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脂漏性角化症の除去治療ガイド|大宮で治療をお考えの方へ

目次

  1. 脂漏性角化症とは?基本的な特徴と症状
  2. 脂漏性角化症ができる原因
  3. シミとの違い・見分け方
  4. 脂漏性角化症の診断方法
  5. 悪性腫瘍との鑑別の重要性
  6. 脂漏性角化症の除去・治療法
  7. 治療費用と保険適用について
  8. 治療後のケアと注意点
  9. 脂漏性角化症の予防法
  10. 注意すべき症状とレーザー・トレラ徴候
  11. 大宮で脂漏性角化症治療を受ける際のポイント
  12. よくある質問
  13. 参考文献

1. 脂漏性角化症とは?基本的な特徴と症状

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は、皮膚にできる良性の腫瘍のひとつです。「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」や「老人性イボ」とも呼ばれ、中高年以降に多く見られますが、早い方では20代後半から発症することもあります。80歳以上になると、ほぼすべての方に何らかの形で認められるほど一般的な皮膚疾患です。

脂漏性角化症の大きな特徴は、皮膚の表面が少し盛り上がり、表面がざらざらとした質感を持つことです。色調は、肌色に近いものから褐色、黒色まで様々で、大きさも数ミリ程度の小さなものから2~3センチほどになるものまであります。

好発部位としては、顔面、頭部、首、胸部、背中など、日光に当たりやすい部分に多く見られます。ただし、腹部、脇腹、鼠径部など、日光に当たりにくい部位にも加齢とともに発生することがあります。手のひらと足の裏には基本的にできません。

通常、痛みやかゆみなどの自覚症状はありませんが、大きくなる過程でかゆみを感じたり、衣服やアクセサリーに引っかかって炎症を起こしたりすることがあります。また、脂漏性角化症は良性腫瘍であり、そのまま放置しても悪性化(がん化)することはありません。しかし、見た目が気になる場合や、日常生活に支障をきたす場合には、除去治療を検討される方が多くいらっしゃいます。

脂漏性角化症は「イボ」と呼ばれることがありますが、医学的な「イボ」であるウイルス性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)とは異なります。ウイルス性のイボはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じますが、脂漏性角化症はウイルスとは無関係であり、他人に感染することもありません。


2. 脂漏性角化症ができる原因

脂漏性角化症の発生には、主に以下の要因が関係していると考えられています。

紫外線の影響

脂漏性角化症の最大の原因は、長年にわたる紫外線の蓄積です。紫外線は皮膚の細胞にダメージを与え、表皮基底細胞の遺伝子に異常を引き起こします。この異常が蓄積されることで、細胞が異常に増殖し、脂漏性角化症として皮膚表面に現れます。

顔や首、手の甲など、日常的に紫外線を浴びやすい部位に脂漏性角化症ができやすいのは、このためです。特に屋外でのスポーツや仕事に従事している方、日焼け止めを習慣的に使用していない方は、発症リスクが高くなる傾向があります。

加齢による皮膚の変化

年齢を重ねると、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)の速度が低下します。若い頃は紫外線によって生成されたメラニン色素が比較的早く排出されますが、加齢とともにこのサイクルが遅くなり、メラニンが表皮に蓄積されてシミ(老人性色素斑)になります。さらに紫外線によるダメージが続くと、表皮細胞が増殖して盛り上がり、脂漏性角化症へと進行することがあります。

遺伝的要因

脂漏性角化症には遺伝的な要因も関与していると考えられています。家族に脂漏性角化症のある方は、発症するリスクが高くなる傾向があります。この場合、紫外線対策を行っていても、ある程度は避けられない部分があるかもしれません。

摩擦や物理的刺激

首周りにネックレスをつける習慣がある方や、衣服の襟が当たりやすい部位では、慢性的な摩擦刺激によって脂漏性角化症が生じやすくなることがあります。


3. シミとの違い・見分け方

脂漏性角化症は「盛り上がったシミ」と表現されることがありますが、一般的なシミ(老人性色素斑)とは異なる特徴を持っています。

老人性色素斑(シミ)の特徴

老人性色素斑は、皮膚の表面が平坦で、境界が比較的明瞭な褐色の色素沈着です。紫外線によって生成されたメラニンが表皮に蓄積することで生じます。触っても盛り上がりはなく、表面は滑らかです。

脂漏性角化症の特徴

一方、脂漏性角化症は皮膚がわずかでも盛り上がっており、表面がざらざらしていることが特徴です。色調は肌色から黒色まで様々で、まるで皮膚の表面に粘土を貼り付けたような外観を呈することもあります。

実際には、老人性色素斑と脂漏性角化症が混在していることも多く、最初は平坦なシミだったものが、時間の経過とともに盛り上がって脂漏性角化症になるケースも珍しくありません。

見分けるポイント

自分でできる簡易的なチェック方法としては、指で触ってみることが挙げられます。わずかでも盛り上がりがある場合や、表面にざらつきがある場合は、脂漏性角化症の可能性があります。ただし、自己判断には限界があり、特に悪性腫瘍との鑑別は専門的な診察が必要です。気になる病変がある場合は、皮膚科専門医の診察を受けることをお勧めします。


4. 脂漏性角化症の診断方法

脂漏性角化症の診断は、主に以下の方法で行われます。

視診による診断

多くの場合、脂漏性角化症は経験豊富な皮膚科医であれば、視診(見て診察すること)によって診断が可能です。表面のざらつき、盛り上がり、色調などの特徴的な所見から判断します。

ダーモスコピー検査

より正確な診断のために、ダーモスコピー検査が行われます。ダーモスコピーとは、特殊なライト付きの拡大鏡(ダーモスコープ)を用いて、皮膚の表面を10倍程度に拡大して観察する検査方法です。

脂漏性角化症をダーモスコピーで観察すると、以下のような特徴的な所見が確認できます。

  • 面皰様開口(めんぽうようかいこう):毛穴のような小さな開口部
  • 稗粒腫様嚢腫(ひりゅうしゅようのうしゅ):白色や黄色の小さな粒状構造
  • 溝と隆起(脳回転様外観):脳の表面のような波状のパターン
  • 指紋様構造:指紋に似た規則的なパターン
  • ヘアピン様血管:ヘアピンのような形状の細い血管

これらの所見が確認できれば、脂漏性角化症と診断することができます。ダーモスコピー検査は保険適用であり、痛みもなく短時間で行えるため、負担の少ない検査方法です。

病理組織検査

視診やダーモスコピーでも診断が難しい場合、または悪性腫瘍との鑑別が必要な場合には、病理組織検査(生検)が行われます。これは、病変の一部または全部を採取し、顕微鏡で細胞レベルの検査を行う方法です。この検査によって、確定診断を得ることができます。


5. 悪性腫瘍との鑑別の重要性

脂漏性角化症は良性腫瘍であり、それ自体が健康に害を及ぼすことはありません。しかし、見た目が似ている悪性腫瘍(皮膚がん)との鑑別は非常に重要です。

鑑別すべき悪性腫瘍

脂漏性角化症と見た目が似ることがある悪性腫瘍には、以下のものがあります。

日光角化症

日光角化症は、前がん病変として知られており、長期間の紫外線曝露によって生じます。脂漏性角化症と比較すると、周囲にわずかな赤みがあることが特徴ですが、肉眼での鑑別が難しい場合があります。日光角化症は放置すると有棘細胞がんに進行する可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。

基底細胞がん

基底細胞がんは、皮膚がんの中でも比較的頻度の高いものです。高齢者の顔面に多く見られ、黒色や褐色を呈することがあるため、脂漏性角化症と混同されることがあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は、皮膚がんの中でも予後が不良なものとして知られています。黒色の色素性病変として現れることが多く、脂漏性角化症との鑑別が重要です。悪性黒色腫は一般的に、左右非対称で輪郭が不明瞭、色ムラがあるなどの特徴がありますが、初期段階では脂漏性角化症と見分けがつきにくいこともあります。

受診の目安

以下のような変化がある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。

  • 急速に大きくなっている
  • 色が不均一で、濃淡がある
  • 形が左右非対称である
  • 境界が不明瞭でぼやけている
  • 出血やただれがある
  • 以前とは異なる見た目に変化した

これらの所見は悪性腫瘍を示唆する可能性があるため、専門医による診察が必要です。


6. 脂漏性角化症の除去・治療法

脂漏性角化症は良性腫瘍であるため、必ずしも治療が必要というわけではありません。しかし、見た目が気になる場合、衣服やアクセサリーに引っかかって不便を感じる場合、かゆみや炎症がある場合などには、除去治療を検討されることをお勧めします。大宮エリアでも、様々な治療法を提供するクリニックがあります。

液体窒素による凍結療法

治療の概要

液体窒素凍結療法は、-196℃という超低温の液体窒素を患部に直接当てて、脂漏性角化症の組織を凍結・破壊する方法です。ほとんどの皮膚科で行うことができる一般的な治療法です。

治療の流れ

液体窒素を綿棒やスプレーを用いて患部に数秒間当てます。麻酔は通常不要ですが、治療時にチクチクとした痛みや冷たさを感じることがあります。治療後、患部は赤くなったり、水疱ができたりすることがありますが、1~2週間程度でかさぶたとなり、自然に剥がれ落ちます。

治療回数と間隔

1回の治療で完全に除去できることもありますが、大きさや厚みによっては複数回の治療が必要になることがあります。通常、1~3週間の間隔をあけて治療を繰り返します。

メリットとデメリット

メリットとしては、保険適用であるため費用を抑えられること、麻酔が不要で手軽に受けられることが挙げられます。デメリットとしては、治療後に炎症後色素沈着(茶色いシミのような痕)が残りやすいこと、複数回の通院が必要になる場合があることがあります。特に顔面の治療では、色素沈着が目立つことがあるため、美容的な観点からは注意が必要です。

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)治療

治療の概要

炭酸ガスレーザーは、波長10,600nmの赤外線領域のレーザーを照射し、皮膚の水分に吸収させることで、瞬時に熱エネルギーに変換して組織を蒸散させる治療法です。脂漏性角化症の除去に非常に適した方法として広く用いられています。

治療の流れ

まず、局所麻酔の注射を行います。その後、レーザーを照射して脂漏性角化症を薄く削り取るように除去していきます。治療中の出血は少なく、周囲の正常な皮膚へのダメージも最小限に抑えられます。1個あたりの治療時間は数分程度です。

治療後は、軟膏を塗布し、保護テープを貼って創部を保護します。翌日から洗顔や入浴は可能ですが、患部をこすらないように注意が必要です。

治療回数と経過

基本的に1回の治療で除去できることが多いですが、大きさや深さによっては2~3回の治療が必要になることもあります。治療後は浅い擦り傷のような状態になり、約1~2週間で新しい皮膚が再生します。その後、赤みや色素沈着が2~6か月程度続くことがありますが、徐々に目立たなくなります。

メリットとデメリット

メリットとしては、1回の治療で除去できることが多いこと、液体窒素療法に比べて傷跡や色素沈着が残りにくいこと、正確に病変部のみを除去できることが挙げられます。また、頭髪内の脂漏性角化症の場合、毛根を温存して除去できるため、脱毛のリスクが低いという利点もあります。

デメリットとしては、多くの場合、自由診療(保険適用外)となるため費用がかかること、局所麻酔が必要なことがあります。

Qスイッチレーザー・ピコレーザー治療

治療の概要

Qスイッチレーザーやピコレーザーは、メラニン色素に選択的に反応するレーザーで、シミやあざの治療によく用いられます。平坦で色素沈着が主体の脂漏性角化症には効果がありますが、盛り上がりが強いものには不向きな場合があります。

治療の特徴

皮膚を削らずにメラニン色素のみを破壊するため、正常な皮膚へのダメージが少なく、傷跡が残りにくいという特徴があります。ただし、脂漏性角化症の基底細胞が残ることがあり、数か月から数年後に再発する可能性があります。

適応

厚みのない、比較的平坦な脂漏性角化症に適しています。盛り上がりのある脂漏性角化症の場合は、炭酸ガスレーザーで盛り上がり部分を蒸散させた後に、Qスイッチレーザーで基底部の色素を除去するという組み合わせ治療が行われることもあります。

外科的切除(手術)

治療の概要

メスを用いて脂漏性角化症を直接切除する方法です。局所麻酔を行い、病変を含めて周囲の正常組織とともに切除し、縫合します。

適応

外科的切除は、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合に特に選択されます。切除した組織を病理検査に提出することで、確定診断を得ることができるためです。また、他の治療法では対応が難しい大きな脂漏性角化症や、複数回の治療を避けたい場合にも適応となります。

メリットとデメリット

メリットとしては、再発のリスクが極めて低いこと、病理検査で確定診断が得られることが挙げられます。デメリットとしては、縫合が必要となるため傷跡が残る可能性があること、抜糸のための通院が必要なことがあります。

電気焼灼法(電気メス)

治療の概要

電気メスや高周波治療器を用いて、脂漏性角化症の組織を焼灼・除去する方法です。局所麻酔を行った後、電気の熱を利用して病変を削り取ったり、焼き切ったりします。

治療の特徴

炭酸ガスレーザーと同様に、盛り上がった脂漏性角化症を効果的に除去できます。治療効果は医師の技量に左右される面があり、浅く削ると再発、深く削ると瘢痕(傷跡)が残るリスクがあります。


7. 治療費用と保険適用について

脂漏性角化症の治療費用は、治療法によって保険適用の有無が異なります。大宮のクリニックで治療を受ける際の参考にしてください。

保険適用となる治療

以下の治療法は、保険適用で受けることができます。

液体窒素凍結療法

液体窒素による治療は保険適用です。3割負担の場合、1回あたりの処置料は、3か所以下で約630円、4か所以上で約810円程度です(診察料は別途)。複数回の治療が必要になる場合は、7日以上の間隔をあける必要があります。

外科的切除

外科的切除(手術)も保険適用で受けることができます。費用は病変の大きさや部位によって異なりますが、3割負担で数千円から1万円程度が目安となります。病理検査を行う場合は、その費用も加算されます。

一部の炭酸ガスレーザー治療

平成30年度の診療報酬改定により、脂漏性角化症に対する「いぼ焼灼法」として、一部の炭酸ガスレーザー治療が保険適用となる場合があります。ただし、1回の治療で10個までなど、条件が設定されています。

自由診療となる治療

以下の治療法は、通常、自由診療(保険適用外)となります。

美容目的のレーザー治療

美容目的での炭酸ガスレーザー治療や、広範囲の脂漏性角化症のレーザー治療は自由診療となります。費用はクリニックによって異なりますが、1か所あたり3,000円~10,000円程度が相場です。大きさによって料金が変わることが多く、直径3mm以下、5mm以下、10mm以下などの区分で設定されています。

Qスイッチレーザー・ピコレーザー

これらのレーザー治療も多くの場合、自由診療となります。費用は1か所あたり数千円から1万円程度です。

治療法選択のポイント

費用を抑えたい場合は、保険適用の液体窒素療法が選択肢となります。一方、できるだけきれいに治したい場合、顔など目立つ部位の治療の場合、複数回の通院が難しい場合などは、炭酸ガスレーザーなどの自由診療を選択することも検討に値します。

治療法の選択は、病変の状態、ご本人の希望、費用面などを総合的に考慮して、医師と相談の上で決定することをお勧めします。


8. 治療後のケアと注意点

脂漏性角化症の除去治療後は、適切なアフターケアを行うことで、より良い治療結果を得ることができます。

創部の保護と管理

治療後の患部は、浅い傷や軽いやけどのような状態になっています。医師の指示に従って、軟膏の塗布や保護テープの貼付を行いましょう。

軟膏療法

治療後1~2週間は、抗生剤軟膏や創傷治癒を促進する軟膏を塗布し、創部が乾燥しないように保湿することが重要です。傷を乾燥させると治りが遅くなり、傷跡が残りやすくなる可能性があります。

かさぶたの扱い

治療後にできたかさぶたは、無理に剥がさないでください。自然に剥がれ落ちるのを待つことで、きれいに治りやすくなります。

紫外線対策の重要性

治療後の皮膚は非常にデリケートな状態であり、紫外線の影響を受けやすくなっています。適切な紫外線対策を行わないと、炎症後色素沈着(茶色いシミのような痕)が残りやすくなります。

具体的な対策

  • 日焼け止めを毎日塗布する(SPF30以上を推奨)
  • 外出時は帽子や日傘を使用する
  • 紫外線の強い時間帯(10時~14時頃)の外出を控える
  • 治療部位を直射日光にさらさないようにする

紫外線対策は、治療後少なくとも3~6か月間は特に意識して行うことが大切です。

炎症後色素沈着への対応

治療後1か月頃をピークに、一過性の色素沈着が生じることがあります。これは炎症後色素沈着と呼ばれ、時間の経過とともに薄くなっていくことがほとんどです。

色素沈着の改善を促進するために、以下のような外用薬や内服薬が処方されることがあります。

  • ハイドロキノン(美白外用薬)
  • トレチノイン(ビタミンA誘導体)
  • ビタミンC内服
  • トラネキサム酸内服

ただし、過度に美白剤を使用すると、かえって色素沈着が長引くこともあるため、医師の指示に従って使用することが大切です。

再発の可能性と対応

脂漏性角化症は、完全に除去すれば基本的に再発することはありません。しかし、治療で基底部の細胞が残ってしまった場合は、数か月から数年後に再発する可能性があります。

また、同じ場所に再発しなくても、紫外線や加齢の影響で、別の部位に新たな脂漏性角化症ができることはあります。再発や新規発生を予防するためにも、継続的な紫外線対策が重要です。


9. 脂漏性角化症の予防法

脂漏性角化症は加齢現象の一つでもあるため、完全に予防することは難しい面があります。しかし、適切な対策を行うことで、発症リスクを軽減することは可能です。

紫外線対策の徹底

脂漏性角化症の最大の原因は紫外線であるため、紫外線対策が予防の基本となります。研究によると、SPF30以上の日焼け止めを定期的に使用することで、発症リスクを約40~50%低減できるという報告もあります。

日焼け止めの選び方と使い方

  • SPF値:日常生活ではSPF30程度、屋外での活動時はSPF50を選びましょう
  • PA値:PA+++以上を推奨します
  • 塗り直し:2~3時間ごとに塗り直すことで効果を維持できます
  • 使用時期:紫外線は年間を通して降り注いでいるため、夏だけでなく通年で使用することが大切です
  • 室内でも:窓から入る紫外線も影響するため、室内にいるときも低刺激タイプの日焼け止めを使用することが推奨されます

物理的な遮光

日焼け止めに加えて、以下のような物理的な遮光も効果的です。

  • つばの広い帽子の着用
  • UVカット機能のあるサングラス
  • 日傘の使用
  • 長袖の衣服やUVカット素材の衣服の着用
  • 紫外線が強い時間帯(10時~14時頃)の外出を控える

皮膚のバリア機能の維持

皮膚のバリア機能が正常に保たれていると、紫外線の影響を受けにくくなります。

保湿ケア

乾燥は皮膚のバリア機能を低下させます。日常的に保湿剤を使用して、皮膚の潤いを保つことが大切です。

生活習慣の改善

  • 十分な睡眠をとる
  • バランスの良い食事を心がける
  • 適度な運動を行う
  • ストレスを溜めすぎない

これらの生活習慣の改善は、皮膚の健康維持に役立ちます。

抗酸化作用のある栄養素の摂取

ビタミンCやビタミンEには抗酸化作用があり、紫外線による皮膚へのダメージを軽減する効果が期待できます。

ビタミンCを多く含む食品

  • 柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツなど)
  • キウイフルーツ
  • いちご
  • ブロッコリー
  • パプリカ

ビタミンEを多く含む食品

  • アーモンドなどのナッツ類
  • アボカド
  • かぼちゃ
  • ほうれん草
  • 植物油

定期的な皮膚のセルフチェック

日常的に自分の皮膚を観察する習慣をつけることで、脂漏性角化症や他の皮膚の変化を早期に発見することができます。鏡を使って顔や首、背中などもチェックし、新しいできものや変化に気づいたら、早めに皮膚科を受診しましょう。


10. 注意すべき症状とレーザー・トレラ徴候

脂漏性角化症は基本的に良性腫瘍ですが、まれに注意が必要な症状があります。

レーザー・トレラ徴候(Leser-Trélat徴候)

レーザー・トレラ徴候とは、脂漏性角化症が短期間(数か月以内)に全身に急速に多数出現し、かゆみを伴う状態を指します。この徴候が見られる場合、内臓に悪性腫瘍(がん)が存在している可能性があります。

報告されている関連がんには、胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、リンパ腫などがあります。このような症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診し、内臓の精密検査を受けることが推奨されます。

受診すべき症状

以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。

  • 短期間で急速に増えている
  • 強いかゆみがある
  • 出血や潰瘍ができている
  • 色が急に濃くなった、または色ムラがある
  • 形がいびつで境界が不明瞭
  • 急速に大きくなっている
  • 以前とは違う外観に変化した

これらの症状は、悪性腫瘍や内臓がんの存在を示唆している可能性があるため、専門医による診察が必要です。


11. 大宮で脂漏性角化症治療を受ける際のポイント

大宮エリアで脂漏性角化症の除去治療を受ける際には、以下のポイントを参考にしてクリニックを選ぶと良いでしょう。

クリニック選びのポイント

専門医の在籍

脂漏性角化症の診断には、悪性腫瘍との鑑別が重要です。日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医が在籍しているクリニックを選ぶことで、正確な診断を受けることができます。

複数の治療法の提供

液体窒素療法、レーザー治療、外科的切除など、複数の治療法を提供しているクリニックでは、患者さんの状態や希望に応じた最適な治療法を選択することができます。

ダーモスコピー検査の実施

ダーモスコピー検査を行っているクリニックでは、より正確な診断が期待できます。悪性腫瘍の見落としを防ぐためにも、ダーモスコピー検査を実施しているクリニックを選ぶことをお勧めします。

治療実績と経験

脂漏性角化症のレーザー治療や外科的切除は、医師の技量によって仕上がりが左右されることがあります。治療実績の豊富なクリニックを選ぶことで、より良い結果が期待できます。

アフターケア体制

治療後のフォローアップ体制が整っているクリニックでは、万が一のトラブルにも迅速に対応してもらえます。治療後の経過観察や、再発時の対応についても確認しておくと安心です。

初診時の確認事項

初めて受診する際には、以下の点を確認しておくと良いでしょう。

  • 診断方法(視診、ダーモスコピーなど)
  • 推奨される治療法とその理由
  • 治療費用(保険適用か自由診療か)
  • 治療回数の目安
  • 治療後のダウンタイム(日常生活への影響)
  • 予想される副作用やリスク
  • アフターケアの方法

不安な点や疑問点があれば、遠慮なく医師に質問することが大切です。


12. よくある質問

Q. 脂漏性角化症は自分で取ることができますか?

A. 脂漏性角化症を自分で取ろうとすることはお勧めできません。市販のイボコロリなどのイボ治療薬は、ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)を対象としたものであり、脂漏性角化症には効果がありません。また、自己処理によって傷ができたり、感染を起こしたり、傷跡が残ったりするリスクがあります。さらに、自己判断では悪性腫瘍を見落とす可能性もあるため、必ず医療機関で診察を受けてから治療を行ってください。

Q. 脂漏性角化症の塗り薬はありますか?

A. 残念ながら、脂漏性角化症を除去するための塗り薬は現在のところありません。ヨクイニン(ハトムギエキス)などの漢方薬はウイルス性のイボには効果があることがありますが、脂漏性角化症には効果がないとされています。脂漏性角化症を除去するためには、液体窒素療法やレーザー治療、外科的切除などの物理的な治療が必要です。

Q. 脂漏性角化症は放置しても大丈夫ですか?

A. 脂漏性角化症は良性腫瘍であり、放置しても悪性化(がん化)することはありません。そのため、見た目が気にならず、日常生活に支障がなければ、必ずしも治療する必要はありません。ただし、時間とともに少しずつ大きくなったり、数が増えたりすることがあります。また、まれに悪性腫瘍と見分けがつきにくいものもあるため、気になる場合は一度皮膚科で診察を受けることをお勧めします。

Q. 治療後に再発することはありますか?

A. 治療で脂漏性角化症を完全に除去できれば、同じ場所に再発することは基本的にありません。ただし、治療で基底部の細胞が残ってしまった場合は、数か月から数年後に再発する可能性があります。また、治療した場所とは別の部位に、新たな脂漏性角化症ができることはあります。これは再発ではなく新規発生ですが、紫外線対策を継続することで、ある程度予防することができます。

Q. 治療は痛いですか?

A. 治療法によって痛みの程度は異なります。液体窒素療法では、冷たさとチクチクとした痛みを感じることがありますが、麻酔なしで行えるレベルです。炭酸ガスレーザー治療や外科的切除では、局所麻酔を行うため、治療中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みがある程度です。治療後は、軽いヒリヒリ感や痛みを感じることがありますが、通常は数日で軽減します。

Q. 治療後、いつから化粧ができますか?

A. 治療法や治療部位によって異なりますが、一般的に、患部が完全に上皮化(新しい皮膚ができること)するまでは、患部への化粧は控えることをお勧めします。液体窒素療法の場合は、かさぶたが剥がれ落ちた後から化粧が可能です。炭酸ガスレーザー治療の場合は、通常1~2週間程度で上皮化しますので、その後から化粧が可能になります。ただし、赤みが残っている間は、刺激の少ない化粧品を選ぶようにしてください。


13. 参考文献

本記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にしました。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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