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防風通聖散が合わない人の特徴7選|副作用・注意すべき体質を医師監修で解説

「お腹周りの脂肪が気になる」「便秘を解消したい」といった悩みから、ドラッグストアなどで手軽に購入できる防風通聖散を試してみようと考える方は少なくありません。テレビCMや広告でも目にする機会が多く、ダイエット漢方として広く認知されている防風通聖散ですが、実はすべての人に適した漢方薬というわけではありません。漢方薬は西洋薬とは異なり、個人の体質(漢方では「証」といいます)に合わせて選ぶことが非常に重要です。体質に合わない漢方薬を服用すると、期待した効果が得られないばかりか、かえって体調を崩してしまう可能性もあります。本記事では、防風通聖散が合わない人の特徴や体質、起こりうる副作用、そして服用を避けるべきケースについて、医学的な観点から詳しく解説します。ご自身の体質や健康状態を見極めながら、安全に漢方薬を活用するための参考にしてください。


目次

  1. 防風通聖散とは|18種類の生薬からなる漢方薬
  2. 防風通聖散が向いている人の特徴|実証タイプとは
  3. 防風通聖散が合わない人の7つの特徴
  4. 防風通聖散の服用に注意が必要な持病・既往歴
  5. 防風通聖散で起こりうる副作用
  6. 防風通聖散の重大な副作用と初期症状
  7. 防風通聖散が合わない場合の代替漢方薬
  8. 防風通聖散を安全に服用するためのポイント
  9. 副作用が現れた場合の対処法
  10. よくある質問

防風通聖散とは|18種類の生薬からなる漢方薬

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、中国・金元時代の医学書「宣明論(せんめいろん)」に収載されている歴史ある漢方薬です。18種類もの生薬から構成されており、漢方薬の中でも配合生薬の数が多い処方として知られています。

防風通聖散に含まれる18種類の生薬

防風通聖散は、防風(ボウフウ)、黄芩(オウゴン)、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、麻黄(マオウ)、石膏(セッコウ)、白朮(ビャクジュツ)、荊芥(ケイガイ)、連翹(レンギョウ)、桔梗(キキョウ)、山梔子(サンシシ)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、薄荷(ハッカ)、滑石(カッセキ)、生姜(ショウキョウ)、甘草(カンゾウ)の18種類の生薬で構成されています。これらの生薬がそれぞれの作用を発揮しながら相互に影響し合うことで、複合的な効果をもたらします。

防風通聖散の主な作用

防風通聖散には大きく分けて4つの作用グループがあります。第一に、防風・荊芥・麻黄・薄荷・生姜が発汗を促し、体表から邪気を発散させる「発汗解表作用」があります。第二に、大黄・芒硝が便通を促進し、体内の不要物を排出する「瀉下作用」があります。第三に、滑石・白朮が余分な水分を尿として排出する「利水作用」があります。第四に、黄芩・山梔子・石膏・薄荷が体内にこもった熱を冷ます「清熱作用」があります。これらの作用が組み合わさることで、体内に蓄積した余分なものを汗・便・尿として排出し、代謝を促進する効果が期待できます。

防風通聖散の効能・効果

防風通聖散の添付文書に記載されている効能・効果は「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症」とされています。この効能・効果の記載からもわかるように、防風通聖散は体力が充実している人を対象とした漢方薬であり、すべての肥満や便秘に使用できるわけではありません。

防風通聖散が向いている人の特徴|実証タイプとは

漢方医学では、患者さんの体質や症状の現れ方を「証(しょう)」という概念で捉えます。証の判断基準の一つに「虚実(きょじつ)」があり、防風通聖散は「実証(じっしょう)」タイプの方に適した漢方薬です。実証とは、体力や抵抗力が充実している状態を指し、病気の原因となる邪気と積極的に戦う力がある体質のことを意味します。

防風通聖散が合う実証タイプの特徴

防風通聖散が効果を発揮しやすい実証タイプには、いくつかの共通した特徴があります。まず、体力があってがっしりとした体格であることが挙げられます。食欲旺盛で濃い味や脂っこい食事、辛いもの、お酒を好む傾向があり、暴飲暴食の結果として内臓脂肪や皮下脂肪が蓄積しやすい状態です。お腹は太鼓腹のようにパンと張っており、へそを中心に皮下脂肪が多く、腹部に力があります。また、便秘がちで硬い便が出る傾向があり、体内に熱がこもりやすいため暑がりで、顔が赤くのぼせやすい特徴もあります。このような体質の方は、防風通聖散の発汗・利尿・瀉下作用によって、体内に溜まった余分なものを効率的に排出することができます。

防風通聖散の使用目的における「しばり」

市販の漢方薬のパッケージや添付文書には「しばり(使用制限)」と呼ばれる文言が記載されています。防風通聖散の場合、「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなもの」がしばりの表現にあたります。これは単に便秘や肥満の症状があれば誰でも服用してよいというわけではなく、上記の条件を満たす方に適した漢方薬であることを示しています。このしばりを無視して服用すると、期待した効果が得られないばかりか、副作用のリスクが高まる可能性があります。

防風通聖散が合わない人の7つの特徴

防風通聖散は実証タイプに適した漢方薬であるため、虚証タイプの方や特定の体質・症状を持つ方には合わない場合があります。以下では、防風通聖散が合わない人の代表的な7つの特徴について詳しく解説します。

1. 虚弱体質・体力が衰えている人

防風通聖散は体力が充実している実証タイプ向けの漢方薬であり、著しく体力が衰えている方や病後の衰弱期にある方には適していません。虚弱体質の方が服用すると、防風通聖散の強い発汗・瀉下・利尿作用が体に負担となり、副作用が現れやすくなります。具体的には、顔色が悪い、疲れやすい、声に力がない、体が弱々しい印象の方は注意が必要です。

2. 胃腸が弱く下痢しやすい人

防風通聖散に含まれる大黄(ダイオウ)と芒硝(ボウショウ)には、便通を促進する瀉下作用があります。普段から胃腸が弱く、軟便や下痢をしやすい方がこの漢方薬を服用すると、下痢や腹痛がさらに悪化する可能性があります。また、食欲不振や胃部不快感、悪心・嘔吐などの消化器症状が現れることもあります。

3. 冷え性の人

防風通聖散には体内にこもった熱を冷ます清熱作用があるため、もともと冷え性の方が服用すると冷えがさらに悪化する可能性があります。手足が冷たい、寒がりで厚着を好む、温かい飲み物を好むといった特徴がある方は、防風通聖散よりも体を温める作用のある漢方薬の方が適している場合があります。冷え性の方が服用を続けると、冷えの悪化に加えて体調全般が低下することがあります。

4. 痩せ型の人

防風通聖散は腹部に皮下脂肪が多い肥満症向けの漢方薬であり、体型がやせ型の方には適していません。脂肪があまり多くない人が服用しても、本来期待される効果は得られにくく、むしろ体力を消耗してしまう可能性があります。防風通聖散の「脂肪を減らす」という作用は、余分な脂肪が蓄積している実証タイプの方において効果を発揮するものです。

5. 発汗傾向が著しい人

すでに汗をかきやすい体質の方が防風通聖散を服用すると、麻黄などの発汗作用によってさらに発汗が増加し、発汗過多や全身脱力感、動悸などの症状が現れることがあります。これは体内の水分やエネルギーが過剰に失われることによるもので、特に夏場や運動時には注意が必要です。

6. 食欲不振・悪心・嘔吐がある人

現在、食欲不振や悪心、嘔吐の症状がある方は、防風通聖散の服用によってこれらの症状が悪化する可能性があります。防風通聖散は食欲旺盛で消化器系が丈夫な方向けの漢方薬であり、すでに消化器症状がある場合は服用を控えるか、医師や薬剤師に相談することが推奨されます。

7. 高齢者・小児

高齢者は一般的に体力や生理機能が低下しているため、防風通聖散の作用が強く出すぎる可能性があります。また、小児は体が未発達であり、生薬の影響を受けやすいため慎重な対応が必要です。特に5歳未満の小児への服用は避けるべきとされており、7歳未満でも服用には十分な注意が必要です。

防風通聖散の服用に注意が必要な持病・既往歴

防風通聖散に含まれる生薬には、特定の疾患や症状を悪化させる可能性があるものがあります。以下の持病や既往歴がある方は、服用前に必ず医師や薬剤師に相談してください。

心臓病・狭心症・心筋梗塞の既往がある人

防風通聖散に含まれる麻黄(マオウ)には、エフェドリンという成分が含まれており、交感神経を刺激する作用があります。この作用により心拍数の増加や血圧上昇を引き起こす可能性があるため、狭心症や心筋梗塞などの循環器系疾患がある方やその既往歴がある方は、症状が悪化するリスクがあります。動悸や不整脈を感じやすい方も注意が必要です。

重症高血圧の人

麻黄の交感神経刺激作用や甘草による偽アルドステロン症のリスクから、重症の高血圧がある方は防風通聖散の服用に特に注意が必要です。軽度から中等度の高血圧で、のぼせや肩こり、動悸などの随伴症状がある場合は適応となることもありますが、血圧のコントロールが不十分な重症例では避けるべきです。

腎臓に障害がある人

防風通聖散には利尿作用があり、腎臓に負担をかける可能性があります。また、甘草に含まれるグリチルリチンは腎臓で代謝されるため、腎機能が低下している方では偽アルドステロン症などの副作用が現れやすくなります。高度な腎障害がある方は服用を避けるべきです。

甲状腺機能亢進症の人

麻黄に含まれるエフェドリンは交感神経を刺激するため、すでに代謝が亢進している甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)の方では、動悸や頻脈、発汗過多などの症状を悪化させる可能性があります。甲状腺機能に異常がある方は、必ず医師に相談してから服用を検討してください。

排尿障害がある人

前立腺肥大症などによる排尿障害がある方は、防風通聖散の服用により症状が悪化する可能性があります。麻黄の成分が膀胱括約筋に影響を与え、排尿困難を引き起こすことがあるためです。排尿に関する問題がある方は注意が必要です。

妊娠中・授乳中の人

妊娠中の方は、防風通聖散に含まれる大黄や芒硝の瀉下作用が子宮収縮を誘発する可能性があるため、服用を避けるべきです。授乳中の方についても、生薬成分が母乳に移行する可能性があるため、服用する場合は授乳を避けるか、授乳を中止して服用することが推奨されています。妊娠の可能性がある方も、服用前に医師に相談してください。

防風通聖散で起こりうる副作用

漢方薬は自然由来の生薬から作られているため「副作用がない」というイメージを持つ方もいますが、これは誤解です。防風通聖散は18種類もの生薬を含む複雑な処方であり、体質に合わない場合や長期間服用した場合には様々な副作用が現れることがあります。

消化器系の副作用

防風通聖散で最も多く報告されている副作用は消化器系の症状です。大黄と芒硝の瀉下作用により、下痢や軟便、腹痛、腹部膨満感などが現れることがあります。また、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐といった症状も報告されています。これらの症状が現れた場合は、服用量を減らすか一時的に服用を中止し、症状が改善するか様子を見ることが推奨されます。

自律神経系の副作用

麻黄に含まれるエフェドリンの交感神経刺激作用により、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮などの症状が現れることがあります。特に夕方以降に服用すると不眠が起こりやすくなる場合があります。これらの症状が強く現れる場合は、服用を中止して医師に相談してください。

過敏症・アレルギー反応

体質によっては、防風通聖散の成分に対してアレルギー反応を起こすことがあります。発疹、発赤、かゆみなどの皮膚症状が現れた場合は、すぐに服用を中止してください。過去に防風通聖散や同様の生薬を含む漢方薬でアレルギー反応を起こしたことがある方は、服用を避けるべきです。

泌尿器系の副作用

排尿障害や頻尿などの泌尿器系の症状が現れることがあります。これは麻黄の成分による影響と考えられており、特に前立腺肥大症などの基礎疾患がある方で現れやすい傾向があります。

防風通聖散の重大な副作用と初期症状

防風通聖散には、まれではありますが重篤な副作用が報告されています。これらの副作用は早期発見・早期対応が重要であり、初期症状を見逃さないことが大切です。

間質性肺炎

防風通聖散の服用によりまれに間質性肺炎が発症することがあります。間質性肺炎は肺の間質組織に炎症が起こる疾患で、進行すると呼吸困難を引き起こします。初期症状として、長引く空咳(痰のない咳)、息切れ、呼吸困難、発熱などが挙げられます。階段を上ったり少し動いたりしただけで息切れがする、安静にしていても息苦しさを感じるといった症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、医療機関を受診してください。特に肺に持病がある方や喫煙歴がある方はリスクが高いとされています。

偽アルドステロン症

防風通聖散に含まれる甘草(カンゾウ)には、グリチルリチンという成分が含まれています。この成分を長期間大量に摂取すると、体内のナトリウムとカリウムのバランスが崩れ、偽アルドステロン症を引き起こすことがあります。初期症状として、手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛、血圧上昇、むくみ、体重増加などが現れます。これらの症状が徐々に強くなる場合は注意が必要です。特に他の甘草含有製剤を併用している場合や利尿剤を服用している場合はリスクが高まります。

ミオパチー(筋疾患)

偽アルドステロン症による低カリウム血症の結果として、ミオパチー(筋肉の病気)が発症することがあります。症状としては、脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢の痙攣・麻痺などが現れます。重症化すると横紋筋融解症に至ることもあるため、早期の発見と対応が重要です。

肝機能障害・黄疸

防風通聖散の服用により、まれに肝機能障害や黄疸が発症することがあります。初期症状として、発熱、皮膚のかゆみ、発疹、全身のだるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)などが挙げられます。血液検査でAST、ALT、ALP、γ-GTPなどの肝機能数値の上昇が認められることがあります。これらの症状が現れた場合は速やかに服用を中止し、医療機関を受診してください。

腸間膜静脈硬化症

防風通聖散に含まれる山梔子(サンシシ)を含む漢方製剤を長期間(多くは5年以上)服用すると、腸間膜静脈硬化症という大腸の血管に石灰化が生じる疾患を発症するリスクがあります。症状として、繰り返す腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感、悪心・嘔吐などが現れることがあり、中には無症状で便潜血陽性のみの場合もあります。重症化すると腸管切除術が必要になるケースも報告されています。長期間服用する場合は、定期的にCTや大腸内視鏡などの検査を受けることが推奨されています。

防風通聖散が合わない場合の代替漢方薬

防風通聖散が体質に合わない場合でも、肥満症の改善を目的とした他の漢方薬を検討することができます。肥満のタイプや体質によって適した漢方薬は異なりますので、ご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。

防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

防已黄耆湯は、防風通聖散とは対照的に、体力が中等度以下の虚証タイプの方に適した漢方薬です。色白で疲れやすく、汗をかきやすい、水太りしやすい体質の方に向いています。筋肉にしまりがなく、ぽっちゃりとした柔らかい肥満体型で、下半身がむくみやすい方に効果が期待できます。防已黄耆湯は体内の水分代謝を改善し、むくみを取り除く作用があります。便秘がなく下痢しやすい方、冷え性の方には、防風通聖散よりも防已黄耆湯の方が適している場合があります。

大柴胡湯(だいさいことう)

大柴胡湯は、体力があってがっちりした体格の方に適した漢方薬ですが、防風通聖散とは異なる特徴があります。ストレスを受けて太りやすい方、イライラしやすい方、脇腹から脇の下にかけて張りや違和感がある方に向いています。また、上半身に脂肪がつきやすい固太り・筋肉質タイプの方にも適しています。大柴胡湯は自律神経の緊張を和らげ、肝臓や胆のうの機能を調整する作用があり、ストレス性の過食や肥満に効果が期待できます。

体質別の漢方薬選び

肥満症に対する漢方薬選びは、単に体重を減らすことだけを目的とするのではなく、体質全体を見て最適な処方を選ぶことが重要です。体力があって便秘がちな太鼓腹タイプには防風通聖散、体力がなく水太りしやすいタイプには防已黄耆湯、ストレスで食べ過ぎやすいタイプには大柴胡湯というように、それぞれの体質に合わせた選択が効果的です。自分の体質がわからない場合は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

防風通聖散を安全に服用するためのポイント

防風通聖散を安全かつ効果的に服用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。

用法・用量を守る

防風通聖散は、添付文書や医師・薬剤師の指示に従って正しい用法・用量で服用することが大切です。一般的には1日2〜3回に分割し、食前または食間(食事と食事の間、空腹時)に服用します。効果を早く得たいからといって自己判断で服用量を増やすことは、副作用のリスクを高めるため避けてください。

他の薬との併用に注意する

防風通聖散を服用中は、他の医薬品との相互作用に注意が必要です。特に、他の下剤(瀉下薬)との併用は避けてください。また、麻黄を含む他の漢方薬や医薬品、エフェドリン類含有製剤、甲状腺製剤、カテコールアミン製剤、キサンチン系製剤との併用には注意が必要です。甘草を含む他の漢方薬やグリチルリチン製剤との併用は、偽アルドステロン症のリスクを高めます。現在服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。

長期服用時の注意点

防風通聖散を長期間服用する場合は、定期的に医師の診察を受けることが推奨されます。特に5年以上の長期服用では腸間膜静脈硬化症のリスクがあるため、腹部症状の有無に注意し、必要に応じてCTや大腸内視鏡検査を受けることが望ましいです。また、長期服用による大黄の刺激で腸の粘膜が黒っぽくなる「大腸黒皮症(メラノーシス)」が起こることがあり、腸の蠕動運動が低下して便秘が悪化する場合もあります。

効果がない場合の対応

便秘改善を目的とする場合は1週間程度、肥満症改善を目的とする場合は少なくとも1ヶ月程度服用しても効果が感じられない場合は、体質に合っていない可能性があります。その場合は漫然と服用を続けるのではなく、医師や薬剤師に相談して他の漢方薬への変更を検討してください。

副作用が現れた場合の対処法

防風通聖散を服用中に副作用と思われる症状が現れた場合は、適切な対処が必要です。

軽度の副作用の場合

軽度の下痢や軟便、軽い胃部不快感などの症状が現れた場合は、まず服用を一時的に中止し、症状が改善するか経過を観察してください。症状が軽減したら、服用量を減らして再開することも可能ですが、改善しない場合は医師や薬剤師に相談してください。

重大な副作用が疑われる場合

間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害などの重大な副作用が疑われる症状(息切れ、空咳、発熱、手足のだるさ・しびれ、皮膚や白目の黄染など)が現れた場合は、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。受診の際は、服用していた漢方薬の名前と服用期間を医師に伝えてください。

症状の記録

副作用が現れた場合は、症状の種類、発現時期、程度などを記録しておくと、医師の診断に役立ちます。また、服用を中止した後の症状の変化も記録しておくことで、原因の特定がしやすくなります。

よくある質問

防風通聖散を飲み続けると危険ですか?

適切な用法・用量を守り、体質に合った方が服用すれば、防風通聖散を継続的に服用することは一般的に安全とされています。ただし、長期間の服用(特に5年以上)では腸間膜静脈硬化症などのリスクがあるため、定期的に医師の診察を受けることが推奨されます。また、効果が感じられない場合は体質に合っていない可能性があるため、漫然と服用を続けることは避け、医師や薬剤師に相談してください。

防風通聖散で下痢になるのは体に合っていないサインですか?

防風通聖散には便通を促進する作用があるため、服用開始後に便が緩くなることは効果が現れているサインとも解釈できます。ただし、激しい下痢や腹痛を伴う場合、水様便が続く場合、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、体質に合っていない可能性があります。もともと胃腸が弱い方や下痢しやすい方は防風通聖散が適していないため、症状が続く場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

防風通聖散は肝臓に悪いですか?

防風通聖散自体が肝臓に直接悪影響を与えるわけではありませんが、まれに肝機能障害や黄疸が報告されています。特に長期間の服用や過剰摂取は肝臓に負担をかける可能性があります。また、甘草に含まれるグリチルリチンの過剰摂取は偽アルドステロン症を引き起こすことがあります。肝機能に不安がある方や肝疾患をお持ちの方は、服用前に医師に相談し、服用中は定期的に肝機能検査を受けることをお勧めします。

市販の防風通聖散と病院で処方される防風通聖散に違いはありますか?

市販の防風通聖散と医療用(処方薬)の防風通聖散では、含まれている生薬の種類自体は同じですが、成分量に違いがあります。一般的に市販薬は処方薬に比べて成分量が50%から80%程度と少なめに設定されています。そのため、市販薬では効果がマイルドになる一方、副作用のリスクも軽減される傾向があります。より強い効果を期待する場合は、医師の診察を受けて処方薬を入手することを検討してください。

防風通聖散はどのくらいの期間で効果が現れますか?

防風通聖散の効果が現れるまでの期間は、目的や個人差によって異なります。便秘改善が目的の場合は、1週間程度で効果を実感できることがあります。肥満症の改善を目的とする場合は、少なくとも1ヶ月以上の継続服用が必要とされています。ただし、1ヶ月以上服用しても効果が感じられない場合は、体質に合っていない可能性があるため、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。また、防風通聖散は飲むだけで痩せる魔法の薬ではなく、食事療法や運動療法と併用することで効果が発揮されます。


参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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