はじめに
「人よりも汗をかきやすい」「手のひらや脇の汗が止まらない」「汗のせいで日常生活に支障が出ている」――このような悩みを抱えている方は少なくありません。汗は体温調節のために必要不可欠な生理現象ですが、日常生活に支障をきたすほど汗を異常にかく状態は「多汗症」と呼ばれる疾患の可能性があります。
多汗症は、決して珍しい病気ではありません。日本では人口の約5~10%が多汗症に悩まされているとされており、特に手のひら、足の裏、脇の下などに症状が現れやすい傾向があります。しかし、その症状の程度や原因は人それぞれ異なり、適切な診断と治療を受けることで、症状を大幅に改善できるケースも多くあります。
この記事では、汗を異常にかく原因や多汗症の種類、診断方法、さまざまな治療法について、専門的な視点から詳しく解説していきます。汗に関する悩みを抱えている方が、適切な対処法を見つける手助けとなれば幸いです。
正常な発汗と異常な発汗の違い
発汗のメカニズム
人間の体には200万~500万個のエクリン汗腺が存在し、体温調節のために重要な役割を果たしています。運動時や暑い環境下で体温が上昇すると、自律神経の働きによって汗腺が刺激され、汗が分泌されます。汗が皮膚表面で蒸発する際に熱を奪うことで、体温を適切な範囲に保つことができるのです。
また、緊張やストレスを感じたときにも汗をかくことがあります。これは「精神性発汗」と呼ばれ、手のひら、足の裏、脇の下などに特に現れやすい現象です。試験や面接の前に手に汗を握るという経験は、多くの方が持っているでしょう。
異常な発汗とは
では、どのような状態が「異常な発汗」と考えられるのでしょうか。一般的に、以下のような状態が見られる場合、多汗症の可能性が疑われます。
気温や運動量に関わらず、日常的に大量の汗をかく状態が続く場合、それは異常な発汗と考えられます。例えば、エアコンの効いた涼しい部屋にいるにもかかわらず、手のひらから汗が滴り落ちる、脇の下の汗が衣服を濡らしてしまう、足の裏が常に湿っていて靴の中が不快である、といった症状です。
また、汗によって日常生活や仕事に支障が出ている場合も注意が必要です。書類が汗で濡れてしまう、パソコンのキーボードやマウスを使うのが困難、握手を避けてしまう、汗染みが目立つため特定の色の服が着られない、といった状況は、単なる「汗っかき」の範囲を超えている可能性があります。
多汗症の分類と種類
多汗症は、その原因や発症部位によっていくつかの種類に分類されます。適切な治療を選択するためには、自分がどのタイプの多汗症なのかを理解することが重要です。
原発性多汗症
原発性多汗症は、特定の病気が原因ではなく、明らかな基礎疾患がないにもかかわらず、局所的に過剰な発汗が見られる状態です。多汗症患者の大半は、この原発性多汗症に該当します。
原発性多汗症の特徴として、思春期頃から症状が始まることが多く、家族内での発症も珍しくありません。遺伝的な要因が関与している可能性も指摘されていますが、明確な原因は完全には解明されていません。
原発性多汗症は、さらに発汗部位によって細かく分類されます。
手のひらに過剰な発汗が見られる「手掌多汗症」は、最も一般的なタイプの一つです。軽度の場合は手のひらが湿っている程度ですが、重度になると汗が滴り落ちることもあります。日常生活では、書類を扱う仕事や、スマートフォンの操作、握手などに支障をきたすことがあります。
足の裏に過剰な発汗が見られる「足底多汗症」も頻度の高いタイプです。靴の中が常に湿った状態になり、足の臭いの原因となったり、水虫などの皮膚トラブルを引き起こしたりする可能性があります。
脇の下の過剰な発汗は「腋窩多汗症」と呼ばれます。衣服に汗染みができやすく、特に夏場や緊張する場面で症状が目立ちやすくなります。制汗剤を使用しても効果が不十分な場合が多く、ファッションの選択肢が制限されるなど、QOL(生活の質)に大きな影響を与えることがあります。
顔や頭部に過剰な発汗が見られる「顔面・頭部多汗症」もあります。食事中や緊張時に顔や頭から汗が流れ落ち、化粧崩れの原因になったり、人前に出るのが億劫になったりすることがあります。
続発性多汗症
続発性多汗症は、何らかの病気や薬の副作用が原因で発症する多汗症です。基礎疾患を治療することで、発汗の症状も改善する可能性があります。
続発性多汗症の原因となる主な疾患として、まず内分泌疾患が挙げられます。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、代謝が亢進するため全身性の発汗増加が見られます。動悸、体重減少、手の震えなどの症状を伴うことが多く、血液検査で甲状腺ホルモンの値を測定することで診断されます。
糖尿病も多汗の原因となることがあります。特に低血糖時には発汗が増加します。また、糖尿病性神経障害によって発汗のパターンが変化することもあります。
更年期障害では、ホルモンバランスの変化によって、突然のほてりと発汗(ホットフラッシュ)が起こることがあります。主に女性の閉経前後に見られる症状ですが、男性更年期でも同様の症状が現れることがあります。
感染症、特に結核などでは、寝汗(夜間の発汗)が特徴的な症状として現れることがあります。発熱、体重減少、倦怠感などを伴う場合は、早めの医療機関受診が必要です。
悪性腫瘍、特にリンパ腫などの血液疾患では、原因不明の発熱と寝汗が見られることがあります。他の症状と合わせて総合的に判断する必要があります。
神経系の疾患も多汗の原因となります。パーキンソン病、脳血管障害、脊髄損傷などでは、自律神経の障害により発汗調節が正常に機能しなくなることがあります。
また、一部の薬剤も副作用として発汗増加を引き起こすことがあります。抗うつ薬、特にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、発汗増加の副作用が知られています。その他、解熱鎮痛薬、一部の血圧降下薬なども発汗に影響を与える可能性があります。
全身性と局所性
多汗症は、発汗が見られる範囲によっても分類されます。
全身性多汗症は、体全体から過剰な汗をかく状態です。続発性多汗症の場合、全身性であることが多く、基礎疾患の治療が優先されます。
一方、局所性多汗症は、手のひら、足の裏、脇の下、顔面など、体の特定の部位にのみ過剰な発汗が見られる状態です。原発性多汗症の多くは局所性です。
多汗症の原因
原発性多汗症の原因
原発性多汗症の正確な原因は、完全には解明されていません。しかし、現在のところ、自律神経の機能異常が主な原因と考えられています。
交感神経は発汗を促す役割を担っていますが、原発性多汗症の患者さんでは、この交感神経の活動が過敏になっている可能性が指摘されています。通常では発汗を引き起こさないような軽微な刺激に対しても、交感神経が過剰に反応してしまうのです。
遺伝的要因も関与していると考えられています。家族内で多汗症が見られることが多く、特に手掌多汗症では家族歴がある場合が約半数に上るという報告もあります。ただし、明確な遺伝形式は確立されておらず、複数の遺伝子が関与している可能性があります。
精神的ストレスや緊張も、多汗症の症状を悪化させる要因となります。「汗をかいてはいけない」という意識が、かえって交感神経を刺激し、発汗を促進してしまうという悪循環に陥ることもあります。
続発性多汗症の原因
続発性多汗症の原因は多岐にわたります。先に述べた内分泌疾患、感染症、悪性腫瘍、神経疾患、薬剤の副作用などが代表的です。
特に注意が必要なのは、急に多汗の症状が現れた場合や、夜間の発汗(寝汗)が顕著な場合、体重減少や発熱などの全身症状を伴う場合です。これらの症状がある場合は、重大な疾患が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診することが重要です。
多汗症の症状と日常生活への影響
身体的症状
多汗症の主な症状は、もちろん過剰な発汗です。しかし、その影響は単に「汗をかく」ことにとどまりません。
過剰な発汗により、皮膚が常に湿った状態になると、皮膚のバリア機能が低下し、さまざまな皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
手のひらや足の裏では、長時間の湿潤状態により、皮膚がふやけて白くなる「浸軟」という状態になることがあります。この状態では、皮膚が傷つきやすくなり、細菌や真菌の感染リスクが高まります。
足底多汗症の方では、水虫(足白癬)のリスクが高くなります。また、湿った環境を好む細菌が繁殖しやすくなり、足の臭いの原因となることもあります。
脇の下では、過剰な汗と細菌の作用により、腋臭症(わきが)の症状が強くなることがあります。また、汗による刺激で皮膚炎を起こすこともあります。
手掌多汗症では、手荒れや湿疹を起こしやすくなります。特に冬場は、汗で濡れた手が冷たい空気にさらされることで、しもやけを起こすこともあります。
心理社会的影響
多汗症は、身体的な症状以上に、心理面や社会生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
多汗症の方の多くが経験するのが、「恥ずかしい」「人目が気になる」という感情です。汗染みが目立つ服装を避けたり、人前に出ることを躊躇したりすることで、社会生活に制限が生じることがあります。
対人関係においても、握手を避ける、スキンシップを嫌がる、といった行動が、誤解を招く原因となることがあります。特に、ビジネスシーンでの握手や、恋愛関係における手つなぎなどで、悩みを抱える方は少なくありません。
職業選択にも影響を与えることがあります。接客業や営業職、書類を扱う事務職など、多汗症の症状が支障となる職業を避けざるを得ないケースもあります。美容師、料理人、外科医など、手の乾燥が求められる職業では、特に困難を感じることが多いようです。
学校生活においても、体育の授業や部活動、試験中の発汗など、さまざまな場面で悩みを抱えることがあります。思春期は特に他人の目を気にする時期であり、多汗症が自尊心の低下や不登校の原因となることもあります。
こうした心理社会的な影響が積み重なると、不安障害やうつ状態を引き起こすこともあります。「多汗症はただの汗の問題」と軽視されがちですが、QOL(生活の質)に与える影響は決して小さくありません。
多汗症の診断方法
問診
多汗症の診断において、まず重要なのが詳細な問診です。医師は以下のような点について質問します。
いつ頃から症状が始まったのか、どの部位に発汗が多いのか、どのような状況で発汗が増えるのか、家族に同じような症状の人がいるか、日常生活にどの程度支障があるか、他に気になる症状はあるか、現在服用している薬はあるか、などです。
特に、発汗が左右対称か、睡眠中にも発汗があるか、といった点は、原発性と続発性を見分ける重要な手がかりとなります。原発性多汗症では、通常、左右対称の発汗が見られ、睡眠中は症状が軽減することが多いのに対し、続発性では非対称的であったり、睡眠中も発汗が続いたりすることがあります。
診断基準
原発性局所多汗症の診断には、国際的に用いられている診断基準があります。日本皮膚科学会のガイドラインでも、この基準が参考にされています。
基本的な診断基準として、明らかな原因がないまま、局所的な過剰発汗が6ヶ月以上持続していることが前提となります。その上で、以下の6項目のうち2項目以上を満たす場合、原発性局所多汗症と診断されます。
最初に症状が出現したのが25歳以下であること、左右対称性に発汗が見られること、睡眠中は発汗が止まっていること、1週間に1回以上の多汗のエピソードがあること、家族歴があること、それらによって日常生活に支障をきたしていること、という項目です。
検査方法
診断を確定するため、あるいは重症度を評価するために、いくつかの検査が行われることがあります。
ヨード澱粉反応テスト(Minor法)は、多汗の範囲を視覚的に確認する方法です。皮膚にヨウ素液を塗布し、乾燥後に澱粉を散布します。汗をかくと、その部分が青紫色に変色するため、発汗の範囲を正確に把握することができます。
発汗量を定量的に測定する方法として、濾紙を用いた重量測定法があります。一定時間、濾紙を皮膚に当て、その前後の重量差から発汗量を算出します。治療効果の判定にも用いられます。
続発性多汗症が疑われる場合には、基礎疾患を調べるための検査が必要になります。血液検査で甲状腺ホルモン、血糖値、炎症反応などを測定したり、必要に応じて画像検査や専門医への紹介が行われたりします。
多汗症の治療法
多汗症の治療法は、症状の程度や発汗部位、患者さんの希望などに応じて選択されます。軽度の場合は保存的治療から始め、効果が不十分な場合により侵襲的な治療を検討するというステップアップアプローチが一般的です。
保存的治療
塩化アルミニウム外用薬は、多汗症治療の第一選択として広く用いられています。塩化アルミニウムが汗腺の導管を一時的に閉塞させることで、発汗を抑制します。
就寝前に患部に塗布し、朝に洗い流すという方法が一般的です。効果が現れるまで数日から数週間かかることがあり、継続的な使用が必要です。脇の下、手のひら、足の裏など、さまざまな部位に使用できます。
ただし、皮膚への刺激性があるため、皮膚炎を起こすことがあります。使用方法を守り、刺激が強い場合は濃度を調整したり、使用頻度を減らしたりする必要があります。
市販の制汗剤も、軽度の多汗症には効果的です。スプレータイプ、ロールオンタイプ、クリームタイプなど、さまざまな製品があります。塩化アルミニウムを含む製品や、銀イオンなど抗菌成分を配合した製品もあります。
イオントフォレーシス療法
イオントフォレーシス療法は、手のひらや足の裏の多汗症に対して効果的な治療法です。水を入れた容器に手や足を浸し、微弱な電流を流すことで発汗を抑制します。
治療のメカニズムは完全には解明されていませんが、電流によって汗腺の機能が一時的に抑制されると考えられています。
初期には週に数回の治療を行い、効果が現れた後は維持療法として週1回程度の治療を継続します。1回の治療時間は20~30分程度です。
比較的安全性の高い治療法ですが、金属製の装飾品を装着している場合や、妊娠中の方、心臓ペースメーカーを使用している方は治療を受けられないことがあります。
ボツリヌス療法
ボツリヌス毒素製剤(ボトックス)を患部に注射する治療法です。ボツリヌス毒素が、汗腺を刺激する神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することで、発汗を抑制します。
特に腋窩多汗症に対して保険適用となっており、効果的な治療法として広く用いられています。手のひらや足の裏、顔面などにも使用されることがありますが、これらの部位への使用は保険適用外となります。
効果は注射後数日から1週間程度で現れ、通常4~6ヶ月持続します。効果が減弱してきたら、再度注射を行うことで効果を維持できます。
主な副作用として、注射部位の痛みや内出血、一時的な筋力低下などがあります。手のひらに注射した場合、指の細かい動作がしづらくなることがあるため、注意が必要です。
内服薬
抗コリン薬は、全身性に発汗を抑制する効果があります。神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑えることで、汗腺への刺激を減少させます。
プロパンテリン臭化物(プロバンサイン)などが処方されることがありますが、口渇、便秘、尿閉、視力のかすみなどの副作用が出ることがあります。また、緑内障や前立腺肥大症のある方は使用できない場合があります。
漢方薬も、多汗症の治療に用いられることがあります。防已黄耆湯、柴胡桂枝乾姜湯などが、体質に応じて処方されます。
手術療法
保存的治療で十分な効果が得られない場合や、症状が非常に重度の場合には、手術療法が検討されることがあります。
胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)は、手掌多汗症に対する外科的治療法です。胸腔鏡を用いて、発汗を司る交感神経を遮断します。
効果は非常に高く、ほぼ100%の患者さんで手のひらの発汗が改善します。しかし、代償性発汗という副作用が高頻度で起こることが問題となっています。代償性発汗とは、手術後に体幹部(背中、腹部、太もも)の発汗が増加する現象で、場合によっては手術前よりもQOLが低下することがあります。
このため、現在では手術は最後の選択肢として位置づけられており、他の治療法を十分に試した上で、患者さんが十分に理解した上で選択すべき治療法とされています。
腋窩多汗症に対しては、汗腺を直接除去する手術や、マイクロ波を用いた治療(ミラドライ)などが行われることもあります。ミラドライは、マイクロ波エネルギーを用いて汗腺を破壊する治療法で、切開を必要としないため、侵襲が少ないという利点があります。ただし、保険適用外の治療となります。
日常生活での対策とセルフケア
治療と並行して、日常生活での工夫も多汗症の症状緩和に役立ちます。
衣類の選択
通気性の良い素材の衣類を選ぶことが重要です。綿や麻などの天然素材は、吸湿性に優れており、汗を吸収してくれます。最近では、速乾性のある機能性素材も多く販売されています。
色については、汗染みが目立ちにくい色を選ぶと良いでしょう。白や黒は比較的汗染みが目立ちにくく、グレーなどの中間色は汗染みが目立ちやすい傾向があります。
脇汗パッドや汗取りインナーを活用するのも効果的です。使い捨てタイプや洗濯できるタイプなど、さまざまな製品があります。
靴と靴下の選択
足底多汗症の方は、靴と靴下の選択も重要です。
靴は、通気性の良い素材のものを選び、同じ靴を連日履かないようにします。1日履いた靴は、風通しの良い場所でしっかり乾燥させましょう。靴用の乾燥剤や除菌スプレーを活用するのも効果的です。
靴下は、綿や麻などの天然素材で、吸湿性の高いものを選びます。5本指ソックスは、指の間の汗を吸収しやすく、おすすめです。
ストレス管理
精神的ストレスは発汗を増加させる要因となります。適度な運動、十分な睡眠、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、ヨガなど)を取り入れることで、ストレスを軽減することができます。
また、「汗をかいてはいけない」という意識が強すぎると、かえって症状を悪化させることがあります。完璧を求めすぎず、「汗をかくこともある」と受け入れる心の余裕も大切です。
食生活
カフェインやアルコール、辛い食べ物は発汗を促進することがあります。症状が気になる場合は、これらの摂取を控えめにすると良いでしょう。
一方、水分摂取を制限することは推奨されません。適切な水分摂取は体温調節に必要であり、水分を控えすぎると脱水症状を引き起こす可能性があります。
スキンケア
多汗により皮膚トラブルが起こりやすくなるため、適切なスキンケアが重要です。
汗をかいた後は、こまめに拭き取りましょう。ただし、強くこすると皮膚を傷つけるため、優しく押さえるように拭くことが大切です。
入浴時には、低刺激性の石鹸を使用し、しっかり泡立てて優しく洗います。強くこすったり、1日に何度も洗ったりすると、皮膚のバリア機能が低下してしまいます。
入浴後は、保湿剤を使用して皮膚を保護します。ただし、油分の多いクリームは汗腺を塞ぐ可能性があるため、さっぱりしたローションタイプが適していることもあります。

よくある質問
多汗症の完治は難しい場合もありますが、適切な治療により症状を大幅に改善することは十分に可能です。治療法は一つではなく、さまざまな選択肢があるため、自分に合った方法を見つけることが重要です。
原発性多汗症の場合、思春期に発症し、30~40代で自然に軽快することもあります。しかし、症状が持続する場合も少なくないため、早めに専門医に相談することをおすすめします。
治療法によって異なります。診察、塩化アルミニウム外用薬、内服薬、イオントフォレーシス療法は保険適用です。また、腋窩多汗症に対するボツリヌス療法も保険適用となっています。
一方、手のひらや足の裏へのボツリヌス療法、ミラドライなどの一部の治療は、現時点では保険適用外となっています。
子どもでも治療を受けられますか?
はい、子どもでも治療を受けることができます。多汗症は思春期前後に発症することが多く、学校生活に支障をきたすこともあるため、早めの対応が重要です。
ただし、治療法によっては年齢制限がある場合があります。特に手術療法は、成長が完了してから検討するのが一般的です。まずは保存的治療から始めることが多いでしょう。
多汗症は遺伝しますか?
原発性多汗症には遺伝的要因が関与していると考えられていますが、必ず遺伝するというわけではありません。家族歴がある場合、発症リスクは高くなる傾向がありますが、明確な遺伝形式は確立されていません。
夏場だけ症状が悪化します。これも多汗症ですか?
気温が高い夏場に発汗が増えるのは正常な生理現象です。しかし、エアコンの効いた涼しい環境でも過剰に汗をかく、汗によって日常生活に支障が出ている、といった場合は多汗症の可能性があります。
季節によって症状の程度が変化することは珍しくありません。夏場だけ治療を受けるという選択肢もあります。
アイシークリニック大宮院での治療
アイシークリニック大宮院では、多汗症に対する包括的な診療を行っています。患者さん一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
初診時には、詳しい問診と診察を行い、多汗症のタイプや重症度を評価します。必要に応じて、基礎疾患の有無を確認するための検査も実施いたします。
多汗症は、QOLに大きな影響を与える疾患です。「汗くらいで病院に行くのは大げさ」と思わず、悩んでいることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。適切な診断と治療により、症状を改善し、より快適な日常生活を送ることができるようサポートいたします。
まとめ
汗を異常にかく症状は、単なる「汗っかき」ではなく、多汗症という治療可能な疾患である可能性があります。日常生活に支障をきたすほどの発汗がある場合、早めに専門医に相談することが重要です。
多汗症には原発性と続発性があり、それぞれ原因や治療アプローチが異なります。診断には詳細な問診と必要に応じた検査が行われ、適切な治療法が選択されます。
治療法は、塩化アルミニウム外用薬などの保存的治療から、イオントフォレーシス療法、ボツリヌス療法、内服薬、手術療法まで、多岐にわたります。症状の程度や部位、患者さんの希望に応じて、最適な治療法を選択することができます。
また、日常生活での工夫やセルフケアも、症状の緩和に役立ちます。衣類や靴の選択、ストレス管理、適切なスキンケアなどを心がけましょう。
多汗症は、身体的な不快感だけでなく、心理社会的にも大きな影響を及ぼす疾患です。一人で悩まず、専門医に相談することで、適切な治療を受け、より快適な生活を送ることができます。
汗に関する悩みを抱えている方は、ぜひアイシークリニック大宮院にご相談ください。経験豊富な医師が、患者さん一人ひとりに最適な治療をご提案いたします。
参考文献
- 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン」 https://www.dermatol.or.jp/
- 厚生労働省「多汗症に関する情報」 https://www.mhlw.go.jp/
- 日本発汗学会 https://www.sweat.jp/
- 国立国際医療研究センター「多汗症の診断と治療」 https://www.ncgm.go.jp/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務