脇汗やニオイに悩まされ、着たい服が着られない、人との距離感が気になる、夏場が憂鬱になってしまう——そんなお悩みを抱えている方は、決して少なくありません。日本皮膚科学会の調査によれば、原発性局所多汗症の有病率は人口の約5〜10%にのぼるとされており、日常生活に支障をきたすほどの症状を抱えている方も多くいらっしゃいます。
近年、こうしたワキガや多汗症に対する治療法として注目を集めているのが「ミラドライ」です。メスを使わず、傷跡を残さずに治療できるという画期的な特徴から、忙しい日常を送る社会人や学生の方々から選ばれる治療法となっています。
本コラムでは、与野エリアにお住まいの方に向けて、ミラドライ治療の仕組みから効果、費用、クリニック選びのポイントまで、専門的な知見をもとに詳しく解説いたします。脇汗やニオイでお悩みの方にとって、治療を検討する際の参考となれば幸いです。
目次
- 与野エリアからミラドライ治療を受けるには
- ワキガと多汗症の違いを理解する
- ミラドライとはどのような治療法か
- ミラドライの仕組みと作用原理
- ミラドライで期待できる効果
- ミラドライのメリットとデメリット
- 他の治療法との比較
- ダウンタイムと術後の経過
- 副作用とリスクについて
- 費用と保険適用について
- クリニック選びで重視すべきポイント
- 施術の流れと準備
- よくあるご質問
- まとめ
1. 与野エリアからミラドライ治療を受けるには
与野は、さいたま市中央区として大宮と浦和の中間に位置する利便性の高いエリアです。JR京浜東北線の与野駅からは、大宮駅まで2駅約5分、浦和駅まで2駅約5分とアクセスが良好で、通勤・通学の途中でも医療機関を受診しやすい環境にあります。
さいたま市は2001年に旧浦和市、大宮市、与野市の合併により誕生し、現在では人口約135万人を擁する政令指定都市として発展を続けています。与野エリアは再開発を経て住みやすい住宅地として整備され、ファミリー層を中心に人口が増加傾向にあります。
ミラドライ治療を受けられるクリニックは、大宮駅周辺に複数ございます。与野駅から大宮駅へは京浜東北線で約5分と非常に近く、お仕事帰りや休日を利用して無理なく通院することが可能です。また、北与野駅や与野本町駅からも埼京線を利用すれば大宮駅へのアクセスは容易です。
アイシークリニック大宮院は、大宮駅から徒歩圏内に位置しており、与野エリアはもちろん、さいたま市全域からアクセスしやすい立地となっています。ワキガや多汗症でお悩みの方が、日常生活に支障をきたすことなく治療を受けられるよう、アクセスの良さにも配慮しています。
2. ワキガと多汗症の違いを理解する
脇に関するお悩みとして「ワキガ」と「多汗症」がよく挙げられますが、この二つは原因となる汗腺が異なる別々の症状です。適切な治療を受けるためには、まずこの違いを正しく理解しておくことが重要です。
ワキガ(腋臭症)とは
ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれ、脇の下から独特の強いニオイが発生する症状を指します。このニオイの原因となるのは「アポクリン汗腺」から分泌される汗です。
アポクリン汗腺から出る汗には、タンパク質や脂質が多く含まれており、これらの成分が皮膚の常在菌によって分解されることで、特有のニオイが発生します。アポクリン汗腺は脇の下、耳の中、乳輪、外陰部など限られた部位にのみ存在し、その数や大きさには個人差があります。
ワキガは遺伝的要素が強く、片親がワキガ体質の場合は約50%、両親ともにワキガ体質の場合は約80%の確率で遺伝するとされています。欧米では人口の約80%がワキガ体質であるのに対し、日本人では約10%程度と少ないため、日本ではワキガのニオイが目立ちやすい傾向があります。
多汗症とは
一方、多汗症は過剰な量の汗が出てしまう症状です。脇の多汗症は「原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)」と呼ばれ、気温の上昇や運動とは関係なく、日常生活においても大量の汗をかいてしまいます。
多汗症の原因となるのは「エクリン汗腺」です。エクリン汗腺は全身に分布しており、主に体温調節の役割を担っています。エクリン汗腺から出る汗の成分は約99%が水分であり、本来は無色透明でほとんどニオイがありません。
しかし、大量の汗をかくことで服に汗ジミができたり、汗が蒸れた状態が続くと雑菌が繁殖してニオイの原因となることもあります。また、多汗症とワキガを併発している場合には、エクリン汗腺からの汗がアポクリン汗腺からの汗を広げてしまい、ニオイが強くなることもあります。
日本皮膚科学会が策定した原発性局所多汗症診療ガイドラインでは、以下の診断基準が示されています。
局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6カ月以上認められ、以下の6項目のうち2項目以上に該当する場合に多汗症と診断されます。
- 最初に症状が出たのが25歳以下である
- 左右対称に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 1週間に1回以上、多汗のエピソードがある
- 家族歴がある
- 日常生活に支障をきたしている
原発性腋窩多汗症の有病率は日本人の約5〜6%とされており、決して珍しい症状ではありません。しかし、多くの方が「体質だから仕方ない」と治療を受けずに我慢しているのが現状です。
3. ミラドライとはどのような治療法か
ミラドライは、アメリカのMiramar Labs社が2006年に開発した、ワキガおよび多汗症の治療機器です。マイクロ波(電磁波)を利用して皮膚を切開することなく汗腺を破壊する、革新的な治療法として知られています。
ミラドライの承認状況
ミラドライは、その効果と安全性が公的機関によって正式に認められた治療機器です。アメリカでは、FDA(アメリカ食品医薬品局)より腋窩多汗症、腋臭症(ワキガ)、減毛の3つの適応で承認を取得しています。FDAは医療機器や医薬品の審査基準が世界で最も厳しいとされる機関であり、その承認を得ていることは、ミラドライの信頼性の高さを示しています。
日本においても、2018年6月に厚生労働省より重度の原発性腋窩多汗症に対する治療機器として薬事承認を取得しています。現在、日本国内で脇汗治療機器として厚生労働省の承認を得ているのはミラドライのみであり、この点も多くの方に選ばれる理由となっています。
2010年の日本導入以降の実績
ミラドライは2010年に日本に上陸し、それ以降多くの医療機関で導入されてきました。従来のワキガ治療といえば、メスによる切開手術が主流でしたが、ミラドライの登場によって「切らないワキガ・多汗症治療」という新たな選択肢が生まれました。
ミラドライは、脇の皮膚を切開する必要がないため傷跡が残らず、日帰りで治療を受けることができます。また、一度破壊された汗腺は再生しないため、半永久的な効果が期待できるとされています。これらの特徴から、仕事や学業で忙しい方、傷跡を残したくない方を中心に、年々治療を受ける方が増加しています。
4. ミラドライの仕組みと作用原理
ミラドライがどのようにして汗腺を破壊するのか、その仕組みを詳しく解説します。
マイクロ波の特性を利用
ミラドライは、電子レンジと同じ原理のマイクロ波(5.8GHz)を利用した治療機器です。マイクロ波には水分に選択的に吸収されて熱を発生させるという性質があります。
汗腺は水分を多く含む組織であるため、マイクロ波のエネルギーが集中的に吸収されます。一方、汗腺以外の組織は比較的水分量が少ないため、マイクロ波の影響を受けにくい構造になっています。この特性を利用することで、周囲の組織へのダメージを最小限に抑えながら、汗腺をピンポイントで熱処理することが可能となります。
熱エネルギーの集中と汗腺の破壊
ミラドライのマイクロ波は、真皮層と皮下脂肪層の境界付近にエネルギーが集中するよう設計されています。この部分はちょうど汗腺(アポクリン汗腺およびエクリン汗腺)が密集しているエリアであり、約60〜70度の高温で汗腺を焼灼・凝固させます。
マイクロ波は皮下脂肪層で抵抗を受けて反射するため、脂肪層より深い部分にある血管や神経を傷つける心配はありません。また、熱エネルギーが汗腺のある層に面(立体的には長方体)として作用するため、点で照射する治療法と比較して打ち漏れが生じにくいという利点があります。
冷却システムによる皮膚保護
「マイクロ波で加熱する」と聞くと、皮膚の火傷を心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ミラドライには「ハイドロセラミック・クーリング」という独自の冷却システムが搭載されており、照射中は常に皮膚表面を冷却しています。
この冷却システムにより、表皮から真皮にかけての浅い層は熱から保護され、火傷や色素沈着のリスクを大幅に軽減しています。冷却と加熱を同時に行うことで、表面の皮膚を守りながら、汗腺がある深部にのみ熱エネルギーを届けることができるのです。
治療のメカニズムまとめ
ミラドライの治療は、以下の3つのステップで構成されています。
吸引:ハンドピースに搭載されたバイオチップで皮膚と脂肪組織を吸引し、ターゲット領域を固定します。
マイクロ波照射:マイクロ波を照射し、汗腺が存在する真皮深層から皮下組織浅層にヒートゾーンを形成。汗腺を焼灼・凝固させます。
冷却:ハンドピース内の冷却板によって皮膚表面を冷却し、表皮や真皮浅層の熱損傷を防ぎます。
これらの要素が組み合わさることで、切開を伴わない非侵襲的な治療でありながら、高い効果を実現しています。
5. ミラドライで期待できる効果
ミラドライ治療を受けることで、どの程度の効果が期待できるのでしょうか。ここでは、臨床データに基づいた効果について解説します。
汗とニオイの減少効果
ミラドライの照射により、一度の施術で全体の約70〜80%の汗腺を破壊することができるとされています。これにより、脇汗の量およびワキガのニオイが施術前と比較して大幅に軽減されます。
多くの方が施術直後から効果を実感されており、特に施術後1〜2週間は脇の腫れの影響もあって汗やニオイがほとんど出ない状態となります。腫れが引いた後も、破壊された汗腺は再生しないため、長期的に効果が持続します。
海外の臨床研究では、「多汗症重症度スケール(HDSS)」という指標を用いた評価が行われています。この研究によると、ミラドライ治療を受けた患者の約90%以上が、治療1年後においても発汗の大幅な減少を維持していたと報告されています。
効果の持続期間
ミラドライで破壊された汗腺は再生しないため、その効果は半永久的に持続するとされています。これは、ボトックス注射のように定期的な再治療が必要な治療法と比較した際の大きなメリットです。
ただし、施術後約1カ月頃には、完全に破壊しきれなかった一部の汗腺が回復し、活動を再開することがあります。そのため、施術直後と比較すると若干汗やニオイが戻ったように感じる方もいらっしゃいます。
ミラドライの効果が安定するのは施術から約半年後とされており、最終的には施術前と比較して70〜80%程度の改善が維持されるケースが一般的です。
脱毛効果について
ミラドライには副次的な効果として、脇毛の減毛効果があります。汗腺と毛根は近い位置にあるため、マイクロ波の照射によって毛根にもダメージが加わり、脇毛が薄くなったり、生えにくくなったりすることがあります。
ただし、これは完全な脱毛効果ではなく、部分的な減毛にとどまります。脱毛を主目的とする場合は、医療脱毛など専門の施術を検討されることをおすすめします。
6. ミラドライのメリットとデメリット
治療法を選択する際には、メリットだけでなくデメリットも理解した上で判断することが大切です。ここでは、ミラドライ治療のメリットとデメリットを整理してお伝えします。
ミラドライのメリット
傷跡が残らない:ミラドライは皮膚を切開しないため、治療痕が残りません。脇は比較的露出しやすい部位であるため、傷跡を気にせず治療を受けられることは大きなメリットです。
日帰り治療が可能:入院の必要がなく、施術時間は両脇で約1〜2時間程度です。施術当日に帰宅でき、翌日から日常生活に戻ることができます。
半永久的な効果:一度破壊された汗腺は再生しないため、繰り返し治療を受ける必要がありません。長期的に見た場合、ボトックス注射などの継続的な治療と比較してコストパフォーマンスに優れています。
ワキガと多汗症を同時に治療:ミラドライはアポクリン汗腺とエクリン汗腺の両方にアプローチするため、ワキガのニオイと多汗症の汗の両方を一度の治療で改善できます。
ダウンタイムが短い:従来の切開手術では術後数週間の安静が必要でしたが、ミラドライは翌日から通常の日常生活を送ることができます。
厚生労働省の承認済み:日本国内で脇汗治療機器として唯一厚生労働省の承認を得ており、効果と安全性が公的に認められています。
ミラドライのデメリット
費用が高額:ミラドライは保険適用外の自由診療であるため、治療費用は20万円〜45万円程度と高額になります。クリニックによって価格に差があるため、事前に確認が必要です。
100%の汗腺除去は不可能:ミラドライで破壊できる汗腺は全体の70〜80%程度であり、完全にすべての汗腺を除去することはできません。そのため、治療後も若干の汗やニオイが残る可能性があります。
術後の副作用:施術後には一時的に腫れや痛み、内出血などが生じます。これらは通常1〜2週間で治まりますが、しびれや皮膚の硬さが数カ月続く場合もあります。
効果に個人差がある:汗腺の数や分布、皮膚の厚さなどには個人差があるため、効果の出方も人によって異なります。期待していたほどの効果が得られない可能性もゼロではありません。
7. 他の治療法との比較
ワキガや多汗症の治療法にはミラドライ以外にもいくつかの選択肢があります。ここでは、代表的な治療法とミラドライを比較します。
剪除法(せんじょほう)
剪除法は、脇の皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接目視で確認しながら除去する手術です。ワキガ治療として最も確実性が高く、唯一保険適用が認められている治療法です。
保険適用の場合、自己負担額は3割負担で約4〜5万円程度となり、費用面では最も経済的です。しかし、術後は2〜4週間の安静期間が必要であり、脇を固定するため日常生活に大きな制限がかかります。また、傷跡が残る可能性があること、片脇ずつしか手術できないため両脇の治療には2回の手術が必要なことがデメリットとして挙げられます。
ボトックス注射
ボトックス注射は、ボツリヌストキシンという成分を脇に注射することで、汗腺への神経伝達を一時的にブロックし、発汗を抑制する治療法です。施術時間が短く、ダウンタイムがほとんどないことが特徴です。
しかし、ボトックス注射の効果は約4〜6カ月で切れてしまうため、効果を維持するには年に2〜3回の注射を継続的に受ける必要があります。1回あたりの費用は約5〜8万円程度ですが、長期的に見るとミラドライよりもトータルコストが高くなる可能性があります。
また、ボトックス注射は主にエクリン汗腺に作用するため、多汗症には効果がありますが、ワキガのニオイに対しては効果が限定的です。
塗り薬(外用抗コリン薬)
2020年以降、エクロックゲルやラピフォートワイプなど、原発性腋窩多汗症に対する外用薬が保険適用で使用できるようになりました。塗り薬なので手軽に始められ、費用負担も比較的軽いことがメリットです。
ただし、これらの外用薬は発汗を抑える効果はありますが、汗腺自体を破壊するわけではありません。効果を維持するには継続的な使用が必要であり、塗り忘れると効果が得られません。また、ワキガのニオイに対する効果は多汗症ほど期待できない場合があります。
各治療法の比較まとめ
治療法を選ぶ際は、効果の持続期間、ダウンタイム、費用、傷跡の有無などを総合的に考慮することが重要です。
根本的な治療を希望し、傷跡を残したくない、ダウンタイムを短くしたいという方には、ミラドライが適しています。一方、費用を最優先される場合は保険適用の剪除法、まずは手軽に始めたい場合は塗り薬やボトックス注射から試してみるという選択もあります。
8. ダウンタイムと術後の経過
ミラドライは「切らない治療」とはいえ、汗腺を熱で破壊する施術であるため、一定のダウンタイムが発生します。ここでは、施術後の経過を時系列で詳しく解説します。
施術当日
施術中は局所麻酔を行うため痛みはほとんど感じませんが、施術後数時間して麻酔が切れると、日焼けをした後のようなヒリヒリとした痛みを感じることがあります。
施術当日は痛みのピークとなりやすく、アイスパックで脇を冷やすことが推奨されます。クリニックから痛み止めや塗り薬が処方されますので、指示に従って使用してください。
当日は入浴、飲酒、激しい運動は控え、シャワー浴にとどめましょう。体温が上がると痛みや腫れが悪化する可能性があります。
施術翌日〜1週間
施術の翌日からは通常の日常生活に戻ることができます。デスクワークなどの一般的なお仕事であれば問題なく行えますが、腕を大きく動かす作業や激しい運動は1週間程度控えることをおすすめします。
この時期は脇の腫れがピークを迎えます。脇全体がぷっくりと腫れ、触ると痛みを感じることがあります。腫れは徐々に引いていきますが、1週間程度は続くことが一般的です。
内出血が見られることもありますが、これも1〜2週間で自然に消失します。
1週間〜1カ月
1週間が経過すると、腫れや痛みは大幅に軽減されます。脇を触ったときの皮膚の硬さや、腕を伸ばしたときの軽いつっぱり感が残る程度となり、日常生活への支障はほぼなくなります。
施術後1カ月頃になると、破壊しきれなかった一部の汗腺が回復を始めるため、施術直後と比較すると若干汗やニオイが戻ったように感じる方もいらっしゃいます。これは再発ではなく、想定の範囲内の経過です。
1カ月〜半年
術後1〜3カ月の間は、しびれや感覚の鈍さ、しこりのような硬さが残ることがあります。これは、マイクロ波の熱によって感覚神経の末端にも影響が及ぶためですが、末梢神経は再生能力があるため、時間の経過とともに感覚は戻ってきます。
ミラドライの効果が安定するのは施術から約半年後とされています。この頃になると、腫れや違和感はほぼ消失し、汗やニオイの状態も落ち着いてきます。最終的な治療効果を判断するのは、半年後の状態を基準とするとよいでしょう。
9. 副作用とリスクについて
ミラドライは厚生労働省の承認を受けた安全性の高い治療法ですが、医療行為である以上、副作用やリスクはゼロではありません。治療を受ける前に、起こりうる副作用について理解しておきましょう。
一般的な副作用
以下の副作用は、ミラドライを受けた方の多くに見られる一時的な症状です。
腫れ:施術後1〜2週間程度続きます。脇全体がぷっくりと腫れますが、徐々に引いていきます。
痛み:施術当日〜翌日がピークで、その後徐々に軽減します。日焼け後のようなヒリヒリ感やズキズキとした鈍痛が主です。
内出血:麻酔注射や施術による影響で、脇や腕に内出血が生じることがあります。1〜2週間で自然に消失します。
赤み:照射部位に赤みが出ることがありますが、数日〜1週間程度で落ち着きます。
つっぱり感・硬さ:脇の皮膚が硬くなったり、腕を伸ばしたときにつっぱり感を感じることがあります。これは数週間〜数カ月かけて改善します。
比較的まれな副作用
しびれ・感覚の鈍さ:脇や腕のしびれ、感覚が鈍くなる症状が出ることがあります。これは感覚神経への影響によるもので、通常は3カ月程度で回復しますが、それ以上続く場合もあります。
しこり:施術部位にしこりのような硬さを感じることがあります。多くの場合、時間の経過とともに柔らかくなり、自然に解消されます。
色素沈着:まれに、施術部位に一時的な色素沈着が生じることがあります。通常は数カ月で改善します。
重篤な合併症について
大規模な臨床試験において、ミラドライによる重篤な合併症の報告は極めてまれであることが確認されています。ただし、非常にまれなケースとして、膿瘍(膿がたまる状態)などの感染症が報告されています。
万が一、術後に強い痛みが続く、発熱がある、膿のような分泌物がある、などの異常を感じた場合は、速やかに施術を受けたクリニックにご相談ください。
10. 費用と保険適用について
ミラドライ治療を検討する上で、費用は重要な検討事項の一つです。ここでは、ミラドライの費用相場と保険適用について解説します。
ミラドライの費用相場
ミラドライは自由診療(保険適用外)の治療であるため、費用はクリニックによって異なります。一般的な相場としては、両脇で20万円〜45万円程度です。
費用に幅がある理由としては、以下のような要因が挙げられます。
照射範囲の違い:通常範囲か広範囲かによって費用が変わります。広範囲照射のほうが効果は高くなりますが、その分費用も高くなります。
照射回数の違い:1回照射かダブル照射(2回照射)かによっても異なります。ダブル照射は中央部分を重点的に照射することで効果を高める方法です。
施術者の違い:ミラドライ公式認定医が施術を行うか、看護師が行うかによっても費用が変わる場合があります。
アフターケアの内容:術後の定期検診や万が一の際の保証制度が含まれているかどうかも費用に影響します。
保険適用について
現時点で、ミラドライ治療は保険適用の対象外となっています。これは、日本の医療保険制度が主に「生命に関わる治療」や「病気の治療」を対象としており、ワキガや多汗症の治療は生活の質(QOL)の向上を目的とした治療と位置づけられているためです。
なお、ワキガ治療で唯一保険適用が認められているのは剪除法(切開手術)のみです。保険適用の場合、3割負担で約4〜5万円程度となります。
医療費控除について
ミラドライは保険適用外ですが、医療費控除の対象となる可能性があります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税の一部が還付される制度です。
ミラドライ治療が「病気の治療」として認められる場合、医療費控除の対象となります。原発性腋窩多汗症や腋臭症(ワキガ)は医学的に疾患として認識されているため、これらの治療目的でミラドライを受けた場合は医療費控除の対象になると考えられます。
医療費控除を受けるためには、治療費の領収書を保管し、確定申告時に申請する必要があります。詳しくは税務署または税理士にご確認ください。
11. クリニック選びで重視すべきポイント
ミラドライの効果は、施術を行う医師の技術や経験によっても左右されます。安心して治療を受けるために、クリニック選びで重視すべきポイントを解説します。
ミラドライ公式認定医の在籍
ミラドライには公式認定医制度があります。ミラドライ公式認定医とは、開発元であるMiramar Labs社から正式に認定を受けた医師のことで、一定数の症例経験と実技審査をクリアすることで認定書が交付されます。
認定医であることは、ミラドライに関する専門的な知識と技術を持っていることの証明となります。クリニックを選ぶ際には、ミラドライ公式認定医が在籍しているかどうかを確認することをおすすめします。
なお、一部のクリニックでは認定医以外の医師や看護師が施術を行っている場合があります。看護師が照射を行う場合、薬事法の観点から最大出力での照射ができないケースもあるため、注意が必要です。
事前診察とカウンセリングの充実
ミラドライの効果を最大限に引き出すためには、事前に医師が患者さまの症状と体質を正確に把握することが重要です。脇の状態を診察せずにいきなり施術を行うクリニックは避けたほうがよいでしょう。
また、施術前のカウンセリングで、効果だけでなくリスクや副作用についてもきちんと説明してくれるクリニックを選びましょう。メリットばかりを強調し、デメリットの説明が不十分なクリニックは信頼性に欠けます。
照射範囲と出力の確認
ミラドライの効果は、照射範囲(面積)と照射の出力(強さ)によって大きく左右されます。広範囲に最大出力で照射することで、より多くの汗腺を破壊することができます。
クリニックによっては「広範囲」と謳っていても、実際には狭い範囲しか照射しないケースもあります。カウンセリング時に、具体的にどの程度の範囲を照射するのか、出力はどのレベルで行うのかを確認しておきましょう。
アフターフォロー体制
施術後に何か気になる症状が出た場合に、すぐに相談できる体制が整っているかどうかも重要なポイントです。術後の定期検診が無料で受けられるか、電話やメールでの相談に対応しているかなどを確認しておくと安心です。
費用の透明性
自由診療であるミラドライは、クリニックによって費用が大きく異なります。表示されている価格に何が含まれているのか(麻酔代、診察代、アフターケア代など)を事前に確認し、追加費用が発生しないかどうかを確認しておきましょう。
極端に安い価格を提示しているクリニックは、照射範囲が狭い、出力が低い、認定医以外が施術を行うなど、何らかの理由があることが考えられます。価格だけで判断せず、総合的に検討することが大切です。
12. 施術の流れと準備
ミラドライの施術がどのような流れで行われるのか、また施術前に準備すべきことを解説します。
施術前の準備
脇毛の処理:施術前日までに脇毛を剃っておく必要があります。これは、マーキングや照射を正確に行うためです。
デオドラント製品の使用中止:施術当日は、デオドラントスプレーや制汗剤などは使用せずに来院してください。
服装:施術中は上半身裸になるため、着脱しやすい服装でお越しください。術後は脇を圧迫しないよう、ゆったりとした服がおすすめです。
施術の流れ
診察・カウンセリング:医師が脇の状態を診察し、症状の程度を確認します。治療内容やリスクについての説明があり、疑問点があればこの時点で質問できます。
マーキング:汗腺の分布を確認し、照射部位を特定します。専用のテンプレートを使用して、脇に照射位置をマーキングします。
局所麻酔:照射部位に局所麻酔を注射します。麻酔注射の際にはチクッとした痛みを感じますが、電動麻酔器や振動器を用いて痛みを軽減する工夫がされているクリニックもあります。麻酔が効くまで5〜10分程度待機します。
ミラドライ照射:マーキングに沿ってマイクロ波を照射します。麻酔が効いているため、照射中に痛みを感じることはほとんどありません。片側30分程度、両脇で約1時間が目安です。
冷却・終了:照射後、約15分間患部を冷却して終了となります。入院の必要はなく、そのまま帰宅できます。
施術後の注意事項
施術後は以下の点に注意してお過ごしください。
当日から翌日:アイスパックで患部を冷やし、安静に過ごしてください。入浴は避け、シャワー浴にとどめましょう。飲酒や激しい運動も控えてください。
1週間程度:激しい運動や重い物を持つことは避けてください。湯船に長時間浸かることも控えましょう。
定期的なフォローアップ:クリニックの指示に従い、必要に応じて術後検診を受けてください。

13. よくあるご質問
ミラドライ治療を検討されている方からよくいただくご質問にお答えします。
A. 施術前に局所麻酔を行うため、照射中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔注射の際にはチクッとした痛みがありますが、多くのクリニックでは痛みを軽減する工夫がなされています。麻酔が切れた後は、日焼け後のようなヒリヒリ感やズキズキとした痛みを感じることがありますが、処方される痛み止めで対処できる程度です。
A. ほとんどの方が1回の施術で効果を実感されています。1回の照射で約70〜80%の汗腺を破壊することができ、汗の量やニオイが大幅に軽減されます。ただし、効果の出方には個人差があり、症状が重い方やより高い効果を求める方は、2回目の施術を検討されることもあります。
Q. ミラドライ後にワキガが再発することはありますか?
A. ミラドライで破壊された汗腺は再生しないため、基本的に再発することはありません。ただし、完全に破壊しきれなかった汗腺が残っている場合、その汗腺からの汗やニオイは継続して発生します。また、成長期(思春期)にミラドライを受けた場合、その後の成長に伴って新たな汗腺が発達する可能性があります。
Q. ミラドライを受けられない人はいますか?
A. 以下に該当する方は、ミラドライを受けられない場合があります。
- 心臓ペースメーカーや除細動器を使用している方
- 脇に金属が埋め込まれている方
- 酸素補給を必要とする方
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- 施術部位に皮膚疾患がある方
詳しくはカウンセリング時に医師にご相談ください。
Q. 未成年でもミラドライを受けられますか?
A. ミラドライに明確な年齢制限はなく、未成年の方でも保護者の同意があれば施術を受けることができます。ただし、成長期の間はアポクリン汗腺の活動が盛んなため、効果が持続しにくい場合があります。身体の発育が安定してくる高校生以降が一つの目安となりますが、症状が強く日常生活に支障をきたしている場合は、それ以前でも治療を検討されることがあります。
Q. ミラドライ後、いつから運動できますか?
A. 軽い運動であれば3〜4日後から、激しい運動は1週間程度経過してから再開することをおすすめします。運動によって体温が上昇すると、腫れや痛みが悪化する可能性があります。ご自身の回復状況を見ながら、無理のない範囲で再開してください。
Q. ミラドライ後、脇の汗が完全になくなりますか?
A. ミラドライで破壊できる汗腺は全体の約70〜80%です。そのため、汗が完全にゼロになることはなく、若干の汗は残ります。ただし、施術前と比較すると大幅に軽減されるため、多くの方が満足されています。
Q. 他院でワキガ手術を受けたことがありますが、ミラドライを受けられますか?
A. 過去にワキガ手術を受けた方でも、ミラドライを受けることは可能です。ただし、手術によって脇の組織に変化が生じている場合は、効果や安全性に影響が出る可能性があります。事前のカウンセリングで、過去の手術歴を医師にお伝えください。
14. まとめ
本コラムでは、与野エリアにお住まいの方に向けて、ミラドライ治療について詳しく解説してまいりました。最後に、重要なポイントを整理します。
ミラドライは、マイクロ波を利用してワキガおよび多汗症の原因となる汗腺を破壊する、切らない治療法です。日本の厚生労働省およびアメリカのFDAから承認を受けており、その効果と安全性は公的に認められています。
一度の施術で約70〜80%の汗腺を破壊することができ、破壊された汗腺は再生しないため、半永久的な効果が期待できます。傷跡が残らない、日帰り治療が可能、ダウンタイムが短いといったメリットがあり、忙しい日常を送る方にも適した治療法です。
一方で、保険適用外のため費用が高額になること、100%の汗腺除去は不可能なこと、術後に一時的な副作用が生じることなど、デメリットもあります。治療を検討される際は、メリットとデメリットの両方を理解した上で判断することが大切です。
クリニック選びにおいては、ミラドライ公式認定医が在籍しているか、事前診察やカウンセリングが充実しているか、アフターフォロー体制が整っているかなどを確認しましょう。価格だけで判断せず、総合的な観点から信頼できるクリニックを選ぶことが、満足のいく治療結果につながります。
与野エリアからは、大宮駅周辺のクリニックへのアクセスが良好です。脇汗やワキガでお悩みの方は、まずは無料カウンセリングを受けて、ご自身の症状や治療の選択肢について専門医に相談されることをおすすめします。
アイシークリニック大宮院では、ミラドライ治療において「広範囲に最大出力で照射」することで、1回の施術で最大限の効果を目指しています。経験豊富な医師が丁寧に診察・施術を行い、術後のサポートも万全の体制を整えております。
脇汗やニオイのお悩みは、一人で抱え込まず、専門家にご相談ください。適切な治療を受けることで、これまでの悩みから解放され、より快適な日常生活を送ることができるようになります。
参考文献
- 原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版 – 日本皮膚科学会
- 汗の病気―多汗症と無汗症― – 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- 脇汗・多汗症Q&A – マルホ株式会社
- さいたま市エリアガイド – VISIT SAITAMA CITY
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務