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味覚障害の治し方|原因別の治療法から自宅でできるセルフケアまで徹底解説

「最近、食べ物の味がわからなくなった」「何を食べても美味しく感じない」そんな症状に悩んでいませんか。味覚障害は、近年の高齢化やストレス社会を背景に増加傾向にあり、国内だけでも年間24万人以上が医療機関を受診しているといわれています。味覚の異常は食事の楽しみを奪うだけでなく、栄養バランスの乱れや生活の質の低下にもつながりかねません。しかし、味覚障害の多くは、原因を特定して適切な治療を行えば改善が期待できます。本記事では、味覚障害の原因から治療法、自宅でできるセルフケアまで、最新の医学的知見をもとにわかりやすく解説します。味覚の異変に対する不安を解消し、改善への第一歩を踏み出すためのヒントをお伝えします。


目次

  1. 味覚障害とは?症状の種類と特徴
  2. 味を感じる仕組みと味蕾の役割
  3. 味覚障害の主な原因
  4. 味覚障害の検査と診断方法
  5. 味覚障害の治療法
  6. 自宅でできるセルフケアと予防法
  7. 味覚障害を改善するための食事と生活習慣
  8. 味覚障害で受診すべき診療科と治療期間の目安
  9. よくある質問

👅 味覚障害とは?症状の種類と特徴

味覚障害とは、食べ物の味を正しく感知できない状態を指します。単に味を感じにくくなるだけでなく、本来の味とは異なる味に感じたり、何を食べても同じ味に感じてしまったりするケースも含まれます。味覚障害の患者さんの男女比は2対3と女性の方が多い傾向にあり、特に中高年の女性に多いとされています。

📝 味覚障害の主な症状分類

味覚障害の症状は、大きく「量的異常」と「質的異常」に分けられます。

  • 量的異常:味の感じ方の強さが変わるもの
    • 味覚減退(味を薄く感じる)
    • 味覚消失(まったく味がしない)
  • 質的異常:味の感じ方の質が変わるもの
    • 異味症(本来の味と違う味がする)
    • 自発性異常味覚(何も口に入れていないのに苦みや塩味を感じる)
    • 味覚過敏(味を強く感じすぎる)
    • 悪味症(食べ物に嫌悪感を感じる)

具体的な症状としては、以下のようなものがあります:

  • 食べ物の味が薄く感じる、感じられない
  • 同じものを食べたのに、いつも感じている味と違う
  • 特定の味(甘さ、辛さなど)だけ感じられない
  • 口の中がいつも苦い、塩辛い
  • 何を食べても砂を噛んでいるように感じる

女性の場合、自分では味覚障害に気が付かなくても、人に料理を作った際に「前とは味付けが変わった」と指摘されて気付くケースもよく見られます。

味覚障害は、塩分や糖分の摂りすぎ、低栄養の原因となり、二次的な健康被害につながる恐れもあるため、気付いたら早めの対処が必要な病態です。長期にわたり味を感じにくい状態が続くと、味付けが濃くなり、塩分過多になって高血圧などの病気を引き起こす可能性もあります。また、食品の劣化や腐敗にも気付きにくくなるため、食の安全面でもリスクが生じます。

🧠 味を感じる仕組みと味蕾の役割

味を感じる仕組みを理解することは、味覚障害の原因や治療法を知る上で非常に重要です。私たちが食べ物の味を感じるのは、舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官の働きによるものです。

🔬 味蕾の構造と機能

味蕾は、舌の表面にあるブツブツとした赤い点の中に存在する微小な器官です。舌には以下の4種類の舌乳頭があります:

  • 茸状乳頭(味蕾あり)
  • 葉状乳頭(味蕾あり)
  • 有郭乳頭(味蕾あり)
  • 糸状乳頭(味蕾なし)

味蕾の中には味細胞があり、これが味覚受容体細胞として味物質を感知します。味蕾で感知した味は、味覚神経を通じて脳に伝達され、私たちは「味」として認識します。

人間が感じる基本的な味は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つです。これらの基本5味が組み合わさることで、私たちは多彩な味覚を楽しむことができます。なお、イチゴ味やバナナ味、コーヒーや紅茶の味といった複雑な風味は、厳密には「味覚」ではなく「風味」と呼ばれ、嗅覚が大きく関与しています。そのため、風邪などで鼻が詰まると、食べ物の味がわかりにくくなることがあります。

📉 味蕾の数と加齢による変化

味蕾の数は年齢とともに変化します:

  • 乳児:約10,000個
  • 成人:約5,000個
  • 高齢者:乳児の半数から3分の1程度

味覚障害の患者さんの半数以上が65歳以上の高齢者であるのは、この味蕾の減少が大きく関係しています。

味蕾の中にある味細胞は、約1か月に1回のサイクルで新陳代謝(ターンオーバー)を行い、常に新しい細胞に生まれ変わっています。この細胞の新陳代謝には「亜鉛」が必要不可欠であり、亜鉛が不足すると味細胞の再生が滞り、味覚障害を引き起こす原因となります。

高桑康太 医師・当院治療責任者

味覚障害の診療において、亜鉛は非常に重要な要素です。味蕾の細胞は約1か月で入れ替わりますが、この再生には亜鉛が必要不可欠です。日本は先進国の中でも亜鉛欠乏の割合が高く、食生活の変化や加工食品の摂取増加が影響していると考えられます。早期の診断と適切な亜鉛補充により、多くの患者さんで症状の改善が期待できます。

⚠️ 味覚障害の主な原因

味覚障害の原因は多岐にわたります。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルによると、味覚障害の原因別頻度では、以下の順となっています:

  1. 薬物性味覚障害:約21.7%
  2. 特発性:15.0%
  3. 亜鉛欠乏性:14.5%
  4. 心因性:10.7%
  5. 嗅覚障害、全身疾患性、口腔疾患など

🔋 亜鉛欠乏による味覚障害

亜鉛不足は味覚障害の原因の多くを占めます。亜鉛は、筋肉や骨を中心に、皮膚、肝臓、膵臓、前立腺など体内の多くの臓器に存在し、さまざまな酵素を構成する役割をもつ必須ミネラルです。

亜鉛欠乏が起こる原因:

  • 偏った食生活や過度なダイエット
  • 加工食品の摂りすぎ
  • アルコールの過剰摂取
  • 食品添加物(ポリリン酸やフィチン酸)による吸収阻害

日本臨床栄養学会の診断基準では:

  • 亜鉛欠乏症:血清亜鉛値60μg/dL未満
  • 潜在性亜鉛欠乏症:60~80μg/dL

日本は先進国の中でも亜鉛欠乏症の割合が高く、15~25%の方に認められると報告されています。

💊 薬剤性味覚障害

薬剤性味覚障害は、味覚障害の原因として最も多いものです。味覚障害を引き起こす可能性のある薬剤は400種類以上あるとされています。

味覚障害を起こしやすい薬剤:

  • 降圧薬
  • 利尿薬
  • 消化性潰瘍治療薬
  • 抗うつ薬
  • 抗菌薬
  • 糖尿病治療薬
  • 抗がん剤
  • 精神疾患治療薬

薬剤性味覚障害は、服用を開始してから2~6週間程度で症状が現れることが多いとされています。複数の薬剤を服用している高齢者では、薬剤の相互作用によって味覚障害が生じやすくなることもあります。

🏥 全身疾患に伴う味覚障害

以下の全身疾患によっても味覚障害が生じることがあります:

  • 糖尿病:患者の約4分の1に味覚障害が生じる
  • 慢性腎不全
  • 肝疾患
  • 甲状腺疾患
  • 鉄欠乏性貧血
  • シェーグレン症候群:唾液分泌が低下して口腔内が乾燥

👄 口腔疾患・嗅覚障害による味覚障害

以下の口腔疾患によっても味覚障害が起こります:

  • 舌炎
  • 口内炎
  • 口腔カンジダ症
  • ドライマウス(口腔乾燥症)
  • 舌苔(舌の表面に付着する白い汚れ)の蓄積

嗅覚と味覚は密接に関係しています。風邪や鼻炎などで鼻が詰まり嗅覚が低下すると、においがわかりにくくなるため食べ物の味が正しくわからず、味覚障害の症状を生じることがあります。このような状態を「風味障害」と呼びます。

😟 心因性・ストレスによる味覚障害

過度のストレスやうつ病が原因で、味覚が上手く機能しなくなることがあります。近年、ストレスなどが原因の心因性味覚障害の方が増加傾向にあります。心因性味覚障害は特に中高年の女性に多いとされています。

心因性味覚障害の特徴として、血液検査などで明らかな異常が見つからないにもかかわらず、味覚の異常を強く訴えることがあります。精神的なストレスが自律神経系に影響を与え、唾液分泌の低下や味覚神経の機能異常を引き起こすと考えられています。

🦠 新型コロナウイルス感染症に伴う味覚障害

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、発症早期に嗅覚・味覚障害が発生することが知られています。研究によると、回答者の約41%に味覚障害を認め、嗅覚障害・味覚障害ともに男性よりも女性に多く、年齢が若い人ほど症状が現れやすいという結果が報告されています。

新型コロナウイルス感染による味覚障害の多くは突然発症しますが、発症してから4週間以内に症状が改善する方がほとんどとされています。ただし、後遺症として長期間味覚障害が続くケースもあり、そのメカニズムについては現在も研究が進められています。

👴 加齢による味覚障害

味覚機能は50歳頃から低下し始めます。これは以下の要因が重なるためです:

  • 味蕾の数が減少
  • 唾液分泌量の減少
  • 服用薬剤の増加

高齢者では新生児期の半分から3分の1程度にまで味蕾の数が減少するといわれています。

ただし、年を取ってこってりした濃い味が苦手になっても、あっさり薄味でおいしく感じるのであれば味覚障害ではありません。

🧠 その他の原因

神経障害による味覚障害:

  • 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍
  • 頭部外傷
  • 顔面神経麻痺(ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群など)
  • 頭頸部がんの放射線治療
  • 中耳炎手術での鼓索神経損傷
  • 歯科治療での下顎孔の伝達麻酔による神経障害

🔍 味覚障害の検査と診断方法

味覚障害の診断では、原因を特定するためにさまざまな検査が行われます。まず問診で症状の経過、服用している薬、既往歴、生活習慣などを確認し、続いて口腔内の診察や各種検査を実施します。

📋 問診と視診

問診で確認する内容:

  • 症状がいつから始まったか
  • どのような味がわかりにくいか
  • 服用している薬はあるか
  • 全身疾患の有無
  • 食生活の状況
  • ストレスの有無

口腔内の視診で確認する項目:

  • 舌の状態(舌苔の付着、舌の乾燥、舌炎の有無)
  • 口腔粘膜の状態
  • 唾液の分泌状態
  • 口腔カンジダ症の有無
  • 義歯を使用している場合の適合状態

⚗️ 味覚機能検査

味覚の機能を評価する検査には、主に以下の2つがあります:

  • 電気味覚検査
    • 舌に微量の電気を流し、味を感じる閾値を測定
    • 21段階の電流強度で評価
    • 短時間で定量的な測定が可能
    • ペースメーカー装着者には実施不可
  • 濾紙ディスク法
    • 甘味、塩味、酸味、苦味の4つの基本味を5段階の濃度で評価
    • 味溶液を浸した小さな濾紙を舌の上にのせて評価
    • 味質別に定性検査が可能

🩸 血液検査

血液検査では、亜鉛、鉄、銅などの微量元素やビタミンの値を評価します。血清亜鉛値は味覚障害の診断において重要な指標です:

  • 基準値:80μg/dL以上
  • 亜鉛欠乏症:60μg/dL未満
  • 潜在性亜鉛欠乏症:60~80μg/dL未満

血清亜鉛値は午前中に比べ午後は約20%低下し、また食後にはさらに低下傾向を示すため、継時的に評価するには同じ時間帯、できれば早朝空腹時に測定することが望ましいとされています。

その他の検査項目:

  • 血清アルカリホスファターゼ(ALP):亜鉛欠乏を疑う指標
  • 鉄欠乏性貧血の有無
  • ビタミンB12欠乏症の有無
  • 糖尿病、腎機能、肝機能、甲状腺機能など

👃 嗅覚検査・その他の検査

味覚障害を訴える患者さんの中には、実際には嗅覚障害が主な原因である場合も少なくないため、嗅覚検査も重要です。味覚と嗅覚の両方を検査することで、どちらの障害が主たる原因かを判別できます。

その他の検査:

  • 唾液量測定(口腔内の乾燥が疑われる場合)
  • 頭部MRI検査(必要に応じて)
  • 胃・腸の内視鏡検査(必要に応じて)

💊 味覚障害の治療法

味覚障害の治療は、原因に応じて適切な方法を選択することが重要です。治療期間の目安は3~6か月とされており、即効性はありませんが、適切な治療を継続することで多くの患者さんで改善が期待できます

⚡ 亜鉛補充療法

味覚障害治療の基本は、不足している亜鉛を補充することです。亜鉛欠乏が確認された場合はもちろん、血清亜鉛値が正常範囲内であっても味覚障害がある場合には、亜鉛補充療法が有効なことがあります。

使用される薬剤:

  • 低亜鉛血症治療薬:酢酸亜鉛水和物(ノベルジン錠など)
  • 亜鉛含有胃潰瘍治療薬:ポラプレジンク

投与量:成人で50~150mg/日(亜鉛換算)を目安とし、血清亜鉛値や症状の改善度を見ながら調整

治療効果と期間:

  • 血清亜鉛値の改善:4~8週
  • 自覚症状の改善:通常3~6か月
  • 亜鉛欠乏性味覚障害の改善率:約73~77%
  • 平均治癒期間:約22.7週

副作用:

  • 嘔気、腹痛、便秘などの消化器症状
  • 長期間の亜鉛補充により銅欠乏や鉄欠乏を引き起こす可能性

そのため、治療中は3か月に1度程度、血液検査で亜鉛値だけでなく銅値や鉄値もモニタリングすることが推奨されています。

🚫 原因薬剤の中止・変更

薬剤性味覚障害が疑われる場合は、原因となっている薬剤の中止または変更を検討します。薬物性味覚障害では、発症後できるだけ早期に原因となる薬物を中止または変更した方が、症状の改善が見られることが多いとされています。

重要なポイント:

  • 自己判断での服薬中止は危険
  • 必ず主治医や薬剤師と相談
  • 薬を減らしたり、同じ効果で味覚障害を起こしにくい薬に変更
  • 原因薬剤の特定が難しい場合や中止できない薬剤の場合でも、亜鉛補充療法を併用

💉 鉄剤・ビタミン剤による治療

血液検査の結果に基づいた治療:

  • 鉄欠乏が確認された場合:鉄剤を補充
  • ビタミンB12欠乏が確認された場合:ビタミン剤を補充

特に鉄欠乏性貧血による舌炎(ハンター舌炎など)が原因の味覚障害では、鉄剤やビタミンB12を補充することで速やかに改善することも多いです。鉄欠乏性味覚障害の治療から改善までの平均期間は約21週間と報告されています。

💧 口腔乾燥に対する治療

口腔乾燥症(ドライマウス)が原因の場合の治療法:

  • 唾液分泌促進薬
    • 塩酸ピロカルピン
    • セビメリン塩酸塩
  • 人工唾液による口腔内の湿潤化
  • 基礎疾患の治療:シェーグレン症候群などがある場合

口腔内のケア:

  • 舌苔が厚くなっている場合:柔らかい歯ブラシなどで清掃
  • 保湿ジェルで潤す
  • 不適合な義歯がある場合:修理または再製作を検討

🌿 漢方薬による治療

原因が特定されない味覚障害や、亜鉛補充療法などで改善しない場合には、漢方薬による治療が行われることがあります。

味覚障害に対して用いられる漢方薬:

  • 補中益気湯
  • 十全大補湯
  • 八味地黄丸
  • 人参養栄湯
  • 六君子湯
  • 五苓散

漢方薬は患者さんの体質や症状に合わせて選択され、慢性疲労や冷えなどを改善して体調を整える目的でも処方されます。ただし、漢方薬も亜鉛内服療法と同様に即効性はなく、長期的な内服が必要となります。

🧠 心因性味覚障害の治療

心因性やストレスが原因と考えられる場合の治療法:

  • 抗不安薬
  • 抗うつ薬
  • 高齢者に対しては食欲増進効果のあるノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬

精神症状が強い患者さんに対しては、精神科や心療内科と連携して治療を進めることもあります。心因性味覚障害の治療から改善までの平均期間は約29.3週と報告されており、他の原因に比べてやや時間がかかる傾向があります。

🏥 全身疾患に対する治療

糖尿病、慢性腎臓病、肝疾患などの全身疾患が原因の場合は、基礎疾患のコントロールが重要です。これらの疾患の管理を適切に行うことで、味覚障害も改善することがあります。ただし、中止できない薬剤やコントロールが困難な全身疾患も多いため、亜鉛補充療法などを併用しながら対応します。

🏠 自宅でできるセルフケアと予防法

味覚障害の改善や予防には、日常生活でのセルフケアも重要です。医療機関での治療と併せて、以下のセルフケアを実践することで、より効果的な改善が期待できます。

🪥 口腔ケアの徹底

口腔内を清潔に保つことは、味覚障害の改善に重要です。以下のケアを実践しましょう:

  • 毎食後の歯磨きに加え、舌のブラッシングも実施
  • 舌苔の除去:柔らかい歯ブラシや舌ブラシで優しく清掃
  • 保湿ケア:保湿ジェル剤で舌を潤す
  • 食前後のうがい:レモン水や緑茶でうがい
  • 入れ歯のケア:毎食後に入れ歯を外して洗浄

💧 唾液分泌を促す工夫

唾液は味物質を味蕾に運ぶ重要な役割を担っているため、唾液分泌を促すことは味覚の改善につながります。

効果的な方法:

  • シュガーレスガムを噛む
  • シュガーレスキャンディをなめる(特にミントやレモン味)
  • こまめな水分摂取で口腔内の乾燥を防ぐ
  • レモン水や炭酸水でうがい
  • フレッシュジュースを頻回に口に含む

注意点:口内炎がある場合は、酸味のあるものや飴をなめることは刺激になるので避けましょう。

😌 ストレス管理と生活習慣の改善

ストレスは味覚障害の原因となるだけでなく、症状を悪化させる要因にもなります。

ストレス軽減のための生活習慣:

  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • リラクゼーション
  • 過度の飲酒を控える(亜鉛を体外に排出しやすくするため)
  • 禁煙(味覚に悪い影響を与えるため)

🥗 味覚障害を改善するための食事と生活習慣

味覚障害の改善と予防には、食事からの栄養摂取が重要な役割を果たします。特に亜鉛を中心とした栄養素を意識的に摂取することが大切です。

🦪 亜鉛を多く含む食品

亜鉛含有量の多い食品:

  • 牡蠣(かき):60g(約5粒)で7.9mg
  • うなぎ
  • 豚レバー:70gで4.8mg
  • 牛もも肉
  • 牛肩ロース:70gで3.9mg
  • 鶏レバー:70gで2.3mg
  • 煮干し
  • カシューナッツ
  • いりアーモンド
  • いりゴマ
  • 納豆
  • 精白米

亜鉛の1日の推奨摂取量:

  • 成人男性:10mg
  • 成人女性:8mg
  • 妊婦:10mg
  • 授乳婦:11mg

⬆️ 亜鉛の吸収を促進する食べ方

亜鉛の吸収を促進する食品:

  • クエン酸を含む食品:酢、レモンなど
  • 乳製品
  • 発酵食品

亜鉛の吸収を阻害する食品(注意が必要):

  • 食物繊維
  • フィチン酸(穀類、豆類に多い)
  • 食品添加物(特にポリリン酸)
  • 加工食品やファストフード

👨‍🍳 味覚障害がある時の調理の工夫

味覚障害があっても食事を楽しめるよう、調理方法を工夫することも大切です:

  • 香りやダシ、香辛料を活かした食事
  • 甘味や酸味の活用:寿司酢、レモン汁、ケチャップなど
  • 酢の酸味を活かした料理(塩味や醤油味が苦く感じる場合)
  • しその葉など薬味の風味を活かす
  • あんかけやソースにからめる(食感に違和感がある場合)
  • 冷たい料理:スムージーやそうめんなど

調理時の工夫:

  • 計量カップやスプーンを使って調味料を量る
  • 家族に味見をしてもらう
  • 市販の万能たれやレシピ通りの味付けを活用

🏥 味覚障害で受診すべき診療科と治療期間の目安

味覚障害を発症した場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いでしょう。また、治療期間についても事前に知っておくことで、安心して治療に取り組むことができます。

🩺 受診すべき診療科

味覚障害の場合、まず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。一番の理由は、嗅覚性味覚障害(匂いが分からなくて味が分からない)ということが意外に多いからです。

耳鼻咽喉科受診のメリット:

  • 嗅覚障害を確認できるのは耳鼻咽喉科だけ
  • 味覚と嗅覚の両方を適切に評価可能
  • 他の診療科を受診しても結局耳鼻咽喉科の受診が必要になることが多い

連携が必要な場合:

  • 基礎疾患がある場合:糖尿病内科、腎臓内科などと連携
  • 心因性の要因が強い場合:精神科や心療内科と連携

⏰ 治療期間の目安

味覚障害の治療期間は、原因や進行度合いによって異なりますが、一般的には3~6か月程度が目安とされています。

亜鉛補充療法の場合:

  • 血清亜鉛値の改善:4~8週
  • 自覚症状の改善:通常3~6か月

原因別の治療から改善までの平均期間:

  • 鉄欠乏性:約21週
  • 亜鉛欠乏性:約22.7週
  • 心因性:約29.3週
  • 特発性:約31.8週
  • 薬剤性:約43.2週

薬剤性味覚障害は他の原因に比べて改善に時間がかかる傾向があります。

⚡ 早期治療の重要性

味覚障害は、自覚症状が現れてから6か月以内に治療を開始した場合は約70%以上が改善する一方で、1年以上経過してから治療を開始した場合には約50%まで改善率が低下するとされています。

このため、味覚の異常を感じたら、早めに医療機関を受診することが重要です。治療は長期にわたることが少なくありませんが、急激な改善は期待できなくても、少しずつ改善を目指していくことが大切です。

⚡ 早期治療の重要性

❓ よくある質問

味覚障害は自然に治りますか?

風邪や新型コロナウイルス感染後の味覚障害など、一時的なものは自然に改善することがあります。特に新型コロナウイルス感染による味覚障害の場合、発症してから4週間以内に症状が改善する方がほとんどとされています。しかし、亜鉛欠乏や薬剤性などが原因の場合は、原因を取り除くか適切な治療を行わないと改善しにくいため、2週間以上症状が続く場合は医療機関を受診することをおすすめします。

亜鉛のサプリメントは味覚障害に効果がありますか?

亜鉛のサプリメントは味覚障害の改善に役立つ可能性があります。ただし、サプリメントを使用する場合は、他の薬との飲み合わせの問題があるため、事前に医師、薬剤師に相談することが重要です。また、亜鉛の過剰摂取は銅欠乏症や鉄欠乏性貧血を引き起こすリスクがあるため、自己判断での長期摂取は避け、できれば医療機関で血清亜鉛値を測定した上で、適切な量を摂取することをおすすめします。

ストレスで味覚障害になることはありますか?

はい、ストレスが原因で味覚障害となることがあります。これを心因性味覚障害といい、特に中高年の女性に多いとされています。過度のストレスやうつ状態が自律神経系に影響を与え、唾液分泌の低下や味覚神経の機能異常を引き起こすと考えられています。心因性味覚障害の場合、血液検査などで明らかな異常が見つからないことが多く、治療には抗不安薬や抗うつ薬が有効な場合があります。

味覚障害の治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

味覚障害の治療期間は原因によって異なりますが、一般的には3~6か月程度が目安です。亜鉛補充療法の場合、血清亜鉛値の改善は4~8週で認められますが、自覚症状の改善には通常3か月以上かかります。原因別では、鉄欠乏性が約21週、亜鉛欠乏性が約22.7週、心因性が約29.3週、薬剤性が約43.2週と報告されています。早期に治療を開始するほど改善率が高いため、症状に気づいたら早めに受診することが重要です。

味覚障害と嗅覚障害の違いは何ですか?

味覚障害は舌の味蕾で感じる甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの基本味が正しく感知できない状態です。一方、嗅覚障害はにおいを感じる機能の異常です。両者は密接に関連しており、嗅覚が低下すると食べ物の風味がわかりにくくなり、味覚障害と似た症状を呈することがあります(これを風味障害といいます)。味覚障害を訴える患者さんの中には、実際には嗅覚障害が主な原因である場合も少なくないため、耳鼻咽喉科で両方の検査を受けることが重要です。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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