ニキビは、思春期だけでなく大人になってからも多くの方を悩ませる肌トラブルです。「ニキビは青春のシンボル」と言われることもありますが、実際には日本人の約90%以上が一度は経験するとされる非常に身近な皮膚疾患であり、医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という正式な病名がついています。
与野・大宮エリアは、さいたま市の中心部に位置し、JR埼京線やJR京浜東北線など複数の路線が乗り入れる交通の便が良い地域です。通勤・通学で忙しい毎日を送る方も多く、生活リズムの乱れやストレスからニキビに悩まされている方も少なくありません。本記事では、ニキビの原因や種類、効果的な治療法、そして日常生活での予防策まで、皮膚科専門の視点から詳しく解説いたします。
目次
- ニキビとは何か?基本的なメカニズムを理解する
- ニキビの種類と進行段階
- 思春期ニキビと大人ニキビの違い
- ニキビができる主な原因
- 部位別に見るニキビの特徴と対策
- ニキビの治療法(保険診療と自由診療)
- 日常生活でできるニキビ予防とセルフケア
- ニキビ跡(ニキビ痕)の種類と治療
- 与野・大宮エリアの生活環境とニキビケア
- 皮膚科を受診するタイミング
- まとめ
1. ニキビとは何か?基本的なメカニズムを理解する
ニキビ発生の3つの要因
ニキビは、私たちの肌に存在する毛穴(毛包脂腺系)で起こる慢性炎症性疾患です。日本皮膚科学会が策定した「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」によると、ニキビは面皰(コメド)を初発疹とし、紅色丘疹、膿疱、さらには囊腫や硬結の形成も見られる疾患と定義されています。
ニキビができる主なメカニズムは、以下の3つの要因が複合的に絡み合って発生します。
第一に、毛穴の詰まりが挙げられます。肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れたり、外部からの刺激を受けたりすることで、毛穴の出口付近の角質が厚くなり、毛穴がふさがってしまいます。この状態が「コメド(面皰)」と呼ばれるニキビの初期段階です。
第二に、皮脂の過剰分泌があります。性ホルモンの分泌が活発になる思春期や、ストレス、生活習慣の乱れによってホルモンバランスが崩れると、毛穴の奥にある皮脂腺から皮脂が過剰に分泌されます。この皮脂が毛穴に溜まることで、ニキビが形成されやすくなります。
第三に、アクネ菌の増殖です。毛穴に皮脂が溜まると、皮膚の常在菌であるアクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス)が増殖しやすい環境が整います。アクネ菌は酸素を嫌う性質があるため、詰まった毛穴の中は絶好の繁殖場所となります。増えすぎたアクネ菌に対抗するために免疫反応が起こり、炎症が生じてニキビが赤く腫れ上がるのです。
ニキビは「皮膚の病気」である
ニキビを単なる肌荒れや美容上の問題と捉える方もいらっしゃいますが、ニキビは明確な皮膚疾患です。放置すると症状が悪化したり、数が増えたり、慢性化したりする可能性があります。さらに重要なのは、炎症を繰り返すことでニキビ跡(瘢痕)が残ってしまうリスクがあるということです。
特に、クレーター状に凹んだニキビ跡や、盛り上がったケロイド状のニキビ跡は、一度形成されると塗り薬だけでの改善は非常に困難です。そのため、ニキビは早期に適切な治療を開始することが重要とされています。
2. ニキビの種類と進行段階
ニキビは、その状態や進行度によっていくつかの種類に分類されます。それぞれの段階で適切な対処法が異なるため、自分のニキビがどの段階にあるのかを知ることは、効果的なケアや治療を行う上で非常に重要です。
微小面皰(目に見えないニキビの卵)
最も初期の段階で、目視ではほとんど確認できません。毛穴の出口がわずかに狭くなり、皮脂が詰まり始めている状態です。この段階では自覚症状がないことがほとんどですが、すでにニキビへと進行する準備が始まっています。
白ニキビ(閉鎖面皰)
毛穴に皮脂が溜まり、毛穴の出口が閉じている状態です。肌表面に小さな白いポツポツとした点として現れます。この段階ではまだ炎症は起きておらず、痛みやかゆみもほとんどありません。白ニキビは見逃してしまうことも多いですが、毛穴の中ではアクネ菌が増殖を始めています。
黒ニキビ(開放面皰)
白ニキビの毛穴が開き、溜まった皮脂が空気に触れて酸化することで黒く見える状態です。メラニン色素の影響も加わり、シミや小さなホクロのように見えることもあります。不潔な印象を与えてしまうため、気にされる方も多い段階です。
赤ニキビ(紅色丘疹)
白ニキビや黒ニキビから進行し、アクネ菌の増殖によって炎症が起きた状態です。毛穴の周囲が赤く腫れ上がり、触ると痛みを感じることがあります。赤ニキビまで進行すると、ニキビ跡が残りやすくなるため注意が必要です。この段階では自己判断でニキビを潰したり、過度に触ったりすることは厳禁です。
黄ニキビ(膿疱)
炎症がさらに悪化し、毛穴の中に膿が溜まった状態です。ニキビの中心部が黄色っぽく見え、強い痛みを伴うこともあります。膿が溜まった状態を放置すると、毛穴周囲の組織がダメージを受け、深いニキビ跡が残る可能性が高くなります。
紫ニキビ(囊腫・結節)
最も重症化した状態で、皮膚の深い部分まで炎症が及んでいます。複数のニキビが連結して大きな塊となったり、血液と膿が混ざって紫色に見えたりすることがあります。この段階では専門的な医療機関での治療が必須であり、治療後もニキビ跡が残る可能性が高いです。
3. 思春期ニキビと大人ニキビの違い
ニキビは発生するメカニズム自体は年齢によって変わりませんが、ニキビを引き起こす要因やできやすい部位、ケアの方法には年代によって違いがあります。
思春期ニキビの特徴
思春期ニキビは、主に10代の成長期に見られるニキビです。小学校高学年から中学生にかけてでき始め、高校生の頃にピークを迎えることが多いとされています。
思春期ニキビの主な原因は、成長に伴うホルモン分泌の急激な増加です。12歳から18歳頃にかけて、男性は男性ホルモン、女性は女性ホルモン(黄体ホルモンと卵胞ホルモン)の分泌量が急激に増加します。特に男性ホルモンには皮脂量を増やし、角質を厚くする働きがあるため、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビが発生しやすい状態になります。
思春期ニキビができやすい部位は、皮脂の分泌が盛んなTゾーン(額、鼻、鼻周り)や頬です。これらの部位は皮脂腺が多く存在するため、過剰な皮脂が毛穴に詰まりやすい特徴があります。
思春期ニキビは、ホルモンバランスが安定してくる20歳前後になると自然に治っていくケースが多いです。ただし、適切なケアを行わずに放置すると、ニキビ跡として残ってしまうこともあるため注意が必要です。
大人ニキビの特徴
大人ニキビは、一般的に20代以降にできるニキビを指します。思春期を過ぎてニキビが落ち着いたと思っていたのに、大人になってから突然ニキビに悩まされるようになったという方も少なくありません。
大人ニキビの原因は非常に複雑で、単一の要因ではなく複数の要因が絡み合っています。主な原因としては、ストレス、睡眠不足、不規則な生活習慣、偏った食生活、ホルモンバランスの乱れ、誤ったスキンケア、肌の乾燥、紫外線ダメージなどが挙げられます。
大人ニキビができやすい部位は、Uゾーン(頬、口周り、あご、フェイスライン)や首、デコルテなど、思春期ニキビとは異なる部位に現れやすいのが特徴です。これらの部位は皮脂腺が少なく乾燥しやすい場所であり、乾燥による肌のバリア機能低下がニキビの原因となっていることも少なくありません。
大人ニキビのもう一つの特徴は、治りにくく、同じ場所に繰り返しできやすいという点です。思春期ニキビのように自然に治ることは期待しにくく、根本的な生活習慣の改善とともに、適切な治療を継続する必要があります。
ケア方法の違い
思春期ニキビのケアでは、余分な皮脂や汚れを取り除き、肌を清潔に保つことが基本となります。皮脂分泌を抑える化粧水やニキビケアに特化した洗顔料を使用し、毛穴の詰まりを取り除く角質ケアを行うことが効果的です。
一方、大人ニキビのケアでは、水分と油分のバランスを意識した保湿ケアが重要になります。乾燥が原因でニキビができているケースも多いため、しっかりと保湿を行いながら、同時に食事の偏り、睡眠不足、ストレスなどライフスタイル全体の見直しも必要となります。
4. ニキビができる主な原因
ニキビができる原因は一つではなく、さまざまな要因が複合的に影響しています。原因を正しく理解することで、効果的な予防と対策が可能になります。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、ニキビの最も代表的な原因の一つです。思春期の成長ホルモンの変化だけでなく、女性の場合は生理周期に伴うホルモン変動も影響します。生理前になると黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増加し、皮脂分泌が活発になるため、ニキビができやすくなります。
また、ストレスを受けると男性ホルモンの一種であるアンドロゲンが大量に分泌されます。男性ホルモンが増加すると皮脂の分泌量が増え、皮脂バランスが崩れてニキビができやすくなるというメカニズムがあります。
ストレス
現代社会において、ストレスは多くの方が抱える問題です。ストレスは自律神経のバランスを乱し、ホルモン分泌に影響を与えます。その結果、皮脂の過剰分泌や肌のターンオーバーの乱れを引き起こし、ニキビの原因となります。
与野・大宮エリアは東京へのアクセスも良く、多くの方が通勤・通学で利用しています。満員電車でのストレスや、仕事・学業のプレッシャーなど、日常的にストレスにさらされている方も多いでしょう。ストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりのリラックス方法を見つけて上手に付き合っていくことが大切です。
睡眠不足
睡眠は、肌の健康を維持するために非常に重要な役割を担っています。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバー(新陳代謝)を正常に保つ働きがあります。睡眠不足になるとこの成長ホルモンの分泌が減少し、古い角質が蓄積して毛穴が詰まりやすくなります。
また、睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、男性ホルモンの分泌を活発にすることで皮脂の過剰分泌を引き起こします。質の良い睡眠をとることは、ニキビ予防だけでなく、健康全般にとっても欠かせません。
食生活の乱れ
偏った食生活もニキビの大きな原因となります。油っこい食事や甘いもの、糖質の多い食品を過剰に摂取すると、皮脂の分泌が促進されます。また、ビタミンやミネラルが不足すると、肌の新陳代謝が正常に行われなくなり、ニキビができやすくなります。
特にビタミンB群は皮脂の分泌をコントロールする働きがあり、ビタミンCは抗酸化作用を持ち、肌の再生をサポートします。これらの栄養素をバランスよく摂取することが、健やかな肌づくりには欠かせません。
誤ったスキンケア
良かれと思って行っているスキンケアが、実はニキビを悪化させていることもあります。代表的な例として、以下のような行為が挙げられます。
皮脂が気になるからといって1日に何度も洗顔を行うと、肌に必要な皮脂まで洗い流してしまい、かえって皮脂の過剰分泌を招くことがあります。また、ゴシゴシと強くこすって洗顔したり、スクラブ入りの洗顔料を頻繁に使用したりすることは、肌への刺激となりニキビを悪化させる原因となります。
洗顔後の保湿ケアを怠ることも問題です。肌が乾燥すると角質が厚くなり、毛穴が詰まりやすくなります。ニキビ肌であっても、適切な保湿ケアは必要です。
外部からの刺激
日常生活の中で肌が受ける外部刺激もニキビの原因となります。髪の毛が顔に触れる刺激、マスクの摩擦、枕やシーツなどの寝具からの刺激、メイク用品の汚れなどが挙げられます。
特に近年はマスク着用の機会が増え、マスクによる蒸れや摩擦が原因でニキビが増えたという方も多くいらっしゃいます。マスクの下は湿度が高くなり、アクネ菌が増殖しやすい環境となるため注意が必要です。
便秘
便秘とニキビの関係は意外に思われるかもしれませんが、腸内環境の悪化は肌にも影響を与えます。便秘になると腸内に有害な物質が溜まり、腸内環境が悪化することで免疫力が低下します。免疫力の低下は肌のターンオーバーの乱れにつながり、ニキビができやすくなります。
5. 部位別に見るニキビの特徴と対策
ニキビができる部位によって、その原因や対策方法が異なります。気になる部位のニキビについて、その特徴と対策を見ていきましょう。
額・おでこのニキビ
額・おでこは皮脂の分泌量が多く、特に思春期ニキビができやすい部位です。ホルモンバランスの乱れによる皮脂の過剰分泌が主な原因となります。
また、前髪が触れることによる刺激や、スタイリング剤の付着、シャンプーや洗顔料の洗い残しもニキビの原因となります。額にニキビができやすい方は、前髪をあげたり、ヘアスタイルを変えたりして、額への刺激を減らす工夫が効果的です。
鼻・小鼻のニキビ
鼻や小鼻は皮脂の分泌量が多く、さらに毛穴が深いため皮脂が溜まりやすい部位です。手で触れたり、紫外線を浴びたりすると症状が悪化することがあります。
また、花粉症の時期は鼻をかむ回数が増え、必要以上に皮脂を拭き取ってしまうことで、鼻のニキビができやすくなることもあります。
大人になって鼻にニキビができる場合は、疲労やストレスの蓄積が原因となっていることがあります。また、内臓の不調が鼻の下のニキビとして現れることもあるため、暴飲暴食や便秘に注意し、食生活を見直すことが大切です。
頬のニキビ
頬は顔の中でも皮脂の分泌量が少ない部位ですが、大人になってからニキビができやすい場所です。頬のニキビの主な原因は、ホルモンバランスの乱れや肌の乾燥によるバリア機能の低下といった内的要因と、枕や布団などが触れる刺激やメイクが合わないといった外的要因があります。
頬のニキビは炎症を起こしやすく、放置しているとニキビ跡が残りやすいため、早い段階での適切な治療が望ましいとされています。
あご・フェイスラインのニキビ
あごやフェイスラインは、大人ニキビができやすい代表的な部位です。この部位のニキビは、ホルモンバランスの乱れやストレス、睡眠不足などが大きく影響しています。女性の場合、生理前にあごにニキビができやすくなるのは、黄体ホルモンの影響によるものです。
あごやフェイスラインのニキビは治りにくく、同じ場所に繰り返しできやすいという特徴があります。無意識に頬杖をついたり、顔を触ったりする癖がある方は、それが刺激となってニキビを悪化させている可能性もあります。
背中のニキビ
背中は顔と同様に皮脂腺が多く、ニキビができやすい部位です。油っこい食事や生活習慣の乱れによる皮脂の過剰分泌に加え、シャンプーやボディーソープの洗い残しが毛穴に詰まることも原因となります。
また、背中は衣類で覆われているため蒸れやすく、衣類の摩擦による刺激もニキビの原因となります。汗をかいたらこまめに拭き取る、通気性の良い素材の衣類を選ぶなどの工夫が効果的です。
背中にできるブツブツがすべてニキビとは限らず、「マラセチア毛包炎」というカビの一種が原因の疾患の場合もあります。市販のニキビ薬で改善しない場合は、皮膚科で正確な診断を受けることをおすすめします。
6. ニキビの治療法(保険診療と自由診療)
ニキビの治療には、健康保険が適用される「保険診療」と、より美しい仕上がりを目指す「自由診療」があります。症状や希望に応じて、これらを組み合わせた治療計画を立てることが可能です。
保険診療による治療
皮膚科でのニキビ治療の基本は、保険診療で受けられる外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)による治療です。日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた標準的な治療が行われます。
外用薬としては、毛穴のつまりを改善するアダパレン(ディフェリン)や過酸化ベンゾイル(ベピオ)、これらの配合剤が中心となります。アダパレンは皮膚の角化を調整することで毛穴の詰まりを改善する薬で、さまざまな段階のニキビに効果的です。治療効果だけでなく予防効果も兼ね備えているため、ニキビがきれいになった後も使用を続けることが推奨されています。
過酸化ベンゾイルは角質ケアとアクネ菌の殺菌効果を持つ薬で、アダパレンとともにニキビ治療の中心的な役割を果たしています。
炎症を伴う赤ニキビがある場合は、抗生物質の外用薬(クリンダマイシン、オゼノキサシンなど)を併用します。さらに難治性の場合は、抗生物質の内服薬(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)が処方されることもあります。
その他、ホルモンバランスを整える目的で漢方薬が処方されたり、ビタミン剤が処方されたりすることもあります。
近年では保険診療で使用できる薬が進化しており、以前よりも効果的な治療が可能になっています。過去に皮膚科を受診して効果を感じられなかった方も、改めて相談してみることをおすすめします。
自由診療による治療
保険診療だけでは十分な効果が得られない重症のニキビや、ニキビ跡の治療には、自由診療による治療が選択肢となります。
ケミカルピーリングは、皮膚に酸性の薬剤を塗布し、古い角質を除去する治療法です。毛穴の詰まりを改善し、肌のターンオーバーを促進することで、ニキビの改善と予防効果が期待できます。
イオン導入・エレクトロポレーションは、微弱な電流を利用して、ビタミンCなどの有効成分を肌の深部まで浸透させる治療法です。ニキビの炎症を抑えたり、ニキビ跡の色素沈着を改善したりする効果があります。
ダーマペンは、極細の針で肌に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を利用してコラーゲンの生成を促す治療法です。クレーター状のニキビ跡の改善に効果的とされています。
イソトレチノインは、皮脂の分泌を強力に抑制し、ニキビの再発を防ぐ内服薬です。海外では30年以上にわたりニキビ治療の第一選択薬として使用されていますが、日本では保険適用外のため自由診療となります。重症のニキビや、通常の治療では改善しない難治性ニキビに対して高い効果が期待できますが、副作用のリスクもあるため、必ず医師の管理下で治療を行う必要があります。
7. 日常生活でできるニキビ予防とセルフケア
ニキビの予防と改善には、日々のスキンケアと生活習慣の見直しが欠かせません。専門的な治療と並行して、自宅でできるセルフケアを実践することで、より効果的な結果が期待できます。
正しい洗顔方法
洗顔はニキビケアの基本ですが、正しい方法で行うことが重要です。
まず、洗顔の前に手を清潔に洗います。汚れた手で顔を触ると、雑菌が肌に付着してしまいます。
洗顔料は十分に泡立て、泡で肌を包み込むように優しく洗います。ゴシゴシとこすると肌への刺激となり、ニキビを悪化させる原因となります。特にニキビができている部分は、泡をのせる程度の優しさで洗いましょう。
洗顔後は、ぬるま湯で十分にすすぎます。洗顔料が肌に残っていると、毛穴詰まりの原因となります。髪の生え際やあごの下など、すすぎ残しが多い部位は特に注意して洗い流しましょう。
洗顔は1日2回、朝と夜が基本です。皮脂が気になるからといって何度も洗顔すると、必要な皮脂まで洗い流してしまい、かえって皮脂の過剰分泌を招くことがあります。
保湿ケアの重要性
ニキビ肌であっても、保湿ケアは必要です。肌が乾燥すると角質が厚くなり、毛穴が詰まりやすくなるためです。特に大人ニキビは乾燥が原因となっていることも多く、適切な保湿ケアが重要です。
洗顔後は、できるだけ早く化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで水分を閉じ込めます。ニキビ肌向けの化粧品は、油分が少なめで「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記されたものを選ぶとよいでしょう。
化粧品を肌になじませる際は、手のひらでやさしく押さえるようにします。コットンでパッティングすると、摩擦による刺激になることがあるため注意が必要です。
紫外線対策
紫外線を浴びると、肌の乾燥が進んで角層が厚くなったり、紫外線で皮脂が酸化してニキビを悪化させたりすることがあります。また、紫外線はニキビ跡の色素沈着を悪化させる原因にもなります。
外出時は日焼け止めを使用し、帽子や日傘などで紫外線を防ぎましょう。ニキビ肌の方は、肌に優しい低刺激タイプの日焼け止めを選ぶことをおすすめします。
質の良い睡眠をとる
肌のターンオーバーに欠かせない成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌されます。特に眠り始めの3時間に訪れる深い眠り(ノンレム睡眠)の時間に、成長ホルモンの分泌が活発になります。
質の良い睡眠をとるためには、毎日できるだけ同じ時間に就寝する習慣をつけることが大切です。寝る前の1時間はスマートフォンやパソコンの使用を控え、ブルーライトによる刺激を避けましょう。入浴は就寝の1から2時間前に済ませ、体温を上げておくと寝つきがよくなります。
睡眠時間は6時間以上を目標にしましょう。休日に「寝だめ」をするよりも、毎日同じ時間に睡眠をとる方が肌には良いとされています。
バランスの良い食生活
ニキビ予防には、バランスの取れた食生活が欠かせません。脂質や糖質の多い食品、刺激の強い食品は皮脂の過剰分泌を招くため、控えめにすることが望ましいです。
積極的に摂りたい栄養素としては、以下のものが挙げられます。
ビタミンB2は皮脂の分泌をコントロールする働きがあり、レバー、卵、納豆、乳製品などに多く含まれています。ビタミンB6は皮膚炎の予防に働き、マグロ、カツオ、バナナ、にんにくなどに含まれています。ビタミンCは抗酸化作用があり、肌の再生をサポートします。柑橘類、いちご、ブロッコリー、パプリカなどに豊富です。ビタミンEはホルモンバランスを整える働きがあり、アーモンド、アボカド、かぼちゃなどに含まれています。食物繊維は便秘を改善し、腸内環境を整えます。野菜、豆類、きのこ類、海藻類などに多く含まれています。
ストレス解消
ストレスはニキビの大きな原因の一つです。完全にストレスをなくすことは難しいですが、自分なりのリラックス方法を見つけて、ストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
適度な運動は、ストレス解消に効果的です。ウォーキングやジョギング、ヨガなど、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。また、入浴時にぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になりリラックス効果が得られます。
好きな音楽を聴く、趣味の時間を確保する、友人や家族との会話を楽しむなど、自分が心地よいと感じる時間を意識的に作ることも大切です。
清潔な環境を保つ
雑菌はニキビを悪化させる原因となります。顔に直接触れる機会の多い枕カバーやシーツは、こまめに取り替えて清潔に保ちましょう。メイク用のブラシやパフも定期的に洗浄することが大切です。
また、無意識に顔を触る癖がある方は、できるだけ顔に触れないように意識しましょう。特にニキビができている部分を触ったり、潰したりすることは厳禁です。
8. ニキビ跡(ニキビ痕)の種類と治療
ニキビを放置したり、自分で潰したりすると、ニキビ跡として残ってしまうことがあります。ニキビ跡にはいくつかの種類があり、それぞれ適した治療法が異なります。
赤みが残るタイプ
ニキビの炎症が治まった後も、赤みが残ってしまうタイプです。これは炎症によって毛細血管が拡張したり、新しくできたりしたことが原因です。時間が経てば自然に薄くなることが多いですが、紫外線や刺激によって悪化する可能性もあります。日焼け止めなどで紫外線対策を行い、刺激を避けることが大切です。
色素沈着タイプ(茶色いシミ)
ニキビの炎症によってメラニン色素が過剰に生成され、茶色いシミとして残るタイプです。こちらも時間とともに薄くなることが多いですが、紫外線を浴びると悪化するため注意が必要です。ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの成分を含む化粧品や、美白効果のある外用薬が改善に効果的です。
クレータータイプ(凹んだ跡)
ニキビの炎症が皮膚の深い部分まで及び、組織が破壊されることで、皮膚が陥没してクレーター状の跡が残るタイプです。このタイプは自然治癒が難しく、専門的な治療が必要となります。
治療法としては、ダーマペンやフラクショナルレーザーなど、肌の再生を促す治療が行われます。また、「サブシジョン」という、凹みを下に引っ張っている硬い線維を針で切り離す治療法も効果的とされています。
ケロイドタイプ(盛り上がった跡)
ニキビの炎症が治まった後、皮膚が過剰に再生して盛り上がってしまうタイプです。体質によってなりやすい方とそうでない方がいます。こちらも自然治癒は難しく、ステロイド注射やレーザー治療など、専門的な治療が必要です。
9. 与野・大宮エリアの生活環境とニキビケア
与野・大宮エリアは、さいたま市の中心部に位置し、利便性の高い都市部として発展を続けています。このエリア特有の生活環境がニキビに与える影響と、それに対する対策について考えてみましょう。
交通の便と通勤ストレス
与野エリアは、JR埼京線の北与野駅、与野本町駅、南与野駅、JR京浜東北線の与野駅、さいたま新都心駅など、複数の駅を擁する交通の便が良い地域です。大宮駅も近く、東京方面へのアクセスも良好です。
しかし、通勤・通学の利便性が高い反面、朝夕のラッシュ時には混雑する電車を利用する機会も多くなります。満員電車でのストレスは、ホルモンバランスを乱し、ニキビの原因となることがあります。
通勤・通学のストレスを軽減するためには、可能であれば時差出勤を利用したり、混雑を避ける時間帯を選んだりすることが効果的です。また、電車内での時間を音楽を聴いたり、読書をしたりするリラックスタイムとして活用するのも良い方法です。
都市部の環境要因
与野・大宮エリアは、さいたま新都心を中心に商業施設やオフィスビルが立ち並ぶ都市部です。都市部では、排気ガスや大気汚染、乾燥した空気など、肌にとって厳しい環境要因が存在します。
これらの環境要因から肌を守るためには、外出時の日焼け止めや保湿ケアをしっかり行うことが大切です。帰宅後は、その日の汚れをきちんと落とし、保湿ケアで肌を整えましょう。
季節による影響
埼玉県は内陸部に位置するため、夏は暑く冬は乾燥しやすいという気候特性があります。夏場は汗や皮脂の分泌が増え、ニキビができやすくなります。一方、冬場は空気が乾燥し、肌の水分が失われやすくなるため、乾燥によるニキビに注意が必要です。
季節に応じたスキンケアを心がけ、夏場はこまめに汗を拭き取り、冬場は保湿を強化するなど、柔軟に対応することが大切です。
地域の医療機関の活用
与野・大宮エリアには、皮膚科や美容皮膚科のクリニックが多数存在します。ニキビが気になったら、早めに専門医に相談することをおすすめします。市販薬やセルフケアだけでは改善しないニキビも、専門的な治療によって効果的に改善できる可能性があります。
アイシークリニック大宮院は、大宮駅から徒歩圏内にあり、与野エリアからのアクセスも良好です。ニキビやニキビ跡でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
10. 皮膚科を受診するタイミング
「ニキビで皮膚科に行くのは大げさ」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ニキビは立派な皮膚疾患です。以下のような場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
市販薬やセルフケアで改善しない場合
市販のニキビ薬を使用しても改善しない、または悪化している場合は、皮膚科での治療が必要です。市販薬では対応できない重症のニキビや、そもそもニキビではない別の皮膚疾患の可能性もあります。
同じ場所に繰り返しニキビができる場合
同じ場所に繰り返しニキビができる場合は、根本的な原因に対するアプローチが必要です。皮膚科では、ニキビの原因を探り、適切な治療計画を立てることができます。
炎症を伴う赤ニキビや黄ニキビがある場合
炎症を起こしている赤ニキビや、膿が溜まった黄ニキビは、放置するとニキビ跡になりやすいため、早めの治療が重要です。
ニキビの数が多い場合
顔に多数のニキビがある場合は、重症化している可能性があります。日本皮膚科学会のガイドラインでは、顔の片側に炎症性ニキビが21個以上ある場合を「重症」と分類しています。
ニキビ跡が気になる場合
すでにニキビ跡ができてしまっている場合も、皮膚科や美容皮膚科で相談することで、適切な治療を受けることができます。

11. まとめ
ニキビは、日本人の約90%以上が経験する非常に身近な皮膚疾患です。「青春のシンボル」と軽視されがちですが、放置すると悪化したり、治りにくいニキビ跡が残ったりする可能性があります。
ニキビの主な原因は、毛穴の詰まり、皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖の3つです。これらに加え、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、誤ったスキンケアなど、さまざまな要因が複合的に影響しています。
思春期ニキビと大人ニキビでは、原因やできやすい部位、ケア方法に違いがあります。思春期ニキビは主に過剰な皮脂分泌が原因でTゾーンにできやすく、大人ニキビはさまざまな要因が絡み合ってUゾーンにできやすい傾向があります。
ニキビの治療には、保険診療による外用薬や内服薬での治療と、自由診療によるピーリングやレーザー治療などがあります。症状に応じた適切な治療を受けることで、効果的にニキビを改善できます。
日常生活では、正しい洗顔、適切な保湿ケア、紫外線対策、質の良い睡眠、バランスの良い食生活、ストレス解消、清潔な環境の維持が大切です。これらを習慣化することで、ニキビのできにくい肌を目指すことができます。
与野・大宮エリアにお住まいの方で、ニキビやニキビ跡にお悩みの方は、ぜひ専門の医療機関にご相談ください。早期に適切な治療を開始することで、ニキビ跡を残さず、健やかな肌を取り戻すことができます。
参考文献
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット
- 日本皮膚科学会
- Mindsガイドラインライブラリ「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
- 第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局「ニキビ・吹き出物」
- 製薬会社マルホ「ニキビ一緒に治そうProject」
- さいたま市公式ウェブサイト
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務