頬や鼻の周りに赤みが消えずに悩んでいませんか?それは「毛細血管拡張症」かもしれません。毛細血管拡張症は、皮膚の浅い層にある毛細血管が拡張したまま元に戻らなくなることで、肌が赤く見える症状です。自然に治癒することはなく、塗り薬では改善が難しいとされていますが、Vビームレーザーによる治療では保険適用で治療を受けられる場合があります。
本記事では、毛細血管拡張症の原因や症状、保険適用となる条件、治療費用、そして大宮エリアで治療を検討されている方に向けて、専門的な情報を分かりやすく解説いたします。
目次
- 毛細血管拡張症とは
- 毛細血管拡張症の原因
- 毛細血管拡張症の症状と分類
- 毛細血管拡張症と酒さの違い
- 毛細血管拡張症の治療法
- Vビームレーザーとは
- 保険適用となる条件
- 治療費用の詳細
- 治療の流れと回数
- 治療後の副作用とダウンタイム
- 日常生活でできるセルフケア
- 大宮エリアで毛細血管拡張症治療を受けるなら
- よくあるご質問
- まとめ
1. 毛細血管拡張症とは
毛細血管拡張症とは、皮膚の真皮層(表皮のすぐ下の層)にある毛細血管が持続的に拡張し、皮膚表面から肉眼で血管が透けて見える状態を指します。通常、毛細血管は皮膚の表面からは見えませんが、何らかの原因によって拡張すると血流量が増加し、肌に赤みとなって現れます。
毛細血管拡張症の大きな特徴として、以下の3つが挙げられます。
まず、炎症を伴わない赤みであるという点です。ニキビや湿疹による赤みとは異なり、毛細血管拡張症では炎症が起きていないため、ステロイド外用薬などの塗り薬を使用しても症状は改善しません。
次に、毛細血管が拡張した状態が持続しているという点です。一時的な赤みではなく、血管が拡張したまま元に戻らない状態が続きます。
そして、自然治癒しないという点も重要な特徴です。放置していても赤みが自然に消えることはなく、根本的な改善にはレーザー治療が必要となります。
毛細血管拡張症は命に関わる疾患ではありませんが、顔に症状が現れることが多いため、見た目の問題から日常生活に支障をきたしたり、精神的なストレスを感じたりする方も少なくありません。
参考:日本皮膚科学会
2. 毛細血管拡張症の原因
毛細血管拡張症を引き起こすメカニズムは完全には解明されていませんが、いくつかの誘因が関係していると考えられています。原因は大きく「体質によるもの」と「生活習慣によるもの」に分けられます。
体質的な要因
遺伝的な体質が関係していることがあります。生まれつき皮膚が薄い方や色白の方は、皮膚表面から毛細血管が透けて見えやすい傾向があります。また、加齢によって皮膚の脂肪量が減少し、肌の状態が変化することで症状が出現することもあります。
女性ホルモンの影響も大きな要因の一つです。毛細血管拡張症は女性に多く見られる疾患で、特に妊娠中には顔や首、胸など全身に症状が広がることがあります。女性ホルモンが配合された薬を服用している場合にも同様の症状が起こることがあり、出産や薬の服用中止によって症状が改善するケースも報告されています。
肝硬変や肝機能障害といった内臓疾患に伴って毛細血管拡張症が現れることもあります。
生活習慣による要因
寒暖差は毛細血管拡張症の大きな誘因の一つです。暖かい場所と寒い場所を行き来することで、毛細血管は体温を一定に保つために拡張と収縮を繰り返します。この際に血管が拡張したまま戻らなくなることがあります。寒冷地に住んでいる方に毛細血管拡張症が多いのは、この寒暖差の影響が関係していると考えられています。
紫外線も重要な要因です。日光を長期間浴び続けると毛細血管が拡張し、線状にちりちりと見えるようになったり、赤ら顔になったりすることがあります。首からデコルテにかけて服で覆われていない部分は、特に日光の影響を受けやすい部位です。
アルコールや香辛料などの刺激物の摂取も、血管を拡張させる作用があります。唐辛子に含まれるカプサイシンには血管拡張作用があり、慢性的に過度な摂取を続けると毛細血管が拡張し続け、症状が悪化する可能性があります。
ストレスや睡眠不足によって自律神経が乱れると、毛細血管の収縮と拡張のコントロールがうまくいかなくなり、症状が現れやすくなります。
ステロイド外用薬を長期間使用することで、毛細血管拡張症を引き起こすケースもあります。ステロイドには血管を縮めたり広げたりする効果があるため、長期的な使用によって血管が広がったままになってしまうことがあります。
3. 毛細血管拡張症の症状と分類
毛細血管拡張症の代表的な症状は、皮膚が赤くなる「赤ら顔」です。患部によって赤色から赤紫色の毛細血管が皮膚に透けて見えることがあります。特に毛細血管が集中している鼻や頬に症状が現れやすい傾向があります。
毛細血管拡張症は、その広がり方によって主に4つのタイプに分類されます。
単純型(線状型)
血管の太さや長さはさまざまですが、盛り上がりはなく、赤色や青紫色を示す枝分かれのない血管の拡張です。鼻や頬部に多く見られます。1本の線状に透けて見える状態が特徴です。
樹枝状型
線状型に似ていますが、クモ状型ほどではない程度の枝分かれがある毛細血管の状態を指します。木の枝のように細かく分岐した血管が透けて見えます。
クモ状型
中心の血管から放射状に広がるクモの巣のような形が特徴です。中央に小さな赤い点があり、そこから周囲に向かって細い血管が広がって見えます。
丘疹型
毛細血管の拡張が隆起している状態です。皮膚がわずかに盛り上がって見えることがあります。
毛細血管拡張症では、通常は痛みやかゆみなどの自覚症状はありません。ニキビのような凹凸もなく、赤みだけがある状態が続きます。もし一時的に赤みが現れて自然に消えた場合や、炎症を伴う場合は、毛細血管拡張症ではなく他の疾患である可能性があります。
4. 毛細血管拡張症と酒さの違い
毛細血管拡張症と混同されやすい疾患に「酒さ(しゅさ)」があります。どちらも顔に赤みが出る症状ですが、原因や症状に違いがあります。正確な診断を受けることが適切な治療への第一歩となります。
自覚症状の違い
毛細血管拡張症は基本的に痛みやかゆみなどの自覚症状がありません。血管が拡張することで肌に透けて赤く見えているだけで、炎症は起きていません。
一方、酒さはヒリヒリ感やかゆみ、チクチクした痛み、ほてりなどの自覚症状を伴うことが多いです。酒さは慢性的な炎症性疾患であり、皮膚に炎症が起きている状態です。
皮膚の状態の違い
毛細血管拡張症では、基本的に皮膚に凹凸が出ることはありません。赤みや血管が透けて見えるだけで、皮膚表面は平らです。
酒さでは、ニキビのような赤い丘疹(ぶつぶつ)や膿疱(膿を持った吹き出物)が現れることがあります。進行すると皮膚が厚くなったり、鼻が赤く膨らんで凹凸になる「鼻瘤(びりゅう)」と呼ばれる状態になることもあります。
治療法の違い
毛細血管拡張症の有効な治療法はVビームなどのレーザー治療のみとされています。塗り薬や飲み薬では改善が期待できません。
酒さの場合は、レーザー治療に加えて、メトロニダゾール(ロゼックス)やイベルメクチン、アゼライン酸などの塗り薬、抗生物質などの飲み薬も有効な治療法として使用されます。2022年5月からはメトロニダゾールが酒さに対して保険適用となっています。
好発年齢の違い
毛細血管拡張症は若い方にも見られますが、酒さは中高年、特に30歳以降の女性に多く発症する傾向があります。若い方で顔の赤みに悩んでいる場合は、毛細血管拡張症である可能性が比較的高いと言えます。
いずれの疾患も自己判断での治療は難しいため、皮膚科専門医の診察を受けることをおすすめいたします。
参考:日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
5. 毛細血管拡張症の治療法
毛細血管拡張症は自然に治癒することはなく、残念ながら塗り薬や飲み薬では根本的な改善は期待できません。皮膚表面の毛細血管が開いて赤い線のように見える毛細血管拡張症を長期的に改善させる薬は、現在のところ確認されていません。
毛細血管拡張症を効果的に治療するには、拡張した毛細血管に直接作用するレーザー治療が必要です。
レーザー治療
レーザー治療は、毛細血管拡張症の治療において最も効果的な方法です。代表的な治療機器として「Vビーム」があります。Vビームは595nmの波長を持つ色素レーザーで、血液中のヘモグロビンに選択的に反応し、拡張した毛細血管を破壊または収縮させることで赤みを改善します。
Vビームは厚生労働省が認可した医療機器であり、毛細血管拡張症に対しては保険適用で治療を受けることができます。
フォトフェイシャル(IPL)
フォトフェイシャルは、IPL(Intense Pulsed Light)と呼ばれる広い波長の光を照射する治療法です。500〜1,200nm程度の範囲で光を照射でき、シミや毛穴の開きなど複数の肌悩みに対応できます。
ただし、毛細血管拡張症に対する効果はVビームレーザーの方が高いとされており、フォトフェイシャルは保険適用外(自由診療)となります。
ロングパルスヤグレーザー
ロングパルスヤグレーザーは、医療レーザーの中で最も波長が長く(1064nm)、皮膚の深部まで届くことが特徴です。Vビームでは対応しにくい太めの血管や深い位置にある血管に効果を発揮します。ただし、こちらも毛細血管拡張症に対しては保険適用外となります。
保険適用で治療を受けたい場合は、Vビームレーザーによる治療が第一選択となります。
6. Vビームレーザーとは
Vビーム(Vbeam)は、米国シネロン・キャンデラ社が開発した医療用の色素レーザーです。皮膚良性血管病変の治療目的で設計された機器で、日本では厚生労働省により承認されています。
Vビームの原理
Vビームから発振される波長595nmのレーザー光は、血液中の赤血球に含まれる酸化ヘモグロビンに選択的に吸収される特徴があります。
毛細血管が凝集した病変部では、ヘモグロビンがレーザーの光エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換されます。赤血球内で発生した熱は周囲へと拡散し、毛細血管の内壁が熱損傷を受けて血管が閉塞します。損傷を受けた血管は、その後マクロファージによる貪食や膠原線維の増殖によって正常な組織に置き換えられていきます。
この波長は正常な組織にはほとんど吸収されないため、正常組織を破壊せずに血管病変のみを選択的に治療することができます。
Vビームの種類
現在使用されているVビームにはいくつかの種類があります。
Vビーム II は従来機種からパワーが向上し、8つのマイクロパルス(サブパルス)でパルス幅が構成されているため、紫斑形成などの副作用を抑えた安全な治療が可能です。
Vビーム Prima は、1992年に国内販売を開始したSPTL-1から続く歴史あるパルスダイレーザーの最新モデルです。従来機のVビームIIよりも大口径かつ高出力でのレーザー照射が可能となっています。
冷却システム(DCD)
Vビームには、DCD(ダイナミッククーリングデバイス)と呼ばれる皮膚冷却システムが搭載されています。レーザー照射直前に−26℃の冷却ガスを皮膚に吹き付けることで、表皮を保護しながら治療を行います。
このシステムにより、目的とする部位への治療効果を損なうことなく、レーザー照射による痛みと表皮の熱損傷を最小限に抑えることができます。痛みは「輪ゴムで弾かれた程度」と表現されることが多く、多くの場合は麻酔なしでも耐えられる程度です。
7. 保険適用となる条件
Vビームレーザー治療は、すべての赤みに対して保険適用となるわけではありません。保険適用となるのは、医師の診断によって特定の疾患と認められた場合に限られます。
保険適用となる疾患
Vビームによる色素レーザー照射療法が保険適用となるのは、以下の3つの疾患です。
1つ目は単純性血管腫です。「赤あざ」とも呼ばれる良性の腫瘍で、生まれつきある平らな赤いあざです。自然に消えることはないため、早期からの治療が推奨されています。
2つ目は乳児血管腫(いちご状血管腫)です。生後数週以内に現れるデコボコとした赤いあざで、放置しても自然に消退することがありますが、新生児のうちからの治療が推奨されています。
3つ目は毛細血管拡張症です。原因不明の原発性毛細血管拡張症と診断された場合に保険適用となります。
これらの疾患と医師に診断された場合、健康保険が適用され、多くの場合3割負担(高齢者の方は1割負担)で治療を受けることができます。
保険適用外となる症例
一方、以下のような症例は保険適用外(自由診療)となります。
酒さやアトピー性皮膚炎に伴う赤ら顔は、毛細血管拡張症とは異なる疾患のため保険適用外です。ステロイドを長期に外用したことによる毛細血管拡張も、原発性ではないため保険適用外となります。
老人性血管腫(チェリーアンギオーマ)は、加齢や体質に関連して体に増えてくる点状の血管腫ですが、保険適用外です。ニキビやニキビ跡の赤み、傷跡の赤み、シミやくすみ、小じわの改善など美容目的の治療も保険は適用されません。
自分の症状が保険適用になるかどうかは、医師の診断結果に基づいて判断されます。保険適用できるか確認したい場合は、まず皮膚科専門医の診察を受けることをおすすめいたします。
保険適用の注意点
保険適用で治療を受ける場合、治療間隔に制限があります。保険診療では3ヶ月に1回の治療と定められており、短期間での連続照射はできません。より短期間で治療を進めたい場合は、自由診療を選択することも可能です。
また、保険適用で使用できるのは厚生労働省に認可された薬価収載医薬品のみとなります。
8. 治療費用の詳細
保険適用でVビーム治療を受ける場合、治療費は国で定められた診療報酬点数に基づいて算定されます。そのため、どのクリニックで受けても基本的な料金は同じです。Vビームには複数の機種(Vビーム2、Vビーム Primaなど)がありますが、機種によって保険診療の料金が変わることはありません。
令和6年度診療報酬点数
令和6年度の診療報酬改定により、色素レーザー照射療法の点数は以下のとおりに定められています。
色素レーザー照射療法(一連につき)の基本点数は2,712点です。照射面積が10平方センチメートルを超えた場合は、10平方センチメートルまたはその端数を増すごとに500点が加算されます。ただし、8,500点の加算が上限となります。
また、3歳未満の乳幼児に対して治療を行った場合は、乳幼児加算として2,200点が加算されます。
自己負担額の目安
3割負担の場合の自己負担額は、照射面積によって異なります。
10平方センチメートル以下の場合、約8,130円となります。20平方センチメートルの場合は約9,630円、50平方センチメートルの場合は約14,130円となります。180平方センチメートル(上限)の場合は約33,640円です。
1割負担の場合は、10平方センチメートル以下で約2,710円、180平方センチメートル(上限)で約11,220円となります。
なお、上記の金額は照射にかかる費用のみです。実際には初診料・再診料、処方箋料などが別途かかります。
子ども医療費助成制度
多くの自治体では、子ども医療費助成制度を設けています。埼玉県内では、多くの市町村で18歳以下のお子様の医療費助成が行われています。対象年齢や助成内容は自治体によって異なりますが、保険適用の対象となる疾患(毛細血管拡張症、単純性血管腫、乳児血管腫)であれば、自己負担がゼロまたは数百円程度で治療を受けられる場合もあります。
詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。
自由診療の場合
保険適用外となる症状の治療や、3ヶ月以内に再照射を希望する場合は自由診療となります。自由診療の料金はクリニックによって異なりますが、顔全体の照射で1回あたり10,000円〜50,000円程度が相場です。
9. 治療の流れと回数
毛細血管拡張症のVビームレーザー治療は、1回の施術で完全に症状が消えることはほとんどありません。複数回の照射を重ねることで、徐々に赤みが改善していきます。
初診から治療までの流れ
まず初診時に医師が肌の状態を診察し、毛細血管拡張症かどうかを診断します。Vビームレーザーが適した治療かどうかを判断し、治療のメリット・デメリットや期待できる効果について説明を受けます。クリニックによっては、初診日に診察と治療を別々に行う方針のところもあります。
施術当日は、洗顔やクレンジングで施術部位のメイクや日焼け止めを落とします。治療効果を最大限に発揮するため、施術部位は清潔な状態にする必要があります。
施術時は目をゴーグルで保護し、Vビームレーザーを患部に照射します。照射時間は病変の範囲にもよりますが、数分から10分程度で終わることがほとんどです。施術後は必要に応じて炎症を抑える塗り薬を塗布し、終了となります。
治療回数と間隔
毛細血管拡張症に対するVビームの治療は、通常3〜10回程度が目安となります。症状や個人差によって必要な回数は異なります。
治療効果が出やすいのは、拡張している血管が太くてはっきりと見えているタイプです。レーザーは色に反応するため、濃くはっきりと見えている血管の方が効果を期待できます。血管が細くぼんやり浮き上がっているようなタイプは、より多くの回数が必要となる傾向があります。
保険適用で治療をする場合は、3ヶ月以上間隔を空ける必要があります。そのため、5回照射する場合は約1年3ヶ月、10回照射する場合は約2年5ヶ月程度が治療期間の目安となります。
自由診療であれば、ダウンタイムの程度にもよりますが2週間〜1ヶ月程度の間隔で治療を進めることができます。
治療効果の経過
1回目の治療後すぐに効果を実感できる方もいますが、多くの場合は複数回の治療を重ねることで徐々に改善していきます。治療直後は一時的に赤みが増すことがありますが、その後徐々に落ち着いていきます。
早い方では1回の治療で効果を感じられますが、一般的には3〜5回程度の治療で改善が見られることが多いです。
10. 治療後の副作用とダウンタイム
Vビームレーザー治療は比較的安全な治療法ですが、施術後にはいくつかの副作用が生じる可能性があります。これらの症状は通常一時的なもので、適切なケアを行えば数日から2週間程度で落ち着きます。
主な副作用
赤みは施術後によく見られる症状です。レーザーを照射した部位に赤みが生じ、通常は数時間から3日程度で落ち着きます。
腫れやむくみも生じることがあります。特に頬に照射した場合に出やすく、レーザーの影響で皮膚が軽度の炎症を起こしてむくみます。多くの場合は2日以内に引きますが、元々の赤みが強い場合には5日ほど持続することもあります。
内出血(紫斑)は、Vビームにより皮膚表面の血管が壊れることで生じます。打撲のときの内出血と同じような現象で、紫色のあざのように見えることがあります。通常は1〜2週間程度で消退します。赤あざや毛細血管拡張症の治療では、内出血が出る程度の強い出力で照射しないと十分な効果が得られないため、ある程度の内出血は想定されます。
水疱(水ぶくれ)がごくまれに生じることがあります。内出血ができた場所にプツプツとした水ぶくれができることがありますが、通常は2週間程度で落ち着きます。
炎症後色素沈着として、施術後に一時的に肌が茶色くなることがあります。日本人は炎症後色素沈着を起こしやすい肌質のため、注意が必要です。通常は数ヶ月かけて徐々に薄くなっていきます。
ダウンタイムの目安
ダウンタイム(施術後に皮膚が元の状態に戻るまでの期間)は、施術の強さや個人の肌質によって異なります。
軽い出力で照射した場合は、赤みが数時間〜1日程度、腫れが1〜2日程度で、内出血はほとんど出ません。
強い出力で照射した場合は、赤みが数日〜1週間程度、腫れが数日〜1週間程度、内出血が1〜2週間程度続くことがあります。
施術後の注意点
施術当日から洗顔やメイクは可能ですが、照射部位を強くこすらないように注意が必要です。入浴も当日から可能ですが、施術当日は長時間の入浴や激しい運動は避けた方が良いでしょう。
最も重要なのは紫外線対策です。施術後は肌が敏感になっているため、日焼けをすると色素沈着を起こしやすくなります。日焼け止めを塗り、日傘や帽子を活用して紫外線を避けてください。
赤みや痛みが強い場合は、保冷剤をタオルで包んで患部を冷やすと症状が緩和されます。
治療を受けられない方
以下に該当する方は、Vビームレーザー治療を受けることができません。
妊娠中または妊娠の可能性がある方、光線過敏症の方、てんかん発作の既往がある方(まぶしい光が発作の誘因となる場合があります)、過去に金製剤の抗リウマチ薬を内服したことがある方、イソトレチノイン(アキュテイン)内服中または内服終了から30日を経過していない方は治療を受けられません。
また、血液をサラサラにする薬を服用中の方は強い内出血を起こしやすいため、事前に医師にご相談ください。
11. 日常生活でできるセルフケア
毛細血管拡張症はセルフケアだけで完治させることはできませんが、症状の悪化を防ぐことは可能です。日常生活で以下の点に気をつけることで、症状の進行を抑え、治療効果を高めることが期待できます。
スキンケアの注意点
肌に強い刺激を与える行為は避けましょう。洗顔時にゴシゴシとこすったり、スクラブ入りの洗顔料を使用したりすることは、毛細血管拡張症を悪化させる可能性があります。洗顔は泡で包み込むように優しく行い、タオルで拭くときも肌を押さえるようにして水分を吸い取ってください。
洗顔には極端に熱いお湯や冷たい水は使わないようにしましょう。急激な温度変化は毛細血管の拡張と収縮を繰り返させ、症状を悪化させる原因となります。ぬるま湯(32〜35度程度)での洗顔がおすすめです。
保湿ケアは非常に重要です。乾燥は肌のバリア機能を低下させ、毛細血管拡張症を招く要因となります。洗顔後は時間を置かずにすぐに保湿ケアを行いましょう。セラミドやヒアルロン酸など保湿成分が配合された製品を選ぶと良いでしょう。
化粧品はアルコール(エタノール)成分が含まれていないものを選んでください。アルコールには血管を拡張する働きがあるため、毛細血管拡張症の症状を悪化させる可能性があります。
紫外線対策
紫外線は毛細血管の拡張を引き起こすだけでなく、肌にさまざまなダメージを与えます。外出時は季節を問わず、日焼け止めクリームを使用しましょう。SPF20程度のものを選び、2時間おきに塗り直すことが効果的です。
日焼け止めに加えて、日傘や帽子、サングラスやUVカット機能のあるメガネなども活用して、紫外線を浴びないよう心がけましょう。
生活習慣の見直し
アルコールや香辛料などの刺激物の摂取は控えめにしましょう。これらは血管を拡張させる作用があり、慢性的に過度な摂取を続けると毛細血管が拡張し続け、症状が悪化する可能性があります。
喫煙も血管に悪影響を与えるため、可能であれば禁煙をおすすめします。カフェインの過剰摂取も避けた方が良いでしょう。
十分な睡眠を確保し、ストレスをためないことも大切です。ストレスや睡眠不足は自律神経を乱し、毛細血管の収縮と拡張のコントロールに悪影響を与えます。適度な運動や趣味の時間を持つなど、ストレス発散を心がけましょう。
食生活の改善
血管の健康を保つには、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEを含む食品を積極的に摂取すると良いでしょう。これらは血管の老化やダメージを防ぐ働きが期待できます。
腸内環境と毛細血管拡張症には関連があるとも考えられています。食物繊維を多く含む玄米や野菜類、発酵食品などを意識的に摂取し、腸内環境を整えることも大切です。
12. 大宮エリアで毛細血管拡張症治療を受けるなら
大宮エリアには、毛細血管拡張症の治療を行っている皮膚科・美容皮膚科が多数あります。保険適用での治療を希望される場合は、Vビームレーザーを導入しており、保険診療に対応しているクリニックを選ぶことが重要です。
クリニック選びのポイント
Vビームレーザーを導入しているかどうかを確認しましょう。Vビームには複数の機種(Vビーム II、Vビーム Prima など)がありますが、いずれも保険診療の料金は同じです。最新機種のVビーム Primaは、大口径での照射が可能で治療時間が短縮できるという利点があります。
皮膚科専門医が在籍しているかどうかも重要なポイントです。毛細血管拡張症と酒さの鑑別など、正確な診断には専門的な知識が必要です。日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医による診察を受けることをおすすめします。
保険診療と自由診療の両方に対応しているクリニックであれば、症状や希望に応じて最適な治療プランを提案してもらえます。
治療実績も参考になります。毛細血管拡張症のレーザー治療は、照射の強さや範囲の設定が効果に大きく影響します。豊富な治療経験を持つ医師による施術を受けることで、より良い結果が期待できます。
アイシークリニック大宮院のご案内
アイシークリニック大宮院では、専門医による毛細血管拡張症の診断・治療を行っております。保険適用でのVビームレーザー治療に対応しており、患者様一人ひとりの症状に合わせた治療プランをご提案いたします。
大宮駅から徒歩圏内と通院しやすい立地で、土日祝日も診療を行っておりますので、お仕事や学校でお忙しい方にもご利用いただきやすい環境を整えております。
顔の赤みでお悩みの方、毛細血管拡張症かもしれないとお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。専門医が丁寧に診察し、最適な治療法をご案内いたします。

13. よくあるご質問
残念ながら、毛細血管拡張症は自分で治すことはできません。一度拡張した毛細血管は自然に元に戻ることはなく、市販の化粧品や塗り薬では根本的な改善は期待できません。ただし、日常のセルフケアによって症状の悪化を防ぐことは可能です。根本的な治療にはVビームレーザーなどの医療レーザーが必要です。
Vビームレーザーには冷却システムが搭載されており、照射直前に冷却ガスを吹き付けることで痛みを軽減しています。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの方は「輪ゴムで弾かれた程度」と表現されます。基本的には麻酔なしで受けられる程度の痛みですが、痛みに不安がある場合は麻酔クリームや麻酔テープの使用についてご相談ください。
Q3. 1回の治療で赤みは消えますか?
1回の治療で完全に赤みが消えることは稀です。多くの場合、3〜10回程度の治療を重ねることで徐々に改善していきます。ただし、治療効果には個人差があり、血管が太くはっきりしているタイプの方が早く効果を実感できる傾向があります。
Q4. 治療後すぐにメイクはできますか?
はい、Vビームレーザー治療後は当日からメイクが可能です。ただし、照射部位を強くこすらないように注意してください。赤みや腫れが強い場合は、刺激の少ない化粧品を使用することをおすすめします。
Q5. 保険適用の場合、どのくらいの費用がかかりますか?
保険適用の場合、3割負担で10平方センチメートル以下の照射であれば約8,130円程度です。照射面積が大きくなると費用も上がり、上限の180平方センチメートルで約33,640円となります。これに加えて、初診料・再診料などが別途かかります。
Q6. 子どもでも治療を受けられますか?
はい、お子様も治療を受けることができます。毛細血管拡張症や単純性血管腫、乳児血管腫は保険適用となりますので、お住まいの自治体のこども医療費助成制度を利用すれば、自己負担が軽減される可能性があります。埼玉県内では多くの市町村で18歳以下のお子様の医療費助成が行われています。
Q7. 治療後、運動や入浴はできますか?
施術当日から洗顔、入浴は可能です。ただし、長時間の入浴や激しい運動は血流を増加させ、赤みや腫れを悪化させる可能性がありますので、施術当日は避けた方が無難です。翌日からは通常どおりの生活を送っていただけます。
Q8. 酒さと診断されましたが、保険で治療できますか?
酒さに対するVビームレーザー治療は保険適用外(自由診療)となります。ただし、酒さには保険適用の塗り薬(メトロニダゾール:ロゼックス)がありますので、まずは保険診療での治療を試されることをおすすめします。酒さの症状に毛細血管拡張が伴っている場合は、その部分についてはVビームが有効です。
14. まとめ
毛細血管拡張症は、皮膚の浅い層にある毛細血管が拡張したまま元に戻らなくなることで、肌が赤く見える症状です。自然治癒することはなく、塗り薬では改善が難しいとされていますが、Vビームレーザーによる治療では保険適用で治療を受けることができます。
保険適用となるのは、医師に「毛細血管拡張症」「単純性血管腫」「乳児血管腫」と診断された場合です。令和6年度の診療報酬改定により、色素レーザー照射療法の基本点数は2,712点と定められており、3割負担の場合は1回あたり約8,130円〜33,640円(照射面積による)で治療を受けることができます。
Vビームレーザーは厚生労働省に承認された安全性の高い医療機器で、波長595nmのレーザー光が血液中のヘモグロビンに選択的に吸収されることで、拡張した毛細血管を破壊・閉塞させます。治療回数は通常3〜10回程度で、保険適用の場合は3ヶ月ごとに治療を行います。
治療後は一時的に赤みや腫れ、内出血が生じることがありますが、多くの場合は数日から2週間程度で落ち着きます。日常生活では、肌への刺激を避け、紫外線対策をしっかり行い、生活習慣を見直すことで、症状の悪化を防ぐことができます。
顔の赤みでお悩みの方は、まずは専門医の診察を受けることをおすすめします。毛細血管拡張症と診断されれば、保険適用で経済的な負担を抑えながら治療を進めることが可能です。アイシークリニック大宮院では、経験豊富な専門医がお一人おひとりの症状に合わせた最適な治療をご提案いたします。お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会
- 厚生労働省 令和6年度診療報酬改定
- 厚生労働省 e-ヘルスネット
- シネロン・キャンデラ社 Vbeam II
- 日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023
- 埼玉県 こども医療費助成制度
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務