鏡を見たとき、小鼻や鼻の横が赤くなっていることに気づいて悩んでいる方は少なくありません。「メイクで隠しても時間が経つと目立ってしまう」「何をしても改善しない」といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
鼻周りの赤みは、単なる肌荒れではなく、脂漏性皮膚炎や酒さといった皮膚疾患が原因となっている可能性があります。原因を正しく理解し、適切な治療を受けることが、根本的な改善への第一歩です。
本記事では、大宮エリアにお住まいの方に向けて、鼻周りが赤くなる原因や考えられる皮膚疾患、皮膚科での治療法、そして日常生活で気をつけるべきポイントについて詳しく解説いたします。
鼻周りが赤くなる主な原因
鼻周りの赤みには、体質的な要因から皮膚疾患まで、さまざまな原因が考えられます。まずは、主な原因を理解することから始めましょう。
皮膚が薄く毛細血管が透けて見える
生まれつき肌が薄い方や色白の方は、鼻周りの毛細血管が皮膚から透けて見えやすいため、赤みがかって見えることがあります。加齢によって皮膚の脂肪量が減少し、肌が薄くなることでも同様の症状が現れることがあります。
このタイプの赤みは、特に寒暖差の激しい環境や、アルコールを摂取したとき、緊張したときなどに目立ちやすくなります。
皮脂による炎症
鼻周りは顔の中でも特に皮脂腺が多く、皮脂の分泌が活発な部位です。過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まると炎症を起こしやすく、これが赤みの原因となります。
皮脂による炎症が繰り返されると、毛細血管も拡張しやすくなり、より赤みが残りやすい状態になってしまいます。
外部刺激による肌ダメージ
洗顔時の過度な摩擦、鼻をかむ際のティッシュによる刺激、マスクの長時間着用による摩擦なども、鼻周りの赤みを引き起こす原因となります。
特に鼻周りはメイクや洗顔、鼻をかむといった行動による刺激を受けやすく、炎症が起こりやすい部位です。炎症が慢性化すると赤みが引きにくくなり、頬や口周りまで炎症が広がってしまう可能性もあります。
肌の乾燥とバリア機能の低下
皮膚のバリア機能とは、角質層に備わっている肌の保護的役割を持った機能のことです。バリア機能が正常に働いていると、体内の水分蒸発を防いだり、外部からの異物侵入を防いだりしています。
しかし、空気の乾燥や誤ったスキンケア、紫外線などによってバリア機能が低下すると、皮膚が乾燥しやすくなり、外部刺激を受けやすい状態になります。その結果、炎症が起こりやすくなり、赤みやかゆみといった症状が現れることがあります。
小鼻周りは皮膚が薄いため、特に乾燥や外部刺激を受けやすい部位です。紫外線も肌にダメージを与え、毛細血管の拡張を引き起こす原因となります。
ホルモンバランスの乱れや生活習慣の影響
睡眠不足やストレス、偏った食生活などによってホルモンバランスが乱れると、皮脂の分泌量が増加したり、肌のターンオーバーが乱れたりして、鼻周りの赤みが生じやすくなります。
特にビタミンやミネラルが不足すると、肌のバリア機能が低下し、赤みが生じやすくなることが知られています。
鼻周りの赤みを引き起こす主な皮膚疾患
鼻周りの赤みが長期間続く場合や、セルフケアで改善しない場合は、何らかの皮膚疾患が原因となっている可能性があります。ここでは、鼻周りの赤みを引き起こす代表的な皮膚疾患について解説します。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔など皮脂分泌の多い部位に、黄色から白色のフケのようなかさつきや赤みが出る皮膚炎です。特に頭皮、小鼻のまわり、眉毛、耳の後ろに発生しやすく、日本では約3~4%の方が発症するといわれている一般的な皮膚疾患の一つです。
脂漏性皮膚炎は生後3カ月以内の乳児と30~70歳の成人に好発します。乳児の場合は皮脂の分泌が安定すると自然に軽快することが多いですが、成人型は慢性化しやすく、良くなったり悪くなったりを繰り返す傾向があります。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の発症には、皮膚に常在するマラセチアというカビ(真菌)の一種が重要な役割を果たしていると考えられています。マラセチアは皮脂を栄養源として増殖し、皮脂に含まれる成分を分解する際に生じる遊離脂肪酸が皮膚への炎症を引き起こすと考えられています。
その他にも、以下のような要因が脂漏性皮膚炎の発症や悪化に関係しているとされています。
- ストレスや睡眠不足
- ホルモンバランスの乱れ
- 糖質の多い食事や脂っこい食事
- ビタミンB2やB6の不足
- 洗顔不足や入浴不足
- 紫外線
脂漏性皮膚炎の症状
脂漏性皮膚炎の主な症状には、かゆみ、皮膚の赤み、フケ様のかさかさ(脂性鱗屑)、皮膚のひび割れや剥がれなどがあります。
顔では特に小鼻の横からほうれい線にかけて、眉毛まわり、耳などに症状が現れやすく、黄色調や脂ぎった鱗屑を伴うことが特徴です。頭皮に炎症が起こると、フケが多くなったり地肌が赤くなったりします。
脂漏性皮膚炎の治療
脂漏性皮膚炎は皮脂が原因のため根本的に完治させることは難しいですが、炎症を抑え、再発を防ぐコントロール治療によって良好な状態を保つことができます。
皮膚科では、炎症を抑えるためのステロイド外用薬や、マラセチアの増殖を抑える抗真菌薬の外用が処方されます。症状に応じて、ビタミンB群の内服薬や抗ヒスタミン薬、漢方薬などが併用されることもあります。
市販のシャンプーでは、抗真菌成分配合のシャンプーを継続使用すると症状が改善しやすくなります。
酒さ(しゅさ)
酒さとは
酒さは、顔に赤みやほてりが繰り返し現れる慢性的な皮膚の病気です。30~50代の方に多く見られ、特に女性に多いことが特徴です。「赤ら顔」とも呼ばれ、頬や鼻、眉間、顎などの顔面中央部に症状が現れやすい疾患です。
酒さは臨床症状によって、主に以下の4つの病型に分類されます。
- 紅斑毛細血管拡張型:持続的な赤みが特徴で、血管が浮き出て見えることがあります
- 丘疹膿疱型:ニキビのような赤い丘疹や膿疱がみられます
- 鼻瘤(びりゅう)型:鼻が慢性的に腫れて、ゴツゴツとした形に変化します
- 眼型:まぶたの赤み、乾燥感、異物感、かゆみなど目の症状を伴います
これらの症状は単独で現れることもあれば、複数のタイプが重なることもあります。
酒さの原因
酒さの原因は一つではなく、さまざまな要因が関与していると考えられています。現在注目されている要因としては、皮膚のバリア機能の異常、自然免疫の異常、毛包虫(ニキビダニ)の異常増殖、血管運動神経の異常などが挙げられます。
酒さを悪化させる要因としては、紫外線、寒暖差、アルコールや香辛料の摂取、精神的ストレス、熱い飲み物、刺激の強い化粧品などが知られています。
酒さとニキビの違い
酒さはニキビと似た症状を示すことがあるため、「大人ニキビ」と間違われることがあります。しかし、ニキビは毛穴の詰まり(面皰)を伴うのに対し、酒さでは面皰がみられないという違いがあります。また、治療法も異なるため、自己判断でニキビ治療薬を使用すると症状が悪化することもあります。
さらに、酒さに対してステロイド外用薬を長期間使用すると、酒さ様皮膚炎を引き起こして症状が悪化することがあるため注意が必要です。
酒さの治療
酒さは完全に治る病気ではありませんが、適切な治療により症状をコントロールすることができます。
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/133/3/133_407/_article/-char/ja)では、酒さの治療として外用薬、内服薬、レーザー治療などが推奨されています。
外用薬としては、2022年に保険適用となったロゼックスゲル(メトロニダゾール)が広く使用されています。炎症を抑える作用があり、副作用が少ないことで知られており、赤ら顔の治療に有効です。
内服薬としては、丘疹膿疱型酒さに対してドキシサイクリンやミノサイクリンなどの抗生物質が処方されることがあります。漢方薬では、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遥散などが用いられることがあります。
毛細血管の拡張による赤みに対しては、Vビームなどの色素レーザーや光治療(IPL)が有効です。これらの治療は拡張した毛細血管を選択的に破壊し、赤みを改善します。
毛細血管拡張症
毛細血管拡張症とは
毛細血管拡張症は、真皮層の比較的浅い部分で毛細血管が拡張している状態のことをいいます。通常、毛細血管は皮膚の表面からは見えませんが、さまざまな原因によって拡張すると、肌が赤く見えるようになります。
毛細血管拡張症の特徴は、炎症を伴わない肌の赤みです。毛細血管が拡張した状態が持続し、自然治癒しないという点が特徴です。毛細血管が特に集中している鼻や頬に発生しやすい傾向があります。
毛細血管拡張症の原因
毛細血管拡張症を引き起こすメカニズムは完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
- 遺伝的要因(皮膚が薄い体質など)
- 加齢による皮膚の変化
- 寒暖差による血管の拡張・収縮の繰り返し
- 紫外線によるダメージ
- 女性ホルモンの影響
- 肝機能障害
寒暖差の激しい場所を頻繁に移動すると、毛細血管が気温の変化に合わせて拡張と収縮を繰り返し、やがて血管が拡張したまま元に戻らなくなることがあります。
毛細血管拡張症の治療
毛細血管拡張症は、レーザー治療によって改善できる可能性があります。拡張した毛細血管は自然治癒しにくく、生活習慣の改善や投薬では元に戻らない場合がほとんどです。
毛細血管拡張症の治療に使用されるレーザー機器としては、Vビーム(色素レーザー)が代表的です。Vビームは血液中のヘモグロビンに反応する波長のレーザーで、異常のある毛細血管を収縮させたり破壊したりして赤みを改善します。
毛細血管拡張症に対するVビームレーザーの治療は、保険適用となる場合があります。保険適用の場合、3カ月に一度の治療が可能で、3~5回程度の治療で効果が期待できます。
接触皮膚炎(かぶれ)
接触皮膚炎とは
接触皮膚炎は、皮膚に何らかの物質が触れることで炎症が起こり、赤み、かゆみ、腫れ、水ぶくれなどの症状が現れる疾患です。一般的には「かぶれ」とも呼ばれています。
接触皮膚炎は、刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の2種類に大別されます。刺激性接触皮膚炎は刺激の強い物質によって誰にでも起こりうるもので、アレルギー性接触皮膚炎は特定の物質に対するアレルギー反応によって起こります。
鼻周りの接触皮膚炎の原因
鼻周りの接触皮膚炎を引き起こす可能性がある物質としては、以下のようなものが挙げられます。
- 化粧品(ファンデーション、化粧下地、日焼け止めなど)
- 洗顔料やクレンジング剤
- 外用薬(点鼻薬、塗り薬など)
- マスクの素材や摩擦
- ティッシュペーパー
特に鼻周りは化粧品の使用頻度が高く、鼻をかむ際のティッシュによる刺激も受けやすいため、接触皮膚炎を起こしやすい部位といえます。
接触皮膚炎の治療
接触皮膚炎の治療で最も大切なことは、原因となっている物質を特定し、その物質との接触を避けることです。
皮膚科では、ステロイド外用薬による治療が行われます。かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服が処方されることもあります。
原因物質が特定できない場合は、パッチテストという検査によって原因を調べることができます。
ニキビ(尋常性痤瘡)
鼻周りにできるニキビ
鼻は顔の中でも皮脂腺が多く、皮脂の分泌量も多い部位です。そのため、毛穴が詰まりやすく、ニキビができやすい場所といえます。
ニキビは、毛穴に皮脂が詰まることで始まります。詰まった皮脂や汚れを栄養源としてアクネ菌が増殖すると、炎症を起こして赤く腫れたニキビ(赤ニキビ)になります。さらに悪化すると膿を持った黄ニキビになることもあります。
鼻ニキビの原因
鼻周りにニキビができる主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 皮脂の過剰分泌
- メイク汚れの落とし残し
- 鼻を触る癖や鼻をかむ刺激
- ホルモンバランスの乱れ
- ストレスや睡眠不足
- 乾燥による皮脂の過剰分泌
- マスクによる摩擦や蒸れ
ニキビの治療
ニキビは皮膚科で治療を受けることが基本です。白ニキビの段階から治療できるため、早めに受診することをおすすめします。
皮膚科では、毛穴の詰まりを改善する外用薬(アダパレン、過酸化ベンゾイルなど)、抗菌薬の外用薬や内服薬などが処方されます。症状に応じて、ビタミン剤やケミカルピーリングなども選択肢となります。
ニキビを自分で潰すと、患部に雑菌が入り込んで悪化したり、ニキビ跡が残ったりする原因となるため、避けるようにしましょう。
鼻周りの赤みを改善するためのセルフケア
皮膚科での治療と並行して、日常生活でのセルフケアを適切に行うことで、鼻周りの赤みの改善や予防につなげることができます。
正しい洗顔方法
洗顔は朝と夜の2回を基本とし、過度な洗顔は避けましょう。過剰な洗顔は必要な皮脂まで取り除いてしまい、かえって皮脂の過剰分泌や乾燥を招く原因となります。
洗顔の際は、洗顔料をしっかりと泡立て、泡をクッションにして肌を優しく洗います。指と肌の間に泡を置くようにし、ゴシゴシとこすらないことが大切です。特に鼻周りは凹凸があり洗い残しが生じやすいため、丁寧に洗いましょう。
すすぎはぬるま湯(体温と同程度の温度)で行います。熱いお湯は必要以上に皮脂を取り除いてしまい、乾燥の原因となります。洗顔後は清潔なタオルで軽く押さえるようにして水分を吸い取り、ゴシゴシ拭かないようにしましょう。
適切な保湿ケア
洗顔後はすぐに保湿を行いましょう。肌が乾燥していると、バリア機能が低下して外部刺激を受けやすくなるだけでなく、皮脂の過剰分泌を招くこともあります。
保湿剤は、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分が含まれているものがおすすめです。酒さや敏感肌の方は、低刺激性の保湿剤を選び、アルコールや香料が含まれていないものを選ぶとよいでしょう。
なお、酒さの方はヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)が肌に合わないことがあるため、使用して火照りを感じる場合は医師に相談してください。
紫外線対策
紫外線は肌にダメージを与え、毛細血管の拡張や炎症を引き起こす原因となります。外出時は日焼け止めを塗り、帽子や日傘を活用して紫外線対策を行いましょう。
酒さや敏感肌の方は、日焼け止めも低刺激性のものを選ぶことが大切です。
生活習慣の改善
睡眠不足やストレス、偏った食生活は、ホルモンバランスの乱れや皮脂の過剰分泌を招き、鼻周りの赤みを悪化させる原因となります。
規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠を確保しましょう。ストレス解消のために適度な運動やリラックスできる時間を取り入れることも大切です。
食事面では、脂っこい食事や糖質の多い食事を控えめにし、ビタミンB群を含む食品(赤身の肉、魚、玄米、さつまいも、バナナなど)や野菜、果物をバランスよく摂取することが推奨されます。
酒さの方は、アルコールや香辛料の効いた食品、熱い飲み物などが症状を悪化させることがあるため、できるだけ控えるようにしましょう。
刺激を避ける
鼻を触る癖がある方は、できるだけ触らないように意識しましょう。手には多くの細菌が付着しており、ニキビや炎症の原因となります。
鼻をかむ際はティッシュで優しく押さえるようにし、こすらないように注意してください。花粉症や鼻炎で頻繁に鼻をかむ方は、保湿成分配合のティッシュを使用するのも一つの方法です。
マスクを長時間着用する場合は、肌に優しい素材のマスクを選び、こまめに取り替えるようにしましょう。
皮膚科を受診すべきタイミング
以下のような場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
- 鼻周りの赤みが長期間(2週間以上)続いている
- セルフケアで改善しない
- 赤みに加えてかゆみ、痛み、腫れ、膿などの症状がある
- 赤みが徐々に広がっている
- ニキビのような症状が繰り返し現れる
- 市販薬を使用しても改善しない
鼻周りの赤みは、脂漏性皮膚炎、酒さ、毛細血管拡張症、接触皮膚炎、ニキビなど、さまざまな皮膚疾患が原因となっている可能性があります。これらの疾患は見た目が似ていることがあり、自己判断で対処すると症状が悪化することもあります。
特に酒さは、ステロイド外用薬を長期間使用すると症状が悪化する可能性があるため、正確な診断に基づいた適切な治療を受けることが重要です。
皮膚科専門医の診察を受けることで、原因を正しく特定し、症状に合った治療を受けることができます。
皮膚科での主な治療法
鼻周りの赤みに対して、皮膚科ではどのような治療が行われるのでしょうか。主な治療法について解説します。
外用薬による治療
外用薬は、鼻周りの赤みに対する治療の基本となります。疾患の種類や症状に応じて、以下のような外用薬が処方されます。
- ステロイド外用薬:炎症を抑える効果があり、短期間で症状の改善が期待できます。顔には比較的弱いランクのステロイドが使用されます。ただし、酒さに対しては長期使用を避ける必要があります。
- 抗真菌薬:脂漏性皮膚炎に対して、マラセチアの増殖を抑える抗真菌薬が使用されます。
- メトロニダゾール(ロゼックスゲル):酒さに対して保険適用となっている外用薬で、炎症を抑える作用があります。
- イベルメクチン:酒さの丘疹膿疱型に対して、毛包虫を減らす作用があります(自費診療)。
- 非ステロイド性抗炎症薬:紅斑や炎症を抑える効果があります。
内服薬による治療
症状が強い場合や外用薬だけでは改善しない場合には、内服薬が併用されることがあります。
- 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬:かゆみを抑える効果があります。
- 抗生物質:酒さの丘疹膿疱型やニキビに対して、炎症を抑える目的で処方されることがあります。
- ビタミン剤:ビタミンB群などが皮脂分泌のコントロールや肌の調子を整えるために処方されることがあります。
- 漢方薬:体質改善を目的として、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遥散、白虎加人参湯などが処方されることがあります。
レーザー治療・光治療
毛細血管の拡張による赤みや、酒さの紅斑に対しては、レーザー治療や光治療が有効です。
- Vビーム(色素レーザー):血液中のヘモグロビンに反応するレーザーで、拡張した毛細血管を選択的に破壊します。毛細血管拡張症に対しては保険適用となる場合があります。
- ロングパルスヤグレーザー:色素レーザーよりも深達度が高く、比較的太く深い血管に対して効果があります。
- 光治療(IPL):広い波長域の光を照射し、赤みの改善や肌質の向上が期待できます。
レーザー治療や光治療は、複数回の施術が必要となることが一般的です。治療の効果や回数は個人差があるため、医師と相談しながら治療計画を立てることが大切です。
ケミカルピーリング
ニキビや毛穴の詰まりに対しては、ケミカルピーリングが行われることがあります。酸性の薬剤を塗布して古い角質を取り除き、肌のターンオーバーを促進します。

まとめ
鼻周りの赤みは、単なる肌荒れではなく、脂漏性皮膚炎、酒さ、毛細血管拡張症、接触皮膚炎、ニキビなどの皮膚疾患が原因となっている可能性があります。
これらの疾患は見た目が似ていることがあり、自己判断での対処は症状を悪化させることがあります。長期間続く赤みやセルフケアで改善しない赤みは、早めに皮膚科を受診し、正確な診断に基づいた適切な治療を受けることが大切です。
日常生活では、正しい洗顔方法と適切な保湿ケア、紫外線対策、生活習慣の改善などを心がけることで、症状の改善や予防につなげることができます。
大宮エリアで鼻周りの赤みにお悩みの方は、専門医への相談を検討してみてください。一人ひとりの症状に合った治療を受けることで、より良い肌状態を目指すことができます。
参考文献
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」日本皮膚科学会雑誌 133(3), 407-450, 2023 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/133/3/133_407/_article/-char/ja
- 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「脂漏性皮膚炎」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/14-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E/%E8%84%82%E6%BC%8F%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E
- MSDマニュアル家庭版「酒さ」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/17-皮膚の病気/にきびと関連疾患/酒さ
- 厚生労働省「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形 診療ガイドライン 2017 第2版」平成26-28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業
- 独立行政法人環境再生保全機構「バリア機能の低下で乾燥や炎症が起こる」WEB版すこやかライフ47号 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/47/medical/medical01.html
- マルホ株式会社「皮膚のうるおいを保つ物質とバリア機能」皮脂欠乏症治療の総合情報サイト https://www.maruho.co.jp/kanja/dryskin/function/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務