「昼食後に眠くなる」「午後の作業効率が落ちる」と感じている方は多いのではないでしょうか。実は、昼寝は正しい方法で取り入れることで、午後のパフォーマンスを大幅に改善できることが科学的に証明されています。しかし、昼寝の時間が長すぎたり、タイミングが合っていなかったりすると、かえって夜の睡眠に影響してしまうこともあります。このコラムでは、昼寝の効果的な時間や取り方、注意点について医療の観点からわかりやすく解説します。
目次
- 昼寝とはどんな睡眠なのか
- 昼寝の効果的な時間はどれくらい?
- 昼寝のベストなタイミング
- 昼寝がもたらす具体的な健康効果
- 昼寝の効果を最大化する方法
- 昼寝が逆効果になるケースと注意点
- 昼寝と夜の睡眠の関係
- 昼寝が向いている人・向いていない人
- 職場や学校での昼寝の取り入れ方
- まとめ

🎯 昼寝とはどんな睡眠なのか
昼寝とは、夜の本睡眠とは別に、昼間に短時間とる仮眠のことを指します。英語では「ナップ(nap)」と呼ばれ、特に20〜30分程度の短い昼寝は「パワーナップ」とも呼ばれています。
人間の身体は、24時間の概日リズム(サーカディアンリズム)に従って活動しています。このリズムの中で、午後1時〜3時ごろに眠気のピークが訪れることが知られています。これは昼食の影響だけでなく、体内時計の自然なサイクルによるものです。多くの人が午後に集中力の低下や眠気を感じるのは、この生理的なリズムが背景にあるためです。
スペインやイタリア、メキシコなどの地中海沿岸諸国では「シエスタ」と呼ばれる昼寝の文化が古くから根付いています。近年では、こうした文化的な背景だけでなく、科学的な観点からも昼寝の有効性が注目されるようになりました。NASAやGoogleなど世界的な機関や企業が昼寝を推奨・導入しているのも、その効果が認められているからです。
日本でも厚生労働省が「健康づくりのための睡眠指針」において、午後の早い時間帯に30分以内の昼寝をとることを推奨しています。昼寝は単なる「怠惰な習慣」ではなく、健康管理の一環として積極的に活用すべき手段として認識されています。
📋 昼寝の効果的な時間はどれくらい?
昼寝の効果を最大限に引き出すためには、適切な時間設定が非常に重要です。昼寝の長さによって、睡眠の深さや覚醒後の状態が大きく異なります。
🦠 10〜20分の昼寝(パワーナップ)
最もよく推奨されているのが、10〜20分程度の短い昼寝です。この時間帯の昼寝では、浅い睡眠段階(ステージ1〜2)にとどまるため、目覚めた後もスッキリとした状態でいられます。覚醒後の注意力、集中力、作業効率が向上し、眠気も効果的に解消されます。特に20分という時間は、深い睡眠(ノンレム睡眠のステージ3)に入る前に目覚めることができる絶妙なタイミングとされています。
研究によると、20分の昼寝は200mgのカフェイン(コーヒー約2杯分)と同等以上の覚醒効果をもたらすとも言われています。また、この短時間の昼寝は夜の睡眠に影響しにくいため、最も実用的な昼寝の時間として広く支持されています。
👴 30分の昼寝
30分程度の昼寝は、20分よりも少し長く睡眠を取ることができます。ただし、深い睡眠段階に入りかけのタイミングで起きることになるため、目覚めた直後に「睡眠慣性」と呼ばれるぼんやりした状態が生じやすくなります。起床後10〜15分程度は頭がはっきりしないことがあるため、すぐに活動を再開したい場合には注意が必要です。
🔸 60分の昼寝
60分の昼寝では、深いノンレム睡眠を経験することができます。記憶の定着や学習能力の向上に効果があるとされていますが、目覚め後の睡眠慣性が30分の昼寝よりも強くなります。また、夜の睡眠に影響を与えるリスクも高まります。60分の昼寝は、慢性的な睡眠不足が続いている場合や、特に体を休めたい日など、特定の状況下で活用するのが望ましいと言えます。
💧 90分の昼寝
90分の昼寝は、ほぼ1サイクル分の睡眠(ノンレム睡眠とレム睡眠の一巡)を含みます。レム睡眠まで到達するため、記憶の統合、創造的思考の向上、感情処理などに効果があると言われています。完全な睡眠サイクルを終えるため、目覚め後の睡眠慣性は比較的少ないとされていますが、夜の睡眠に大きく影響するリスクがあります。特定の状況での活用に限定した方が良いでしょう。
一般的な日常生活において最も推奨される昼寝の時間は10〜20分です。この時間内であれば、睡眠慣性を最小限に抑えながら、集中力や覚醒度を効果的に回復させることができます。
💊 昼寝のベストなタイミング
昼寝の効果を最大化するためには、時間の長さだけでなく、いつ昼寝をするかというタイミングも非常に重要です。
✨ 午後1時〜3時がゴールデンタイム
人間の概日リズムにおいて、午後1時〜3時の間は自然な眠気が生じやすい時間帯です。この時間帯は、体温がわずかに低下し、メラトニンの分泌が一時的に増加するため、眠りに入りやすい状態になっています。この時間帯に昼寝をとることで、身体の自然なリズムに沿った形で休息を得ることができます。
ただし、「眠くなってから昼寝をする」という考え方だけでなく、「眠くなる前に予防的に昼寝をする」という発想も有効です。眠気がピークに達する前の昼食後30分〜1時間後ごろに昼寝を始めると、より少ない時間で効果的な休息が得られます。
📌 午後3時以降の昼寝は避けるべき理由
午後3時を過ぎてから昼寝をとると、夜の睡眠に影響を与えるリスクが高まります。人間の体内では、覚醒時間が長くなるにつれて「睡眠圧」と呼ばれる眠気の蓄積が進みます。遅い時間帯に昼寝をすることで、この睡眠圧が解消されてしまい、就寝時刻になっても眠れない、眠りが浅くなるといった問題が生じやすくなります。
特に夜11時〜12時ごろに就寝する生活スタイルの方であれば、午後2時〜2時半ごろまでには昼寝を終えているのが理想的です。就寝時刻から逆算して、少なくとも7〜8時間前には昼寝を終えるようにしましょう。
▶️ 昼食後すぐの昼寝は注意が必要
昼食直後(食後30分以内)に横になることは、消化の観点から好ましくない場合があります。食後は胃腸が活発に動いている時間帯であり、すぐに横になると逆流性食道炎や消化不良のリスクが高まることがあります。昼食後は軽く体を動かしたり、座ったままリラックスしたりして少し時間を置いてから昼寝に入るのがおすすめです。
🏥 昼寝がもたらす具体的な健康効果
昼寝が健康に与えるポジティブな影響は、多くの研究によって明らかにされています。主な効果を具体的に見ていきましょう。
🔹 認知機能・集中力の向上
NASAの研究では、26分の昼寝によってパイロットの認知能力が34%、注意力が54%向上したと報告されています。昼寝は情報処理能力、反応速度、作業記憶などの認知機能を短時間で回復させる効果があります。特に単調な作業や長時間の集中を要する業務を行う際には、昼寝の前後で大きなパフォーマンスの差が生まれます。
📍 記憶の定着・学習効率の向上
睡眠中には、日中に得た情報が脳内で整理・定着される「記憶の固定化」が起こります。これは夜の本睡眠だけでなく、昼寝中にも行われることが研究によって示されています。特に学習後に短い昼寝をとることで、情報の記憶定着率が向上することが確認されています。試験勉強中の学生や、新しいスキルを習得しようとしている方にとっても昼寝は有効な学習戦略と言えます。
💫 気分・感情の安定
睡眠不足や疲労は、感情のコントロールを難しくし、イライラや不安感を高めます。昼寝によって休息をとることで、感情の安定性が増し、ストレスに対する耐性が向上します。また、昼寝後は気分がリフレッシュされ、前向きな気持ちで午後の活動に臨むことができます。職場でのコミュニケーションや人間関係にも良い影響を与えることが期待されます。
🦠 心血管系への好影響
ギリシャで行われた大規模な疫学研究では、週に少なくとも3回、30分以上の昼寝をとる習慣のある人々は、心臓病による死亡リスクが37%低下したと報告されています。昼寝による身体的・精神的ストレスの軽減が、心血管系の健康維持に貢献している可能性があります。ただし、この研究結果はあくまでも相関を示したものであり、昼寝が直接的に心臓病を予防するとは言い切れない点に注意が必要です。
👴 身体的な疲労回復
昼寝中は副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が低下します。この状態は身体的なリラクゼーションをもたらし、筋肉の緊張をほぐし、疲労物質の代謝を助けます。特に身体を使う仕事をしている方やスポーツ選手にとって、昼寝は午後のトレーニングや業務に向けたリカバリー手段として有効です。多くのプロスポーツ選手が昼寝をルーティンに取り入れていることは広く知られています。
🔸 創造性の向上
レム睡眠を含む昼寝(60〜90分程度)では、脳内での連想的な思考が活発になり、創造的なアイデアが生まれやすくなることが研究で示されています。また、短い昼寝であっても、問題から一時的に離れることで脳がリセットされ、新しい視点でものごとを考えられるようになる効果もあります。アインシュタインやダ・ヴィンチ、エジソンなど歴史上の偉人たちも昼寝を日常的に活用していたとされています。
⚠️ 昼寝の効果を最大化する方法
昼寝の恩恵を最大限に受けるためには、いくつかのポイントを意識することが大切です。
💧 アラームをセットする
昼寝で最も大切なのは、適切な時間で目覚めることです。20分の昼寝を目標とする場合、アラームを20〜25分後にセットしておきましょう。眠りにつくまでの時間(入眠潜時)を考慮して、少し長めに設定しておくと安心です。スマートフォンのアラーム機能を活用することで、確実に適切な時間に起きることができます。
✨ コーヒーナップを試す
「コーヒーナップ」とは、昼寝の直前にコーヒーを飲んでから仮眠をとるという方法です。カフェインが効き始めるまでには約20〜30分かかるため、昼寝を終えるタイミングとカフェインの覚醒効果がちょうど重なります。これにより、昼寝の自然な覚醒効果とカフェインの覚醒効果が相乗し、目覚めがより爽快になるとされています。研究でもその有効性が確認されており、実践している方は多くいます。
📌 環境を整える
昼寝をとる環境も、眠りの質に大きく影響します。できるだけ暗く静かな場所を選び、光が気になる場合はアイマスクを使用するのが効果的です。騒音が問題になる場合は耳栓やホワイトノイズを活用しましょう。室温は少し低め(18〜20度程度)の方が眠りやすいとされていますが、身体が冷えすぎると逆に眠りにくくなるため、ブランケットなどを活用して調節することをおすすめします。
▶️ リクライニング姿勢や横になる
理想的には横になれる環境が望ましいですが、オフィスなどでは難しい場合もあります。その場合は椅子をリクライニングさせるか、デスクに枕をおいてうつ伏せになるだけでも効果的です。体を横にすることで心拍数が低下し、よりリラックスした状態で昼寝ができます。完全に横になれなくても、目を閉じてリラックスするだけである程度の休息効果は得られます。
🔹 起きた後は光を浴びる・体を動かす
昼寝後は、すみやかに覚醒状態に戻るための行動が大切です。カーテンを開けて日光を浴びる、冷たい水で顔を洗う、軽くストレッチをするなどの行動が、スムーズな目覚めを助けます。特に自然光を浴びることはメラトニンの分泌を抑制し、覚醒を促す効果があります。目が覚めてすぐに難しい作業をするよりも、5〜10分程度で覚醒を高める行動を取ってから業務に戻るのが効率的です。
📍 毎日同じ時間に昼寝をする
昼寝の習慣を体に定着させるためには、毎日できるだけ同じ時間に昼寝をとることが重要です。規則正しい昼寝のリズムが定着すると、体がその時間帯に向けて準備を始めるため、より短時間でスムーズに眠れるようになります。また、一定のリズムで昼寝をとることで、夜の睡眠への影響も最小化することができます。
🔍 昼寝が逆効果になるケースと注意点
昼寝はその方法を誤ると、健康に悪影響を及ぼすこともあります。以下のようなケースには注意が必要です。
💫 昼寝が長すぎる場合
60分を超えるような長時間の昼寝を日常的に行うことは、夜の睡眠の質低下や睡眠リズムの乱れにつながる可能性があります。また、長すぎる昼寝は目覚め後の睡眠慣性が強く、頭がぼんやりしてかえって作業効率が下がることもあります。
さらに、最近の研究では、長時間の昼寝(特に1時間以上)を習慣的にとっている人は、心臓病や糖尿病などのリスクが高い可能性を示すデータも存在します。ただし、これらの研究では長時間の昼寝そのものがリスクを高めているのか、もともと健康上の問題を抱えているために長時間の昼寝が必要になっているのか、因果関係が明確でない部分もあります。
🦠 不眠症や睡眠障害がある場合
夜の睡眠に問題を抱えている方(不眠症など)にとって、昼寝は注意が必要な習慣です。不眠症の治療法のひとつである「睡眠制限療法」では、日中の昼寝を避けて夜の睡眠への欲求(睡眠圧)を高めることが治療の一環となっています。昼寝をとることで夜の就寝時に眠れなくなり、不眠が悪化するというケースもあるため、不眠症の方は医師に相談してから昼寝の習慣を取り入れるかどうか判断することをおすすめします。
👴 睡眠時無呼吸症候群がある場合
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の方は、昼寝中も無呼吸が起こりやすく、昼寝の質が低下するだけでなく、昼寝後も疲労感や眠気が残ることが多いです。昼間に強い眠気を感じる場合、それが睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害のサインである可能性もあります。昼寝をしても眠気が取れない、慢性的に強い眠気を感じる場合は、一度医療機関を受診することをおすすめします。
🔸 昼寝を「夜の睡眠不足の補填」として常用する場合
昼寝はあくまでも「補助的な睡眠」であり、夜の本睡眠を完全に代替するものではありません。慢性的な睡眠不足の状態で昼寝だけで補おうとするのは、根本的な解決にはなりません。夜の睡眠不足が続いている場合は、睡眠時間の確保や就寝環境の改善など、夜の睡眠そのものの質を高める取り組みが必要です。
📝 昼寝と夜の睡眠の関係
昼寝が夜の睡眠に与える影響を理解することは、効果的な昼寝の習慣を築く上で欠かせません。
💧 睡眠圧のメカニズム
人間の脳では、覚醒している時間が長くなるほど「アデノシン」という物質が蓄積され、眠気が増していきます。これが「睡眠圧(睡眠負債)」のメカニズムです。昼寝をとることでアデノシンが一部分解されるため、夜の就寝時刻における睡眠圧が下がり、眠りにつきにくくなる可能性があります。これが、昼寝が長すぎたり遅すぎたりすると夜の睡眠に悪影響を与える理由です。
適切な長さ(20分程度)と時間帯(午後3時以前)であれば、昼寝によって消費される睡眠圧は限定的であり、夜の睡眠に大きな影響を与えないとされています。日中の眠気を解消しつつ、夜の良質な睡眠も維持するという二重の効果を得るためには、昼寝の「量」と「タイミング」を適切に管理することが鍵となります。
✨ 夜の睡眠の質を高めるための昼寝の活用
逆説的に聞こえるかもしれませんが、適切な昼寝は夜の睡眠の質を高めることにもつながります。日中の過度な疲労やストレスの蓄積は、夜になっても交感神経が優位な状態を引き起こし、眠りにつきにくくなる原因になります。適切な昼寝で日中の疲労を適度に解消しておくことで、夜は自然にリラックスした状態で就寝できるようになる場合があります。
また、睡眠不足が慢性化している方が昼寝を取り入れることで、日中のパフォーマンスが向上し、ストレスが軽減され、結果的に夜の睡眠環境が整いやすくなることもあります。
💡 昼寝が向いている人・向いていない人
昼寝はすべての人に同様の効果をもたらすわけではありません。個人の睡眠スタイルや生活環境によって、昼寝が有効な場合とそうでない場合があります。
📌 昼寝が向いている人
夜の睡眠時間が6時間以下になりがちな方、シフト勤務など不規則な生活をしている方、午後に強い眠気を感じる方などは、昼寝から大きな恩恵を受けやすい傾向があります。また、高齢者は夜の深い睡眠が若い人に比べて減少する傾向があるため、昼寝で補うことが認知機能の維持に有効とされています。集中力を必要とする仕事に就いている方や、学習効率を高めたい学生にとっても、昼寝は効果的なツールです。
▶️ 昼寝が向いていない人
夜の睡眠に問題を抱えている方(不眠症、睡眠障害など)は、前述のように昼寝が夜の睡眠をさらに乱すリスクがあるため、医師と相談の上で判断することが重要です。また、昼寝をしてもすっきりしない、いつも眠気が強いという方は、睡眠障害の可能性があるため、自己判断で昼寝を増やすのではなく、専門医に相談することをおすすめします。
また、昼寝が習慣化されていない方が急に長時間の昼寝を始めると、かえって夜の睡眠を乱してしまうこともあります。昼寝を新たに始める場合は、短い時間から始めて少しずつ習慣化していくことをおすすめします。
✨ 職場や学校での昼寝の取り入れ方
昼寝の効果が科学的に認められるようになった結果、職場や教育機関での昼寝環境の整備も進んでいます。
🔹 職場での昼寝の実態
日本では、かつて昼寝は怠惰の象徴のように見られていた時代もありましたが、近年では従業員のパフォーマンス向上を目的として昼寝を推奨する企業が増えています。仮眠室や「ナップポッド」と呼ばれる専用の昼寝チェアを導入する企業もあり、従業員の健康管理や生産性向上の観点から昼寝が注目されています。
昼寝室が用意されていない職場でも、昼休みを活用して車の中で仮眠をとったり、休憩室で目を閉じてリラックスしたりするだけでも一定の効果が期待できます。眠れなくてもただ目を閉じてリラックスするだけで、脳の休息につながるとされています。
📍 学校や受験勉強での活用
学生にとっても昼寝は有効な学習戦略です。記憶の定着効果を活かして、午前中に学習した内容を昼寝前に復習し、昼寝後に確認するというサイクルを取り入れることで学習効率を高めることができます。ただし、授業中の睡眠は認められていない場合がほとんどであるため、昼休みなどを活用することが現実的です。
また、夜遅くまで勉強する受験生は慢性的な睡眠不足になりやすいですが、10〜20分の昼寝を習慣化することで集中力を維持しながら学習を続けやすくなります。夜の睡眠時間を削って勉強するよりも、しっかり眠って昼寝で補足する方が、長期的な学習効率は高くなることが多いです。
💫 シフト勤務や夜勤の方への昼寝の活用
医療従事者や警備員など、夜勤や交代制勤務に従事している方にとって、昼寝は非常に重要な健康管理ツールです。夜勤前に1〜2時間の昼寝をとる「予防的仮眠」は、夜勤中の眠気や注意力の低下を軽減する効果があるとされています。また、夜勤中の休憩時間に20分程度の仮眠をとることで、残りの勤務時間のパフォーマンスを維持することができます。
シフト勤務の方は自分の勤務サイクルに合わせた昼寝戦略を考えることが大切です。無理に一般的なアドバイスに合わせるのではなく、自分のライフスタイルに合った形で昼寝を取り入れましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「昼間に強い眠気がある」「昼寝をしてもすっきりしない」というお悩みでご来院される方が少なくなく、その背景に睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れているケースも見受けられます。昼寝は正しい時間とタイミングを守ることで心身のパフォーマンス向上に役立つ一方で、慢性的な強い眠気がある場合は自己対処にとどまらず、一度専門医にご相談いただくことをおすすめします。患者さん一人ひとりの生活スタイルや睡眠の状態に合わせたアドバイスをお伝えできますので、お気軽にご来院ください。」
📌 よくある質問
最も推奨される昼寝の時間は10〜20分(パワーナップ)です。この時間内であれば浅い睡眠段階にとどまるため、目覚めた後もスッキリとした状態を保てます。30分以上になると目覚め後にぼんやりした「睡眠慣性」が生じやすくなり、夜の睡眠にも影響するリスクが高まります。
午後1時〜3時がゴールデンタイムとされています。この時間帯は体内時計の自然なリズムにより眠りに入りやすい状態になっています。午後3時以降の昼寝は夜の睡眠に影響しやすいため避けることが推奨されます。就寝時刻から逆算して、少なくとも7〜8時間前には昼寝を終えるのが理想的です。
昼寝の直前にコーヒーを飲んでから仮眠を取る方法です。カフェインが効き始めるまでに約20〜30分かかるため、昼寝を終えるタイミングとカフェインの覚醒効果がちょうど重なります。これにより昼寝とカフェインの覚醒効果が相乗し、目覚めがより爽快になるとされており、研究でも有効性が確認されています。
不眠症の方は昼寝に注意が必要です。不眠症の治療法である「睡眠制限療法」では、日中の昼寝を避けて夜の睡眠への欲求を高めることが治療の一環となっています。昼寝によって夜の就寝時に眠れなくなり、不眠が悪化するケースもあるため、昼寝の習慣を取り入れる前に医師へ相談されることをおすすめします。
昼寝をしても眠気が取れない、慢性的に強い眠気を感じる場合は、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れている可能性があります。自己判断で昼寝を増やすのではなく、専門医への相談をおすすめします。アイシークリニックでは睡眠に関するお悩みにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

🎯 まとめ
昼寝は、適切な時間と方法で実践すれば、集中力・記憶力の向上、疲労回復、気分の安定、心血管系への好影響など、多くの健康効果をもたらす優れた習慣です。最も推奨される昼寝の時間は10〜20分で、タイミングは午後1時〜3時の間が理想的です。午後3時以降の昼寝や、30分を超える長時間の昼寝は、夜の睡眠に影響を与えるリスクが高まるため注意が必要です。
また、昼寝の効果を最大化するためには、アラームのセット、コーヒーナップの活用、適切な環境づくり、起床後の覚醒を促す行動など、いくつかのコツを意識することが大切です。昼寝はすべての人に同様の効果をもたらすわけではなく、不眠症などの睡眠障害を抱えている方は専門医に相談してから取り入れるかどうか判断することをおすすめします。
慢性的な疲労や強い眠気、睡眠の問題に悩まれている方は、昼寝の工夫だけでなく、睡眠全体の質を見直すことが重要です。夜の睡眠の問題が続く場合は、ぜひ医療機関にご相談ください。アイシークリニック大宮院では、睡眠に関するお悩みにも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 健康づくりのための睡眠指針における昼寝(午後の短時間睡眠)の推奨内容および睡眠と健康に関する基本的なガイドライン
- PubMed – 昼寝の認知機能向上効果・心血管系への影響・記憶定着に関する科学的研究論文(NASA研究・ギリシャ疫学研究・コーヒーナップの有効性に関する査読済み文献)
- WHO(世界保健機関) – 睡眠の質と健康維持に関する国際的な推奨事項および睡眠障害(不眠症・睡眠時無呼吸症候群)に関連する健康リスク情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務