「爪が白っぽく濁ってきた」「爪がぼろぼろと崩れてきた気がする」──そんな変化に気づいたとき、多くの人は加齢のせいにして見過ごしてしまいます。しかし、その症状は水虫菌(白癬菌)が爪に侵入した「爪白癬(つめはくせん)」、いわゆる爪の水虫かもしれません。爪の水虫は日本人の約10人に1人が罹患していると言われるほど身近な感染症でありながら、足の皮膚の水虫と比べて認知度が低く、治療が遅れがちです。本記事では、爪の水虫の症状や原因、進行のサイン、放置した場合のリスク、そして治療の選択肢までを詳しく解説します。気になる症状がある方はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 爪の水虫(爪白癬)とは
- 爪の水虫の主な症状
- 症状の進行ステージと見分け方
- 爪の水虫が起こる原因とメカニズム
- 発症しやすい人の特徴とリスク因子
- 放置するとどうなる?合併症と二次感染のリスク
- 爪の水虫の診断方法
- 治療の選択肢(外用薬・内服薬・レーザー治療)
- 治療を続けるためのポイントと再発予防
- まとめ
この記事のポイント
爪白癬(爪の水虫)は日本人の約10人に1人が罹患する感染症で、かゆみがなく自然治癒しないため放置されがちだが、外用薬・内服薬・レーザー治療で改善可能であり、気になる爪の変化があれば早めに皮膚科を受診することが重要。
🎯 爪の水虫(爪白癬)とは
爪の水虫は、正式には「爪白癬(つめはくせん)」と呼ばれる感染症です。白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビの一種が爪に侵入・増殖することで発症します。医学的な分類では真菌(カビ)による感染症に位置づけられており、皮膚の水虫(足白癬・体部白癬など)と同じ菌が原因となることがほとんどです。
爪白癬は日本において非常に有病率が高く、2005年に行われた全国調査では、日本人の約10.0〜11.0%が罹患していると推計されました。特に高齢者での割合が高く、70代以上では5人に1人以上に達するともいわれています。爪は皮膚よりも菌が侵入しにくい構造をしているため発症までに時間がかかりますが、一度感染すると自然治癒することはほとんどなく、適切な治療なしには長期にわたって慢性化します。
爪白癬が発症する部位は足の爪が最も多く、全体の約9割以上を占めます。特に足の親指(母趾)に多く見られます。手の爪に発症することも一定割合ありますが、足の爪と比べると発症頻度はかなり低いとされています。これは、足の爪が靴の中という高温多湿な環境に長時間さらされやすく、白癬菌が繁殖しやすい条件が整いやすいためです。
Q. 爪の水虫(爪白癬)はどのくらいの人が罹患していますか?
爪白癬(爪の水虫)は日本人の約10人に1人が罹患していると推計される身近な感染症です。特に高齢者での有病率が高く、70代以上では5人に1人以上に達するとも言われています。足の親指の爪に最も多く発症します。
📋 爪の水虫の主な症状
爪白癬の症状は、一般的な足の水虫(趾間型・小水疱型・角質増殖型)と異なり、かゆみやただれといった自覚症状がほとんどありません。この点が見逃されやすい大きな理由の一つです。以下に、代表的な症状を詳しく説明します。
🦠 爪の変色(白濁・黄色・褐色)
最も初期から見られる変化の一つが爪の変色です。健康な爪は透明〜淡いピンク色をしていますが、白癬菌が感染すると爪が白っぽく曇ったり、黄色みがかったりします。進行すると褐色や茶色、さらに黒みを帯びることもあります。この変色は爪の先端や側面から始まり、根元(爪母)に向かって広がっていくことが多いです。
👴 爪の肥厚(厚みが増す)
感染が進むと、爪の厚みが増す「肥厚(ひこう)」が起こります。通常の爪よりも明らかに盛り上がり、靴を履いたときに圧迫感や痛みを感じることもあります。厚くなった爪は爪切りで切ることが困難になり、無理に切ろうとすると割れたり崩れたりすることがあります。
🔸 爪の崩れ・ぼろぼろになる
爪白癬が中程度以上に進行すると、爪の表面や先端がもろくなり、触れるとぼろぼろと崩れてしまうことがあります。爪を切ったときに粉状のものが出てきたり、爪自体が欠けやすくなったりします。これは白癬菌が爪の成分(ケラチンタンパク質)を分解するためです。
💧 爪の変形・でこぼこ
感染が長期化すると、爪の形が変形してきます。表面が凸凹になる、爪が波打つ、爪の縁が盛り上がるなどの変化が見られます。特に足の親指の爪は面積が大きいため、変形が目立ちやすい傾向があります。変形が著しくなると、爪として機能しにくくなり、日常生活に支障をきたすこともあります。
✨ 爪の浮き・剥離
爪床(爪の下の皮膚)から爪が浮いてしまう「爪甲剥離(そうこうはくり)」が起こることもあります。これは白癬菌が爪床にも侵入した結果として現れます。爪が浮くことで爪の下に空間ができ、さらに菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。また、この空間に雑菌が入り込むことで二次感染が起こるリスクもあります。
📌 自覚症状がほとんどない
爪白癬の大きな特徴として、かゆみや痛みといった自覚症状がほとんどない点が挙げられます。足の皮膚に発症する水虫はかゆみが強いため受診のきっかけになりますが、爪白癬はよほど進行しない限り日常生活での不快感が少なく、「見た目が変わっただけ」と思って放置されてしまいがちです。だからこそ発見が遅れ、治療開始が遅くなる傾向があります。
💊 症状の進行ステージと見分け方
爪白癬はその発症パターンによっていくつかの型に分類されています。それぞれの型によって症状の出方や進行のパターンが異なります。
▶️ 遠位側縁爪甲下型(最も多い型)
爪白癬の中で最も頻度が高いのが、この遠位側縁爪甲下型(えんいそくえんそうこうかがた)です。爪の先端(遠位端)や側縁から白癬菌が爪甲下(爪の裏側の皮膚と爪の間)に侵入し、根元に向かって広がっていきます。爪の先端が黄白色〜褐色に濁り始め、次第に爪の肥厚・崩れへと進行します。症状が先端から根元(爪根部)に向かって進行するため、初期には爪の根元付近は正常に見えることが多いです。
🔹 表在白色型
爪の表面に直接白癬菌が侵入する型です。爪の表面が白く点状または不規則に濁り、時間が経つと白い粉状になっていきます。他の型に比べると比較的浅い部分での感染であるため、外用薬が届きやすく治療反応が良いことが多いです。ただし、HIV感染症や免疫抑制状態の患者さんでは、より深部への侵入が見られることもあります。
📍 近位爪甲下型
爪の根元(近位部)から菌が侵入する型で、比較的まれです。爪の根本付近から白濁が始まり、先端方向へ進行します。免疫機能が低下している方(HIV感染者、免疫抑制療法中の患者さんなど)に見られることが多く、この型が見つかった場合には基礎疾患の検索が推奨されることがあります。
💫 全異栄養型
上記の型が長期間放置された場合や、複数の型が組み合わさった結果として起こる最も重症な型です。爪全体が著しく変形・肥厚・崩壊した状態で、爪としての構造を保てなくなっています。治療に最も時間がかかるタイプです。
Q. 爪の水虫の症状にはどのようなものがありますか?
爪白癬の主な症状は、爪の白濁・黄色・褐色への変色、爪の肥厚(厚みが増す)、爪のぼろぼろとした崩れ、表面の変形・でこぼこ、爪床からの浮き(爪甲剥離)などです。かゆみや痛みはほとんどなく、見た目の変化が主体となります。
🏥 爪の水虫が起こる原因とメカニズム
爪白癬の原因となる白癬菌は、皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)と呼ばれる真菌の一群に属しています。日本では、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)が原因菌の大半(80〜90%以上)を占め、次いでトリコフィトン・メンタグロフィテス(T. mentagrophytes)が多く見られます。
白癬菌は人の皮膚や爪に含まれるケラチンというタンパク質を栄養源として生育します。健康な爪は非常に硬い構造をしているため、通常は菌が直接侵入しにくいのですが、以下のような状況が重なると感染が成立しやすくなります。
🦠 感染経路
爪白癬の多くは、まず足の皮膚に水虫(足白癬)が発症し、そこから爪へと感染が広がるケースです。したがって、足白癬を長期間放置することが爪白癬のリスクを大きく高めます。また、公共の浴場・プール・スポーツジムなどの床に落ちている白癬菌の菌糸が足の皮膚に付着し、そこから侵入することもあります。タオルやスリッパなどを介した間接的な感染もあります。
感染した菌が爪白癬を引き起こすためには、単に菌が付着するだけでは不十分で、菌が定着・増殖できる時間と環境条件が必要です。通常、菌が皮膚に付着してから感染が成立するまでには24〜48時間かかると言われており、付着後すぐに洗い流せば感染を防ぐことができます。
👴 爪への侵入メカニズム
足の皮膚に定着した白癬菌が爪に侵入するためには、いくつかの入口が存在します。最も一般的なのは爪の先端や側面から爪甲下(爪の裏側)への侵入です。爪の先端が皮膚から離れて空間ができている場合や、外傷によって爪が部分的に剥離している場合には、菌が入り込みやすくなります。また、爪の成長が遅い高齢者や血流が悪い方では、白癬菌への防御機能が低下しているため感染が成立しやすいとされています。
⚠️ 発症しやすい人の特徴とリスク因子
爪白癬は誰でも発症する可能性がありますが、以下のような条件を持つ方は特にリスクが高いとされています。
🔸 高齢者
加齢に伴い、爪の成長速度が低下し、血流も悪くなります。また免疫機能の低下も重なるため、白癬菌が侵入・定着しやすくなります。60代以降から有病率が急激に高まり、70代以上では特に多く見られます。
💧 糖尿病のある方
糖尿病では末梢血流の障害や神経障害(末梢神経障害)が起こり、足先の血流が悪化します。また、白血球の機能低下による免疫力の低下も加わり、白癬菌への感受性が高まります。糖尿病患者さんでは爪白癬の有病率が一般の方より高く、また足壊疽などの重篤な合併症に発展するリスクもあるため、早期発見・早期治療が特に重要です。
✨ 足白癬(足の水虫)がある方
前述のとおり、爪白癬の多くは足白癬から二次的に発症します。足白癬を持っている方が爪白癬を合併している割合は非常に高く、足白癬を適切に治療しないと爪白癬のリスクが高まり続けます。
📌 免疫抑制状態の方
HIV感染症・がん・臓器移植後などで免疫抑制療法を受けている方は、白癬菌に対する防御機能が著しく低下しています。このような方では爪白癬が重症化しやすく、また稀な型(近位爪甲下型など)が見られることがあります。
▶️ 公共施設をよく利用する方・スポーツをする方
銭湯・温泉・スポーツジム・プールなど、裸足で歩く機会が多い場所では白癬菌と接触する機会が増えます。また、スポーツで足に汗をかきやすい方や、長時間靴を履いている方は、足元が高温多湿になりやすく白癬菌が繁殖しやすい環境が生まれます。
🔹 家族に水虫がある方
白癬菌は家庭内でも感染します。バスマットやタオルの共有、スリッパの使い回しなどを通じて家族間での感染が起こることがあります。家族の中に足白癬・爪白癬の方がいる場合は、感染予防のための生活習慣を意識することが大切です。
Q. 爪の水虫の治療法にはどのような選択肢がありますか?
爪白癬の治療法は大きく3種類あります。塗り薬(エフィナコナゾールなど)は副作用リスクが少なく治療期間は約12か月、飲み薬(テルビナフィン・イトラコナゾールなど)は重症例に有効で数か月が目安です。レーザー治療は薬が使えない方の選択肢となりますが、自由診療となります。
🔍 放置するとどうなる?合併症と二次感染のリスク
「かゆくないし、見た目の問題だけだから」と放置してしまう方も多いですが、爪白癬を長期間治療せずに放置することにはいくつかの重大なリスクがあります。
📍 感染範囲の拡大
治療しない限り白癬菌は増え続け、感染している爪の面積が広がるだけでなく、他の爪にも感染が拡大していきます。最初は1本だった感染が10本すべての爪に広がるケースも珍しくありません。また、爪から皮膚への再感染・再拡大も起こりやすくなります。
💫 家族への感染源になる
爪白癬の患者さんは白癬菌の持続的な供給源となり、同居する家族や周囲の人に感染させてしまうリスクがあります。特に高齢の親や小さなお子さんがいるご家庭では注意が必要です。
🦠 二次感染(細菌感染)
爪が変形・崩壊して皮膚との間に隙間ができると、そこに細菌が侵入して二次感染を起こすことがあります。細菌による感染(細菌性爪囲炎など)が加わると炎症・膿・痛みが生じ、治療が複雑になります。特に高齢者や糖尿病の方では、足の細菌感染が蜂窩織炎(ほうかしきえん)や足壊疽などの重篤な状態に発展するリスクがあります。
👴 爪の完全な喪失
全異栄養型まで進行すると、爪としての構造が完全に失われ、正常な爪に戻ることが難しくなる場合があります。爪は指先を保護する重要な役割を担っており、爪がなくなることで日常生活における細かな作業に支障が出ることもあります。
🔸 歩行障害・転倒リスクの上昇
特に高齢の方では、爪の肥厚・変形によって靴がうまく履けなくなったり、足の感覚が変わって歩きにくくなったりすることがあります。これが転倒リスクの上昇につながる可能性があるとも指摘されています。
📝 爪の水虫の診断方法

「爪が黄色くなった=爪白癬」と断定できるわけではありません。爪の変色や変形には、爪白癬以外にも様々な原因が考えられます。例えば、乾癬(かんせん)による爪症状、爪下血腫(爪の下の出血)、爪甲剥離症、薬剤性の爪変色、扁平苔癬(へんぺいたいせん)などです。これらを区別するためには、医療機関での適切な検査が必要です。
💧 直接鏡検(KOH法)
爪白癬の診断で最も重要かつ基本的な検査が直接鏡検(KOH法)です。変色・崩れた爪の一部を削り取り、水酸化カリウム(KOH)溶液で溶かした後に顕微鏡で観察して、白癬菌の菌糸・胞子が見えるかどうかを確認します。この検査は比較的短時間で結果が出ますが、採取する部位や方法によって偽陰性(実際には感染しているのに菌が見つからない)が出ることもあります。
✨ 培養検査
KOH法で陰性だった場合や菌の種類を同定したい場合に行われます。採取した爪の組織を培養して菌を増やし、原因菌の種類を特定します。結果が出るまでに2〜4週間かかるという欠点があります。
📌 皮膚科・形成外科・皮膚科専門クリニックへの受診
爪白癬の診断・治療は皮膚科が専門となります。「爪が変になったかな?」と思ったら、自己判断せずに専門医を受診して検査を受けることが大切です。特に爪白癬は治療に時間がかかるため、早期発見・早期治療が治療期間の短縮と治癒率の向上につながります。
Q. 爪の水虫を治療後に再発させないためのポイントは?
爪白癬の再発率は約10〜20%とされるため、生活習慣の改善が重要です。毎日足を丁寧に洗い指の間まで水分を拭き取ること、靴を交互に使って乾燥させること、通気性の良い靴下を選ぶことが有効です。公共浴場の利用後は速やかに足を洗い流しましょう。
💡 治療の選択肢(外用薬・内服薬・レーザー治療)
爪白癬の治療は、感染の重症度・範囲・患者さんの全身状態によって選択が異なります。主な治療法は、抗真菌薬の外用(塗り薬)、内服(飲み薬)、そして近年注目されているレーザー治療の3つです。
▶️ 外用抗真菌薬(塗り薬)
かつての外用抗真菌薬は、爪の硬い構造を通り抜けて爪甲下まで十分に薬が届かないという問題がありました。しかし近年、爪専用の外用抗真菌薬として「エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン)」と「ルリコナゾール(商品名:ルコナック)」が登場し、爪を透過して爪甲下まで薬効成分が届くように設計されています。これらは1日1回爪に塗るだけでよく、内服薬のような全身への副作用リスクが少ないため、肝機能障害がある方や多くの薬を服用している方にも使いやすい選択肢です。
ただし、外用薬だけでの治療が適しているのは比較的軽症〜中等症(感染範囲が爪の50%未満程度)の場合が多く、重症例や全異栄養型では効果が不十分なことがあります。また、治療期間は一般的に12か月(1年)と長期にわたるため、根気強く続けることが求められます。
🔹 内服抗真菌薬(飲み薬)
現在、爪白癬に対して保険適用がある内服薬として、主に「テルビナフィン(商品名:ラミシールなど)」と「イトラコナゾール(商品名:イトリゾールなど)」が使われています。
テルビナフィンは1日1回の連続内服で、標準的な治療期間は足の爪の場合6か月です。薬が血流に乗って爪に届くため、外用薬よりも重症例に有効です。一方、イトラコナゾールはパルス療法(1週間飲んで3週間休む、これを3サイクル繰り返す)が一般的に行われます。どちらの薬も肝機能への影響があるため、定期的な血液検査が必要です。また、他の薬との相互作用がある場合があるため、内服中の薬について医師に必ず伝えることが重要です。
内服薬は外用薬と比べて治療効果が高く、重症例でも一定の有効性が期待できます。しかし、心疾患のある方、肝機能障害のある方、特定の薬を内服中の方など、使用できない場合があります。
📍 レーザー治療
近年、爪白癬に対するレーザー治療が注目されています。Nd:YAGレーザーなどの特定の波長のレーザーを爪に照射することで、爪の内部に熱を発生させ白癬菌を死滅させるという原理です。薬が使えない方(アレルギー・肝機能障害・薬の相互作用など)や、薬による治療に抵抗感がある方にとっての選択肢となります。
レーザー治療は副作用が少なく、照射時間も比較的短い(1回あたり数分〜十数分程度)という利点があります。一方で、日本では爪白癬に対するレーザー治療は自由診療(保険適用外)となっており、費用が全額自己負担となります。また、一定の治療回数(複数回の照射)が必要で、薬による治療と組み合わせることもあります。治療効果や適応については、担当医と十分に相談することが大切です。
✨ 治療を続けるためのポイントと再発予防
爪白癬の治療において最も難しい課題の一つが「治療の継続」です。症状が改善してきても、菌が完全に消えたわけではない段階で自己判断で治療をやめてしまうと、再発・再燃のリスクが高まります。
💫 治療の途中でやめない
爪白癬の治療は月単位〜年単位の長期治療になります。外用薬の場合は約12か月、内服薬の場合でも数か月を要します。見た目が改善されてきても、爪の根元から新しいきれいな爪が生え変わるまで治療を続けることが重要です。医師の指示に従い、自己判断で中断しないようにしましょう。
🦠 定期的な受診と検査
治療中は定期的に受診して治療効果を確認してもらうことが大切です。内服薬を使っている場合は肝機能のチェックも必要です。治癒の判定は見た目だけでなく、顕微鏡検査で菌がいなくなったことを確認することが理想的です。
👴 再発予防のための生活習慣
爪白癬は治療が完了しても、生活環境が変わらなければ再感染するリスクがあります。再発率は約10〜20%とも言われており、再発予防のための生活習慣が重要です。
具体的には、毎日入浴して足を丁寧に洗う習慣をつけることが基本です。特に趾間(足の指の間)は菌が繁殖しやすい部位なので、丁寧に洗って清潔に保ちましょう。洗った後は足の指の間まで水分をしっかりと拭き取ることも重要です。湿った状態を長時間続けると白癬菌が繁殖しやすくなります。
靴は毎日同じものを履き続けず、交互に使って乾燥させることが推奨されます。通気性の良い素材の靴下(綿素材など)を選び、靴の中が蒸れにくい環境を保つことも効果的です。
公共の浴場やプールなどを利用する際は、裸足で歩く時間を最小限にし、利用後は速やかにシャワーで足を洗い流すようにしましょう。また、家族の中に爪白癬・足白癬の方がいる場合は、バスマットやスリッパを個人用にするなどの工夫が感染拡大の防止になります。
爪のケアとして、爪は適切な長さに保ち、伸びすぎないようにすることも大切です。爪が長すぎると爪の先端から白癬菌が侵入しやすくなります。ただし、爪白癬で爪が硬くなっている場合は無理に切ろうとせず、受診時に医師や看護師にケアしてもらうことも選択肢の一つです。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「爪が黄色くなってきたけど年齢のせいかと思っていた」というご相談を多くいただきますが、実際に検査をしてみると爪白癬と診断されるケースが少なくありません。爪白癬はかゆみなどの自覚症状がほとんどないため放置されがちですが、治療しない限り自然に治ることはなく、進行するほど治療期間も長くなってしまいます。気になる爪の変化があれば、どうぞ早めに皮膚科へご相談ください。現在は患者さまの状態やご希望に合わせた治療法を選択できますので、一緒に根気強く取り組んでいきましょう。」
📌 よくある質問
はい、爪の水虫(爪白癬)はかゆみや痛みといった自覚症状がほとんどないのが大きな特徴です。足の皮膚の水虫と異なり、爪の変色・肥厚・崩れなど見た目の変化だけが主な症状のため、「年齢のせい」と見過ごされがちです。気になる変化があれば早めに皮膚科を受診しましょう。
自然に治ることはほとんどありません。放置すると感染範囲が他の爪にも広がり、家族への感染源になるリスクもあります。また、細菌の二次感染や、糖尿病の方では足壊疽などの重篤な合併症に発展する危険性もあるため、早期に皮膚科で適切な治療を受けることが重要です。
治療法によって異なりますが、外用薬(塗り薬)の場合は約12か月、内服薬(飲み薬)の場合でも数か月が標準的な治療期間です。見た目が改善しても菌が残っている場合があるため、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って最後まで継続することが治癒への近道です。
見た目だけでは診断できません。爪の変色や変形は、乾癬・爪下血腫・薬剤性変色など他の疾患でも起こるためです。皮膚科では、爪の一部を削り取って顕微鏡で白癬菌を確認する「直接鏡検(KOH法)」などの検査を行い、正確に診断します。自己判断せず専門医への受診をおすすめします。
再発率は約10〜20%とされており、生活習慣の見直しが重要です。毎日足を丁寧に洗い、指の間まで水分をしっかり拭き取ること、靴を交互に使って乾燥させること、通気性の良い靴下を選ぶことが有効です。また、公共の浴場利用後は速やかにシャワーで足を洗い流すことも感染予防に効果的です。
🎯 まとめ
爪の水虫(爪白癬)は、爪の変色・肥厚・崩れ・変形などの症状を起こす、白癬菌による感染症です。かゆみや痛みといった自覚症状がほとんどないため気づきにくく、放置されがちですが、治療しない限り自然には治らず、感染範囲が広がり続けます。また、家族への感染源になることや、細菌の二次感染・重篤な合併症のリスクもあります。
「爪の色がおかしい」「爪がもろくなってきた」と感じたら、自己判断せずに皮膚科を受診して正しい診断を受けることが最初の一歩です。現在は外用薬・内服薬・レーザー治療など様々な選択肢があり、患者さんの状態に合わせた治療が可能です。治療は長期にわたりますが、正しいケアと根気強い治療継続によって確実に改善できる疾患です。
アイシークリニック大宮院では、爪白癬に関するご相談・診察を承っています。気になる爪の症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 爪白癬の診断基準・治療ガイドライン(外用薬・内服薬の適応、KOH直接鏡検法の手順、各病型の分類など)に関する学会公式情報
- 厚生労働省 – 水虫・爪白癬の有病率統計(日本人の約10人に1人が罹患)および感染予防・公衆衛生上の注意事項に関する公式情報
- PubMed – 爪白癬の原因菌(Trichophyton rubrum)の同定・各型の臨床的特徴・抗真菌薬(テルビナフィン・イトラコナゾール・エフィナコナゾール)の有効性に関する国際的な査読済み臨床文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務