シミは多くの方が抱える肌の悩みの一つです。鏡を見るたびに気になるシミ、メイクで隠しきれないシミ、年々濃くなっていくシミなど、その悩みは人それぞれです。大宮エリアには多くの皮膚科クリニックがあり、シミ取り治療の選択肢も豊富にあります。しかし、どの治療法が自分に合っているのか、どのクリニックを選べばよいのか迷われる方も多いでしょう。
この記事では、皮膚科におけるシミ取り治療について、シミの種類から最新の治療法、クリニック選びのポイントまで、専門医の視点から詳しく解説します。大宮でシミ取り治療をお考えの方にとって、適切な治療選択の一助となれば幸いです。
シミとは何か|医学的な定義と発生メカニズム
シミは医学的には「色素斑」と呼ばれ、皮膚の一部にメラニン色素が過剰に蓄積した状態を指します。メラニン色素は本来、紫外線から皮膚を守るために必要な物質ですが、さまざまな要因によって過剰に生成されたり、排出がうまくいかなくなったりすることで、目に見えるシミとして現れます。
メラニン生成のメカニズム
皮膚の表皮には「メラノサイト」と呼ばれる色素細胞が存在します。紫外線を浴びると、このメラノサイトが活性化し、メラニン色素を生成します。通常、生成されたメラニンは肌のターンオーバー(新陳代謝)によって角質とともに排出されますが、加齢や紫外線の過度な曝露、ホルモンバランスの変化などによって、このサイクルが乱れることがあります。
ターンオーバーの周期は20代では約28日ですが、加齢とともに遅くなり、40代では約45日、50代では約55日かかるとされています。このターンオーバーの遅れが、シミができやすくなる一因となっています。
シミの種類と特徴|正確な診断が治療の第一歩
シミと一口に言っても、実はいくつかの種類があり、それぞれ原因や適した治療法が異なります。適切な治療を受けるためには、まず自分のシミがどのタイプなのかを正確に診断することが重要です。
老人性色素斑(日光黒子)
最も一般的なシミで、30代以降に多く見られます。紫外線の長年の蓄積によって生じるもので、顔や手の甲、腕など、日光に当たりやすい部位に発生します。境界がはっきりとした茶色から黒褐色の斑点で、数ミリから数センチの大きさまでさまざまです。
このタイプのシミは、紫外線によるダメージが主な原因であるため、日本皮膚科学会でも紫外線対策の重要性が強調されています。日本皮膚科学会では、シミの予防と治療に関する情報を提供しています。
肝斑
30代から50代の女性に多く見られ、頬骨の周辺に左右対称にできる薄茶色のシミです。女性ホルモンのバランスの乱れが主な原因とされ、妊娠や経口避妊薬の使用、更年期などをきっかけに発症することが多いです。境界が不明瞭で、もやっと広がるような形状が特徴です。
肝斑は摩擦によって悪化することが知られており、洗顔時やメイク時の強い摩擦は避けるべきとされています。厚生労働省の「eヘルスネット」でも、肌のケア方法について情報が提供されています。
そばかす(雀卵斑)
遺伝的な要素が強く、幼少期から発症することが多いタイプのシミです。鼻を中心に頬にかけて、小さな茶色の斑点が散らばるように現れます。色白の方に多く見られ、紫外線によって濃くなる傾向があります。
炎症後色素沈着
ニキビ跡、虫刺され、かぶれ、やけどなどの炎症が治った後に残る茶色のシミです。炎症によってメラニン色素が過剰に生成され、皮膚に沈着したものです。時間とともに薄くなることもありますが、適切な治療を行うことで改善を早めることができます。
脂漏性角化症
加齢とともに増える良性の腫瘍で、厳密にはシミとは異なりますが、見た目がシミに似ているため混同されることがあります。皮膚の表面がわずかに盛り上がっているのが特徴で、触るとザラザラした感触があります。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
20代から30代に発症することが多く、頬骨や額、小鼻の脇などに現れる灰色がかった青褐色のシミです。真皮層にメラニン色素が沈着しているため、通常のシミよりも深い位置にあります。
皮膚科で行うシミ取り治療の種類
シミの治療法は、シミの種類、大きさ、深さ、患者様の肌質などによって適切な方法が異なります。ここでは、皮膚科で行われる主なシミ取り治療について詳しく解説します。
レーザー治療
レーザー治療は、特定の波長の光を照射することで、メラニン色素を選択的に破壊する治療法です。現在、さまざまなタイプのレーザーが開発されており、シミの種類や状態に応じて使い分けられています。
Qスイッチレーザー
従来から使用されている代表的なシミ取りレーザーです。ナノ秒(10億分の1秒)単位の非常に短い時間でレーザーを照射することで、メラニン色素を選択的に破壊します。老人性色素斑やそばかす、ADMなどの治療に効果的です。
照射時は輪ゴムで弾かれたような痛みを伴いますが、多くの場合は麻酔なしで施術が可能です。治療後は一時的に色が濃くなる「炎症後色素沈着」が起こることがありますが、通常は数か月で改善します。
ピコレーザー
Qスイッチレーザーよりもさらに短いピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射する、最新のレーザー機器です。従来のレーザーよりも周囲の組織へのダメージが少なく、痛みや炎症後色素沈着のリスクが低減されています。
ピコレーザーは、シミだけでなく、くすみの改善や肌質の向上にも効果があるとされています。また、従来のレーザーでは難しかった薄いシミや肝斑にも対応できる場合があります。
日本レーザー医学会でも、レーザー治療の安全性と有効性について研究が進められています。
光治療(IPL・フォトフェイシャル)
光治療は、複数の波長を含む光を広範囲に照射する治療法です。レーザーよりもマイルドな治療で、シミだけでなく、赤み、毛穴、小じわなどの複合的な肌トラブルに同時にアプローチできます。
IPL(Intense Pulsed Light)治療は、メラニン色素に反応する特性を利用してシミを薄くします。肝斑を除く多くのタイプのシミに効果があり、特に広範囲に散在する薄いシミに適しています。
治療は通常3〜5回程度繰り返すことで効果を実感できます。ダウンタイムが少なく、施術直後からメイクが可能なため、日常生活への影響が少ないのが特徴です。
外用薬による治療
ハイドロキノン
「肌の漂白剤」とも呼ばれる美白成分で、メラニン色素の生成を抑制する効果があります。シミの予防と改善の両方に効果があり、レーザー治療後の色素沈着予防にも使用されます。
医療機関で処方されるハイドロキノンは、市販品よりも高濃度(通常4〜5%)のものが使用されます。ただし、長期間の使用や高濃度のものは白斑のリスクがあるため、医師の指導のもとで使用することが重要です。
トレチノイン
ビタミンA誘導体の一種で、肌のターンオーバーを促進する作用があります。メラニン色素を含む古い角質を排出することで、シミを薄くします。ハイドロキノンと併用することで、より高い効果が期待できます。
使用開始後は皮膚の赤みや皮むけが生じることがありますが、これは正常な反応です。妊娠中や妊娠の可能性がある方は使用できません。
その他の外用薬
コウジ酸、アルブチン、ビタミンC誘導体などの美白成分を配合した医療機関専売の化粧品も、シミの予防と改善に使用されます。これらは比較的マイルドな作用で、日常的なスキンケアとして取り入れやすい選択肢です。
内服薬による治療
トラネキサム酸
抗プラスミン作用を持つ薬剤で、メラニン色素の生成を抑制します。特に肝斑の治療に高い効果があることが知られており、多くの皮膚科で処方されています。通常、2〜3か月の服用で効果が現れ始めます。
厚生労働省に認可されている医薬品で、適切な用量であれば安全性が高いとされています。ただし、血栓症のリスクがある方は使用できない場合があります。
ビタミンC
抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を抑制するとともに、できてしまったメラニンを還元する作用があります。シミだけでなく、肌の健康維持全般に有効です。
ビタミンE
抗酸化作用と血行促進作用があり、肌のターンオーバーを正常化します。ビタミンCと併用することで相乗効果が期待できます。
L-システイン
メラニン色素の生成を抑制し、肌のターンオーバーを促進する作用があります。シミだけでなく、全身の色素沈着にも効果があります。
ケミカルピーリング
酸性の薬剤を使用して古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進する治療法です。グリコール酸、サリチル酸、乳酸などが使用され、シミの種類や肌の状態に応じて濃度や種類を選択します。
薄いシミやくすみに効果があり、複数回の治療を重ねることで効果を実感できます。また、ニキビや毛穴の改善、肌質の向上にも効果があります。
イオン導入・エレクトロポレーション
ビタミンCやトラネキサム酸などの美白成分を、電気の力を利用して肌の深部まで浸透させる治療法です。塗布するだけの場合と比べて、数十倍の浸透効果があるとされています。
他の治療との併用で、より高い効果が期待できます。痛みやダウンタイムがほとんどなく、定期的に受けることで効果を維持できます。
大宮でシミ取り治療を受ける際のクリニック選びのポイント
大宮駅周辺には多くの皮膚科や美容皮膚科があり、シミ取り治療を行っている医療機関は豊富にあります。しかし、クリニックによって導入している機器や治療方針、料金体系などが異なるため、自分に合ったクリニックを選ぶことが重要です。
皮膚科専門医の在籍
シミの正確な診断と適切な治療を受けるためには、皮膚科専門医が在籍しているクリニックを選ぶことをおすすめします。日本皮膚科学会が認定する皮膚科専門医は、5年以上の研修と厳しい試験を経て認定される資格で、皮膚疾患全般に関する専門的な知識と技術を持っています。
シミの中には、皮膚がんなどの悪性疾患が隠れている場合もあります。専門医であれば、そのような鑑別診断も的確に行うことができます。
導入している機器と治療法の選択肢
シミの種類によって適した治療法が異なるため、複数の治療オプションを提供しているクリニックが理想的です。レーザーだけでなく、光治療、外用薬、内服薬など、さまざまな治療法を組み合わせることで、より効果的な治療が可能になります。
最新のピコレーザーなど、複数の機器を導入しているクリニックであれば、患者様の状態に応じて最適な機器を選択できます。
カウンセリングの丁寧さ
初診時のカウンセリングで、医師が十分な時間をかけて診察し、シミの種類や状態を説明してくれるかどうかは重要なポイントです。また、治療のメリットだけでなく、リスクや副作用についても正直に説明してくれるクリニックを選びましょう。
治療計画や料金についても、事前に明確に説明してくれることが大切です。不明な点があれば、遠慮せずに質問し、納得してから治療を開始しましょう。
アフターフォロー体制
レーザー治療後の炎症後色素沈着など、予期しないトラブルが起こることもあります。そのような場合に、迅速に対応してくれる体制が整っているかどうかは重要です。
治療後の経過観察や、必要に応じた追加の処置を適切に行ってくれるクリニックであれば、安心して治療を受けることができます。
アクセスの良さ
シミ治療は一度で完了するものではなく、複数回の通院が必要な場合が多いです。そのため、通いやすい立地にあるクリニックを選ぶことも大切です。
大宮駅は埼玉県内でも最大のターミナル駅で、多くの路線が乗り入れています。駅から徒歩圏内のクリニックであれば、仕事帰りや休日に通院しやすく、継続的な治療を受けやすくなります。
料金体系の透明性
シミ取り治療の多くは自費診療となるため、クリニックによって料金が大きく異なります。ホームページなどで料金を明示しているクリニックや、初診時に詳しい見積もりを提示してくれるクリニックを選びましょう。
安すぎる料金を提示しているクリニックは、後から追加料金が発生したり、十分な効果が得られない場合もあるため注意が必要です。適正な価格で質の高い治療を提供しているクリニックを選びましょう。
シミ取り治療の流れ|初診から治療完了まで
実際にシミ取り治療を受ける場合、どのような流れで進むのでしょうか。一般的な治療の流れを説明します。
初診・カウンセリング
まず、クリニックに予約を入れて初診を受けます。初診では、医師がシミの状態を詳しく診察し、種類や原因を特定します。必要に応じて、拡大鏡や肌診断機器を使用して、より詳細な分析を行う場合もあります。
診察の結果を踏まえて、適切な治療法を提案します。このとき、治療のメリット、デメリット、予想される効果、必要な回数、料金などについて詳しく説明を受けます。
不安な点や疑問があれば、遠慮せずに質問しましょう。複数の治療法がある場合は、それぞれの特徴を比較して、自分に合った方法を選択できます。
治療前の準備
レーザー治療を受ける場合、治療前には日焼けを避けることが重要です。日焼けした肌にレーザーを照射すると、やけどのリスクが高まったり、効果が十分に得られなかったりする可能性があります。
また、治療の1〜2週間前から、レチノールなどの刺激の強い化粧品の使用を控えるよう指示される場合もあります。
治療当日
治療当日は、メイクを落とした状態で施術を受けます。クリニックによっては、メイク落としや洗顔の設備が用意されています。
レーザー治療の場合、まず照射する部位をマーキングします。痛みに敏感な方は、希望に応じて麻酔クリームを使用することもできます。
照射時間は、シミの大きさや数によりますが、通常10〜30分程度です。照射後は、冷却や軟膏の塗布など、適切なアフターケアが行われます。
アフターケアと注意事項
治療後は、医師の指示に従って適切なアフターケアを行うことが重要です。レーザー治療後の一般的な注意事項は以下の通りです。
照射部位は、約1週間で薄いかさぶたができます。このかさぶたは自然に剥がれるのを待ち、無理に剥がさないようにしましょう。かさぶたを無理に剥がすと、色素沈着が残る原因になります。
処方された軟膏や内服薬は、指示通りに使用します。また、紫外線対策は特に重要で、日焼け止めをこまめに塗り、帽子や日傘を使用して肌を守りましょう。
洗顔やスキンケアは通常通り行えますが、照射部位を強く擦らないように注意が必要です。メイクは、クリニックの指示に従って、通常は翌日から可能です。
経過観察と追加治療
レーザー治療後は、通常1〜2週間後に経過を診察します。かさぶたが取れた後、一時的に炎症後色素沈着が起こることがありますが、多くの場合は数か月で自然に改善します。
シミの種類や深さによっては、1回の治療で完全に消えない場合もあります。その場合は、3か月程度の間隔をあけて、追加の治療を行うことがあります。
光治療の場合は、3〜4週間の間隔で複数回の治療を行うのが一般的です。治療回数を重ねるごとに、シミが徐々に薄くなっていきます。
シミの種類別|最適な治療法の選び方
シミの種類によって、最も効果的な治療法は異なります。ここでは、主なシミのタイプごとに、推奨される治療法を解説します。
老人性色素斑の治療
老人性色素斑は、レーザー治療が最も効果的です。特にQスイッチレーザーやピコレーザーは、境界がはっきりしたこのタイプのシミに高い効果を発揮します。
小さなシミであれば、1回の治療で消失することも多いですが、大きなシミや濃いシミの場合は、複数回の治療が必要になることもあります。
光治療(IPL)も有効ですが、レーザーと比較すると効果が出るまでに時間がかかります。ただし、顔全体に散在する複数のシミを同時に治療したい場合は、光治療の方が適している場合もあります。
外用薬では、ハイドロキノンとトレチノインの併用療法が効果的です。ただし、レーザーと比較すると効果が出るまでに数か月かかり、完全に消すことは難しい場合もあります。
肝斑の治療
肝斑は、他のシミと異なり、レーザー治療で悪化する可能性があるため、慎重な治療が必要です。
第一選択は、トラネキサム酸の内服と外用薬(ハイドロキノン、トレチノイン)の併用です。2〜3か月の治療で改善が見られることが多いですが、完全に消すには6か月以上かかる場合もあります。
レーザー治療を行う場合は、肝斑に対応したピコレーザーの低出力照射(レーザートーニング)が選択されます。ただし、この治療は回数を重ねる必要があり、通常は週1回のペースで10回以上行います。
日本皮膚科学会の「色素異常症診療ガイドライン」でも、肝斑の治療については慎重な対応が推奨されています。
そばかす(雀卵斑)の治療
そばかすは、レーザー治療が最も効果的です。ピコレーザーやQスイッチレーザーで、複数の斑点を一度に治療できます。
ただし、遺伝的な要素が強いため、治療後も紫外線を浴びると再発する可能性があります。治療後の紫外線対策と、定期的なメンテナンス治療が重要です。
光治療(IPL)も有効で、顔全体に散在するそばかすを一度に薄くすることができます。レーザーよりもマイルドな治療で、ダウンタイムが少ないのが利点です。
炎症後色素沈着の治療
炎症後色素沈着は、時間とともに自然に薄くなることも多いですが、治療によって改善を早めることができます。
まずは、ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの美白成分を含む外用薬や内服薬を使用します。また、ケミカルピーリングやイオン導入も効果的です。
レーザー治療を行う場合は、炎症を悪化させないよう、低出力での照射や、複数回に分けた治療が推奨されます。
ADMの治療
ADMは真皮層にメラニン色素が沈着しているため、Qスイッチレーザーやピコレーザーなど、深部まで届くレーザー治療が必要です。
通常、3〜5回程度の治療が必要で、3か月以上の間隔をあけて行います。治療後の炎症後色素沈着が起こりやすいため、適切なアフターケアが重要です。
外用薬や光治療では、十分な効果が得られないため、レーザー治療が第一選択となります。
脂漏性角化症の治療
脂漏性角化症は、皮膚の表面が盛り上がった良性腫瘍であるため、通常のシミ取りレーザーでは効果が限定的です。
炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーなどの蒸散レーザーで、盛り上がった部分を削り取る治療が行われます。また、液体窒素による凍結療法も選択肢の一つです。
大きなものや深いものの場合は、外科的切除が必要になることもあります。
シミ取り治療のリスクと副作用
シミ取り治療は一般的に安全な治療ですが、いくつかのリスクや副作用があります。治療を受ける前に、これらについて十分に理解しておくことが重要です。
炎症後色素沈着
レーザー治療後、一時的にシミが濃くなったり、新たな色素沈着が生じたりすることがあります。これは「炎症後色素沈着」と呼ばれ、レーザーによる炎症反応の結果として起こります。
特に、肌の色が濃い方や、日焼けしやすい体質の方に起こりやすい傾向があります。多くの場合、数か月で自然に改善しますが、適切なアフターケアを行うことが重要です。
予防のためには、治療後の紫外線対策を徹底することと、医師の指示に従って美白剤を使用することが効果的です。
白抜け(色素脱失)
レーザーの出力が強すぎたり、照射回数が多すぎたりすると、メラニン色素が過剰に破壊され、治療部位が周囲より白く抜けてしまうことがあります。
この状態は元に戻すことが難しいため、適切な出力設定と、必要最小限の治療回数を守ることが重要です。経験豊富な医師による治療を受けることで、このリスクを最小限に抑えることができます。
やけど
レーザーや光治療の設定が適切でない場合、皮膚にやけどを起こす可能性があります。特に、日焼けした肌や色素の濃い肌に治療を行う場合は、リスクが高まります。
治療前には必ず医師の診察を受け、肌の状態が治療に適しているかを確認してもらいましょう。
肝斑の悪化
肝斑に対して適切でないレーザー治療を行うと、かえって濃くなってしまう可能性があります。肝斑の有無を正確に診断し、適切な治療法を選択することが重要です。
アレルギー反応
外用薬による治療では、薬剤に対するアレルギー反応が起こる可能性があります。特にハイドロキノンは、人によってはかぶれを起こすことがあります。
初めて使用する際は、まず小範囲でテストを行い、問題がないことを確認してから広範囲に使用するようにしましょう。
内服薬の副作用
トラネキサム酸の内服では、まれに血栓症のリスクがあります。血栓症の既往がある方や、長時間の安静が必要な方、避妊薬を服用している方などは、使用できない場合があります。
ビタミンCの大量摂取は、人によっては胃腸の不快感や下痢を起こすことがあります。
効果が得られない場合
シミの種類や深さ、個人差によっては、期待した効果が得られない場合もあります。特に、非常に濃いシミや深い位置にあるシミ、長年放置されたシミなどは、完全に消すことが難しい場合があります。
治療前のカウンセリングで、現実的な期待値を医師と共有しておくことが大切です。
シミを予防するための日常的なスキンケア
シミ取り治療を受けた後も、また治療を受ける前からも、日常的なスキンケアでシミを予防することが重要です。
紫外線対策の徹底
シミの最大の原因は紫外線です。1年を通じて、日焼け止めを使用することが最も重要な予防策です。
日焼け止めは、SPF30以上、PA+++以上のものを選び、2〜3時間おきに塗り直すことが理想的です。曇りの日や室内でも、窓から紫外線は入ってくるため、日常的に使用しましょう。
日焼け止めだけでなく、帽子、日傘、サングラス、UVカット機能のある衣類なども併用すると、より効果的です。
環境省の「紫外線環境保健マニュアル」では、紫外線対策の重要性と具体的な方法が詳しく解説されています。
正しい洗顔とスキンケア
強い摩擦は肌に刺激を与え、メラニン色素の生成を促進します。洗顔時は、しっかりと泡立てた洗顔料で優しく洗い、タオルで拭く際も押さえるように水分を取ることが大切です。
また、化粧水や美容液をつける際も、強く叩き込んだり擦ったりせず、優しく押し込むようにしましょう。
美白化粧品の活用
ビタミンC誘導体、トラネキサム酸、アルブチン、コウジ酸などの美白成分を含む化粧品を日常的に使用することで、メラニン色素の生成を抑制できます。
ただし、美白化粧品は即効性があるものではなく、継続的な使用が重要です。また、シミを完全に消す効果は期待できないため、予防的な使用と考えましょう。
保湿の重要性
肌が乾燥すると、バリア機能が低下し、紫外線などの外部刺激を受けやすくなります。また、ターンオーバーも乱れやすくなり、シミができやすい状態になります。
十分な保湿を行い、肌のバリア機能を維持することが、シミの予防につながります。
生活習慣の改善
睡眠不足やストレス、偏った食事は、肌のターンオーバーを乱し、シミができやすい状態を作ります。
十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がけましょう。特に、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテンなどの抗酸化成分を含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。
また、喫煙は肌の老化を促進し、シミができやすくなる要因の一つです。禁煙は、肌の健康だけでなく、全身の健康のためにも重要です。
シミ取り治療の費用について
シミ取り治療の多くは美容目的の治療とみなされ、保険適用外(自費診療)となります。ただし、一部の治療は保険適用となる場合もあります。
保険適用となる場合
太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青などの疾患に対するレーザー治療は、保険適用となります。また、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)も、条件を満たせば保険適用でレーザー治療を受けられる場合があります。
脂漏性角化症の治療(液体窒素療法や切除術)も、保険適用となることが多いです。
保険適用となるかどうかは、シミの種類や医師の診断によって決まるため、初診時に確認することが重要です。
自費診療の料金相場
自費診療の場合、クリニックによって料金設定が大きく異なります。大宮エリアでの一般的な料金相場は以下の通りです(目安)。
レーザー治療(Qスイッチレーザー、ピコレーザー)は、シミ1個あたり5,000円から30,000円程度で、シミの大きさによって料金が変わります。また、顔全体の照射の場合は、50,000円から150,000円程度が相場です。
光治療(IPL)は、1回あたり15,000円から40,000円程度で、通常3〜5回のコースで行われます。
外用薬(ハイドロキノン、トレチノイン)は、1か月分で5,000円から15,000円程度です。
内服薬(トラネキサム酸、ビタミン類)は、1か月分で3,000円から10,000円程度です。
ケミカルピーリングは、1回あたり8,000円から20,000円程度です。
これらの料金はあくまで目安であり、クリニックによって異なります。また、初診料、再診料、薬剤代、アフターケア用品代などが別途必要になる場合もあります。
治療費用を抑えるポイント
シミ取り治療は高額になることもありますが、以下のような方法で費用を抑えることができます。
キャンペーンや初回限定価格を利用する方法があります。多くのクリニックでは、初めての方向けの割引キャンペーンを実施していることがあります。
複数回のコースで契約すると、1回あたりの料金が割安になる場合があります。ただし、1回目の治療で効果や相性を確認してから、コース契約を検討することをおすすめします。
まずは内服薬や外用薬から始めて、効果が不十分な場合にレーザー治療を検討するという段階的なアプローチも、費用を抑える方法の一つです。
また、医療費控除の対象となる場合もあります。疾患の治療として医師が認めた場合は、確定申告で医療費控除を受けられる可能性があるため、領収書は必ず保管しておきましょう。

よくある質問
レーザー治療では、輪ゴムで弾かれたような痛みを感じることがありますが、多くの場合は麻酔なしで我慢できる程度です。痛みに敏感な方は、麻酔クリームを使用することで、痛みを軽減できます。
光治療やケミカルピーリングは、レーザーよりもマイルドで、ほとんど痛みを感じない方が多いです。
レーザー治療の場合、照射部位にかさぶたができ、1週間程度で自然に剥がれます。この間、メイクで隠すことは可能ですが、目立つ場合もあります。
光治療は、ダウンタイムがほとんどなく、施術直後からメイクが可能です。
ケミカルピーリングは、数日間、皮膚の軽い赤みや皮むけが生じることがありますが、日常生活に大きな支障はありません。
1回の治療でシミは消えますか?
シミの種類、大きさ、濃さによって異なります。老人性色素斑の場合、レーザー治療で1回で消えることも多いですが、大きなシミや濃いシミは複数回の治療が必要な場合があります。
肝斑やADMなどは、複数回の治療が必要です。光治療も、通常3〜5回の治療を重ねることで効果を実感できます。
治療後、シミが再発することはありますか?
治療で一度消えたシミが、全く同じ場所に再発することは少ないですが、新たなシミができる可能性はあります。特に、紫外線対策を怠ると、新しいシミができやすくなります。
そばかすは遺伝的な要素が強いため、治療後も紫外線を浴びると再発する可能性があります。
治療後も継続的な紫外線対策と、定期的なメンテナンス治療を行うことが、美しい肌を維持するために重要です。
どの季節に治療を受けるのが良いですか?
レーザー治療は、紫外線の強い夏を避けて、秋から春にかけて行うのが理想的です。治療後は紫外線の影響を受けやすくなるため、紫外線が弱い季節の方が炎症後色素沈着のリスクを減らせます。
ただし、適切な紫外線対策を行えば、どの季節でも治療を受けることは可能です。医師と相談して、自分のライフスタイルに合った治療時期を選びましょう。
治療中の化粧はできますか?
光治療やケミカルピーリングは、施術直後からメイクが可能です。
レーザー治療の場合、照射部位には軟膏を塗り、場合によってはテープで保護します。テープを貼っている間はその部分のメイクはできませんが、周囲の部位は通常通りメイクできます。
かさぶたが取れた後は、医師の指示に従って、通常のメイクが可能になります。
妊娠中や授乳中でも治療を受けられますか?
レーザー治療や光治療自体は、妊娠や授乳に直接的な影響はないとされていますが、妊娠中はホルモンバランスの変化により、シミができやすく、治療効果も得られにくい状態です。
また、トレチノインや一部の内服薬は、妊娠中や授乳中は使用できません。
妊娠中や授乳中のシミ治療は、出産・授乳終了後に行うことが推奨されます。どうしても治療を希望する場合は、医師とよく相談しましょう。
大宮でシミ取り治療を始める前に知っておきたいこと
シミ取り治療は、適切に行えば高い効果が期待できる治療です。しかし、治療を始める前に、いくつか知っておくべきことがあります。
現実的な期待値を持つ
シミ取り治療は魔法ではありません。すべてのシミが完全に消えるわけではなく、治療には時間がかかる場合もあります。また、治療後も新たなシミができる可能性はあります。
治療前のカウンセリングで、医師と十分に話し合い、現実的な治療目標を設定することが重要です。
継続的なケアの重要性
シミ治療は、一度行えば終わりというものではありません。治療後も、継続的な紫外線対策や適切なスキンケアを行うことで、効果を維持できます。
また、定期的なメンテナンス治療を行うことで、新たなシミの発生を予防し、美しい肌を保つことができます。
総合的な肌の健康を考える
シミだけに焦点を当てるのではなく、肌全体の健康を考えることが大切です。シミのない美しい肌は、適切なスキンケア、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理など、生活習慣全体の改善によって得られます。
シミ取り治療は、これらの総合的なアプローチの一部として位置づけましょう。
医師との信頼関係
シミ治療は、医師との長期的な関係になることも多いです。信頼できる医師を見つけ、疑問や不安があれば遠慮なく相談できる関係を築くことが、満足のいく治療結果を得るための鍵となります。
初診時の印象や、医師の説明の丁寧さ、スタッフの対応なども、クリニック選びの重要な要素です。
まとめ|大宮でのシミ取り治療で美しい肌を取り戻す
シミは多くの方が悩む肌トラブルですが、現代の医療技術により、効果的な治療が可能になっています。大宮エリアには、経験豊富な専門医が在籍し、最新の機器を導入したクリニックが多数あります。
シミ取り治療を成功させるためには、まず正確な診断が重要です。シミの種類によって適切な治療法が異なるため、専門医による診察を受けることをおすすめします。
治療法には、レーザー治療、光治療、外用薬、内服薬、ケミカルピーリングなど、さまざまな選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、患者様の状態や希望に応じて、最適な方法を選択することができます。
治療後は、適切なアフターケアと継続的な紫外線対策が欠かせません。また、シミの予防のためには、日常的なスキンケアや生活習慣の改善も重要です。
シミでお悩みの方は、一人で悩まず、まずは専門医に相談してみることをおすすめします。適切な診断と治療により、あなたも透明感のある美しい肌を取り戻すことができるはずです。
アイシークリニック大宮院では、専門医による丁寧な診察と、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療プランのご提案を行っています。シミでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会 – https://www.dermatol.or.jp/
- 厚生労働省 eヘルスネット – https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- 環境省 紫外線環境保健マニュアル – https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/full.pdf
- 日本皮膚科学会 色素異常症診療ガイドライン – https://www.dermatol.or.jp/modules/guideline/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務