目次
- はじめに
- ほくろとは何か?医学的な基礎知識
- ほくろが膨らむメカニズムと原因
- 膨らんだほくろの種類と分類
- 膨らんだほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け方
- ほくろ除去を検討すべきケース
- 膨らんだほくろの除去方法
- ほくろ除去の保険適用について
- ほくろ除去後のアフターケアと経過
- 大宮エリアでほくろ除去を受ける際のポイント
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
- 参考文献
はじめに
顔や身体にある膨らんだほくろ。「最近大きくなってきた気がする」「引っかかって気になる」「もしかして悪性では?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
ほくろは誰にでもある身近な皮膚の変化ですが、その中でも特に盛り上がったタイプのほくろは、見た目の問題だけでなく、日常生活で衣服やアクセサリーに擦れたり、洗顔時に引っかけてしまったりと、様々な悩みの種になることがあります。
本記事では、膨らんだほくろができる原因から、良性・悪性の見分け方、除去方法、保険適用の条件、術後のケアまで、皮膚科・形成外科の専門的な知見に基づいて詳しく解説します。大宮エリアでほくろ除去をご検討の方に向けて、受診のポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
ほくろとは何か?医学的な基礎知識
ほくろの正式名称と定義
ほくろは医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」「色素細胞母斑(しきそさいぼうぼはん)」などと呼ばれます。一般的に「黒子(こくし)」とも称されることがあります。
ほくろの正体は、皮膚に存在するメラノサイト(色素細胞)という細胞が変化した「母斑細胞」が集まってできた良性の皮膚腫瘍です。メラノサイトは本来、紫外線から皮膚を守るためにメラニン色素を産生する役割を担っていますが、この細胞が変化して母斑細胞になると、皮膚の一か所に集まって「ほくろ」として見えるようになります。
ほくろの特徴
一般的なほくろには以下のような特徴があります。
多くのほくろは直径6mm以下の大きさで、円形または楕円形をしています。色は褐色から黒色まで様々で、表面は滑らかなものが多いです。また、ほくろは基本的に良性の腫瘍であり、多くの場合は放置しても健康上の問題を引き起こすことはありません。
ほくろは生まれつき存在する「先天性」のものと、成長とともに出現する「後天性」のものに分けられます。後天性のほくろは主に幼児期から思春期にかけて増加し、20代頃までに数が安定することが一般的です。
皮膚の構造とほくろの関係
皮膚は外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造になっています。ほくろの元となるメラノサイトは表皮の最下層である基底層に存在しています。このメラノサイトが変化して母斑細胞になると、皮膚のどの層に存在するかによって、ほくろの見た目や性質が変わってきます。
母斑細胞が表皮と真皮の境目に集まると平らなほくろになりやすく、真皮の深い部分にまで広がると盛り上がったほくろになる傾向があります。
ほくろが膨らむメカニズムと原因
膨らむほくろのメカニズム
ほくろが盛り上がる現象は、母斑細胞の変質と増殖によって生じると考えられています。最初は平らだったほくろでも、時間の経過とともに母斑細胞が皮膚の深い部分(真皮)に沈み込み、数が増えていくことで徐々に隆起してくることがあります。
この過程では、母斑細胞が脂肪化して色素が抜けることもあり、若い頃は黒かったほくろが年齢とともに淡い褐色や肌色に変化することも珍しくありません。また、盛り上がったほくろは柔らかい質感になることが多いのも特徴です。
ほくろが膨らむ主な原因
ほくろが膨らむ原因としては、以下のような要因が挙げられます。
加齢による変化は最も一般的な原因です。子どもの頃は平らだったほくろが、成人になると母斑細胞の数が増えて隆起してくることがよくあります。これは自然な経過であり、多くの場合は心配する必要はありません。
紫外線の影響もほくろの変化に関係しています。長年にわたって紫外線を浴び続けることで、メラノサイトが活性化し、ほくろが大きくなったり盛り上がったりすることがあります。
ホルモンバランスの変化も要因の一つです。思春期や妊娠期にはメラノサイトを刺激するホルモンの分泌が増加するため、ほくろが増えたり大きくなったりしやすくなります。
物理的な刺激も影響を与えることがあります。衣服やアクセサリーとの摩擦、爪で引っかくなどの刺激が繰り返されると、その部位のメラノサイトが活性化してほくろの変化を促すことがあります。
遺伝的要因も無視できません。家族にほくろが多い場合、同じような傾向が見られることがあります。
膨らんだほくろの種類と分類
母斑細胞の位置による分類
ほくろは母斑細胞が皮膚のどの深さに存在するかによって、医学的に三つのタイプに分類されます。
境界母斑(きょうかいぼはん)は、母斑細胞が表皮と真皮の接合部分に存在するタイプです。角化細胞に似た大きな細胞で構成され、見た目は小さく薄い平らなほくろとして現れます。複合母斑の初期段階であることが多く、一時的な状態である場合も見られます。
複合母斑(ふくごうぼはん)は、母斑細胞が表皮と真皮の境界部分から真皮の浅い部分にまで広がっているタイプです。境界母斑と真皮内母斑の中間的な性質を持ち、やや黒く濃い色調で少し盛り上がった外観を示します。子どものほくろの多くがこのタイプに該当します。
真皮内母斑(しんぴないぼはん)は、母斑細胞が真皮内にのみ存在するタイプです。成人のほくろの大部分がこのタイプであり、黒く半球状に盛り上がった形態を示すことが多いです。境界母斑や複合母斑が時間経過とともに真皮内母斑へと変化することもあります。
Ackerman分類による後天性ほくろの分類
アメリカの皮膚病理学者であるA. Bernard Ackerman氏が提唱した分類では、後天性のほくろは以下の四つのタイプに分けられます。
Miescher母斑(ミーシャー母斑)は、顔や頭など首から上に発生しやすい後天性のほくろです。直径7mm前後の半球型に膨らんだ形態を示し、毛が生えていることも多く見られます。若い頃は青黒い色調ですが、年齢とともに淡い褐色や肌色へと変化していくのが一般的です。
Unna母斑(ウンナ母斑)は、首や上腕、足などに発生しやすい後天性のほくろです。表面が凸凹しており、半球型や楕円型の形態を示します。大きさは10mm前後と比較的大きく、柔らかく膨らんだ質感が特徴です。
Clark母斑(クラーク母斑)は、体幹や四肢に多く見られるタイプで、比較的平坦な形態を示します。
Spitz母斑(スピッツ母斑)は、赤みを帯びた小さなほくろで、子どもや若年層に多く見られます。悪性黒色腫と見分けがつきにくい場合があるため、専門医による診断が重要です。
膨らんだほくろと似た皮膚病変
膨らんだほくろと外見上区別がつきにくい皮膚病変がいくつかあります。
脂漏性角化症(老人性イボ)は、30代以上の男女に多く見られる良性の腫瘍です。加齢に伴って発現しやすく、表面がざらざらしているのが特徴です。褐色から黒色の色調を示し、ほくろと見間違われることがありますが、悪性化することはありません。
血管腫は、血管が異常に増殖してできる良性の腫瘍です。赤みを帯びた色調が特徴ですが、黒っぽく見えることもあります。
基底細胞がんは、皮膚がんの一種ですが、黒くつやつやとした外観を示すことがあり、ほくろと見間違われることがあります。
これらの病変を正確に区別するためには、皮膚科専門医による診察が必要です。
膨らんだほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け方
悪性黒色腫(メラノーマ)とは
悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、「ほくろのがん」とも呼ばれます。皮膚の色素細胞であるメラノサイトががん化して発生する悪性腫瘍であり、皮膚がんの中でも特に悪性度が高く、進行が早いことで知られています。
日本における悪性黒色腫の罹患率は10万人あたり1〜2人程度とされていますが、近年は患者数が増加傾向にあります。年齢別では60代〜70代にピークがありますが、50代以下の若い世代にも発症することがあります。
特に日本人の悪性黒色腫は「末端黒子型」と呼ばれるタイプが多く、足の裏や手のひら、爪の周囲などに発生しやすいことが特徴です。
ABCDEルールによるセルフチェック
悪性黒色腫と良性のほくろを見分けるための国際的な基準として、「ABCDEルール」が広く用いられています。以下の五つの特徴のうち、複数に該当する場合は悪性を疑う必要があります。
A(Asymmetry:非対称性)について説明します。通常のほくろは円形や楕円形で左右対称ですが、悪性黒色腫は形がいびつで非対称になることがあります。ほくろの中央に線を引いたときに、左右の形が大きく異なる場合は注意が必要です。
B(Border:境界の不整)について説明します。良性のほくろは境界がはっきりしていますが、悪性黒色腫では境界がギザギザしていたり、不明瞭であったりすることが多いです。また、周囲の皮膚に色がにじみ出しているように見える場合も要注意です。
C(Color:色調の不均一)について説明します。通常のほくろは色が均一ですが、悪性黒色腫では一つのほくろの中に黒、茶色、赤、白、青など複数の色が混在することがあります。色にむらがある場合は専門医への相談をお勧めします。
D(Diameter:直径)について説明します。一般的に直径6mm以上のほくろは注意が必要とされています。鉛筆の断面程度の大きさ(約6〜7mm)を超えるほくろは、一度専門医に診てもらうことをお勧めします。
E(Evolution:変化)について説明します。これは最も重要な項目です。もともと2〜3mm程度だったほくろが1〜2年のうちに急速に大きくなったり、色や形が変化したりする場合は、悪性黒色腫の可能性を考慮する必要があります。
特に注意が必要な症状
以下のような変化が見られる場合は、早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
短期間で急速に大きくなるほくろは要注意です。成人以降に新しくできたほくろが数か月のうちに目に見えて大きくなる場合は、悪性の可能性を考える必要があります。
出血やかさぶたを繰り返すほくろも注意が必要です。特に傷つけた覚えがないのに出血したり、かさぶたができたりする場合は専門医への相談をお勧めします。
かゆみや痛みを伴うほくろも念のため診察を受けておくと安心です。
爪に縦の黒い線が現れ、それが広がってきている場合も注意が必要です。特に成人以降に一本の指の爪に黒い線が入り、数か月以内に幅が広くなったり、爪周囲の皮膚にも色素沈着が見られるようになった場合は、爪下メラノーマの可能性があります。
ダーモスコピー検査の重要性
肉眼ではほくろと他の皮膚病変を見分けることが難しい場合が多いため、皮膚科ではダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いた検査が行われています。
ダーモスコピーは、ライトがついた拡大鏡のような診療器具で、皮膚病変を10〜30倍に拡大して詳しく観察することができます。偏光レンズや専用のジェルを使用することで、皮膚表面の乱反射を除いた状態で内部の構造を観察できるため、メラニン色素の分布パターンや血管の状態などを詳細に確認することが可能です。
ダーモスコピー検査は痛みを伴わない簡単な検査で、健康保険も適用されます。自己負担額は3割負担で数百円程度です。この検査により、ほくろとメラノーマを正確に診断できる確率が大幅に向上します。
ただし、ダーモスコピーだけで100%確実な診断ができるわけではありません。確定診断のためには、病変を切除して顕微鏡で組織を調べる病理組織検査が必要になる場合があります。
ほくろ除去を検討すべきケース
医学的な理由から除去を検討すべき場合
以下のような場合は、医学的な観点からほくろ除去を検討することをお勧めします。
悪性の疑いがある場合は、速やかに専門医の診察を受け、必要に応じて切除と病理検査を行うことが重要です。ABCDEルールに該当する特徴が見られる場合や、ダーモスコピー検査で悪性が疑われる場合は、早期の対応が求められます。
日常生活に支障をきたしている場合も除去を検討すべきです。ほくろが視界に入って邪魔になる場合、衣服の着脱に支障がある場合、ひげを剃るときに引っかかる場合、洗顔時に爪が引っかかって出血することがある場合などは、生活の質を改善するために除去を検討する価値があります。
繰り返し出血や炎症を起こしている場合も注意が必要です。盛り上がったほくろは物理的な刺激を受けやすく、傷ついて出血したり炎症を起こしたりすることがあります。このような状態が繰り返される場合は、感染リスクを考慮して除去を検討することがあります。
美容的な理由から除去を検討する場合
医学的には問題がなくても、以下のような理由でほくろ除去を希望される方も多くいらっしゃいます。
見た目が気になる場合、特に顔や首など目立つ場所にある膨らんだほくろは、外見上のコンプレックスの原因になることがあります。
メイクがしにくい場合も除去を検討されることがあります。盛り上がったほくろがあると、その部分のファンデーションが塗りにくかったり、仕上がりが不自然になったりすることがあります。
将来的な変化が心配な場合も相談の対象になります。現時点では問題がなくても、年齢とともに大きくなる可能性があるため、早めに除去しておきたいという方もいらっしゃいます。
除去を急がなくても良い場合
一方で、以下のような場合は無理に除去する必要はありません。
長年変化がなく、ABCDEルールに該当しない典型的な良性ほくろで、日常生活にも支障がない場合は、そのまま経過観察としても問題ありません。
定期的なセルフチェックと、気になる変化があった場合の専門医への相談を心がけていれば、良性のほくろが突然悪性化するリスクは非常に低いとされています。
膨らんだほくろの除去方法
膨らんだほくろを除去する方法には、主に「炭酸ガスレーザー治療」と「切除手術」の二つがあります。それぞれの特徴を理解し、自分の状態や希望に合った方法を選択することが大切です。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)治療
炭酸ガスレーザーは、波長10,600nmの赤外線領域のレーザーを用いた治療法です。レーザーのエネルギーが皮膚の水分に吸収されて熱エネルギーに変換され、ほくろの組織を瞬時に蒸散させて除去します。
炭酸ガスレーザーのメリットとしては、まず傷跡が比較的目立ちにくいことが挙げられます。メスで切除する場合と比べて、周囲の健康な皮膚へのダメージが少なく、治癒後の傷跡が小さくて済むことが多いです。
また、出血が少ないこともメリットです。レーザー照射時に周囲の血管が熱凝固作用で固まるため、出血をほぼ抑えることができます。
治療時間が短いことも利点です。1個あたり5〜10分程度で施術が完了することが多く、複数のほくろをまとめて治療することも可能です。
ダウンタイムが比較的短いこともメリットです。術後の回復が早く、日常生活への支障が少ないとされています。
一方でデメリットもあります。まず、再発の可能性があることです。レーザー治療では皮膚の深い部分にある母斑細胞を完全に除去できない場合があり、ほくろが再発することがあります。
病理検査ができないこともデメリットです。レーザーで蒸散させた組織は検査に出すことができないため、悪性かどうかの確定診断ができません。ただし、事前に一部を切除して病理検査に提出する方法を採用しているクリニックもあります。
大きなほくろには不向きな場合があることも注意点です。深くまで根を持つ大きなほくろをレーザーで無理に除去しようとすると、傷跡が凹んでしまうリスクがあります。
治療の経過としては、施術直後は患部が少し凹んだ状態になります。2〜3日でかさぶたが形成され、7〜14日程度でかさぶたが取れて上皮化(皮膚の再生)が完了します。その後、赤みが2〜6か月程度続き、徐々に周囲の肌になじんでいきます。完全に肌の色になるまでには平均6か月程度かかることが多いです。
切除手術(メス切除縫合法)
切除手術は、局所麻酔下でメスを使ってほくろを周囲の組織ごと切り取り、その後縫合する方法です。
切除手術のメリットとしては、まず再発のリスクが低いことが挙げられます。皮膚の深いところにある母斑細胞まで完全に取り除くことができるため、再発の可能性が低くなります。
病理検査ができることも大きなメリットです。切除した組織を顕微鏡で調べることで、良性か悪性かの確定診断が可能です。悪性の疑いがある場合は、この方法が第一選択となります。
大きなほくろや深いほくろにも対応できることもメリットです。レーザーでは対応が難しいケースでも、切除手術であれば確実に除去することができます。
デメリットとしては、まず傷跡が残ることが挙げられます。縫合するため、線状の傷跡が残ります。ただし、形成外科的な技術を用いることで、傷跡を目立ちにくくすることは可能です。
抜糸が必要なことも負担になります。術後7〜14日程度で抜糸のために再度来院する必要があります。
ダウンタイムがやや長いこともデメリットです。術後の回復には数週間から数か月かかり、傷跡が完全に落ち着くまでには半年から1年程度かかることがあります。
治療の経過としては、術後1週間〜10日程度で抜糸を行います。抜糸後は1〜3か月程度テーピングを続け、きれいな治癒を促します。傷跡の赤みは術後1か月頃が最も強く、その後3か月以降で徐々に薄くなっていきます。最終的には白い細い線として残りますが、時間とともに目立たなくなっていきます。
その他の治療法
電気メス(高周波メス)による治療もあります。これは電気の力でほくろを焼き切る方法で、炭酸ガスレーザーと似た原理で行われます。
くり抜き法(パンチ切除)は、円形のメスでほくろを丸くくり抜く方法です。縫合せずに軟膏とテープで治癒させることもあります。
液体窒素による凍結療法は、主にイボの治療に用いられる方法ですが、小さなほくろに対して行われることもあります。ただし、色素沈着が残りやすいため、顔など目立つ部位にはあまり推奨されません。
治療法の選択基準
どの治療法が適しているかは、ほくろの大きさ、深さ、位置、悪性の疑いの有無、患者様の希望などを総合的に考慮して決定されます。
一般的な目安として、小さく盛り上がりの少ないほくろで、悪性の疑いがない場合は炭酸ガスレーザーが適していることが多いです。一方、大きなほくろ、深いほくろ、悪性の疑いがある場合は切除手術が推奨されます。
最終的には、皮膚科または形成外科の専門医による診察を受け、ダーモスコピー検査などで適切に診断してもらった上で、最適な治療法を相談することが重要です。
ほくろ除去の保険適用について
保険適用になるケース
ほくろ除去は、以下のような場合に健康保険が適用されることがあります。
悪性腫瘍の疑いがある場合は保険適用となります。医師がほくろを診察し、悪性黒色腫(メラノーマ)などの皮膚がんの可能性があると判断した場合は、検査や治療を含めて保険が適用されます。
日常生活に支障をきたしている場合も保険適用の対象となることがあります。ほくろが視界に入って邪魔になる場合、衣服の着脱に支障がある場合、ひげを剃るときに引っかかる場合、頻繁に傷ついて出血する場合など、医学的に除去の必要性が認められる場合は保険が適用されます。
大きく盛り上がったほくろで生活に問題が生じている場合も、医師の判断により保険適用となることがあります。
保険適用にならないケース
以下のような場合は、保険適用外の自由診療(自費診療)となります。
美容目的での除去が該当します。ほくろが良性で日常生活に支障がなく、見た目の改善のみを目的として除去する場合は保険が適用されません。
小さくて平らな良性ほくろの除去も、通常は自由診療となります。
保険診療と自由診療の比較
保険診療の場合、費用は3割負担で数千円〜1万円程度が目安となります。ただし、治療法は基本的にメスによる切除縫合が中心となり、レーザー治療は保険適用外となることが一般的です。また、病理検査を行うことができるため、良性か悪性かの確定診断が得られます。
自由診療の場合、費用は1個あたり数千円〜数万円程度とクリニックにより異なります。炭酸ガスレーザーなど様々な治療法から選択でき、傷跡の美しさを重視した治療を受けることができます。ただし、全額自己負担となります。
保険適用かどうかの判断
保険が適用されるかどうかは、最終的には診察を行った医師の判断によります。自己判断では分からないことも多いため、まずは皮膚科または形成外科を受診して、保険適用の可否を含めて相談することをお勧めします。
形成外科では、保険診療と自由診療の両方に対応していることが多く、患者様の状態や希望に応じて最適な治療を提案してもらえます。
ほくろ除去後のアフターケアと経過
ほくろ除去後のアフターケアは、傷跡を目立たなくするために非常に重要です。適切なケアを行うことで、色素沈着や傷跡の悪化を防ぎ、きれいな仕上がりを得ることができます。
施術直後のケア
施術直後は、患部に軟膏を塗布し、医療用テープや絆創膏で保護します。この保護テープは、医師の指示に従って一定期間貼り続ける必要があります。
レーザー治療の場合は、一般的に7〜14日程度テープを貼り続けます。切除手術の場合は、抜糸までの1〜2週間程度テープやガーゼで保護し、抜糸後も数か月間テーピングを続けることがあります。
日常生活での注意点
入浴と洗顔について説明します。施術当日はシャワーのみとし、長時間の入浴は避けましょう。翌日からは通常の入浴が可能ですが、患部を強くこすらないように注意してください。洗顔時も患部は優しく扱い、石鹸で軽く洗う程度にとどめましょう。
運動と飲酒については、施術後数日間は激しい運動や飲酒を控えることをお勧めします。これらは血行を促進する効果があり、患部からの出血や腫れを引き起こす可能性があります。
メイクについて説明します。患部を避ければ、施術当日からメイクが可能な場合が多いです。ただし、患部への直接的なメイクは、テープ保護期間が終わってから行うようにしましょう。
かさぶたの扱いについて説明します。施術後にできたかさぶたは、絶対に無理に剥がさないでください。かさぶたを剥がすと傷跡が残りやすくなります。自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
紫外線対策の重要性
ほくろ除去後の紫外線対策は最も重要なアフターケアの一つです。術後の患部は非常にデリケートな状態であり、紫外線を浴びると色素沈着を起こしやすくなります。
最低でも術後3〜6か月間は徹底的な紫外線対策が必要です。日焼け止めは、紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)の低刺激タイプを選び、SPF30程度のものを使用するとよいでしょう。
日焼け止めだけでなく、日傘や帽子の使用、日陰を選んで歩くなど、物理的な紫外線対策も併用することをお勧めします。
経過の目安
炭酸ガスレーザー治療の場合の経過を説明します。施術直後は患部が凹んだ状態になります。2〜3日でかさぶたが形成されます。7〜14日でかさぶたが取れて上皮化が完了します。その後、1〜3か月程度赤みが続きます。3〜6か月で徐々に赤みが落ち着いていきます。6か月〜1年で周囲の肌になじんでいきます。
切除手術の場合の経過を説明します。術後7〜14日で抜糸を行います。抜糸後1か月頃が赤みのピークとなります。3か月以降で徐々に赤みが薄くなります。6か月〜1年で傷跡が白い線として落ち着きます。
術後の異常と対処法
以下のような症状が見られた場合は、早めに担当医に相談しましょう。
強い痛みや腫れが続く場合、出血が止まらない場合、膿が出るなど感染の兆候がある場合、傷の治りが異常に遅い場合などは、速やかに受診することをお勧めします。
傷跡が残ってしまった場合
適切なアフターケアを行っても、体質や傷の状態によっては色素沈着や傷跡が残ってしまうことがあります。そのような場合には、追加の治療を検討することもできます。
色素沈着にはハイドロキノンなどの美白外用薬が効果的な場合があります。凹凸が気になる場合はヒアルロン酸注入やフラクショナルレーザーなどの治療が検討されることもあります。いずれも担当医と相談の上、適切な対処法を選択しましょう。
大宮エリアでほくろ除去を受ける際のポイント
医療機関選びのポイント
大宮エリアでほくろ除去を検討される際は、以下のポイントを参考に医療機関を選んでください。
皮膚科専門医または形成外科専門医が在籍しているかどうかを確認しましょう。ほくろの診断には専門的な知識と経験が必要であり、特に悪性黒色腫との鑑別は非常に重要です。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医や日本形成外科学会認定形成外科専門医が診療を行っているクリニックを選ぶことをお勧めします。
ダーモスコピー検査が可能かどうかも重要なポイントです。ほくろの良悪性を正確に診断するためには、ダーモスコピー検査が欠かせません。この検査機器を備えているクリニックを選びましょう。
治療法の選択肢が豊富かどうかも確認しておくとよいでしょう。炭酸ガスレーザーと切除手術の両方に対応しているクリニックであれば、ほくろの状態に応じて最適な治療法を選択できます。
カウンセリングが丁寧かどうかも医療機関選びの重要な要素です。治療のメリット・デメリット、費用、術後の経過などについて十分な説明を行ってくれるクリニックを選びましょう。疑問点にも丁寧に答えてくれる医師であれば、安心して治療を受けることができます。
アフターケア体制が整っているかどうかも確認しておきましょう。術後の経過観察や、万が一トラブルが生じた場合の対応がしっかりしているクリニックを選ぶことが大切です。
受診前の準備
ほくろ除去の相談で受診される際は、以下の準備をしておくとスムーズです。
気になるほくろの写真を撮っておくとよいでしょう。特に、以前の状態と比較できる過去の写真があれば、変化の有無を確認する際に役立ちます。
ほくろに気づいた時期や変化の有無をメモしておきましょう。いつ頃からあるほくろか、最近大きくなったり色が変わったりしていないかなど、医師に伝えられるようにしておくと診断の助けになります。
過去の治療歴やアレルギーの有無なども確認しておきましょう。局所麻酔に対するアレルギーがある場合などは、事前に伝える必要があります。
大宮エリアの特徴
大宮は埼玉県の主要ターミナル駅として、JRや私鉄各線が乗り入れており、県内各地からのアクセスが良好です。駅周辺には多くの皮膚科・形成外科・美容クリニックがあり、選択肢が豊富なエリアといえます。
平日の仕事帰りや土日に受診しやすいクリニックも多く、忙しい方でも通院しやすい環境が整っています。

よくある質問(Q&A)
A: 必ずしも除去する必要はありません。良性のほくろであれば、放置しても健康上の問題はないことがほとんどです。ただし、ABCDEルールに該当する特徴がある場合や、日常生活に支障がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。
A: 施術時は局所麻酔を使用するため、痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じることがありますが、施術中は痛みを感じないよう配慮されています。術後は軽い痛みや違和感を感じることがありますが、通常は数日で落ち着きます。
Q: ほくろ除去後、傷跡は残りますか?
A: 治療法やほくろの大きさ、位置、個人の体質によって異なりますが、多少の跡は残ることがあります。炭酸ガスレーザーの場合は小さなへこみや色素沈着、切除手術の場合は線状の傷跡が残る可能性があります。ただし、適切なアフターケアを行うことで、時間とともに目立たなくなっていくことが多いです。
Q: ほくろ除去後、再発することはありますか?
A: 炭酸ガスレーザー治療の場合、皮膚の深い部分に母斑細胞が残っていると再発することがあります。切除手術の場合は再発のリスクは低いですが、完全にゼロではありません。再発した場合は、再度治療を行うことが可能です。
Q: ほくろ除去は何歳から受けられますか?
A: 年齢制限は特にありませんが、小さなお子様の場合は成長とともにほくろの状態が変化することがあるため、緊急性がなければ経過観察とすることもあります。悪性の疑いがある場合は、年齢に関係なく早期の治療が必要です。
Q: 一度に何個のほくろを除去できますか?
A: 医療機関や治療法によって異なりますが、複数のほくろをまとめて治療することは可能です。ただし、傷口が多くなりすぎると管理が大変になるため、何回かに分けて治療することを推奨される場合もあります。
Q: ほくろ除去後、メイクはいつからできますか?
A: 患部以外へのメイクは施術当日から可能な場合が多いです。患部への直接的なメイクは、テープ保護期間が終わり、上皮化が完了してから(通常1〜2週間後)が目安となります。詳細は担当医の指示に従ってください。
Q: ほくろ除去の費用はどのくらいかかりますか?
A: 保険適用の場合、3割負担で5,000円〜1万円程度が目安です。自由診療の場合は、ほくろの大きさや数、治療法によって異なりますが、1個あたり数千円〜数万円程度となります。詳細は各クリニックにお問い合わせください。
まとめ
膨らんだほくろは、多くの場合は良性の皮膚変化であり、健康上の問題を引き起こすことは稀です。しかし、ABCDEルールに該当する特徴が見られる場合や、急激な変化がある場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性を考慮して、早めに専門医を受診することが重要です。
ほくろ除去の方法には、炭酸ガスレーザー治療と切除手術があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。どの治療法が適しているかは、ほくろの状態や患者様の希望によって異なるため、専門医とよく相談して決定することをお勧めします。
保険適用については、悪性の疑いがある場合や日常生活に支障がある場合に適用される可能性がありますが、美容目的の場合は自由診療となります。まずは診察を受けて、保険適用の可否を含めて相談してみてください。
術後のアフターケア、特に紫外線対策は傷跡を目立たなくするために非常に重要です。医師の指示に従って適切なケアを行い、気になる症状があれば早めに相談しましょう。
大宮エリアには多くの皮膚科・形成外科があり、ほくろ除去の選択肢は豊富です。皮膚科専門医または形成外科専門医が在籍し、ダーモスコピー検査が可能なクリニックを選ぶことで、安心して治療を受けることができます。
膨らんだほくろでお悩みの方は、まずは専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
参考文献
- 色素性母斑(ほくろ) | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
- メラノーマ(ほくろのがん) Q5 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 皮膚がんの早期発見で覚えておきたいこと~ ほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の5つの見分け方 ~ | 東邦大学
- 悪性黒色腫(メラノーマ)とは | MSD oncology がんを生きる
- 病気のはなし149 鑑別のABCDEルール ほくろと皮膚がん | 徳洲会グループ
- ダーモスコピー検査と皮膚生検 | 兵庫県立尼崎総合医療センター
- ダーモスコピー検査 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務