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心療内科行ってはいけない人とは?精神科との違いや適切な受診先を解説

「心療内科を受診したいけれど、自分の症状で行っていいのかわからない」「心療内科と精神科の違いがわからない」という方は少なくありません。心療内科は心と体の両面からアプローチする診療科ですが、すべての心身の不調に対応できるわけではありません。症状によっては、心療内科ではなく別の診療科を受診したほうが適切なケースもあります。本記事では、心療内科と精神科の違いを踏まえながら、心療内科行ってはいけない人の特徴や、適切な医療機関の選び方について詳しく解説します。自分の症状に合った診療科を選ぶ参考にしてください。


目次

  1. 心療内科とは?精神科との違いを知ろう
  2. 心療内科行ってはいけない人とは?
  3. 統合失調症や重度の精神疾患がある場合
  4. 身体疾患(甲状腺機能異常など)が疑われる場合
  5. 認知症が疑われる場合
  6. 幻覚・妄想などの精神症状が強い場合
  7. 入院治療が必要な状態の場合
  8. 心療内科ではなく他の科を受診すべきケース
  9. 心療内科が適している人と症状
  10. 心療内科を受診する際の注意点
  11. 適切な医療機関を選ぶポイント
  12. まとめ
  13. よくある質問

心療内科とは?精神科との違いを知ろう

心療内科と精神科は、どちらも「こころ」に関わる診療科ですが、本来の専門領域には違いがあります。心療内科を受診するかどうかを判断するためにも、まずはこの違いを理解しておくことが大切です。

心療内科は、ストレスや心理的な要因によって体に症状が現れる「心身症」を主な対象とする診療科です。日本心身医学会では、心身症を「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態」と定義しています。つまり、体の病気でありながら、心理的なストレスが発症や経過に深く関わっているものを診る科といえます。

心療内科で扱う代表的な疾患には、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、本態性高血圧、片頭痛、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。これらは内科的な病気ですが、ストレスによって発症したり悪化したりする特徴があります。心療内科では、体の症状に対する治療と同時に、その背景にある心理的要因にもアプローチしていきます。

一方、精神科は心の病気そのものを専門とする診療科です。うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、パニック障害、強迫性障害、PTSDなどの精神疾患を診療します。幻覚や妄想、強い不安、気分の著しい変動など、精神的な症状が主な場合は精神科が適しています。厚生労働省のサイトでも、精神科は「心の症状や病気を専門として、心の病気そのものの治療を行う」と説明されています。

重要なポイントとして、神経症やうつ病などの精神疾患に伴う身体症状は、心身症の定義からは除外されます。つまり、うつ病で食欲がなくなったり眠れなくなったりする場合、これは心身症ではなく精神疾患の症状として扱われ、本来は精神科の領域となります。

ただし現代の日本では、多くのクリニックが「心療内科・精神科」と両方を標榜しており、実際には両方の疾患を診療しているケースが一般的です。特にクリニックでは軽症から中等症の精神疾患も心療内科で対応していることが多く、患者さんの立場からすると両者の区別は曖昧になっています。そのため、どちらを受診しても適切な治療を受けられることが多いですが、症状によっては最初から専門性の高い診療科を選んだほうがよい場合もあります。

心療内科行ってはいけない人とは?

「心療内科に行ってはいけない人」という言葉が検索されることがありますが、基本的に心療内科への受診自体が禁じられている人はいません。しかし、症状や状態によっては心療内科よりも適切な診療科がある場合や、心療内科だけでは十分な治療が難しい場合があります。ここでは、そのようなケースについて詳しく解説します。

心療内科は前述のとおり心身症を主な対象としているため、精神疾患が主体の場合や、身体疾患が隠れている場合、専門的な設備や入院が必要な場合などは、他の診療科を受診したほうが適切な治療を受けられます。自分の症状がどのカテゴリーに当てはまるかを知ることで、受診先を適切に選ぶことができます。

統合失調症や重度の精神疾患がある場合

統合失調症や双極性障害(躁うつ病)などの重度の精神疾患がある場合は、心療内科よりも精神科の受診が推奨されます。これらの疾患は脳の神経伝達物質のバランスが大きく崩れていることが原因とされており、専門的な精神科治療が必要です。

統合失調症は、脳の神経ネットワークの働きに障害が生じ、幻覚や妄想、意欲の低下、自閉、感情の鈍麻などの症状が現れる疾患です。約100人に1人の割合で発症するとされ、主に思春期から青年期に発症することが多いです。統合失調症は早期発見・早期治療が極めて重要で、治療が遅れると症状が進行し、回復が難しくなることがあります。抗精神病薬による薬物療法が治療の中心となり、精神科での専門的な管理が必要です。

双極性障害は、躁状態(異常に気分が高揚し、活動的になる)とうつ状態を繰り返す疾患です。躁状態では、自分が絶好調だと感じるため本人が病気を自覚しにくく、浪費や対人トラブルなどの問題行動につながることがあります。双極性障害の治療には気分安定薬や抗精神病薬が用いられ、薬物治療を継続することで再発を予防することが重要です。自己判断で服薬を中止すると再発リスクが高まるため、精神科での継続的な管理が欠かせません。

これらの疾患は心療内科の本来の専門領域ではないため、心療内科を標榜していても対応が難しいクリニックもあります。また、症状が重い場合は入院治療が必要になることもあり、入院設備のある精神科病院への受診が適切です。「精神科・心療内科」と標榜しているクリニックでも、重症例は精神科専門病院への紹介となることが多いです。

身体疾患(甲状腺機能異常など)が疑われる場合

精神的な症状があっても、その原因が身体の病気である場合があります。このような場合は心療内科ではなく、まず内科などで身体疾患の検査を受けることが重要です。身体疾患が原因で精神症状が出ている場合、原因となる病気を治療することで精神症状も改善することがあります。

代表的な例が甲状腺機能異常です。甲状腺ホルモンは体の代謝を調節するだけでなく、脳の機能や感情の安定にも深く関わっています。甲状腺機能低下症では、無気力、疲れやすさ、記憶力低下、集中力低下、抑うつなどの症状が現れ、うつ病や認知症と見分けがつかないことがあります。ある調査では、うつ病患者の約7.4%に甲状腺機能低下症が認められたという報告もあります。

一方、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、イライラ、落ち着きのなさ、集中力低下、多弁、不眠、不安、焦りなどの症状が現れます。これらは躁病やうつ病、不安障害の症状と似ており、精神疾患と誤診されることがあります。甲状腺機能亢進症では約31%に、甲状腺機能低下症では約56%にうつ病の合併がみられるという報告もあり、両者の関連は深いです。

甲状腺機能異常は血液検査で診断でき、多くの場合は内服薬での治療が可能です。甲状腺ホルモンを正常に保つことで精神症状が改善することも多いため、精神症状と同時に体重変化、発汗、寒がりまたは暑がり、動悸、むくみ、便秘や下痢などの身体症状がある場合は、まず内科や内分泌科で甲状腺機能を調べてもらうことをおすすめします。

そのほかにも、貧血、糖尿病、副腎皮質機能異常、ビタミン欠乏症、電解質異常なども精神症状を引き起こすことがあります。身体の病気が隠れている可能性があるため、精神症状だけでなく身体症状もある場合は、まず内科で検査を受けてから心療内科や精神科を受診するという順番も検討してください。

認知症が疑われる場合

物忘れや判断力の低下、性格の変化などがみられる場合、認知症の可能性があります。認知症は心療内科の専門領域ではないため、認知症が疑われる場合は脳神経内科、精神科、または「もの忘れ外来」を設置している医療機関を受診することが推奨されます。

認知症は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症など、原因となる疾患によって種類が分かれます。それぞれ症状の特徴や治療法が異なるため、正確な診断を受けることが重要です。特に、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など、手術によって改善が期待できる「治療可能な認知症」もあるため、早期に専門医の診察を受けることが大切です。

認知症の診断には、神経心理学検査(長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEなど)や脳画像検査(CTやMRI)が必要です。これらの検査設備を持たない心療内科クリニックでは十分な診断が難しいため、認知症が疑われる場合は最初から専門の医療機関を受診したほうがスムーズです。

なお、認知症の中には精神症状(幻覚、妄想、焦燥感、攻撃性、抑うつ、不安など)が強く現れるタイプもあります。このような場合は精神科での対応が適していることがあります。脳神経内科、精神科、もの忘れ外来など、どこを受診すべきか迷った場合は、まずかかりつけ医に相談するか、地域の認知症疾患医療センターに問い合わせてみることをおすすめします。

幻覚・妄想などの精神症状が強い場合

実際には存在しない声が聞こえる(幻聴)、存在しないものが見える(幻視)、「誰かに狙われている」「監視されている」などの強い思い込み(被害妄想)がある場合は、心療内科ではなく精神科の受診が適切です。これらの症状は統合失調症をはじめとする精神疾患の可能性があり、早期に専門的な治療を開始することが重要です。

幻覚や妄想がある状態は、本人にとっては非常にリアルな体験であり、周囲との認識のずれから対人関係のトラブルや社会生活の困難につながることがあります。また、症状が強い場合は自傷行為や他害行為のリスクもあるため、専門的な評価と治療が必要です。

心療内科クリニックの多くは外来診療が中心であり、幻覚・妄想などの重い精神症状には対応が難しいことがあります。入院治療が必要なケースもあるため、このような症状がある場合は最初から精神科、特に入院設備のある精神科病院を受診することをおすすめします。緊急性が高い場合は精神科救急への相談も検討してください。

入院治療が必要な状態の場合

症状が重く、入院治療が必要な状態の場合は、入院設備のある精神科病院を受診する必要があります。心療内科クリニックの多くは外来診療のみを行っており、入院が必要なケースには対応できません。

入院治療が検討されるのは、自殺念慮が強い場合、自傷行為が繰り返される場合、興奮や攻撃性が著しい場合、日常生活が全くできない状態の場合、家族などの支援者がいない状態で重症の場合などです。このような状況では、24時間体制で医療者がケアできる入院環境が必要です。

また、摂食障害の中でも重症の神経性やせ症(拒食症)で著しい低体重や身体合併症がある場合、薬物依存症やアルコール依存症で離脱症状の管理が必要な場合なども、入院治療が必要になることがあります。心療内科クリニックでは対応が難しいこれらのケースは、専門の医療機関への紹介が行われます。

なお、本人が受診を拒否している場合でも、訪問診療を行っている精神科を利用できる地域もあります。家族だけで対応に困っている場合は、保健所や精神保健福祉センターに相談することで、適切な医療機関の紹介を受けられることがあります。



心療内科ではなく他の科を受診すべきケース

ここまで述べてきた内容を整理し、心療内科ではなく他の診療科を受診したほうがよいケースをまとめます。自分の症状に当てはまるものがないか確認してみてください。

精神科を受診したほうがよいケースとしては、まず幻覚(幻聴、幻視など)や妄想がある場合が挙げられます。また、気分の波が激しく躁状態とうつ状態を繰り返す場合、強い自殺念慮や自傷行為がある場合、統合失調症や双極性障害と診断されている場合も精神科が適しています。アルコールや薬物への依存がある場合も、依存症を専門に診ている精神科や専門病院を受診するのがよいでしょう。

内科を受診したほうがよいケースとしては、精神症状とともに体重の急激な変化、発汗、動悸、むくみ、便秘・下痢などの身体症状がある場合が該当します。甲状腺機能異常など身体疾患が原因で精神症状が出ている可能性があるため、まず内科で検査を受けることをおすすめします。

脳神経内科を受診したほうがよいケースには、物忘れや判断力の低下が目立つ場合、手足の震えや動作の緩慢さがある場合(パーキンソン病など)、めまいや頭痛が続く場合、しびれや麻痺などの神経症状がある場合などがあります。認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患は脳神経内科の専門領域です。

脳神経外科を受診したほうがよいケースは、頭部外傷の後に精神症状が出た場合、慢性硬膜下血腫や脳腫瘍などが疑われる場合です。これらは画像検査で診断し、必要に応じて手術治療が行われます。

小児科を受診したほうがよいケースとしては、中学生以下の子どもで不登校やストレスによる体調不良がある場合が挙げられます。発達障害が疑われる場合も、まず小児科に相談するか、発達障害を専門に診ている医療機関を探すとよいでしょう。

判断に迷った場合は、まずかかりつけ医や総合病院の総合診療科を受診し、適切な診療科を紹介してもらうという方法もあります。

心療内科が適している人と症状

ここまで心療内科が適さないケースを説明してきましたが、では心療内科はどのような人に適しているのでしょうか。心療内科の本来の専門領域である心身症や、ストレス関連疾患を中心に解説します。

心療内科が最も適しているのは、ストレスが原因で体に症状が出ている場合です。仕事や人間関係のストレスで胃が痛くなる、緊張すると下痢をする、ストレスがかかると頭痛がひどくなるなど、心理的要因と身体症状の関連が明らかな場合は心療内科が専門です。

具体的な疾患としては、過敏性腸症候群(IBS)が代表的です。腹痛や腹部不快感を伴う下痢・便秘が繰り返されますが、検査をしても器質的な異常は見つかりません。ストレスで症状が悪化する特徴があり、心療内科での治療が効果的です。機能性ディスペプシアも同様で、胃もたれや胃痛、早期満腹感などの症状がありますが検査では異常が見つからず、ストレスとの関連が指摘されています。

緊張型頭痛や片頭痛もストレスとの関連が強い疾患です。ストレスで筋肉が緊張したり、血管の収縮・拡張が起こったりすることで頭痛が誘発されます。また、本態性高血圧もストレスで悪化することがあり、心身症としての側面を持っています。気管支喘息やアトピー性皮膚炎も、ストレスで症状が悪化することが知られています。

自律神経失調症も心療内科で多く診療される疾患です。動悸、息切れ、めまい、頭痛、倦怠感、冷え、しびれなど多彩な症状が現れますが、検査では異常が見つからないことが特徴です。ストレスや生活リズムの乱れで自律神経のバランスが崩れることで起こります。

軽度から中等度のうつ病や不安障害(パニック障害、社会不安障害など)も、多くの心療内科クリニックで対応しています。特に身体症状が強く出ているタイプのうつ病や不安障害は心療内科が得意とする領域です。適応障害(環境の変化やストレスに適応できずに精神的・身体的症状が出る状態)も心療内科で診療されることが多いです。

内科などで検査を受けても異常が見つからず、症状が続いている場合も心療内科を受診する目安になります。「原因不明」と言われた症状が、実はストレスと関連していることもあります。

心療内科を受診する際の注意点

心療内科を受診する際には、いくつかの注意点があります。適切な治療を受けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

まず、初診時には症状をできるだけ詳しく伝えることが大切です。いつから症状が始まったか、どのような状況で症状が出やすいか(悪化するか)、日常生活にどの程度支障が出ているかなどを整理しておくと、診察がスムーズに進みます。うまく話せるか不安な場合は、事前にメモを作成して持参するのも有効です。

薬物療法について不安がある場合は、正直に医師に伝えましょう。心療内科では薬物療法が行われることも多いですが、近年は依存性の強い薬の処方を避け、必要最小限の薬で治療する傾向があります。薬の副作用や依存性について心配がある場合は、医師に相談することで不安を解消できます。薬を使わない治療法(認知行動療法、カウンセリングなど)の選択肢についても相談してみてください。

処方された薬は、医師の指示どおりに服用することが重要です。自己判断で薬の量を変えたり、急に服用を中止したりすると、症状が悪化したり離脱症状が出たりすることがあります。特に抗うつ薬は効果が現れるまでに2〜4週間かかることが多いため、すぐに効果を感じられなくても継続することが大切です。減薬や休薬を希望する場合は、必ず医師と相談してください。

治療には時間がかかることを理解しておくことも大切です。心療内科で扱う疾患の多くは、ストレスや生活習慣、考え方のパターンなどが関わっているため、短期間で完治することは難しいことがあります。焦らずに治療を続けることが、回復への近道です。

医師との相性も重要です。心療内科では患者と医師のコミュニケーションが治療の重要な要素となるため、話しにくい、相性が合わないと感じた場合は、他のクリニックを探すことも選択肢の一つです。セカンドオピニオンを求めることも可能です。

適切な医療機関を選ぶポイント

心療内科や精神科を受診する際、どのような基準で医療機関を選べばよいか迷う方も多いでしょう。ここでは、適切な医療機関を選ぶためのポイントを紹介します。

まず、標榜している診療科を確認しましょう。「心療内科・精神科」と両方を標榜しているクリニックであれば、心身症だけでなく軽度から中等度の精神疾患にも対応できることが多いです。ただし、医師の専門が内科寄りか精神科寄りかで得意分野が異なることもあるため、可能であればホームページなどで医師の経歴や専門分野を確認しておくとよいでしょう。

通いやすさも重要なポイントです。心療内科の治療は長期にわたることが多いため、自宅や職場から通いやすい場所にあるクリニックを選ぶと継続しやすくなります。診療時間についても、仕事帰りに通いたい場合は夜間診療があるかどうかを確認しておきましょう。

予約の取りやすさも考慮しましょう。心療内科は予約が取りにくいクリニックも多いため、初診の予約がすぐに取れるかどうか、再診の予約がスムーズに取れるかどうかを事前に確認しておくと安心です。初診時に長く待たされると緊張が高まってしまうこともあるため、待ち時間についても確認しておくとよいでしょう。

カウンセリングや精神療法を重視したい場合は、臨床心理士や公認心理師が在籍しているかどうかを確認しましょう。医師の診察だけでなく、専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けられるクリニックもあります。認知行動療法など特定の精神療法を希望する場合は、その療法を実施しているかどうかを事前に問い合わせておくとよいでしょう。

判断に迷う場合は、まずかかりつけ医に相談するのも一つの方法です。かかりつけ医は地域の医療機関をよく知っており、患者の状態に合った医療機関を紹介してもらえることがあります。また、保健所や精神保健福祉センターでも、地域の精神科・心療内科に関する情報を提供してもらえます。

まとめ

本記事では、心療内科行ってはいけない人について、心療内科と精神科の違いを踏まえながら解説しました。心療内科への受診自体が禁じられている人はいませんが、症状によっては他の診療科のほうが適切な場合があります。

心療内科は、ストレスが原因で体に症状が出る心身症を主な対象とする診療科です。過敏性腸症候群や緊張型頭痛、自律神経失調症などは心療内科が得意とする領域です。一方、統合失調症や双極性障害などの重度の精神疾患、幻覚や妄想が強い場合、認知症が疑われる場合、入院治療が必要な場合などは、精神科や脳神経内科など他の診療科を受診したほうが適切な治療を受けられます。

また、精神症状の原因が甲状腺機能異常などの身体疾患である可能性もあるため、身体症状を伴う場合はまず内科で検査を受けることをおすすめします。

現代では多くのクリニックが心療内科と精神科を併設しており、どちらを受診しても適切に対応してもらえることが多いです。どの診療科を受診すべきか迷った場合は、かかりつけ医や保健所、精神保健福祉センターに相談することで、適切な医療機関を紹介してもらえます。

心身の不調を感じたら、一人で抱え込まずに早めに専門家に相談することが大切です。早期発見・早期治療によって、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。この記事が、適切な受診先を選ぶ参考になれば幸いです。

よくある質問

心療内科と精神科はどちらを受診すればよいですか?

ストレスが原因で体の症状(胃痛、頭痛、下痢など)が出ている場合は心療内科が適しています。一方、幻覚や妄想、強い気分の変動、重度のうつ症状など精神的な症状が主な場合は精神科が適しています。ただし、現在は両方を標榜しているクリニックが多いため、まず受診してみて必要に応じて他の診療科を紹介してもらうこともできます。

心療内科を受診すると薬漬けにされるのではないかと心配です

心療内科での治療は必ずしも薬物療法だけではありません。カウンセリングや認知行動療法などの精神療法、生活習慣の改善指導なども行われます。近年は依存性の強い薬の処方を避け、必要最小限の薬で治療する傾向があります。薬に対する不安がある場合は、正直に医師に伝えることで、薬を使わない治療法を相談することも可能です。

内科で検査をしても異常がないと言われましたが、体調不良が続いています。心療内科を受診すべきでしょうか?

内科で検査をしても器質的な異常が見つからないのに症状が続く場合、ストレスや心理的要因が関係している可能性があります。このような症状は心療内科の専門領域であり、心身両面からのアプローチで改善が期待できます。症状が続いて日常生活に支障が出ている場合は、心療内科を受診してみることをおすすめします。

心療内科の受診をためらっています。どのタイミングで受診すべきですか?

症状が2週間以上続いている場合、日常生活に支障が出ている場合、自分でも「いつもと違う」と感じる場合は受診を検討してください。精神疾患も身体の病気と同様に早期発見・早期治療が重要です。未治療期間が長くなるほど症状が重症化・慢性化するリスクが高まります。受診を迷っている段階で一度相談してみることをおすすめします。

家族が精神的な不調を抱えていますが、本人が受診を拒否しています。どうすればよいですか?

まずは家族だけで精神科や心療内科を訪ねて相談してみる方法があります。また、本人には「病気でないことを確認しに行こう」「念のための検診を受けよう」などと声をかけてみてください。本人が全く応じない場合は、保健所や精神保健福祉センターに相談することで、訪問診療を行っている医療機関を紹介してもらえることもあります。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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