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与野エリアでワキガ(腋臭症)にお悩みの方へ|原因・治療法・セルフケアを徹底解説

さいたま市中央区の与野エリアは、JR京浜東北線の与野駅やJR埼京線の与野本町駅・北与野駅・南与野駅があり、大宮駅や浦和駅へのアクセスも良好な住宅地として知られています。文化・芸術の街として再開発が進み、バラの名所として有名な与野公園やさいたまスーパーアリーナなどの施設も近く、多くの方が生活されている地域です。

このような活気ある地域にお住まいの方の中にも、ワキガ(腋臭症)のお悩みを抱えている方は少なくありません。実際、日本人の約10人に1人がワキガの体質を持っているとされており、特に汗をかきやすい夏場や人が密集する電車内などでは、においが気になって外出を控えてしまうという声もよく聞かれます。

本記事では、ワキガの原因から最新の治療法、日常生活でできるセルフケアまでを医学的な観点から詳しく解説いたします。与野エリアにお住まいの方が、お悩みの解消に向けて適切な選択ができるよう、正確な情報をお届けします。


目次

  1. ワキガ(腋臭症)とは何か
  2. ワキガが発生するメカニズム
  3. ワキガの原因となるアポクリン腺の特徴
  4. ワキガと遺伝の関係(ABCC11遺伝子)
  5. ワキガのセルフチェック方法
  6. ワキガと多汗症の違い
  7. ワキガの診断方法(ガーゼテストなど)
  8. 日常生活でできるワキガ対策
  9. ワキガの治療法の種類と特徴
  10. 保険適用で受けられる治療
  11. 自費診療で受けられる治療
  12. 治療法の選び方のポイント
  13. 与野エリアから大宮へのアクセス
  14. よくある質問と回答
  15. まとめ

1. ワキガ(腋臭症)とは何か

ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれ、腋窩(わきの下)から特有のにおいを発する状態を指します。運動後や暑い日にかく汗のにおい(いわゆる「汗臭い」におい)とは異なり、ワキガには独特の強いにおいがあることが特徴です。

ワキガのにおいは、人によってさまざまな表現がなされます。「玉ねぎのようなにおい」「クミンのようなスパイシーなにおい」「鉛筆の芯のようなにおい」「酢のような酸っぱいにおい」などと形容されることが多く、これらのにおいは周囲の方にとって不快に感じられることがあります。

日本においてワキガが治療の対象とされる背景には、文化的な側面があります。欧米諸国では人口の80パーセント以上がワキガ体質であり、体臭は生理的な現象の一つとして受け入れられています。一方、日本人でワキガ体質の方は約10パーセント程度と少数派であるため、においに対する社会的な許容度が低く、当事者の方が深刻な悩みを抱えやすい傾向にあります。

ワキガは病気ではありませんが、社会生活に支障をきたすほどの症状がある場合は医療機関での治療が可能です。医師による診断で腋臭症と認められた場合、保険適用で手術を受けることもできます。


2. ワキガが発生するメカニズム

ワキガのにおいが発生するメカニズムを理解するためには、まず人間の汗腺について知る必要があります。

人間の皮膚には、エクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺が存在します。エクリン腺は全身のほぼすべての皮膚に分布しており、体温調節のためにサラサラとした汗を分泌します。この汗は99パーセント以上が水分であり、蒸発しやすく、基本的には無臭に近いものです。いわゆる「汗臭い」においは、このエクリン腺から出た汗が皮膚表面の細菌によって分解されることで生じます。

一方、アポクリン腺はわきの下、耳の中(外耳道)、乳輪、陰部などの限られた部位にのみ分布しています。アポクリン腺から分泌される汗は、タンパク質や脂質、アンモニアなどの成分を含んでおり、乳白色でベタベタとした性質を持っています。

実は、アポクリン腺から分泌される汗自体は無臭です。しかし、この汗が皮膚の表面に分泌されると、皮脂腺から出た脂肪分やエクリン腺からの汗と混ざり合います。そして、皮膚に常在する細菌(ブドウ球菌やグラム陰性桿菌など)がこれらの成分を分解する過程で、低級脂肪酸や揮発性の硫黄化合物などが生成され、ワキガ特有のにおいが発生するのです。

また、わき毛の存在もにおいの発生に関係しています。わき毛は汗や皮脂を腋窩部に留める働きがあり、細菌の繁殖に適した環境を作り出します。そのため、脱毛や除毛を行うことでにおいを軽減できる場合があります。


3. ワキガの原因となるアポクリン腺の特徴

アポクリン腺は、人間の体の特定の部位にのみ存在する汗腺です。その分布部位は、わきの下、外耳道、乳輪周辺、へその周囲、陰部などであり、毛穴と関連して存在しています。

アポクリン腺の大きさや数には個人差があり、ワキガ体質の方はアポクリン腺が大きく、数も多い傾向にあります。アポクリン腺は第二次性徴とともに発達するため、ワキガの症状は思春期頃から現れ始めることが一般的です。平均発症年齢は男性で18歳頃、女性で16歳頃というデータがあり、女性の方が性徴が早いため発症も早くなる傾向があります。

アポクリン腺の活動は、加齢とともに徐々に低下していきます。そのため、多くの場合は中年以降になるとワキガの症状が軽減していきますが、加齢臭との混在により「中年期にピークが来る」という報告もあります。

アポクリン腺の活動は性ホルモンの影響を受けるため、女性の場合は月経周期によってにおいの強さが変動することがあります。生理中や排卵期ににおいが強くなるという方も少なくありません。また、妊娠・出産時にはホルモンバランスが大きく変化するため、一時的にワキガの症状が強くなることがあります。

進化的な観点から見ると、アポクリン腺は元々フェロモンの分泌に関与していたと考えられています。多くの哺乳動物では、アポクリン腺から発せられるにおいは異性を引き付けるシグナルとして機能しています。人間においてはこの機能がほぼ失われていますが、かつての名残として存在しているのです。


4. ワキガと遺伝の関係(ABCC11遺伝子)

ワキガは遺伝的な要因が強く関与する体質です。近年の研究により、ワキガの発症にはABCC11遺伝子が深く関係していることが明らかになっています。

ABCC11遺伝子は16番目の染色体上に存在し、ATP結合カセットタンパク質C11というタンパク質の設計図となる遺伝子です。このタンパク質は細胞膜に存在し、細胞内の物質を細胞外へ輸送する働きをしています。

ABCC11遺伝子には一塩基多型(SNP)と呼ばれる個人差があり、この遺伝子型によってワキガの発症リスクが決まります。具体的には、rs17822931というSNPの部位において、遺伝型がGAまたはGGの場合はワキガ体質になりやすく、AAの場合はワキガ体質になりにくいとされています。

長崎大学の研究グループによると、調査したワキガの患者さんの98.7パーセントがGAまたはGGの遺伝型を持っていたという結果が報告されています。このことから、ABCC11遺伝子はワキガの発症に必須の要素であるといえます。

この遺伝子は耳垢の湿性・乾性を決める遺伝子としても知られています。ワキガ体質の方のほぼ全員(約98パーセント)が湿った耳垢(軟耳垢、通称「アメ耳」「ネコ耳」)を持っています。逆に、乾いた耳垢(乾耳垢)の方がワキガになることはほとんどありません。耳の中にもアポクリン腺が存在するため、このような相関関係が生じるのです。

日本人の約84パーセントは乾いた耳垢を持っており、これは日本人のワキガ体質の割合が約10パーセント程度であることと対応しています。一方、欧米人やアフリカ人では湿った耳垢を持つ人がほとんどであり、ワキガ体質の人の割合も非常に高くなっています(白人で80パーセント以上、黒人でほぼ100パーセント)。

この遺伝的な違いは、人類の進化の過程で生じたものと考えられています。東アジア人の祖先がシベリアなどの寒冷な地域に適応する過程で、ABCC11遺伝子の変異(Aアレル)が有利に働いたと推測されています。

ワキガは優性遺伝(顕性遺伝)の形質であるため、両親のどちらかがワキガ体質の場合、子どもに遺伝する確率は50パーセント以上、両親ともにワキガ体質の場合は75パーセント以上の確率で子どもにも遺伝するとされています。


5. ワキガのセルフチェック方法

ワキガかどうかを自己判断することは難しい場合がありますが、いくつかのポイントをチェックすることで、ある程度の目安を得ることができます。以下の項目に多く当てはまる場合は、ワキガ体質の可能性があります。

まず、耳垢の状態を確認してください。綿棒で耳の中をふいたときに、耳垢が湿っていてベタベタしている場合(軟耳垢)、ワキガ体質である可能性が高いといえます。前述の通り、ワキガの方のほぼ全員が軟耳垢を持っています。乾いた粉状の耳垢の方は、ワキガである可能性は低いと考えられます。

次に、衣類の黄ばみをチェックしてください。白いシャツや下着のわきの部分が黄色く変色しやすい場合、アポクリン腺からの汗に含まれる成分(リポフスチンという色素など)による可能性があります。洗濯しても落ちにくい黄ばみが繰り返し生じる場合は、ワキガの兆候かもしれません。

わき毛の状態も参考になります。わき毛が太く、毛量が多い場合、アポクリン腺も発達している傾向があります。また、わき毛に白い粉状の結晶が付着していることがある場合も、アポクリン腺からの分泌物が原因である可能性があります。

家族歴も重要なチェックポイントです。両親や兄弟姉妹にワキガの方がいる場合、遺伝的にワキガ体質を受け継いでいる可能性が高くなります。

自分自身でにおいを確認する方法としては、入浴前にガーゼやティッシュをわきの下に挟み、数分後ににおいを嗅いでみる方法があります。ただし、人間は自分のにおいに慣れてしまう(嗅覚疲労)ため、自覚症状と実際のにおいの強さには乖離が生じることがあります。においが強くない方ほど自覚症状が強くなる傾向があるという報告もあります。

最終的な診断は医療機関で行う必要があります。気になる症状がある場合は、皮膚科や形成外科を受診することをお勧めします。


6. ワキガと多汗症の違い

ワキガと多汗症は混同されやすい症状ですが、原因となる汗腺が異なり、治療法も異なる場合があります。

ワキガ(腋臭症)は、アポクリン腺から分泌される汗が原因で特有のにおいを発する状態です。アポクリン腺からの汗に含まれる成分が皮膚の常在菌によって分解されることで、独特のにおいが生じます。

一方、多汗症は、エクリン腺から通常よりも多量の汗が分泌される状態です。エクリン腺からの汗は主に水分であり、体温調節に関わるサラサラとした汗です。多汗症の方は、暑さや緊張とは関係なく、日常生活に支障をきたすほどの大量の汗をかきます。

わきの下に多量の汗をかく状態を「腋窩多汗症」といいます。ワキガの方が同時に腋窩多汗症を併発していることは珍しくありません。汗の量が多いと、においも拡散しやすくなるため、両方の症状がある場合は特にお悩みが深くなる傾向があります。

原発性腋窩多汗症の診断基準としては、「原因不明の過剰な発汗が6か月以上続いている」ことに加え、「両側性かつ左右対称性に多汗がみられる」「多汗により日常生活に支障が生じている」「週1回以上の頻度で多汗のエピソードがみられる」「家族歴がある」「睡眠中は発汗が止まる」「25歳以下で発症した」のうち2項目以上に当てはまることが基準となっています。

治療においても、ワキガと多汗症では適切な方法が異なる場合があります。多汗症に対してはボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)が効果的ですが、ボトックスはエクリン腺の働きを抑制するものであり、アポクリン腺に直接作用するわけではありません。そのため、ワキガのにおいに対する効果は限定的です。

ワキガと多汗症の両方に悩まれている場合は、両方の汗腺に対応できる治療法(ミラドライや剪除法など)を選択することが重要です。


7. ワキガの診断方法(ガーゼテストなど)

医療機関でワキガの診断を受ける際には、問診に加えていくつかの検査が行われます。

ワキガの診断において最も一般的に用いられるのが「ガーゼテスト」です。この検査では、ガーゼをわきの下に挟み、数分間汗ばむような運動(階段の昇降など)をした後、医師がガーゼのにおいを嗅いで判定します。

昭和大学方式のガーゼテストでは、においの強さを5段階で評価します。

レベル1:ガーゼを鼻に近づけると、かすかににおう レベル2:ガーゼを鼻に近づけると、明らかににおう レベル3:ガーゼを手に持つ距離でにおう レベル4:ガーゼを手に持つ距離で、強くにおう レベル5:室内に入ると、においを感じる

多くの医療機関では、レベル3以上を「手術適応」としていますが、患者さんの年齢や希望、生活への影響度などを考慮して、レベル2でも手術を行うことがあります。レベル1や2の場合は、まず制汗剤や脱毛、ボトックス治療などの保存的治療から始めることが一般的です。

問診では、以下のような点が確認されます。

症状の発症時期や経過、家族歴(血縁者にワキガの方がいるかどうか)、耳垢の状態(湿性か乾性か)、衣類の黄ばみの有無、日常生活への影響度、これまでに試した対策や治療の有無などです。

また、多汗症の合併を確認するために「ヨードでんぷん反応」という検査が行われることもあります。この検査では、わきの下にヨード液を塗布し、その上にでんぷん粉をふりかけます。汗をかいた部分はヨードとでんぷんの反応により黒く変色するため、発汗の範囲や程度を視覚的に確認することができます。


8. 日常生活でできるワキガ対策

ワキガの症状が軽度から中等度の場合、日常生活でのケアによってにおいを軽減できることがあります。医療機関を受診する前に、まずは以下の対策を試してみることをお勧めします。

まず最も重要なのは、わきを清潔に保つことです。こまめにシャワーを浴び、わきの下を丁寧に洗うことで、皮膚表面の細菌やアポクリン腺からの分泌物を除去できます。入浴の際には、殺菌成分を含む薬用せっけんを使用するとより効果的です。

日中は、携帯用のアルコール綿やウェットティッシュでわきを拭くことで、一時的ににおいを抑えることができます。ただし、肌の弱い方は刺激になる場合があるため、注意が必要です。

制汗剤やデオドラント製品の使用も効果的です。ただし、制汗剤は皮脂や細菌が少ない清潔な状態で使用することが重要です。入浴後や拭き取りの後に使用することで、効果を最大限に発揮できます。塩化アルミニウム配合の制汗剤は、汗の分泌を抑える効果が高いとされていますが、肌荒れを起こすこともあるため、使用には注意が必要です。

わき毛の処理も効果的な対策の一つです。わき毛があると汗や皮脂が留まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。脱毛や剃毛を行うことで、汗が皮膚上に留まる時間が短くなり、細菌の繁殖も抑えられます。また、通気性が良くなるためわきの下の温度が下がり、汗をかきにくくなる効果も期待できます。

衣類の選択も重要です。通気性の良い天然素材(綿、麻など)の衣類を選ぶことで、汗がこもりにくくなります。また、抗菌・消臭機能を持つインナーを着用することも効果的です。わき汗パッドを使用することで、衣類への汗染みを防ぐこともできます。

食生活との関係も指摘されています。脂質の多い食事や肉類の過剰摂取は、アポクリン腺からの分泌物に影響を与え、においを強くする可能性があります。和食中心のバランスの良い食事を心がけることで、においが軽減されることがあるとされています。

ストレスや緊張は発汗を促進するため、リラックスできる時間を確保し、生活リズムを整えることも大切です。自律神経とワキガの関係も示唆されており、規則正しい生活を送ることで症状が改善することがあります。


9. ワキガの治療法の種類と特徴

ワキガの治療法は大きく分けて、「保存的治療(対症療法)」と「根治療法」の2つに分類されます。

保存的治療は、症状を一時的に抑えることを目的とした治療です。外用薬(塩化アルミニウム液など)の塗布やボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)が該当します。これらは比較的手軽に受けられる治療ですが、効果は一時的であり、定期的な治療の継続が必要です。

根治療法は、ワキガの原因であるアポクリン腺を除去または破壊することで、症状を根本的に改善することを目指す治療です。手術(剪除法など)やミラドライなどの機器による治療が該当します。一度治療を行えば、効果は半永久的に持続します。

現在、日本で行われている主なワキガ治療法は以下の通りです。

外用薬治療では、塩化アルミニウム液やエクロックゲル、ラピフォートワイプなどが使用されます。汗の分泌を抑制する効果がありますが、主に多汗症に対する治療であり、ワキガのにおいに対する効果は限定的です。

ボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)は、エクリン腺の働きを抑制して発汗を抑える治療です。注射による簡便な治療で、ダウンタイムもほとんどありません。効果は4か月から9か月程度持続しますが、定期的な再注射が必要です。重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合は、保険適用で治療を受けることができます。

手術治療(剪除法・皮弁法)は、わきの皮膚を切開してアポクリン腺を直接除去する方法です。医師が目視しながら汗腺を一つずつ取り除くため、効果が高く、再発も少ないとされています。保険適用で受けられる治療であり、重度のワキガに対する第一選択となります。ただし、術後のダウンタイムがあり、数日間はわきの圧迫固定が必要です。

ミラドライは、マイクロ波(電磁波)をわきの皮膚表面から照射し、汗腺を熱で破壊する治療法です。皮膚を切開しないため、傷跡が残らず、ダウンタイムも比較的短いのが特徴です。アポクリン腺とエクリン腺の両方を破壊できるため、ワキガと多汗症の両方に効果があります。ミラドライは厚生労働省および米国FDAから承認を受けた医療機器です。ただし、保険適用外の自費診療となります。

その他、ビューホット(高周波治療)やクワドラカット(シェーバー法)など、さまざまな治療法が存在します。


10. 保険適用で受けられる治療

ワキガ(腋臭症)の治療において、保険適用で受けられる主な治療法について説明します。

手術治療(剪除法・皮弁法)は、医師が腋臭症の診断を確定した場合、保険適用で受けることができます。3割負担の場合、両側で約4万円から5万円程度の自己負担となります(医療機関により異なります)。

剪除法(せんじょほう)の手術の流れは以下の通りです。まず、局所麻酔(または全身麻酔)を行い、わきの中央部を2センチから4センチ程度切開します。皮膚を裏返してアポクリン腺を直接目で見ながら、一つずつ丁寧に切除していきます。汗腺の切除が完了したら、皮膚を縫合し、血液がたまるのを防ぐためのドレーン(管)を挿入します。その後、ガーゼで圧迫固定を行います。

手術時間は片側30分から1時間程度、両側で1時間から2時間程度です。多くの医療機関では日帰り手術が可能ですが、全身麻酔で行う場合は入院が必要になることもあります。

術後は数日間、わきを圧迫固定する必要があり、腕を上げる動作は制限されます。ドレーンは術後1日から3日で抜去し、抜糸は術後1週間から2週間程度で行います。完全に通常の生活に戻れるのは、術後2週間から4週間程度です。

手術のメリットは、一度の治療で高い効果が得られ、再発が少ないことです。保険適用のため、費用負担も比較的少なく抑えられます。デメリットとしては、術後のダウンタイムがあること、傷跡が残る可能性があること(時間とともに目立たなくなります)、合併症(血腫、感染、皮膚壊死など)のリスクがあることが挙げられます。

ボツリヌストキシン注射については、「重度の原発性腋窩多汗症」と診断された場合に保険適用となります。ただし、これは多汗症に対する治療であり、ワキガのにおいに対する効果は限定的です。

外用薬についても、原発性腋窩多汗症に対してはエクロックゲルやラピフォートワイプなどが保険適用で処方されます。ただし、こちらも主に発汗を抑える効果であり、ワキガの根本治療にはなりません。

保険適用の治療を受けるためには、皮膚科や形成外科を受診し、医師の診断を受ける必要があります。


11. 自費診療で受けられる治療

保険適用外の自費診療で受けられるワキガ治療についても解説します。

ミラドライは、自費診療で受けられる代表的な治療法です。マイクロ波を照射してアポクリン腺とエクリン腺を破壊する治療であり、皮膚を切開しないため傷跡が残りません。

ミラドライの特徴として、まず厚生労働省および米国FDAから承認を受けた安全性の高い医療機器であることが挙げられます。治療時間は両側で約1時間程度、局所麻酔下で行われるため痛みはほとんど感じません。術後は多少の腫れや赤みが生じますが、数日から数週間で落ち着きます。

ミラドライの効果は、汗腺の約70パーセントから80パーセントを破壊するとされており、においと発汗量の両方が大幅に減少します。一度破壊された汗腺は再生しないため、効果は半永久的に持続します。ただし、効果には個人差があり、重度の症状の方は複数回の治療が必要な場合もあります。

ミラドライの費用は、医療機関により異なりますが、おおむね20万円から40万円程度です。保険適用外のため全額自己負担となりますが、医療ローンを利用できる医療機関もあります。

ミラドライのメリットは、切開しないため傷跡が残らないこと、ダウンタイムが短いこと、ワキガと多汗症の両方に効果があることです。デメリットとしては、費用が高額であること、一度の治療で完全に症状がなくなるわけではないこと(残存する汗腺からの発汗やにおいは続く可能性があります)が挙げられます。

ビューホットは、高周波を照射して汗腺を破壊する治療法です。極細の針を皮膚に挿入して高周波を照射するため、ミラドライよりもピンポイントで汗腺を破壊できるとされています。ただし、針を刺すため、治療痕が色素沈着として残るリスクがあります。

自費診療のボトックス注射も選択肢の一つです。保険適用の条件を満たさない場合でも、自費であればボトックス注射を受けることができます。費用は両側で3万円から10万円程度です。

クワドラカット(シェーバー法)は、小さな切開口からシェーバー状の器具を挿入し、汗腺を削り取る方法です。剪除法よりも切開が小さく、ダウンタイムが短いのが特徴ですが、自費診療となります。


12. 治療法の選び方のポイント

ワキガの治療法を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

まず、症状の重症度を把握することが大切です。軽度の症状であれば、まずは日常生活でのケアや外用薬から始めることをお勧めします。中等度から重度の症状で、日常生活に支障をきたしている場合は、手術やミラドライなどの根治療法を検討する価値があります。

費用面も重要な考慮点です。保険適用の手術(剪除法)は比較的安価に受けられますが、ダウンタイムがあります。ミラドライは費用が高額ですが、ダウンタイムが短く、傷跡も残りません。ご自身の経済状況や仕事・生活への影響を考慮して選択してください。

ダウンタイムの有無も重要です。手術の場合は術後数日から数週間、腕を上げる動作が制限されます。仕事や日常生活への影響を考慮し、治療のタイミングを検討する必要があります。ミラドライやボトックス注射であれば、術後すぐに通常の生活に戻れます。

傷跡の有無も考慮点の一つです。手術(剪除法)では、わきに数センチの傷跡が残ります。時間とともに目立たなくなりますが、完全に消えることはありません。傷跡を残したくない場合は、ミラドライやボトックス注射などの切らない治療を選択することになります。

効果の持続期間も重要です。ボトックス注射は効果が4か月から9か月程度であり、定期的な再注射が必要です。一方、手術やミラドライは一度の治療で半永久的な効果が期待できます。長期的なコストを考えると、根治療法の方が費用対効果が高い場合もあります。

成長期のお子さんの場合は、治療のタイミングに注意が必要です。汗腺は思春期に発達するため、成長途中で治療を行っても、その後に新たな汗腺が発達する可能性があります。多くの医療機関では、成長期のお子さんにはまずボトックス注射などの一時的な治療を勧め、成長が落ち着いてから根治療法を検討することを推奨しています。

最終的な治療法の選択は、医師との相談の上で行うことをお勧めします。カウンセリングを受けて、ご自身の症状や希望に合った治療法を見つけてください。


13. 与野エリアから大宮へのアクセス

与野エリアにお住まいの方が大宮駅周辺の医療機関を受診する場合のアクセス方法をご案内します。

JR京浜東北線をご利用の場合、与野駅から大宮駅までは2駅、所要時間は約5分です。運賃は146円(ICカード利用時)です。さいたま新都心駅で乗り換えることなく、そのまま大宮駅に到着できます。

JR埼京線をご利用の場合は、与野本町駅、北与野駅、南与野駅のいずれからも大宮駅へ向かうことができます。北与野駅からは次の駅が大宮駅であり、所要時間は約2分です。与野本町駅からは北与野駅を経由して約5分、南与野駅からは約8分で大宮駅に到着します。

バスをご利用の場合は、大宮駅西口から与野方面へ向かう西武バスの路線があります。イオンモール与野を経由するバス(大39、大40、大41系統など)を利用すれば、与野エリアの各地から大宮駅へアクセスできます。

さいたま新都心駅を利用する場合は、与野駅からJR京浜東北線で1駅(約2分)です。さいたま新都心駅周辺には医療機関も多く、こちらを選択することも可能です。

与野エリアは、大宮と浦和のちょうど中間に位置しており、どちらの駅へも短時間でアクセスできる利便性の高い地域です。通勤・通学の途中や、お買い物のついでに医療機関を受診することも可能です。

治療のスケジュールを立てる際には、術後のダウンタイムや通院の必要性を考慮し、無理のない計画を立てることをお勧めします。


14. よくある質問と回答

ワキガに関してよくいただく質問とその回答をまとめました。

質問:ワキガは完治しますか?

回答:手術(剪除法)やミラドライなどの根治療法により、アポクリン腺を除去または破壊することで、症状を大幅に改善することが可能です。ただし、すべての汗腺を完全に除去することは難しいため、100パーセントにおいがなくなるわけではありません。多くの場合、治療前と比べて70パーセントから90パーセント程度のにおいの減少が期待できます。

質問:ワキガの治療は何歳から受けられますか?

回答:手術やミラドライは、汗腺の発達が完了する思春期以降(18歳頃以降)に受けることが推奨されます。成長途中で治療を行うと、その後に新たな汗腺が発達する可能性があるためです。ただし、症状が重度で日常生活に深刻な支障をきたしている場合は、医師と相談の上、より早い時期に治療を行うこともあります。中高生の方には、まずボトックス注射などの一時的な治療で対応し、成長後に根治療法を検討することが多いです。

質問:ワキガの手術後、傷跡は目立ちますか?

回答:剪除法の手術では、わきの中央に数センチの切開線が残ります。術直後は赤みや腫れがありますが、時間とともに徐々に目立たなくなっていきます。個人差はありますが、半年から1年程度で白っぽい線状の傷跡になることが多いです。わきの下という目立ちにくい部位であり、腕を下ろした状態ではほとんど見えません。傷跡を残したくない場合は、ミラドライなどの切らない治療を選択することをお勧めします。

質問:ワキガは食べ物で改善しますか?

回答:食生活がワキガに影響を与える可能性は指摘されています。脂質の多い食事や動物性タンパク質の過剰摂取は、アポクリン腺からの分泌物に影響を与え、においを強くする可能性があります。和食中心のバランスの良い食事を心がけることで、においが軽減されることがあるとされています。ただし、食事だけでワキガが完治することはありません。あくまで補助的な対策として捉えてください。

質問:市販の制汗剤でワキガは治りますか?

回答:市販の制汗剤やデオドラント製品は、一時的ににおいを抑える効果はありますが、ワキガを根本的に治す効果はありません。においの原因であるアポクリン腺は残ったままであるため、制汗剤の効果が切れればにおいは再び発生します。軽度の症状であれば制汗剤で対応できることもありますが、中等度以上の症状の場合は医療機関での治療を検討することをお勧めします。

質問:ワキガは人にうつりますか?

回答:いいえ、ワキガは感染症ではないため、他人にうつることはありません。ワキガは遺伝的な体質によるものであり、接触や空気感染などで伝染することはありません。ただし、衣類についたにおいが他の衣類に移ることはあるため、洗濯の際には注意が必要です。

質問:ワキガの治療は保険が使えますか?

回答:医師が腋臭症と診断した場合、手術(剪除法)は保険適用で受けることができます。3割負担の場合、両側で約4万円から5万円程度の自己負担となります。また、重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合は、ボトックス注射も保険適用となります。ただし、ミラドライやビューホットなどの機器による治療は保険適用外の自費診療となります。


15. まとめ

本記事では、ワキガ(腋臭症)について、原因から治療法、日常生活でのケアまで幅広く解説してまいりました。

ワキガは、アポクリン腺から分泌される汗が皮膚の常在菌によって分解されることで生じる、特有のにおいを発する状態です。日本人の約10人に1人が持つ体質であり、遺伝的な要因(ABCC11遺伝子)が強く関与しています。

ワキガの症状でお悩みの方は、まず日常生活でのケア(清潔を保つ、制汗剤を使用する、わき毛を処理するなど)を試してみてください。それでも症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、医療機関での治療を検討することをお勧めします。

治療法には、保存的治療(外用薬、ボトックス注射)と根治療法(手術、ミラドライ)があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の症状や希望、生活スタイルに合った治療法を選択することが大切です。

与野エリアにお住まいの方は、大宮駅や浦和駅周辺の医療機関へのアクセスが良好です。JR京浜東北線やJR埼京線を利用すれば、短時間で移動できます。

ワキガは適切な治療により大幅に改善することが可能です。一人で悩まず、まずは専門の医療機関でカウンセリングを受けてみてください。あなたに合った治療法を見つけることで、においの悩みから解放され、より快適な毎日を送ることができるようになります。

アイシークリニック大宮院では、ワキガ・多汗症でお悩みの方に対し、丁寧なカウンセリングと適切な治療をご提案しております。お気軽にご相談ください。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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