目次
- はじめに:体臭の悩みと向き合う
- 体臭が発生するメカニズムを知る
- エクリン汗腺とアポクリン汗腺の違い
- わきがと多汗症の違いとは
- 体臭・わきがのセルフチェック方法
- 体臭を悪化させる生活習慣
- 従来の体臭治療法とその限界
- ミラドライとは何か
- ミラドライの作用メカニズム
- ミラドライの効果と持続性について
- ミラドライの施術の流れ
- ミラドライのダウンタイムと術後経過
- ミラドライ施術後の注意点
- ミラドライが適している方
- 大宮でミラドライ治療を受けるメリット
- まとめ:体臭の悩みから解放されるために
- 参考文献
1. はじめに:体臭の悩みと向き合う
汗ばむ季節になると気になりはじめる体臭。電車やエレベーターなどの密閉空間で「自分のにおいが周囲に迷惑をかけているのではないか」と不安を感じたことがある方も少なくないでしょう。実際に、日本人は体臭に対して非常に敏感であり、職場でのにおいに関する調査では「気になるにおい」として体臭が高い割合を占めています。
体臭の悩みは単なる美容上の問題にとどまらず、社会生活や対人関係にも深刻な影響を及ぼすことがあります。人前に出ることへの不安から社交活動を避けるようになったり、仕事のパフォーマンスが低下したりするケースも報告されています。さらに、体臭への過度な心配が精神的なストレスとなり、不安障害やうつ傾向を引き起こす可能性があることも医学的に指摘されています。
こうした体臭の悩みに対して、近年注目を集めているのがミラドライという治療法です。切開を必要としない最新の治療機器であり、2018年には厚生労働省から薬事承認を取得した安全性の高い治療法として認められています。本記事では、体臭が発生するメカニズムから、ミラドライによる治療の詳細まで、大宮エリアで体臭治療をお考えの方に向けて詳しく解説していきます。
2. 体臭が発生するメカニズムを知る
体臭を効果的に治療するためには、まずにおいが発生する仕組みを正しく理解することが重要です。体臭の主な原因は、皮膚から分泌される汗と皮脂、そしてそれらを分解する皮膚常在菌の働きにあります。
人間の皮膚には汗を分泌する汗腺と、皮脂を分泌する皮脂腺が存在しています。汗腺から分泌された汗そのものは、実はほとんど無臭です。しかし、汗が皮膚表面に留まると、そこに存在する常在菌によって汗の成分が分解されます。この分解過程で生成される物質が、私たちが感じるにおいの原因となるのです。
特に脇の下は、汗腺が集中している上に腕で塞がれた構造になっているため、汗が蒸発しにくく蒸れやすい環境にあります。このため、少量の汗でもにおいが発生しやすく、体臭が気になりやすい部位となっています。
また、汗腺の種類によって分泌される汗の成分が異なり、それぞれ発生するにおいの特徴も変わってきます。次の章では、この汗腺の違いについて詳しく見ていきましょう。
3. エクリン汗腺とアポクリン汗腺の違い
人間の汗腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類が存在します。それぞれの特徴を理解することは、自分の体臭の原因を把握し、適切な治療法を選択する上で非常に重要です。
エクリン汗腺は全身の皮膚に広く分布しており、主に体温調節の機能を担っています。エクリン汗腺から分泌される汗は99パーセント以上が水分で構成されており、サラサラとした無色透明の汗です。この汗自体には臭いがありませんが、時間が経過して皮膚の雑菌と混ざることで、いわゆる「汗臭さ」が発生することがあります。エクリン汗腺の数は約300万個ともいわれ、特に手のひらや足の裏、額、脇などに集中して存在しています。
一方、アポクリン汗腺は体の特定の部位にのみ存在する汗腺です。具体的には、脇の下、耳の中(外耳道)、乳輪周辺、へそ周り、陰部、肛門周辺などに分布しています。アポクリン汗腺から分泌される汗は、エクリン汗腺からの汗とは大きく異なり、タンパク質、脂質、アンモニア、糖質、鉄分、色素などの成分を豊富に含んでいます。この汗自体は無臭ですが、皮膚表面の常在菌によって分解されると、独特の強いにおいを発生させます。これがいわゆる「わきが臭」の正体です。
アポクリン汗腺は思春期に発達し始め、性ホルモンの影響を受けるため、この時期にわきがの症状が顕在化することが多いとされています。また、アポクリン汗腺の数や大きさには個人差があり、遺伝的な要因が大きく関係しています。
4. わきがと多汗症の違いとは
「わきが」と「多汗症」は、どちらも汗に関連した悩みですが、その原因となる汗腺が異なります。この違いを理解することは、適切な治療法を選択する上で欠かせません。
わきが(腋臭症)は、アポクリン汗腺から分泌される汗が原因で起こる症状です。アポクリン汗腺から出た汗に含まれる脂肪酸が、脇の常在菌によって分解されることで、独特の強いにおいが発生します。実際ににおいを発生させるのは、脂肪酸が分解されて生成される「3メチル2ヘキセノイン酸」という物質であることがわかっています。わきがは遺伝的な要素が強く、両親ともにわきが体質の場合は約80パーセント、片方の親がわきが体質の場合は約50パーセントの確率で子どもに遺伝するといわれています。
一方、多汗症はエクリン汗腺から分泌される汗の量が異常に多くなる症状です。多汗症の汗自体は基本的に無臭ですが、大量の汗をかくことで衣服に汗染みができたり、紙や電子機器を扱う際に支障が出たりするなど、日常生活に大きな影響を与えます。多汗症は交感神経の働きが過剰になることで発症するとされており、ストレスや緊張、ホルモンバランスの乱れなどが原因となることがあります。
日本皮膚科学会のガイドラインによると、原発性腋窩多汗症(脇の多汗症)は日本人の約5.8パーセント、531.9万人の患者がいると推測されています。しかし、多くの方が体質の問題として受け止め、医療機関を受診する割合は非常に低いのが現状です。
なお、わきがと多汗症は別々の症状ですが、臨床では両方を合併しているケースも少なくありません。どちらの症状に悩んでいるのか、あるいは両方なのかを正確に把握することが、効果的な治療への第一歩となります。
5. 体臭・わきがのセルフチェック方法
自分がわきが体質かどうかを客観的に判断することは難しいものです。においは主観的なものであり、自分自身では気づきにくかったり、逆に実際以上に気にしすぎてしまったりすることがあります。以下のセルフチェック項目を参考に、ご自身の状態を確認してみてください。
まず、耳垢の状態を確認しましょう。耳垢が湿っている(軟耳垢)場合、わきが体質である可能性が高いとされています。これは、アポクリン汗腺が耳の中(外耳道)にも存在しており、わきがの方はアポクリン汗腺が活発であるためです。研究によると、軟耳垢の人の約8割がわきが症状を持っているというデータもあります。逆に、乾いた耳垢(乾耳垢)の人にわきがが見られることはまれです。
次に、衣服の脇部分に黄ばみができやすいかどうかを確認してください。アポクリン汗腺から分泌される汗には色素成分が含まれているため、わきが体質の方は白い衣服の脇部分が黄色く変色しやすい傾向があります。
また、家族にわきが体質の方がいるかどうかも重要な判断材料となります。先述の通り、わきがは遺伝的な要素が強いため、両親や近い親族にわきがの方がいる場合は、自身もわきが体質である可能性が考えられます。
さらに、脇毛が太くて多い場合や、脇毛に白い粉のような付着物が見られる場合も、わきが体質の特徴とされています。
これらのチェック項目に複数当てはまる場合は、わきが体質である可能性があります。ただし、自己判断だけで確定することは難しいため、気になる症状がある場合は専門の医療機関で診察を受けることをおすすめします。
6. 体臭を悪化させる生活習慣
体臭は生まれ持った体質だけでなく、日々の生活習慣によっても大きく影響を受けます。以下のような習慣は体臭を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。
食生活の影響は非常に大きいとされています。肉類や揚げ物など脂質の多い食事を中心とした食生活は、アポクリン汗腺からの脂質やタンパク質の分泌を促進する可能性があります。これらの成分は皮膚常在菌の栄養源となり、分解されることでにおいが強くなります。また、動物性タンパク質や脂質は消化の過程でアンモニアや硫黄化合物などのにおい成分を生成することがあり、これが血液を通じて全身に運ばれ、汗とともに排出されることで体臭全体を強める可能性があります。
アルコールの過剰摂取も体臭を強くする要因です。体内で消化しきれなかったアルコールは汗として分泌されるため、必然的ににおいが発生します。さらに、アルコールにはアポクリン汗腺とエクリン汗腺を刺激する働きがあるため、わきが臭をさらに強めてしまう可能性があります。
喫煙も体臭に悪影響を与えます。タバコに含まれるにおい成分は血液中に溶け込み、汗となって放出されることで体臭となります。また、ニコチンには汗腺を刺激する作用があるため、発汗量が増加し、結果として体臭が強くなることがあります。
ストレスや疲労、睡眠不足、運動不足といった生活習慣の乱れも体臭を悪化させる要因となります。これらの状態が続くと代謝が低下し、体内の老廃物や毒素を効率的に排出できなくなります。また、過度のストレスは活性酸素を発生させ、過酸化脂質の生成を促進します。過酸化脂質は体臭の原因となる物質の一つであり、これが増えることで体臭が強くなる可能性があります。
一方で、野菜や果物、きのこ類、海藻類などの食物繊維が豊富な食品や、抗酸化作用のある食品を積極的に摂取することは、体臭の軽減に役立つと考えられています。魚や豆腐、納豆などを中心とした和食は、動物性タンパク質や脂質の摂取を抑えながらバランスの取れた栄養を摂取できるため、体臭対策に適した食事といえるでしょう。
7. 従来の体臭治療法とその限界
体臭やわきが、多汗症に対する治療法はこれまでもさまざまなものが開発されてきました。それぞれの特徴と限界について見ていきましょう。
市販の制汗剤やデオドラント製品は、最も手軽に始められる対策法です。制汗剤は汗腺を一時的に塞ぐことで発汗量を減らし、デオドラント製品は抗菌作用によってにおいの原因となる細菌の繁殖を抑制します。軽度の症状であれば効果を実感できることもありますが、中等度から重度の症状には十分な効果が得られないことが多く、効果の持続時間も限られています。また、使用を続ける必要があるため、長期的なコストがかかる点もデメリットといえます。
塩化アルミニウム外用療法は、医療機関で処方される院内製剤を使用する治療法です。塩化アルミニウムには発汗を抑制する効果があり、継続的な外用によって汗腺の機能的な変性を引き起こし、発汗量を減少させることが報告されています。日本皮膚科学会のガイドラインでも、腋窩多汗症や掌蹠多汗症に対する第一選択の治療法として推奨されています。ただし、刺激性接触皮膚炎(かぶれ)が起きやすいという副作用があり、継続的な外用が必要である点も考慮が必要です。
ボツリヌス毒素製剤(いわゆるボトックス)の局所注射は、汗腺を支配する交感神経の神経伝達をブロックすることで発汗を抑制する治療法です。重度の原発性腋窩多汗症には2012年から保険適用となっており、即効性があることが大きな特徴です。しかし、効果の持続期間が4から6か月程度と限られているため、定期的に繰り返し治療を受ける必要があります。
外科的手術(剪除法など)は、皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接除去する方法です。効果は高く半永久的ですが、皮膚に傷跡が残ること、術後の安静期間(ダウンタイム)が長いこと、数日から数週間は日常生活に制限が生じることなどのデメリットがあります。また、手術には一定のリスクが伴うため、治療を躊躇する方も少なくありません。
抗コリン薬の内服は、全身の発汗を抑制する効果がありますが、口渇、便秘、散瞳、排尿障害などの全身性の副作用が出現する可能性があり、長期的な使用には注意が必要です。
こうした従来の治療法にはそれぞれ一長一短があり、効果が一時的であったり、副作用やダウンタイムの問題があったりすることが課題でした。これらの課題を解決するために開発されたのが、次章で紹介するミラドライです。
8. ミラドライとは何か
ミラドライは、マイクロ波を用いて汗腺を破壊する、切らないわきが・多汗症治療法です。米国のMiramar Labs社が2006年に開発し、2010年に日本に上陸した比較的新しい治療機器ですが、その革新性と効果から急速に普及が進んでいます。
ミラドライの最大の特徴は、皮膚を切開することなく汗腺を根本から破壊できる点にあります。それまでのわきが治療といえば、メスでの切開を伴う手術が主流でしたが、傷跡が残る、ダウンタイムが長い、日常生活への影響が大きいといった課題がありました。ミラドライの登場により、こうした外科手術のデメリットを解消しながら、同等レベルの治療効果を得ることが可能になりました。
ミラドライは2018年6月4日に厚生労働省より製造販売承認を取得しています。これは、重度の原発性腋窩多汗症を治療することを目的とした薬事承認であり、日本国内でわき汗治療機器として厚生労働省の承認を受けたのはミラドライが唯一です(2018年6月時点)。また、開発国である米国でもFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けており、腋窩多汗症、腋臭症(わきが)、減毛の適応で承認を取得しています。
ミラドライは世界40か国以上で導入されており、累計で20万症例以上の治療実績があります。豊富な症例データと厳しい審査基準のもとで安全性と効果が認められている治療法であり、わきが・多汗症治療の新たなスタンダードとして位置づけられつつあります。
9. ミラドライの作用メカニズム
ミラドライがどのようにして汗腺を破壊するのか、その作用メカニズムについて詳しく解説します。
ミラドライは5.8GHzのマイクロ波(マイクロウェーブ)を利用した治療機器です。マイクロ波は電子レンジにも使用されている電磁波の一種で、水分子に選択的に吸収されて熱を発生させる性質があります。汗腺は水分を多く含む組織であるため、マイクロ波によってピンポイントで加熱することができます。
施術では、皮膚の表面からマイクロ波を照射します。照射されたマイクロ波は皮膚を通過し、汗腺が集中している真皮深層から皮下組織浅層の領域に熱エネルギーを集中させます。この熱によって汗腺(エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方)が焼灼・凝固され、機能を停止します。
ミラドライの優れた点は、汗腺を「点」ではなく「面」として広範囲に加熱できることです。マイクロ波を照射する際に、汗腺の存在する範囲一帯を広く均一に加熱するため、他の機器よりも多くの汗腺に熱を反応させることができます。これにより、照射漏れを防ぎ、高い治療効果を実現しています。
また、ミラドライには「ハイドロセラミック・クーリングシステム」という特殊な冷却機構が搭載されています。マイクロ波を照射しながら、同時に皮膚表面(表皮から真皮)を冷却することで、皮膚表面を熱エネルギーから保護します。これにより、やけどや色素沈着などの皮膚トラブルを防ぎながら、汗腺がある深部にのみ効果的に熱を届けることができます。
さらに、マイクロ波は皮下脂肪層で反射される性質があるため、脂肪層より深い組織への影響を抑えることができます。熱の及ぶ深さと照射幅は精密にコントロールされており、周辺組織や神経を傷つけることなく、汗腺を選択的に破壊することが可能です。
なお、一度破壊された汗腺は再生しないため、ミラドライの治療効果は半永久的に持続するとされています。脇にある汗腺は全身のごく一部でしかないため、脇の汗腺を破壊しても体温調節機能に影響を与えることはありません。
10. ミラドライの効果と持続性について
ミラドライ治療の効果と持続性について、臨床データに基づいて解説します。
ミラドライ治療1回あたりの効果としては、わきの汗腺の約7割から8割を破壊できることが目安とされています。つまり、わき汗とわきが臭が7から8割程度減少することが期待できます。重度のわきがや多汗症の方でも、多くの場合1回の治療で十分な効果を実感されています。より確実な効果を求める方には、2回目の施術を行うことでさらに効果を高めることも可能です。日本では約10パーセントの方が2回目の施術を受けているというデータがあります。
臨床データによると、ミラドライ治療後には平均で80パーセント以上の発汗量の減少が認められています。この効果は治療直後から実感でき、翌日からわき汗の量やにおいが落ち着いたことを感じられる方がほとんどです。
ミラドライの大きな特徴は、効果が半永久的に持続することです。ボツリヌス毒素製剤の注射は4から6か月で効果が薄れてしまいますが、ミラドライは一度破壊した汗腺が再生することはないため、基本的に効果が持続します。3年後の経過観察でも効果が持続していることが確認されており、長期的な改善が期待できる治療法といえます。
ただし、治療から1か月ほど経過すると「汗やにおいが少し戻ってきた」と感じる方もいらっしゃいます。これは再発ではなく、ミラドライで破壊しきれなかった残り2から3割の汗腺が、ダメージから回復して活動を再開したことが原因です。施術直後は破壊されなかった汗腺も一時的に機能を停止しているため、ほとんど汗が出ない状態になりますが、時間の経過とともにそれらの汗腺が回復します。最終的には施術前と比較して7から8割程度の改善で安定することが多く、これはミラドライの正常な経過ですのでご安心ください。
従来の治療法と比較したミラドライのメリットをまとめると、まず治療が1日で済み術後の通院も基本的に不要である点が挙げられます。入院の必要もなく、翌日から日常生活に戻ることができます。また、皮膚を切開しないため傷跡が残らず、わきを見せることにも抵抗がなくなります。効果が半永久的に持続するため、繰り返し治療を受ける必要がなく、長期的に見るとコストパフォーマンスにも優れています。
11. ミラドライの施術の流れ
ミラドライの施術はどのような流れで行われるのか、当日の来院から帰宅までを詳しく説明します。
まず、施術前には医師によるカウンセリングと診察が行われます。患者様の症状や希望を詳しく聞き取り、ミラドライ治療が適しているかどうかを判断します。わきがや多汗症の程度、治療への期待、ライフスタイルなどを総合的に考慮して、最適な治療計画を立てていきます。治療内容や効果、副作用、費用などについての説明を受け、十分に理解・納得した上で施術に臨んでいただきます。
施術当日は、あらかじめご自宅でわき毛の剃毛をお願いしています。来院後、治療部位を清潔にし、発汗している範囲を特定するためのマーキングを行います。マーキングは専用のテンプレートを使用して正確に行われ、照射漏れがないように細心の注意が払われます。
次に、照射範囲に局所麻酔を注射します。麻酔の注入時に痛みを感じる方もいらっしゃいますが、麻酔が効いてしまえば、その後のミラドライ照射中に痛みを感じることはありません。痛みに不安がある方には、リラックス効果のある笑気麻酔を併用することも可能です。
麻酔が十分に効いたことを確認してから、ミラドライの照射を開始します。ミラドライのハンドピースをわきに当て、皮膚を吸引で固定しながらマイクロ波を照射していきます。照射は数秒間行われ、その後冷却という工程を繰り返します。施術時間は片側約30分、両わきで約60分程度です。
照射が完了したら、マーキングの跡を拭き取り、10から20分程度冷却パックで患部を冷やして術後処理を行います。その際、術後に服用する痛み止めや塗り薬のご説明、術後の生活に関する注意事項などをお伝えし、ご帰宅となります。
12. ミラドライのダウンタイムと術後経過
ミラドライは外科手術と比較してダウンタイムが格段に短いことが特徴ですが、術後には一定期間、いくつかの症状が現れます。ここでは、術後の経過と副作用について時期ごとに解説します。
施術当日は、麻酔が効いているため施術中の痛みはほとんどありません。しかし、施術から3から4時間ほど経過して麻酔が切れてくると、日焼けをした後のようなヒリヒリとした痛みや、わきの腫れ、皮膚のつっぱり感を感じることがあります。痛みのピークは施術当日の夜から翌日にかけてであり、この間はアイスパックでわきを冷やしながら過ごすことをおすすめします。痛みが強い場合は、処方された痛み止めを服用してください。
施術当日は入浴を避け、シャワー浴にとどめましょう。入浴すると体温が上がり血流が良くなることで、痛みや腫れが増す可能性があります。同様の理由から、激しい運動や飲酒も控えてください。シャワーを浴びる際も、患部をゴシゴシこすったり、必要以上に濡らしたりしないように注意が必要です。
施術翌日からは、行動に大きな制限はありません。多くの方が翌日からお仕事に復帰されています。ただし、腫れがまだ残っている場合や、早く症状を落ち着かせたい場合は、無理をせずゆっくり過ごすことをおすすめします。入浴は翌日から可能ですが、長湯は避け、短時間で済ませるようにしてください。
施術から1週間ほど経過すると、腫れや内出血、痛みはかなり軽減されます。わきを触った時や腕を伸ばした時に皮膚の硬さや軽い痛みを感じる程度になり、日常生活を過ごす上ではほとんど気にならなくなります。一部の方では、わきや周辺の皮膚に一時的な感覚の鈍さ(感覚鈍麻)が生じることがありますが、これは末梢神経が再生してくるにつれて徐々に回復し、多くの場合3か月前後で元に戻ります。
施術から1か月が経過すると、痛みや腫れはほぼなくなり、違和感もほとんど感じなくなります。この頃から、前述のように「少し汗やにおいが戻ってきた」と感じる方もいらっしゃいますが、これは破壊されなかった汗腺が回復したためであり、再発ではありません。
施術から半年が経過すると、ミラドライの治療効果が安定します。最終的な治療結果として、汗やにおいが施術前と比較して7から8割程度改善された状態で落ち着きます。
13. ミラドライ施術後の注意点
ミラドライの効果を最大限に引き出し、術後の経過をスムーズにするために、いくつかの注意点があります。
施術後の冷却は非常に重要です。特に施術当日から3日間程度は、こまめにわきを冷やすことで腫れや痛みを軽減できます。クリニックからお渡しするアイスパックを活用し、定期的にアイシングを行ってください。直接肌に当てると低温やけどの恐れがあるため、タオルなどで包んでから使用しましょう。
施術当日から数日間は、血行を促進する行為を避けてください。具体的には、激しい運動、長時間の入浴やサウナ、飲酒などです。これらは腫れや痛みを悪化させる原因となります。軽い日常活動(歩行や家事など)は問題ありませんが、ジムでのトレーニングやスポーツなどは1週間程度控えることをおすすめします。
施術部位への刺激も避けてください。わきをゴシゴシこすったり、強く押したりすることは避け、優しく扱うようにしましょう。制汗剤やデオドラント製品の使用は、傷が落ち着くまで(通常1から2週間程度)控えてください。
痛みが続く場合は、我慢せずに処方された痛み止めを服用してください。また、気になる症状や不安なことがあれば、遠慮なくクリニックにご相談ください。術後の経過には個人差がありますので、自己判断で対処するよりも、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
ミラドライには、わき毛が部分的に抜けるという副次的な効果もあります。汗腺と毛根は近い位置にあるため、汗腺を破壊する際に毛根にもダメージが及ぶことがあります。完全な脱毛にはなりませんが、わき毛の量が減ることで、清潔感の向上やお手入れの手間が軽減されるというメリットを感じる方もいらっしゃいます。
14. ミラドライが適している方
ミラドライによる治療は、以下のような方に特に適しています。
まず、わきがや多汗症の症状を根本から解決したい方です。制汗剤やデオドラント製品では十分な効果が得られない、あるいは毎日のケアが面倒だと感じている方には、一度の治療で長期的な効果が期待できるミラドライがおすすめです。
手術には抵抗があるけれど、しっかりとした効果を求める方にも適しています。ミラドライは切開を伴わないため、傷跡が残らず、ダウンタイムも短いという特徴があります。外科手術のリスクや長期の安静期間を避けたい方には最適な選択肢といえます。
仕事や学校を長期間休むことが難しい方にもおすすめです。ミラドライは入院の必要がなく、基本的に施術翌日から日常生活に戻ることができます。忙しいライフスタイルの中でも治療を受けやすいのがメリットです。
効果が長く続く治療を希望する方にも向いています。ボツリヌス毒素製剤の注射は定期的な再治療が必要ですが、ミラドライは一度破壊した汗腺が再生しないため、半永久的な効果が期待できます。長期的に見ると、繰り返しの治療にかかる費用や手間を抑えることができます。
においだけでなく汗の量も同時に改善したい方にも最適です。ミラドライはアポクリン汗腺(わきがの原因)とエクリン汗腺(多汗の原因)の両方を同時に破壊するため、においと汗の両方に効果を発揮します。従来の治療法の多くは、においか汗のどちらか一方にしか効果がありませんでしたが、ミラドライなら両方の悩みを一度に解決できます。
ただし、以下の方は施術を受けられない場合があります。ペースメーカーなどの電子機器を体内に埋め込んでいる方、妊娠中または授乳中の方、施術部位に感染症や重度の皮膚疾患がある方、重篤な全身性疾患のある方などです。施術前のカウンセリングで詳しくご確認ください。
15. 大宮でミラドライ治療を受けるメリット
大宮エリアでミラドライ治療をお考えの方には、アイシークリニック大宮院をおすすめします。
大宮は埼玉県の中心都市として交通アクセスが非常に便利です。JR各線、東武野田線、ニューシャトルなど複数の路線が乗り入れており、埼玉県内はもちろん、東京都内や周辺県からもアクセスしやすい立地にあります。ミラドライは基本的に通院が不要な治療ですが、万が一経過に不安がある場合でも、アクセスの良さは安心材料となります。
アイシークリニックでは、わきが・多汗症治療に精通した医師が診療・施術を担当しています。ミラドライは機械を使った治療ですが、照射出力や照射範囲などの設定、マーキングの精度、麻酔の技術などによって効果と副作用に大きな差が生じます。経験豊富な医師による施術を受けることで、より高い効果と安全性を期待できます。
また、アイシークリニックでは患者様の不安を取り除くために、術後の経過観察診療を無料で行っています。遠方にお住まいで通院が難しい方には、メールやオンラインでの遠隔フォローも対応しており、術後も安心してサポートを受けることができます。
ミラドライは保険適用外の自由診療であり、費用はクリニックによって異なります。費用面が気になる方は、カウンセリングの際に詳しくご相談ください。患者様の症状やご予算に合わせて、無理のない治療計画をご提案いたします。

16. まとめ:体臭の悩みから解放されるために
体臭は多くの方が抱える悩みであり、社会生活や精神面に大きな影響を与えることがあります。しかし、体臭は適切な治療によって大きく改善できる症状です。
本記事では、体臭が発生するメカニズムから、わきがと多汗症の違い、従来の治療法の限界、そしてミラドライによる最新治療について詳しく解説してきました。ミラドライは厚生労働省の承認を受けた安全性の高い治療機器であり、切開を伴わずに汗腺を根本から破壊することで、半永久的な効果が期待できる画期的な治療法です。
1回の施術で高い効果を得られること、ダウンタイムが短く翌日から日常生活に戻れること、傷跡が残らないこと、効果が長期間持続することなど、ミラドライには従来の治療法にはないさまざまなメリットがあります。
体臭の悩みは一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談することが解決への第一歩です。「体質だから仕方ない」と諦めていた方も、ミラドライ治療によって快適な生活を取り戻すことができるかもしれません。
アイシークリニック大宮院では、わきが・多汗症でお悩みの方に向けて、丁寧なカウンセリングと最適な治療プランのご提案を行っています。体臭や汗のことでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
17. 参考文献
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版 – 日本皮膚科学会
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版 – J-STAGE
- 腋臭症(わきが)の治療 – 日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科
- 国内初切らないワキ汗治療器「miraDry®システム」薬事承認取得に関するご案内 – PR TIMES
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン – Mindsガイドラインライブラリ
- 体臭 原因・対策・予防 – 大正製薬 大正健康ナビ
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務