「ワキガと診断されたわけでもないのに、なぜか脇が気になる…」そんな悩みを抱えている方は意外と多くいます。実は、脇の臭いはワキガ(腋臭症)だけが原因ではありません。汗の種類や量、皮膚の状態、生活習慣、食事内容など、さまざまな要因が複雑に絡み合って臭いを生じさせることがあります。この記事では、ワキガではないのに脇が臭う理由を丁寧に解説し、日常生活で実践できる改善策から医療機関での治療法まで幅広くご紹介します。
目次
- ワキガとは何か?まず基本を理解しよう
- ワキガじゃないのに臭う原因① エクリン汗腺からの汗と雑菌
- ワキガじゃないのに臭う原因② 皮脂の過剰分泌
- ワキガじゃないのに臭う原因③ 体の内側からくる臭い
- ワキガじゃないのに臭う原因④ 衣類や環境の影響
- ワキガじゃないのに臭う原因⑤ ホルモンバランスの変化
- ワキガじゃないのに臭う原因⑥ 疾患が関係している場合
- 自分でできる臭い対策と改善方法
- 医療機関での治療という選択肢
- まとめ
この記事のポイント
脇の臭いはワキガ以外にも、エクリン汗と雑菌・皮脂過剰・食事・ホルモン変化・衣類など多様な原因がある。洗浄・制汗剤・食生活改善で対処できるが、改善しない場合はボトックスやミラドライ等の医療機関への相談が有効。
🎯 1. ワキガとは何か?まず基本を理解しよう
脇の臭い対策を考える前に、まず「ワキガ(腋臭症)」とは何かを正確に理解しておくことが大切です。ワキガは、脇の下に多く存在する「アポクリン汗腺」という汗腺から分泌される汗が原因で起こります。
アポクリン汗腺から分泌される汗は、たんぱく質・脂質・鉄分などを含む粘度の高い汗です。この汗自体に強い臭いがあるわけではありませんが、皮膚の表面に存在する細菌(常在菌)によって分解されると、特有の刺激的な臭いを発するようになります。これがワキガの臭いの正体です。
ワキガには遺伝的な要因が強く関与しており、両親のどちらかがワキガであれば子どももワキガになる可能性が高いとされています。また、ワキガの診断に使われるひとつの目安として「耳垢が湿っている(湿性耳垢)」があります。これはアポクリン汗腺が耳の中にも存在しており、その量と活動性が関係しているためです。日本人の場合、湿性耳垢を持つ割合は約16〜20%程度とされており、比較的少数派です。
一般的な皮膚科やクリニックでの診察では、問診や視診を通じてワキガかどうかを判断します。ワキガと診断されていないにもかかわらず脇が臭うという場合、その原因はワキガとは異なるメカニズムにある可能性が高いといえます。
Q. ワキガと汗臭さの違いは何ですか?
ワキガはアポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌に分解されて生じる特有の刺激臭です。一方、汗臭さはエクリン汗腺の汗が雑菌によってイソ吉草酸などに分解されて生じる酸っぱい臭いで、メカニズムが異なります。耳垢が乾燥型の方はワキガではない可能性が高いです。
📋 2. ワキガじゃないのに臭う原因① エクリン汗腺からの汗と雑菌
ワキガではない場合に最も多く見られる脇の臭いの原因が、「エクリン汗腺」からの汗と雑菌の組み合わせです。エクリン汗腺は全身に約200〜400万個存在する汗腺で、主に体温調節のために汗を分泌します。この汗はほぼ水分と塩分からなっており、分泌直後はほぼ無臭です。
しかし、汗が皮膚表面に残ったままの状態が続くと、皮膚に常在する細菌がその汗や皮脂を栄養源として分解・代謝を行い、イソ吉草酸などの揮発性有機酸を生成します。これが「すっぱい臭い」「むれた臭い」として感じられる、いわゆる「汗臭さ」の原因です。
脇の下は皮膚同士が接触しやすく、通気性が悪いため、汗が蒸発しにくい環境にあります。また体温も高くなりやすいため、雑菌が繁殖しやすい条件が揃っています。夏場や運動後に脇が特に臭うと感じる方の多くは、このエクリン汗腺の汗と雑菌の作用が主な原因です。
また、汗をかく量が多い「多汗症」の場合は、このメカニズムがより顕著になります。多汗症は自律神経の過剰反応によって通常よりも多くの汗をかく状態であり、脇が特に影響を受けやすい部位のひとつです。多汗症の方は特に念入りな汗の管理が必要になります。
💊 3. ワキガじゃないのに臭う原因② 皮脂の過剰分泌
汗だけでなく、皮脂の過剰分泌も脇の臭いの一因となります。皮膚には皮脂腺があり、皮脂(油分)を分泌することで皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を維持する働きをしています。適切な量の皮脂は皮膚にとって必要なものですが、過剰に分泌されると問題が生じます。
過剰な皮脂は皮膚の常在菌のエサとなり、菌の増殖を促進します。菌が皮脂を分解する過程で生成される脂肪酸などが、独特の臭いを生じさせます。この臭いは「脂っぽい臭い」や「古い油のような臭い」として感じられることが多く、ワキガの臭いとは異なる性質を持っています。
皮脂の過剰分泌は、ストレス・睡眠不足・食生活の乱れ・ホルモンバランスの変化などによって引き起こされやすいことが知られています。特に脂質や糖質の多い食事を続けていると皮脂の分泌量が増える傾向があるため、食事内容の見直しも臭い対策に有効です。
また、脇の皮膚を洗いすぎることで必要な皮脂まで洗い流してしまい、皮膚が乾燥→過剰皮脂分泌というサイクルに陥ることもあります。洗浄は適度に行うことが大切です。
Q. 食事が脇の臭いに影響することはありますか?
はい、食事は脇の臭いに直接影響します。にんにく・ねぎ・ニラなどに含まれるアリシンは消化後に血中へ入り、皮膚からも排出されて汗と混ざり臭いを発生させます。アルコールはアセトアルデヒドとして排出され体臭を強めます。動物性脂肪の過剰摂取も腸内で臭い物質を増やすため、食生活の見直しが体臭対策に有効です。
🏥 4. ワキガじゃないのに臭う原因③ 体の内側からくる臭い
脇の臭いは皮膚表面だけで起こるわけではありません。体の内側から発せられる臭いが皮膚を通じて体外に出てくることも、脇が臭う原因のひとつになり得ます。
代表的な例が食事による臭いの変化です。にんにく・ねぎ・玉ねぎなどのアリウム属の野菜に含まれるアリシンという成分は、消化・吸収されて血中に入り、肺や皮膚から排出されます。これが汗と混ざることで、脇も含めた体全体から独特の臭いが発生します。ニラ・らっきょう・カレースパイスなども同様のメカニズムで臭いを引き起こすことがあります。
アルコールも体内で代謝される過程でアセトアルデヒドという物質が生成され、これが汗として排出されることで体臭を強くします。お酒をよく飲む方は翌日になっても汗が臭うことがあるのは、このためです。
また、動物性たんぱく質(肉類など)を多く摂取する食生活を続けると、腸内での消化・分解の過程でアンモニアやインドールなどの臭い物質が生成されやすくなり、これが体臭として現れることがあります。腸内環境が乱れると臭い物質の生成が増えるため、腸内フローラのバランスを整えることも体臭対策として有効です。
さらに、糖尿病の方ではケトアシドーシスという状態になると甘い臭いやフルーティーな臭いが体全体から発せられることがあります。また、腎機能が低下するとアンモニア臭が強まることもあります。これらは疾患に関連した体臭であり、医療機関での治療が必要なケースです。
⚠️ 5. ワキガじゃないのに臭う原因④ 衣類や環境の影響
脇の臭いの原因として見落とされがちなのが、衣類や日常環境の影響です。着ている服の素材や洗濯方法によって、脇の臭いが悪化することがあります。
まず衣類の素材について考えてみましょう。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は通気性が低く、汗が蒸発しにくい環境を作り出します。また、化学繊維の繊維表面は親油性(油をよく吸着する性質)を持つことが多く、皮脂や汗の成分が繊維に蓄積しやすい特性があります。このため、洗濯しても臭いが完全に落ちにくく、着用するたびに雑菌が繁殖するリスクが高まります。
特に問題となるのが「洗濯後も残る臭い」です。洗濯で菌を完全に除去できていない場合、着用時に汗や皮脂が加わることで菌が再び繁殖し、着てすぐに臭いが気になるという状態になります。これは「部屋干し臭」の原因と同じメカニズムです。洗濯槽にも雑菌やカビが繁殖していることがあり、これが衣類に移って臭いの原因になることもあります。
また、制汗剤や脇の汗取りパッドが適切に使用されていない場合も臭いの原因になることがあります。制汗剤を正しいタイミング・方法で使用しないと、その効果を十分に得られないことがあります。
職場環境や生活空間の温度・湿度も影響します。高温多湿の環境では汗をかく量が増え、雑菌の繁殖も促進されるため、臭いが強くなりやすいです。エアコンの効いた環境と外気温の差が大きい場合、急激な発汗が起こりやすくなることも脇の臭いの一因となります。
Q. 生理前に脇が臭いやすくなる理由は?
月経前はエストロゲンとプロゲステロンのバランスが変動し、体温上昇・発汗増加・皮脂分泌の変化が起こりやすくなります。これによりエクリン汗腺の活動が活発になり、皮膚の常在菌が繁殖しやすい環境が整うことで脇の臭いが強まります。ワキガではなくホルモン変動に伴う一時的な現象である場合がほとんどです。
🔍 6. ワキガじゃないのに臭う原因⑤ ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化も、脇の臭いに大きく影響します。ホルモンは汗の分泌量や皮脂の量、アポクリン汗腺の活動に直接的な影響を与えるため、ホルモンの変動が体臭の変化として現れることがあります。
思春期はアンドロゲン(男性ホルモン)の分泌が増加し、アポクリン汗腺やエクリン汗腺の活動が活発になります。発汗量の増加と皮脂分泌の増加が重なり、この時期に体臭が強くなったと感じる方は多くいます。ワキガではなくても、思春期に脇の臭いが気になり始めるのはこのためです。
女性の場合、月経周期によってもホルモンバランスが変動し、体臭が変化することがあります。排卵期前後や月経前のPMS(月経前症候群)の時期には、エストロゲンやプロゲステロンのバランスが崩れやすく、体温上昇・発汗増加・皮脂分泌の変化が起こりやすくなります。「生理前になると脇が臭う気がする」という方は、このホルモン変動が影響している可能性があります。
更年期もホルモンバランスが大きく変動する時期です。エストロゲンの急激な低下によってのぼせ・ほてり・発汗が起こりやすくなり(ホットフラッシュ)、これが体臭の変化につながることがあります。また、更年期は皮脂の組成も変化するため、若い頃とは異なる臭いが生じることもあります。
ストレスも間接的にホルモンバランスを乱し、発汗や皮脂分泌に影響を与えます。精神的なストレスや緊張状態になると、交感神経が優位になり、エクリン汗腺からの発汗が増加します。仕事や人間関係でストレスを感じやすい方は、このことが脇の臭いに影響している可能性があります。
📝 7. ワキガじゃないのに臭う原因⑥ 疾患が関係している場合
ここまで紹介した原因以外に、特定の疾患が脇の臭いや体臭に影響していることがあります。臭いが突然変化した、生活習慣を改善しても一向に改善しないという場合は、こうした疾患の可能性も念頭に置いておくことが重要です。
まず「多汗症」は先にも触れましたが、発汗量が過剰になることで臭いの原因となる雑菌の繁殖環境を作り出します。多汗症は手のひら・足の裏・頭部・顔面・脇などに局所的に起こるタイプ(原発性局所多汗症)と、全身性に起こるタイプがあります。脇に限局した多汗症は「腋窩多汗症」と呼ばれ、日常生活に支障をきたすレベルの発汗がある場合は医療機関での治療が有効です。
「脂漏性皮膚炎」も脇の臭いに関与することがあります。マラセチアという真菌(カビ)の過剰繁殖が原因のひとつとされる皮膚疾患で、皮脂の多い部位に起こりやすく、赤みやかゆみ、フケのような皮膚のはがれを伴います。脇の下にも発症することがあり、炎症と皮脂の異常分泌が臭いを引き起こすことがあります。
「トリメチルアミン尿症(魚臭症候群)」は非常にまれな代謝疾患で、体内でトリメチルアミンという物質が正常に代謝されないため、魚が腐ったような臭いが汗や尿から発せられる疾患です。
また先にも触れた糖尿病・腎疾患・肝疾患なども体臭の変化をもたらすことがあります。これらの疾患に関連した臭いは、根本となる疾患の治療を行うことで改善されることが多いため、気になる臭いの変化がある場合は内科的な検査も検討してみましょう。
Q. 脇の臭いに対する医療機関での治療法にはどんなものがありますか?
医療機関では主に3種類の治療が行われます。ボトックス注射は汗腺への神経伝達を遮断し3〜9ヶ月発汗を抑制する方法で、腋窩多汗症には保険適用の場合もあります。ミラドライはマイクロ波で汗腺を非侵襲的に破壊し長期効果が期待できる自費治療です。外科的な剪除法はアポクリン汗腺を直接除去する根本的な治療法です。アイシークリニックでは患者の状態に合わせた治療法を提案しています。
💡 8. 自分でできる臭い対策と改善方法
ワキガではない場合の脇の臭いは、日常生活の工夫で改善できることが多くあります。ここでは、自分でできる具体的な対策を紹介します。
🦠 清潔を保つためのケア
脇の臭いを防ぐための基本は、清潔を保つことです。入浴時には脇の下を丁寧に洗いましょう。ただし、洗浄力の強すぎるボディソープで過剰に洗いすぎると、必要な皮脂まで取り除いてしまい皮膚のバリア機能が低下します。洗浄力が穏やかなソープを使い、泡立ててから優しく洗うことが大切です。
汗をかいたらこまめにふき取ることも効果的です。汗をそのままにしておく時間が長いほど、雑菌が繁殖しやすくなります。市販の汗拭きシートやデオドラントシートを活用するのもよいでしょう。ただし、アルコール成分が皮膚を刺激することもあるため、肌が敏感な方は成分を確認した上で選んでください。
👴 適切な制汗・デオドラント剤の使用
制汗剤とデオドラント剤は似ているようで異なるアプローチを持つ製品です。制汗剤は汗の分泌自体を抑える(主成分:塩化アルミニウムなど)のに対し、デオドラント剤は菌の繁殖を抑制したり臭いをマスキングしたりすることで臭いを防ぎます。
市販品の中には両方の効果を持つものもあります。ロールオンタイプ、スプレータイプ、クリームタイプなど形状も様々で、自分の生活スタイルや好みに合わせて選ぶとよいでしょう。使用するタイミングとしては、入浴後の清潔な状態の脇に使用するのが最も効果的です。
塩化アルミニウムを高濃度で含む制汗剤(医療用に近いタイプ)は、皮膚科で処方または推奨されることもあります。市販の制汗剤で効果が不十分な場合は、医師に相談してみるのも一つの選択肢です。
🔸 衣類の工夫と洗濯の改善
通気性のよい素材の衣類を選ぶことで、脇の湿度を下げ雑菌の繁殖を抑えることができます。綿・麻・竹繊維などの天然素材や、速乾性・吸湿性に優れた機能素材を選ぶとよいでしょう。
洗濯については、洗濯槽のカビや汚れが衣類に移って臭いの原因になることがあります。定期的に洗濯槽クリーナーを使って洗濯機内を清潔に保ちましょう。また、衣類を洗う際には酸素系漂白剤を活用したり、除菌効果のある洗剤を選んだりすることも効果的です。洗った後はできるだけ早く乾かすことで、部屋干し臭の発生を防ぐことができます。
💧 食生活の見直し
体臭に影響しやすい食品を控えることも対策のひとつです。にんにく・ねぎ・にら・玉ねぎ・カレースパイスなどを食べた後は、水分を多く摂ることで臭い成分の排出を促すことができます。
動物性脂肪・糖質の過剰摂取は皮脂の分泌を増やす可能性があるため、バランスの取れた食事を心がけましょう。緑黄色野菜・海藻・発酵食品などを積極的に取り入れることで、腸内環境を整え体臭の改善につながることがあります。
水分摂取も重要です。水分が不足すると汗の濃度が上がり、臭いが強くなりやすい傾向があります。1日1.5〜2リットル程度の水分摂取を意識することで、汗を薄めて臭いを抑える効果が期待できます。
✨ 生活習慣の改善
十分な睡眠をとることは、ホルモンバランスの安定と自律神経の調整に役立ちます。睡眠不足が続くと皮脂の分泌が乱れたり、免疫機能の低下によって皮膚常在菌のバランスが崩れたりすることがあります。
ストレス管理も体臭対策に有効です。適度な運動でストレスを発散させ、リラクゼーションの時間を持つことで自律神経を整えましょう。ただし、運動後の汗はすぐにシャワーで洗い流すことが大切です。
喫煙は体臭を悪化させる要因のひとつです。タバコに含まれる成分が血液を通じて全身に運ばれ、汗と混じって排出されることで独特の臭いを生じさせます。禁煙は体臭改善のみならず、全身の健康に良い影響をもたらします。
✨ 9. 医療機関での治療という選択肢
日常的なケアや生活習慣の改善を試みても脇の臭いが改善しない場合、あるいは多汗症が原因で臭いが強い場合は、医療機関での治療を検討することをおすすめします。近年では、ワキガや多汗症に対するさまざまな治療法が普及しており、QOL(生活の質)の向上に大きく貢献しています。
📌 塩化アルミニウム外用薬(処方薬)

多汗症に対する基本的な治療として、塩化アルミニウムを含む外用薬が処方されることがあります。塩化アルミニウムは汗腺の開口部を塞ぐことで発汗を抑制する効果があります。市販品よりも高濃度のものが処方薬として使用可能で、効果が高い一方で皮膚刺激が出ることもあるため、医師の指導のもとで使用することが大切です。
▶️ ボトックス(ボツリヌス毒素)注射
ボトックス注射は、多汗症(腋窩多汗症)に対して広く行われている治療法です。ボツリヌス毒素を脇の下に注射することで、汗腺への神経伝達を一時的に遮断し、発汗を大幅に抑制します。効果は個人差がありますが、通常3〜9ヶ月程度持続します。効果が切れたら再度注射が必要ですが、繰り返し受けることができる治療法です。
日本では2012年に腋窩多汗症に対するボトックス治療が保険適用となっており、一定の条件を満たした場合は保険診療として受けることができます。
🔹 ミラドライ(マイクロ波治療)
ミラドライは、マイクロ波(電磁波の一種)を用いてアポクリン汗腺とエクリン汗腺の両方を非侵襲的に破壊する治療法です。切開を必要とせず、ダウンタイムが比較的短いことが特徴です。1〜2回の施術で長期的な効果が期待でき、汗の量の減少と臭いの改善が見込めます。ワキガと多汗症の両方を同時にアプローチできる治療として注目されています。
施術後は腫れや赤み、一時的なしびれが生じることがありますが、通常は数週間以内に落ち着きます。自費診療となるため費用はクリニックによって異なりますが、効果の持続性を考えると長期的にはコストパフォーマンスが良いと感じる方も多くいます。
📍 外科的手術(剪除法・皮弁法など)
ワキガに対する外科的手術は、アポクリン汗腺を直接除去・破壊する方法です。代表的なものとして「剪除法(せんじょほう)」があり、皮膚を小切開してアポクリン汗腺を切除または剥離する方法です。効果は高く、1回の手術で長期的な改善が期待できますが、術後の腫れや内出血、一時的に腕を上げにくくなるなどの回復期間が必要です。
また、吸引法(吸引脱臭法)は細い管を挿入し、皮下の汗腺組織を吸引して除去する方法で、傷が小さくダウンタイムが比較的短い特徴があります。
これらの外科的治療はワキガの根本的な解決策として有効ですが、ワキガではなく単に汗や雑菌による臭いの場合は過剰な治療となる可能性があるため、まず正確な診断を受けることが重要です。
💫 クリニックに相談することの大切さ
脇の臭いで悩んでいるものの、自分の状態がワキガなのか別の原因なのか判断できない方は多くいます。自己判断で誤ったケアを続けることで、皮膚トラブルを引き起こしたり、根本的な原因を見落としたりするリスクがあります。
まずは皮膚科や美容クリニックを受診し、専門医に現状を相談することをおすすめします。診察では問診や視診を通じて、ワキガ(アポクリン汗腺の過活動)なのか、多汗症(エクリン汗腺の過活動)なのか、あるいは別の皮膚疾患が関与しているのかを判断します。それぞれの状態に応じた最適な治療法を提案してもらえるため、自分に合ったアプローチで改善を目指すことができます。
アイシークリニック大宮院では、脇の臭いや多汗症に関するご相談を受け付けております。丁寧なカウンセリングと診察をもとに、患者さん一人ひとりに合った治療法をご提案いたします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「ワキガではないと言われたのに脇の臭いが気になる」というご相談を多くいただいており、その原因はエクリン汗腺の過剰な発汗や皮脂分泌、ホルモンバランスの乱れなど実に多岐にわたります。臭いの原因を正確に見極めることが適切なケアへの近道ですので、自己判断で対処し続けることに限界を感じていらっしゃる方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。お一人おひとりの状態に合わせた治療法をご提案できますので、どうかひとりで悩まずに気軽にお声がけいただければと思います。」
📌 よくある質問
ワキガ以外の脇の臭いの主な原因として、エクリン汗腺からの汗と雑菌の繁殖、皮脂の過剰分泌、にんにくや肉類などの食事の影響、ホルモンバランスの変化、衣類の素材や洗濯方法などが挙げられます。これらが単独または複合的に作用することで臭いが生じます。
日常的なケアとして、洗浄力の穏やかなソープで脇を丁寧に洗う、入浴後の清潔な状態で制汗・デオドラント剤を使用する、通気性の良い素材の衣類を選ぶ、バランスの取れた食事や十分な水分摂取を心がけるといった方法が有効です。これらを組み合わせることで改善が期待できます。
月経前はエストロゲンやプロゲステロンのバランスが変動し、体温上昇・発汗増加・皮脂分泌の変化が起こりやすくなります。これらがエクリン汗腺の活動を活発にし、雑菌の繁殖を促すことで脇の臭いが強まることがあります。ホルモンバランスに伴う一時的な変化と考えられます。
はい、可能性があります。ポリエステルなどの化学繊維は皮脂や汗の成分が蓄積しやすく、洗濯後も菌が残りやすい特性があります。また洗濯槽内のカビや汚れが衣類に移ることも原因になります。定期的な洗濯槽の清掃や酸素系漂白剤の活用、天然素材の衣類への切り替えが効果的です。
日常的なケアや生活習慣の改善を続けても臭いが改善しない場合、汗の量が極端に多い多汗症が疑われる場合、または臭いが突然変化した場合は医療機関への相談をおすすめします。当院では丁寧なカウンセリングと診察をもとに、ボトックス注射やミラドライなど患者さんの状態に合った治療法をご提案しています。
🎯 まとめ
ワキガじゃないのに脇が臭うという状況には、エクリン汗と雑菌の組み合わせ、皮脂の過剰分泌、食事や内臓からの影響、衣類・環境の問題、ホルモンバランスの変化、特定の疾患など、多様な原因が考えられることがわかりました。
自分でできる対策として、丁寧な洗浄・適切な制汗剤の使用・通気性の良い衣類の選択・食生活の改善・生活習慣の見直しなどが有効です。これらを組み合わせることで、多くの場合は脇の臭いを改善または軽減することができます。
しかし、生活習慣を改善しても臭いが気になる場合や、多汗症が疑われる場合は、医療機関への相談が最も確実な解決策です。ボトックス注射やミラドライ、外科的治療など、現在では様々な選択肢がありますので、専門医に相談した上で自分に合った治療法を選ぶことができます。
脇の臭いはデリケートな問題だけに一人で悩みを抱えがちですが、実際には多くの方が同じ悩みを持っており、対処法も確立されています。この記事が、臭いの原因を理解し解決に向けての第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。気になる症状があれば、ぜひ早めに専門家に相談することをおすすめします。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – ワキガ(腋臭症)の定義・診断基準・アポクリン汗腺とエクリン汗腺の違い、多汗症(腋窩多汗症)の診断と治療に関する専門的根拠として参照
- 厚生労働省 – ホルモンバランスの変化(思春期・更年期・ストレスによる自律神経への影響)と発汗・体臭との関連、生活習慣改善に関する公的情報として参照
- PubMed – エクリン汗腺の汗と皮膚常在菌によるイソ吉草酸等の揮発性有機酸生成メカニズム、ボツリヌス毒素注射の有効性、ミラドライ(マイクロ波治療)の臨床的エビデンスに関する国際医学文献として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務