「B型肝炎のワクチンは子どもが打つもの」と思っていませんか?実は大人になってからでも、B型肝炎ワクチンの接種は非常に重要な意味を持っています。B型肝炎ウイルス(HBV)は血液や体液を介して感染し、慢性化すると肝硬変や肝がんへと進展するリスクがある侮れない感染症です。2016年から乳児へのB型肝炎ワクチン定期接種が始まりましたが、それ以前に生まれた世代は公費での接種機会がなかったため、成人の中には免疫を持っていない方が多く存在します。このコラムでは、大人がB型肝炎ワクチンを接種する必要性から、接種スケジュール、費用、副反応まで幅広く解説していきます。
目次
- B型肝炎とはどんな病気か
- B型肝炎ウイルスの感染経路
- 大人がB型肝炎ワクチンを接種すべき理由
- 特に接種を検討してほしい方(ハイリスクグループ)
- B型肝炎ワクチンの種類と接種スケジュール
- 接種前に確認すること(抗体検査について)
- 費用と保険適用について
- 副反応と注意点
- 接種後の抗体確認の重要性
- まとめ

🎯 B型肝炎とはどんな病気か
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus:HBV)に感染することで引き起こされる肝臓の炎症性疾患です。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界全体で約2億9600万人がHBVの慢性感染者とされており、年間約82万人がB型肝炎に関連した肝硬変や肝がんで亡くなっているといわれています。日本国内においても、HBVキャリア(持続感染者)は100万人以上いると推定されており、決して他人事ではない感染症です。
HBVに感染した場合、急性肝炎として発症することもあります。急性B型肝炎では倦怠感・食欲不振・黄疸・発熱・吐き気などの症状が現れますが、多くの成人感染例では免疫機能が働いてウイルスを排除し、自然に回復します。しかし一部のケースでは劇症肝炎に移行し、重篤な状態になることもあります。
問題となるのは、感染が慢性化した場合です。成人での感染では慢性化率は低いとされていますが(約5〜10%)、慢性化した場合は肝炎が長期にわたって続き、10〜20年のうちに肝硬変・肝がんへと進展するリスクが高まります。また、慢性感染者の中には自覚症状がほとんどなく、知らないうちに他者への感染源となっているケースもあります。感染を防ぐためにも、ワクチンによる予防が非常に重要です。
📋 B型肝炎ウイルスの感染経路
B型肝炎ウイルスは、感染者の血液・精液・腟分泌液などの体液に含まれており、これらが粘膜や傷口に接触することで感染します。感染経路を正しく理解することは、自分がどれほどのリスクにさらされているかを把握するうえで重要です。
主な感染経路として、まず性的接触が挙げられます。コンドームを使用しない性行為によってHBVが伝播するリスクは高く、不特定多数との性的接触がある方や、性感染症のリスクが高い環境にある方は特に注意が必要です。性感染症の中でも、HBVは感染力が比較的強く、HIVと比較しても約50〜100倍の感染力を持つとされています。
次に、血液を介した感染があります。注射針の使い回しや輸血(現在は献血血液の検査が徹底されているため極めてまれ)、刺青・ピアスの施術における衛生管理の不備などが感染リスクとなります。医療従事者にとっては、針刺し事故が重大なリスクとなります。
さらに、母子感染(垂直感染)も重要な感染経路です。HBVキャリアの母親から生まれた新生児は、出産時に感染するリスクがあります。このリスクに対しては現在、出生直後のHBIGと、乳児への定期ワクチン接種が行われています。
また、日常生活における接触(一緒に食事をする・握手をするなど)では基本的に感染しないとされていますが、カミソリや歯ブラシなどの血液が付着した可能性のある衛生用品を共有することでの感染リスクはあります。
💊 大人がB型肝炎ワクチンを接種すべき理由
日本では2016年10月より、0歳児(乳児)を対象としたB型肝炎ワクチンの定期接種が導入されました。しかし、これはあくまでも2016年以降に生まれた子どもへの対応であり、それ以前に生まれた世代は自費での接種か、医療従事者など特定の職業においての接種機会がなければ、B型肝炎ワクチンを接種していないことがほとんどです。
つまり、現在成人している多くの方は、B型肝炎に対する免疫を持っていない可能性があります。これは将来にわたって感染リスクにさらされ続けることを意味します。
また、B型肝炎は感染してから症状が出るまでに数週間〜数ヶ月の潜伏期間があります。感染しても自覚症状がない場合も多く、「気づいたときには慢性化していた」という状況も起こりえます。慢性肝炎から肝硬変・肝がんへの進展を防ぐためにも、感染する前にワクチンで予防することが最善策です。
さらに、大人の生活環境の変化も接種を検討する理由になります。就職・転職・海外赴任・新しいパートナーとの交際など、ライフイベントに伴って感染リスクが変化することがあります。「今の自分のリスク」を見直す機会として、ワクチン接種を検討してみてください。
WHOも成人へのB型肝炎ワクチン接種を推奨しており、特に感染リスクが高いとされる集団(後述)においては積極的な接種が求められています。日本でも、成人へのワクチン接種の重要性が徐々に認識されるようになっており、自費診療という形で成人接種に対応するクリニックが増えています。
🏥 特に接種を検討してほしい方(ハイリスクグループ)
B型肝炎ワクチンはすべての成人にとって有益ですが、特に以下に当てはまる方は積極的な接種を検討してください。
まず、医療従事者および医療系学生です。医療の現場では患者の血液や体液に接触する機会が多く、針刺し事故などによるHBVへの職業的曝露リスクが存在します。医療従事者へのB型肝炎ワクチン接種は、多くの医療機関で義務化または強く推奨されています。医療系の学生も、臨床実習が始まる前にワクチン接種と抗体確認を済ませておくことが重要です。
次に、HBVキャリアや感染者と同居している方、または性的パートナーに感染者がいる方です。日常的な生活の中での感染リスクは低いとはいえ、カミソリなどの共有や性的接触を通じた感染リスクは否定できません。同居家族や身近なパートナーの感染状況を把握し、必要であれば接種を受けることが勧められます。
性的なリスクが高い環境にある方も対象です。不特定多数との性的接触がある場合や、性感染症の既往がある場合、MSM(Men who have Sex with Men)など特定の集団においては感染リスクが高いとされており、WHOはこうした集団へのワクチン接種を強く推奨しています。
海外渡航者も注意が必要です。B型肝炎の感染率はアジアやアフリカなどの地域では高く、現地での医療行為を受ける機会がある方、長期滞在や発展途上国への渡航を予定している方は特に接種を検討してください。トラベルクリニックでもB型肝炎ワクチンの相談が可能です。
また、血液透析を受けている患者や、HIV感染者、免疫抑制療法を受けている方なども感染に対して脆弱であり、ワクチン接種が推奨されます。ただしこれらの方々は通常のスケジュール・用量では抗体がつきにくいこともあるため、主治医との相談が必要です。
そのほか、施設入所者や障害者施設の職員、注射薬物使用者(薬物依存症の治療中の方を含む)なども感染リスクが高い集団として挙げられています。
⚠️ B型肝炎ワクチンの種類と接種スケジュール
現在、日本で成人に使用されるB型肝炎ワクチンは、組換え型(遺伝子組換え)ワクチンです。HBVの表面抗原(HBsAg)を酵母菌で産生させた不活化ワクチンであり、生きたウイルスを使用しないため、ワクチン接種によってB型肝炎に感染することはありません。現在使用されている主なワクチン製品には「ビームゲン」や「ヘプタバックス」などがあります。
成人への標準的な接種スケジュールは、3回接種法が基本です。具体的には「0・1・6ヶ月法」と呼ばれるスケジュールで、1回目接種を0週とし、4週間後(1ヶ月後)に2回目、初回接種から6ヶ月後に3回目を接種します。この3回の接種を完了することで、多くの場合に十分な免疫(抗体)が形成されます。
一方、短期間で免疫を獲得したい場合(海外渡航直前など)には、「0・1・2ヶ月法」という加速スケジュールを採用することがあります。この場合は1ヶ月ごとに3回接種を行い、その後12ヶ月目に追加接種(ブースター)を行うことで、より長期的な免疫を確立します。ただし、加速スケジュールは標準スケジュールと比較して抗体価がやや低くなる場合があるため、余裕をもったスケジュールが理想的です。
なお、3回の接種スケジュールを途中で中断してしまった場合は、最初からやり直す必要はありません。接種間隔が延びてしまっても、続きから接種を再開できますが、最終的に3回の接種を完了することが免疫獲得には必要です。接種が遅れた場合はかかりつけのクリニックに相談するとよいでしょう。
免疫が低下しやすい状態(血液透析患者、HIV感染者、免疫抑制剤使用中の方など)では、通常より高用量のワクチンを使用したり、接種回数を増やしたりすることがあります。これらの方の場合は担当医師の指示に従ってください。
🔍 接種前に確認すること(抗体検査について)
ワクチンを接種する前に、まず現在の抗体状況を調べることをお勧めします。過去にワクチンを接種したことがある方や、HBVに感染したことがある方はすでに抗体を持っている可能性があり、その場合は接種が不要なケースもあります。
抗体検査ではHBs抗体の有無・量を測定します。HBs抗体が十分な量(一般的に10 mIU/mL以上)存在している場合は、現時点で感染防御能力があると判断されます。一方、抗体が陰性または低値の場合は、ワクチン接種によって免疫を獲得することが勧められます。
また、接種前にはHBs抗原検査も行うことがあります。これは現在HBVに感染していないかどうかを確認するためです。すでに感染している方(HBsAg陽性)にワクチンを接種しても意味がないため、接種前に感染の有無を確認することは重要です。
医療従事者や学生、ハイリスクグループに該当する方は、抗体検査を先に行い、結果に応じてワクチン接種の必要性を判断することが推奨されます。ただし、検査費用が自費になる場合もあるため、事前にクリニックに確認しておくとよいでしょう。
なお、過去にB型肝炎ワクチンを3回接種済みであれば、多くの場合は抗体が形成されています。ただし、ワクチン接種後の抗体価は年月とともに低下することがあるため、特に高リスクの職業に就いている方や、医療従事者として採用される際などには抗体価の再確認を行うことがあります。
📝 費用と保険適用について
現在、成人(16歳以上)へのB型肝炎ワクチン接種は定期接種には含まれておらず、基本的には自費診療(任意接種)となります。費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり4,000〜6,000円程度が相場とされており、3回接種すると合計で12,000〜18,000円前後となることが多いです。
ただし、一部の例外として保険適用が認められているケースがあります。具体的には、HBs抗原陽性者(B型肝炎ウイルスのキャリアや感染者)と同居している家族や、血液透析患者などに対しては、医師の判断によって健康保険が適用される場合があります。また、HBVキャリアの母親から生まれた新生児に対しては、感染防止を目的とした母子感染予防のための接種について健康保険が適用されます。
職場で接種が義務化または推奨されている医療従事者については、医療機関や会社が費用を負担するケースも多く見られます。医療系の学生が実習前に接種する場合も、学校や実習先が費用を補助することがあります。勤務先や学校の規定を確認してみてください。
また、自治体によっては成人へのB型肝炎ワクチン接種に対して補助制度を設けているところもあります。残念ながら全国一律の補助制度はありませんが、お住まいの市区町村の保健センターや行政窓口に問い合わせてみることをお勧めします。
費用面だけでなく、B型肝炎が慢性化した場合の治療費(抗ウイルス薬による長期治療・定期的な検査・最悪の場合の肝がん治療など)と比較すれば、ワクチン接種にかかる費用はごくわずかです。予防のための投資として前向きに検討してください。
💡 副反応と注意点
B型肝炎ワクチンは長年にわたって世界中で使用されており、安全性の高さは確立されています。副反応の大部分は一時的なものであり、重篤な副反応はまれです。
最も一般的にみられる副反応は、接種部位の局所反応です。注射した腕の周囲に発赤(赤み)・腫れ・痛みが生じることがあり、接種後数時間〜数日以内に現れ、自然に改善します。通常は特別な処置は不要ですが、痛みが強い場合は市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を使用することもできます。接種部位を冷やすと楽になることもあります。
全身症状としては、軽度の発熱・倦怠感・頭痛・関節痛などが現れることがあります。これらも通常は1〜2日程度で自然に消失します。接種当日に激しい運動や飲酒を避けることが望ましいとされています。
まれな副反応として、アレルギー反応(蕁麻疹・発疹など)が報告されています。特に、過去のB型肝炎ワクチン接種でアレルギー症状を経験したことがある方は、事前に医師に申告してください。また、ワクチンの成分(酵母菌由来成分など)に対してアレルギーがある方は接種の適否を慎重に判断する必要があります。
非常にまれですが、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)が報告されています。アナフィラキシーは通常、接種後15〜30分以内に発症するため、接種後はクリニックの待合室などで一定時間(15〜30分程度)様子をみることが推奨されます。接種を行う医療機関にはアナフィラキシーへの対応体制が整っていますので、万が一の際も安心です。
以下の方については、接種前に必ず医師に相談してください。
現在発熱中・体調が悪い方は、回復してから接種することが推奨されます。重篤な基礎疾患をお持ちの方(特に免疫機能に影響する疾患や治療を受けている方)は、主治医の意見を確認したうえで接種の可否を判断してください。妊婦の方については、B型肝炎ワクチンは不活化ワクチンであり、原則として妊娠中の接種は可能とされていますが、必要性と安全性を主治医と相談したうえで判断することが大切です。
✨ 接種後の抗体確認の重要性
3回のワクチン接種を完了したら、抗体が形成されているかどうかを確認することをお勧めします。B型肝炎ワクチンの接種後に抗体(HBs抗体)が十分に形成されれば、HBVへの感染防御が期待できます。
通常、3回接種完了後1〜3ヶ月以内に抗体検査を行います。ワクチン接種を受けた健常成人の約90〜95%では接種後に十分な抗体が形成されますが、残りの約5〜10%の方では抗体が形成されないか、低値にとどまる「低・無応答者」が存在します。
抗体が形成されなかった場合や、形成が不十分だった場合には、追加の接種(ブースター接種)が検討されます。一般的には3回の追加接種を行い、再度抗体価を確認します。それでも抗体が形成されない場合は「ワクチン無応答者」と判断されることがあり、その場合は感染リスクの高い状況での曝露後予防(HBIGの投与など)を検討することになります。
一方、3回の接種で十分な抗体が形成された場合、その後の抗体価は時間とともに低下することが知られています。しかし、抗体価が測定限界以下になっても、免疫記憶は長期間保持されると考えられており、実際の感染防御は抗体価が低下した後も維持される可能性が高いとされています。そのため、通常の健康成人においては、定期的なブースター接種は現時点では一般的に推奨されていません。
ただし、医療従事者や透析患者など高リスクグループの方については、職場の規定や担当医の判断に従い、定期的な抗体価の確認や追加接種を行う場合があります。
なお、ワクチン接種後の抗体検査も自費診療となる場合が多いです。接種を受けるクリニックに費用を含めて確認しておくとよいでしょう。
📌 B型肝炎ワクチンに関するよくある疑問
ここでは、大人がB型肝炎ワクチンを接種する際に多くの方が抱く疑問についてまとめます。
「1回だけ打っても意味はありますか?」という疑問をよく耳にします。1回の接種では十分な免疫を獲得することは難しく、抗体価も低いまま終わる可能性があります。免疫を確実に獲得するためには、定められたスケジュールに沿って3回の接種を完了することが重要です。途中で止めてしまわず、最後まで接種を受けるようにしてください。
「子どもの頃にB型肝炎ワクチンを打ったかもしれないのですが、また打つ必要はありますか?」という方も多いです。母子手帳や予防接種記録で確認するか、抗体検査(HBs抗体検査)を受けて現在の抗体の有無を確認することをお勧めします。十分な抗体があれば再接種は不要ですが、抗体がない場合や記録が不明な場合には接種を検討してください。
「B型肝炎ワクチンはインフルエンザワクチンなどと同時接種できますか?」という質問もあります。原則として、不活化ワクチン同士の同時接種は可能です。ただし、実際に同時接種を行うかどうかはクリニックの判断によって異なります。複数のワクチン接種を検討している場合は、受診時に相談してください。
「ワクチンの効果はどのくらい続きますか?」については、3回の接種で形成された抗体の保護効果は、少なくとも10〜20年以上持続するとされています。長期追跡調査では、抗体価が低下した後も感染防御効果が維持されることが示されており、一般的な成人では追加接種の必要性は低いと考えられています。
「高齢者はワクチンを打っても効果がありますか?」という心配もあります。ワクチン接種による抗体応答は、加齢とともに低下する傾向があります。特に60歳以上では抗体が形成されにくくなることがあります。ただし、抗体が十分に形成されれば感染防御効果は期待できますので、高齢であっても感染リスクがある場合は接種を検討する価値があります。
🎯 かかりつけクリニックへの相談をお勧めする理由
B型肝炎ワクチンの接種を検討している場合は、まずかかりつけのクリニックや内科・感染症科に相談することをお勧めします。自分の感染リスクや既往歴、服用中の薬(免疫抑制剤など)を踏まえたうえで、接種スケジュールや注意点について適切なアドバイスを受けることができます。
アイシークリニック大宮院では、B型肝炎ワクチンに関するご相談を承っています。接種前の抗体検査や感染状況の確認、接種スケジュールの管理まで、患者さんの状況に合わせて丁寧に対応しています。「自分は接種が必要か?」「費用はどのくらいか?」などの疑問がある方は、お気軽にご相談ください。
また、海外渡航前のワクチン接種相談(トラベルワクチン)や、職場での感染予防対策に関するご相談にも対応しております。ワクチン接種は予防医療の基本ですが、自分のリスクに合わせた適切な判断が大切です。専門医との相談のうえで最善の選択をしていただければと思います。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「子どもの頃にワクチンを打った記憶がない」「海外赴任が決まった」「医療職に就くことになった」といったきっかけでB型肝炎ワクチンの相談に来られる成人の方が増えており、接種前の抗体検査で免疫を持っていないことが判明するケースも少なくありません。B型肝炎は感染しても自覚症状がないまま慢性化するリスクがあるため、「自分には関係ない」と思わずに、まずは現在の抗体状況を確認していただくことをお勧めします。ご自身の生活環境や感染リスクに合わせた適切な対策について、お気軽にご相談ください。」
📋 よくある質問
2016年以前に生まれた方は定期接種を受けていないことが多く、免疫を持っていない可能性があります。B型肝炎は慢性化すると肝硬変・肝がんへ進展するリスクがあるため、成人の方にも接種は非常に重要です。まずは抗体検査で現在の免疫状態を確認することをお勧めします。
標準的なスケジュールは「0・1・6ヶ月法」による3回接種です。1回目を基準に、1ヶ月後に2回目、6ヶ月後に3回目を接種します。海外渡航など急ぎの場合は1ヶ月ごとに3回接種する加速スケジュールも選択できますが、標準スケジュールの方が抗体価は高くなります。
成人への接種は原則として自費診療となり、1回あたり4,000〜6,000円程度が相場です。3回接種すると合計12,000〜18,000円前後になることが多いです。ただし、HBVキャリアと同居している家族や血液透析患者など一部の条件では保険適用となる場合があります。当院にお気軽にご相談ください。
最も多い副反応は、接種部位の赤み・腫れ・痛みなどの局所反応で、数日以内に自然に改善します。全身症状として軽度の発熱や倦怠感が現れることもありますが、通常1〜2日で消失します。重篤な副反応はまれですが、接種後15〜30分程度は医療機関で様子を見ることが推奨されています。
母子手帳や予防接種記録を確認するか、HBs抗体検査を受けて現在の抗体の有無を調べることをお勧めします。十分な抗体が確認されれば再接種は不要ですが、抗体がない場合や記録が不明な場合は接種を検討してください。当院では接種前の抗体検査から接種スケジュールの管理まで対応しております。

💊 まとめ
B型肝炎ワクチンは、乳児だけでなく大人にとっても重要な予防接種です。特に2016年以前に生まれた世代は定期接種を受けていないことが多く、免疫を持っていない方が多数存在します。B型肝炎は性行為・血液・母子感染などを通じて広がる感染症であり、慢性化すると肝硬変・肝がんへの進展リスクがあります。
成人への接種は原則として自費診療(任意接種)ですが、一部の条件下では保険適用が認められています。標準的な接種スケジュールは「0・1・6ヶ月法」による3回接種であり、接種完了後には抗体検査で免疫獲得を確認することが理想的です。副反応は接種部位の局所症状や軽度の発熱が主であり、重篤な副反応はまれです。
「自分には関係ない」と思わず、自分の生活環境や感染リスクを見直してみることが大切です。医療従事者・海外渡航者・感染者との同居者などハイリスクグループに当てはまる方はもちろん、そうでない方も感染予防の観点からワクチン接種を前向きに検討してみてください。まずはかかりつけのクリニックで現在の抗体状況を確認し、必要であれば接種に踏み出すことが、将来の健康を守る第一歩になります。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – B型肝炎ワクチンの定期接種制度(2016年導入)、接種スケジュール、費用・保険適用に関する公的情報、およびHBVキャリア数の国内推計データの参照
- 国立感染症研究所 – B型肝炎ウイルスの感染経路・感染リスク・疫学情報、ハイリスクグループの定義、母子感染予防対策、およびワクチン接種後の抗体応答率に関する科学的データの参照
- WHO(世界保健機関) – 世界全体のHBV慢性感染者数(約2億9600万人)・年間死亡者数(約82万人)の推計値、成人へのB型肝炎ワクチン接種推奨に関するガイドライン、およびMSMなどハイリスクグループへの接種勧告の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務