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エコノミークラス症候群の予防法を徹底解説|原因・症状・対策を医療の視点から紹介

飛行機や長距離バスでの移動、デスクワーク、さらには災害時の避難生活など、長時間同じ姿勢を続ける場面は日常生活の中で意外と多くあります。そのような状況で発症リスクが高まるのがエコノミークラス症候群です。この疾患は、足の血管に血栓ができることで始まり、重症化すると命に関わる肺塞栓症を引き起こす可能性があります。しかし、正しい知識を持ち、適切な予防策を実践することで、発症リスクを大幅に下げることができます。本記事では、エコノミークラス症候群のメカニズムから具体的な予防法まで、医療の視点から詳しく解説します。旅行前の方、デスクワークが多い方、ご高齢の方やそのご家族など、幅広い方に役立つ情報をお届けします。


目次

  1. エコノミークラス症候群とは何か
  2. エコノミークラス症候群の原因とメカニズム
  3. エコノミークラス症候群の症状と警告サイン
  4. エコノミークラス症候群のリスクが高い人
  5. エコノミークラス症候群の予防法|飛行機・車内編
  6. エコノミークラス症候群の予防法|日常生活編
  7. 災害時におけるエコノミークラス症候群の予防
  8. 弾性ストッキングによる予防効果
  9. 水分補給の重要性と正しい方法
  10. エコノミークラス症候群が疑われたときの対応
  11. よくある質問
  12. 参考文献

🩺 エコノミークラス症候群とは何か

エコノミークラス症候群は、正式には「静脈血栓塞栓症」と呼ばれる疾患です。長時間同じ姿勢で座り続けることにより、足の深部静脈に血栓(血のかたまり)ができる深部静脈血栓症と、その血栓が血流に乗って肺の血管を詰まらせる肺塞栓症を合わせた病態を指します。

🔍 名前の由来と発症の背景

この疾患が「エコノミークラス症候群」と呼ばれるようになったのは、飛行機のエコノミークラスの狭い座席で長時間過ごすことで発症例が報告されたことに由来します。しかし、実際にはエコノミークラスに限った話ではありません。

発症が報告される場面:

  • ビジネスクラスやファーストクラスでの長時間フライト
  • 長距離バスや新幹線での移動
  • 自家用車での長時間ドライブ
  • 病院のベッドでの長期安静
  • オフィスでの長時間のデスクワーク

日本では、2004年の新潟県中越地震の際に、車中泊を続けた被災者の中からエコノミークラス症候群による死亡例が相次いで報告され、社会的に大きな注目を集めました。その後、2016年の熊本地震でも同様の問題が発生し、災害時の健康管理における重要な課題として認識されるようになりました。

🫀 深部静脈血栓症と肺塞栓症の関係

エコノミークラス症候群を理解するためには、深部静脈血栓症と肺塞栓症の関係を知ることが重要です。

深部静脈血栓症:主にふくらはぎや太ももの深い部分にある静脈に血栓ができる状態です。この段階では、足のむくみや痛み、熱感などの症状が現れますが、無症状のこともあります。

肺塞栓症:血栓が何らかのきっかけで静脈壁から剥がれ落ち、血流に乗って移動し、心臓を経由して肺に到達、肺動脈を塞いでしまう状態です。肺塞栓症は、塞がれる血管の大きさや数によって症状の重さが異なりますが、重症の場合は突然死を引き起こすこともある非常に危険な状態です。

⚙️ エコノミークラス症候群の原因とメカニズム

エコノミークラス症候群が発症するメカニズムを理解することは、効果的な予防法を実践する上で非常に重要です。血栓が形成される条件として、19世紀のドイツの病理学者ウィルヒョウが提唱した「ウィルヒョウの3徴」という概念があります。

🔬 ウィルヒョウの3徴と血栓形成

血栓が形成される3つの要因:

  • 血流のうっ滞(血液の流れが滞ること)
  • 血管内皮の損傷
  • 血液凝固能の亢進(血液が固まりやすくなること)

長時間同じ姿勢で座っていると、これら3つの要因が複合的に作用して血栓形成のリスクが高まります。

座った姿勢では膝や股関節が曲がった状態が続き、足の静脈が圧迫されます。特にふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、収縮することで足の血液を心臓に送り返すポンプの役割を果たしています。長時間動かずにいると、このポンプ機能が働かなくなり、血液が足に滞留してしまいます。

💧 脱水が血栓形成を促進する理由

飛行機の機内は気圧が低く、湿度も10〜20%程度と非常に乾燥しています。このような環境では、体から水分が失われやすく、気づかないうちに脱水状態になることがあります。

脱水による血栓リスクの増加要因:

  • 血液の粘度が上がり「ドロドロ血」の状態になる
  • 血栓ができやすい環境が整う
  • トイレの回数を減らそうとして水分摂取を控えてしまう

適度な水分補給は血液の流動性を保つために不可欠であり、トイレに立つことは足を動かす良い機会にもなります。

高桑康太 医師・当院治療責任者

エコノミークラス症候群は「予防可能な疾患」です。血栓形成のメカニズムを理解し、適切な予防策を実践すれば発症リスクを大幅に下げることができます。特に長時間の移動前には、ご自身のリスク因子を把握し、必要に応じて医師に相談することをお勧めします。

🪑 座席の狭さと足の圧迫

座席環境による血流への影響:

  • 座席が狭いと足を自由に動かすスペースが限られる
  • 座席の前縁が太ももの裏を圧迫し、静脈血流が妨げられる
  • 足を組んだ姿勢の長時間継続で片方の足の血流が著しく阻害される

⚠️ エコノミークラス症候群の症状と警告サイン

エコノミークラス症候群の症状は、深部静脈血栓症の段階と、肺塞栓症に進行した段階で異なります。早期発見・早期対応のために、それぞれの症状を知っておくことが大切です。

🦵 深部静脈血栓症の症状

足に血栓ができた段階で現れる症状:

  • 片方の足のむくみや腫れ(靴下のゴムの跡が消えない、片方の足だけ靴がきつい)
  • 足の痛みや重だるさ、張り感
  • ふくらはぎを手でつかむように押すと痛みが増強
  • 皮膚の赤みや熱感

※重要:これらの症状がまったく現れない無症候性の深部静脈血栓症も少なくないため、症状がないからといって安心はできません。

🫁 肺塞栓症の症状

血栓が肺に飛んだ場合の深刻な症状:

  • 突然の息切れや呼吸困難
  • 胸の痛み(特に深呼吸時に増強)
  • 動悸や脈の乱れ
  • 冷や汗、めまい、失神
  • チアノーゼ(唇や爪が青紫色になる)
  • 咳、血痰
  • ショック状態

⏰ 症状が出やすいタイミング

注意すべきは、これらの症状が必ずしも長時間座っている最中に現れるとは限らないことです。

症状が現れやすいタイミング:

  • 立ち上がって歩き始めたとき
  • 到着後しばらく経ってから
  • 飛行機を降りてから数日後
  • 旅行後1週間以内

旅行後に上記のような症状が現れた場合は、迷わず医療機関を受診してください。

🎯 エコノミークラス症候群のリスクが高い人

エコノミークラス症候群は誰にでも起こりうる疾患ですが、特にリスクが高い人がいます。自分がリスク因子を持っているかどうかを把握し、該当する場合はより注意深く予防策を講じることが重要です。

👥 年齢と性別による影響

年齢によるリスク:

  • 40歳以上、特に60歳以上でリスク上昇
  • 加齢に伴い血管壁が硬くなり、血流が滞りやすくなる
  • 血液凝固系のバランスが変化

性別によるリスク:

  • 女性の方がやや発症リスクが高い
  • 妊娠・出産、ホルモン補充療法、経口避妊薬(ピル)の使用が関係

🏥 基礎疾患がある方

血栓症のリスクを高める基礎疾患:

  • 心臓病や心不全:血液循環が悪化、うっ血しやすい
  • がん:がん細胞が産生する物質により血液が固まりやすくなる
  • 糖尿病:血管壁のダメージや血液粘度上昇
  • 高血圧や脂質異常症:動脈硬化を促進
  • 下肢静脈瘤:もともと足の血流が滞りやすい

🔄 過去に血栓症を経験した方

過去に深部静脈血栓症や肺塞栓症を経験したことがある方は、再発のリスクが高くなります。一度血栓ができた血管は完全には元に戻らないことが多く、再び血栓ができやすい状態が続くためです。このような方は、長距離移動の前に主治医に相談し、必要に応じて予防的な措置を講じることが推奨されます。

⚖️ 肥満や生活習慣の影響

生活習慣によるリスク要因:

  • 肥満:腹部の脂肪が下肢からの静脈還流を妨げる
  • 喫煙:血管内皮のダメージ、血液凝固能亢進
  • 運動不足:ふくらはぎのポンプ機能低下

🤰 妊娠中・産後の方

妊娠期のリスク要因:

  • ホルモンの影響で血液が固まりやすくなる(出産時の出血に備えた生理的変化)
  • 大きくなった子宮が下腹部の血管を圧迫
  • 下肢の血流が滞りやすくなる
  • 産後数週間もリスクが高い時期が続く

🏥 手術後や長期臥床の方

手術後のリスク要因:

  • 手術による組織のダメージ
  • 麻酔中や術後の安静による血流の滞り
  • 手術に伴う脱水
  • 骨折や重い病気での長期臥床

✈️ エコノミークラス症候群の予防法|飛行機・車内編

飛行機や長距離バス、自家用車での長時間移動時に実践できる具体的な予防法を紹介します。これらは簡単に実行できるものばかりですので、ぜひ次の移動から取り入れてみてください。

🦶 定期的に足を動かす

最も重要な予防策は、定期的に足を動かすことです。

座ったままでできる効果的な運動:

  • 足首を上下に動かす運動:つま先を上に向けたり下に伸ばしたりを繰り返す
  • 足の指のグーパー運動:足の指を開いたり閉じたりする
  • かかと・つま先の上げ下げ:かかとを床につけてつま先を上げる、つま先を床につけてかかとを上げるを交互に
  • 膝を胸に近づける運動(スペースがある場合)

実施頻度:1時間に数回、各10〜20回程度行うと効果的です。

🚶 歩いて血流を促進する

可能であれば、1〜2時間ごとに席を立って歩くことをお勧めします。

移動手段別の歩行のコツ:

  • 飛行機:通路を歩く、トイレに行く
  • 長距離ドライブ:サービスエリアやパーキングエリアでこまめに休憩、車から降りて軽いストレッチや歩行
  • 休憩時の効果的な動き:軽い屈伸運動、ふくらはぎを伸ばすストレッチ、アキレス腱伸ばし

👕 窮屈な服装を避ける

長時間の移動時の服装選びのポイント:

  • ゆったりとした服装を選ぶ
  • ウエストや太ももを締め付ける服は避ける
  • きつい靴下やストッキングは避ける
  • 楽な靴に履き替える(きつい靴やヒールの高い靴は機内で脱ぐ)
  • 足を組まない(血流阻害を防ぐ)

理想的な座り方:両足を床につけ、膝が直角になるような姿勢

💺 座席選びの工夫

飛行機の座席選びのポイント:

  • 通路側の席:他の乗客に気兼ねなく席を立てる、足を伸ばすスペースを確保しやすい
  • 非常口座席や前方座席:足元のスペースが広い場合がある
  • 予約時に座席の特徴を確認し、足を動かしやすい席を選ぶ

🏠 エコノミークラス症候群の予防法|日常生活編

エコノミークラス症候群は、飛行機に乗るときだけの問題ではありません。デスクワークが中心の方や、長時間テレビを見ることが多い方など、日常生活の中でも予防を心がけることが大切です。

💻 デスクワーク中の予防策

オフィスでの予防習慣:

  • 1時間に1回は席を立つ
  • オフィス内を歩く、軽いストレッチをする
  • コピーを取る、お茶を入れるなど自然と体を動かす機会を作る
  • 座ったままできる足首の運動やつま先の上げ下げ
  • 電話中や会議中の時間を利用してこまめに足を動かす

🏡 テレワーク時の注意点

在宅勤務での予防のポイント:

  • 通勤がなくなる分、歩く機会が大幅に減少することを意識
  • 意識的に休憩を取り、家の中を歩く
  • 軽い家事をして体を動かす
  • 椅子と机で正しい姿勢を保つ(ソファやベッドでの作業は姿勢が崩れて血流を妨げやすい)

🌙 夜間の予防と睡眠時の工夫

就寝時の予防策:

  • 足を少し高くして寝る:下肢の血液が心臓に戻りやすくなる
  • クッションや枕を使って足首の下を少し持ち上げる

※重要な注意点:心臓病などの持病がある方は、足を高くすることで心臓に負担がかかる場合があります。持病のある方は、主治医に相談してから実践してください。

🚨 災害時におけるエコノミークラス症候群の予防

地震や台風などの災害時には、避難所での生活や車中泊を余儀なくされることがあります。このような状況では、普段以上にエコノミークラス症候群の予防を意識する必要があります。

🚗 車中泊のリスクと対策

災害時の車中泊は、エコノミークラス症候群のリスクが非常に高い状況です。

車中泊のリスク要因:

  • 狭い車内で足を十分に伸ばせない
  • 長時間同じ姿勢が続く
  • トイレの心配から水分摂取を控えがち
  • ストレスや疲労が血栓形成を促進

車中泊時の対策:

  • 可能な限り座席を倒して足を伸ばす
  • 定期的に車外に出て歩く
  • ストレッチを行う
  • 数時間おきに外に出る習慣をつける

🏕️ 避難所生活での予防

避難所での制約とリスク:

  • 限られたスペースで多くの人が生活
  • 動きが制限される
  • プライバシーへの配慮からじっと座っていることが多い

避難所での予防策:

  • 意識的に体を動かす時間を設ける
  • 避難所内を歩く
  • 外に出て軽い運動をする
  • 座っているときは足首の運動を忘れずに行う
  • 足を曲げ伸ばしできる姿勢を心がける

💧 災害時の水分補給

災害時には、断水やトイレの問題から水分摂取を控えてしまうことがあります。しかし、脱水は血栓形成の大きなリスク因子です。

災害時の水分補給のポイント:

  • トイレの回数が多少増えても、こまめな水分補給を心がける
  • 高齢者は、のどの渇きを感じにくく、知らないうちに脱水になることがある
  • 周囲の方が声をかけて、水分摂取を促すことも大切

🧦 弾性ストッキングによる予防効果

弾性ストッキング(着圧ストッキング)は、エコノミークラス症候群の予防に効果的なアイテムとして知られています。医療用のものから市販のものまで様々な種類があり、正しく使用することで血栓形成のリスクを下げることができます。

⚙️ 弾性ストッキングの作用メカニズム

弾性ストッキングは、足首から上に向かって段階的に圧力が弱くなるように設計されています。

作用メカニズム:

  • 段階的な圧迫により足の静脈を適度に締め付ける
  • 血液が下に溜まるのを防ぐ
  • ふくらはぎの筋肉の動きをサポート
  • 血液を心臓に送り返すポンプ機能を助ける

医学的な研究でも、弾性ストッキングの着用が長距離フライト後の深部静脈血栓症の発症を有意に減少させることが示されています。

🎯 弾性ストッキングの選び方

圧迫圧による分類と選択:

  • 予防目的:15〜20mmHg程度の軽度の圧迫圧が適している
  • これより強い圧迫圧は医療用として処方されることが多い
  • 自己判断で強いものを使用すると血流を妨げる可能性

サイズ選びのポイント:

  • 適切なサイズ選択が重要
  • きつすぎる:逆に血流を妨げる
  • ゆるすぎる:効果がない
  • 足首やふくらはぎの周囲を測定し、製品表示に従って選択

👍 弾性ストッキングの正しい使い方

着用のタイミングと方法:

  • 長時間座る前から着用(飛行機の場合は空港に向かう前に)
  • 履く際はストッキングを裏返してつま先から丁寧に引き上げる
  • しわやねじれがないように整える
  • 定期的に確認し、必要に応じて整え直す
  • 就寝時は基本的に外す

⚠️ 弾性ストッキングを使用すべきでない場合

使用前に医師への相談が必要なケース:

  • 足に傷や皮膚疾患がある場合
  • 末梢動脈疾患(足の動脈の血流が悪い状態)がある場合
  • 糖尿病で足の感覚が鈍くなっている方(圧迫による血流障害に気づきにくい)

💧 水分補給の重要性と正しい方法

適切な水分補給は、エコノミークラス症候群予防の基本中の基本です。しかし、ただ水を飲めば良いというわけではなく、効果的な水分補給にはいくつかのポイントがあります。

🔬 なぜ水分補給が重要なのか

脱水が血栓形成に与える影響:

  • 体内の水分が不足すると血液中の水分も減少
  • 血液の粘度が上がる
  • 粘度の高い血液は流れにくく、血管内で滞留しやすい
  • 血栓が形成されやすい環境が整う

飛行機の機内環境:

  • 気圧が低い
  • 湿度が10〜20%程度と非常に乾燥
  • 通常より多くの水分が体から失われる
  • 気づかないうちに脱水状態になる可能性

📏 水分補給の目安

長時間フライトでの推奨水分量:

  • 1時間あたり約200ml程度
  • 8時間のフライト:合計で1.5〜2リットル程度
  • 一度に大量に飲むのではなく、こまめに少しずつ
  • のどが渇いたと感じる前に定期的に摂取

※注意:心臓病や腎臓病などで水分制限がある方は、主治医の指示に従ってください。

🥤 何を飲むべきか

推奨される飲み物:

  • 水やお茶が最適
  • スポーツドリンク:適度な電解質を含み良い選択肢

控えめにすべき飲み物:

  • アルコール:利尿作用により脱水を促進
  • カフェインを多く含む飲み物:利尿作用あり

アルコールを楽しむ場合のコツ:それ以上の量の水を一緒に摂取する

🚻 トイレを我慢しない

水分を十分に摂取すると、当然トイレに行く回数が増えます。しかし、トイレに行くことを面倒に思って水分摂取を控えるのは本末転倒です。

トイレに立つことの効果:

  • 足を動かす良い機会になる
  • 席を立って通路を歩く
  • トイレで用を足すという一連の動作が効果的な運動になる
  • 血流を促進する効果

🆘 エコノミークラス症候群が疑われたときの対応

どんなに予防を心がけていても、残念ながらエコノミークラス症候群を発症してしまうことがあります。早期発見・早期治療が重要な疾患であるため、異常を感じたときの適切な対応を知っておくことが大切です。

🚨 すぐに医療機関を受診すべき症状

緊急受診が必要な肺塞栓症の症状:

  • 突然の息切れや呼吸困難
  • 胸の痛み
  • 動悸
  • 意識がもうろうとする
  • 唇や爪が青紫色になる(チアノーゼ)

深部静脈血栓症の症状:

  • 片方の足が急に腫れる
  • ふくらはぎに強い痛み
  • 足の皮膚が赤くなって熱を持つ

これらの症状が現れた場合は、速やかに受診してください。

✈️ 機内で症状が出た場合

機内での対応手順:

  1. まず客室乗務員に知らせる
  2. 国際線の多くには医療機器や応急処置用の薬品が搭載
  3. 医師や看護師の乗客がいれば機内アナウンスで協力を求める
  4. 症状が重い場合は最寄りの空港に緊急着陸することもある

重要:「迷惑をかけたくない」と思って我慢せず、異常を感じたらすぐに伝えることが大切です。

🏠 旅行後に症状が出た場合

エコノミークラス症候群は、旅行中だけでなく、旅行後数日から数週間以内に発症することもあります。

旅行後の症状で注意すべきポイント:

  • 長距離移動の後に症状が現れた場合は最近の旅行歴を医師に伝える
  • 片方の足だけに症状がある場合は特に注意
  • 両足のむくみは疲労や他の原因も考えられる
  • 片側だけの腫れや痛みは深部静脈血栓症を疑わせる

📝 受診時に伝えるべきこと

医療機関受診時の重要な情報:

  • 症状がいつから始まったか
  • どのような症状か
  • 最近の長距離移動の有無とその詳細(いつ、どのくらいの時間、どのような交通手段か)
  • これまでの病歴や服用中の薬
  • 血栓症の家族歴

これらの情報は、適切な診断と治療方針の決定に役立ちます。

📝 受診時に伝えるべきこと

❓ よくある質問

エコノミークラス症候群は何時間くらいで発症する可能性がありますか?

一般的に4時間以上の座位継続で発症リスクが高まるとされています。ただし、リスク因子を持っている方はより短い時間でも発症する可能性があります。6時間以上の長距離フライトでは特に注意が必要で、10時間を超えるフライトではリスクがさらに上昇します。

新幹線でもエコノミークラス症候群になりますか?

はい、新幹線でも発症する可能性があります。新幹線の座席は飛行機よりも広いことが多いですが、長時間同じ姿勢で座っていることに変わりはありません。特に東京から博多までの4時間以上の乗車や、乗り継ぎでさらに長時間座り続ける場合は注意が必要です。定期的に席を立つ、足を動かすなどの予防策を心がけてください。

アスピリンを飲めばエコノミークラス症候群を予防できますか?

アスピリンは血小板の働きを抑える薬ですが、静脈血栓症の予防効果については十分なエビデンスがありません。静脈血栓は血小板よりも凝固因子が主に関与して形成されるため、アスピリンの効果は限定的と考えられています。自己判断での服用は避け、予防が必要と考えられる場合は医師に相談してください。

子どももエコノミークラス症候群になりますか?

子どもでもエコノミークラス症候群を発症する可能性はありますが、成人に比べると頻度は低いです。これは、子どもは血管が柔軟で血流が良好なこと、じっとしていられずに動くことが多いことなどが理由と考えられています。ただし、長時間のフライトでは大人と同様に、定期的に体を動かす、水分を摂取するなどの予防策を心がけてください。

弾性ストッキングは市販のものでも効果がありますか?

市販の着圧ソックスや着圧ストッキングでも一定の予防効果が期待できます。予防目的であれば、足首部分で15〜20mmHg程度の圧迫圧があるものを選ぶと良いでしょう。ただし、すでに静脈瘤がある方や過去に血栓症を経験した方は、医療用の弾性ストッキングを医師の指導のもとで使用することをお勧めします。

妊娠中の長距離フライトは避けるべきですか?

妊娠中は血栓症のリスクが高まっているため、長距離フライトには注意が必要です。ただし、妊娠経過が順調であれば、適切な予防策を講じることで飛行機に乗ることは可能です。弾性ストッキングの着用、こまめな水分摂取と足の運動、通路側の座席の選択などを心がけてください。必ず事前にかかりつけの産婦人科医に相談し、許可を得てから旅行計画を立てましょう。


📚 参考文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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