「最近、お腹周りの脂肪が気になる」「便秘がちで体が重い」――そんなお悩みをお持ちの方に注目されている漢方薬が、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。防風通聖散は、18種類もの生薬を配合した漢方薬で、脂肪の分解・燃焼を促進するとともに、便秘やむくみの改善にも効果が期待できます。 近年では、内臓脂肪を減少させる効果が臨床試験でも確認され、肥満症やメタボリックシンドロームの治療薬として医療現場でも広く処方されています。本記事では、防風通聖散の効果や作用機序、服用に適した体質、副作用と注意点まで、医学的根拠に基づいて詳しく解説します。 漢方薬は体質に合わせて選ぶことが重要ですので、ご自身に合っているかどうかを確認するための参考にしていただければ幸いです。
目次
- 防風通聖散とは
- 防風通聖散に期待できる効果・効能
- 18種類の生薬とその作用
- 防風通聖散が向いている人・向いていない人
- 臨床試験で示されたエビデンス
- 正しい服用方法と服用期間
- 副作用と注意点
- 市販薬と医療用の違い
- 他の肥満改善漢方薬との比較
- よくある質問
- まとめ
この記事のポイント
防風通聖散は18種類の生薬を配合した漢方薬で、内臓脂肪減少・便秘改善・むくみ解消の効果が臨床試験で確認されている。体力充実の「実証」タイプに適し、虚弱体質や胃腸が弱い方には不向き。食事・運動との併用でより効果を発揮する。
🌿 防風通聖散とは
防風通聖散は、中国の古典的な医学書である「宣明論(せんめいろん)」に収載されている、約800年以上の歴史を持つ漢方薬です。元々は風邪の初期症状や発熱に対して使用されていた処方ですが、その体内の余分なものを排出する働きが体質改善にも効果的であることが分かり、現代では主に肥満症の治療に用いられるようになりました。
東洋医学において、防風通聖散は暴飲暴食などによって体内に蓄積した「毒」(食毒、水毒など)を改善する処方と考えられています。体内にこもった熱を冷まし、発散させ、血液循環を良くし、体表の余分な水分を除き、毒素を排出するという多面的な作用を持っています。
現在、日本では医療用医薬品として保険適用が認められており、ツムラやクラシエなどの製薬会社から製品が販売されています。また、一般用医薬品(OTC医薬品)としても、ナイシトール(小林製薬)やコッコアポ(クラシエ)などの商品名で広く市販されています。保険適用漢方エキス製剤の中で、18種類という構成生薬数は最も多く、これが多面的な効果をもたらす理由の一つとなっています。
Q. 防風通聖散はどんな漢方薬ですか?
防風通聖散は約800年以上の歴史を持つ漢方薬で、18種類の生薬を配合しています。内臓脂肪の減少・便秘改善・むくみ解消など多面的な効果を発揮し、肥満症の治療薬として日本では医療用医薬品として保険適用も認められています。
✨ 防風通聖散に期待できる効果・効能
防風通聖散の添付文書に記載されている効能効果は、「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:肥満症、高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)」とされています。特に注目すべき効果について、詳しく見ていきましょう。
🔥 脂肪の分解・燃焼効果
防風通聖散の最も注目される効果は、内臓脂肪および皮下脂肪の減少作用です。この効果は複数のメカニズムによってもたらされます。
まず、構成生薬の麻黄(マオウ)と防風(ボウフウ)には交感神経を刺激する作用があり、これにより脂肪細胞が活性化されて脂肪の分解が促進されます。また、山梔子(サンシシ)にも脂肪分解・燃焼効果への関与が確認されています。
さらに最近の研究では、防風通聖散が褐色脂肪組織の熱産生を活性化し、安静時エネルギー代謝における脂質利用率を高めることが明らかになっています。つまり、じっとしている状態でも脂肪がエネルギーとして使われやすくなるのです。
💊 便秘改善効果
防風通聖散には、便秘を改善する作用を持つ生薬が複数含まれています。
- 大黄(ダイオウ):腸の粘膜を刺激して蠕動運動を活発にする
- 芒硝(ボウショウ):腸内の水分量を調節して便を軟らかくする
これらの生薬の相乗効果により、便秘がちな方の排便を促進します。便秘が続くと、腸内に留まっている便から水分や糖質、脂質が再吸収され、不要なエネルギーが皮下脂肪として蓄えられてしまいます。そのため、便秘を解消することは、脂肪の蓄積を防ぐことにもつながります。
💧 むくみ解消効果
防風通聖散に含まれる以下の生薬が、むくみの解消に寄与します:
- 黄芩(オウゴン):利尿作用
- 山梔子(サンシシ):利尿作用
- 防風:発汗作用や血行促進作用
これらの作用により、体内に溜まった余分な水分の排出が促進されます。むくみの解消は見た目の改善だけでなく、体重減少にも直接つながります。
🩸 血行促進・代謝改善効果
防風通聖散に含まれる川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)は「活血化瘀(かっけつかお)」作用を持つ生薬です。これは体内に滞った血液を流れやすくする作用であり、血行の改善が期待できます。血行が改善されると基礎代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすい体質へと導かれます。
🍽️ 食欲抑制効果
国内で行われた研究により、防風通聖散が食欲増進ホルモンである「グレリン」を低下させることが明らかになっています。防風の解熱作用によって体内の熱が下がると食欲が抑えられるため、食べ過ぎてしまう方にも有効です。
🚫 脂質排出効果
小林製薬と名古屋市立大学、愛知学院大学の共同研究により、防風通聖散には食事で摂取した脂質を便と一緒に排出する効果があることが発見されています。肥満マウスを用いた実験では、防風通聖散を投与したグループで糞便中の脂質が最大で146%、コレステロール量が159%に増加していました。
また、防風通聖散は多汗症に対する漢方治療としても用いられることがあり、体内の余分な熱を冷ます作用により、発汗過多の改善にも効果が期待されています。
🌱 18種類の生薬とその作用
防風通聖散は18種類という最多の生薬から構成される漢方薬です。これらの生薬がそれぞれの役割を果たしながら、互いに作用を補完し合うことで、総合的な効果を発揮します。各生薬の特徴と主な作用について解説します。
❄️ 体内の熱を冷ます生薬
- 黄芩(オウゴン):清熱作用、利尿作用
- 山梔子(サンシシ):清熱作用、利尿作用
- 石膏(セッコウ):強い清熱作用
- 薄荷(ハッカ):清涼感、気分のリフレッシュ
💨 発散・発汗を促す生薬
- 防風(ボウフウ):発汗作用、血行促進作用、解熱作用
- 荊芥(ケイガイ):発散作用、脂肪細胞状態維持
- 生姜(ショウキョウ):発散・発汗促進
- 麻黄(マオウ):交感神経刺激、脂肪分解促進
🔄 血液循環を改善する生薬
- 川芎(センキュウ):活血化瘀作用
- 芍薬(シャクヤク):血流改善、冷え改善
- 当帰(トウキ):血の巡りを整える
💧 余分な水分を除く生薬
- 白朮(ビャクジュツ):胃腸機能調節、水分代謝調節
- 滑石(カッセキ):利尿作用、余分な水分排出
🧹 毒素を排出する生薬
- 桔梗(キキョウ):解毒作用、去痰作用
- 連翹(レンギョウ):解毒作用、抗炎症作用、皮膚症状改善
🚽 便通を促す生薬
- 大黄(ダイオウ):腸蠕動運動活発化
- 芒硝(ボウショウ):腸内水分調節、便軟化
⚖️ 全体を調和させる生薬
- 甘草(カンゾウ):生薬作用の調和、抗炎症作用、鎮痙作用
Q. 防風通聖散の脂肪燃焼はどんな仕組みですか?
防風通聖散に含まれる麻黄と防風が交感神経を刺激し、脂肪細胞の分解を促進します。さらに褐色脂肪組織の熱産生を活性化することで安静時にも脂質が消費されやすくなります。加えて、食欲ホルモン「グレリン」を低下させる食欲抑制効果も確認されています。
✅ 防風通聖散が向いている人・向いていない人
漢方薬は体質(証)に合わせて選ぶことが非常に重要です。同じ肥満であっても、体質によって適した漢方薬は異なります。防風通聖散が効果を発揮しやすい人と、服用を避けるべき人について詳しく解説します。
✅ 防風通聖散が向いている人の特徴
防風通聖散は「実証(じっしょう)」と呼ばれる体質の方に向いています。具体的には以下のような特徴を持つ方に適しています:
- 体力が充実しており、比較的がっしりした体格
- 「太鼓腹」と呼ばれるような、前に張り出したお腹の脂肪
- 腹部に皮下脂肪が多く、お腹周りが気になる
- 食欲旺盛で、濃い味付けや脂っこい食品、辛いものを好む
- お酒を好む、食べ過ぎの傾向がある
- 便秘がちで、排便が不規則
- 暑がりで、冬でも冷たい飲み物を好む
- むくみやすい
- 高血圧に伴う動悸・肩こり・のぼせがある
- ニキビや吹き出物ができやすい
- 不眠やイライラ感、気分の不安定さを感じる
❌ 防風通聖散が向いていない人の特徴
一方で、防風通聖散が向いていない体質の方もいます。「虚証(きょしょう)」の方、つまり体力がなく、胃腸が弱い方には適していません。
- 痩せ気味で体力がない
- 食欲不振で胃腸が弱い
- 下痢や軟便がある
- 普段から胃腸の調子が悪い
- 発汗傾向が強い
- 狭心症や心筋梗塞などの循環器系疾患がある
- 重症の高血圧がある
- 甲状腺機能亢進症がある
- 病後の衰弱期や著しく体力が衰えている
- 高度な腎障害、排尿障害がある
- 妊娠中や授乳中
このような体質の方には、体質に合った他の漢方薬を選択することが重要です。
📊 臨床試験で示されたエビデンス
防風通聖散の効果は、動物実験だけでなく、人を対象とした複数の臨床試験でも確認されています。ここでは、代表的な研究結果を紹介します。
🎯 内臓脂肪減少効果の検証
小林製薬と広島国際大学薬学部の共同研究では、30~40代の肥満傾向のある男女に防風通聖散を12週間服用してもらい、その効果を評価しました。
結果:
- 安静時に体内で消費されるエネルギー源の脂質利用率の増加が確認
- 服用12週後に体重が平均2.1kg減少
- ウエストサイズは平均3.3cm減少
- 内臓脂肪が皮下脂肪よりも大きく減少
- 著効例では47.5%もの内臓脂肪減少を確認
🔬 プラセボ対照二重盲検試験
日本人女性81名を対象にした二重盲検ランダム化比較試験では、全員に1,200kcalの低カロリー食と運動療法を実施した上で、半数に防風通聖散(1日7.5g)を24週間投与し、残りの半数にはプラセボ(偽薬)を投与して比較しました。
結果:
- 防風通聖散投与群でプラセボ群と比較してウエスト周囲径が有意に減少
- 内臓脂肪量の低下
- LDL/HDLコレステロール値の改善
- 尿酸値の低下
- 耐糖能異常の改善
👴 高齢者を対象とした試験
55〜65歳の肥満者(BMI25以上)を対象とした二重盲検ランダム化比較試験では、8週間の投与終了後に解析を行いました。
結果:
- プラセボ群:0.1kgの体重減少
- 防風通聖散投与群:0.8kgの体重減少
- 統計学的に有意な差を確認
Q. 防風通聖散が向いていない人はどんな体質ですか?
防風通聖散は体力がなく胃腸が弱い「虚証」タイプには向いていません。具体的には、痩せ気味・下痢や軟便がある・食欲不振の方は不適です。また狭心症・重症高血圧・甲状腺機能亢進症・妊娠中・授乳中の方も服用を避け、医師へ相談することが推奨されます。
💊 正しい服用方法と服用期間
防風通聖散の効果を最大限に発揮させるためには、正しい服用方法を守ることが重要です。ここでは、用法・用量、服用のタイミング、期待される効果発現までの期間について解説します。
📋 用法・用量
- 医療用:通常、成人は1日7.5gを2~3回に分割して服用
- 市販薬:製品によって用量が異なるため、添付文書の指示に従う
- 服用タイミング:食前または食間(食事と食事の間、食後約2時間)が推奨
空腹時に服用することで、生薬の吸収が良くなり、効果が発揮されやすくなります。ただし、胃腸が弱い方は食後に服用することで副作用を軽減できる場合があります。
⏰ 効果が現れるまでの期間
防風通聖散は漢方薬であるため、西洋薬のような即効性は期待できません。効果の発現には個人差がありますが、一般的な目安は以下の通りです:
- 便秘の改善:比較的早く実感可能
- 何らかの変化:2週間~1ヶ月程度
- 体重減少・内臓脂肪の減少:継続的な服用が必要(最低1ヶ月以上推奨)
- 十分な効果:海外研究では半年継続で1.4kg~4.8kgの体重減少
⚠️ 服用時の注意点
- 決められた用量を守る(規定量以上の服用は副作用リスク増加)
- 食事療法や運動療法との併用でより効果的
- 1ヶ月以上服用しても効果なしの場合は医師・薬剤師に相談
- 炭水化物制限や適度な運動は防風通聖散の効果を増強
⚠️ 副作用と注意点
漢方薬は自然由来の生薬から構成されるため安全性が高いイメージがありますが、副作用が全くないわけではありません。防風通聖散は18種類もの生薬を含むため、注意すべき副作用がいくつか存在します。
😷 一般的な副作用
消化器症状(主に大黄の瀉下作用による):
- 下痢、軟便
- 腹痛
- 胃部不快感
- 食欲不振、悪心、嘔吐
自律神経系症状(主に麻黄による交感神経刺激作用):
- 不眠、発汗過多
- 頻脈、動悸
- 全身脱力感、精神興奮
その他:
- 発疹やかゆみなどのアレルギー症状
- 排尿障害
🚨 重大な副作用
頻度は稀ですが、以下のような重大な副作用が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
- 間質性肺炎:長引く咳、息切れ、発熱、呼吸困難
- 偽アルドステロン症:血圧上昇、むくみ、低カリウム血症、筋肉のけいれん
- ミオパチー:脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢の痙攣・麻痺
- 肝機能障害:発熱、皮膚のかゆみ、発疹、黄疸、全身倦怠感
- 腸間膜静脈硬化症:繰り返す腹痛、下痢、便秘、腹部膨満(長期服用時)
💊 併用注意の薬剤
防風通聖散を服用する際は、以下の薬剤との併用に注意が必要です:
- 他の瀉下薬(下剤):激しい下痢のリスク
- 甘草を含む他の漢方薬:偽アルドステロン症リスク増加
- エフェドリンやテオフィリン:動悸や不眠などの副作用増強
Q. 防風通聖散の市販薬と医療用の主な違いは何ですか?
医療用防風通聖散は医師の処方が必要ですが健康保険が適用され、1日7.5gの満量処方で医師によるモニタリングも受けられます。一方、ナイシトールなどの市販薬は処方箋不要で購入できますが、有効成分量が医療用の2分の1〜3分の2程度と少なめに設定されています。
🏥 市販薬と医療用の違い
防風通聖散は、医療機関で処方される医療用医薬品と、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品(市販薬)の両方が存在します。それぞれの特徴と違いについて解説します。
🏥 医療用医薬品の特徴
- 代表的な製品:ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)、クラシエ防風通聖散料エキス細粒
- 処方:医師の処方が必要
- 費用:健康保険適用で費用負担軽減
- 用量:1日7.5gが標準(満量処方)
- メリット:医師による体質・症状の判断、副作用時の相談可能、長期服用時のモニタリング
🛒 一般用医薬品(市販薬)の特徴
- 代表的な製品:ナイシトール(小林製薬)、コッコアポEX錠(クラシエ)、ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒
- 分類:第2類医薬品
- 購入:処方箋なしでドラッグストアや薬局で購入可能
- 用量:医療用と比較して有効成分量が少なめ(3分の2量や2分の1量)
- メリット:手軽に購入可能、副作用リスクが相対的に低い
⚖️ 他の肥満改善漢方薬との比較
肥満改善に用いられる漢方薬は防風通聖散だけではありません。体質によって適した漢方薬は異なりますので、代表的な肥満改善漢方薬との違いを知っておくと、自分に合った漢方薬を選ぶ参考になります。
💧 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
- 適応体質:虚証(体力がない)
- 向いている人:体力がなく疲れやすい、胃腸が弱い、水太りやむくみやすい
- 特徴:下半身のむくみが気になる、汗をかきやすい、便秘のない水太りタイプ
😤 大柴胡湯(だいさいことう)
- 適応体質:実証(体力がある)
- 向いている人:ストレスが多くイライラしやすい、加齢で代謝が落ちて便秘がち
- 特徴:肝臓の働きを助け、脂質代謝を改善、ストレス性の肥満に効果的
🎯 体質別の選び方
- 防風通聖散:体力があって便秘がち、お腹に脂肪がつきやすい
- 防已黄耆湯:体力がなくむくみやすい水太りタイプ
- 大柴胡湯:ストレスが多くイライラしやすいタイプ
体質に合わない漢方薬を服用すると、効果が得られないだけでなく、副作用のリスクも高まります。漢方薬による体質改善を検討される際は、専門医に相談することをお勧めします。

よくある質問
防風通聖散の効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、一般的には2週間~1ヶ月程度で何らかの変化を感じ始める方が多いです。便秘の改善は比較的早く実感できることがありますが、体重減少や内臓脂肪の減少には継続的な服用が必要です。臨床試験では12週間~24週間の服用で有意な効果が確認されています。1ヶ月以上服用しても効果が感じられない場合は、体質に合っていない可能性がありますので、医師や薬剤師に相談してください。
防風通聖散は長期服用が可能な漢方薬ですが、いくつかの注意点があります。5年以上の長期服用では、山梔子(サンシシ)による腸間膜静脈硬化症のリスクが報告されています。また、甘草(カンゾウ)による偽アルドステロン症や、肝機能障害のリスクもあります。長期服用する場合は、定期的に医師の診察を受け、必要に応じて血液検査などでモニタリングを行うことが推奨されます。効果が得られた後も漫然と服用を続けるのではなく、医師と相談しながら服用期間を決めることが大切です。
防風通聖散自体が肝臓に直接悪影響を与えるわけではありませんが、長期間の服用や過剰摂取は肝臓に負担をかける可能性があります。肝機能障害は防風通聖散の副作用として報告されており、発熱、皮膚のかゆみ、発疹、黄疸、全身倦怠感などの症状が現れることがあります。特に規定量以上の服用を長期間続けた場合にリスクが高まるとされています。肝機能に不安がある方や肝疾患をお持ちの方は、服用前に医師に相談してください。数ヶ月以上服用する場合は、定期的な血液検査で肝機能をチェックすることが推奨されます。
防風通聖散を服用して便が緩くなることは、必ずしも副作用とは言い切れません。防風通聖散には大黄(ダイオウ)や芒硝(ボウショウ)という便通を促す生薬が含まれており、便秘を改善する効果の一環として便が緩くなることがあります。これは効き目のサインとも言えます。ただし、激しい下痢や腹痛を伴う場合、水様便が続く場合は副作用の可能性があります。そのような場合は服用量を減らすか、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。もともと下痢気味の方には防風通聖散は向いていません。
防風通聖散には脂肪の分解・燃焼を促進する効果がありますが、薬だけで大幅に痩せることを期待するのは現実的ではありません。臨床試験では、食事療法や運動療法と併用することでより効果的な体重減少が確認されています。防風通聖散は痩せにくい体質そのものにアプローチする漢方薬であり、生活習慣の改善をサポートするものと考えてください。炭水化物の制限や適度な運動を取り入れることで、防風通聖散の効果がより発揮されます。基本は食事・運動・睡眠という土台があってこそ、補助的な効果が得られるものです。
防風通聖散は体質(証)によって向き不向きがある漢方薬です。体力が充実していて、お腹に脂肪が多く、便秘がちな「実証」タイプの方に向いています。逆に、体力がなく胃腸が弱い「虚証」タイプの方、下痢や軟便がある方、発汗傾向が強い方には向いていません。また、狭心症や心筋梗塞などの循環器疾患がある方、重症高血圧の方、甲状腺機能亢進症の方、妊娠中・授乳中の方は服用を避けるか、医師に相談する必要があります。自分の体質に合っているかどうか分からない場合は、医師や薬剤師に相談してください。
防風通聖散は食前または食間(食後約2時間)に服用することが推奨されています。空腹時に服用することで、生薬の成分が吸収されやすくなり、効果を最大限に発揮できます。ただし、胃腸が弱い方や胃部不快感を感じる方は、食後に服用することで副作用を軽減できる場合があります。服用時は白湯(ぬるま湯)で飲むのが理想的です。冷たい水や熱すぎるお湯は避け、体温に近い温度の水で服用してください。服用タイミングに迷った場合は、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
防風通聖散と他のサプリメントとの併用については、成分によって注意が必要です。特に注意すべきは、甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬やサプリメント、下剤成分を含む製品との併用です。また、カフェインを含むサプリメントとの併用は、麻黄の交感神経刺激作用と相まって動悸や不眠などの副作用が強く現れる可能性があります。ビタミンやミネラルなどの一般的なサプリメントとの併用は通常問題ありませんが、服用前に医師や薬剤師に相談することをお勧めします。複数の健康食品を併用している場合は、必ず全ての製品名を医療従事者に伝えてください。
防風通聖散の効果を最大化するには、適切な食事と運動の組み合わせが重要です。食事面では、炭水化物の摂取量を適度に制限し、野菜や良質なタンパク質を中心とした食事を心がけてください。また、規則正しい食事時間と十分な水分摂取も効果を高めます。運動については、有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)を週3回以上、1回30分程度行うことが推奨されます。さらに、質の良い睡眠(7-8時間)とストレス管理も重要です。これらの生活習慣の改善により、防風通聖散の脂肪燃焼効果がより発揮されやすくなります。
📝 まとめ
防風通聖散は、18種類の生薬が相互に作用することで、内臓脂肪の減少、便秘の改善、むくみの解消など多面的な効果を発揮する漢方薬です。臨床試験でもその効果が科学的に証明されており、肥満症の治療薬として医療現場でも広く使用されています。
ただし、防風通聖散は体質(証)に合わせて選ぶことが重要であり、すべての方に適しているわけではありません。体力が充実していて便秘がちな「実証」タイプの方に向いており、体力がなく胃腸が弱い「虚証」タイプの方には適していません。
また、防風通聖散は生活習慣の改善をサポートする補助的な役割を果たすものです。食事療法や運動療法と組み合わせることで、より効果的な結果が期待できます。
服用を検討される際は、ご自身の体質や症状を正しく把握し、必要に応じて医師や薬剤師に相談することをお勧めします。適切な使用により、健康的な体重管理と体質改善を目指していきましょう。
体調に関するご相談や、漢方薬について詳しく知りたい方は、お気軽に当院までお問い合わせください。患者様一人ひとりの体質に合った最適な治療法をご提案いたします。
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 医薬品・医療機器等安全性情報
- 日本東洋医学会 – 漢方診療ガイドライン
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) – 医薬品添付文書情報
- 日本肥満学会 – 肥満症診療ガイドライン2022
- 小林製薬株式会社 – 防風通聖散に関する臨床研究データ
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
防風通聖散の脂肪燃焼効果は、単一の生薬ではなく、18種類の生薬が相互に作用することで実現されています。特に交感神経を刺激する麻黄と防風の組み合わせに、血流改善や水分代謝を担う生薬が加わることで、総合的な脂肪減少効果が得られるのです。ただし、体質(証)に合わない方が服用すると副作用のリスクが高まるため、漢方専門医での診察をお勧めします。