目次
- はじめに
- イボとは何か
- イボの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)について
- イボの種類と特徴
- イボとウオノメ・タコの違いと見分け方
- イボの症状と進行
- イボの診断方法
- イボの治療法
- イボの予防法と日常生活での注意点
- 皮膚科を受診すべきタイミング
- まとめ
- 参考文献
1. はじめに
手や足にできた硬いブツブツ、なかなか治らない皮膚のできもの。「これはイボかもしれない」と気になっている方は多いのではないでしょうか。イボは非常に身近な皮膚疾患であり、子どもから大人まで幅広い年齢層で発症します。特に手足にできるイボは見た目の問題だけでなく、放置すると数が増えたり大きくなったりすることがあるため、適切な治療を受けることが大切です。
大宮エリアでイボの治療を検討されている方に向けて、本記事ではイボの原因、種類、治療法、予防法などについて詳しく解説します。イボに関する正しい知識を身につけ、早期治療につなげていただければ幸いです。
2. イボとは何か
イボの定義
イボとは、皮膚から盛り上がった小さなできものを指す俗称です。医学的には「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれ、主にウイルス感染によって生じるものを指します。一般的に「イボ」と呼ばれるものには、ウイルス性のものと非ウイルス性のものがあり、それぞれ原因や治療法が異なります。
皮膚科において「イボ」という場合、多くはウイルス感染によって生じる「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」を指します。尋常性という言葉は「一般的な」という意味であり、最も多くみられるタイプのイボです。
イボの有病率
国内でのイボの正確な有病率は明らかになっていませんが、皮膚科外来患者の約4.5%がウイルス性イボであるとされています。年齢別にみると、6〜10歳が約23%、11〜15歳が約17%と、若年層での有病率が高い傾向にあります。男女差については、ほぼ同等か、やや男性に多いというデータがあります。
3. イボの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)について
ヒトパピローマウイルスとは
ウイルス性イボの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)です。このウイルスは「ヒト乳頭腫ウイルス」とも呼ばれ、皮膚や粘膜に感染してイボ(乳頭腫)を形成することからこの名前がつけられました。
HPVは現在200種類以上の型が確認されており、型によって感染しやすい部位やイボの見た目、症状が異なります。皮膚にできる一般的なイボ(尋常性疣贅)は主にHPV2型、4型、7型、27型、57型などが原因となります。これらは子宮頸がんの原因となる高リスク型HPV(16型、18型など)とは異なる型であり、皮膚にできるイボが直接がんにつながることは通常ありません。
感染経路
HPVは皮膚の小さな傷口から体内に侵入して感染します。主な感染経路には以下のようなものがあります。
まず、直接接触による感染があります。イボのある人との直接的な皮膚接触によって感染することがあります。
次に、間接接触による感染があります。プール、ジム、銭湯など公共施設の床や共用のタオル、スリッパなどを介して感染することがあります。
また、自家感染もあります。自分のイボを触った手で体の他の部位を触ることで、イボが広がることがあります。
ただし、HPVは正常な健康な皮膚には感染しにくいウイルスです。皮膚に傷があったり、免疫力が低下していたりする場合に感染しやすくなります。感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は1〜6か月程度とされていますが、潜伏感染することもあり、半年以上経ってから明らかなイボとして現れることもあります。
4. イボの種類と特徴
イボにはいくつかの種類があり、原因ウイルスの型や発症部位によって分類されます。ここでは主なイボの種類について解説します。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
最も一般的なウイルス性イボで、子どもから大人まで幅広い年齢層にみられます。手足の指、手のひら、足の裏、ひじ、ひざなどにできやすく、表面がザラザラとした硬い丘疹(ブツブツ)として現れます。
初期は数ミリ程度の小さな盛り上がりですが、放置すると徐々に大きくなり、1センチ以上になることもあります。色は肌色から灰白色、茶褐色などさまざまで、表面を少し削ると黒い点々が見えることがあります。この黒い点はウイルスによって増殖した毛細血管で、イボの特徴的な所見です。
尋常性疣贅は自覚症状がほとんどなく、痛みやかゆみを感じることは少ないですが、足の裏にできた場合は歩行時に圧迫されて痛みを感じることがあります。
足底疣贅(そくていゆうぜい)
足の裏にできるイボで、尋常性疣贅の一種です。足の裏は体重がかかるため、イボがあまり隆起せず、皮膚の中に押し込まれたような形状になります。そのため、見た目がウオノメやタコに似ており、自己判断が難しいことがあります。
足底疣贅の特徴として、表面の角質を削ると点状に出血することが挙げられます。これはウオノメやタコにはない特徴であり、見分ける際の重要なポイントとなります。また、足の裏は皮膚が厚いため、イボの根が深くなりやすく、治療に時間がかかる傾向があります。
青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)
主に10代から30代の若い世代にみられるイボで、顔や手の甲、前腕などにできやすいのが特徴です。尋常性疣贅とは異なり、表面が平らで滑らかな小さな丘疹として現れます。色は肌色から淡褐色で、複数個が同時にできることが多く、かゆみを伴うこともあります。
青年性扁平疣贅は自然治癒することも多いですが、顔にできた場合は美容上の問題となることがあります。また、引っかいたりすることで線状に広がることがあるため、むやみに触らないよう注意が必要です。
ミルメシア
子どもの足の裏によくみられるイボで、HPV1型が原因となります。ウオノメに似た見た目をしており、中心部がくぼんでいることが特徴です。歩行時に痛みを感じることが多く、子どもの場合は特に注意が必要です。
伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)
一般に「水イボ」と呼ばれるもので、ポックスウイルスによる感染症です。厳密にはHPVによるイボとは異なりますが、広義のイボとして扱われることがあります。
水イボは直径1〜3ミリ程度のドーム状の丘疹で、表面が滑らかで光沢があり、中央がわずかにへこんでいるのが特徴です。主に1〜7歳の幼児に多くみられ、プールなどでの接触感染によって広がることがあります。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
「老人性イボ」とも呼ばれる非ウイルス性のイボで、加齢に伴って発症します。顔や体幹、手の甲などにできやすく、茶色から黒色の盛り上がった病変として現れます。ウイルス性ではないため、他人にうつることはありません。
軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)
首や脇の下、まぶたなどの皮膚が柔らかい部位にできる小さなイボ状の皮膚のできものです。「アクロコルドン」や「スキンタッグ」とも呼ばれます。これもウイルス性ではなく、加齢や摩擦、肥満などが原因とされています。
5. イボとウオノメ・タコの違いと見分け方
足の裏にできたイボは、ウオノメやタコと見た目が似ているため混同されることが多くあります。しかし、これらは原因が全く異なるため、適切な治療を受けるためには正しく見分けることが重要です。
ウオノメ(鶏眼)とは
ウオノメは、足の裏や指など特定の部位に繰り返し圧迫や摩擦が加わることで、角質が厚くなり、くさび状に皮膚の奥深くに食い込んでできるものです。医学用語では「鶏眼(けいがん)」と呼ばれます。
ウオノメの特徴として、中心に魚の目のような白い芯が見られます。この芯が神経を圧迫するため、歩行時や圧迫時に強い痛みを感じます。ウオノメはウイルス感染によるものではないため、他人にうつることはありません。
タコ(胼胝)とは
タコも圧迫や摩擦によって皮膚の角質が厚くなったものですが、ウオノメとは異なり、芯がなく、比較的広い範囲で皮膚が厚く硬くなります。医学用語では「胼胝(べんち)」と呼ばれます。
タコは足の裏だけでなく、手の指(ペンだこ)や膝(座りだこ)など、繰り返し圧力がかかる部位にできることがあります。通常は痛みを伴いませんが、厚くなりすぎると違和感を感じることがあります。タコもウイルス性ではないため、感染することはありません。
見分け方のポイント
イボ、ウオノメ、タコを見分けるポイントをまとめると以下のようになります。
まず、表面を削った時の反応です。イボの場合は点状に出血がみられますが、ウオノメやタコでは出血しません。これは最も確実な見分け方です。
次に、芯の有無です。ウオノメには白い芯がありますが、イボには芯がありません。タコにも芯はありません。
また、表面の状態も異なります。イボの表面はザラザラしており、よく見ると黒い点々(血管の痕跡)がみられます。一方、ウオノメやタコの表面は比較的滑らかです。
発症年齢も参考になります。子どもの足の裏にウオノメができることはほとんどありません。子どもの足にウオノメのようなものがある場合は、イボ(特にミルメシア)である可能性が高いです。
なお、自己判断は難しい場合が多いため、気になる症状がある場合は皮膚科を受診して正確な診断を受けることをお勧めします。
6. イボの症状と進行
初期症状
イボの初期症状は、皮膚に小さな盛り上がりができることです。最初は数ミリ程度の大きさで、肌色または白っぽい色をしていることが多く、この段階では見過ごされることも少なくありません。
尋常性疣贅の場合、表面が徐々にザラザラとした質感になり、硬くなってきます。足の裏にできた場合は、平らに近い形状で、周囲の皮膚との境界が分かりにくいこともあります。
進行と拡大
イボは放置すると、感染した部位でウイルスが増殖を続け、周囲の皮膚細胞にも感染が広がっていきます。その結果、イボは徐々に大きくなり、離れた場所にも新しいイボができることがあります。
また、イボを触った手で体の他の部位を触ることで、自家感染によってイボの数が増えることもあります。特に手の指にできたイボから、触った場所(顔、足など)にイボが広がるケースがよくみられます。
イボが多発したり大きくなったりすると、治療に時間がかかるようになります。そのため、イボは小さく数が少ないうちに治療を開始することが重要です。
自然治癒について
ウイルス性イボは、体内でHPVに対する免疫(抗体)ができると自然に治ることがあります。特に子どもの場合は自然治癒の割合が高く、2年以内に約3分の2が自然に治るというデータがあります。
しかし、免疫ができるまでの期間には個人差が大きく、何年経っても治らない方もいます。その間にイボが増えたり大きくなったりする可能性があり、また他人への感染源にもなり得るため、積極的に治療を受けることをお勧めします。
成人の場合は、子どもに比べて自然治癒に時間がかかる傾向があり、数年以上かかることも珍しくありません。
7. イボの診断方法
視診による診断
イボの診断は、主に皮膚科医による視診(見た目の観察)によって行われます。イボには特徴的な外観があり、経験豊富な皮膚科医であれば、多くの場合は見ただけで診断が可能です。
診断の際には、病変の形状、大きさ、色、表面の状態、発症部位などを確認します。また、患者さんの年齢や発症経過、既往歴なども参考にします。
ダーモスコピー検査
より詳細な観察が必要な場合は、ダーモスコピー(皮膚鏡検査)を行うことがあります。これは、特殊な拡大鏡を使って皮膚を観察する検査で、イボに特有の血管拡張パターンを確認することができます。
イボをダーモスコピーで観察すると、点状や線状の血管(血栓化毛細血管)が見られることが特徴的です。これにより、ウオノメやタコ、その他の皮膚疾患との鑑別がより確実に行えます。
組織検査(生検)
通常のイボでは組織検査は必要ありませんが、以下のような場合には生検(皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)を行うことがあります。
まず、典型的なイボの外観ではなく、診断が困難な場合です。次に、治療を行っても改善せず、むしろ大きくなっている場合です。また、イボの形がいびつだったり、出血を繰り返したりする場合も生検の対象となります。さらに、悪性腫瘍(皮膚がんなど)との鑑別が必要な場合にも行われます。
特に高齢者で急に大きくなったイボや、形が不規則なイボは、悪性の可能性も考慮して詳しい検査を行うことがあります。
8. イボの治療法
イボの治療には様々な方法があり、イボの種類、大きさ、数、発症部位、患者さんの年齢などを考慮して最適な治療法が選択されます。日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」では、各治療法について推奨度が示されています。
液体窒素による冷凍凝固療法(推奨度A)
液体窒素による冷凍凝固療法は、イボ治療の第一選択として最も広く行われている治療法です。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度A(行うよう強く勧められる)とされています。
この治療では、マイナス196度の液体窒素を綿棒やスプレーでイボに当て、凍結と解凍を3〜4回繰り返します。凍結によってイボの組織が破壊され、同時に免疫反応が活性化されることでウイルスを排除する効果が期待できます。
治療は通常1〜2週間に1回の頻度で行い、数週間から数か月にわたって継続します。イボの大きさや部位によっては、完治まで数か月以上かかることもあります。特に足の裏や爪の周りのイボは皮膚が厚いため、治療に時間がかかる傾向があります。
治療時には痛みを伴い、治療後も数日間は痛みや腫れが続くことがあります。また、水ぶくれや血豆ができることもありますが、これらは通常1〜2週間で自然に治ります。治療後に色素沈着(シミ)が残ることがあるため、顔など目立つ部位のイボには別の治療法が選択されることもあります。
保険適用で治療を受けることができ、3割負担の場合、1回あたり600〜800円程度(別途診察料等がかかります)が目安となります。
サリチル酸外用療法(推奨度A)
サリチル酸を含む外用薬(塗り薬や貼り薬)を使用する治療法で、液体窒素療法と並んでガイドラインで推奨度Aとされています。市販のスピール膏などもこれに該当します。
サリチル酸には角質を柔らかくして剥がす作用があり、イボの厚くなった角質を除去する効果があります。また、イボに対する免疫を活性化させる作用もあるとされています。
この治療法は痛みが少ないため、小さなお子さんにも適用しやすいという利点があります。液体窒素療法と併用することで、より高い効果が期待できます。
ヨクイニン内服療法(推奨度B)
ヨクイニンは、ハトムギの種皮を除いた成熟種子を乾燥させた生薬で、古くからイボの治療に用いられてきました。日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度B(行うよう勧められる)とされています。
ヨクイニンには、イボのウイルスに対する免疫を活性化させる作用があると考えられています。内服薬のため、液体窒素療法のような痛みがなく、子どもでも服用しやすいという利点があります。
効果が現れるまでには時間がかかり、3か月程度を目安に効果を判定します。年齢別の有効率を見ると、乳幼児で約71%、学童で約74%、青年で約57%、成人で約20%と、若年者での効果が高いことが報告されています。
副作用としては、まれに胃部不快感や下痢などの消化器症状が起こることがあります。また、ヨクイニンはイネ科の植物(ハトムギ)に由来するため、小麦アレルギーなどイネ科アレルギーがある方は服用を避ける必要があります。
ヨクイニンは保険適用で処方を受けることができます。
モノクロロ酢酸外用療法
モノクロロ酢酸は強力な酸性物質で、イボに塗布することで組織を化学的に破壊する治療法です。液体窒素療法に比べて痛みが少ないため、小さなお子さんに適した治療法として用いられることがあります。
治療では、イボにモノクロロ酢酸を塗布し、その上にスピール膏を貼り付けます。週1回程度のペースで繰り返すと、やがてイボがかさぶたになって剥がれ落ちてきます。ただし、顔や腕の内側など皮膚が薄い部位には使用できません。
その他の治療法
上記以外にも、以下のような治療法があります。
まず、活性型ビタミンD3外用薬があります。皮膚の細胞増殖を抑制する作用があり、サリチル酸製剤との併用で効果を高めることができます。
次に、ブレオマイシン局所注射があります。難治性のイボに対して行われることがある抗がん剤の局所注射です。
また、SADBE・DPCPによる局所免疫療法があります。人工的にかぶれを起こさせることで免疫反応を活性化させる方法です。
炭酸ガスレーザー治療もあります。レーザーでイボを焼灼する方法で、保険適用外となりますが、数の制限なく治療できるという利点があります。
手術による切除もあります。難治性のイボや、根治を希望する場合に行われることがあります。保険適用で治療を受けることができます。
9. イボの予防法と日常生活での注意点
皮膚の健康を保つ
イボのウイルス(HPV)は、正常な健康な皮膚には感染しにくいとされています。そのため、皮膚の健康を保つことがイボ予防の基本となります。
皮膚が乾燥していたり、傷があったりするとウイルスが侵入しやすくなります。保湿クリームやローションを使用して皮膚を保湿し、ひび割れや傷ができないように注意しましょう。手荒れや指のさかむけ、足の皮むけなども感染のリスクを高めるため、こまめなケアが大切です。
アトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある方は、皮膚のバリア機能が低下しているためイボができやすい傾向があります。基礎疾患の適切な治療を続けることが予防につながります。
公共施設での注意
プール、ジム、銭湯など公共施設では、床やマットを介してウイルスに感染する可能性があります。以下の点に注意しましょう。
まず、共用の場所ではできるだけサンダルやスリッパを履き、裸足で歩くことを避けてください。次に、施設を利用した後は石鹸で足をよく洗いましょう。また、タオルやスリッパは共用せず、自分専用のものを使用することをお勧めします。
イボができてしまった場合の注意点
すでにイボができてしまった場合は、以下の点に注意してください。
まず、イボをむやみに触らないようにしましょう。触ることで自分の体の他の部位にウイルスが広がったり、他人にうつしたりする可能性があります。
次に、イボを自分で削ったり、無理に取ろうとしたりしないでください。かえってイボが大きくなったり、感染が広がったりすることがあります。市販の薬を使用する場合も、説明書をよく読み、正しく使用してください。
また、イボの周りの皮膚を清潔に保ち、バンドエイドなどで覆っておくと、他への感染拡大を防ぐのに役立ちます。
免疫力を維持する
イボウイルスに対抗するためには、体の免疫力を維持することも重要です。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけましょう。
免疫力が低下していると、イボができやすくなるだけでなく、治療しても治りにくくなったり、再発しやすくなったりします。特に免疫抑制剤を使用中の方や、免疫系の疾患がある方は、皮膚の状態に特に注意が必要です。
10. 皮膚科を受診すべきタイミング
早期受診が大切な理由
イボは小さく数が少ないうちであれば、比較的短期間で治療することができます。しかし、放置して大きくなったり多発したりすると、治療に時間がかかり、完治が難しくなることがあります。
イボはウイルス性の感染症であるため、自分自身の体の他の部位や、家族など周囲の人にうつす可能性もあります。気になるできものがある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
受診をお勧めする症状
以下のような症状がある場合は、皮膚科の受診をお勧めします。
まず、皮膚に硬いブツブツや盛り上がりができた場合です。次に、できものが徐々に大きくなっている場合です。また、できものの数が増えている場合も受診をお勧めします。足の裏にウオノメのようなものができて痛みがある場合も同様です。
市販薬を使用しても改善しない場合や、自分では判断がつかないできものがある場合も受診が望ましいです。さらに、子どもの手足にできものがある場合も早めの受診をお勧めします。
注意が必要な症状
以下のような症状がある場合は、悪性腫瘍(皮膚がんなど)の可能性も考慮して、できるだけ早く受診してください。
まず、できものが急速に大きくなっている場合です。次に、形がいびつで、色が不均一な場合です。また、出血やかさぶたを繰り返す場合も注意が必要です。複数回の治療を行っても全く改善しない場合も同様に注意が必要です。

11. まとめ
イボは非常に身近な皮膚疾患であり、適切な治療を受けることで治すことができます。本記事の要点をまとめると以下のようになります。
イボの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じます。ウイルスは皮膚の小さな傷から侵入するため、皮膚の健康を保つことが予防の基本となります。
イボにはいくつかの種類があり、尋常性疣贅が最も一般的です。足の裏にできた場合はウオノメやタコと似ていますが、表面を削ったときに点状の出血がみられることがイボの特徴です。
治療法としては、液体窒素による冷凍凝固療法が第一選択となります。サリチル酸外用療法やヨクイニン内服療法なども有効で、患者さんの状態に応じて最適な治療法が選択されます。
イボは小さく数が少ないうちに治療を始めることが大切です。放置すると大きくなったり増えたりして、治療に時間がかかるようになります。
イボかもしれないと思ったら、自己判断で放置せず、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
12. 参考文献
- 尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版)- J-STAGE
- 尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版)- Mindsガイドラインライブラリ
- 一般公開ガイドライン|公益社団法人日本皮膚科学会
- イボとミズイボ、ウオノメとタコ─どう違うのですか?─ 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
- ヒトパピローマウイルス感染症とは|厚生労働省
- ヒトパピローマウイルス – がん情報サービス
- 足のタコ・ウオノメ・キズの原因は?|国立長寿医療研究センター
- ヒトパピローマウイルス(HPV)検査とHPV感染予防ワクチン|KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
- ヒトパピローマウイルスと子宮頸がんワクチン(ファクトシート)|厚生労働省検疫所FORTH
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務