仕事の引き継ぎが重なる時期になると、なんとなく体がだるい、眠れない、頭痛が続くという経験をお持ちの方は少なくないでしょう。異動・退職・新入社員のフォローなど、引き継ぎ業務には独特のプレッシャーがともないます。「引き継ぎのストレスで体調が崩れるのはなぜか」「どう対処すればよいのか」について、医療的な視点から詳しく掘り下げていきます。普段は体が丈夫だという方でも、引き継ぎ特有の心理的・身体的負荷がかかると、さまざまな不調があらわれやすくなります。このコラムでは、そのメカニズムから日常的な対処法、受診の目安までを幅広くご紹介します。
目次
- 引き継ぎがストレスになりやすい理由
- ストレスが体調不良を引き起こすメカニズム
- 引き継ぎ期に起こりやすい体の症状
- 引き継ぎ期に起こりやすい心の症状
- 引き継ぎストレスが長引くとどうなるか
- 日常生活でできるストレス対処法
- 職場・環境面からのアプローチ
- こんな症状が出たら受診を検討しよう
- まとめ

🎯 1. 引き継ぎがストレスになりやすい理由
引き継ぎは、仕事の中でも特にストレスを感じやすい場面のひとつです。その背景には、引き継ぎ作業そのものの複雑さだけでなく、さまざまな心理的・対人的な要因が絡み合っています。
まず挙げられるのが「情報量の多さと時間的プレッシャー」です。引き継ぎでは、これまで一人が担当していた業務の全体像を短期間で伝える、あるいは受け取る必要があります。マニュアルに書ききれない暗黙のルールや、関係者との人間関係、過去のトラブル対応経緯なども含まれることが多く、情報の整理と伝達だけで大きな負荷になります。
次に、「責任感と不安の共存」があります。引き継ぎを行う側(送り出す側)は、後任が困らないようにすべての情報を伝えなければという使命感を感じやすく、それが完璧主義的なプレッシャーに変わります。一方で引き継ぎを受ける側は、自分がきちんとこなせるかという不安や、前任者のやり方との差異に戸惑いを覚えることが多いです。
また、「人間関係の変化」もストレスの一因になります。長年一緒に働いてきた同僚や上司と離れることへの寂しさ、逆に新しい職場や担当者との関係構築へのプレッシャーなど、人との関わりが変わることで気持ちが落ち着かなくなる方も多いです。
さらに、「引き継ぎ業務と通常業務の並行作業」によって、物理的な業務量が増えることも見逃せません。異動や退職に際して引き継ぎ準備をしながら日常の業務もこなさなければならない状況は、慢性的な疲労と時間的余裕のなさをもたらします。このような複合的な要因が積み重なることで、引き継ぎ期間は特にストレスが高まりやすい時期となるのです。
📋 2. ストレスが体調不良を引き起こすメカニズム
ストレスを感じると体にさまざまな変化が起きます。これは単なる気のせいではなく、脳と体が連携して起こす生理的な反応です。そのメカニズムを理解することが、対処法を考える上でとても重要になります。
ストレスを受けると、脳の視床下部から下垂体、そして副腎へと信号が送られ、「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールは短期的には体をストレス状態に適応させるための重要なホルモンですが、長期間にわたって高い状態が続くと、免疫機能の低下、睡眠障害、代謝異常など多くの問題を引き起こします。
また、ストレスがかかると自律神経系のバランスが乱れます。自律神経は交感神経と副交感神経から構成されており、心拍数・血圧・消化・呼吸などをコントロールしています。ストレスがかかり続けると交感神経が優位な状態が長く続き、体は常に「戦闘モード」になります。その結果、胃腸の働きが低下して消化器系の不調があらわれたり、緊張状態が続くことで筋肉のこわばりや頭痛が生じたりします。
さらに、脳内の神経伝達物質にも変化が生じます。セロトニンやドーパミンといった「幸福ホルモン」と呼ばれる物質のバランスが崩れると、気分の落ち込みや意欲の低下、不安感の増大といった心理的な症状があらわれます。これらの神経伝達物質は睡眠とも深く関わっており、引き継ぎ期間中に「なかなか眠れない」「眠っても疲れが取れない」と感じる方が多いのはこのためです。
加えて、免疫系への影響も無視できません。慢性的なストレス下では免疫細胞の働きが抑制されるため、普段なら問題ないような疲労でも風邪をひきやすくなったり、口内炎や帯状疱疹などウイルス性の疾患が出やすくなったりします。引き継ぎ時期に体を壊す方が多いのは、こうした免疫機能の低下も関係しています。
💊 3. 引き継ぎ期に起こりやすい体の症状
引き継ぎ期間に特有のストレスが重なると、体にはさまざまなサインがあらわれます。「たまたま体調が悪い」と見過ごしてしまいがちですが、これらは体からの重要なシグナルです。
まず多くの方が訴えるのが「睡眠の変化」です。引き継ぎのことが頭から離れず、布団に入っても眠れない入眠困難、夜中に何度も目が覚める中途覚醒、早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒などが起こりやすくなります。睡眠不足は集中力の低下を招き、引き継ぎ業務のミスにもつながるため、悪循環に陥りやすいのが特徴です。
次に「消化器系の症状」があります。ストレスと胃腸は密接に関係しており、引き継ぎ期間中に食欲がなくなる、胃がむかむかする、下痢や便秘が続くといった症状を訴える方は少なくありません。特にもともと胃腸が弱い方やストレス性胃炎の既往がある方は注意が必要です。
「頭痛・肩こり・首のこり」も引き継ぎ期に増える典型的な症状です。デスクワークが増えることによる姿勢の悪化や、緊張状態が続くことによる筋肉のこわばりが原因です。特に緊張型頭痛は、精神的ストレスと深く関連しており、引き継ぎ期間中に繰り返す頭痛を経験する方が多いです。
「疲労感・倦怠感」も注意すべき症状です。十分に休んでいるはずなのに体が重い、朝起きても疲れが取れないといった状態が続く場合、ストレスによる自律神経の乱れや副腎疲労が疑われます。また、「頻繁な風邪・口内炎・帯状疱疹」なども免疫機能の低下を示す体のサインです。
さらに、「動悸・息切れ」を感じる方もいます。特に重要な引き継ぎミーティングの前後や、業務量が集中するタイミングで心拍数が上がる感覚や、息が詰まるような感覚を覚える方もいます。こうした症状は交感神経の過剰興奮によるものが多いですが、心疾患との鑑別が必要な場合もあるため、繰り返す場合は医療機関を受診することをおすすめします。
🏥 4. 引き継ぎ期に起こりやすい心の症状
体の症状と同様に、引き継ぎ期間は心にもさまざまな変化が起こります。これらは「気持ちの問題だ」と自分で片付けてしまいがちですが、れっきとしたストレス反応であり、放置すると悪化することもあります。
「不安感・焦り」は引き継ぎ期に最もよく見られる心理的症状です。引き継ぎが上手くいくか、後任者が困らないか、あるいは引き継いだ業務を自分がこなせるか、といった心配が頭から離れず、常に漠然とした不安を抱えている状態になる方が多いです。この不安感が強くなると、些細なことにも過敏に反応したり、ミスを過度に怖れて行動が慎重になりすぎたりすることもあります。
「気分の落ち込み・無気力感」も引き継ぎ期に見られます。これまで担当していた仕事から離れることへの喪失感、新しい環境への適応への疲れなどが積み重なり、何もやる気が起きない、気分が晴れないという状態になることがあります。特に長く同じ業務を担当していた方が引き継ぎを行う場合、仕事のアイデンティティを失うような感覚から落ち込むケースが見られます。
「集中力・記憶力の低下」も心の疲弊のサインです。引き継ぎに必要な情報を覚えようとしても頭に入らない、ミスが増えた、物事を決断するのが億劫になったという状態は、脳が疲弊している状態を示しています。このような状態では引き継ぎの質自体も落ちてしまうため、早めに対処することが大切です。
また、「イライラ感・感情のコントロールの難しさ」も引き継ぎ期に特有の心理的変化です。普段は怒らないような些細なことで怒りが込み上げる、同僚のちょっとした言葉にひどく傷つく、涙もろくなるといった変化が見られた場合は、精神的な疲弊のサインである可能性があります。
⚠️ 5. 引き継ぎストレスが長引くとどうなるか
引き継ぎ時のストレスが一過性のものであれば、業務が落ち着くとともに体も心も回復していくことがほとんどです。しかし、ストレスが慢性化したり、適切な対処がなされなかったりすると、より深刻な健康問題に発展することがあります。
まず懸念されるのが「適応障害」です。適応障害とは、特定のストレス因(この場合は引き継ぎ業務)に反応して、情緒的・行動的な症状が生じる状態です。ストレス因から離れると症状が軽快するという点がうつ病との違いですが、放置すると状態が悪化し、うつ病へと移行するリスクもあります。引き継ぎ後も気分の落ち込みや不安が1ヶ月以上続くような場合は注意が必要です。
次に「うつ病・うつ状態」への移行があります。うつ病では、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失が2週間以上続き、食欲・睡眠・集中力などにも影響が出ます。引き継ぎ期間をきっかけとして、職場環境の変化や人間関係の変化も重なってうつ状態になるケースがあります。早期に気づいて対処することが、回復への近道です。
「自律神経失調症」も慢性的なストレスで起こりやすい状態です。めまい、動悸、のぼせ、手足のしびれ、倦怠感など多彩な症状が続くにもかかわらず、検査では異常が見つからないことが特徴です。引き継ぎを契機として自律神経のバランスが乱れ、その後も長期間にわたって体の不調が続く場合には、自律神経失調症として専門医に診てもらうことが有益です。
また、慢性的なストレスは「生活習慣病のリスク」を高めることも知られています。コルチゾールが長期間高い状態が続くと、血糖値の上昇、血圧の上昇、内臓脂肪の蓄積が起こりやすくなります。もともと高血圧や糖尿病のリスクがある方は、引き継ぎ期間のストレス管理に特に注意を払う必要があります。
さらに、「免疫系への長期的な影響」も無視できません。慢性ストレスによる免疫機能の低下は、感染症にかかりやすくなるだけでなく、アレルギー疾患の悪化や、一部の研究ではがんリスクとの関連も示唆されています。ストレスを軽視せず、早めに対処することが長期的な健康維持に欠かせません。
🔍 6. 日常生活でできるストレス対処法
引き継ぎ期のストレスを完全になくすことは難しいですが、日常生活の中でできるケアを積み重ねることで、体と心への影響を和らげることができます。
まず重要なのが「睡眠の質の確保」です。睡眠不足はストレスへの耐性を著しく下げるため、引き継ぎ期間中こそ睡眠の確保を優先することが大切です。就寝1〜2時間前にスマートフォンやパソコンの使用を控える、寝室の温度と照明を整える、就寝前に軽いストレッチやぬるめの入浴でリラックスする、といった工夫が有効です。また、就寝時間が不規則にならないよう、できるだけ同じ時間に眠るよう心がけることも大切です。
「定期的な運動」もストレス対処に非常に効果的です。有酸素運動はセロトニンやドーパミンの分泌を促し、気分を安定させる効果があります。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、自分が続けやすい運動を週3〜4回程度行うことが推奨されています。忙しい引き継ぎ期間でも、通勤時に一駅多く歩く、昼休みに短い散歩をするといった形で取り入れることができます。
「食事への気配り」も体調管理の基本です。ストレスが高まると暴飲暴食をしやすくなったり、逆に食欲がなくなったりすることがあります。規則正しい食事の時間を守り、野菜や果物、良質なたんぱく質を含んだバランスのよい食事を心がけましょう。特に、神経伝達物質の材料となるトリプトファン(豆腐、牛乳、バナナなどに含まれる)やビタミンB群(豚肉、玄米、ナッツ類などに含まれる)を意識的に摂取することが、ストレス耐性を高めるのに役立ちます。
「呼吸法・リラクゼーション技法」の活用も有効です。深呼吸には交感神経の興奮を抑え、副交感神経を優位にする効果があります。4秒かけて鼻から吸い、7秒間息を止め、8秒かけて口からゆっくり吐くという「4-7-8呼吸法」は、短時間でリラックス効果が得られる方法として広く知られています。また、マインドフルネス瞑想(今この瞬間の感覚に意識を向ける実践)も、ストレス軽減に科学的な裏付けがあり、1日10〜15分程度の実践でも効果が期待できます。
「気持ちの切り替えと休憩の確保」も大切です。引き継ぎ期間中は仕事のことを休みの日でも考えてしまいがちですが、意識的にオフの時間を作ることが重要です。趣味の時間を確保する、友人や家族とゆっくり過ごす、好きな映画や音楽を楽しむといった活動が、精神的な回復を助けます。仕事のことが頭から離れない場合は、「今日の仕事はここまで」と紙に書いて視覚的に区切りをつける方法も効果的です。
「誰かに話す・相談する」ことの重要性も忘れてはなりません。ストレスを一人で抱え込まず、信頼できる同僚、友人、家族に自分の状況や気持ちを話すだけでも心が軽くなることがあります。特に引き継ぎの大変さは経験した人にしかわからない部分も多いため、同じような経験を持つ人と話すことで共感を得られ、孤立感が和らぎます。
📝 7. 職場・環境面からのアプローチ
個人の努力だけでなく、職場や環境レベルでのアプローチも、引き継ぎ期のストレスを軽減する上で重要な役割を果たします。
まず、「引き継ぎ計画の明確化」が大切です。引き継ぎのゴールや期限、担当範囲をあらかじめ明確にしておくことで、「何をどこまでやればよいか」という不明確さからくる不安を軽減できます。引き継ぎドキュメントを事前に整備し、引き継ぎ相手と定期的に進捗を確認する場を設けることが、双方にとってのストレス軽減につながります。
「期間設定の現実的な見直し」も重要です。引き継ぎ期間が短すぎると、送る側も受ける側も大きなプレッシャーを感じます。可能であれば引き継ぎ期間をある程度長めに設定し、無理のない範囲で業務を移行できるよう交渉することが、体調維持の観点からも望ましいです。
「上司や職場へのSOSの発信」も積極的に行いましょう。日本の職場文化では、「引き継ぎで大変です」と言いにくい雰囲気がある場合もありますが、業務量のオーバーロードや体調の変化は早めに上司に報告し、サポートを求めることが大切です。一人で抱え込んだ末に倒れてしまっては、引き継ぎ自体も滞ってしまいます。
「職場のメンタルヘルス支援の活用」も有益です。EAP(従業員支援プログラム)や産業医・産業カウンセラーとの面談など、職場が提供しているメンタルヘルス支援を積極的に利用することをおすすめします。こうした支援は会社によって内容が異なりますが、まずは人事部や総務部に問い合わせてみることをおすすめします。
また、「物理的な作業環境の整備」も見落としがちですが重要です。引き継ぎ期間中はドキュメントの作成や確認作業でパソコン作業が増えることが多く、目の疲れや肩こり、腰痛が悪化しやすくなります。モニターの高さや椅子の高さを見直す、1時間に一度は立ち上がって軽くストレッチをするといった工夫が、体の疲労軽減に効果的です。
💡 8. こんな症状が出たら受診を検討しよう
日常的なセルフケアを続けていても、体や心の不調が改善しない場合や、特定の症状が見られる場合は、医療機関を受診することを検討してください。「これくらいのことで病院に行くのは大げさかも」と思わず、専門家に相談することが早期回復への近道です。
受診を検討すべき体の症状としては、次のようなものが挙げられます。2週間以上続く睡眠障害(眠れない・眠りが浅い・早朝覚醒)は、身体的・精神的な疲弊が深刻になっているサインです。また、繰り返す動悸や胸の圧迫感、息苦しさは心疾患の可能性も否定できないため、早めの受診が必要です。
頻繁に繰り返す頭痛で、市販の鎮痛剤を飲んでも改善しない場合、あるいは頭痛の性質が変わってきた場合も受診の目安になります。食欲不振が2週間以上続いて体重が大きく減った場合、胃の痛みや消化器症状が続く場合なども、消化器科での検査が必要な場合があります。
心の症状については、以下の状態が2週間以上続く場合は精神科・心療内科の受診を検討してください。気分の落ち込みがほぼ毎日続き、以前は楽しめていたことに興味や喜びを感じられなくなった場合、強い疲労感や無気力感があり、日常生活に支障が出ている場合、集中力や判断力が著しく低下して仕事のミスが急増している場合などです。
特に、「消えてしまいたい」「もう限界だ」という気持ちが出てきた場合や、自傷や自殺について考えるようになった場合は、ためらわずにすぐに精神科・心療内科を受診するか、よりそいホットライン(0120-279-338)などの相談窓口に連絡してください。これは緊急のサインです。
受診の際は、いつから症状が始まったか、どんな状況でどのような症状が出るか、睡眠や食欲の変化、仕事や生活への影響などを整理してメモしておくと、医師への説明がスムーズになります。「引き継ぎのストレスがきっかけと思われる」という情報も、診断・治療方針を決める上で非常に重要な情報です。
また、症状の重さに応じて受診する診療科も変わります。体の症状が主であれば内科・心療内科、精神的な症状が主であれば心療内科・精神科への相談が基本ですが、迷う場合はまずかかりつけ医や内科に相談し、適切な診療科への紹介を受けることもひとつの方法です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、異動や退職のシーズンになると、引き継ぎ業務をきっかけとした睡眠障害や消化器症状、倦怠感を訴えて受診される方が増える傾向にあります。こうした症状は「気のせい」ではなく、コルチゾールや自律神経系を介した明確な生理的反応であり、放置すると適応障害やうつ状態へと移行するリスクもあるため、早めにご相談いただくことが大切です。一人で抱え込まず、セルフケアを続けながらも症状が2週間以上続くようであれば、どうぞお気軽に当院へお越しください。」
✨ よくある質問
引き継ぎは「情報量の多さと時間的プレッシャー」「責任感と不安の共存」「人間関係の変化」「通常業務との並行作業」という複合的な要因が重なるため、特にストレスを感じやすい場面です。これらが積み重なることで、体と心に大きな負荷がかかります。
ストレスを受けると脳から副腎へ信号が送られ、ストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されます。これが長期間続くと免疫機能の低下や睡眠障害を招きます。また、自律神経のバランスが乱れて胃腸不調や頭痛が生じ、セロトニン等の神経伝達物質の変化により気分の落ち込みも起こります。
体の症状としては、睡眠障害・胃腸不調・頭痛・肩こり・疲労感・動悸などが挙げられます。心の症状としては、不安感・気分の落ち込み・集中力の低下・イライラなどが代表的です。これらは「気のせい」ではなく、ストレスに対する明確な生理的反応です。
睡眠の質の確保・定期的な有酸素運動・バランスの良い食事・深呼吸やマインドフルネスによるリラクゼーションが有効です。また、仕事のことを考える時間を意識的に区切り、信頼できる人に気持ちを話すことも、ストレスを一人で抱え込まないために大切です。
2週間以上続く睡眠障害・繰り返す動悸や息苦しさ・強い気分の落ち込みや無気力感・日常生活への支障が見られる場合は受診を検討してください。「消えてしまいたい」という気持ちがある場合は緊急のサインです。当院でもストレス関連の体調不良についてのご相談をお受けしています。

📌 まとめ
引き継ぎは、仕事の節目に欠かせない作業ですが、同時に大きなストレスを伴う場面でもあります。情報量の多さ、責任感、人間関係の変化、業務量の増加といった複合的な要因が重なることで、体と心にさまざまな不調をもたらすことがあります。
ストレスが体調に影響するメカニズムは、コルチゾールや自律神経系、神経伝達物質などを通じた科学的に説明できる生理的反応です。「気のせい」や「根性が足りない」ではなく、体と脳が正直に疲弊を訴えているサインとして受け止めることが大切です。
引き継ぎ期に起こりやすい体の症状(睡眠障害・消化器不調・頭痛・疲労感など)や心の症状(不安感・気分の落ち込み・集中力低下・イライラなど)を早めに認識し、睡眠・運動・食事・リラクゼーションといった日常的なセルフケアを積み重ねることが、ストレスへの対処の基本です。
また、職場環境の整備や上司・同僚へのSOSの発信も重要です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用することが、体調を守りながら引き継ぎを乗り切るための鍵です。それでも症状が改善しない場合や、日常生活に支障が出るほどの不調が続く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
引き継ぎ期間は一時的なものですが、その間に無理をして体や心を壊してしまうと、回復に長い時間がかかることがあります。自分の体からのサインに耳を傾け、無理をしすぎず、必要に応じて専門家の力を借りながら、健康を守ることを最優先に考えていただければと思います。アイシークリニック大宮院では、ストレス関連の体調不良についてのご相談をお受けしています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 職場におけるメンタルヘルス対策・ストレスチェック制度に関する情報。引き継ぎストレスによる適応障害・うつ状態への移行リスク、産業医・EAP活用、職場環境改善のアプローチの根拠として参照。
- WHO(世界保健機関) – 職場におけるメンタルヘルスに関するファクトシート。慢性的な職場ストレスがうつ病・不安障害・身体症状に与える影響、および国際的な推奨対処法の根拠として参照。
- PubMed – 職場ストレスとコルチゾール分泌・自律神経系の乱れ・免疫機能低下・睡眠障害との関連を示す学術文献群。ストレスが体調不良を引き起こす生理的メカニズム(HPA軸・神経伝達物質)の科学的根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務