「うちの子は他の子と少し違う気がする」「友達との関わり方が独特で心配」「特定のことに強いこだわりを見せる」——このような不安を抱えている保護者の方は少なくありません。お子さまの行動や発達に気になる点がある場合、アスペルガー症候群(現在は自閉スペクトラム症に統合)の可能性を考えることもあるでしょう。アスペルガー症候群は知的な発達や言語の遅れを伴わないことが多いため、幼少期には「個性」として見過ごされやすく、就学後や成人してから初めて診断されるケースも珍しくありません。本記事では、子どものアスペルガー症候群に関する基本的な知識から、診断テストの種類や内容、早期発見の重要性、相談先や支援制度まで、保護者の方が知っておきたい情報を詳しく解説します。お子さまの特性を正しく理解し、適切なサポートにつなげるための参考にしていただければ幸いです。
目次
- アスペルガー症候群とは?基本的な知識を理解しよう
- 子どものアスペルガー症候群に見られる特徴
- 乳幼児期・幼児期に見られるサイン
- 学童期以降に気づかれる特徴
- アスペルガー症候群の診断テストとは
- 医療機関で行われる主な検査・評価
- セルフチェックの活用方法と注意点
- 診断テストを受けるまでの流れ
- 早期発見・早期支援の重要性
- 診断後に受けられる支援と相談先
- 家庭でできるサポートと関わり方のポイント
- よくある質問
この記事のポイント
アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は知的・言語発達の遅れが少なく見逃されやすいが、M-CHATやADOS-2など複数の診断検査を組み合わせた早期発見・療育開始が二次障害予防と健全な発達支援に不可欠である。
🧠 アスペルガー症候群とは?基本的な知識を理解しよう
📚 アスペルガー症候群の定義と歴史
アスペルガー症候群は、1944年にオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーによって初めて報告された発達障害の一つです。長らく注目されていませんでしたが、1980年代にイギリスの児童精神科医ローナ・ウィングによって再発見され、世界的に知られるようになりました。
特徴として以下が挙げられます:
- 対人関係やコミュニケーションの困難さ
- 特定のものや行動への強いこだわり
- 知的発達や言語発達に大きな遅れがない
2013年にアメリカ精神医学会が発行した診断基準「DSM-5」において、それまで別々に診断されていた「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などは「自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)」という一つの診断名に統合されました。2022年に発行された「DSM-5-TR」でもこの分類は維持されています。そのため、医療現場では現在「自閉スペクトラム症」という診断名が使用されますが、一般的にはアスペルガー症候群という名称も広く認知されているため、本記事ではアスペルガー症候群という表現も併用しながら解説を進めます。
🌈 自閉スペクトラム症における位置づけ
「スペクトラム」という言葉は「連続体」を意味します。自閉スペクトラム症は、症状の現れ方や程度が人によって大きく異なり、軽度から重度まで連続的に存在することを表しています。かつてアスペルガー症候群と呼ばれていた状態は、自閉スペクトラム症の中でも知的障害を伴わず、言語発達にも顕著な遅れがないタイプを指します。
自閉スペクトラム症に共通する特性としては、大きく分けて2つの領域があります:
- 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応の持続的な困難
- 行動、興味、または活動における限定された反復的な様式
これらの特性は幼少期から認められますが、その現れ方や程度は一人ひとり異なります。
📊 有病率と男女比
自閉スペクトラム症の有病率は研究によって異なりますが、おおむね人口の1〜2%程度とされています。日本においては、弘前大学の研究により5歳児における有病率が約3.22%と報告されるなど、近年では3〜5%程度という推定もあります。日本自閉症協会では、人口に対しておよそ20〜40人に1人(2.5〜5%)の割合で自閉スペクトラム症の方が存在するとしています。
男女比については、従来は男性に多い(約4:1)とされてきましたが、近年の研究では女性の自閉スペクトラム症は診断が難しく見逃されやすい傾向があることが指摘されています。女性は社会的なコミュニケーションを模倣する能力が高い場合があり、特性が目立ちにくいことが要因の一つと考えられています。
🧬 原因について
アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症の原因は、現在も研究が進められていますが、遺伝的要因と環境的要因が複雑に関係していると考えられています。
要因として考えられるもの:
- 複数の遺伝子の関与
- 両親の年齢
- 低出生体重
- 妊娠中の母体感染症
重要なことは、自閉スペクトラム症は先天的な脳の発達の特性であり、親の育て方やしつけ、愛情の注ぎ方が原因ではないということです。「自分の育て方が悪かったのではないか」と自責の念を抱く保護者の方もいらっしゃいますが、そのような心配は必要ありません。
Q. アスペルガー症候群は現在どのような診断名で呼ばれていますか?
アスペルガー症候群は2013年のDSM-5改訂により、「自閉スペクトラム症(ASD)」に統合されました。知的障害や言語発達の遅れを伴わないタイプを指し、医療現場では現在「自閉スペクトラム症」という診断名が使用されています。
👶 子どものアスペルガー症候群に見られる特徴
🤝 対人関係・社会性の特徴
アスペルガー症候群の子どもには、対人関係や社会性において以下のような特徴が見られることがあります。
- 友達と仲良くしたいという気持ちはあるが、友達関係をうまく築くことが困難
- 非言語的なコミュニケーション(表情・しぐさ・声のトーン)を読み取ることが苦手
- 場の空気を読むことの困難さ
- 相手の気持ちや立場を推測することの困難
- 悪気なく相手を傷つける発言をしてしまうことがある
会話においては、自分の興味のある話題について一方的に話し続ける傾向があります。相手が興味を示していないことに気づきにくかったり、冗談や皮肉、比喩を文字通りに受け取ってしまい、誤解が生じることもあります。目を合わせることが苦手な場合や、逆に不自然なほど見つめてしまう場合もあります。
🔄 こだわりの特徴
特定の物事に対する強いこだわりも、アスペルガー症候群の特徴的な症状の一つです。
- 興味のある分野については非常に詳しく、大人顔負けの知識を持っている
- 興味のないことに対しては関心を示さず、取り組むことが困難
- 決まったルーティンを好む
- 予定の変更や新しい環境への適応に強い抵抗
- 「いつもと同じ」であることに安心感を覚える
- 急な変更でパニックや強い不安を感じることがある
👂 感覚の特性
感覚面においても特性が見られることがあります。
- 感覚過敏:特定の音・光・におい・触感などに対して過敏に反応
- 感覚鈍麻:刺激に対する反応が鈍い
- 特定の素材の服が着られない
- 騒がしい場所が苦手
- 特定の食べ物の食感が受け入れられない
🏃♂️ 運動面の特徴
運動面では、協調運動(複数の動作を同時に行うこと)が苦手な場合があります。
- ボールを投げたり受け取ったりすることの困難
- 縄跳びの困難
- 自転車に乗ることの困難
- 手先の不器用さ
👶 乳幼児期・幼児期に見られるサイン
自閉スペクトラム症の特性は、早い場合には1歳半頃から気づかれることがあります。乳幼児期に見られる可能性のあるサインを知っておくことは、早期発見・早期支援につながる重要なポイントです。
🍼 0歳〜1歳頃
この時期に見られる可能性のあるサイン:
- 目を合わせようとしても焦点が合わない
- 微笑み返しが少ない
- 後追いをしない
- 抱っこを好まない
- あやしても反応が乏しい
ただし、この時期は個人差が大きく、これらのサインがあっても必ずしも自閉スペクトラム症とは限りません。
🗣️ 1歳〜2歳頃
この時期の特徴的なサイン:
- 言葉の発達に遅れ
- 指さしが少ない(特に叙述の指さし「ワンワンいたね」など)
- 名前を呼んでも振り向かない
- 模倣(まねっこ)が少ない
この時期は、1歳6ヶ月児健康診査(1歳半健診)が実施される時期です。健診では、言葉の発達、指さしの有無、模倣の様子などが確認されます。気になる点がある場合には、保健師や医師に相談することで、適切な支援につなげることができます。
🎭 2歳〜3歳頃
2歳を過ぎると、同年代の子どもとの関わり方の違いが目立ち始めることがあります:
- 他の子どもと一緒に遊ぶよりも一人遊びを好む
- ごっこ遊びに興味を示さない
- 特定のおもちゃや遊び方にこだわる
3歳児健康診査(3歳児健診)では、言語発達、社会性の発達、コミュニケーション能力などがより詳しく確認されます。自閉スペクトラム症の多くは3歳までに診断が可能とされており、この時期の健診は早期発見において重要な役割を果たしています。
🎯 アスペルガー症候群の場合の特徴
アスペルガー症候群(知的障害や言語発達の遅れを伴わないタイプ)の場合、乳幼児期には特性が目立ちにくいことがあります。
- 言葉の発達は順調で、むしろ早い場合もある
- 知的能力も高いため、学習面での困難が少ない
- 「ちょっと変わった子」「マイペースな子」として認識される
そのため、就学前の健診では見逃されることもあり、集団生活が本格的に始まる小学校入学後に問題が顕在化するケースも少なくありません。最近では、発達障害の早期発見を目的として5歳児健診を実施する自治体も増えています。
Q. 子どものアスペルガー症候群を診断する主な検査にはどんなものがありますか?
主な検査として、乳幼児向けスクリーニングのM-CHAT、自閉症傾向を測定するAQ、保護者面接によるPARS-TR、行動観察に基づくADOS-2、そしてWISC-Vなどの知能検査が挙げられます。一つの検査だけでなく複数を組み合わせて医師が総合的に診断します。
🏫 学童期以降に気づかれる特徴
小学校に入学すると、集団生活の中でアスペルガー症候群の特性がより顕著になることがあります。学童期以降に気づかれやすい特徴について解説します。
👥 集団生活での困難
学校生活では、暗黙のルールや「空気を読む」ことが求められる場面が増えます。
- 明文化されていないルールの理解が困難
- 「なぜみんなが当たり前にできることができないのか」と誤解される
- グループ活動や協同作業での困難
- 自分のペースを崩すことが難しい
👫 友人関係の構築の難しさ
休み時間の過ごし方や友達との関わり方において、孤立しやすい傾向があります:
- 会話のキャッチボールが困難
- 相手の冗談が理解できない
- 自分の興味のない話題には参加しない
- 友人関係がうまく築けない
- いじめの対象になりやすい場合もあり、注意が必要
📚 学業面での特徴
知的能力が高い場合、学業成績は優秀なことが多いです:
- 興味のある科目では突出した能力を発揮
- 興味のない科目には取り組む意欲が低い
- 成績に大きなばらつきが見られる
- 文字通りの理解をするため、国語の読解問題や作文で登場人物の心情推測が苦手
⚠️ 二次的な問題の出現
適切な支援を受けられないまま学校生活を送ると、二次的な問題(二次障害)が生じることがあります:
- 自己肯定感の低下
- 不登校
- うつ状態
- 不安障害
「自分はみんなと違う」「努力してもうまくいかない」という経験の積み重ねが、心の健康に影響を与えることがあるため、早期の発見と適切な支援が重要です。
🔍 アスペルガー症候群の診断テストとは
アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症の診断は、医師が問診や行動観察、各種検査の結果を総合的に判断して行います。「診断テスト」という言葉がよく使われますが、一つのテストで診断が確定するわけではなく、複数の評価方法を組み合わせて行われます。
🎯 診断テストの目的
診断テストの目的は、お子さまに自閉スペクトラム症の特性があるかどうかを客観的に評価し、適切な支援につなげることです。
診断を受けることのメリット:
- お子さまの特性を正しく理解できる
- 「なぜこのような行動をするのか」が分かる
- 保護者や周囲の大人が適切な関わり方を学べる
- 必要な支援や配慮を受けるための根拠となる
- 学校での合理的配慮、福祉サービスの利用、療育の開始などが可能
📋 スクリーニング検査と診断確定検査の違い
発達障害に関する検査は、大きく「スクリーニング検査」と「診断を確定するための検査」に分けられます。
スクリーニング検査:
- 自閉スペクトラム症の可能性がある人を見つけ出すための検査
- 比較的短時間で実施可能
- 質問紙形式のものが多い
- より詳しい検査を受ける必要があるかの判断材料
診断を確定するための検査:
- 専門家による詳細な面接や行動観察を含む包括的な評価
- DSM-5やICD-11などの国際的な診断基準に基づく
- 医師が総合的に判断
Q. アスペルガー症候群の早期発見が重要な理由は何ですか?
幼児期は脳の発達が著しく、早期に療育を開始することでコミュニケーション能力や社会性の向上が期待できます。また、特性が見過ごされると「怠け」などの誤解や自己肯定感の低下、うつ・不安障害といった二次障害のリスクが高まるため、早期発見と適切な支援が不可欠です。
🏥 医療機関で行われる主な検査・評価
ここでは、医療機関で実際に行われることの多い検査や評価方法について解説します。
📝 M-CHAT(乳幼児期自閉症チェックリスト)
M-CHAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers)は、生後16ヶ月〜30ヶ月の乳幼児を対象とした自閉スペクトラム症のスクリーニング検査です。
- 保護者がお子さまの普段の様子について「はい」「いいえ」で回答
- 質問紙形式で23項目の質問で構成
- 1歳6ヶ月児健康診査で活用されることが多い
- 早期発見に重要な役割
M-CHATで陽性(要注意)と判定された場合は、より詳しい評価を受けることが推奨されます。ただし、M-CHATだけでは自閉スペクトラム症の診断はできないため、あくまでスクリーニングの一つとして位置づけられています。
📊 AQ(自閉症スペクトラム指数)
AQ(Autism Spectrum Quotient)は、英国の心理学者サイモン・バロン=コーエンらによって開発された、自閉スペクトラム症の傾向を測定するための質問紙です。
- 成人用(16歳以上)の自己記入式
- 児童用(6〜15歳)の保護者記入式
- 50項目の質問に対して4段階で回答
- 5つの領域について評価:「社会的スキル」「注意の切り替え」「細部への注意」「コミュニケーション」「想像力」
- 33点以上の場合は自閉スペクトラム症の傾向が高いとされる
AQはあくまで自閉症傾向を測定するためのものであり、この検査だけで診断が確定するわけではありません。医師が総合的な判断を行う際の参考資料として使用されます。
🎤 PARS-TR(親面接式自閉スペクトラム症評定尺度)
PARS-TR(Parent-interview ASD Rating Scale-Text Revision)は、日本で開発された自閉スペクトラム症の評価尺度です。
- 検査者が母親(または主な養育者)と半構造化面接を行う
- 57項目の質問で構成
- 3つのライフステージに対応:幼児期、児童期、思春期以降
- 幼児期のピーク時と現在の行動特徴を評価
- 発達の経過を把握するのに有用
- 保護者自身がお子さまの特性について理解を深める機会にもなる
👁️ ADOS-2(自閉症診断観察検査)
ADOS-2(Autism Diagnostic Observation Schedule, Second Edition)は、世界的に使用されている自閉スペクトラム症の診断に特化した行動観察検査です。
- 検査者がお子さまと直接関わりながら観察・評価
- 評価内容:コミュニケーション、社会的相互作用、遊び、想像力など
- 対象年齢や言語能力に応じて複数のモジュール
- 幼児から成人まで幅広く使用可能
- 標準化された検査で国際的な診断基準(DSM-5)に基づく判定が可能
- 専門的なトレーニングを受けた検査者が実施
💬 ADI-R(自閉症診断面接改訂版)
ADI-R(Autism Diagnostic Interview-Revised)は、保護者への詳細な面接を通じて、お子さまの発達歴や行動の特徴を評価する診断尺度です。
- 対象:2歳0ヶ月以上から成人まで
- 評価する3つの領域:相互的対人関係、コミュニケーション、限定的・反復的な行動様式
- ADOS-2が本人の行動観察に基づく評価
- ADI-Rは保護者からの情報に基づく評価
- 両者を組み合わせることで、より包括的な評価が可能
🧠 知能検査・発達検査
自閉スペクトラム症の診断においては、知能検査や発達検査も重要な役割を果たします。
WISC-V(ウェクスラー式知能検査):
- 対象:6歳0ヶ月〜16歳11ヶ月
- 全体的な知的能力に加えて領域別の能力を測定
- 測定領域:言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度
- 得意・不得意の偏りを把握し、支援の手がかりを得る
田中ビネー知能検査V:
- 対象:2歳から成人まで
- 問題が年齢尺度により構成
- 発達レベルと比較しやすい
- 就学前のお子さまの発達状態把握に適している
新版K式発達検査:
- 対象:0歳から成人まで
- 3つの領域について発達の状態を評価:「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」
✅ セルフチェックの活用方法と注意点
インターネット上には、自閉スペクトラム症やアスペルガー症候群のセルフチェックリストが多数公開されています。これらのセルフチェックは、自己理解を深めたり、専門機関への相談を検討するきっかけとして活用することができます。
✨ セルフチェックのメリット
セルフチェックには以下のようなメリットがあります:
- 自分の(またはお子さまの)特性について客観的に振り返るきっかけ
- 専門機関への相談を検討する際の判断材料
- インターネット上で手軽に試せる
- まずは気軽に自分の傾向を知りたいという方に有用
⚠️ セルフチェックの限界と注意点
一方で、セルフチェックには限界があることも理解しておく必要があります。
重要な注意点:
- セルフチェックの結果だけでは自閉スペクトラム症の診断はできない
- 医学的な診断は、問診、行動観察、各種検査の結果を総合して医師が行う
- 「傾向がある」という結果でも必ずしも診断に至るとは限らない
- 「傾向がない」という結果でも専門家の評価では診断に至る場合もある
- インターネット上のセルフチェックは信頼性や妥当性が十分に検証されていないものも含まれる
- 自己判断で過度に心配したり、逆に安心したりしない
気になる点があれば専門家に相談することが重要です。
Q. 子どもの発達が気になるとき、最初にどこへ相談すればよいですか?
まずは市区町村の保健センターや子育て支援センター、発達障害者支援センターへの相談が窓口として適しています。乳幼児健診での保健師相談や、幼稚園・学校の担任・スクールカウンセラーも有効です。専門的評価が必要と判断された場合は、小児科発達外来や児童精神科を受診します。
🔄 診断テストを受けるまでの流れ
お子さまの発達に気になる点がある場合、どのような流れで相談・受診すればよいのでしょうか。一般的な流れを解説します。
1️⃣ ステップ1:まずは相談窓口へ
最初のステップとして、身近な相談窓口に相談することをおすすめします。
主な相談窓口:
- 市区町村の保健センター
- 子育て支援センター
- 発達障害者支援センター
- 乳幼児健診での保健師相談
- 幼稚園や保育園、学校の担任の先生
- スクールカウンセラー
2️⃣ ステップ2:医療機関の受診
相談の結果、専門的な評価が必要と判断された場合は、医療機関を受診することになります。
発達障害の診断ができる医療機関:
- 小児科(発達外来)
- 児童精神科
- 小児神経科
ただし、発達障害を専門的に診療できる医療機関は限られており、予約から受診までに数ヶ月かかることも珍しくありません。
地域の発達障害者支援センターに相談すると、専門の医療機関を紹介してもらえることがあります。かかりつけの小児科医がいる場合は、まず相談してみるのもよいでしょう。
3️⃣ ステップ3:診察・検査
医療機関では、問診、行動観察、各種検査を通じて評価が行われます。
初診で聞かれる内容:
- これまでの発達の経過
- 現在の困りごと
- 家族歴
持参すると参考になる資料:
- 母子手帳
- 通知表
- 幼稚園・保育園の連絡帳
検査は複数回に分けて行われることが多く、診断が確定するまでに数週間〜数ヶ月かかることもあります。焦らず、お子さまのペースに合わせて進めることが大切です。
4️⃣ ステップ4:診断と支援計画
検査の結果を踏まえて、医師から診断と今後の支援についての説明があります。
自閉スペクトラム症と診断された場合の支援:
- 療育の開始
- 学校への配慮のお願い
- 福祉サービスの利用
診断がつかなかった場合でも、お子さまに困りごとがある場合はサポートを受けることができます。「グレーゾーン」と呼ばれる、診断基準は満たさないものの何らかの困難を抱えている状態でも、適切な支援は重要です。
🌱 早期発見・早期支援の重要性
自閉スペクトラム症、特にアスペルガー症候群は知的な遅れを伴わないため、「もう少し様子を見よう」と対応が遅れることがあります。しかし、早期に発見し、適切な支援を開始することには大きな意義があります。
🧠 脳の可塑性を活かした発達支援
幼児期は脳の発達が著しい時期であり、この時期に適切な働きかけを行うことで、発達を促す効果が期待できます。早期に療育を開始することで、コミュニケーション能力や社会性を伸ばすことができる可能性があります。
🛡️ 二次障害の予防
自閉スペクトラム症の特性そのものは生涯にわたって存在しますが、適切な支援を受けることで、二次的な問題を予防することができます。
特性に気づかれないまま過ごした場合のリスク:
- 「怠けている」「わがまま」などの誤解を受け続ける
- 自己肯定感が低下
- うつ病や不安障害などの精神的な問題
早期に特性を理解し、周囲が適切に関わることで、お子さまが自分らしく成長できる環境を整えることができます。
👨👩👧👦 家族への支援
診断を受けることで、保護者自身もお子さまの特性を理解し、適切な関わり方を学ぶことができます。
家族への効果:
- 「育て方が悪いのではないか」という自責の念から解放
- 前向きに支援に取り組めるようになる
- 同じ悩みを持つ保護者同士のつながりができる
- 精神的なサポートを得ることができる
🤝 診断後に受けられる支援と相談先
自閉スペクトラム症と診断された後、どのような支援を受けることができるのでしょうか。主な支援と相談先について解説します。
🎯 療育(発達支援)
療育は、自閉スペクトラム症のお子さまに対する支援の基本です。お子さまの特性に合わせたプログラムを通じて、コミュニケーション能力、社会性、日常生活スキルなどを育みます。
療育の提供形態:
- 児童発達支援(未就学児対象)
- 放課後等デイサービス(就学児対象)
- 公的な療育センター
- 民間の事業所
利用にあたっては「通所受給者証」が必要で、市区町村の障害福祉課などで申請手続きを行います。
🎓 特別支援教育
学校においては、特別支援教育による支援を受けることができます。
支援の形態:
- 通常の学級に在籍しながら通級指導教室で個別の支援
- 特別支援学級に在籍
- 合理的配慮:お子さまの特性に応じた配慮
合理的配慮の例:
- スケジュールの視覚的な提示
- 座席位置の配慮
- テストの時間延長
🏢 発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある方とその家族を総合的に支援する専門機関です。
提供される支援:
- 相談支援
- 発達支援
- 就労支援
- 普及啓発
- ライフステージを通じた切れ目のない支援
- 医療機関や福祉サービス、教育機関などとの連携
👨👩👧👦 ペアレントトレーニング
ペアレントトレーニングは、保護者がお子さまとの適切な関わり方を学ぶためのプログラムです。
学習内容:
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
アスペルガー症候群の子どもたちは、社会的なコミュニケーションに困難を感じても、それは本人の努力不足ではありません。脳の情報処理の仕方の違いによるものであり、適切な理解とサポートがあれば、その子なりの方法で人とのつながりを築いていくことができます。周囲の大人が特性を理解し、具体的で分かりやすいコミュニケーションを心がけることが重要です。