目次
- はじめに|子供のわきがに悩む保護者の方へ
- わきが(腋臭症)とは|原因とメカニズムを理解する
- 子供のわきがはなぜ起こる?思春期との関係
- 子供のわきがセルフチェック
- わきがが子供に与える影響|精神面と学校生活
- 子供のわきが治療の選択肢
- ミラドライとは|切らないわきが治療の仕組み
- ミラドライの効果と持続性
- 子供にミラドライ治療は可能?適応年齢について
- ミラドライのメリットとデメリット
- 治療の流れと施術後の経過
- ダウンタイムと日常生活への影響
- 子供のミラドライ治療を検討する際の注意点
- 大宮でミラドライ治療を受けるには
- まとめ|お子様の悩みに寄り添った治療選択を
- 参考文献
1. はじめに|子供のわきがに悩む保護者の方へ
「最近、子供の洗濯物からにおいがする」「制服のわき部分が黄ばんでいる」——こうした変化に気づき、お子様がわきがではないかと心配されている保護者の方は少なくありません。わきがは決して病気ではありませんが、特有のにおいによって本人が悩んだり、学校生活に支障をきたしたりすることもあるため、適切な対応が求められます。
近年では食生活の変化や子供の発育が早まっていることから、わきがの発症年齢が低年齢化しており、小学校高学年や中学生のうちからにおいが気になり始めるケースも増えています。思春期という多感な時期に体臭の問題を抱えることは、お子様の心に大きな負担となる可能性があります。
本記事では、子供のわきがの原因や影響、そして「切らない治療」として注目されているミラドライについて詳しく解説します。大宮エリアで治療を検討されている保護者の方に向けて、正しい知識をお伝えし、お子様にとって最適な治療選択の参考となれば幸いです。
2. わきが(腋臭症)とは|原因とメカニズムを理解する
わきがの定義
わきが(腋臭症/えきしゅうしょう)とは、わきの下から特有のにおいを発する体質のことを指します。医学的には「腋臭症」と呼ばれ、アポクリン腺という汗腺から分泌される汗が原因となって生じます。わきがは病気ではなく体質の一種であり、日本人の約10~15%程度がわきが体質であるとされています。
においが発生するメカニズム
人間の汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。
エクリン腺は全身に分布しており、主に体温調節のために汗を分泌します。この汗は約99%が水分で構成されており、基本的には無臭です。
一方、アポクリン腺はわきの下、耳の中、乳輪、陰部など特定の部位に存在しています。アポクリン腺から分泌される汗には、脂肪酸、たんぱく質、鉄分、アンモニアなどの成分が含まれています。この汗自体は実は無臭なのですが、皮膚表面に存在する常在菌によって分解されると、独特のにおいを発するようになります。
さらに、皮脂腺から分泌される皮脂がアポクリン汗と混ざり合い、それが細菌によって分解されることで、わきが特有のにおいが生じるのです。このにおいはエクリン腺から分泌される汗によって周囲に拡散されやすくなります。
わきがは遺伝する
わきがには強い遺伝性があることが知られています。両親のどちらか一方がわきがの場合、子供に遺伝する確率は約50%、両親ともにわきがの場合は約75~80%の確率で遺伝するとされています。
近年の研究では、16番目の染色体にあるABCC11遺伝子がわきがや湿性耳垢と関連していることが解明されています。この遺伝子の違いによって、アポクリン腺の活動性や汗の成分に個人差が生じ、わきが体質かどうかが決まるのです。
耳垢との関係
わきが体質かどうかを判断する一つの指標として、耳垢の性状があります。耳の中にもアポクリン腺が存在するため、わきが体質の方は耳垢が湿っていてベタベタしている傾向があります。湿性耳垢の方の約80%程度がわきがを有しているという報告もあります。
3. 子供のわきがはなぜ起こる?思春期との関係
アポクリン腺と第二次性徴
アポクリン腺は生まれたときから体内に存在していますが、幼少期にはほとんど活動していません。思春期を迎え、第二次性徴が始まると、性ホルモンの影響によってアポクリン腺が活発に活動を開始します。これがわきがの症状が思春期に現れ始める理由です。
女子の場合は初潮の頃、男子の場合はわき毛が生え始める頃から、アポクリン腺の活動が活発になり、わきがのにおいが気になり始めることが多いとされています。一般的に女子の方が発達が早いため、わきがの発症も女子の方がやや早い傾向にあります。
発症年齢の低年齢化
従来、わきがは思春期以降に発症するものと考えられていました。しかし近年では、食生活の欧米化や子供の発育が良くなっていることなどを背景に、アポクリン腺が活発化する時期が早まっています。そのため、小学校高学年頃からにおいが発生するケースも珍しくなくなってきました。
特に動物性たんぱく質や脂肪を多く含む食事は、アポクリン腺から分泌される汗の成分に影響を与え、においを強める可能性があるとされています。和食中心の食生活はにおいを軽減する効果があるという報告もあります。
一時的な症状の可能性
思春期は性ホルモンが急激に変動する時期であり、この時期にアポクリン腺の活動が一時的に活発になることがあります。そのため、思春期に気になっていたにおいが、成長とともに自然と軽減していくケースもあります。
ただし、わきが体質を遺伝的に持っている場合は、自然に改善することは期待しにくいため、においが継続的に気になる場合は専門医への相談を検討することが望ましいでしょう。
4. 子供のわきがセルフチェック
お子様がわきが体質かどうかを判断するために、以下のチェック項目を参考にしてください。3つ以上当てはまる場合は、わきがの可能性が高いと考えられます。
チェック項目
- 両親または親戚にわきが体質の方がいる
- 耳垢が湿っていてベタベタしている
- わき毛が濃い方である
- 衣服のわき部分が黄ばみやすい
- 自分でわきのにおいを感じることがある
- 緊張したり運動したりすると、わきに多量の汗をかく
- 白い衣服のわき部分に黄色いシミができる
専門医による診断
わきがの診断は基本的に問診と臨床症状によって行われます。専門医の診察では、「ガーゼテスト」と呼ばれる方法でにおいの程度を客観的に評価することがあります。これは、ガーゼをわきに挟んで数分間運動した後、医師やスタッフがガーゼのにおいを確認してレベルを判定するというものです。
お子様ご自身がにおいを気にしている場合や、保護者の方が気づいた場合は、まず専門医に相談することをお勧めします。においの程度や状態を正確に把握することで、適切な対処法を選択することができます。
5. わきがが子供に与える影響|精神面と学校生活
精神的な影響
わきがは身体的な健康には直接影響を与えませんが、精神面への影響は無視できません。特に思春期のお子様にとって、体臭の問題は非常にデリケートであり、大きなストレス要因となり得ます。
においを気にするあまり、人との接触を避けるようになったり、自分に自信が持てなくなったりすることがあります。また、うつ症状や対人恐怖症といった二次的な問題につながるケースも報告されています。
実際には強いにおいがなくても、「自分はにおうのではないか」と過度に心配してしまう「自臭症」という状態に陥ることもあります。これは特に几帳面な性格のお子様に多く見られ、友人からの何気ない一言がきっかけで発症することもあります。
学校生活への影響
学校という集団生活の場において、わきがは深刻な問題となることがあります。クラスメイトからにおいを指摘されたり、からかわれたりすることで、いじめに発展するケースも残念ながら存在します。
体育の授業や部活動など、汗をかく機会が多い学校生活では、においがより目立ちやすくなります。そのため、体育の授業を避けようとしたり、不登校につながったりすることもあります。
保護者の方へ
お子様のわきがに気づいた場合、保護者の方がまず心がけていただきたいのは、お子様の気持ちに寄り添うことです。「臭いよ」「ちゃんと洗ってるの?」といった指摘は、お子様の心を深く傷つける可能性があります。
わきがは不潔だから起こるのではなく、生まれ持った体質によるものです。この点をしっかりと理解し、お子様に伝えてあげることが大切です。そして、適切なケアや治療によって改善できることを伝え、安心させてあげることが重要です。
6. 子供のわきが治療の選択肢
お子様のわきが対策には、日常的なケアから医療機関での治療まで、さまざまな選択肢があります。
日常的なセルフケア
軽度のわきがや、まだ本格的な治療を行う段階ではない場合、以下のようなセルフケアが有効です。
まず、こまめに入浴やシャワーを行い、わきを清潔に保つことが基本です。薬用石けんを使用することで、においの原因となる細菌の繁殖を抑えることができます。
市販の制汗剤やデオドラント製品の使用も効果的です。ただし、これらは根本的な解決にはならず、あくまでにおいを一時的に抑えるものです。お子様が学校で塗り直すのを忘れてしまうことも多いため、効果が持続しにくいという課題もあります。
わき毛の処理もにおい軽減に効果があります。わき毛があると汗がたまりやすく、細菌が繁殖しやすい環境になるためです。
医療機関での治療
外用薬治療
エクロックゲルやラピフォートワイプといった外用抗コリン薬は、保険適用で処方を受けることができます。これらは汗の分泌を抑える効果があり、12歳から使用可能です。毎日塗布する必要がありますが、重大な副作用が少なく、お子様でも比較的安心して使用できます。
また、塩化アルミニウム溶液も汗を抑える効果があり、軽度のわきがに対して使用されることがあります。
ボトックス注射
ボツリヌス菌由来の成分をわきに注射することで、エクリン腺を麻痺させ、汗の分泌を抑える治療法です。原発性局所多汗症の診断基準を満たし、かつ重症と判断された場合は保険適用となります。
効果は一時的で、通常4~6ヶ月程度持続します。直接的なわきが治療ではありませんが、汗の量が減ることでにおいも軽減されるケースがあります。
手術療法
わきの皮膚を切開し、アポクリン腺を直接除去する方法です。皮弁法(剪除法)は保険適用となり、根本的な治療として高い効果が期待できます。
ただし、手術には傷跡が残るリスクがあり、術後のケアや通院が必要です。また、成長期のお子様に行った場合、思春期以降に再発する可能性もあります。そのため、一般的には成長期が終わる高校生以降に行うことが推奨されています。
ミラドライ
マイクロ波を照射してアポクリン腺とエクリン腺を破壊する「切らない治療」です。詳しくは次章以降で解説します。
7. ミラドライとは|切らないわきが治療の仕組み
ミラドライの概要
ミラドライは、2006年に米国のMiramar Labs社によって開発されたわきが・多汗症治療機器です。2010年に日本に導入され、2018年6月には厚生労働省から重度の原発性腋窩多汗症に対する薬事承認を取得しています。また、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)からも腋窩多汗症、腋臭症、減毛の適応で承認を受けており、治療効果と安全性が認められた医療機器です。
従来のわきが治療は皮膚を切開する手術が主流でしたが、ミラドライは「切らない治療」として画期的な方法を提供しています。傷跡を残さずにわきがを根本から治療できることから、多くの患者様に選ばれるようになっています。
マイクロ波による治療の仕組み
ミラドライは、電子レンジにも使用されているマイクロ波(5.8GHz)を利用した治療です。マイクロ波には水分に反応して熱を発生させる性質があります。
治療では、専用のハンドピースをわきの皮膚に当て、マイクロ波を照射します。照射されたマイクロ波は、水分を多く含む汗腺に吸収され、約60~70℃の熱を発生させます。この熱によって、わきがの原因であるアポクリン腺と多汗症の原因であるエクリン腺が焼灼・凝固され、破壊されます。
重要なポイントは、ミラドライが汗腺を「点」ではなく「面」で加熱できることです。汗腺が存在する真皮深層から皮下組織浅層にかけての領域一帯をターゲットとして照射するため、打ち漏れなく効果的に汗腺を破壊することができます。
冷却システムによる皮膚保護
ミラドライには「ハイドロセラミック・クーリング」という冷却システムが搭載されています。マイクロ波照射中、皮膚表面は常に冷却され、表皮や真皮浅層への熱ダメージを防止します。
さらに、皮下脂肪層は水分含有量が少ないため、マイクロ波のエネルギーはこの層で反射されます。これにより、熱エネルギーは汗腺が集中する領域に効率よく集中し、深部組織への影響を最小限に抑えることができます。
治療効果の持続性
ミラドライによって破壊された汗腺は再生しません。そのため、一度の治療で半永久的な効果が期待できます。これは、効果が一時的なボトックス注射や、繰り返し使用が必要な制汗剤とは大きく異なる点です。
多くの方が一度の施術で約70~80%程度の汗腺が破壊され、汗やにおいが大幅に軽減されたと実感されています。
8. ミラドライの効果と持続性
即効性のある効果
ミラドライ治療の大きな特徴の一つは、即効性です。施術直後から汗の量やにおいの減少を実感される方がほとんどです。これは、マイクロ波によって汗腺が即座に破壊されるためです。
施術翌日には、わき汗の量が明らかに減っていることを感じられる方が多く、日常生活の中でその効果を実感していただけます。
長期的な効果
ミラドライで破壊された汗腺は再生しないため、効果は半永久的に持続します。施術から数年経過した後も、効果が維持されているという報告が多数あります。
ただし、すべての汗腺を完全に破壊することは難しく、約20~30%程度の汗腺は残存する可能性があります。そのため、施術後も多少の汗やにおいは感じることがありますが、施術前と比較すると大幅に軽減されていることがほとんどです。
効果の安定時期
施術直後は、破壊されなかった汗腺も熱ダメージによって一時的に活動を停止します。そのため、施術直後は汗やにおいがほとんどなくなったように感じる方も多いです。
しかし、1~3ヶ月程度経過すると、ダメージを受けたものの破壊されなかった汗腺が回復し、活動を再開することがあります。このため、「施術直後より汗やにおいが戻ってきた」と感じる方もいらっしゃいます。これは再発ではなく、破壊されなかった汗腺が回復した結果です。
ミラドライの最終的な効果は、施術から約6ヶ月後に安定するとされています。この時点での状態が、その後も継続する効果と考えていただいて良いでしょう。
脱毛効果
ミラドライはわき毛の毛根も同時に破壊するため、脱毛効果も期待できます。わき毛が減ることで、汗がたまりにくくなり、においの軽減にも寄与します。
9. 子供にミラドライ治療は可能?適応年齢について
ミラドライの適応年齢
ミラドライには厳密な年齢制限が設けられていないクリニックが多いですが、一般的には10歳以上(小学校高学年)からの治療が推奨されています。クリニックによっては8歳以降での治療を受け付けているところもあります。
子供へのミラドライ治療が可能な理由は、手術と比べて身体への負担が圧倒的に少ないためです。皮膚を切開しないため傷跡が残らず、術後の安静期間も短いため、学校生活への影響を最小限に抑えることができます。
治療のベストタイミング
理想的には、第二次性徴が完了した後(高校生以降)に治療を行うことが望ましいとされています。これは、成長期にはまだアポクリン腺が発達途中である可能性があり、治療後に新たな汗腺が発達して症状が再発するリスクがあるためです。
しかし、においの問題でお子様が深く悩んでいる場合や、いじめなどの問題につながっている場合は、第二次性徴完了を待たずに治療を検討することも選択肢の一つです。
ミラドライは手術と異なり、何度でも治療を重ねることが可能です。もし成長期に治療を行い、その後にアポクリン腺が発達して再発した場合でも、再度ミラドライ治療を受けることで対処できます。
子供のミラドライ治療の実際
多くのクリニックでは、お子様のミラドライ治療において以下のような配慮を行っています。
まず、保護者の方の同席のもとでカウンセリングを行い、治療内容やリスクについて十分に説明します。お子様ご本人にも分かりやすく説明し、治療への理解と同意を得ることが重要です。
また、痛みへの配慮として、麻酔前に麻酔クリームを塗布したり、細い針を使用したりするなどの工夫がなされています。痛みが苦手なお子様でも安心して治療を受けられるよう、各クリニックがさまざまな対策を講じています。
10. ミラドライのメリットとデメリット
メリット
切らない治療
ミラドライの最大のメリットは、皮膚を切開しないことです。そのため、手術痕が残る心配がなく、特に見た目を気にするお子様にとって大きな利点となります。
入院・通院不要
手術療法では術後の通院やガーゼ交換が必要になりますが、ミラドライは基本的に一度の施術で完了します。術後の通院も基本的には不要で、施術当日にそのまま帰宅できます。
ダウンタイムが短い
施術翌日から日常生活に戻ることができるため、お子様の学校生活への影響を最小限に抑えられます。夏休みや冬休みなどの長期休暇中に施術を受ければ、学校を休む必要もありません。
即効性と持続性
施術直後から効果を実感でき、しかもその効果は半永久的に持続します。繰り返し通院する必要がなく、一度の治療で根本的な解決が期待できます。
安全性が認められている
厚生労働省およびFDAの承認を受けた医療機器であり、多くの症例実績に基づいて安全性と効果が確認されています。
デメリット
自由診療のため費用が高い
ミラドライは保険適用外の自由診療となるため、費用は全額自己負担となります。一般的に30~45万円程度の費用がかかることが多く、経済的な負担は小さくありません。
副作用・ダウンタイムがゼロではない
切らない治療とはいえ、施術後には一定期間の腫れ、痛み、内出血などが生じます。これらは通常1週間程度で落ち着きますが、完全になくなるまでには1ヶ月程度かかることもあります。
100%の効果は保証できない
すべての汗腺を完全に破壊することは難しく、約20~30%程度の汗腺は残存する可能性があります。そのため、施術後も多少の汗やにおいは残ることがあります。症状が重度の方の場合、2回目の治療が必要になることもあります。
成長期の再発リスク
第二次性徴が完了する前に治療を行った場合、その後にアポクリン腺が発達して症状が再発する可能性があります。
11. 治療の流れと施術後の経過
治療当日の流れ
1. カウンセリング・診察
まず、医師によるカウンセリングと診察が行われます。わきがの状態を確認し、ミラドライ治療が適しているかどうかを判断します。治療内容、リスク、費用などについて詳しく説明を受け、疑問点があれば質問することができます。
お子様の場合は、保護者の方の同席が必要です。治療を行うことを決めた場合は、施術日を予約します。
2. 施術準備
施術当日は、わきの毛を剃毛した状態でクリニックを訪れます(事前に自宅で処理するか、クリニックで行うかは各院の方針によります)。
わきの消毒後、治療範囲をマーキングします。どこに汗腺が集中しているかを確認し、照射範囲を決定します。
3. 局所麻酔
マーキングした範囲に局所麻酔を注射します。この麻酔注射が施術中で最も痛みを感じる場面ですが、お子様向けに麻酔クリームを事前に塗布したり、細い針を使用したりする配慮がなされています。
4. ミラドライ照射
麻酔が効いたことを確認した後、ミラドライの照射を開始します。ハンドピースをわきに当て、マイクロ波を照射します。
照射中は麻酔が効いているため、痛みを感じることはほとんどありません。片わき約20~30分、両わきで合計約60分程度で施術が完了します。
5. クーリング・アフターケア
施術後は、アイスパックなどで患部を冷却します。これにより、腫れや痛みを最小限に抑えることができます。
消炎用の軟膏を塗布し、アフターケアの方法について説明を受けて終了です。痛み止めの薬やアイスパックを持ち帰り、自宅でケアを続けます。
施術後の経過
施術当日
麻酔が切れる数時間後から、ヒリヒリとした痛みや腫れを感じ始めます。強い日焼けをした時のような痛みと表現されることが多いです。
施術当日は入浴を避け、シャワー浴にとどめましょう。アイスパックでわきを冷やし、必要に応じて痛み止めを服用します。激しい運動や飲酒は控えてください。
施術翌日~1週間
痛みや腫れのピークは施術当日の夜から翌日までです。その後は徐々に落ち着いていきます。
多くの方は施術翌日から日常生活に戻ることができますが、わきに違和感を感じることがあります。激しい運動は1週間程度控えることが推奨されます。
1週間後には、痛みや腫れはほとんど落ち着き、わきを触った時に皮膚の硬さや軽い痛みを感じる程度になります。
1ヶ月後
腫れや内出血はほぼ消失し、通常の生活に完全に戻ることができます。この頃、汗やにおいが少し戻ってきたと感じる方もいますが、これは破壊されなかった汗腺が回復したためで、再発ではありません。
6ヶ月後
ミラドライの効果が安定する時期です。施術部位の違和感もなくなり、最終的な効果を確認することができます。
12. ダウンタイムと日常生活への影響
ダウンタイムの期間
ミラドライのダウンタイムは、一般的に施術翌日から1週間程度とされています。手術療法と比較すると格段に短く、日常生活への影響は最小限に抑えられます。
主な症状と対処法
痛み
施術後数時間で麻酔が切れると、ヒリヒリとした痛みを感じます。痛みのピークは施術当日の夜から翌日までで、その後は徐々に軽減していきます。処方された痛み止めを服用し、アイスパックでしっかり冷やすことで、痛みを最小限に抑えることができます。
腫れ
わきに腫れが生じ、「わきにテニスボールを挟んでいるような感覚」と表現されることがあります。腫れは2週間程度で吸収されて消えていきます。
内出血
照射部位に内出血が生じることがあります。これも通常1~2週間で消えていきます。
感覚の変化
わきや周囲の皮膚の感覚が一時的に鈍くなることがあります。これは、汗腺の周囲にある末梢神経も影響を受けるためです。末梢神経は再生するため、通常3ヶ月程度で感覚は戻ります。
つっぱり感・しこり
皮膚のつっぱり感やしこりを感じることがあります。これらも時間とともに改善していきます。
学校生活への影響
お子様の場合、施術翌日から学校に通うことは可能ですが、体育の授業や部活動などの激しい運動は1週間程度控えることが望ましいです。
施術後しばらくはわきの違和感が残るため、夏休みや冬休みなどの長期休暇中に施術を受けることをお勧めします。特に夏休み前に施術を受ければ、ダウンタイム中は自宅で過ごすことができ、新学期からはすっきりした状態で学校生活を送ることができます。
13. 子供のミラドライ治療を検討する際の注意点
お子様の意思を尊重する
わきがの治療を検討する際、最も大切なのはお子様ご本人の意思です。保護者の方がにおいを気にしていても、お子様自身が気にしていない場合や、治療に前向きでない場合は、無理に治療を勧めることは避けましょう。
逆に、お子様がにおいで深く悩んでいる場合は、その気持ちに寄り添い、治療という選択肢があることを伝えてあげることが大切です。
治療内容を理解させる
お子様にも治療内容を分かりやすく説明し、理解と同意を得ることが重要です。「どんな治療をするのか」「なぜこの治療が必要なのか」「治療後はどうなるのか」といったことを、お子様の年齢に合わせて説明しましょう。
カウンセリングにはお子様と一緒に参加し、医師からの説明を一緒に聞くことをお勧めします。
治療時期の検討
前述のとおり、理想的な治療時期は第二次性徴が完了した後ですが、お子様の状況によっては早期の治療が適している場合もあります。医師とよく相談し、お子様にとってベストなタイミングを見極めることが大切です。
クリニック選びのポイント
ミラドライは機器を使用した治療ですが、治療効果や副作用の程度はクリニックによって差があります。以下のポイントを参考に、信頼できるクリニックを選びましょう。
- ミラドライの症例実績が豊富であること
- 子供の治療実績があること
- カウンセリングで丁寧に説明してくれること
- 術後のアフターフォロー体制が整っていること
- 医師が施術を担当すること(看護師施術ではないこと)
禁忌事項の確認
以下に該当する場合は、ミラドライ治療を受けることができません。
- 妊娠中の方
- ペースメーカーを使用している方
- 酸素投与を受けている方
- 局所麻酔でアレルギー反応を起こしたことがある方
- 施術部位に感染症や皮膚疾患がある方
14. 大宮でミラドライ治療を受けるには
大宮エリアの特徴
大宮は埼玉県の交通の要所であり、JR各線・東武野田線・ニューシャトルなど多くの路線が乗り入れるターミナル駅です。県内各地からのアクセスが良好なため、さいたま市内だけでなく、周辺地域からも通院しやすい立地となっています。
お子様の治療を検討される場合、通院の負担は少ない方が望ましいため、アクセスの良い大宮エリアは治療を受けるのに適した場所といえます。
大宮でのミラドライ治療
大宮エリアにはミラドライ治療を提供するクリニックがあり、お子様のわきが治療にも対応しています。アイシークリニック大宮院でも、ミラドライによるわきが・多汗症治療を行っております。
当院では、日本人に適した治療法として麻酔法・照射の出力・範囲などに工夫を加え、副作用リスクを最小限に抑えながら高い効果を実現しています。経験豊富な医師が施術を担当し、丁寧なカウンセリングと万全の術後サポートを提供しております。
お子様のわきがでお悩みの保護者の方は、まずはお気軽にカウンセリングにお越しください。お子様の状態を確認した上で、最適な治療法をご提案いたします。

15. まとめ|お子様の悩みに寄り添った治療選択を
子供のわきがは、お子様にとっても保護者の方にとっても、デリケートで深刻な問題となり得ます。特に思春期という多感な時期に体臭で悩むことは、精神的な負担が大きく、学校生活にも影響を及ぼす可能性があります。
ミラドライは、切らずにわきがを根本から治療できる画期的な方法です。傷跡が残らない、ダウンタイムが短い、効果が半永久的に持続するといった多くのメリットがあり、お子様の治療にも適しています。
ただし、治療を行うかどうか、いつ行うかは、お子様の状態や意思を尊重して慎重に判断することが大切です。わきがは病気ではなく体質であり、必ずしも治療が必要というわけではありません。日常的なケアで十分対応できる場合もあります。
お子様がにおいで深く悩んでいる場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、専門医に相談することをお勧めします。正しい診断を受け、お子様にとって最適な対処法を見つけることで、悩みから解放され、自信を持って毎日を過ごせるようになることを願っております。
大宮エリアでミラドライ治療をご検討の方は、ぜひ一度当院にご相談ください。お子様の笑顔のために、私たちがサポートいたします。
参考文献
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版 – 日本皮膚科学会
- 診断・検査(原発性腋窩多汗症) – マルホ株式会社
- 原発性腋窩多汗症 診療のいろは – マルホ株式会社
- 国内初 切らないワキ汗治療器「miraDry(ミラドライ)システム」薬事承認取得に関するご案内 – 株式会社ジェイメック プレスリリース
- 学校におけるいじめ問題に関する基本的認識と取組のポイント – 文部科学省
- ここにもあります!相談できる窓口が。「いじめ」しない・させない・見逃さない – 政府広報オンライン
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務