「友人がお酒を飲んで意識がもうろうとしている」「酔いつぶれた人が呼びかけに反応しない」このような場面に遭遇したとき、単なる酔っ払いなのか、急性アルコール中毒なのかを見分けることは非常に重要です。
急性アルコール中毒は、適切な対応が遅れると命に関わる危険な状態です。厚生労働省の統計によると、毎年多くの方が急性アルコール中毒で救急搬送されており、その中には若い世代も多く含まれています。
この記事では、アイシークリニック大宮院の医師監修のもと、急性アルコール中毒の見分け方、酔いの段階別症状、すぐに救急車を呼ぶべき危険なサイン、そして応急処置の方法について詳しく解説します。飲み会やイベントの多いシーズンに備えて、正しい知識を身につけておきましょう。
目次
- 急性アルコール中毒とは
- 酔いの段階と症状の特徴
- 急性アルコール中毒の見分け方のポイント
- すぐに救急車を呼ぶべき危険なサイン
- 急性アルコール中毒が起こりやすい状況
- 急性アルコール中毒を見つけたときの応急処置
- 急性アルコール中毒を予防するために
- よくある質問
- まとめ
🏥 急性アルコール中毒とは
急性アルコール中毒とは、短時間に大量のアルコールを摂取することで血中アルコール濃度が急激に上昇し、脳の機能が麻痺して生命の危険を伴う状態のことです。単なる「酔っ払い」とは異なり、医学的に緊急性の高い中毒症状として扱われます。
⚙️ 急性アルコール中毒が起こるメカニズム
アルコールは胃や小腸から吸収され、血液を通じて全身に運ばれます。肝臓でアルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素など)によって代謝されますが、この分解速度には限界があります。
一般的に、体重60kgの成人が1時間に分解できるアルコール量は約5〜7g程度とされています。これはビール中瓶1本(約20gのアルコール)を分解するのに約3〜4時間かかる計算です。
この分解速度を超えてアルコールを摂取すると、血中アルコール濃度が急上昇し、脳に対する抑制作用が強まります。
アルコールは中枢神経を抑制する作用があり、以下のように段階的に進行します:
- 少量:大脳新皮質(理性を司る部分)が抑制→「ほろ酔い」状態
- 中程度:小脳(運動機能)への抑制
- 大量:延髄(呼吸や心拍を司る生命維持中枢)への抑制→呼吸停止や心停止のリスク
📊 血中アルコール濃度と症状の関係
血中アルコール濃度と症状には明確な関係があります。
濃度別の症状進行:
- 0.02〜0.04%(爽快期):気分が良くなり皮膚が紅潮
- 0.05〜0.10%(ほろ酔い期):脈が速くなり抑制が低下
- 0.11〜0.15%(酩酊初期):気が大きくなり立つとふらつき
- 0.16〜0.30%(酩酊期):千鳥足、同じことを繰り返す
- 0.31〜0.40%(泥酔期):まともに立てず意識がはっきりしない
- 0.41%以上(昏睡期):揺り動かしても起きず、死亡の可能性
急性アルコール中毒は、一般的に血中アルコール濃度が0.30%を超えたあたりから生命の危険が高まるとされています。
📈 急性アルコール中毒の発生状況
東京消防庁の調査によると、以下の傾向が報告されています:
- 年間1万人以上が救急搬送
- 12月と3〜4月の歓送迎会シーズンに集中
- 20代が最も多く、全体の約半数を占める
- 飲酒開始から30分〜1時間程度で発症することが多い
若い世代ほど自分の適量を把握できていないことや、飲み会での無理な飲酒が原因と考えられます。症状の進行が非常に速いため、周囲の人が早期に異変に気づき、適切な対応をとることが命を救う鍵となります。
📊 酔いの段階と症状の特徴
急性アルコール中毒を見分けるためには、まず正常な酔いの段階とその症状を理解しておくことが重要です。酔いは血中アルコール濃度の上昇に伴い、段階的に進行します。
😊 爽快期(血中アルコール濃度0.02〜0.04%)
爽快期は酔いの最初の段階で、ビール中瓶1本程度を飲んだときに相当します。
主な症状:
- 皮膚が赤くなり始める
- 気分が爽やかになる
- 陽気になって話が弾む
- 普段よりも饒舌になる
判断力は若干低下しますが、自分の行動はコントロールできている状態です。外見上は「少し楽しそうになった」程度で、周囲から見ても問題のある状態ではありません。
🍺 ほろ酔い期(血中アルコール濃度0.05〜0.10%)
ほろ酔い期はビール中瓶1〜2本程度に相当する段階です。
主な症状:
- ほろ酔い気分を強く感じる
- 脈が速くなる
- 抑制力が低下して感情的になる
- 声が大きくなる
- 体温が上昇し、顔がより赤くなる
- 手の動きが活発になる
この段階でも自分で歩くことができ、会話も成立しますが、細かい作業や運転などは危険な状態です。
🥴 酩酊初期(血中アルコール濃度0.11〜0.15%)
酩酊初期はビール中瓶3本程度に相当します。
主な症状:
- 気が大きくなり、自分を過大評価
- 立っているとふらつきが見られる
- 歩行に若干の乱れが出始める
- 何度も同じ話を繰り返す
- 感情の起伏が激しくなる
この段階から飲酒を続けると危険な状態に移行する可能性が高まるため、ここで飲酒をストップすることが推奨されます。
🚶♂️ 酩酊期(血中アルコール濃度0.16〜0.30%)
酩酊期はビール中瓶4〜6本程度に相当し、明らかに酔っている状態です。
主な症状:
- いわゆる「千鳥足」になる
- まっすぐ歩くことが困難
- 同じことを何度も繰り返し言う
- 記憶があいまいになる
- 吐き気や嘔吐が見られることも
- 感情のコントロールができない
この段階では本人の判断力は著しく低下しており、周囲の人が見守りや介助をする必要があります。
😵 泥酔期(血中アルコール濃度0.31〜0.40%)
泥酔期はビール中瓶7〜10本程度に相当し、非常に危険な状態です。
主な症状:
- まともに立つことができない
- 支えがなければ座っていることも困難
- 意識がはっきりしない
- 呼びかけへの反応が鈍くなる
- 言葉が不明瞭
- 嘔吐を繰り返すことも
この段階は急性アルコール中毒の手前の状態であり、絶対に目を離してはいけません。
💀 昏睡期(血中アルコール濃度0.41%以上)
昏睡期はビール中瓶10本以上に相当し、生命の危機に瀕している状態です。
主な症状:
- 揺り動かしても目を覚まさない
- 完全に意識を失っている
- 呼吸が浅く不規則
- 体温が低下
- 顔色が青白くなる
- 大小便の失禁
この状態は急性アルコール中毒の重症型であり、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。放置すれば呼吸停止から心停止に至り、死亡する可能性が高い状態です。
🔍 急性アルコール中毒の見分け方のポイント
単なる酔っ払いと急性アルコール中毒を見分けることは、命を救う上で非常に重要です。以下のポイントを確認することで、危険な状態かどうかを判断できます。
🧠 意識レベルを確認する
最も重要な見分け方は意識レベルの確認です。
確認方法:
- 肩を叩いて名前を呼ぶ
- 大きな声で呼びかける
- 痛み刺激を与える(爪の付け根を強く押すなど)
危険なサイン:
- いくら呼びかけても反応がない
- 目を開けても視線が定まらない
- 周囲の状況を認識できない
- 刺激に対する反応がない
正常な酔っ払いであれば、揺すったり大きな声で呼びかけたりすれば何らかの反応があります。全く反応がない場合は、意識レベルが著しく低下していると判断できます。
🫁 呼吸の状態を確認する
呼吸の状態を観察することも重要な見分け方です。
確認方法:
- 胸やお腹の動きを見る
- 呼吸数を数える(正常は1分間に12〜20回)
- 呼吸のリズムを確認する
危険なサイン:
- 呼吸が1分間に8回以下
- 10秒以上呼吸が止まる
- いびきのような異常な呼吸音
- 呼吸のリズムが不規則
呼吸停止は急性アルコール中毒による死亡の主な原因であり、呼吸に異変を感じたら直ちに救急車を呼ぶ必要があります。
👤 顔色や皮膚の状態を確認する
顔色や皮膚の状態も重要な判断材料です。
正常な酔いとの違い:
- 通常の酔い:顔が赤くなる
- 急性アルコール中毒:顔色が青白い、唇や爪が紫色(チアノーゼ)
その他の危険なサイン:
- 皮膚が冷たく湿っている
- 大量の汗をかいている
- 体が異常に冷たい
これらは体内の酸素が不足しているサインであり、非常に危険な状態です。特に気温の低い時期は低体温症を併発するリスクも高まります。
🤮 嘔吐の有無と状態を確認する
嘔吐は酔いの一般的な症状ですが、その状態によって危険度が異なります。
安全な嘔吐:
- 意識がある状態での嘔吐
- 嘔吐後に楽になる
危険な嘔吐:
- 意識がない状態での嘔吐
- 嘔吐物が口の中に残っている
- 嘔吐後にゴロゴロとした呼吸音
- 嘔吐物に血が混じっている
意識がない状態での嘔吐は窒息の原因となり非常に危険です。
⏱️ 症状の進行速度を確認する
酔いの症状がどのくらいの速さで進行しているかも重要な判断基準です。
正常なパターン:
- 飲酒をやめてからしばらくすると症状が軽減
危険なパターン:
- 飲酒をやめているにも関わらず症状が悪化
- 飲酒終了後も容態が急激に変化
アルコールは胃や腸から吸収されるため、飲酒後30分〜1時間程度で血中濃度がピークに達します。つまり、飲み終わった直後は大丈夫そうに見えても、その後急激に症状が悪化することがあります。
🚨 すぐに救急車を呼ぶべき危険なサイン
以下の症状が一つでも見られた場合は、ためらわずに119番通報をしてください。これらは急性アルコール中毒の重症化を示すサインであり、一刻を争う状態です。
😴 呼びかけや刺激に全く反応しない
大きな声で名前を呼んでも、体を揺すっても、痛み刺激を与えても全く反応がない場合は、深刻な意識障害を起こしています。
これは脳の機能が著しく抑制されていることを示しており、放置すれば呼吸中枢にも影響が及ぶ可能性があります。「酔って寝ているだけだろう」と判断せず、すぐに救急車を呼んでください。
酔って眠っている人であれば、強い刺激を与えれば何らかの反応を示すものです。全く反応がないということは、単なる睡眠ではなく昏睡状態である可能性が高いです。
🫁 呼吸が極端に遅い・止まる
危険な呼吸状態:
- 呼吸が1分間に8回以下
- 呼吸が10秒以上止まる
- 呼吸が不規則でムラがある
- 呼吸が完全に止まっている
これらの症状は、アルコールによる延髄への抑制作用が強まっている状態であり、放置すれば呼吸停止から心停止に至る可能性があります。
呼吸が完全に止まっている場合は、救急車を呼ぶと同時に心肺蘇生法を開始する必要があります。
💙 顔色が青白い・唇が紫色になっている
顔色が青白くなったり、唇や爪、指先が紫色(チアノーゼ)になっている場合は、体内の酸素が不足しています。
チアノーゼのサイン:
- 唇がピンク色から紫色に変化
- 爪や指先が紫色
- 顔色が青白い
これは呼吸が不十分であることを示しており、全身の臓器が酸素不足に陥っている可能性があります。脳や心臓にダメージを与えるリスクがあるため、直ちに救急車を呼んでください。
🥶 体温が異常に低い
体を触って異常に冷たい場合は、低体温症を併発している可能性があります。
低体温症のリスク:
- 体温35度以下:低体温症
- 体温33度以下:意識障害のリスク
- 体温30度以下:心室細動(致死性不整脈)のリスク
アルコールには血管を拡張させる作用があり、体内の熱が外に逃げやすくなります。特に冬場の屋外や、冷房の効いた室内で酔いつぶれている場合は要注意です。
🤮 嘔吐物で窒息しそうになっている
意識がない状態で嘔吐し、嘔吐物が口や鼻に詰まっている場合は窒息の危険があります。
危険なサイン:
- 嘔吐後に呼吸音がおかしい
- ゴロゴロとした音がする
- 呼吸困難になっている
- 口の中に嘔吐物が残っている
この場合は、まず横向きに寝かせて嘔吐物が喉に詰まらないようにし、口の中に残っている嘔吐物を取り除きます。その上で直ちに救急車を呼んでください。嘔吐物による窒息は急性アルコール中毒による死亡の主要な原因の一つです。
⚡ けいれんを起こしている
全身がガクガクと震えるけいれんを起こしている場合は、脳に重篤な影響が及んでいます。
けいれんが起きた時の対応:
- 周囲の危険物を取り除く
- 本人が怪我をしないように保護
- 口に物を入れない
- 無理に体を押さえつけない
- けいれんが治まったら回復体位を取る
けいれんが5分以上続く場合や、けいれんが繰り返し起こる場合は特に緊急性が高いです。
⚠️ 急性アルコール中毒が起こりやすい状況
急性アルコール中毒は特定の状況下で発生しやすいことが知られています。これらの状況を理解しておくことで、予防や早期発見につながります。
🍻 一気飲みをした場合
一気飲みは急性アルコール中毒の最大の原因です。
短時間で大量のアルコールを摂取すると、肝臓での分解が追いつかず、血中アルコール濃度が急激に上昇します。特に危険なのは、体がアルコールを吸収する速度と酔いを感じる速度にタイムラグがあることです。
一気飲みをした直後は「まだ大丈夫」と感じても、30分後には急激に酔いが回り、危険な状態に陥ることがあります。
一気飲みが起こりやすい場面:
- 大学の新歓コンパ
- 会社の飲み会
- 歓送迎会
- 罰ゲーム
🍽️ 空腹時に飲酒した場合
空腹時の飲酒は、アルコールの吸収を早め、血中濃度を急激に上昇させます。
空腹時と満腹時の違い:
- 満腹時:食べ物がアルコールの吸収を緩やかにする
- 空腹時:アルコールがダイレクトに胃壁や小腸から吸収される
同じ量のお酒を飲んでも、空腹時と満腹時では血中アルコール濃度のピーク値が大きく異なります。飲み会の前には必ず何か食べておくか、飲みながら食事を取るようにしましょう。
🧬 お酒に弱い体質の人が飲んだ場合
アルコールを分解する酵素(アルデヒド脱水素酵素)の働きには個人差があり、この酵素の働きが弱い人はお酒に弱いとされています。
お酒に弱い人の特徴:
- 日本人を含むアジア人の約4割
- 少量のアルコールでも顔が真っ赤になる
- すぐに動悸がする
- 気分が悪くなりやすい
このタイプの人が無理に飲酒すると、通常の人よりも少ない量で急性アルコール中毒を起こすリスクがあります。
😴 疲労や睡眠不足の状態で飲んだ場合
疲労が蓄積していたり、睡眠不足の状態で飲酒すると、アルコールの影響を受けやすくなります。
体調不良時のリスク:
- 肝臓の代謝機能が低下
- アルコールの分解速度が遅くなる
- 脳の機能が低下
- アルコールによる抑制作用がより強く現れる
注意が必要な状況:
- 仕事で疲れた後の飲み会
- 徹夜明けの打ち上げ
- 体調不良時の飲酒
🔰 初めてお酒を飲む場合
初めて飲酒する人は、自分がどのくらいのアルコール量で酔うのかがわかりません。
また、飲酒経験が少ない人は、酔いの感覚に慣れていないため、限界を超えて飲んでしまうことがあります。特に大学の新入生が歓迎会で急性アルコール中毒を起こすケースが多く報告されています。
初回飲酒時の注意点:
- 周囲の大人が見守る
- 少量ずつ飲む
- 自分の適量を把握する
- 初めから大量に飲まない
💊 服薬中に飲酒した場合
薬を服用している人が飲酒すると、薬とアルコールの相互作用により、通常よりも強い中枢神経抑制作用が生じることがあります。
相互作用がある主な薬:
- 睡眠薬
- 抗不安薬
- 抗うつ薬
- 解熱鎮痛薬
- 抗生物質
これにより、少量の飲酒でも急性アルコール中毒に似た症状を起こす可能性があります。薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に飲酒の可否を確認してください。
🚑 急性アルコール中毒を見つけたときの応急処置
急性アルコール中毒が疑われる人を見つけた場合は、適切な応急処置を行いながら救急車を呼ぶことが重要です。以下の手順に従って対応してください。
🛡️ まず安全を確保する
まずは本人と周囲の安全を確保します。
安全確保のチェックポイント:
- 道路の上にいる場合は安全な場所に移動
- 転落の危険がある場所(階段の近くなど)から移動
- 嘔吐物による滑りに注意
- 本人が暴れている場合は距離を取る
本人が暴れている場合は、無理に押さえつけずに距離を取り、落ち着くのを待つか、複数人で対応するようにしましょう。
🧠 意識と呼吸を確認する
肩を軽く叩きながら「大丈夫ですか?」と声をかけ、反応があるかどうかを確認します。
意識確認の手順:
- 声かけをする
- 反応がある場合:会話ができるか、名前が言えるかを確認
- 反応がない場合:呼吸をしているかどうかを確認
- 呼吸がない場合:直ちに心肺蘇生法を開始
胸やお腹の動きを見て、息をしているかを確認してください。
🛌 回復体位にする
意識がない、または意識がもうろうとしている場合は、回復体位(側臥位)にします。これは嘔吐物による窒息を防ぐための体位です。
回復体位の取り方:
- 横向きに寝かせる
- 下になっている腕を前に出す
- 上になっている膝を曲げて体を安定させる
- 顔を少し下向きにして、口から嘔吐物が流れ出やすくする
仰向けに寝かせると、嘔吐した際に嘔吐物が気道に詰まり窒息する危険があるため、絶対に仰向けにしないでください。
🧥 体を保温する
アルコールにより血管が拡張し、体温が低下しやすい状態になっています。
保温方法:
- 毛布やコート、ジャケットで体を覆う
- 床や地面からの冷えを防ぐため下にも敷物を敷く
- 特に寒い環境では重点的に保温
ただし、意識がない人に対して無理に体を動かすことは避け、静かに保温するようにしてください。
📞 救急車を呼ぶ
危険なサインが見られる場合は、ためらわずに119番通報をしてください。
119番通報時に伝える内容:
- 現在地
- 急性アルコール中毒が疑われること
- 本人の状態(意識の有無、呼吸の状態、顔色など)
電話口のオペレーターの指示に従い、救急車が到着するまでの間も本人の状態を観察し続けてください。容態が変化した場合は、再度119番に連絡して状況を報告します。
❌ やってはいけないこと
急性アルコール中毒の人に対して、絶対にやってはいけないことがいくつかあります。
禁止事項:
- 無理に水を飲ませる:誤嚥(気管に入ること)の原因になる
- 無理に吐かせる:窒息のリスクが高まる
- 仰向けに寝かせる:嘔吐時に窒息する危険
- 冷水をかける・ビンタをする:ショック状態を悪化させる可能性
- 一人にして放置する:容態急変に対応できない
🛡️ 急性アルコール中毒を予防するために
急性アルコール中毒は適切な知識と対策により予防できる症状です。以下のポイントを意識して、安全にお酒を楽しみましょう。
📏 自分の適量を知る
厚生労働省が推奨する「節度ある適度な飲酒」は、1日あたり純アルコール量で約20g程度とされています。
適量の目安:
- ビール中瓶1本
- 日本酒1合
- ワイングラス2杯程度
ただし、これはあくまで平均的な目安であり、体格、性別、体質によって適量は異なります。お酒を飲んでいて気分が良くなる程度が自分の適量であり、それを超えて飲まないように意識することが重要です。
🚫 一気飲みは絶対にしない
一気飲みは急性アルコール中毒の最大の原因です。どんなにお酒に強い人でも、一気飲みをすれば急性アルコール中毒になるリスクがあります。
一気飲み防止のポイント:
- 飲み会で一気飲みを強要されてもはっきりと断る
- 周囲の人も一気飲みを強要しない
- 一気飲みを強要して死亡事故が発生した場合の法的責任を理解する
🍽️ 食事を取りながら飲む
空腹状態での飲酒は避け、必ず食事を取りながら飲むようにしましょう。
食べ物が胃の中にあると、アルコールの吸収が緩やかになり、血中アルコール濃度の急激な上昇を防ぐことができます。
効果的な食べ物:
- 脂質を含む食事
- タンパク質を含む食事
- 飲み会前の軽食
- 飲みながらのつまみ
💧 水やお茶を一緒に飲む
お酒と一緒に水やお茶などのノンアルコール飲料を飲むことで、飲酒ペースを緩やかにし、脱水を防ぐことができます。
アルコールには利尿作用があり、飲酒中は脱水になりやすい状態です。脱水状態ではアルコールの血中濃度が上昇しやすくなるため、こまめに水分を補給することが重要です。
日本酒やウイスキーを飲む際にチェイサー(水)を用意するのは理にかなった習慣です。
⏰ 飲酒ペースを意識する
お酒はゆっくりと時間をかけて飲むことが重要です。
適切な飲酒ペース:
- 1時間にビール1本程度を目安
- 酔いの程度を確認しながら飲む
- 強いお酒はより慎重に
- 度数の高いお酒は薄めて飲む
飲酒のペースが速いと、体がアルコールを処理しきれず、血中濃度が急激に上昇します。
😷 体調が悪い時は飲まない
疲労が蓄積している時、睡眠不足の時、風邪気味の時などは、アルコールの影響を受けやすくなります。
飲酒を控えるべき状況:
- 疲労が蓄積している時
- 睡眠不足の時
- 風邪気味の時
- 薬を服用している時
体調が万全でない時は無理に飲酒せず、ソフトドリンクで参加するか、早めに切り上げるようにしましょう。
👥 周囲の人の状態にも気を配る
自分だけでなく、一緒に飲んでいる人の状態にも気を配ることが重要です。
注意すべき様子:
- 顔色が悪くなっている
- 言葉がおかしくなっている
- ふらついている
このような様子が見られたら、それ以上お酒を勧めず、水を飲ませたり休憩させたりしましょう。飲み会の幹事や年長者は、参加者全員の様子を把握し、飲み過ぎている人がいれば声をかける責任があります。

❓ よくある質問
急性アルコール中毒は飲酒中または飲酒直後に発症し、意識障害や呼吸抑制など生命の危険を伴う緊急状態です。一方、二日酔いは飲酒後数時間から翌日にかけて現れる頭痛、吐き気、倦怠感などの症状で、通常は時間の経過とともに自然に回復します。急性アルコール中毒は直ちに医療介入が必要ですが、二日酔いは安静と水分補給で対応できることがほとんどです。
急性アルコール中毒になる飲酒量は個人差が大きく、一概には言えません。一般的に、短時間(1〜2時間以内)にビール中瓶7本以上、日本酒なら7合以上を飲むと危険とされていますが、体格が小さい人、女性、お酒に弱い体質の人はより少ない量でも発症する可能性があります。特に一気飲みをした場合は、通常の飲酒よりも少ない量で危険な状態になることがあります。
迷った場合は救急車を呼ぶことをお勧めします。急性アルコール中毒は時間経過とともに悪化する可能性があり、素人判断で「大丈夫」と思っても危険な状態であることがあります。救急車を呼んで結果的に軽症だった場合でも責められることはありません。判断に迷う場合は、救急安心センター(#7119)に電話して相談することもできます。専門家が状況を聞いて、救急車が必要かどうかをアドバイスしてくれます。
酔って眠っている人を放置することは非常に危険です。睡眠中に嘔吐して窒息する、呼吸が止まる、体温が低下するなどのリスクがあります。必ず横向き(回復体位)に寝かせ、定期的に呼吸や反応を確認してください。呼びかけに全く反応しない、呼吸が異常に遅い、顔色が悪いなどの症状があれば、すぐに救急車を呼んでください。安全が確認できるまで目を離さないようにしましょう。
未成年者は成人に比べて肝臓の機能が未発達であり、アルコールを分解する能力が低いため、少量の飲酒でも血中アルコール濃度が上昇しやすくなります。また、飲酒経験が少ないため自分の適量がわからず、一気飲みなどで急激に大量のアルコールを摂取してしまうリスクがあります。さらに、体格が小さいほど同じ量のアルコールでも影響が大きくなります。これらの理由から
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
酩酊期に入ると、本人は「まだ大丈夫」と思っていても、実際の判断力は大幅に低下しています。この段階で追加の飲酒を続けると、急激に危険な状態に移行する可能性があります。周囲の方は「もう飲ませない」という判断をすることが重要です。