTP:胆汁うっ滞の指標
- 総ビリルビン:黄疸の評価
- アミラーゼ:膵炎の合併を評価
無症状胆石の場合
通常、血液検査は正常範囲内です。
胆嚢炎・胆管炎の場合
- 白血球数の増加
- CRPの上昇
- 肝機能異常
- ビリルビン値の上昇(黄疸がある場合)
💉 7. 胆石の治療法
胆石の治療は、症状の有無、胆石の種類や大きさ、合併症の有無などを総合的に判断して選択されます。
👁️ 無症状胆石の対応
基本方針:経過観察
無症状の胆石(サイレントストーン)については、原則として積極的な治療は行わず、定期的な経過観察が推奨されます。これは、以下の理由によります:
- 症状が出現するのは年間1〜3%程度
- 予防的手術のメリットが手術リスクを上回らない
- 生涯無症状のまま経過する可能性が高い
経過観察の間隔:
- 最初の1年間:6ヶ月ごと
- その後:年1回の超音波検査
手術を検討すべき無症状胆石:
- 胆嚢壁の石灰化(磁器様胆嚢)
- 3cm以上の大きな胆石
- 胆嚢ポリープの合併
- 胆嚢腺筋腫症の合併
- 将来的に手術が困難になる可能性がある場合
⚔️ 症状のある胆石の治療
症状がある場合や合併症を伴う場合は、積極的な治療が必要です。
1. 手術療法
腹腔鏡下胆嚢摘出術
現在の標準治療であり、胆石症手術の約95%を占めます。
手術方法:
- 全身麻酔下で実施
- 腹部に3〜4箇所の小さな穴(5〜10mm)を開ける
- 腹腔鏡(カメラ)と手術器具を挿入
- 胆嚢を肝臓から剥離し、胆嚢管と胆嚢動脈を処理
- 胆嚢を摘出
メリット:
- 傷が小さい(美容的に優れる)
- 術後の痛みが少ない
- 入院期間が短い(3〜5日程度)
- 早期の社会復帰が可能(1〜2週間)
- 術後の癒着が少ない
デメリット:
- 全身麻酔が必要
- 炎症が強い場合は開腹手術に移行することがある
- 胆管損傷などの合併症のリスク(約0.3〜0.5%)
開腹胆嚢摘出術
腹腔鏡手術が困難な場合に選択されます。
適応:
- 高度な炎症や癒着がある場合
- 腹腔鏡手術からの移行
- 悪性腫瘍が疑われる場合
特徴:
- 右上腹部を10〜15cm切開
- 直視下で安全に手術が可能
- 入院期間が長い(7〜14日程度)
- 術後の痛みが強い
単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術
へその部分に1箇所だけ穴を開けて行う手術です。
メリット:
- 傷がほぼ目立たない
- 整容性に優れる
デメリット:
- 技術的に難易度が高い
- 実施できる施設が限られる
- 炎症が強い場合は困難
2. 内科的治療
経口胆石溶解療法
ウルソデオキシコール酸(ウルソ®)を服用し、コレステロール結石を溶解する治療法です。
適応条件:
- コレステロール結石
- 結石の直径が15mm以下
- 胆嚢の機能が保たれている
- 石灰化がない
- 結石が浮遊している(浮遊石)
治療方法:
- 1日600〜900mgを分割服用
- 治療期間:6ヶ月〜2年
- 定期的な超音波検査で効果判定
効果:
- 完全溶解率:10〜30%
- 部分溶解:20〜30%
- 再発率:30〜50%(5年以内)
メリット:
- 非侵襲的
- 外来通院で可能
- 副作用が少ない
デメリット:
- 効果が限定的
- 治療期間が長い
- 再発率が高い
- 適応が限られる
3. 内視鏡的治療
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)関連手技
主に胆管結石の治療に用いられます。
EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術):
- 十二指腸乳頭部を切開
- 胆管結石を取り出す
EPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術):
- 乳頭部をバルーンで拡張
- 結石を除去
EPLBD(内視鏡的大口径乳頭バルーン拡張術):
- 大きな結石に対応
- 砕石を併用することもある
適応:
- 胆管結石
- 胆管炎を伴う場合
- 総胆管結石
合併症:
- 膵炎(約5%)
- 出血(約2%)
- 穿孔(約0.5%)
4. 経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)
急性胆嚢炎で全身状態が悪く、緊急手術が困難な場合に実施される応急処置です。
方法:
- 超音波やCTガイド下で、皮膚から肝臓を通して胆嚢にチューブを挿入
- 感染した胆汁を体外に排出
目的:
- 炎症の沈静化
- 全身状態の改善
- 待機的手術への橋渡し
📋 治療法の選択
治療法の選択は、以下の要素を総合的に判断して決定されます:
- 症状の有無と程度
- 胆石の種類、大きさ、個数、位置
- 患者さんの年齢、全身状態
- 合併症の有無
- 患者さんの希望
医師とよく相談し、自分に最適な治療法を選択することが大切です。
🛡️ 8. 胆石の予防法
胆石は生活習慣と密接に関係しているため、日常生活の改善により予防が可能です。
🍽️ 食生活の改善
1. バランスの良い食事
推奨される食事:
- 野菜・果物を十分に摂取
- 食物繊維を多く含む食品(全粒穀物、豆類、海藻)
- 良質なタンパク質(魚、大豆製品、鶏肉)
- 適度な脂質(オリーブオイル、ナッツ類、青魚)
避けるべき食事:
- 高脂肪・高カロリー食
- 揚げ物、脂身の多い肉
- 加工食品、ファストフード
- 過度の糖質摂取
- 過度のアルコール
2. 規則正しい食事時間
- 1日3食を規則正しく摂る
- 朝食を抜かない(胆汁の停滞を防ぐ)
- 夜遅い食事を避ける
- ゆっくりよく噛んで食べる
3. 適切なカロリー摂取
- 総カロリーの管理
- 急激なダイエットは避ける(月2kg以内の減量が目安)
- 極端な低カロリー食は胆石のリスクを高める
4. 水分摂取
- 1日1.5〜2リットルの水分摂取
- カフェインやアルコールの過剰摂取は避ける
🏃 適度な運動
運動の効果
- 胆嚢の運動機能改善
- 体重管理
- 脂質代謝の改善
- ストレス解消
推奨される運動
- 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング
- 頻度:週3〜5回、1回30分以上
- 強度:軽く息が上がる程度(中等度)
日常生活での工夫
- エレベーターより階段を使う
- 一駅分歩く
- こまめに体を動かす
⚖️ 適正体重の維持
BMI(体格指数)の目安
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)
- 理想的なBMI:18.5〜24.9
- 肥満(BMI25以上)は胆石のリスクを高める
- 急激な体重減少も胆石形成を促進する
🚭 生活習慣の改善
禁煙
- 喫煙は胆嚢の収縮機能を低下させる
- 血流を悪化させ、胆汁の流れを阻害する
適度な飲酒
- 過度の飲酒は肝機能を低下させる
- 適量であれば胆石予防効果があるとの報告もある
- 日本酒換算で1日1合程度まで
ストレス管理
- 慢性的なストレスは自律神経を乱し、胆嚢機能に影響
- 十分な睡眠(7〜8時間)
- リラクゼーション法の実践
- 趣味や運動によるストレス発散
🏥 9. 胆石と生活習慣
胆石症は現代の生活習慣病の一つとして位置づけられており、日常生活の改善が予防と症状軽減に重要な役割を果たします。
🍎 食事療法の実践
胆石症に良い食品
- 食物繊維豊富な食品:
- 玄米、全粒粉パン、オートミール
- 野菜(キャベツ、ブロッコリー、人参)
- 果物(りんご、みかん、バナナ)
- 豆類(大豆、小豆、いんげん豆)
- 良質な脂質:
- オリーブオイル、亜麻仁油
- 青魚(さば、いわし、さんま)
- ナッツ類(アーモンド、くるみ)
- 抗酸化作用のある食品:
- 緑茶、ウーロン茶
- ベリー類(ブルーベリー、いちご)
- トマト、にんじん
避けるべき食品
- 高脂肪食品:
- 揚げ物、天ぷら、フライ
- 脂身の多い肉類
- バター、マーガリン
- 生クリーム、チーズ
- 高コレステロール食品:
- 卵黄(1日1個程度なら問題なし)
- 内臓類(レバー、腎臓)
- 魚卵(いくら、たらこ)
- 加工食品:
- ファストフード
- インスタント食品
- スナック菓子
⏰ 食事のタイミングと方法
理想的な食事パターン
- 朝食:7〜8時頃、軽めでバランス良く
- 昼食:12〜13時頃、1日のメインとなる食事
- 夕食:18〜19時頃、軽めに済ませる
- 間食:必要に応じて、ナッツや果物を少量
食事の注意点
- ゆっくりよく噛んで食べる(1口30回以上)
- 腹八分目を心がける
- 食後すぐに横にならない
- 夜遅い食事は避ける(就寝3時間前まで)
💊 薬物療法との併用
胆石症の治療において、薬物療法と生活習慣の改善を併用することで、より効果的な治療が期待できます。
ウルソデオキシコール酸服用時の注意
- 食後に服用することで吸収率が向上
- 脂肪分の多い食事と一緒に摂ると効果的
- 定期的な血液検査で肝機能をチェック
- 自己判断で服用を中止しない
🏃♀️ 運動療法の具体的な実践方法
週間運動プログラム例
- 月・水・金:ウォーキング30分
- 火・木:軽い筋力トレーニング20分
- 土:水泳やサイクリング45分
- 日:ストレッチやヨガ30分
運動強度の目安
- 軽く息が上がる程度(会話ができる強度)
- 心拍数:最大心拍数の60〜70%
- 最大心拍数 = 220 – 年齢
- 運動後に疲労感が残らない程度
🔄 定期検査の重要性
胆石症の管理には、定期的な検査による経過観察が不可欠です。
推奨される検査スケジュール
- 無症状胆石:年1回の腹部超音波検査
- 症状のある胆石:3〜6ヶ月ごとの検査
- 薬物治療中:3ヶ月ごとの超音波検査と血液検査
- 術後フォロー:1年後、その後は年1回
検査で確認すべき項目
- 胆石の大きさや個数の変化
- 胆嚢壁の厚さ
- 胆管の拡張の有無
- 肝機能(AST、ALT、ALP、γ-GTP)
- 炎症反応(CRP、白血球数)
よくある質問
無症状の胆石(サイレントストーン)の場合、基本的には経過観察が推奨されます。症状が出現するのは年間1〜3%程度で、予防的手術のリスクが利益を上回らないためです。ただし、3cm以上の大きな胆石や胆嚢壁の石灰化がある場合は、医師と相談の上で治療を検討することがあります。定期的な超音波検査で経過を観察することが大切です。
胆嚢摘出術後は、胆汁を貯蔵する胆嚢がなくなるため、一時的に脂肪の消化能力が低下することがあります。術後1〜2週間は脂っこい食事を控え、少量ずつ食べることをお勧めします。その後は徐々に普通の食事に戻せますが、暴飲暴食は避け、バランスの良い食事を心がけることが大切です。個人差があるため、医師の指導に従ってください。
胆石症には遺伝的要因が関与しており、家族歴がある場合は胆石症のリスクが約2倍になるとされています。特に親や兄弟姉妹に胆石症の方がいる場合は注意が必要です。ただし、遺伝だけで胆石ができるわけではなく、食生活や生活習慣も大きく影響します。家族歴がある方は、定期的な健康診断を受け、予防的な生活習慣を心がけることが重要です。
胆石発作が起きた場合は、まず安静にして楽な姿勢を取ってください。右上腹部を温めると痛みが和らぐことがあります。水分補給は少量ずつ行い、食事は控えてください。市販の鎮痛剤は一時的に使用できますが、根本的な解決にはなりません。激しい痛みが続く場合、発熱や黄疸を伴う場合は、胆嚢炎や胆管炎の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の増加により、胆汁中のコレステロール濃度が上昇し、胆石ができやすくなります。また、妊娠により胆嚢の収縮機能が低下し、胆汁が停滞しやすくなることも要因の一つです。妊娠中の胆石症の治療は制限があるため、予防が重要です。バランスの良い食事、適度な運動、体重管理を心がけ、定期的な検診を受けることをお勧めします。症状がある場合は産科医に相談してください。
ウルソデオキシコール酸による胆石溶解療法は、通常6ヶ月から2年程度の長期間にわたって継続する必要があります。治療効果は3〜6ヶ月ごとの超音波検査で評価し、胆石の縮小や消失を確認します。完全に胆石が消失した後も、再発予防のために一定期間服用を続けることがあります。治療期間は胆石の大きさや種類、患者さんの状態によって個人差があるため、医師の指示に従って継続することが重要です。
📞 まとめ
胆石は日本人の約10人に1人が持つ身近な病気ですが、適切な知識と対応により、症状の軽減や予防が可能です。
重要なポイントをまとめると:
- 無症状の胆石は基本的に経過観察で問題ない
- 症状がある場合は適切な治療が必要
- 生活習慣の改善により予防が可能
- 発熱や黄疸を伴う場合は緊急性が高い
- 定期的な検査による経過観察が重要
胆石に関する症状や不安がある場合は、早めに医療機関を受診し、専門医による適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
📞 お電話でのご予約・お問い合わせ: 0120-561-118
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 胆石症に関する疾患情報
- 日本消化器病学会 – 胆石症診療ガイドライン
- 日本胆道学会 – 胆石症の診断と治療に関する指針
- 日本消化器内視鏡学会 – 内視鏡的胆石治療に関するガイドライン
- 日本消化器外科学会 – 胆石症手術に関する治療指針
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
胆石症の症状は多様で、全く症状のない方から激しい痛みを伴う方まで様々です。特に注意していただきたいのは、発熱や黄疸を伴う場合で、これらは胆嚢炎や胆管炎の可能性があり、緊急性が高い状態です。些細な症状でも継続する場合は、早めの受診をお勧めします。