ランニングを続けていると、膝の痛みに悩まされるランナーは少なくありません。「最近走るたびに膝が痛くなる」「痛みをかばって走っていたらフォームが崩れてしまった」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。膝の痛みは放置してしまうと慢性化しやすく、スポーツを楽しめない期間が長引いてしまうこともあります。この記事では、ランニングによって引き起こされる膝の痛みの原因・種類・対策・予防法について、医療的な観点からわかりやすく解説します。ランニングを長く楽しみ続けるために、ぜひ最後までお読みください。
目次
- ランニングで膝が痛くなる仕組み
- ランニングで起こる膝の痛みの代表的な種類
- 症状別の特徴と見分け方
- ランニング時の膝の痛みに対する応急処置
- 医療機関での診断と治療法
- ランニングで膝を痛めないための予防策
- 膝の痛みを改善するストレッチとエクササイズ
- シューズ・インソールの選び方が与える影響
- どんな状態のときに病院へ行くべきか
- まとめ

🎯 ランニングで膝が痛くなる仕組み
ランニングは有酸素運動として非常に優れた運動ですが、繰り返しの着地衝撃と膝への負荷が積み重なることで、膝関節周辺の組織にダメージが蓄積していきます。走るたびに体重の約3〜5倍の衝撃が膝にかかるとされており、特に長距離を走る場合や傾斜のある道を走る場合は、その負担はさらに大きくなります。
膝関節は大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)で構成されており、これらをつなぐ靭帯・腱・筋肉・軟骨がバランスを保ちながら機能しています。ランニングによる痛みは、この構造のどこかに過度の負荷がかかることで発生します。
また、筋力不足・柔軟性の低下・フォームの乱れ・オーバートレーニングなどの要因が重なることで、特定の部位に集中的なストレスがかかりやすくなります。ランニングフォームが崩れると、膝の内側や外側に不自然な力が加わり、炎症や痛みが生じる原因となります。
さらに、準備不足の状態で急に距離や強度を上げると、筋肉や腱が適応する前に組織が損傷してしまうことがあります。「10%ルール」として知られる原則では、週ごとのランニング距離の増加は前週比10%以内に抑えることが推奨されています。
📋 ランニングで起こる膝の痛みの代表的な種類
ランニングによる膝の痛みにはいくつかの代表的な疾患・状態があります。それぞれ発症しやすいランナーの特徴や症状が異なるため、自分の状態に近いものを確認することが重要です。
🦠 腸脛靭帯炎(ランナー膝)
腸脛靭帯炎は「ランナー膝」とも呼ばれ、ランニング障害の中で最も多い疾患の一つです。腸脛靭帯とは、骨盤から太ももの外側を通り、膝の外側(膝蓋骨の外側)に付着する長い靭帯のことです。ランニング中に膝を曲げ伸ばしする際、この靭帯が大腿骨の出っ張り部分(外側上顆)に繰り返し擦れることで炎症が起こります。
特に長距離ランナー・初心者ランナー・下り坂を多く走るランナーに多く見られます。走り始めは問題ないのに、一定距離を超えると膝の外側が痛くなるのが特徴で、階段の下りでも痛みが出やすいです。
👴 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝蓋腱炎は、膝のお皿(膝蓋骨)の下方に位置する「膝蓋腱」に炎症が起きる状態です。ジャンプ動作の多い競技で多く見られることから「ジャンパー膝」とも呼ばれますが、ランニングでも発症します。膝蓋骨の下部からすぐ下あたりに痛みや圧痛があり、階段の昇降や深くしゃがむ動作で悪化することが多いです。
大腿四頭筋(前ももの筋肉)の柔軟性が低下していたり、急に練習量を増やしたりすることで発症しやすくなります。慢性化すると腱の変性(変性腱症)に移行することもあるため、早期対応が重要です。
🔸 膝蓋大腿症候群(前膝痛症候群)
膝蓋大腿症候群は、膝蓋骨と大腿骨の間の関節(膝蓋大腿関節)に問題が生じる状態で、膝の前面・お皿周辺に鈍い痛みが出ます。長時間座った後に立ち上がるとき、階段の昇降時、下り坂を走るときなどに症状が出やすいです。
股関節周囲の筋力不足や膝蓋骨の動きの偏りが原因となることが多く、特に女性や初心者ランナーに多い傾向があります。「ランニングを始めたら膝の前が痛くなった」という方に多く見られる症状です。
💧 膝内側側副靭帯損傷・鵞足炎
鵞足炎(がそくえん)は、膝の内側に付着する3つの筋肉の腱(縫工筋・薄筋・半腱様筋)が集まる「鵞足部」に炎症が起きる状態です。ランニングだけでなく、サイクリングなどでも発症することがあります。膝の内側やや下方に痛みや腫れが出るのが特徴で、O脚の方や偏平足の方に多く見られます。
✨ 半月板損傷
半月板は膝関節のクッションとなる軟骨組織で、ランニングの反復動作や捻りの動作で損傷することがあります。膝の内側または外側に深部の痛みを感じることが多く、腫れや「引っかかり感」を伴うこともあります。急性の損傷から慢性的な摩耗まで程度はさまざまで、症状が強い場合は専門医の診断が必要です。
💊 症状別の特徴と見分け方
膝の痛みが「どこ」に出るかは、疾患の種類を判断する大きなヒントになります。
膝の外側が痛い場合は、腸脛靭帯炎(ランナー膝)の可能性が高いです。特に走り始めは問題なく、一定の距離・時間を経過してから痛みが出始めるパターンが典型的です。
膝のお皿(膝蓋骨)の下が痛い場合は、膝蓋腱炎を疑います。お皿のすぐ下を押すと強い圧痛があることが多く、階段を下りるときや走り始めに痛みが強く出ることがあります。
膝のお皿の周囲や前面全体が痛い場合は、膝蓋大腿症候群の可能性があります。長時間のデスクワーク後にも痛みが出るのが特徴的です。
膝の内側が痛い場合は、鵞足炎または内側側副靭帯の問題が考えられます。押すと痛みがある圧痛点が膝の内側下方にある場合、鵞足炎の可能性が高いです。
膝の深部・関節内に痛みがある場合や、関節が腫れたり熱感がある場合、引っかかり感がある場合は、半月板損傷や関節軟骨の問題を疑い、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
🏥 ランニング時の膝の痛みに対する応急処置
ランニング中や直後に膝に痛みが生じた場合、適切な応急処置を行うことで症状の悪化を防ぐことができます。
📌 RICE処置(急性期の基本対応)
急性の痛みや怪我が疑われる場合は、RICE処置が基本です。
R(Rest:安静):まず走るのをやめ、患部を安静に保ちます。無理に走り続けると症状が悪化するリスクがあります。
I(Ice:冷却):痛みのある部位を氷や冷却パックで冷やします。10〜20分を目安に行い、直接肌に当てず、タオルなどで包んで使用します。冷やしすぎには注意が必要です。
C(Compression:圧迫):弾性包帯やサポーターで適度に圧迫することで、腫れを抑える効果があります。ただし強すぎる圧迫は血流を妨げるので注意してください。
E(Elevation:挙上):患部を心臓より高い位置に保つことで、腫れや炎症の進行を抑えます。横になった状態で足の下にクッションを置くと効果的です。
なお、近年はRICE処置の「Ice(冷却)」については、過度な冷却が組織修復を妨げる可能性があるという見解もあり、「POLICE(保護・最適負荷・アイシング・圧迫・挙上)」や「PEACE&LOVE」といった新しいプロトコルも提唱されています。受傷直後のアイシングは痛みを和らげる効果がありますが、長期的なアイシングは推奨されない場合もあるため、症状が続く場合は医療機関に相談することをお勧めします。
▶️ サポーターの活用
市販の膝用サポーターは、痛みを和らげ膝を安定させる効果があります。ただし、サポーターはあくまで補助的なものであり、根本的な治療ではありません。サポーターに頼りすぎると筋力低下を招く場合もあるため、専門家の指導のもとで使用することが望ましいです。
🔹 市販の鎮痛薬の使用
一時的な痛みの緩和のために、市販の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の飲み薬や塗り薬を使用することがあります。ただし、薬で痛みを抑えてランニングを続けることは症状の悪化につながる可能性があるため、無理は禁物です。
⚠️ 医療機関での診断と治療法
自己判断や応急処置だけでは改善しない場合や、症状が重い場合は、整形外科・スポーツ整形外科などの医療機関を受診することが重要です。
📍 診断方法
医療機関では、問診・視診・触診に加えて、レントゲン(X線)検査で骨の状態を確認します。軟骨や靭帯・腱などの軟部組織の評価にはMRI検査が有効で、より詳細な情報を得ることができます。エコー(超音波)検査は、リアルタイムで腱や靭帯の状態を観察できるため、外来で活用されることも増えています。
💫 保存療法(手術以外の治療)
膝の痛みの多くは手術を必要とせず、保存療法で改善することができます。
リハビリテーション・理学療法士による指導では、筋力トレーニング・ストレッチ・フォーム改善など、個人の状態に合わせた運動療法が行われます。膝周囲だけでなく、股関節や体幹の機能改善も重要なポイントです。
物理療法としては、超音波治療・電気刺激治療・温熱療法・レーザー療法などが行われることがあります。
薬物療法では、NSAIDsによる消炎鎮痛が基本です。炎症が強い場合や保存療法で改善しない場合に、ステロイド注射が行われることもありますが、繰り返しの使用は組織損傷を招く可能性があるため慎重に判断されます。
近年注目されている治療法として、PRP(多血小板血漿)療法があります。自分の血液から血小板を濃縮したPRPを患部に注射する治療法で、組織の修復を促進する効果が期待されています。スポーツ選手への応用が進んでいる比較的新しい治療法です。
🦠 手術療法
保存療法で改善しない重度の半月板損傷や靭帯損傷などでは、関節鏡手術(内視鏡手術)が行われることがあります。小さな切開で行える低侵襲手術であり、回復期間が比較的短いのが特徴です。
🔍 ランニングで膝を痛めないための予防策
膝の痛みを未然に防ぐためには、いくつかの重要な予防策を日常的に実践することが大切です。
👴 段階的なトレーニング計画
前述の「10%ルール」のように、ランニングの距離・時間・強度を急に増やさないことが基本中の基本です。身体が新しい負荷に適応するには時間が必要で、段階的に負荷を増やすことで怪我のリスクを下げることができます。また、週に1〜2日は完全休養日を設け、身体の回復を促すことも重要です。
🔸 ウォームアップとクールダウン
ランニング前のウォームアップは、関節や筋肉の準備を整えるために欠かせません。いきなり走り出すと、体温が低い状態で関節に大きな負荷がかかることになります。ウォームアップは5〜10分程度のジョグ(軽い走り)から始め、動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)を行うのが効果的です。
ランニング後のクールダウンでは、軽いジョグやウォーキングでゆっくりと心拍数を落とし、静的ストレッチ(スタティックストレッチ)で使った筋肉をほぐします。このクールダウンを丁寧に行うことで、翌日以降の疲労回復にも役立ちます。
💧 適切な走行面と環境の選択
アスファルトなどの硬い路面はクッション性がなく、着地衝撃が大きくなります。可能であれば、土や芝生などのやわらかい路面でのランニングを取り入れることで、膝への衝撃を減らすことができます。また、傾斜のある道での下り坂ランニングや、バンクのある道での一方向のランニングは、膝への負担が大きくなるため注意が必要です。
✨ 体重管理
体重が1kg増えると、歩行時の膝への負荷は約3〜4kg増加するとされています。適切な体重を維持することは、膝の健康を守るうえで非常に重要な要素です。
📝 膝の痛みを改善するストレッチとエクササイズ
膝の痛み予防・改善には、柔軟性の向上と筋力強化が欠かせません。ここでは代表的なストレッチとエクササイズを紹介します。
📌 腸脛靭帯・大腿筋膜張筋のストレッチ
腸脛靭帯炎(ランナー膝)の予防・改善に欠かせないのが、腸脛靭帯と大腿筋膜張筋のストレッチです。立った状態で、ストレッチしたい側の脚を後ろに引き、体を反対側に傾けることで外側を伸ばすことができます。また、フォームローラーを使って腸脛靭帯の外側をゆっくりとほぐすセルフマッサージも効果的です。痛みが強い場合は強くほぐしすぎず、優しく行いましょう。
▶️ 大腿四頭筋(前もも)のストレッチ
立った状態で片脚を後ろに曲げ、足首をつかんで引き寄せます。膝が前に出ないようにし、太ももの前面が伸びる感覚を意識して20〜30秒保持します。膝蓋腱炎や膝蓋大腿症候群の予防に効果的です。
🔹 ハムストリングスのストレッチ
ハムストリングス(太もも裏の筋肉)の柔軟性が低下すると、膝にかかる負荷が増加します。仰向けに寝て片脚を天井に向けて上げ、ふくらはぎまたは太もも裏を両手でつかみ、ゆっくり伸ばします。20〜30秒保持し、反対側も同様に行います。
📍 股関節外転筋のトレーニング(クラムシェル・サイドライイングアブダクション)
股関節外転筋(中殿筋など)の筋力強化は、膝の痛み予防に非常に効果的です。横向きに寝た状態で膝を軽く曲げ、上の脚をゆっくり持ち上げ下ろすサイドライイングアブダクションや、横向きに寝て膝を閉じたまま足を離す(貝殻が開くような動き)クラムシェルエクササイズが有効です。
💫 スクワット・シングルレッグスクワット
大腿四頭筋・殿筋を強化するスクワットは、膝の安定性を高める基本的なエクササイズです。ただし、膝が内側に入ったり、つま先より大幅に膝が前に出たりしないよう、正しいフォームで行うことが重要です。片脚スクワット(シングルレッグスクワット)はより難易度が高いですが、ランニング動作に近い動きで、実践的な強化が可能です。
🦠 ふくらはぎのストレッチ・強化
ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の柔軟性と筋力は、ランニング時の衝撃吸収に重要な役割を果たします。壁に手をついて行うカーフストレッチや、段差を使ったカーフレイズ(かかと上げ運動)が効果的です。
💡 シューズ・インソールの選び方が与える影響
適切なランニングシューズの選択は、膝の痛み予防において非常に重要な要素です。自分の足の形・走り方・目的に合ったシューズを選ぶことで、膝への負担を大幅に軽減することができます。
👴 シューズ選びのポイント
まず、自分の足のタイプを確認することが大切です。偏平足(アーチが低い、過回内)の方は、サポート性の高いモーションコントロールタイプやスタビリティタイプのシューズが適しています。一方、アーチが高め(過回外)の方には、クッション性の高いニュートラルタイプが向いています。
シューズの寿命も重要です。一般的にランニングシューズのミッドソールのクッション性は、500〜800km程度走行すると劣化するといわれています。外見上問題なく見えても、クッション性が低下しているとシューズの効果が大きく落ちるため、定期的な交換を心がけましょう。
シューズは試し履きをして、実際に歩いたり軽く走ったりして確認することをお勧めします。専門のランニングショップでは、走り方を見ながら適したシューズをアドバイスしてくれるフィッティングサービスを提供しているところもあります。
🔸 インソール(中敷き)の活用
市販のインソールや医療機関で作製するオーダーメイドインソール(足底板)は、足のアーチをサポートし、足から膝・股関節・腰までの荷重の伝わり方を改善する効果があります。特に偏平足や外反母趾のある方、鵞足炎や腸脛靭帯炎で繰り返し悩む方には、足底板の作製を検討することをお勧めします。
整形外科やスポーツクリニックでは、足の形や歩行・走行パターンを評価したうえで、個人に最適化されたインソールを処方してもらうことができます。
💧 ランニングフォームと膝への影響
シューズ・インソールと並んで、ランニングフォームの改善も膝の痛み予防に大きな効果をもたらします。オーバーストライド(一歩が大きすぎる走り方)は、かかとからの着地衝撃を大きくし、膝への負荷を高めます。ストライドをやや小さくし、歩数(ケイデンス)を増やすことで、着地衝撃を分散させることができます。
目安として、ケイデンスを1分間170〜180歩程度に保つことが推奨されることがありますが、急激な変更は新たな痛みを生む可能性があるため、段階的に調整することが大切です。フォーム改善については、理学療法士やランニングコーチによる専門的な指導を受けることが最も効果的です。
✨ どんな状態のときに病院へ行くべきか
膝の痛みがあっても、「ちょっとした筋肉痛だろう」と自己判断して様子を見てしまう方は多いかもしれません。しかし、以下のような状態が見られる場合は、早めに整形外科・スポーツ整形外科を受診することをお勧めします。
まず、膝が明らかに腫れている場合や熱感がある場合は、関節内での問題(水が溜まっている、炎症が強い等)が疑われます。このような症状は自然に改善することもありますが、原因を明らかにして適切な処置を受けることが重要です。
次に、安静にしていても痛みが続く・夜間に痛みで目が覚める場合は、通常のランニング障害よりも重篤な問題がある可能性があります。
膝の「引っかかり感」「ロッキング(膝が動かなくなる)」「不安定感(膝がグラつく感じ)」がある場合は、半月板損傷や靭帯損傷が疑われます。これらの症状があった場合は、できるだけ早く受診してください。
1〜2週間安静にしていても改善しない、または悪化している場合も受診のサインです。また、受傷時に「バキッ」「パキッ」という音(クリック音)がした場合も、靭帯や半月板の損傷の可能性があります。
膝に限らず、スポーツによる痛みで日常生活に支障が出ている状態は、医療的な評価と治療が必要なサインです。スポーツ整形外科やスポーツクリニックでは、アスリート・ランナーの復帰を見据えた専門的なリハビリを提供しており、競技への早期復帰をサポートすることができます。
アイシークリニック大宮院では、スポーツによる膝の痛みについての診察・治療を行っています。「ランニングを続けたいけど膝が心配」「以前から膝の痛みが治らない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、ランニングを始めたばかりの方や走行距離を急に増やした方が膝の痛みを訴えて来院されるケースが多く、その多くは腸脛靭帯炎や膝蓋大腿症候群といった保存療法で改善できる状態です。痛みを我慢しながら走り続けてしまい、症状が慢性化してから受診される方も少なくないため、「いつもと違う痛み」を感じたら早めにご相談いただくことが、結果的にランニング復帰への近道となります。膝の痛みの原因は一人ひとり異なりますので、ぜひ一緒に根本から丁寧に向き合っていきましょう。」
📌 よくある質問
膝の外側の痛みは、「腸脛靭帯炎(ランナー膝)」の可能性が高いです。腸脛靭帯が膝の外側で繰り返し擦れることで炎症が起きます。長距離ランナーや初心者ランナーに多く、走り始めは痛みがなく、一定距離を超えると痛みが出るのが典型的な特徴です。早めのケアが重要です。
急性の痛みにはRICE処置が基本です。①安静(走るのをやめる)②アイシング(10〜20分冷やす)③圧迫(サポーターや弾性包帯で固定)④挙上(患部を心臓より高く保つ)を行いましょう。ただし症状が続く場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
股関節外転筋を鍛えるクラムシェルやサイドライイングアブダクション、大腿四頭筋・殿筋を強化するスクワットが特に効果的です。また、腸脛靭帯やハムストリングスのストレッチで柔軟性を高めることも重要です。筋力と柔軟性の両方を日常的にケアすることが膝の痛み予防につながります。
自分の足のタイプに合ったシューズ選びが重要です。偏平足の方はサポート性の高いスタビリティタイプ、アーチが高めの方はクッション性重視のニュートラルタイプが適しています。またシューズは500〜800km程度で劣化するため定期的な交換が必要です。専門のランニングショップでのフィッティングもお勧めです。
以下の場合は早めにアイシークリニックなどの整形外科・スポーツ整形外科を受診してください。①膝の腫れや熱感がある②安静時や夜間にも痛みがある③膝に引っかかり感・不安定感がある④1〜2週間安静にしても改善しない⑤受傷時に「バキッ」という音がした、などのケースは重篤な問題が疑われます。

🎯 まとめ
ランニングによる膝の痛みは、適切な対策を講じることで予防し、改善することができます。今回の記事の内容を振り返ってみましょう。
ランニング時の膝の痛みには、腸脛靭帯炎(ランナー膝)・膝蓋腱炎・膝蓋大腿症候群・鵞足炎・半月板損傷などがあり、痛みが出る場所や症状の特徴によってある程度見分けることができます。
急性の痛みにはRICE処置が有効ですが、症状が続く場合や悪化する場合は早めに医療機関を受診することが大切です。医療機関では保存療法(リハビリ・薬物療法・物理療法)から手術療法まで、状態に応じた治療を受けることができます。
予防の面では、段階的なトレーニング計画・適切なウォームアップとクールダウン・柔軟性と筋力の強化・走行面への配慮・適切なシューズとインソールの選択・ランニングフォームの改善が重要なポイントです。
ランニングは続けることで健康増進に大きく貢献しますが、身体からのサインを無視して無理に走り続けることは逆効果となります。痛みが出た場合は無理せず休息を取り、必要に応じて専門家に相談することで、長くランニングを楽しめる身体を作っていきましょう。膝のケアを丁寧に行い、安全で快適なランニングライフを続けてください。
📚 関連記事
📚 参考文献
- 厚生労働省 – ランニングを含む身体活動・運動に関する健康づくりのガイドライン・推奨事項(運動と健康、適切な運動量の基準など)
- PubMed – 腸脛靭帯炎(ランナー膝)・膝蓋大腿症候群・膝蓋腱炎などランニング障害に関する国際的な医学研究論文・エビデンス
- WHO(世界保健機関) – 身体活動・スポーツの推奨基準および運動による健康効果と障害予防に関する国際的な指針
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務